新宮市観光フォトコンテストの表彰式が29日、市人権教育センターであり、『美しい熊野川』=写真=で3年連続の最優秀賞を獲得した新宮市新宮の山際實さん(76)=理容業=らに賞状と記念品が贈呈された。山際さんは「たまたまです。運が良かった」と喜んだ。
新宮市観光カレンダー製作実行委員会が主催で毎年開催しているコンテスト。今年で6回目。入選した作品28点は、観光カレンダーやパンフレットなどとして活用するほか、30日から11月下旬まで、市役所1階ギャラリーに展示される。入選作品13点で製作するカレンダーは10月中の完成を目指している。
今年のコンテストのテーマは「歴史と文化のまち、しんぐう」。県内外の42人から、新宮城跡、熊野速玉大社、神倉神社、徐福公園などの作品168点の応募があった。
山際さんの作品は昨年11月の午前8時ごろ、釣鐘石と骨嶋の間の熊野川を上流に向かう1隻の川舟を撮影している。青空の下、深い緑の山々には霧がかかり、舟の波紋が清流に広がっている。「たまたま通りかかった時に撮りました。最優秀賞は何度取ってもうれしいです。いつもこんな熊野川であってほしいという思いを込めました」と話していた。
入選者たちに賞状を渡した実行委員会の森本祐司委員長は「新宮は写真熱が高いエリアだと思います。人口3万人の地方都市ですが、新宮高校からは和田久士、鈴木理策と写真界の芥川賞とも呼ばれる木村伊兵衛賞を2人も輩出している、と外の人たちに自慢しています。これからも感動する写真を撮っていただき、来年もコンテストに応募してもらいたい」。
審査員を務めた田岡実千年市長は「新宮に写真愛好家が多い要因の一つは豊かな自然が多く残されていることだと思います。コンテストのたびに違う作品を見て、あらためて新宮には自然、歴史、文化があると感じます」などと講評した。
(2017年8月30日付紙面より)
濱口祐自さんが奉納演奏 (熊野那智大社 )
創建1700年を祝い奉納行事が続く那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で26日夜、ギタリスト濱口祐自さん(62)による奉納演奏があった。午後6時に濱口さんや関係者が正式参拝。ご神木の那智の大クスが美しくライトアップされ、森厳な境内にギターの音色が響いた。約200人の観客が多彩な演奏と軽快なトークに聞き入った。
この日は、同町の櫂伝馬保存会の濱口起年会長と立木憲さん(59)ら10人が照明や音楽機材のセッティングを務めた。入念なリハーサルの後、オリジナル曲をはじめ、ミシシッピーブルースやエリック・サティの名曲グノシエンヌ1番など十数曲を演奏。合間に映画007シリーズ(1967年公開)のロケ地になった同大社のエピソードなども紹介した。
奉納の後、感謝状を手渡した男成宮司は「さまざまな曲の演奏に改めて感心しました。素晴らしかった」と喜び、濱口さんは「感無量。励みになりました。この場の演奏に恥じない活動をしていきます」と話していた。
次回地元での活動は10月7日(土)、同町勝浦港での船上ライブを予定している。
(2017年8月30日付紙面より)
水害復興の田で中学生ら稲刈り (新宮市熊野川町 )
近畿大学附属新宮中学校(川合廣征校長)の1年生59人は28日、新宮市熊野川町の三津ノ地区の田んぼで稲刈りを体験した。ふるさと教育の一環で昨年に続き2回目の取り組み。生徒らはみつの地域活性化協議会(下阪殖保会長)メンバーらに教わりながら、鎌を手に金色の稲穂を刈り取った。
市の教育目標である「郷土へのほこりと愛着を育む教育の充実」を目的に、地元農家と協力した体験を通して地元への愛着を深めようと実施した。作業体験、脱穀や乾燥などを見学することで農家の人たちへの感謝の気持ちと米を大切にする心を養う。
