佐野区住民説明会に80人 (新宮市 )
今年10月の台風21号で荒木川の氾濫などによる浸水被害が発生したことを受け、新宮市の佐野会館で24日、地区住民説明会が開催された。地区住民ら約80人や区の代議員らが参加し、市や和歌山県の担当者らから水害が発生した原因と今後の対策などを聞いた。
地区では以前からたびたび被害が発生しており、地区住民が今年11月に市と県に説明会の開催を求める要望書を提出していた。この日は東牟婁振興局新宮建設部の担当者が荒木川の氾濫と水害の原因、佐野川、荒木川の河川改良計画と取り組みを説明。
「佐野川本線の改修工事と並行して荒木川の未改修部分も改修工事を行っていきたい。当面の措置として市梨橋付近の越水箇所は来年度早々に護岸の上に擁壁を造る工事を進めたい」と話した。
那智勝浦新宮道路からの濁水流入について、紀南河川国道事務所新宮国道維持出張所は、道路上の排水は調整池に流れ込んだとし、道路上から佐野地区に流れ込んでいたという証言に対しては農業用水路の詰まりなどを原因に挙げた。止水壁を設置することで農業用水の道路への流出を阻止して調整池に流れるようにしたいと話した。
市都市建設課は、低い箇所を埋め立てて宅地の造成をしている傾向があり、今後農地の関係も含めて流入水の関係を見ながら検証する必要性があると解説した。
農林水産課は農地の住宅化が進んでおり、浸水対策ができるような用水路を考え、農家の人たちと相談していきたいと説明。佐野地域の田んぼは浸水対策のための遊水地としての機能があったと説明し、「住宅化が進み、農地がなくなると今までたまっていた水が、皆さんが住んでいる宅地に流れることも予想される。農地などを住宅転用する場合は排水路の計画もしっかりして農業委員会と相談し、遊水機能を持っている田んぼを宅地化することが現状でいいのかとも投げ掛けている」と話した。
前田道春区長は「何かあれば区から改善を申し上げ、少しでも安心できるよう努力したい」と呼び掛けた。
(2017年12月27日付紙面より)
新宮市観光協会(丹羽生会長)、新宮市料理飲食業組合(平見一雄会長)、新宮調理師会(里中陽互会長)、南紀ホテル組合(田邉毅一会長)の4団体が25日、田岡実千年市長に文化複合施設建設のため解体した市民会館の跡地(約2600平方㍍)を工事着工まで観光客用の臨時駐車場として活用してほしいと要望した。田岡市長は「前向きに進めたい」と回答した。
丹羽会長は、市内への観光客は増えているが、中心市街地に大型バスなどを駐車する場所がなく、苦労していると説明。同地は熊野速玉大社、神倉神社、阿須賀神社、新宮城跡、商店街などを巡る「まちなか観光」を促進する上でも適していると述べ、「ぜひとも願いをかなえていただきたい」と訴えた。
文化複合施設の文化ホールと図書館の配置はまだ決まっておらず、市民会館跡地の活用方法は未定。同施設は2021年3月完成、6月ごろ開館の予定。
要望活動には丹羽会長、平見会長、里中会長、長谷徳蔵・南紀ホテル組合会長代理、森本祐司・市観光協会専務理事の5人が参加した。
(2017年12月27日付紙面より)
有田神社で絵馬掛け替え (串本町 )
串本町有田にある有田神社(深美芳治宮司)のえと絵馬が24日、来年のえと「戌(いぬ)」に掛け替えられた。
このえと絵馬は氏子により18年来奉納されていて、現在は2代目の長谷川章総代(43)が毎年1枚を仕立てている。
大きさは縦約90㌢、横約130㌢。金色の小づちを加えた犬が跳ねる様子が描かれていて、長谷川総代は「この柴犬のように跳ね上がるような新年を迎えてほしい。小づちは幸福や富が舞い込むようにと願って描いた」と絵柄に込めた思いを語る。
来年のえと絵馬が今年も総代の奉仕により掲げられ、深美宮司は「犬はおとなしく従順でありながら、時として敵に立ち向かう勇敢さも併せ持つ。先人はその姿を良として十二支に加えたと思う。来る新年は天災や人災のない穏やかな年であってほしい」と願った。
同神社は年の瀬と三が日に授与所を開いて初詣の参拝を受け入れる。元日(月・祝)午前9時から歳旦祭、3日(水)午前8時30分からお的祭を新春祭礼として営む計画で、射子は寒川広夢君(高校3年生)と長谷川莉杏さん(中学3年生)、水本小夏さん(同)の3人が務める。
