体験バスツアーが開始 (新宮市熊野川町 )
熊野川町ふれあい公社と熊野御坊南海バスの初めての共同企画「大人気の瀞峡川舟クルーズ体験と『かあちゃんの店』めはりずし作り体験日帰りバスツアー」が27日、新宮市熊野川町で始まった。12月11日(日)までの20日間に実施予定で、参加には予約が必要。初日の午前は8人が参加、両体験を通し、魅力の一端を知った。
ツアー内容は、バスでJR新宮駅を出発し、交流促進施設(熊野川温泉)さつきで「かあちゃんの店」の竹田愛子さんの指導の下、めはりずし作りに挑戦。続いて玉置口に移動し、瀞峡での川舟体験をし、瀞峡めぐりの里でのショッピングや、ジオサイト「貝持嶋」の見学を経て、JR新宮駅に戻るというもの。午前と午後の2回、実施している。
27日の午前の部は、朝に出発する日帰りバスツアーということもあり、参加者は地元中心だった。めはりずし作り体験では、竹田さんが用意した塩漬けの高菜を使用。参加者は、みじん切りにした塩漬け高菜をまぶしたご飯をこぶし大程度に丸め、塩漬け高菜の葉で包んだ。竹田さんは「葉の葉脈が内側になるように」などと指導。参加者は懸命に取り組んでいた。
完成しためはりずしは竹の皮で包んだ。川舟の上で食べる、もしくは自宅に持ち帰るなど、参加者の自由という。
新宮市内から夫と共に参加した、玉置ひとみさん(66)は「めはりずしは自分で作ることはほとんどない。郷土料理を作れるようになっておきたいと思って参加した。船に乗るのも好きだったので、ジェット船の休止が残念だったが、川舟で瀞峡めぐりができるようになったのはうれしく、今日も楽しみ。熊野川町は頑張っていると思う」と話した。
同ツアーの参加費は、大人2000円、子ども1000円、未就学児無料。川舟は4歳児以上より乗船できる。予約は、熊野御坊南海バスホームページ(https://kumanogobobus.nankai-nanki.jp)。27日午前9時現在では、日によっては空きがある。問い合わせは、熊野御坊南海バス(電話0735・22・5101)。
(2022年10月29日付紙面より)
期間は11月末日まで (那智勝浦町 )
那智勝浦町のまちなか商品券の引き換えが27日、町内の郵便局で始まった。引き換えの期間は11月30日(水)まで、商品券の使用期限は来年の1月15日(日)までとなっている。
コロナ禍の影響で落ち込んだ、町内経済の活性化を図るもの。全町民に配布する5000円分の「A券」のほか、マイナンバーカード普及促進のために取得者や申請者に配布する5000円分の「B券」がある。
全町民の元に、A券の引換券が届いているほか、9月末までにマイナンバーカードを取得している人には、B券の引換券も届いている。引換券と本人確認書類を持って、町内の11郵便局のいずれかを訪れれば、商品券を受け取れる。
那智宇久井郵便局では初日の午前中から、町民が順次訪れて、商品券を引き換える姿が見られた。宇久井在住の道中愛さん(49)は「マイナンバーカードは早いうちに作っておいたので、B券も受け取れた。商品券はうれしいし、町内の商店で使えるのが良い。普段はあまり買えない、ケーキや花を奮発して買おうかな」と話していた。
なお、A券は小規模店舗のみ、B券はそれに加えて大型店舗などでも使用できるという違いがある。B券は、これからマイナンバーカードを申請する人も受け取ることができるが、その期限は来年の1月13日(金)となっている。
(2022年10月29日付紙面より)
ユズ果実の搾汁作業開始 (古座川ゆず平井の里 )
古座川町平井にある農事組合法人古座川ゆず平井の里(宇田篤弘代表理事)で28日、ユズ果実の搾汁が始まった。今年は約70㌧の集荷量を見込み、11月末をめどにして作業を進めるという。
