妙法山阿弥陀寺で御影供 (那智勝浦町 )
那智勝浦町南平野にある妙法山阿弥陀(あみだ)寺(谷宏之住職)で20、21の両日、弘法大師御尊像を前に、大師の命日をしのぶ法要「御影供(みえく)」があった。コロナ禍で数年間は一般参拝を中止していたが、今年は4年ぶりに通常通りに斎行された。
弘法大師は真言宗の開祖・空海(774~835年)の別称で、同寺は空海が開山した寺院の一つに数えられており、平安初期に開創された。
女人禁制のない仏域として、女性の信心を広く集めたことから「女人高野」とも呼ばれ、「御影供」と生誕日の法要「青葉祭」が年中行事とされている。
20日夜は、室町時代の1509(永正6)年に建立された大師堂(県文化財)で、弘法大師御開帳護摩供が営まれた。
町内外から多くの参拝者が集まり、約10㍍の長い大数珠「百万遍数珠」2本を参拝者が輪になって繰りながら般若心経を唱えた。
三重県大紀町から家族と共に訪れた石倉里美さんは「コロナ禍前は毎年、お参りに来ていた。祖父母の供養をしてもらっている。こちらに来ると心が落ち着きます」と笑顔で話した。
谷住職は「全ての宗教において、共通するのは祈り。人には必ず死が訪れる。それまでに日々、自分ができることや生きることをしっかりとやる。後はそれぞれの宗教や信じるものに任せるが、その際に祈りが必要。その時、人は強くなる。自分の方法で構わないので、功徳や供養になるように祈ってほしい」と語った。
21日は、本堂で熊野地方の風習「お髪上げ」(納骨・納髪)や先祖代々の総供養も行われた。
□ □
■大師堂や大師尊像
大師堂は、創建当初からの姿を残している。国の重要文化財指定に向けて老朽化していた屋根の葺(ふ)き替えを終え2020年に、第一期の補修工事が完了している。
また、御尊像は檜(ひのき)材寄木造(よせぎづくり)。このほどの解体修理で1451(宝徳3)年に完成し、京都高辻に住む大仏師・大進法橋と小仏師太夫法橋によって彫られたということが分かった。
同寺では、重文指定に向けて今後も工事を進めていくとしている。
(2023年4月26日付紙面より)
宇久井海と森の自然塾 (那智勝浦町 )
那智勝浦町宇久井半島の自然保全活動を続ける「宇久井海と森の自然塾運営協議会」(湊谷幸三会長)は23日、3年ぶりに地玉(じごく)の浜の清掃活動を実施した。会員ら42人が汗を流した。
「地玉の浜」は吉野熊野国立公園の特別地域に指定されている宇久井半島の一部で、約3億年前に形成された石英の粒「オルソコーツァイト」や地層の褶曲(しゅうきょく)、火成岩の岩壁などが観察できるスポット。新型コロナウイルス感染拡大により2020年3月以降清掃を実施できておらず、3年ぶりの開催となった。
以前はペットボトルや空き缶、漁具といった漂着ごみが目立っていた同海岸だが、近年では海洋プラスチックごみ問題への認知の広がりから、地元住民や中学生、観光客らによる自主的な清掃の輪が広がり、きれいな状態が保たれている。
この日もプラスチックごみはほとんどなく、清掃は流木の処理が主となった。会員たちは大きな流木をチェーンソーなどで運びやすい大きさに分けて処分。比較的小さなものは町指定ごみ袋で回収した。
作業には同塾の会員でもある堀順一郎町長や瀧本雄之副町長も参加。休暇村南紀勝浦の職員や地域のボランティアも応援に駆け付けた。
湊谷会長は「普段から清掃をしてくださる方がおり、浜は非常にきれいな状態。6月にも芝生の草取りを計画しており、また皆で活動できたら」と話していた。
(2023年4月26日付紙面より)
橋杭ビーチオープンフェス (南紀串本観光協会 )
南紀串本観光協会が23日、串本町くじ野川にある橋杭園地でイベント「橋杭ビーチオープンフェスタ」を実施し目下力を入れている同ビーチの春~秋3季活用の魅力をアピールした。
7~8月の海水浴場設置以外にもっと活用できないかという思いが高じ、2017年度から本格展開している同活用。現在は4~10月をシーズンとしてフリーマーケットや釣り大会などを積極誘致し、同協会自体は事業委託先のビーチハウス・ラパンを軸にしたシーズン中の飲食と各種マリンアクティビティーの提供を通してアウトドアレジャー拠点としての活発化を図っている。
そのイメージをシーズンインに合わせて印象づける企画が同フェスタ。17年3月にシーズン直前のプレイベントとして初実施して以降、当日の天候や新型コロナウイルスの情勢で中止が続いたため、ほぼ6年ぶりの実施となった。