(2017年12月27日付紙面より)
田辺市本宮町の熊野本宮大社で26日、恒例の九鬼家隆宮司による一文字揮毫(きごう)があった。大筆で力強く「叶」と書いた九鬼宮司は「来年は多くの人の願いや夢が叶(かな)う年になってほしいという強い思いを込めて書きました」と話した。
新年への願いを込め九鬼宮司が書き始め9年目。大社本殿前に敷かれた縦横2・9㍍の白い布に長さ1・3㍍の大筆で一気に書き上げると、見守った外国人ら大勢の参拝者たちから拍手が湧き起こった。年内中には社務所前に掲げる。
最後に朱印を押して書を仕上げた九鬼宮司は「『叶』という字は口に十と書き、十の下に一を加えると『吐』という字になります。願いを10回言葉にして、弱音を吐かず来年のえと『戌(いぬ)』のようにしっかりと前を向いて走り抜けていってもらいたい」と話した。
■元旦に「光の柱」
同社は来年元旦午前0時から、例年の大鳥居ライトアップとは別に御創建2050年の年明けを記念して「光の柱」を空へ向かって上げる。宮司の太鼓に合わせてホラ貝を鳴らした後、約2時間、出現する。
(2017年12月27日付紙面より)
トルベリーノカップU―9大会
代表チームを田岡市長激励 (県市町村対抗ジュニア駅伝 )
第17回和歌山県市町村対抗ジュニア駅伝競争大会(来年2月18日、午前11時紀三井寺公園陸上競技場スタート、県庁前ゴール)に出場する新宮市チームが練習する同市民運動競技場を19日、田岡実千年市長が訪問し選手らを励ました。
田岡市長は「本番まで約2カ月となり、練習もこれから本格的になっていくと思います。今年のチームは、昨年より上位に進出することが期待できると聞いています。各学校から優秀で選抜された皆さんが、新宮市の代表として駅伝で頑張っていただくことを、心から期待しています」と激励。
「自分が持っている力を出し、一生懸命走って練習することが、皆さんのこれからに対する貴重な2カ月になると思います。一生懸命頑張っていただくことによって、素晴らしい体験に心からなると私は思っていますので、頑張ってください」と呼び掛けた。
中上連主将は「私たちは日々努力して練習に励んでいる最中です。今年は去年よりも上位を目指して頑張っていきたいと思うので、応援よろしくお願いします」と応えた。
同市チームは今後、定期練習の他に同市駅伝、新宮マラソンなどへの参加などを経て、本番に向かう予定となっている。
(2017年12月22日付紙面より)
田中章二さん高校生に向け講演 (新宮市 )
新宮市の新宮商工会議所で16日、和歌山県体操協会理事長の田中章二さんの講演会が開かれた。県教育委員会が各地で催している「高校生のための和歌山未来塾」の本年度第4回で、串本町から新宮市までの高校生や教員など約300人が集まった。
田中さんはロンドンオリンピック日本代表の田中和仁さん・理恵さん・佑典さんの父親で、和歌山北高校、県教委などに勤務した。同校では体操部の監督として30年間指導にあたり、現在は和歌山オレンジ体操クラブのコーチを務めている。「『意思をもって道を作る』~夢を諦めない~」の演題で講演した。
田中さんは「高校生の仕事とは何でしょう」と問い掛け、▽勉強▽遊び▽社会性を学ぶ―の三つを挙げた。「スポーツは遊びで、真剣になれば楽しくなる。好きになることで夢が生まれる」と話し、夢を具体的な目標に変え、実現のための計画を立てることの大切さを語った。「アスリートになるとは自分を育てること。誰でもやれる」、「自信は練習や結果ではなく、心でつくる。『こうすれば自分は絶対にできる』と分かっていることが自信」などと語り、意思の力の重要性を呼び掛けた。指導者として、選手や生徒に行ってきた声掛けや、指導のポイントなども紹介した。
講演後には高校生からの質問の時間が設けられた。8人が「どうしたら大事な場面で全力を出せますか」「優れたアスリートに共通することは」などの質問をし、田中さんは熱心に回答した。
講演の前後には和歌山県教育長の宮下和己さんがあいさつした。「未来塾には一人一人の未来と、和歌山県や日本の未来という意味があります。今日学んだことを仲間にも伝えて、将来について考えるきっかけにしてください」と話した。