昭和中期に生産が広がり、半世紀余りにわたって町内の代表的な農産物の一つとなっているユズ。同法人は生産者の共同体として2004年に設立され、現在は90人が組合員となり産業を支えている。
今年は約60戸から集荷予定で、その全体量は平年よりやや少なめと見込んで搾汁作業をスタート。この日は同法人が所有する出荷場の1日当たりの許容量いっぱいの約4㌧を順次搾り、一帯にユズ独特の芳香が漂った。
香りの良さで定評がある町産ユズ。傷が少なく色づきがよい果実は紀ノ川農協へ出荷し、残りの果実を搾汁する。得た果汁はそのまま卸したり、同法人で約30品目ある加工品にして販売する。搾った後の皮などは堆肥化してユズ園などへと戻すが、きれいな皮は導入間もないスライサーを使って活用を図るという。
集荷量は少ないが品質はまずまずと見る宇田代表理事は「後継者も少しずつ増えユズの木の更新も進めてはいるが、多くの生産者が高齢となりこれからもどう大事にするかを考えている。頑張れるのは皆さまのご愛顧のおかげ。そのような間柄を感じながら、これからも古座川町のユズ生産をご愛顧いただき応援していただければ何より」と話し、この日の搾汁作業を見守った。
(2022年10月29日付紙面より)
3年生39人が林業学習 (近大新宮 )
紀の国緑育推進事業を活用した林業教室が27日、近畿大学附属新宮中学校(池上博基校長)の3年生39人を対象に開かれた。生徒たちは間伐体験や原木市場・製材所見学、木工教室などを通じて熊野材が製造される過程を追い、ふるさとの産業について学びを深めた。
紀の国森づくり税を活用し、広大な森林を有する和歌山県の林業や環境問題への関心を高め、森林を守り育てる意識を育むことが目的。同校の参加は4年目で、熊野川町森林組合と紀南木材新緑会が協力している。
講義では新緑会の野中亮伸さんが「森林の役割と新宮の歴史について」をテーマに講話。「日本の森林は、国内の自家用車が排出する二酸化炭素の約7割を吸収している」と気候変動の抑制に果たす役割を述べ、「山に水を蓄え、土砂災害を防ぐなど、木の持つ優れた機能を発揮させるためには、森林の適切な管理と伐採・利用が不可欠」と林業の重要性を強調した。「森林は未来につなぐ私たちの宝物。加工すれば、私たちが暮らす家や紙、鉛筆にもなる。今日は1本の木になったつもりで、その一生を体験して」と呼びかけた。
同市熊野川町で行われた間伐体験では、熊野川町森林組合のサポートを受けつつ、生徒たちが直径20㌢のスギを伐採。午後からは木材の競りを行う原木市場や、木材にホゾ・仕口などの加工をするプレカット工場を見学。木工教室ではパズル制作をした。
那波柚衣さんは「普段自然と関わる機会はほとんどないので、山の険しさや作業の大変さを体験でき、面白かった」と話していた。
(2022年10月29日付紙面より)
丹鶴公民分館が防災訓練 (新宮市 )
新宮市の丹鶴公民分館(西孝分館長)は23日、丹鶴体育館で令和4年度防災訓練を開催した。市防災対策課による「地震に関する出前講座」があったほか、市消防団丹鶴分団が水消火器訓練を展開。市社会福祉協議会による福祉相談、認知症についてのパネル展示もあり、約70人の地域住民が防災意識を高めた。
市、市社協が協力し、地域住民の防災意識の向上を目的に行っている恒例の取り組み。
開催に当たり、西分館長は「ここ2年ほど、新型コロナウイルス感染症やロシアのウクライナ侵攻などがあり、意識が地震から少し離れていたように思う。地震発生は待ったなし。この機会に基本に立ち返り、頭を防災モードに戻していただければ」とあいさつした。
市防災対策課の下地優斗さんが▽過去の地震について▽新宮市に予想される地震▽地震への対策▽個人の対策―の項目に分けて講話を展開。
