手話言語条例が制定 (新宮市 )
新宮市議会(屋敷満雄議長、15人)は3月定例会最終日の28日、「新宮市手話言語条例」を満場一致で可決した。東牟婁郡・新宮聴覚障害者協会の倉脇正史会長は「ここからがスタート。これからも活動をしていくためにご協力いただければ」と手話で伝えた。
「市手話言語条例」は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話の理解と広がりをもって地域で支えあい、手話を使って安心して暮らすことができる地域社会を目指すもの。5年ほど前から、手話を言語として普及させるための条例制定の動きが全国的に広がっており、同協会は市役所新庁舎建設中に、聴覚障害者らに配慮するよう市に要望を出していた。以後、当局や関係者にも機運が盛り上がりこのたびの制定へとつながった。
上田勝之議員は、特筆されるのは「学校における理解の促進」の項目が明記されたことであるとし「子どもの時から手話を通じて、『聞こえない』という障害がどういうものか、そしてその人たちの生活がどういうものかを知り、学び、理解を深めることで、ろう・聴覚障害者の皆さんが社会生活を営む上で人権が守られる大きな一歩となる」と賛成討論。「手話は言語」であることを市民に知ってもらわなければならないと強く訴えた。
条例可決について、元会長の辻山尚美さんは「ようやく条例が決まり、とてもうれしい気持ちでいっぱい。市民の皆さんに手話を覚えたいという気持ちや知識を持っていただき、理解してもらえることを願っている」と述べ、「命に関わる場合もあるため、すぐに手話通訳士が呼べるような配慮をいただければ」と喜びの表情を浮かべた。
(2019年3月29日付紙面より)
救助ボートなど追加配備 (串本町消防本部 )
串本町消防本部(寺島正彦消防長)が27日、新たに導入した水難救助ボート積載車の本格運用を始めた。同ボートは県内初となる硬質ウレタン注入型で、寺島消防長は従来以上の機動力による迅速果敢な救助の展開を大いに期待している。
この車両は▽水難救助ボート(硬質ウレタン注入型)▽船外機(30馬力)▽小型クレーン付き積載車(4㌧トラック)―を一式とした内容で、導入費用は約1200万円。従来の同ボートの老朽化に伴う追加配備で、今後は新しい方をメイン、従来の方をサブとして運用するという。
新しい同ボートは、空気の代わりに硬質ウレタンを注入することでフロートに穴が開いたり破れたりしても沈まない特性を発揮。同時に船体の剛性も高まり、従来に比べ安全性と操縦性が向上しているという。その性能を生かすため従来の約3倍のパワーを発揮する船外機を採用し、時速約40㌔での航行を実現。同ボートと船外機を合わせた重量は270㌔あり、迅速な進水や離水を可能にするため、積載車は小型クレーン付きとしている。
この日は同町消防防災センターで配備式を行い、寺島消防長は「長い海岸線を管轄に持ち、ダイビングに磯釣り、海水浴などのマリンレジャーが盛ん。災害が起こったときに求められる消防需要は高く、私たちもそれに対応しなければならない。このような資機材を最大限に活用して消防救助技術の向上を図り、住民の安全安心につなげていきたい」と訓示し、一日も早い操船の習熟を期待した。
引き続き同町くじ野川にある橋杭漁港で取扱訓練を行い、しぶきを上げて旋回するなど従来よりも速度が出る同ボートの扱いの習熟に努めた。同ボートは主に串本消防署が運用する形になっていて、訓練に臨んだ職員は簡単には沈まない特性で暗礁や漂流するがれきへの注意が軽減される分、思い切った救助に臨みやすいなどの印象を語った。24時間体制での出動を実現するため三つ設けている警防班の全てが、この車両を取り扱える状況にあるという。
(2019年3月29日付紙面より)
JA三重南紀など合併
御浜町阿田和に本店を置くJA三重南紀は4月1日(月)、JA伊勢(度会町)、JA鳥羽志摩(志摩市阿児町)と合併し、伊勢農業協同組合(JA伊勢)としてスタートする。
農産物の輸入自由化、農畜産物価格の低迷、農業者の高齢化や後継者不足、耕作放棄地の増加、正組合員の減少などにより、今後、経営環境が一層厳しさを増すと予想されることから、安心して営農や生活ができるよう合併を決めた。合併後の組合員は県内で2番目に多い約4万9千人となる見込み。
JA伊勢を存続させ、JA鳥羽志摩とJA三重南紀は解散する。本店はJA伊勢に置く。伊勢市、鳥羽市、志摩市、尾鷲市、熊野市、御浜町、紀宝町など県の約37%にあたる広大なエリアが活動区域となる。ミカンやイチゴ、伊勢茶など全国市場でも人気の名産品が多く、JA三重南紀では「三重南紀みかん」をタイへ輸出している。