田んぼは下阪会長のもので、2011年の紀伊半島大水害で浸水被害を受けた地域にある。当時50㌶ほどあった水田には土砂が流れ込み、うち約40㌶が復旧。休耕田の一部はヒマワリを植えるなど観光資源としても活用し、約30㌶を水田として使用している。地域活性化に向けて積極的に取り組み、復興に向けて頑張る地域の姿を生徒らに伝える狙いもある。
下阪会長は「イネも大きくなり、実もできている。頑張って刈って、体験してください。無理せず楽しくやってくれればご飯も楽しくいただけると思う」と生徒らに呼び掛け、生徒を代表し山本皓大君が「貴重な体験をさせていただきありがとうございます。全てのお米を無駄にしないよう頑張ります」とあいさつ。
杉尾綾香さん(12)は「小学校の時にもやっていたのでできると思っていましたが、意外と難しかった。思っていたより大変で、昔の人はすごいと思いました。自分たちが植えたイネが農家の人のおかげで育ったことがすごくうれしい」と話していた。
川合校長は「生徒たちも喜んで生き生きと取り組んでいていいと思います。田植えや稲刈りを経験し、農業の大変さ、食べ物の大切さに気付いてくれれば」。
下阪さんは「子どもたちはかわいい。4月の田植えの時に比べ背丈がだいぶ違い、大きくなったように感じる。成長をみて、感動します。体験を通じ、米の大切さを分かってくれれば」と話していた。収穫した米は協議会が作成する「近中米」のシールを貼り、9月17日(日)正午から同校文化祭の近大新宮祭で販売する予定。
(2017年8月30日付紙面より)
古座川夏まつり「川の家」 (古座川町 )
古座川町相瀬にある一枚岩前で27日、イベント「古座川夏まつり『川の家』2017」があり夏休み最後の日曜日を過ごす家族連れらの来場でにぎわった。
このイベントは一枚岩守り犬夏まつり実行委員会と川の家実行委員会が共催。前年度まで別々に開いていた夏の2大イベントを合わせた初の試みで、一枚岩の壁面に「守り犬の影(対岸にある犬鳴岩の影)」が出現する時期(4月中旬と8月下旬の年2回)に合わせて準備を進めてきた。
会場には地域自慢の味覚をPRする物品販売「K―1グランプリ」の出店が並び、来場者は興味に応じて自由購入し気に入ったメニューに投票。今回は計12品目が投票対象とされ、スイーツ部門ではもりとよ商店のふうわり氷、グルメ部門では鳥獣食肉処理加工施設関係グループ「山の光工房」の「いのししカレーパン」がグランプリに輝いた。
イベント本部では石絵コンテストの参加者を随時受け付け。今年は43作品が出品され、串本町出雲の野村行誠君(出雲小6年)の作品が最優秀賞「守り犬賞」、新宮市のくりもとれいなさんの作品が「瀧之拝太郎賞」、古座川町のなすあさみさんの作品が「ウナギ賞」に選ばれた。
当日は好天に恵まれ、水浴を楽しむ家族連れもある中、開場と同時に配布した整理券と引き換えで乳幼児対象のアユのつかみ取り(簡易プール使用)や小学生以上対象のアユとウナギのつかみ取り(古座川使用)が行われ、計500匹のアユと25匹のウナギを追う挑戦も活気を見せた。午前11時に始まった宝探しは一時間とかからずに全て見つかる盛況。午後3時には町内の小学1~3年生有志7人らによる古座川民話朗読劇があり、一枚岩に伝わる民話を影絵やシーンの体現も織り交ぜ楽しく紹介した。
上記入賞者の表彰や菓子まきを経ていよいよフィナーレの鑑賞会。好機直前に日差しが弱まりひやりとする瞬間もあったが、無事『守り犬の影』が出現し、一同で見届けて終了となった。
特に多くの利用を集めた物品販売やアユのつかみ取りは川の家実行委員会由来の企画。6時間にわたった今回のイベントでは全般でMCを務めた森武志さんを始めとして町内の若手多数が運営の中軸を担った。
