新宮市議会の文化複合施設建設に係る遺構発掘調査および都市再構築戦略事業調査特別委員会(上田勝之委員長、12人)が22日、新宮市井の沢のセンタービルであった。委員たちから市民会館と旧丹鶴小学校の解体が終了した建設予定地から見える新宮城跡の景観を街づくりに生かしてほしいとの声があがった。
濵田雅美副委員長は、船町から見える新宮城跡大手門付近の風景に感動したと述べ、「一度建物を建ててしまうと半世紀は今見える風景が隠れてしまう。先のことを考えるともったいない」と指摘。田岡実千年市長は同じ声を多くの市民から聴いていると述べ、市民会館跡地のスペースはそのまま残ると説明した。
濵田副委員長は、ホールと図書館の建設は必須とした上で、今の景観を残すために熊野川寄りの丹鶴体育館を解体し、跡地にホールを建設できないかと質問。楠本秀一教育長は「非常に難しいと思う」。田岡市長は「体育館はいろいろな方が使っていて、地域のコミュニティーの場としても使われているので、解体しないと決めています」と回答した。
市は今のところホールの席数を1000席にするとしているが、委員からの要望に応え、「大概算」と前置きした上で、費用の比較表を示した。800席にすると本体工事費が1億2000万円、年間ランニングコスト400万円、600席にすると本体工事費が1億7000万円、ランニングコストが500万円の減額となっている。
並河哲次委員はランニングコストなどを抑えてソフト面にお金を使った方がよいと述べ、「1000席では施設の維持だけで四苦八苦の状況。800席の方が現実的」と指摘。田岡市長は「文化のまちとして、文化の拠点としてこのホールで有意義な活動をしていただくためにも必要な経費」と説明した。
大石元則委員は「1000席にする根拠は」と質問。田岡市長は「質の高い興業をするときは600、800席では開催できないということで現状の席は確保したい」と回答。辻本宏委員は「人口が減る中、800席が精いっぱいだと思う。質の高い興業が年間どれだけできるのか」と疑問を投げ掛けた。
(2017年2月24日付紙面より)
光洋中でみくまの支援学校の講話 (新宮市 )
新宮市立光洋中学校(田中信幸校長)で22日、1年生61人を対象にした出前授業があった。県立みくまの支援学校から福山喜一郎教諭が来校し、「みんなの理解や手助けで障がいのある人が生活しやすくなる」と呼び掛けた。
福山教諭は校内の施設について、幅の広い廊下は車いすも通りやすく、転倒時のけがを軽減するため木製の床、教室の表示はひらがなやイラストを交えているなどの工夫を説明。中学部の学校生活を映像で紹介した。
障がいについて「体や脳が傷つき、生活をするために必要な力が弱くなったり、元に戻らなくなった状態」と話した。分かっている原因はほんの一部で、ほとんどが不明だと述べた。
相手の言っていることや気持ちが分かりづらかったり、自分の考えや気持ちを言い表すことが苦手など、障がいのある人が生活の中で困っていることを挙げ、ゆっくりと分かりやすく身ぶりを交えて話し掛けたり、聞く際は急がせずに言葉が出てくるのを待ってほしいなどと対応の例を話した。
光洋中は2年生が毎年みくまの支援学校と交流学習をしている。
(2017年2月24日付紙面より)
ゆうゆうクラブ女性部の講演会 (新宮市 )
新宮市のゆうゆうクラブ(老人クラブ連合会)女性部(石原千里部長)は21日、同市福祉センターで健康づくり講演会を開いた。『楽しい音楽療法』をテーマに約90人が和歌山音楽療法研究所の多田佳世子理事長、宮井愛子さん、旭美好子さんらと歌いながら体を動かし楽しいひとときを過ごした。
予防医学の観点からさまざまな楽器を使い「歌う」「演奏する」「聴く」の3要素を生かして脳の活性化と老化防止を図る目的。懐かしい童謡などを歌うことで記憶を呼び覚ます力が付けられ、簡単な体操を交えることで脳を活性化させる狙いもある。
多田理事長は自身と新宮との縁を紹介。軽快なトークに乗せ、美しい歌声を響かせた。参加者らはピアノ伴奏に合わせ誰もが知っている童謡や懐かしの曲を歌った。手の運動を交え、ハンドベル、鳴子、太鼓から木製のしゃもじなどさまざまな楽器や音に触れながら笑顔あふれるにぎやかな時間を過ごした。
