新年を前に煤払い (熊野速玉大社 )
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)で24日、恒例の「煤(すす)払い式」が営まれた。上野宮司や神職、同大社敬神婦人会(久保あや子代表)有志16人らが境内のほこりを落とし、迎春準備を進めた。
煤払い式は神事の一つ。麻ひものたすきを巻いた神職が、長さ約5㍍のささ竹で各殿の壁面や屋根にたまったほこりを払い、拭き掃除を行った。婦人会はバケツや雑巾を手に境内各所を水拭きした。
敬神婦人会の中山清己さんは「久保代表の指示の下、毎年させていただいている恒例の掃除。みんなで団結してきれいにしています。新年にすがすがしい気持ちでお参りいただけるよう、心を込めてご奉仕させていただいています」と笑顔で話した。
上野宮司は「敬神婦人会からも多くの皆さんにご奉仕いただいた。心も境内も新たにすがすがしい思い。清掃や点検をもって、新年には気持ちよく参拝者をお迎えしたい」。
新年の初詣については今年同様、幅約8㍍のさい銭箱を準備。拝殿手前に設置し、要所要所に消毒液を設置するなどして新型コロナウイルス感染拡大防止対策を講じる構えであるとし「引き続き混雑時に向けて東門を開門するなど、万全の対策を整えていきたい。参拝される皆さんも安全対策をして新しい年を迎えていただければ」と話していた。
同大社では31日午後4時から大晦日大祓式(おおつごもりのおおはらいしき)、5時から除夜祭・神符遷霊祭(しんぷせんれいさい)を斎行。元日の午前0時、初太鼓開門をもって初詣客を迎える。
(2021年12月25日付紙面より)
歴探スクールで山本殖生さん (新宮市 )
熊野学研究委員会歴史部会・新宮市教育委員会が主催する令和3年度熊野学講座「第36回歴史探訪スクール」が23日、同市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」であった。熊野学研究委員会の山本殖生さんが「西国巡礼第一札所―なぜ那智山か―」をテーマに講話。約60人が聴講した。
新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、約1年半ぶりの開催となった同スクール。開講式を兼ねたこの日は、講演を前に熊野学研究委員会委員長の中瀬古友夫さんがあいさつ。多くの参加に感謝を伝えた。
山本さんは、西国巡礼は本来観音巡礼であったとし、観音信仰の変遷などについて説明。飛鳥時代の観音菩薩(ぼさつ)立像(那智山青岸渡寺)などが那智山から多く出土していることに触れ「古くから観音信仰があったことが分かる」と述べた。
平安時代後期の僧・行尊(ぎょうそん、1055~1135年)の「観音霊所三十三所巡礼記」では一番の長谷寺から始まり、如意輪堂(那智山青岸渡寺)は六番目に記されており、1211(承元5)年の「観音三十三所日記」(高山寺蔵)、鎌倉時代後期の「三十三所観音曼荼羅(まんだら)」(華厳寺蔵)にも同じ行程で記されていると紹介。一方で僧・覚忠(かくちゅう、1118~77年)の「三十三所巡礼記」には、「一番紀伊国那智山」と記されていると話した。
山本さんは、熊野は天台修験寺門派(三井寺)の修行道場であったことや、白河上皇の熊野御幸先達を務めた当時三井寺長吏であった増誉(1032~1116年)が最初の熊野三山検校に任じられ、聖護院を建立し絶大な権威を誇ったこと、そして院政期の熊野詣での盛行などを背景に、那智山青岸渡寺が第1番札所となったと説明した。
現在のルートや「西国」の呼称に至る経緯、巡礼歌(御詠歌)、巡礼札などの歴史についても言及。「西国巡礼は修験者の修行として始まったものが民衆化していったと結論付けられるのでは」と話した。
次回の歴史探訪スクールは同所で来年1月20日(木)午後2時から。中瀬古さんが「目で見る新宮・熊野の近代史7―明治22年の大水害と本宮大社―」をテーマに講演する。
(2021年12月25日付紙面より)
出身者の河田征夫さん (串本町 )
串本町出身の郷土史家・河田征夫さんがこのほど、串本町に図書や古文書など郷土史料の寄贈を申し出た。数は約1000点となる見込みで、同町図書館(池田三明館長)が所蔵元となり整理活用する方向で受け入れ作業を進めている。