JA三重南紀は本店の名称が三重南紀地区本部に名称が変更となるが、各支店は変わらない。「合併後も地域農業の振興、組合員の営農活動を支援し、『三重南紀みかん』のブランド化、地産地消の推進など、継続的な取り組み、農業者の所得増大に努めます」としている。
合併に伴うシステム移行作業のため、3月30日(土)と31日(日)はJA三重南紀管内のATMが終日休止となる。問い合わせは各JA窓口まで。
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各種取り扱いは次の通り。
■通帳、キャッシュカード、JAカード
通帳は現在の口座番号に変更はないが、窓口での通帳取引は4月1日以降、切り替えが必要となる。口座を開設した各支店窓口に通帳を持参する。県内JAバンクのATM、キャッシュカード、JAカードは今まで通り利用できる。
■振込、口座振替
必要な手続きはJAで行い、給与振り込み、年金振り込み、公共料金などの口座振替は従来通りとなる。
■共済証書
現在契約中の共済はJA伊勢に引き継がれるため、効力は変わらない。証書は旧JAのままとなるが、満期金や事故共済受け取りの際に必要となる。
(2019年3月29日付紙面より)
「下里とも子ガーデン」 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の「下里とも子ガーデン」で、春の花が咲き始めた。今年は世話人代表の岩本カナエさんらが、チューリップを500球に増やし、色とりどりの花を咲かせた。チューリップは今週末までが見頃。
同ガーデンは、元の持ち主だった笠松とも子さんの遺志を継ぎ、近くの住民らのボランティアで管理している。この時季のガーデンの花は他に、ヤグルマソウ、キンセンカ、ナノハナ、ムラサキハナナなど。丸い花壇の回りにはシバザクラが咲きそろい、6月のアジサイの季節まで、入れ替わり立ち替わりさまざまな花が楽しめるよう工夫されている。
岩本さんは「近所のメンバーだけでなく、笠松さんを慕っていた方たちが、他の地区から手伝いに来てくれます。ありがたく思います」と話していた。
(2019年3月29日付紙面より)
絵本作家・田島征三さん描く
日本を代表する絵本作家の田島征三さん(79)を迎えてのライブペインティング「森にはフシギがすんでいる」が16日、紀宝町保健センターであった。同町や御浜町、太地町、新宮市などから集まった約80人を前に、田島さんがナマズをイメージした絵画を完成させた。
みえ森と緑の県民税市町交付金事業の一つ。子どもの本専門店「メリーゴーランド」(四日市市)の増田喜昭さんが案内役を務め、「田島さんは日本が誇る宝。同じ時代にいることが幸せ」と話した。
田島さんは、これまで使った絵の具の残りを混ぜた「奇跡の色」と、使い古した世界に一つだけの筆を用い100号のキャンバスに描き始めた。
横向きのキャンバスが途中から縦になり、さまざまな色が重なり合っていった。来場者は徐々に田島さんの絵に引き込まれ、完成に近づくにつれ、キャンバスをこする筆の音だけが響き渡った。
田島さんが絵を担当した絵本『わたしの森に』の著者で詩人のアーサー・ビナードさんは「田島さんの絵には地層がある。最初の線が最終的に確認できなくても、そこから始まった力学がある。線、点、色が消えていくが、それは競争ではない」と表現した。
1時間半ほどで絵が完成すると、会場内から大きな拍手が起こった。和歌山県紀美野町から家族4人で参加した助野梓さん(32)は「途中で向きを変えたときはびっくりした。最初に想像していた絵と完成が違って驚いた」と話していた。
(2019年3月21日付紙面より)
太地、那智勝浦町小学校卒業式
太地、那智勝浦両町の町立小学校で20日、一斉に卒業式があった。太地小13人、宇久井小15人、市野々小8人、勝浦小41人、太田小10人、下里小20人、色川小2人が中学校に向け、新たな歩みを進めた。
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■太地町立太地小学校
太地小学校(宮本礼子校長)では、卒業児童が在校生や保護者らに拍手で迎えられ入場。一人一人が「小さな努力積み重ねる」「漁師になって両親を幸せにする」「いろいろな人を助けたい」など、思いやりにあふれた夢を発表した。宮本校長は卒業証書を手渡し、下級生の模範となった学校生活を振り返り「皆さんの頑張りは、多くの人に感動を与えました」とたたえた。りりしく成長した姿に、校長は「小学校を心のふるさとと思って」と呼び掛け、「ありがとう」の言葉を贈った。