参加者の新屋幸子さんは「楽しかったです。癒やされました。短い時間でしたが楽しかった」。多田理事長は「音楽療法はこのように大人数でするものではありません。しかし、一人暮らしの高齢者は出無精で孤立しがち。この場に来て、音楽療法を通じ、声を出して笑ってほしいと思っています。笑うことは生きるために大事です」と話していた。
石原部長は開会にあたり「(音楽療法は)脳の活性化や老化防止、健康長寿に効果的で私たち高齢者にとって大事なこと」とあいさつ。女性部の活動でのアイデアや提案を呼び掛けた。
(2017年2月24日付紙面より)
杉尾ガス店も発動機託す (県エルピーガス協会 )
和歌山県エルピーガス協会南紀支部(苔原信夫支部長)が22日、古座川町にガスコンロ4台とガス炊飯器1台を寄贈した。併せて串本町西向にある杉尾プロパンガス店(杉尾廣店長)が出力0・9kVAのガス発電機1台を託し、そろって「町の防災力向上に役立ててほしい」と申し出た。
同支部は災害時に避難場所となる集会所など公共施設のガス器具を安全な状態に保ちたいという思いで6年前、寄贈に取り組み始めた。以降も管内各市町村に順次最新の器具を託していて、今回で各市町村一巡の節目になるという。
今回贈ったガス器具はいずれもプロパンガス用で、コンロは市販のガステーブルタイプ、炊飯器は炊き出しを想定した2升炊きタイプ。発電機は親子2代61年にわたって地域の皆さまのお世話になっていることへのご恩返しとして託したという。
この日は古座川町役場本庁で贈呈式があり、苔原支部長と杉尾店長がそれぞれ、寄贈目録を出張で不在の町長に代わり仲本耕士副町長に手渡した。仲本副町長は「紀伊半島大水害では600軒ほどが水につかり生活に困難をきたした。来る大地震はそれ以上の影響が考えられ、日頃からどういう備えが必要かを研究してはいるが、行政だけでは無理な事柄もある。皆さん方のお力を頂きながら協力の体制をつかんでいきたいと思うので今後ともよろしくお願いします」と述べ、寄贈に感謝した。
今回で管内各市町村を一巡したが、同支部は限られた予算内での取り組みであるが故にまだまだ支援し足りない領域があるとし、今後も引き続きできる支援を続けていきたいと話していた。
(2017年2月24日付紙面より)
神倉神社御燈祭り翌日祭 (新宮市 )
新宮市の神倉神社で7日、宗教法人飛竜山「神州院」(平見順孝住職)=同市横町=の御燈祭り奉祝翌日祭、大峯秘法「採燈大護摩供火生三昧(火渡り)」があった。今年で30年目を迎え、境内には大勢の信者らが参列し、炎に向かって一心に心願成就を祈った。
厳粛な雰囲気の中、行者たちが「ほら貝」「弓矢」「剣」などを使った神事を営んだ後、境内に組んだ護摩壇に御燈祭りで使うたいまつで火を放ち、燃え盛る炎に向かって経を唱え、信者たちの願いが書き込まれた護摩木を投げ入れた。
行者らが護摩壇を崩して壇木を境内に敷き詰めた炭の上に並べ、火渡りの行を準備。田代順佳副住職が渡り終えた後、行者らをはじめ、参列していた熊野速玉大社の上野顯宮司、猪飼三雄・神倉神社奉賛会長、中山忠吏・神倉青年団長らが渡った。参列していた信者や一般客も次々と渡り、身を清めた。
平見住職は「いろんな思いがあり、昨年よりも今年、今年よりも来年と前に向いて進んでいかなければならない。多くの人がお参りしてくれ、大護摩も定着してきたようでありがたい」。
京都府から訪れた細川周平さん(62)は「御燈に上るのは4回目でしたが火渡りは初めて。すごく崇高な気持ちで、いろいろなことをお祈りしました」と話していた。
(2017年2月9日付紙面より)
薬剤師会によるフェスタ (那智勝浦町 )
那智勝浦町天満の福祉健康センターで5日、(一社)和歌山県薬剤師会(稲葉眞也会長)と新宮薬剤師会(櫻田ゆかり会長)共催の「健康フェスタ」が開かれた。各種体験、相談コーナーを設け、住民の健康意識を高めた。
同フェスタは薬剤師会が持つ健康情報を発信し、病気に負けない体づくりを勧めるとともに地域住民の健康に対する意識を強めることを目的に年1回取り組まれている。新宮市から串本町までの会員が参加しており、来場者の薬剤や病気、薬局に関する相談を受ける。