同コンテストの審査委員や同グランプリのプレゼンターを務めた西前啓市町長は「今回は若い皆さんがイベントを主導してくれた。このように盛り上げていただくことで、まちは活性化すると期待するし、われわれ行政も負けないよう側面からバックアップをしていきたいと思う」と喜び、運営各位の尽力をたたえた。
(2017年8月30日付紙面より)
和道流空手道連盟全国大会で
小学生バレーボール「JAみくまの杯」
本年度中に川舟センター完成 (紀伊半島大水害から6年 )
2011年9月の紀伊半島大水害で壊滅的な被害を受けた新宮市熊野川町田長の道の駅「瀞峡街道熊野川」。本年度中に完成予定の熊野川川舟センターが復活すれば、ほぼ元の姿に戻る。
新宮市街地から熊野川町域への玄関口に立地する道の駅は、熊野川の流れを見下ろす駐車場とトイレ、川舟センター事務所、熊野川物産販売所「かあちゃんの店」などがあり、地域交流の場として多くのドライバーや市民に親しまれていたが、水害で全壊した。
水害直後、関係機関は一度浸水した土地への再建を躊躇(ちゅうちょ)していたが、地域住民らの要望を受け、1年6カ月後の13年3月にトイレを復旧。「かあちゃんの店」は約11カ月後にプレハブの仮店舗で復活し、3年5カ月の15年3月に木造の施設で本格再開した。
川舟センターは事務所だけでなく、送迎バス1台、軽トラック1台、ライフジャケット160着などが流失。顧客リストなどの書類も流された。当時、川舟センター長を務めていた品田顕二郎さん(71)は水害から3日後に現場を訪れ、惨状に声が出なかったという。川舟6隻は安全な場所へ移動させていたことから無事だったが、熊野川は流木や落石で形状が変わり、当初再開の見込みは立たなかった。
川舟センターは事務所を現在の熊野川総合開発センター1階に移転し、約7カ月後に運航を再開したものの、乗船場の道の駅までは距離があり、職員が乗客たちを車で送迎している。
川の参詣道として世界遺産に登録されている「熊野川」を巡る川舟下り事業は05年9月にスタート。最も乗客が多かったのは07年度の5670人。水害で9月から翌年3月末まで休航した11年度が2426人と最も少なく、その後2千人台が続いていた。14年度3243人、15年度3932人と徐々に回復し、昨年度は4127人と水害後、初めて4000人を突破した。
品田さんは「新しい川舟センターが完成すれば、事務所と乗船場が近くなり、スタッフも仕事がやりやすくなる。飛び込み客も多くなると思う。さらにお客さんが増えていってくれれば」と話した。
(2017年8月25日付紙面より)
金剛寺の「二河の火祭り」 (那智勝浦町 )
那智勝浦町二河の金剛寺で23日夜、伝統の荒供養「二河の火祭り」が営まれた。同火祭りの保存会(大江政典会長)の会員15人が投げたたいまつが、寺の裏山を赤く染め上げた。
この荒供養は、室町時代の1510(永正7)年から続けられているとされ、二橋青年会が保存会を組織し、地区住民とともに代々守り続けている。
会員らは、本堂前で種火を分け合い、たいまつに火を付けて裏山を目指して疾走。目神八幡の小社を経由して宝篋印塔(ほうきょういんとう)前に着くと、針金でつながった2組のたいまつを勇ましく振り回し、周囲の木々や張り巡らされた架線目がけて投げ上げた。木や架線に引っかかると、観衆から歓声が上がった。
境内には金魚すくいやかき氷などの夜店も並び、地元の家族連れらでにぎわった。
(2017年8月25日付紙面より)
ほふく救出チームが健闘 (串本町消防本部 )
串本町消防本部(北地稔消防長)のほふく救出チームが23日、宮城県で開かれた第46回全国消防救助技術大会で入賞した。2008(平成20)年度の出場に続き2回目となる好成績で、一報を受けた同本部は歓喜に沸きかえっている。