スライドを使って阪神・淡路大震災(1995年)、熊本地震(2016年)、大阪府北部地震(18年)の被害を振り返り、近い将来の発生が危惧されている東南海・南海地震にも言及。「自分の身を守る行動を」と呼びかけ、家具転倒防止器具の取り付け、住宅の耐震化の重要性を訴えた。
住宅耐震改修事業やブロック塀等耐震対策事業など、市が展開する防災関連支援制度を紹介し、個人の対策として「非常持ち出し袋、家庭内備蓄」「事前に災害リスクを確認する」などを挙げ、市ハザードマップの見方やウェブ版新宮市ハザードマップの使い方についても解説。
旅館等宿泊避難支援事業の活用を推進し、メール・電話・テレホンガイド・公式LINE(ライン)などを活用した防災情報取得への協力も呼びかけた。
(2022年10月25日付紙面より)
イベント「秋の実り笑来市」 (エコ工房四季 )
串本町古座にある社会福祉法人つばさ福祉会(北野好美理事長)の事業所「エコ工房四季」(平原正雄施設長)が22日、敷地内でイベント「秋の実り笑来市(えこいち)」を開き農福連携の関係先や地域からの来場でにぎわいを見せた。
このイベントは、新型コロナウイルスの情勢で以前開いていた地域交流行事「エコ祭り」が開けない中、農福連携で変わりゆく今を地域に知ってもらう方法はないかと考えて形にした企画。
株式会社天然との共催で本年度から始めた出店企画「串本古座四季彩まるしぇ」(現在は新型コロナウイルスの情勢により休止中)の形に「エコ祭り」の謝恩企画と農福連携の一端紹介を上積みした会場を形作り、実施へとこぎ着けた。
当日は「同まるしぇ」出店者と近畿農政局や和歌山県セルプセンターの各コーナーがコの字型に並び、その中央にテーブルとイスを置いて休憩場所を準備。農福連携のアピール要素として「エコ工房四季」と農福連携をしている古座川町の生産者らがトラクターなど愛用の農機具を持ち込んで体験展示し、子ども対象の農機具お絵描きコンテストを実施した。
「エコ工房四季」の利用者は駐車場整理などイベント運営に励みつつ、2コーナー以上利用した来場者を対象に電子レンジや農福連携で生産した米などを景品とした○×クイズを実施し、終盤でのステージ発表で来場や日頃の縁に感謝した。
「エコ祭り」より小規模を心がけたが来場の勢いは予想以上で、前半の午前中だけで約300人が集まったそう。北野理事長は「まずは楽しんでもらい、その中で農福連携に頑張っていることを伝えたくてこのイベントを計画した。大々的にしないよう意識したので、こんなに大勢の皆さんに来ていただけたのは本当に予想外。一人でも多くの皆さんに『エコ工房四季』の今の頑張りを感じてもらえれば」と反響の大きさに驚きつつ、イベントの成果を期待した。
(2022年10月25日付紙面より)
道の駅「たいじ」で物産展 (広域商工会東牟婁協議会 )
北山村、古座川町、南紀くろしお、串本町の各商工会で構成する広域商工会東牟婁協議会(上松也泰センター長)は23日、太地町森浦の道の駅「たいじ」で「熊野のいいもの集めました」と題した物産展を開いた。各地域の名物を目当てに県内外から来場した多くの人でにぎわった。
物産展は、伴走型小規模事業者支援推進事業の一環で2013年から実施する恒例の催し。同協議会では商談会への参加や地域内外の物産展開催を通して、事業者の学びや販路拡大などの支援に努めている。
今年は3町1村から5店舗が出店。じゃばら加工品やケーキ、ホルモン焼き、おまぜ、サーターアンダギーなど、地域色や個性豊かな商品が店先に並んだ。
上松センター長は「安定してお客さんが来てくれた。地元の人が多かった印象」。
「今回は勝浦からの出店がなかったが、マグロの珍しい部位やじゃばら加工品など、地域を表したラインナップになっていると思う。天候にも恵まれて良かった。いい日和だったと思います」と話していた。