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■那智勝浦町立勝浦小学校
勝浦小学校(上浦一剛校長)では男子16人、女子25人が6年間の思い出を胸に、学びやを後にした。式典で上浦校長は、運動会や台風後の清掃、町のPR活動などを振り返り「活躍は目を見張るものがあった」とたたえ、「自分を俯瞰(ふかん)できる人、人に勇気や元気を与えられる人になってください」と願いを込めた。在校生全員で「贈る言葉」を発表し、卒業生らが「春の光の中、希望に胸をふくらませ、学んだこと、変わらぬ友情を力に頑張ります」と力強い言葉でしめくくった。
(2019年3月21日付紙面より)
佐田区民らちょうちん飾る (古座川町 )
古座川町佐田で18日、ソメイヨシノの開花時期に向けたちょうちんの飾り付けが行われた。設置期間は4月7日(日)までで、今月23日(土)から夜間点灯が始まる予定。
このちょうちんは、七川ダム完成以降、段階的に植えられたソメイヨシノが咲くたびに多くの花見客が訪れるようになり、主役の花盛りに風情を添える歓迎の趣向として佐田区が飾り付けるようになった。
近年は役場七川出張所付近からおおじゃの森駐車場まで(桜の広場前~今津橋間を除く)の国道371号沿いと同駐車場広場、桜の広場に飾る形が定着していて、今年は第三銀行から桜まつり実行委員会へちょうちん200個が寄贈され、さっそく傷みが進んだちょうちんと入れ替え、全体で約300個を飾る内容で作業に臨んだ。
近年は区民の高齢化や担い手不足のため、役場の若手職員も作業を手伝っている。今年は貴志光男区長ら区民と同職員に加え、七川ふるさとづくり協議会や同町観光協会の若手役職員も参加。親ひもに沿わせた電線のソケットに電球をはめ、さらにちょうちんをかぶせて支柱などに掛けるのが作業内容で、貴志区長指揮の下、電球やちょうちんの取り付けは主に女性陣、支柱などに掛けるのは主に男性陣と役割分担をして段取りよく飾り付けた。
国道沿いのちょうちんは2区間計約600㍍にわたり飾り付けている。夜間点灯の時間帯は午後6時~9時の3時間で、タイマー設定により雨天でも自動点灯して、開花が進むソメイヨシノを淡く照らし上げる。期間中の31日(日)午前10時~午後2時には、桜の広場でイベント「桜まつり」を実施する予定。問い合わせは同まつり実行委員会(電話0735・72・0180)まで。
(2019年3月21日付紙面より)
世界遺産についての作文で (新宮ユネスコ協会 )
新宮ユネスコ協会(中谷剛会長)は18日、新宮市神倉の県立新宮高校(前田成穂校長)を訪れ、高校生が書いた作文の優秀賞の表彰式を開いた。1年生4人が受賞し、中谷会長が賞状を手渡した。
世界遺産の保全などを目的に活動している同協会は、高校生を対象とした講演会などを開き、感想文を募っている。同校の1年生は毎年、地域の世界遺産や歴史を感じ、連帯感を深めようと熊野古道で「ロングハイキング」を実施しており、今年は2月1日に事前学習の一環で講演を聞いた。
生徒らはユネスコの理念や活動、世界遺産の特徴や意義、平和などについて学んだ内容や、実際にロングハイキングで古道を歩いた感想などを作文にまとめた。
中谷会長は、事実認識が十分でない部分があったとしながらも「豊かな感受性と巧みな表現、若々しく真摯(しんし)な気持ちがこもっていた」と総評。一人一人の作文の受賞理由を講評し、祝いの言葉を述べた。前田校長は「事前学習、実体験、事後学習を通して良い経験ができたのでは」と生徒らをねぎらった。
平見彩裕(みひろ)さんは「話を聞くまで負の遺産について理解していなかった。次は広島の原爆ドームから、実際に負の遺産を見てみたいと思いました。受賞は素直にうれしい」。秦優那さんは「これまで負の遺産について深く考えたことはなかった。もっと負の遺産を理解し、平和へとつなげていかなければならないと思います」。
上久保知夏さんは「熊野古道は実際に歩くまでは身近に感じていなかった。昔の人はこれほど大変な道を歩いたかと思うとすごい。現在まで残っているのは、いろんな人の努力があったから。次の世代につなげていかなければならないと思いました」。植地彩衣さんは「身近にあるからこそ足を運んでなかった熊野古道に初めて触れて良さを知り、また行ってみたいと思った。負の遺産は人類の駄目だった歴史を一番分かりやすく残しているもの。話を聞いた上で、昔訪れた原爆ドームにもう一度行ってみたいです」と話していた。
(2019年3月21日付紙面より)