今回は感染症予防の観点で密を誘いやすいステージを中止とし、体験企画とフリーマーケットで内容を構成した。体験は小学生限定の特別メニューを追加し全4種で組んだが、当日は雨こそ降らなかったもの風が強く▽BIG SUP▽特別メニュー「ふわっと体験パラグライダー」―は中止。▽シーカヤック▽特別メニュー「モデルロケット製作・打ち上げ」―は実施した。フリーマーケットも天候に伴うキャンセルがあり規模縮小となったが、適時来場者の注目と利用を集めた。
同ハウスは水曜日と11~3月、過度の荒天日を除き午前9時~午後5時に営業している。各種マリンアクティビティーは▽シーカヤック▽フィッシングカヤック▽SUP▽BIG SUP―をレンタル提供していて、一部はツアー利用(指導者同行)の相談にも応じている。詳細は同ハウスの公式ホームページを参照。3季活用の問い合わせは南紀串本観光協会(電話0735・62・3171)まで。
(2023年4月26日付紙面より)
JR新宮駅でキャンペーン
通学中の列車内や駅構内など、公共の場でのモラルとマナーの向上を呼びかける「きのくに・さわやかマナーアップキャンペーン」が25日朝、JR新宮駅で実施された。高校生や警察関係者ら約20人が、通学で電車を利用する高校生らに啓発グッズを配布した。
学生が駅など公共の場所で座り込む、大声で騒ぐなどのマナー違反行為が横行して社会問題となった2003年から、春と秋の年2回実施している。この日は新宮高校生徒会の生徒ら7人と教職員が活動に参加。新宮警察署、少年補導員、少年相談センター職員、地域安全推進員らと共に、電車内における携帯電話の迷惑使用やごみのポイ捨てなど、迷惑行為の禁止やマナーの向上を呼びかけた。
生徒会長の磯﨑咲良さん(3年)は「活動に参加するのは初めて。自身も通学で電車を利用しているが、新入生や一般の方が入りづらいと思うので入り口付近に立たないようにしている。みんなでマナーを守って気持ちよく電車を利用することができれば」。
生活安全刑事課の中濱智厚警部補は「座り込みや携帯電話の迷惑使用など、マナー違反について再認識してほしい。高校生が参加してくれることによって、呼びかけがより身近なものになると思う。高齢者などには席を譲ってあげてください」と呼びかけていた。
(2023年4月26日付紙面より)
ホップリーグ3部東牟婁大会
投票率は過去最低 (新宮市議選 )
任期満了(30日)に伴う新宮市議会議員選挙が23日、投開票され、現職9人、新人6人の計15人が当選した。トップ当選は現職の大石元則氏(68)で1276票を獲得した。投票率は64・14%(前回69・75%)で、これまで最低だった2015年の68・59%を下回り、過去最低となった。
15の議席をめぐり、現職10人、新人7人の計17人が立候補していた。現職3人が勇退を表明する中、早々に新人が立候補の動きを見せるなど、告示前から選挙戦モードとなっていた。
各候補者は、少子高齢化、人口減少、医療福祉、まちの活性化など、市の諸課題を争点に舌戦を展開。23日午後8時10分から市立総合体育館で行われた開票作業では、各候補の支持者らが固唾(かたず)をのんで作業の様子を見守った。結果確定は午後11時55分。当選した各陣営では、候補者と支持者らが喜びを分かち合った。
□ □
何も言うことはない。誠心誠意、皆さんの役に立ちたい、その一心で務めさせていただく。力を合わせれば、新宮市はきっと良くなると思う。日々の生活が健康で、たとえつらいことがあってもまた頑張れるようなまちを目指したい。何より大きな災害が控えている。犠牲者を出さないのは当然のことだが、何が起こっても悔いのないように準備しておくこと、そして災害が起こっても立ち直れるような、そんな新宮市であってほしい。
□ □
結果には驚いている。同級生、友人、先輩の方々。皆さん本当に一生懸命やってくれた。一票一票の重さをひしひしと感じている。特に防災、減災に力を注ぎたい。「逃げる」という訓練を積み重ね、そして各自治会で防災リーダーを育成していく。資格を取得するために補助金を出してもらうなどして防災士をたくさんつくる。まずは人の育成が必要だと思う。
(2023年4月25日付紙面より)
奥熊野いだ天ウルトラマラソン
4年ぶりとなる「奥熊野いだ天ウルトラマラソン」(同実行委員会主催)が23日、那智勝浦町の山間部をコースに開催された。和歌山県や大阪府などの近畿地方をはじめ、北海道から沖縄県までの28都道府県から485人が100㌔、80㌔、65㌔の3部門に分かれて自慢の健脚を競い合った。
同大会は1999年に当地で催された「南紀熊野体験博」の関連イベントとして「奥熊野100㌔マラソン」の名称でスタートし、今回で第23回を迎えた。第11回大会で初めて100人を超えて以降、回を重ねるごとに参加者数は増加していたが、新型コロナウイルスの影響により2020年以降は中止となっていた。