(2022年10月25日付紙面より)
熊野修験の特別得度式 (那智山青岸渡寺 )
熊野修験特別得度式が22日、那智山青岸渡寺であった。熊野修験の34人が参加、戒律を守ることを誓い、髙木亮英正大先達(しょうだいせんだつ)(那智山青岸渡寺住職)より戒名を授かった。九字の切り方を教える、熊野修験特別九字伝法式も、同寺境内にある大黒堂に場所を移して行われた。
熊野修験再興35周年・那智山青岸渡寺第九世髙木亮英大僧正晋山記念として実施した。得度式は、仏門に入り僧侶になるための儀式。熊野修験の得度式では、髙木正大先達が戒律を守るかを問い、参加者がこれを守ることを誓って、戒名を授かった。参加者は、何度も頭を床に付け、一心に拝むなどしていた。
髙木正大先達は「熊野修験の皆さんが、今後より一層、精進されることを祈念する」と述べた。静岡県三島市から参加した佐々木和子さん(46)は「玉置山までだけど、奥駈に何度か参加していたら、誘われて参加することになった。戒名を授かったのは恐れ多く、感謝している。山に入るのは好きで自然信仰にも興味があったので、これがより深くつながる入り口かなと感じている」と話した。
九字伝達式では、髙木正大先達が一つずつ、印の結び方を教えた。参加者は正しい指の重ね方などを、苦心しながら学んでいた。
(2022年10月25日付紙面より)
関係団体で協議進む (熊野速玉大社 )
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)境内の熊野神宝館で20日、重要文化財の「髹漆金銅装神輿(きゅうしつこんどうそうみこし)」と「髹漆金銅装神幸用船(しんこうようせん)」の修繕に向けて、同大社と文化庁、新宮市、和歌山県、(公財)美術院、㈱松鶴堂、元県立博物館主任学芸員の大河内智之・奈良大学准教授らが調査と協議を行った。
おととし10月から始まった神宝館修理事業。修理に伴い、今年2月には3日ほどかけて、同所で神輿と神幸用船の清掃と軽微な修繕作業が行われた。ともに重要文化財であることから、専門家による大掛かりな清掃はその時が初めてで、同時に行われた点検・調査の結果、神幸用船に櫓が付いていたことなどが明らかになった。
神輿は戦前まで同大社例大祭で使用されていた記録が残っており、神幸用船は1983年まで御船祭(みふねまつり)で実際に使用されていたもので、四、五十年前に宝物殿に所蔵された。
このたびの調査は、どの程度の修理を目指すのかを協議するもので、関係者らは破損の状況や劣化具合などを確認。神輿の持ち手部分にさらしを巻くなどの処理も実施した。
なお、神宝館は早ければ年末、遅くても年明けすぐのリニューアルオープンを予定しており、11月末ごろには現在県立博物館で保管している他の宝物の搬入を行う。神輿と神幸用船の修理については長期的な展望として掲げており、神宝館開館後にも展示スペースを区切るなどして作業を進めていく計画も視野に入れている。
県教育委員会文化遺産課の松原瑞枝副主査は「重要文化財に指定されている神輿や神幸用船はまれで、大社にとっても大切なもの。修理が終わったあかつきには細かい所まで見ていただければ」と期待。
上野宮司は「点検・調査の結果、欠損や破損が判明した。どこまで修理していくかを判断していきたい。例大祭で使用される神輿と神幸用船は、地域の人たちの思いや考え方が凝縮して造られたものでいわば文化の結晶。展示物を通して文化に触れる機会として、郷土を愛する人が増えれば」と話していた。
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■髹漆金銅装神輿
木造漆塗、金銅製金具。高さ232㌢。屋根の頂に鳳凰(ほうおう)を飾る「鳳輦(ほうれん)」と呼ばれる形式。裏板に明徳元(1390)年の寄進銘と後世の修理銘があり、5回にわたり大坂などで修理されたことがうかがわれる。