この大会は、消防救助活動に不可欠な体力、精神力、技術力を培うとともに、競い学ぶことを通して他の模範となる隊員を育成し消防に寄せられる期待に力強く応えることを目的にして年1回実施。本年度は全国消防協会と仙台市が主催になり、「結―感謝そして未来へ―」をスローガンとして掲げて陸上、水上合わせて8種目を開設して全国各地の予選を勝ち抜いた隊員約1000人の挑戦を受け入れた。
同本部ほふく救出チームのメンバーは、岡地光介消防士・田代和之消防士・川端凌消防士の3人。県予選で9年ぶりの優勝を果たして同大会に進出した。ほふく救出の部には計52チームが出場し、同チームは8組目で挑戦。所要タイム48秒1、減点なしの成績で入賞した。
本年度は52チーム中40チームが入賞し、入賞チームの所要タイム平均は43秒2。最速は埼玉西部消防局のチームが出した35秒8だった。串本町消防本部チームの3人にとっては初の全国大会で、順位よりもまず着実に入賞を目標にして臨んだそうで、40チーム中34番目の所要タイムとなった。
(2017年8月25日付紙面より)
国交省の山田局長に要望
世界遺産「熊野川」の管理者が和歌山県、三重県、国と混在しているため紀伊半島大水害後の堆積土砂撤去作業や濁水軽減対策が遅れていると新宮市と紀宝町の首長らが23日、山田邦博・国土交通省水管理国土保全局長に熊野川の国直轄区間延長を求める要望書を提出した。
要望活動には新宮市の田岡実千年市長と屋敷満雄議長、紀宝町の西田健町長と榎本健治議長ほか、濱口太史和歌山県議、二階俊博自民党幹事長秘書の二階俊樹氏らが参加。同市熊野川町田長の道の駅「瀞峡街道熊野川」の紀伊半島大水害慰霊碑前で手渡した。
現在の国直轄区間は河口から上流5㌔まで。要望書では北山川と合流する宮井地点(約25㌔)までの延長を求め、国主導による早期取り組みを訴えている。山田局長は「熊野川の問題に皆さまの意識が高いことがよく分かりました」と述べ、関係機関と連携し、対策をより一層進めていくと述べた。
(2017年8月25日付紙面より)
県警特練生らが防犯剣道教室 (新宮警察署 )
和歌山県警察剣道特別練習生による防犯剣道教室が19、20の両日、新宮市と那智勝浦町で開催された。県警剣道師範の宮戸伸之さんや訓練生ら14人が紀宝町から串本町までの剣道クラブに所属する幼稚園児から高校生までの剣士らに模範稽古や実技指導などをした。
少年の健全育成を目的に、新宮警察署管下防犯協議会が主催した。昨年に続き2回目の開催。師範以下訓練生のほとんどが参加する教室は珍しい。宮戸師範は新宮市出身。数少ない剣道の最高位の8段を2008年に40代で取得した。一昨年の都道府県対向剣道大会では大将を務め、県を初の優勝に導くなどしている。特練生の中には三輪崎剣道クラブ出身の下貴広さんと西村雄希さんらがいる。
19日は市立光洋中学校体育館で約80人が参加した。準備体操、素振りの後、訓練生の稽古を見学し、迫力のある姿や動きに真剣な表情で見入っていた。20日は那智勝浦町体育文化会館であった。宮戸師範や特練生がアドバイスを交えながら指導し、約100人が懸命に稽古に励んだ。実技指導では訓練生を相手に竹刀を振るい、汗を流した。
谷本克也・新宮警察署長は「和歌山県警の剣道特練生は非常に優秀で実力のあるチーム。いろんなことを教えていただき、技術と心身の成長に役立てて」。同協議会会長の田岡実千年・新宮市長は「両親や指導者に感謝の気持ちを持ち、剣道を通じ、心も体も成長し立派な人間になるよう頑張ってほしい」とあいさつ。
宮戸師範は参加者らに向け「稽古の前に特練生を見てイメージして同じようにやろうとする気持ちがあるから一つ一つ正しく見ているし気迫も違う。剣道は運動神経の良しあしでなく、コツコツ地道にやることが上達の一番の秘訣(ひけつ)。少ない人数の中でも一生懸命やることを忘れないで」と呼び掛けた。