町教育委員会教育課によると、河田さんは現在沖縄県に在住。町内にいた頃から串本やその近隣の史料収集を続けてきたが、自身も70代に差し掛かり収集した史料がこのまま失われるのが忍びないので町で保管してほしいとの思いで、初秋ごろに寄贈を申し出たという。
受け入れの作業中だが、図書は約650点、古文書などは数え方にもよるがざっくりと300点ほどあり、寛政年間の万覚帖や安政年間の漁舟水上帖など近世から刊行誌「熊野誌」や著書「大逆事件と大石誠之助」など近現代まで時代も地域も幅広く託されているという。
内容もさまざまで、池田館長は捕鯨も含め水産関係が多いが観光や偉人伝や文芸などもあり、確かな評価は専門家に判断してもらうが貴重と捉えざるを得ない史料や当時の社会情勢がうかがえる史料も相当数含まれていると印象を語る。
受け入れ作業は大詰めの段階で、今後は一度展示の機会を設けて寄贈の周知を図りその様子を河田さんに伝えて感謝した後に「河田文庫」の呼称を受け継いで町民が極力活用できる保管を始めるという。古文書類は朽ちたり焼損したりで触れがたい状態のものも複数あり、池田館長は串本古座高校の中根文庫のようにデジタルアーカイブとして残す方策も探っていきたいとしている。
21日現在で展示のめどはついておらず、池田館長は「来年中にはこぎ着けたい」と話している。
(2021年12月25日付紙面より)
宇久井の浜で清掃活動 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の宇久井地区(中路進総区長)と町、町建設業組合(上地秀和理事長)、和歌山県、新宮地方建設業協同組合(海邊俊行理事長)は23日、同町宇久井の海岸(千尋ヶ浜)周辺で官民一体の清掃活動に取り組んだ。約100人が参加し、漂着した流木などのごみを集めて撤去した。
清掃活動は元々、同地区が景観美化を目的に毎年実施してきたもの。度重なる台風などで多くの流木やごみが漂着し、区単独では困難となったため、町を通して、管理者の県に要望。その後、両組合に協力を呼び掛け毎年、実施されている。
今年は台風が少なく、例年より流木やごみも少なかったため、人力での撤去が主となった。参加者は協力しながら、ごみなどを町指定のごみ袋に詰めていった。
また、逆側(新宮市佐野寄り)の同浜では区役員ら10人が集まり、朝から木のように成長した草などを重機や道具を使って撤去作業に汗を流していた。
参加した堀順一郎町長は「今は海水浴場ではないが、海岸がきれいになることは、皆さまの環境への意識も高まる。多くの方々のご協力がありがたい」。
海邊理事長は「県からの要請を受けて、皆さんで取り組ませていただいている。きれいになって良かった」と話していた。
中路総区長は「宇久井の入り口なのできれいにしたい。日々、浜をきれいにしてくれている区民の方もいらっしゃる。汚れていることに気付いた際はご協力いただけましたらありがたいです」と語った。
(2021年12月25日付紙面より)
現場鑑識競技会で1位に (新宮警察署 )
新宮警察署(山田守孝署長)生活安全刑事課生活安全捜査係の永谷美波巡査(22)と地域課大橋交番勤務の川口淑翔(しお)巡査(21)の2人が、先月26日に和歌山市の鑑識科学センターなどで開かれた第25回和歌山県警察現場鑑識競技会で1位の快挙を果たした。
犯罪現場における鑑識技術向上のほか、優秀な鑑識員の発掘を目指し開催されている競技会。今回は車上狙いがテーマに定められ、乗用車の助手席ガラスが割られ、車内の現金が入った財布が盗まれたという想定で競技が行われた。
県内14署28人が参加。2人一組となり制限時間内で車に付着した指紋を採取したり、被害者役の立会人から状況を聞いたりしながら犯人に結び付く資料を作成。鑑識技術を競い合った。
適切な鑑識捜査ができているか、立会人にちゃんと説明ができているか、資料が的確に採取できているかなどが総合的に審査され順位が決定。なお、14署中女性ペアは新宮署のみであったという。
結果を受け、永谷巡査は「現場で実践を通して学んできた。やり切ったという気持ちはあった。『1位だったらいいな』ぐらいに思っていたけど、結果を聞いてとてもうれしい」。
川口巡査は「競技会は現場とはまた違う緊張感があった。結果がどうであれベストを尽くした。全力を尽くして1位だったことがうれしい」と笑顔。