(2017年12月22日付紙面より)
文化セと体育館で避難訓練 (串本町 )
串本町立体育館と同町文化センターで18日に避難訓練があり、職員や利用者が屋外避難やその誘導などを実践して日頃の防災意識を高めた。
年次実施している火災想定の訓練で、例年2月に取り組んでいるが、本年度は同センターの大規模改修期間中に当たるため時期を早めて計画した。
当日は職員や利用頻度の高い利用者21人が同訓練に参加。両施設とも日頃の利用状態を再現したところから訓練を始め、「火事だ!」の叫び声などで全館周知を図り、職員は誘導と初期消火(文化センターのみ)の2手に分かれて迅速な対応に努めた。
両施設とも消防本部が訓練指導を行い、同体育館では利用者も火災報知機や屋内消火栓の使用手順を確認。同センターでは避難訓練後、職員が火災報知機や屋内消火栓、利用者が消火器の使用手順を練習した。
同訓練を経て岡貞次予防課長は「もしもの時に自分は何をするかを月1回でもいいので考えてほしい。一人が分かれば指示を出して体制を作れるが、誰もしないと皆が逃げる事を考え対応が難しくなる」と講評を寄せて防災意識を促した。
(2017年12月22日付紙面より)
大みそかに向け試験点灯
那智勝浦町那智山で19日、熊野那智大社(男成洋三宮司)のご神体である那智の滝と、那智山青岸渡寺(高木亮享住職)の三重塔がライトアップされた。大みそかに向けた試験点灯で、師走の那智山に神秘的な風景が浮かび上がった。
1987年のNHK「ゆく年くる年」の企画で滝に照明をあて実況中継をし、全国に感銘を与えたのがきっかけ。1989年から実施されている。大みそかの夜から元旦にかけてライトアップされ、初詣客を迎える。
日没を迎えた午後5時ごろから点灯した。ライトに照らされた荘厳な三重塔の奥に、暗くなるにつれて青白い滝の姿が浮かび上がった。
(2017年12月21日付紙面より)
王子地区でクリスマス会 (新宮市 )
新宮市の王子地区福祉委員会(古川美穂委員長)は19日、同市の王子会館で「ゆる体操&おしゃべりタイム」を開いた。この日はクリスマス会で、折り紙をしたりケーキを味わうなどして楽しいひとときを過ごした。
古川委員長が、地域住民の引きこもり防止のため提案し、ゆる体操は7年目を迎える。今年9月からは回数を月2回に増やし、毎月第1火曜日はゆる体操と茶話会、第3火曜日はものづくりやレクリエーションなどを実施している。
クリスマス会は『三百六十五歩のマーチ』に合わせた運動でスタート。軽やかなリズムに合わせて体をほぐした後は教わりながら折り紙でサンタクロースとクリスマスツリーを折った。
福祉委員手作りのケーキに、参加者らが各自イチゴのサンタクロースを作って飾り付ける場面もあった。イチゴを横に切り、ホイップクリームを絞って、アラザンやごまで顔を表現。完成したものを手に「かわいいよ」「食べるのもったいないね」「今度孫が来たら一緒にしようかな」と笑顔があふれた。
古川委員長は「先月はこんにゃくずしを作りました。地区外からも参加してくれたり手伝ってくれる人もおり、ありがたいです。みんな元気で集まってにこにこ笑顔でいい年を迎えてもらえれば」と話していた。
(2017年12月21日付紙面より)
第26回の審査会行われる (串本海中フォトコン )
第26回串本海中フォトコンテストの審査会が19日、串本町文化センターで開かれた。今回は3部門合わせて148人1063点が応募。審査結果は来年1月中旬ごろ、同コンテスト公式ホームページで発表する予定という。
串本の素晴らしい海や楽しいダイビングシーンの雰囲気を表現した作品を対象にした同コンテスト。シーサイドエリアにおけるコンテストとしては国内でも屈指の歴史を誇り、相応にハイレベルな作品が集まる内容で定評がある。
本年度も実行委員会(道井洋之実行委員長)を立ち上げて計画。▽一般部門▽チャレンジ部門▽ショップ部門―を設置し、同町内のダイビングサービスを利用し串本海域で撮影されたアマチュアの未発表作品を1日から11日までの期間で受け付けた。
