王子地区住民らが市長、議長を訪問 (新宮市 )
新宮市王子町にこのほど、住民の悲願であった避難路が完成した。王子権現親睦会・自主防災の会(古川重民会長)の歴代会長や地域住民らが約20年にわたり要望を続けていたもの。27日には同会有志10人と濵田雅美市議会議員が新宮市役所を訪れ、田岡実千年市長と前田賢一議長、東原伸也副議長に悲願達成に対する感謝を伝えた。
王子町1丁目付近では、近くに避難所である王子ヶ浜小学校がありながらも、最短距離であるNHK新宮ラジオ中継放送所横の道は人1人が通れる幅員しかなく、避難路として機能していなかった。住民や同会は道の拡幅を求めて十数年にわたり市に対して要望活動を行っており、並行して避難訓練を重ねて検証を続けてきたという。
同町出身である濵田議員の後押しもあり、同会は平成26年、市議会に陳情書を提出。議員改選に伴い翌年に再度提出した陳情書が平成28年9月定例会において採択され、晴れて事業化。3カ年で事業は進み、27日に工事が終了した。総事業費は約6000万円。交付税算入率が70%の緊急防災・減災事業債制度を活用している。
避難路は4月1日(水)から使用開始。避難路としてだけではなく、消防車や救急車などの往来にも利用される。古川会長は「住民の要望や濵田議員の協力もあり立派なものができました。緊急車両も入れるようになった。避難路を使わないことにこしたことはないが、20年近く諦めずに活動を続けてきて良かった」と感謝を示し「新型コロナ感染症が終息すれば、完成セレモニーを兼ねた避難訓練を実施したい」。
濵田議員は「避難訓練を重ねて拡幅の必要性を理論づけてくれたので声を上げやすかった。今まで避難を諦めていた地域の高齢者の方が『これなら避難できそう』と話してくれた」と安堵(あんど)の表情を浮かべ「これを機に、他の海岸沿いの危険地域にも対策を。命を守る施策を諦めるわけにはいかない」と決意を新たにした。
(2020年3月29日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20200329010101.jpg)
![](../../dbm/imgdb/img200/20200329010102.jpg)
紀宝町ウミガメ公園に隣接 (国交省 )
国土交通省紀勢国道事務所は、紀宝町井田の道の駅「紀宝町ウミガメ公園」に隣接する防風林で防災拠点施設の整備を進めている。伐採と整地作業が進み、来年度、国の予算が付けば防災備蓄倉庫の発注に取り掛かる。
2011年3月11日に発生した東日本大震災で震度7の地震と巨大津波により東日本一帯が甚大な被害を受けた。近い将来、中部地方でも東海・東南海・南海地震など南海トラフを震源とする巨大地震の発生が予測されている。
このことから、同事務所では津波による甚大な被害が想定される太平洋沿岸部(熊野灘地域)での救援・救護活動、緊急物資の輸送などを迅速に行うため、復旧・復興を見据えた地震防災に関する道路啓開を実行するため防災拠点を計画した。
施設は防風林の一部で約9000平方㍍。防災備蓄倉庫、災害時の避難場所を整備する。地域の防災拠点として非常電源を確保し、道路の規制情報や被災情報などの提供も行う。
施設の地盤高は10・43~13・26㍍で、三重県が発表した津波浸水予測によると町の最高津波高が12・46㍍に及ぶことから、約1~3㍍の盛り土を行う。また、町では飲料水や貯水槽、避難タワーなど安全安心な道の駅となるよう整備の検討を進めていく。
(2020年3月29日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20200329070101.jpg)
設備充実の観光案内所が開所 (那智勝浦町 )
那智勝浦町は28日、JR紀伊勝浦駅前の旧キヨスク跡に設置した観光案内所を開所した。デザイン性のある施設内には充実した設備が整い、観光や商店街の総合案内、まち歩きの拠点として国内外の観光客に対応する。営業は午前9時から午後6時までで年中無休。
案内所は空き店舗だった旧キヨスク跡をJR西日本和歌山支社の協力を得て、ジェイアール西日本デイリーサービスネットから無償譲渡されたもので、土地も無償貸与。その後、観光庁の補助制度を活用しリニューアルした。
同町によると、改修床面積は66・90平方㍍で建設費が1414万2700円。内訳は設計管理業務委託費が192万5000円、工事請負費が1221万7700円となっている。設計管理業務を株式会社建築工房くまのが、施工は有限会社紀宝工業が実施した。