「調剤体験コーナー」では、子どもたちが自動錠剤散剤分包機を使って砕いたラムネやチョコを分包した。蛍光剤で汚れの落ち具合を確認する「手洗い体験コーナー」、「電子おくすり手帳体験」、健康食品や介護食の試飲試食などもあり、来場者は薬剤や健康への理解を深めた。
講演会もあり、町立温泉病院の山本康久院長が「認知症に人(と・に)できること~貴方が認知症にならないために~」と題して講話した。認知症は物忘れを自覚できないなど特徴があり、治療法が研究途上であると説明。本人と家族が穏やかで心地よく生活するために早期の発見と受診、介入が必要と話した。
那智勝浦町にあるなごみ薬局の薬剤師・小林仁さんは「健康ってなぁに?」をテーマに講話。健康は体の状態だけでなく、心と生活のバランスも重要だと説いた。
稲葉会長は「薬局はかつて町の科学者と呼ばれて地域住民からさまざまな相談を受けたが、今では薬の受け渡しが主で地域とのつながりが薄れている。このフェスタで、薬局は気軽に来られるという印象を持っていただけたら」と話した。
町内から6歳と4歳の娘と来た女性(37)は「調剤体験に、子どもたちが喜んでいた。手洗い体験も汚れがきれいに落ちたので、今後はしっかり手洗いを習慣づけたい」と話した。
(2017年2月9日付紙面より)
今年は桑島美穂さんが奉仕 (「水門祭」に向け )
串本町大島にある水門(みなと)神社社務所で7日夜、例祭「水門祭」で奉仕する商人役の稽古があった。務めるのは北組の桑島美穂さん(54)で、例祭の重役や過去の経験者ら27人の前で演技を披露して助言や励ましを受けるなどした。
商人役は苗我島から戻る当船を出迎える祭典諸役の一人。大島港へ向かう祭典諸役の行列の最後尾で高らかに口上を述べて競りを繰り広げ、往時の栄華を物語る和装の稚児らと並んで活気に満ち溢れた大島を表現する。
稽古はその年の商人役の度胸付けを兼ねて一度だけ営まれている。この日は稲田賢区長をはじめとする例祭の重役や過去の商人役ら27人がうたげに興じて本番さながらの雰囲気を作り出し、経験者の模範演技に続いて桑島さんも演技を披露した。
桑島さんは同神社祭礼「おみくじ祭」で人選されて以降、祭りに関わる中で見てきた商人役の姿を思い出しながら自分の演技を練ってきた。商人役を務めるのは初めてで「稽古は今日一日だけだが、諸先輩からたくさんの指導と励ましをいただけた。商人は水門祭を楽しく終えるための大事な役者。精いっぱい皆を楽しませる演技をしたい」と気持ちを高めていた。
例祭「水門祭」は11日(土・祝)に本祭を迎える。苗我島から戻る当船を迎える行事「ツルの儀」は午後2時30分ごろに大島港の「お山」一帯で営まれる。桑島さんはその直前の行列の最後尾で、化粧などをし扇子とそろばんを手に持って演技に臨む。
(2017年2月9日付紙面より)
講座や展示で楽しく知る
熊野歴史研究会は6日、新宮市教育委員会と共催し、市立神倉小学校体育館で「御燈祭りを学ぶ集い」を開いた。来場者らは御燈祭りに関する講話に耳を傾けた。
集いは祭りの国重要無形民俗文化財指定1周年を記念して実施。同小の山本眞也校長は昨年秋に映画監督の宮崎駿さんが体育館を訪れたときのことを紹介した。
熊野歴史研究会の山本殖生事務局長は「御燈祭りの由来とねらい」、県教育庁文化遺産課の蘇理剛志さんは「御燈祭りを支える人たち」の演題でそれぞれ講話した。
会場には木造建築の紹介写真、宮崎監督が同校に宛てた手紙や当時の記事などが飾られた。写真家の山本まりこさんらが来場し、山本さんが撮影した熊野詣写真作品も展示された。
(2017年2月9日付紙面より)
県高校サッカー新人大会
第3回南紀フレンドマッチin新宮
新宮市神倉神社
熊野地方に春の訪れを告げる「御燈祭り」が6日夜、新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)の摂社、神倉神社で営まれた。今年は1957人(主催者発表)の上がり子(祈願者)たちが、神倉山に集まり、山頂付近にあるご神体「ゴトビキ岩」の下でご神火を授かり、下山した。