今後の鑑識活動に対する自信向上につながったと口をそろえ「自分の経験として残った。現場でも犯人につながるような資料を作ることを心掛けたい」(永谷巡査)、「積極的に専門的な鑑識も実施していけたら」(川口巡査)と目を輝かせていた。
(2021年12月24日付紙面より)
修学旅行で児童が平和学ぶ (熊野速玉大社 )
熊野速玉大社のご神木で平和の象徴として知られる梛(なぎ)の木。梛、そして熊野とゆかりのある香川県善通寺市の市立筆岡小学校(佐藤宏一校長)の6年生28人が21日、修学旅行で新宮市の熊野速玉大社を訪れ、上野顯宮司から梛に込めた世界平和への思いを聞いた。
筆岡小学校区内には、紀伊熊野を意味する木熊野(きくまの)神社があり、熊野速玉大社から梛が移植されたことから「梛の宮」と呼ばれている。児童たちは「ふるさと学習」として、熊野速玉大社との関係性を調べ、その集大成として訪れた。
熊野速玉大社では祝詞奏上の後、2人の巫女(みこ)が世界遺産登録記念御神楽の「神なぎの舞」を奉奏。佐藤校長が玉串を奉奠(ほうてん)した。
上野宮司は、2012年6月に沖縄県で開催した「沖縄県本土復帰四十周年記念式典」に梛が深く関わっていたことを紹介。50年前、善通寺市の植木職人、山地義一さんが梛の木の苗500本を種から育て、本土復帰の記念として沖縄県内の各学校へ植樹する計画を立てた。
その後の足跡をたどるため、1991年ごろから沖縄に足を運び、2010年にようやく農林高校の校庭で発見したという上野宮司。痛々しい木が戦火にまみれた沖縄と重なり、校庭での式典挙行を決意し、平和への願いを梛の木に託した。
開催前年には紀伊半島大水害が発生し、「災害は人の力であらがうことができず、受け入れるしかない。戦争や犯罪、いじめなど人の手でつくられた悲しみは人の手でなくさないといけない」と説いた。
「迷ったときは自然を見渡して大きく深呼吸し、人は自然の一部と気付いてほしい」と伝え、本土復帰50周年の前年に訪問してくれたことに感謝。「山地さんや多くの人が思いをつなげた素晴らしさを感じ『できた人』になってほしい」と呼び掛けた。
(2021年12月24日付紙面より)
紀南高生らのPR映像を投影 (ウミガメ公園 )
紀宝町井田の道の駅「紀宝町ウミガメ公園」で22日、紀南高校、松阪商業高校、皇學館大学の生徒・学生が作成したプロジェクションマッピングの上映が始まった。同公園物産館に投影するイベントで来年1月3日(月)まで、午後5時から6時30分まで開催する。小雨決行。
昨年に続く取り組み。初日は物産館で点灯式があり、紀南高校の高橋幸暉君(3年)が「東紀州についてもっと知ってもらいたく、授業で精いっぱい作りました。ご家族や知り合いにぜひ、ウミガメ公園のプロジェクションマッピングを紹介してください」とあいさつした。
活動に協力した同公園の石本慶紀さん、紀勢国道事務所熊野維持出張所の阪井宣行所長、同校の森典英校長もそれぞれ、開催への感謝を伝えた。
式終了後、建物正面に映像を投影した。約20分のうち、紀南高校のプロジェクションマッピングは約7分。11月上旬から1カ月かけて作成し、ウミガメや紀州犬などを紹介した。
生徒たちは「みんなで協力し合って一つの作品ができた」「来てくれた皆さんに分かりやすいよう心掛けた」などと話し「ぜひ、ウミガメ公園に来てください」と呼び掛けている。
(2021年12月24日付紙面より)
ピーアップシングウでゆず湯 (新宮市 )
冬至となる22日、新宮市蜂伏の温泉利用型健康増進施設ピーアップシングウ(岡野俊平施設長)にゆず湯が登場した。爽やかな香りがプール内に広がり、利用者やスイミングスクールを終えた子どもたちが季節のお風呂を満喫した。
ユズの精油成分には血行を促進させる働きがあり、風呂に入れると体を芯から温める。疲れや痛み、冷え性の他、皮に含まれるクエン酸やビタミンCには美肌効果もある。
冬至とゆず湯の関係性は不明だが、ユズがこの時季に旬を迎えることや「冬至」に「湯治(とうじ)」が掛けられており、「ユズ」だけに「融通が利くように」という願いが込められているという説がある。
ピーアップシングウでは毎月、季節の草花などを楽しむ温泉を用意している。
宇井彩人君(9)は「いい匂いがして、いつもとは違う感覚で新鮮だった。ポカポカして気持ち良かったです」と笑顔を見せていた。
(2021年12月24日付紙面より)
グラウンドゴルフ交流大会 (太地町教育委員会 )
全国中学選抜レスリング選手権 (新宮ジュニアレスリングクラブ )