全国で駐車場事業を展開するタイムズのコインパーキングが町内3カ所に順次整備される。利用者にはポイントが発行され、同案内所で商品券に変換できる仕組みも進めていくという。
施設内はヒノキや町の朝日や夕日などをイメージした暖色系の壁紙を利用し、親しみやすい空間を演出している。町の観光をPRする動画を映し出すデジタルサイネージや、英語や中国語に対応した2基の観光案内ロボット、約100種類のパンフレット類を充実させた。
案内所には町観光協会と南紀勝浦温泉旅館組合の職員が常駐する。インバウンド対策としては国際交流員を増員し、2人体制で外国人観光客に対応する。
この日は新型コロナウイルス感染予防のため、開所式典は中止となった。堀順一郎町長は「現在はコロナウイルスの感染拡大により、町も経済的に疲弊しており、早期の終息を切に願っています。案内所についてはJRさんや各関係者さまのご協力に感謝している。終息後は那智勝浦観光機構が中心となり、町を挙げてお客さまをお出迎えしていきたい」と語った。
(2020年3月29日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20200329010201.jpg)
![](../../dbm/imgdb/img200/20200329010202.jpg)
王子幼稚園で卒園式 (新宮市 )
今月末で休園が決定している新宮市立王子幼稚園(山本眞也園長)で24日、卒園式が開かれた。園児11人(男8、女3)は職員や保護者から祝福され通い慣れた学舎を巣立ち、新たな一歩を踏み出した。園児らは保護者に対し、「お父さん、お母さん、今まで育ててくれてありがとうございました。1年生になっても頑張ります」と感謝を述べ、手作りのメッセージカードと歌を贈った。
□ □
1958(昭和33)年に誕生した王子幼稚園。ピーク時の79年には138人もの園児が在園し、子どもたちの元気な声が周辺地域を明るくしていた。
83(昭和58)年に初めて入園者が100人を切り、微増微減が続いた。その後も少子化や保護者の働き方、生活環境などの変化もあり、入園児数は減少傾向へ。新年度の入園希望者がおらず、休園する運びとなった。
同園所蔵の資料から主な行事を振り返ると▽69(昭和44)年9月の始業式ではプレハブ園舎を使用▽74(昭和49)年、王子小学校のマラソン大会に初参加▽同年8月プレハブ園舎取り壊し作業が開始され、王子青年会が奉仕で備品類を小学校へ運搬▽80(昭和55)年3月、太地町のくじらの博物館と植物園への卒園遠足▽93(平成5)年3月に新園舎竣工(しゅんこう)式、園児も出席▽2009(平成21)年6月、お茶ごっこ▽15(平成27)年3月、国体選手のなぎなた演技を見学▽18(平成30)年11月、焼き芋パーティー―など。
□ □
同園では17(平成29)年度から同小の校長が園長を兼任することとなり、畑下圭喜・元校長が園長を務め、18(平成30)年度から山本園長が引き継いだ。
山本園長は「児童にとっても、園児と交流することは多くのことを学ぶ良い機会になっていた。休園は大きな損失の一つ。遊びの中で学習していく幼稚園の姿は小学校にはない学びであり、私も勉強になった」。
「卒園生の方々やご家族が幼稚園の良さを地域に伝えていただけたらありがたい。園児が増え、再園することを強く願っています」と話した。
卒園する園児たちに対しては「素直に喜び、積極的な姿に元気をたくさんもらった。幼稚園で学んだことを小学校でも生かして、何事にも興味を持って取り組む姿勢を続けてほしい」と語った。
(2020年3月25日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20200325010101.jpg)
![](../../dbm/imgdb/img200/20200325010102.jpg)
「宇久井海と森の自然塾」が地玉の浜清掃 (那智勝浦町 )
那智勝浦町宇久井半島の自然保全活動を続ける宇久井海と森の自然塾運営協議会(玉置之一会長)は22日、同半島の地玉(じごく)の浜海岸で漂着物を取り除く清掃活動を実施し、会員ら45人が汗を流した。