今大会は「ボランティアで地域力がアップする!」をテーマに行われた。レースは、100㌔の部が午前5時に那智の滝前、80㌔が午前6時45分に井鹿エイド近く、65㌔が午前8時15分に西中野川トンネルをスタートした。
参加者は那智山や太田、色川などの各地域を巡るコースを走り、沿道からの応援やボランティアスタッフらのサポートを受けながらゴール地点の補陀洛山寺を目指し、100㌔総合で木畑貴行さん(和歌山市)が7時間40分21秒、80㌔総合で蛯原和弘さん(奈良県)が9時間13分36秒、65㌔総合で東田薫さん(大阪府)が4時間29分51秒でそれぞれ優勝を果たした。
木畑さんは「2014年の参加以来、初めての優勝なのでうれしいです。40㌔付近が最も苦しかったが、絶対に歩かない気持ちが結果に表れたと思う。また来年も挑戦したい」。
東田さんは「久しぶりの参加で1位になることができて最高。50㌔手前の山道がきつくて少し歩いてしまいましたが、何とか乗り越えることができました。ボランティアや地域の方々から熱い応援を頂き、温かみを感じる素晴らしい大会。来年も参加し、2連覇を目指していければ」と笑顔を見せていた。
(2023年4月25日付紙面より)
4年ぶり、企業と地域団体が (紀宝町 )
パナソニックエレクトリックワークス紀南電工株式会社(外岡正博代表取締役社長)は22日、「農山村活性化の取組に関する協定」を結ぶ地域活性化団体「神内生き活き協議会」(矢熊敏男会長)の協力を得て、紀宝町神内の田んぼで田植え作業を行った。
協定は県が2012年度から取り組む「三重のふるさと応援カンパニー推進事業」の一環で、農山漁村の豊かな地域資源を生かして、社会貢献や新規ビジネスなどに取り組む企業や地域を応援する事業。
締結した17年4月から毎年、田植え、稲刈り体験をしてきたが、新型コロナウイルスの影響で20年から中止となっていた。
4年ぶりの今年は従業員と家族ら106人と協議会の会員12人が参加。外岡社長が「待ちに待ったイベントの再開。今日は楽しみながら植えましょう」、矢熊会長が「皆さんの神内を応援する心で再開することができた。慣れない作業で大変ですが頑張ってください」とあいさつ。参加全員で記念撮影した。
休耕田になる予定だった17㌃の田んぼで作業を開始。ほとんどの参加者が田植え初体験で、悪戦苦闘しながらもコシヒカリの苗を丁寧に植えた。
1時間の作業で泥んこになった子どもは「楽しかった。稲刈りも楽しみ」と笑顔を見せていた。
休止していた3年間は協議会が稲を育て、米を同社に届けてきた。今年は8月20日ごろに稲刈りを計画しており、収穫した新米は従業員に配り、社員食堂でも提供するという。
(2023年4月25日付紙面より)
泉涓一さんヤエン釣りで (串本町 )
串本町古座、泉涓一さん(90)が18日午後に動鳴気漁港で3・2㌔のアオリイカを釣り上げた。3㌔超は20年ほど前に釣り上げて以来の大物で、90歳になっても衰えない腕前に感心する声が近所から上がり始めている。
泉さんは20年ほど前に船釣りを引退して以降も年間を通して陸釣りを愛好している。アオリイカは陸釣り一本になったころから釣り始めたそうで、釣法はヤエン釣り。多い年には1シーズン(3~6月)で100匹ほど、その頃は7~8匹釣れた日もあったという。最近は産卵場所の海藻が減っているのか数が伸びないが、それでも昨シーズンは28匹を釣り上げ地元で今も一目置かれる存在であり続けている。
「2㌔ちょいちょいはよく釣っている」。18日はその手応えを上回るアタリがあり、力負けして50㍍ほど糸を持っていかれたが何とか体勢を立て直し、愛用の磯竿1・5号や道糸3号をかばいつつ寄せてヤエンを投入。触腕に針がかかった状態で釣り上げた。30分ほど格闘した末の釣果で、その瞬間は「やれよと思った」という。
16日にも2・8㌔のアオリイカを釣り上げていて好調続きの泉さんだが、「今年は近場に活アジ(=ヤエン釣りの餌)がない」と悩みも。あっても高値で、遠出をしてまとめ買いしても釣る前に死なせたら意味が無く、そのあたりのやりくりが今は大変だという。
アオリイカのシーズンはまだ前半。泉さんは「昔は日が昇る前から釣りをしていた。今は午後に行くことが多くなったが、元気なうちは釣りを続けたい」と続投に意気込んでいる。
□ □
串本の魚に詳しい南紀串本観光協会の宇井晋介事務局長(元串本海中公園センター水族館館長)によると、泉さんが釣り上げた3・2㌔のアオリイカはレッドモンスターと通称されるアカイカ型の雄。沖合で最大5~6㌔まで育つ大型種(3㌔はまだ普通の域)で、それが動鳴気漁港に寄っているとするとさらに大物がかかるかもしれないという。
(2023年4月25日付紙面より)
春季高校野球和歌山県予選