■髹漆金銅装神幸用船
木造漆塗、金銅製金具。長さ667㌢、幅160㌢。神輿と同じく明徳元年の「熊野山新宮神宝目録」に「御船」として記載があるが、付属する鏡や飾金物には天和2(1682)年の銘があることから、同年に明徳年間奉納の「御船」を模して制作されたものと考えられている。
(2022年10月22日付紙面より)
ドラフト会議で中日から指名 (新宮市出身 )
プロ野球のドラフト会議が20日、東京都内で開かれ、新宮市出身でノースアジア大学明桜高校(秋田県)3年の野中天翔(てんと)投手(17)が中日ドラゴンズから育成2位で指名を受けた。
育成選手は公式戦への出場が2軍戦に限定され、7月末まで支配下選手枠への登録が可能となっている。
野中投手は最速145㌔のストレートを投げ込む左腕。新宮市の小学生少年野球チーム「みさきストロングス」でプレーし、中学時代には太地町を拠点に活動する硬式野球チーム「和歌山南紀ボーイズ」に所属した。
市立光洋中学校卒業後、明桜高に進学。3年生の今年はエースとして活躍し、秋田県大会では春準優勝、夏ベスト4の成績を残した。
(2022年10月22日付紙面より)
大人の体力測定会inくしもと (串本町 )
串本町図書館2階ホールで19日に「大人の体力測定会inくしもと」があり、事前予約した60歳以上町民18人が参加し専門家らから測定結果に基づくアドバイスを受けるなどした。
この測定会は町地域包括支援センターと第一生命保険株式会社が共催。町―同社和歌山支社新宮営業オフィス間で昨年10月に締結した「地域社会形成などにかかる包括連携協定」に基づき、60歳以上町民がフレイル予防を意識し実践するきっかけの提供を目的として計画した。
当日は▽体成分分析▽TUG▽5㍍歩行▽タンデム立位▽お口の機能テスト▽握力▽5回立ち座りテスト▽片足立位時間▽柔軟性テスト―の各測定を行い、その結果に基づいて町内で活動する理学療法士や言語聴覚士、保健師がフレイル予防を目指す上で意識してほしい事柄、食生活改善推進員が栄養面でのお勧めを伝えるなどした。
同支社の林田祥道・新宮営業オフィス長ら社員6人も人的応援で参加し、TUGや5㍍歩行テストの測定を担当。推奨する健康食品のサンプルなどを配って、参加者の予防意識を後押しした。
協定を背景として同センターが同社の取り組みに協力することはあったが、逆に同社が同町の取り組みを応援するのはこの測定会が初だそう。今後は11月29日(火)に田原会場、12月6日(火)に古座会場、来年1月11日(水)に有田会場と巡回実施する計画で、林田オフィス長は「引き続き人的応援をし、一人でも多くの対象者が利用し健康で過ごせるよう私たちからも地域に参加を働きかけたい」と話した。
この測定会は事前予約制で、実施時間は午後1時30分~3時30分としているが混雑を避けるためあらかじめ15分刻みで来場時間を個別案内する。各測定と結果説明合わせて所要時間は1時間程度となっている。
この測定会は町の国保健康ポイント対象にもなっている。事前予約や問い合わせは同センター(電話0735・62・6005)まで。
(2022年10月22日付紙面より)
那智中1年生が道普請ウオーク (那智勝浦町 )
那智勝浦町立那智中学校(岡史博校長)の1年生50人が18日、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部である中辺路「かけぬけ道」の道普請に参加し、石段に堆積した落ち葉を払った。
和歌山県世界遺産センターが実施する世界遺産保全活動「道普請ウオーク」の一環。総延長350㌔に及ぶ参詣道を保全し、未来に残していくため、多くの企業や団体が協力している。