稽古を終え「やりがいがあった。速い技や高度な技の中でも、基本が大事ということを特に教えたかった。基本ができているから応用技ができるということを分かってくれれば。楽しさ、良さを分かってくれて、続けてほしい」と語った。
昨年に続き2回目の参加の瀧本鉄馬君(12)は「特練生は一本一本が全部決まっているような感じがして、毎日どんな稽古をしているのかが気になりました。宮戸先生は人を強くすることを考えており、いろんなアドバイスをしてくれました。分かりやすくやってくれるのでいい先生だと思いました」。
「今までとは違うような感じの稽古で楽しかったです。いつも戦えないような特練生の人たちと会えてうれしかった。今後は同じように一本一本を大事にして決めていきたい。将来は警察官になって特練生になりたいと思います」と話していた。
(2017年8月22日付紙面より)
歴史探訪スクールに80人 (新宮市 )
新宮市教育委員会、熊野学研究委員会主催の平成29年度熊野学講演会・歴史探訪スクールオープン講座が19日、市福祉センターであった。帝塚山学院大学名誉教授の鶴﨑裕雄さんが約80人を前に、『平野郷社(杭全神社)縁起絵巻―大阪平野区杭全(くまた)神社の熊野信仰―』の演題で話した。
歴史探訪スクールは熊野地方の特色ある歴史や文化を楽しく学ぶことを目的に開催している。鶴﨑さんは大阪市平野区が平安時代初期に坂上広野麻呂により開発され、一族や家臣らが街を形成していったと紹介。杭全神社に関して、拝殿や社殿を写真で紹介し「趣が新宮の神社に似ている」と語った。
「文芸遊びが行われた場所」として連歌所の写真を挙げ、熊野権現が描かれた軸、牛頭(ごず)天皇が描かれた軸を示し「二つの神様をお祭りしている神社」と説明。三つの絵巻物の内『平野郷社縁起絵巻』をスライドで映しながら読み解いていった。描かれている一つ一つの場面を語り、神話などが基になっていることや、二つの神を結ぶ特定の根拠はないことを話した。
人々が杭全神社に短歌や、短歌の上の句と下の句を交互に呼んでいく連歌を奉納していたとして解説。万葉集や拾遺和歌集、愛宕(あたご)百韻から引用し、歴史的背景や意味などを語った。
□ □
■那智大滝の信仰と歴史
次回の講座は9月10日(日)午後2時から4時まで、熊野学研究委員会の山本殖生さんが講師となり『那智大滝の信仰と歴史』をテーマに、講話やフィールドワークをする。参加費は500円(年会費を納入した人、中高生は無料)。集合場所は那智山青岸渡寺尊勝院新館。動きやすい服装、靴での参加を呼び掛けている。
申し込みは市教育委員会文化振興課(電話0735・23・3368)まで。期限は9月6日(水)。
(2017年8月22日付紙面より)
串本で初のBFL公式戦
串本町サンゴ台にある総合運動公園野球場で19日、プロ野球独立リーグ「ベースボールファーストリーグ(BFL)」の公式戦があり、田辺市を拠点とするチーム「和歌山ファイティングバーズ(以下FB)」と東大阪市のチーム「06BULLS(以下06)」の対戦が地元の少年野球チーム選手らの注目を集めた。
BFLは、日本野球機構(NPB)12球団入りを目指す高校生より上の世代の選手で結成したチームが参戦するプロリーグ。本年度は06とFB、兵庫県三田市を拠点とするチーム「兵庫ブルーサンダース(BS)」が参戦し、各チームのホームグラウンドを回る形で公式戦を重ねている。
県勢のFBは2016年4月に野球王国和歌山の再燃を目指して設立された新興のチームで、運営母体はNPO法人ANFUTURE。▽田辺スポーツパーク▽上富田スポーツセンター▽串本町総合運動公園―の3球場をホームとし、山﨑章弘監督や吉田篤史コーチ率いる選手21人チームで本年度からBFLへ参戦している。
この日開かれたのはBFL公式戦第13試合で、同公園での実施は初となる。会場地を代表して田嶋勝正町長が特産の長期保存水『なんたん水』を差し入れつつ歓迎と激励のあいさつ。特別協賛者を代表して串本ライオンズクラブの尾﨑和貴会長が始球式に臨み、06の先攻で試合が始まった。