毎年この時期に実施する恒例作業。宇久井ビジターセンターから徒歩約20分の磯場には、台風など高波で打ち上げられた多くの漂着物があり、ごみの種別もペットボトル、空き缶、空き瓶、スプレー缶、ロープ、漁の浮きに使われた発泡スチロールなどさまざま。町指定ごみ袋で分別回収し、大きな流木は、のこぎりやチェーンソーで小さく切断して処分した。タイヤ4本も回収した。自然塾会員の西垣内茂さんは「大きなごみや外国製のペットボトルは昨年より減ったが、細かなごみやプラスチックごみがこんなに多いとは」と驚いていた。
作業にはNPO大杉谷自然学校、休暇村南紀勝浦、那智宇久井郵便局からも応援に駆け付け、地道な手作業ながら海岸は見違えるほどきれいになった。
ボランティア参加の40代女性=同町天満=は「時々ここへ遊びに来るが、ごみの量は気になっていた。これだけの人数だと片付くのも早い」と感心していた。ボランティアには中学生と高校生の2人も参加した。
昼食時にはこの海岸でとれたフノリのみそ汁と、海岸で花開くハマダイコンが作業の疲れを癒やした。
(2020年3月25日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20200325080201.jpg)
田並のさくら遠足2020 (串本町 )
串本町田並にある田並劇場が20日、イベント「田並のさくら遠足2020」を開き事前に申し込んだ24人をクマノザクラ眺望の名所「ちのと」へといざなった。
同劇場を営む林憲昭さん・澄蓮さん家族が地元住民から教わり、毎年訪れて愛(め)でている「ちのと」の山桜。その眺望場所一帯は山が深く切れ込み、山腹にある山桜の花盛りが一望できる景観に親しむ事ができる。
今時期に咲いているのはクマノザクラではないかと直感した澄蓮さんは、基本野生種としてにわかな話題になった2年前に古座川町長追在住の樹木医・矢倉寛之さんに相談。期待通りの答えを得て、以降「ちのと」を広く紹介したいという思いで前年度からこのイベントに取り組むようになった。
当日は同劇場へ集合し、案内役の矢倉さんも合流。田並川沿いの田並上集落奥まで車で移動し、その先は歩いて約1・4㌔先にある「ちのと」の眺望場所を目指した。道中に点々と自生するクマノザクラを間近に観察し、矢倉さんは自身の研究の経緯や分類学の視点、クマノザクラの花序の特色や同定時に注目する部分などを解説。お気に入りの一本を見つけてよく観察しほかのクマノザクラなどとの違いを確かめながら理解を深める筋道を立てて関心を促した。
眺望場所に到着後は、古田にある農家カフェ「つくる」の仕出し弁当を味わいながら小休憩。林夫妻によるワークショップも体験して折り返し、同劇場へ戻って解散した。
(2020年3月25日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20200325060301.jpg)
![](../../dbm/imgdb/img200/20200325060302.jpg)
社会福祉法人美熊野福祉会(森常夫理事長)は19日、各事業所(杉の郷、杉の郷えぼし寮、虹、ゆず、ワークランドそら、法人本部)の職員らに手作りマスクを配布した。職員や地域ボランティアが新型コロナウイルスなどの感染症予防のために308枚を制作。色とりどりの手作りマスクが、各事業所に明るい風を吹き込んでいる。
同法人では現在、マスクやアルコール消毒液を全体に供給しており、業者にも発注済みとのことだが、今後のマスク不足に備え、このほど職員と10人の地域ボランティアにマスクの制作を依頼した。マスクの着用徹底により、利用者や来客の健康や不安払拭(ふっしょく)に最大限の注意を払っている。
手作りマスクの利用は「待っているより自分たちにできることをやろう」という思いによるもの。橋上慶一・本部事務局長は「手作りマスクは職員やボランティアの皆さんが、善意で1枚1枚一生懸命縫い上げてくださったもの。大切に使わせていただいています」と感謝を示す。
同法人の障害者自立支援施設「ワークランドそら」が運営する「cafeそら」(新宮市佐野)では、玄関に消毒液を設置。手作りマスクを着けた職員、利用者らが調理や接客に当たっている。橋上事務局長は「最善の策を取っています。ぜひ、多くの方々に安心してご来店いただき、楽しい食事の時間を過ごしてほしい」と願いを込めた。
(2020年3月25日付紙面より)
![](../../dbm/imgdb/img200/20200325010201.jpg)
![](../../dbm/imgdb/img200/20200325010202.jpg)