生徒たちは出発前に世界遺産について学習。同センターの金井直大さんは「世界遺産は顕著な普遍的な価値を有する人類共通の財産であり、国連が採択した『世界遺産条約』には自然保護の観点も込められている」と説明し、▽場所がヨーロッパに偏っている▽気候変動の影響を受けて新たな自然遺産の認定が難しく文化遺産が多くなっている―などの課題にも言及。「紀伊山地の霊場と参詣道」について「自然崇拝(神道)、仏教(真言密教)、修験道という三つの宗教が互いに影響し合って発展してきたという点が、世界的にも珍しい。世界遺産は登録して終わりではなく、みんなの手で保全していく必要がある」と道普請の意義を述べた。
生徒たちは妙法山阿弥陀寺へ出発し、「かけぬけ道」の19丁石~21丁石間を4グループに分かれて清掃。参詣者や観光客が安全に通行できるよう整備した。その後は参詣道を歩いて熊野那智大社・那智山青岸渡寺へ下った。
阿弥陀寺では「すごくいい景色」「かけぬけ道に来るのは初めて」などの声が聞かれた。
(2022年10月22日付紙面より)
【第54回】新米の季節は食育の季節!
実りの秋がやってきました。おいしいものがたくさんあり、食欲の秋とついつい食べ過ぎてしまいそうですね。今日は新米についてご紹介できればと思います。新米と表記されているお米は、意外とその期間は長く、前年の11月1日から今年の10月31日までの1年間に収穫されたものです。つまり、2022年の新米は、去年の11月1日以降に収穫されたものになるというわけです。
また、精米日もとても重要です。収穫時期よりも、いつ精米したかに注目するのがお勧めです。お米は精米した瞬間から、酸化や乾燥が進み鮮度が落ちていくといわれています。なので、精米日を確認してなるべく直前のものを選ぶといいと思います。新米は古米に比べて、水分量が多くて、モチモチと粘りも強く、やわらかくて甘味も強くなります。
この新米の時期にぜひしてほしい食育があります。それが、お米をよくかむことです。日頃の食事でも「よくかんでね」と声がけはされていると思いますが、ついつい飲み込んでしまうのが子どもたち。でも、新米の季節はかませるチャンスです!お米はたくさんかむと甘くなることはみなさん承知だと思いますが、それを「これは新米だから、たくさんかむといつもより甘いんだよ」ということで、本当にいつもよりそしゃく回数が増えます。これはぜひ試してほしい食育です。
先日「うちの子、おかずは食べなくてご飯しか食べないんです」という相談を受けました。そういうお子さんも多いと思います。私のお勧めは「まぜご飯にする」ということです。新米の季節、お米はおいしいけど、炊き込みご飯は少し難しいですよね? お米自体の水分量が多いので、ただでさえ難しい炊き込みご飯が、さらに失敗しがちというイメージもあります。でも、まぜご飯なら、いつもより少し少なめの水で炊いたお米で、子どもにだって作れます。ツナやコーンなどを使えば火を使わずに作ることもできますし、一緒におにぎりを作るのもお勧めです。
ゆでたコマツナやホウレン草などと、しらすや焼き鮭、鯖缶などをご飯にまぜるのはどうでしょうか? 少しの麺つゆやお醤油などを入れてもいいですし、だし代わりに、あぶった揚げや、手でもんだかつお節をまぜ込むのもいいと思います。みそ煮やしょうゆ煮の鯖缶なら、味付けも不要です。残った煮物なんかを細かく切って、まぜ込むのもおいしいですよ。
新米の季節だからこそ、ぜひご飯を使った食育にチャレンジしてみてください。
新米は秋においしいものだということを教えることもできますし、かむ大切さも伝えやすい。さらに、まぜご飯にすることで、さらにお米のおいしさに気付いてくれるはずです。新米の季節を逃さない手はありませんよ!
(2022年10月22日付紙面より)