先に優勢に立ったのはFBで、二回裏に2点を先制。追う立場の06は三回表と六回表で各1点、FBも五回裏で1点を追加。八回裏で長打を持ち味とする大月翔選手が今季第1号のソロホームランを放って点差を広げ、06も九回表ワンアウト一、三塁で4番打者という局面から1点を追加したが届かず、スコア4―3でFBが勝利した。
観客席は18歳以下無料、19歳以上1000円(障がい者手帳提示で500円)で開放され、少年野球クラブの選手やその家族と指導陣、硬式野球愛好者らが観戦。串本オーシャンズの切畑桧キャプテン(6年)は「フォアボール後、すぐに(気持ちを)切り替えてストライクをとるところがすごかった。自分はキャッチャーをしているけど、セカンドへ送球する時の素早さは学びたいと思った」と話した。
試合中は串本オーシャンズの切畑キャプテンと大藤麗生君と中村裕斗君(いずれも6年)、KKN少年野球クラブの杉本龍河君(6年)と薮根心海君(5年)がボールボーイ、串本の澤井亜侑さん(4年)とKKNの杉本沙羅さん(2年)がアナウンスを体験。両チームの選手は試合後、FBによる野球教室に参加して山﨑監督らから直々にアドバイスを受け、選手の技術を間近に見学する機会も得た。
□ □
■次回は9月16日正午~
同公園ではこの日のほか、9月16日(土)正午に公式戦(対兵庫BS戦)を予定している。FBの高下沢理事は「今は手が回っていないが、将来的に新宮市のくろしおスタジアムもホームにと考えている。まずは次回(の同公園での公式戦)、今回以上の観客を集められるよういっそう努めるので、地元からの観戦や応援をよろしくお願いします」と話した。
(2017年8月22日付紙面より)
例大祭へ準備始まる (勝浦八幡神社 )
那智勝浦町の勝浦八幡神社(髙橋正樹宮司)で20日、例大祭=9月16日(土)宵宮、17日(日)本宮=で使われる櫂伝馬(かいでんま)の蔵出しがあった。作業には愛友会(濱口泰至会長)とそのOBで結成する櫂伝馬保存会(濱口起年会長)の会員らが奉仕した。
例大祭は、神輿(みこし)渡御(とぎょ)行列、還御舟行列をはじめ、大黒天の墨塗り、櫂伝馬、徒士山伏、餅搗(もちつき)、獅子神楽、舟謡などの伝統行事があり、古くからの年行司制度も引き継がれ、多彩な祭典・神賑(しんしん)行事が行われる。還御舟行列は町の無形民俗文化財に指定されている。
伝馬船は全長約9㍍、幅約1・6㍍、スギ、ヒノキなどを適所に使い、古くから伝わる船大工の技術で作られた美しい船形の木造船。若者らが乗る「愛友会舟」、中学1年生が乗る「赤舟」、2年生の「白舟」、3年生の「黄舟」、南紀くろしお商工会青年部の「商工会舟」の計5隻が本祭の櫂伝馬行事に登場する。この日は商工会舟を除く4隻が蔵出しされ、神社前の海に進水。保存会集会所近くへ移動し練習に備えた。
蔵出しを手伝った栗原聡信さん(20)は「まだ2年目ですが、とても楽しみです」、愛友会の濱口会長(28)は「若い人たちが多いので、勉強しながら頑張ります」と話していた。
櫂伝馬保存会の役員が指導する中学生の練習は28日(月)から勝浦漁港で始まる。
(2017年8月22日付紙面より)
県下高校野球新人戦
ジュニアテニスサマーステージ13歳以下
長女の紀さん「涙が出そう」 (新宮市 )
新宮市出身の芥川賞作家、中上健次(1946~92年)が千穂小学校5年生の時に書いた詩『映画』がこのほど見つかった。長女で作家の中上紀さん(46)=東京都=が4日、市立図書館が保管している小学3年生時の詩『さいふ』と2編を確認し、「没後25年の節目の年にうれしい偶然です。衝撃的で涙が出そうになりました」と話した。