1400年以上前から続くと伝わる全国でも珍しい女人禁制の火祭り。今年は昨年3月に国の重要無形民俗文化財に指定されてから初めての祭りだった。白装束に荒縄を胴に巻き、草鞋(わらじ)を履いた男たちが、ご神火の付いた燃えさかるたいまつを手に神倉山を駆け下り、太鼓橋付近で大勢の観客が迎えた。
初めて祭りに参加した九州大学2年の池山草馬さん(22)は「すごく寒かったですが、たいまつに火が付いた瞬間、空気が揺らぐのが見えました。心も体も熱くなり、自然と声が出てしまいました」と話していた。
(2017年2月8日付紙面より)
JAみくまのと協定書締結 (那智勝浦町 )
JAみくまの(村上幸弘代表理事組合長)と那智勝浦町(寺本眞一町長)は6日、「移動スーパー・とくし丸」を用いた高齢者等地域見守り活動に関する協定書を締結した。同町と太地町を範囲に、21日(火)から事業をスタートさせる。
社会問題となっている「買い物難民(買い物弱者)」に関してJAみくまの管内でも確認されており、見守りが必要な65歳以上の人口が約38%強に上っているという。
これらの問題を受けてJAみくまのは誕生15周年を機に移動スーパー事業を計画した。志の熱いことを意味する「篤志」から名付けた軽トラック「とくし丸」で買い物難民対策を施すと同時に、販売パートナーを「見守り隊」として機能させる狙いがある。住民に異変が見られた場合は、地域包括支援センターに連絡し、職員が訪問する。
移動スーパーは、Aコープで売られている総菜や生鮮品、日用品など約300品目1400点を取り扱う。訪問は1週間に2回で、注文にも対応。販売担当者と直接顔を合わせ、会話することで買い物を楽しめる。
現在はトラック1台で那智勝浦町の下里、太田と太地町の平見の個人宅約120軒を巡回する予定だが、要望があれば台数増加や対象地区拡大を検討するという。
寺本町長は「われわれの町でも年数件、孤独死が起きており、対策を福祉課と考えている。このような状況でこういった協定が結ばれ、連絡が頂けるのはとてもありがたく、心強い。町としても、お互いの組織の連携がスムーズかつ効率的になるよう頑張っていきたい」と述べた。
村上代表理事組合長は「移動販売車によって地域の人と接する機会が増えると思う。孤独死や体調不良で動けない人が見つかる確率も上がる。行政と手を結び、見守り活動を進めていきたい」と話した。
(2017年2月8日付紙面より)
湯の花霊場の地蔵尊例祭 (古座川町 )
古座川町添野川、湯の花温泉そばにある地蔵尊の例祭が5日日中にかけて営まれ、正午の法要には区内外から約30人が参列して信心を注いだ。
この地蔵尊は七川ダム建設に伴い水没を免れるため、現在の湯の花温泉そばに引き上げられた。参道下から順に▽弁財天▽薬師如来▽徳本上人供養塔▽如意輪観世音菩薩(ぼさつ)―と安置され、中でも薬師如来は明治の中ごろに耳をわずらった子どもの平癒を願掛けしたところすぐにかなったという縁起があり、以来「耳の地蔵さん」として区内はもとより区外からも根強い信心を集めているという。
現在は添野川集落にある善光寺の境外地蔵とされ、近隣住民が雨天日などを除くほぼ毎日通い、参道を清掃するなどして護持している。例祭は旧歴1月17日とされるが、昨今は区外の参拝利便も考えて最寄りの日曜日に日取りを定めてほこらを開扉している。
今年はまれな雨天下で例祭を迎え、世話役筆頭の山本照一さん(82)はパラソルで雨をしのぎながらあらかじめ準備しておいた耳の地蔵さんの供え物「セミの抜け殻」「穴の開いた木片」(抜けの良さにあやかった慣習の品)を配り、南真次区長(63)もほこらへ誘うなどして参拝者を歓迎。正午には善光寺を兼務する小川宝音寺の伊藤収工住職が弁財天から順に法要を営み、般若心経を唱える中で参拝者一同、順次焼香して信心を注いだ。
区民が耳の地蔵さんにささげた餅や菓子は例年、法要後にお下がりとしてまかれるが、今年は雨天のため袋に小分けして配った。山本さんは「雨が降るのは本当に珍しくて、今日は朝から『お祭りはやるのか』と問い合わせがあって大忙しだった。足元が悪いのに大勢の皆さんに来ていただけてうれしいし、それぐらい親しまれている耳の地蔵さんなので、今後もこのお祭りを続けていこうと思う」と話した。
(2017年2月8日付紙面より)