応募作品数は前回より4点減だが、応募者数は16人増。挑戦の裾野が広がりを見せる状況で迎えた今回の審査は、前回に引き続いて30余年にわたり世界各地の海域撮影に打ち込む水中写真家・吉野雄輔さんが担当。一般部門とチャレンジ部門はグランプリと第1~5席各1点と入選10点、ショップ賞は3店舗9点を選考。他に特別賞として▽テーブルサンゴ賞2点▽海岸賞1点▽ダイバー賞1点▽アート賞1点―を決めた。後日選考となる町長賞1点を含めた計47点が画像データを提出した時点で入賞となる。表彰式は来年3月3日(土)に串本海中公園センターレストラン「アクロポーラ」で開く。
(2017年12月21日付紙面より)
少林寺拳法南紀熊野スポ少演武発表会
第4回東牟婁支部学童軟式野球新人大会
地元と健康にこだわり開発 (新宮港埠頭 )
新宮市三輪崎の新宮港埠頭株式会社食品部(シングウポートフーズ)はこのほど、地元にこだわった食材で作ったブリ商品を開発した=写真。今月9日(土)午前10時から正午まで、港内の株式会社食縁本社工場前で初めて地元販売する。
近畿大学技術の養殖プレミアムブリ「におわないブリ」を使用した商品。168時間かけて製造している薫製は、生ハム風と照り焼き風の2種類。切り身はプレーン、照り焼き、みそ漬け、酒かす漬けの4種類。刺身用ブロック、しゃぶしゃぶ用などもある。
安全、安心をモットーに、いずれの商品も化学調味料や食品添加物を一切使用しておらず、しょうゆは新宮醤油、酒かすは尾﨑酒造など、地元産を使用している。
同社は1978(昭和53)年9月30日に設立された新宮市の第三セクター。これまで新宮港を中心とした港湾運送、船舶代理店、貨物運送を主たる事業としてきたが、日本の「食」の多様性に注目し、食品部を設置。稚魚生産から加工販売までの「なまず養殖事業」もスタートしていて、来年の夏ごろの販売開始を予定している。
小池けん二社長は「私のモットーは、常に先を見据え新しい視点を持つこと。人口減少・少子高齢化の波がこの地方でも大きな社会問題となり、産業の衰退は地方都市の活力を疲弊させています。この地域の新たな活力と産業の振興を図り、雇用の場を作ることが必要。地域の特産を目指した事業を興し、全国展開を図りながら、さらに地域社会に貢献する会社を育てたいと考えています」と話している。
(2017年12月6日付紙面より)
※ 小池けん二社長の「けん」は、「濕」のさんずいを取り除いた字
新宮税務署が説明・相談会 (新宮市 )
新宮税務署は4日、新宮市の新宮商工会議所で「雑損控除等説明会」を開いた。台風21号などで被害を受けた人を対象とする説明会で、同市などで多くの被害があったことから開催した。被災した場合の所得税の減免制度や、住宅や家財の損失額の計算方法などについて説明した。
災害などで住宅や家財に被害があった場合、雑損控除か災害減免法によって所得税の軽減免除を受けられる場合がある。どちらか有利な方を選ぶことができ、確定申告の際に必要書類を添付して申請する。インターネットで申告書が作成できる国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」を使う際にも、被害のあった家財などの損失額を入力することで、条件に合わせて雑損控除か災害減免法の有利な方を選択できる。
説明会では全般的な説明の他に、個別相談の時間も設けられ、申告会場に持参できる損失額計算個票の用紙も配られた。確定申告の期間は2月16日(金)からとなるが、同署では被災者を対象に事前対応も予定している。
担当の同署個人課税部門の統括国税調査官・山田耕士さんは、「申告の時期には混雑も予想されます。まずは説明会にお越しください」と話した。
この説明会・個別相談会は今後、5日と7日(木)に同所で、14日(木)に那智勝浦町築地の南紀くろしお商工会で開かれる予定。時間は説明会が午後1時30分~2時30分、個別相談会が午後2時30分~5時。夜間の説明会が午後6時~7時。
(2017年12月6日付紙面より)
来年、創建2050年を迎える田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)の式年大祭を盛り上げようと組織された「熊野本宮大社御創建二千五十年奉祝式年大祭推進協議会」(榎本長治会長)は2日、大社瑞鳳殿で総会を開き、来年の主なイベントの事業計画案などを承認した。