全集に収められていない2編の詩は、当時の名字で「木下健次」となっている。『映画』は千穂小学校5年生全員の作品を収めた詩集『どんぐり』の中の1編で、同級生の仲憲次さん(70)=岐阜市=が実家の整理中に見つけ6月4日、図書館内にある中上健次資料収集室に寄贈した。
紀さんは「過去の扉がいきなり開かれたような感じで非常にショックを受けました。名字を見ても父の複雑な家庭環境があらわになります。当時、映画館に行くことは特別なことだったと思います。父が小説『青い朝顔』の中で書いているように当時の貧しい生活を思いました」
現在確認されている中上が書いた文章で最も古い『さいふ』は、当時の新宮市内小中学生の優秀な詩や俳句を集めた冊子『わかあゆ』に収められている。図書館に2014年7月、市民から寄贈された。中上の同級生で詩人、ラテン・アメリカ文学研究者の田村さと子さんが『中上健次発言集成1・月報①』の中で1995年に紹介している。
紀さんは「小学3年生なのに、ちゃんと韻を踏んでいて、文才があったのかなと思います。比喩もすばらしく非常に良い詩だと思います」と話していた。
(2017年8月6日付紙面より)
熊野再発見プロジェクト (那智勝浦町 )
大学生の視点で那智勝浦町の観光の魅力を探る京都橘大学の「熊野再発見プロジェクト」の発表会が4日、同町体育文化会館であり、2、3両日に熊野地方を巡った約40人の学生らがグループ単位で意見を述べた。町からは花井啓州町観光協会長、大門坂茶屋のおかみ宮本照代さん、町観光産業課職員らが出席し、学生の貴重な意見に耳を傾けた。
2015年度から実施しているプロジェクトで、京都橘大学は昨年6月、那智勝浦町と「大学のふるさと協定」を結び、地域資源の再評価や観光PRの支援に取り組んでいる。同大学の木下達文教授が担当するゼミの学生や講義の受講生らを中心に広く学内から関心のある生徒が参加している。
町や観光協会が発行する案内パンフレットを参考に自由にテーマや行き先を決め、同町の築地や湯川地区、那智山、太地町を散策した。発表では、町の良い点は「人が温かく、どの地域でも親切に声を掛けてくれた」「ビン玉通りがレトロで素敵だった。京都と比べて観光地なのにゴミが少なく海がきれい」などが上がったが、課題も多くあった。「若い人向けの土産や那智の滝をイメージしたものが少ない」「紀伊勝浦駅の近くに駐車場がない」との指摘があり「商店街がシャッターだらけで暗くて近寄りづらい。空き店舗を利用して中が見える休憩スペースを作ってはどうか」「くじらの博物館までのバスの本数が少なく待ち時間が多い。待合場所で、もっと観光情報の提供を」など、課題に対する提案もあった。
木下教授は「観光振興には頑張っている人の点と点をつなげて全体で考えるテーブルが必要。京都にいると和歌山の情報が少ない。こういった学生と皆さんとのネットワークが他の大学でも広がっていけば」と話していた。
(2017年8月6日付紙面より)
葦舟で本宮から新宮へ
田辺市本宮町の熊野本宮大社から新宮市の熊野速玉大社までの熊野川34㌔を下っている熊野葦舟プロジェクト実行委員会(高栖浩史代表)は5日、新宮市熊野川町の熊野川行政局前から2日目をスタートした。同日午後4時ごろ、速玉大社前に到着する予定だ。
ダムと山の荒廃によって流れが細くなってしまった「川の参詣道」を復活させることを願い始まった取り組みで、今年で8回目。1日目は休憩を挟みながら約20人が交代で、約7時間かけて行政局まで下った。
プロジェクトを指導している探検家の石川仁さん(50)=長崎市在住=は、サハラ砂漠をラクダで横断、南米ジャングルの丸木舟川下り、イヌイットとの捕鯨などを体験している人物。2019年には葦舟での太平洋横断を計画している。「順調に進んでいます。ゴールよりも安全に笑顔で終わることが一番です」と話していた。
(2017年8月6日付紙面より)