協議会は今年9月に組織。熊野本宮観光協会、田辺市熊野ツリーズムビューローなどさまざまな団体、企業など30を超える団体で組織。奉祝期間を誘客の絶好の機会として捉え、さまざまなイベントを展開し、熊野の魅力を発信しようと事業に取り組んでいる。
本宮大社の例大祭は例年4月13日から15日に行われているが、来年は11日(水)から15日(日)までを日程として奉祝式年大祭として営む。期間中には歌手の山川豊さんや水森かおりさんらの歌唱奉納などがある。
例年8月に行われる「八咫(やた)の火祭り」は10月13日(土)に日程を変更し、式年大祭とは別に公募した稚児による湯登神事を行う。
3月には博物学者、小説家の荒俣宏さん、5月には演出家の宮本亜門さん、秋には作詩家の及川眠子さんの講演を計画。宝物殿の特別拝観なども予定している。
協議会では大祭記念ロゴを製作し、ピンバッジやのぼり、記念ポロシャツの製作も進めており、さまざまなPR活動を展開していく。
総会で協議会顧問の九鬼宮司は「地元の高校生も祭りに参加したいという声もあり、うれしい。皆さんと新たな祭りができればと考えている。何かが生まれてくると確信している」とあいさつ。榎本会長は「2050年のお祝いだけでなく、熊野の良さを発信する大きな機会と捉え、地域の観光振興につなげられたらと思う」と話し、「参加していただける団体、企業を募集している。本宮大社へ問い合わせてほしい。いろいろな方々に参加してもらい、一緒に盛り上げていきたい」と呼び掛けた。
(2017年12月6日付紙面より)
町長らに感謝届け親交深める (串本町 )
駐日トルコ共和国大使館のハサン・ムラット・メルジャン特命全権大使(58)一行が4日、串本町の田嶋勝正町長や同町立大島小学校(山本隆介校長、児童36人)を表敬訪問し、トルコ軍艦エルトゥールル号殉難将士慰霊碑に献花するなどした。
メルジャン大使は先月17日に着任した新任の特命全権大使。今回の訪問は公務に就くにあたって慣例になっているあいさつ回りを兼ねた視察の一環で、インジ・メルジャン夫人と通訳者としてボアチ・ウリケル専門官を連れ3人で来町した。
南紀白浜空港で役場総務課職員と合流し、公用車で同町入り。役場本庁で表敬を受けた田嶋町長は「町民を代表して歓迎する。エ号の遭難は悲しい事故だったが、当時の救難活動が今の日本とトルコの友好を築いた柱と言ってもらえることを私たちはうれしく、誇りに思っている。今も清掃や献花をしながら587人の殉難将士をお守りしているので安心してほしい。これからいいお付き合いをさせていただきたい」と述べ、メルジャン大使は「何よりもまず将士を大切にしてくれていることに感謝する。われわれも祖先への思いを胸に友好を作る努力をし、町長ともよい機会を作りたい」と応えた。
「次の来町時には町長と一緒にダイビングに挑戦したい」など後の懇談も弾む中、田嶋町長は歓迎の一端で記念楯や日本トルコ友好マスコットキャラクター「まぐトル」のぬいぐるみ、町独自の友好のあかしとしている同碑レリーフをかたどったピンバッジなどを贈って親交を深めた。
同町立大島小学校では、山本校長と6年生の造隼瑠菜さんがあいさつし、6年生の伊勢谷連さんと中西基樹君が花束を贈って来校を歓迎。一同で同碑とともに受け継がれる追悼歌を披露した。
メルジャン大使は「皆さんや役場の方々が両国の国旗を振って迎えてくれたことが、串本に来て何より感動していることだ」と歓喜。同碑の清掃などを通して殉難将士を大切に守ってくれている児童を『もっとも美しい花で飾られたような友好の架け橋』とたたえて感謝し、交流の記念にと文具を贈るなどした。
表敬後は樫野崎を訪ね、田嶋町長夫妻や樫野区の岩谷知道区長の代理で高山カヤ子さんとともに同碑に献花。メルジャン大使夫妻は樫野崎園地にある建国の父・アタテュルク像への献花を来町にあたって希望したそうで、同町も応えて段取りし実現した。併せて樫野埼灯台やトルコ記念館、遭難地点とされる岩礁(通称・船甲羅)を視察し現地説明を受けるなどした。
夜は田嶋町長主催の歓迎夕食会に出席。町内に宿泊し翌5日に串本海中公園センターを視察するなどして同大使館がある東京へ戻った。
(2017年12月6日付紙面より)