避難所運営ゲームで学ぶ (新宮市熊野川町 )
国土交通省近畿地方整備局紀南河川国道事務所による防災授業「避難所運営ゲーム等を通じて水害時の行動を考えよう!」が25日、新宮市立熊野川中学校であった。全校生徒25人のほか、地域住民団体のチームくまのがわの15人などが参加。生徒と地域住民が意見を交わし、避難所運営を考えた。
同事務所や流域市町村などで構成する熊野川減災協議会が、防災授業を行うことを決めており、同校はそのモデル校に指定。2017年度から実施し、5回目を数える。またチームくまのがわは、和歌山県が開発した「きいちゃんの災害避難ゲーム」を使った避難所運営訓練を何度も行っており、有効性を認識し、生徒にも学んでほしいと考えていた。この思いが通じ、防災授業の中で行われることになった。
ゲームは、生徒や教職員、チームくまのがわのメンバーが混成の、7人程度の6班に分かれて行われた。内容は、災害の1日目、2~3日目、4日目~1週間後を想定。さらに▽避難所名簿を作る▽高齢者の生活スペース確保▽感染疑いのある避難者が来所―などのテーマに分かれており、日数とテーマが班ごとで振り分けられた。
各班では、与えられたテーマについて、意見を付箋に書いて模造紙に貼り、可視化する作業が行われた。「避難所名簿を作る」のテーマでは▽住所▽名前▽年齢―など、名簿に必要と思われる情報を提示。さらに▽血液型▽言語―なども必要との考えが示された。続いて必須と補足の情報の分別について、生徒と地域住民が考えを伝え合った。
班ごとでの発表も行われ、その後に同事務所より模範解答が示された。参加者は協議した内容に加え、最良とされる判断や行動について、さらに知識を深めていた。
3年生の内山心巴(ここは)さんは「災害が起こったときにやるべきことがあまり分かっていなかったが、手順やどう行動すべきかが分かって良かった。自分では気付かなかった意見もたくさんあって参考になった。いざというときに生かせたら」と感想。
チームくまのがわの下阪殖保さんは「子どもらもはっきりとした意見があり、すごく意外なものもあった。みんな高齢者に優しい考えを持っていることが分かった。いざというときに役立ってくれると思う」と話した。
なお、これらに先立ち、同事務所の職員による、水害についての講話もあった。熊野川町の水害や土砂災害のハザードマップも示されるなど、現地に即した内容が語られた。
(2023年2月28日付紙面より)
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色川クラフトビールプロジェクト (那智勝浦町 )
色川の農産品と水を用いてビール造りに取り組んできた色川クラフトビールプロジェクトは19日、那智勝浦町の小阪集会所で「色川のこれからを語り合う会~みんなが(で)地域を“ちょっとだけ”豊かに!!~」を開催した。メンバーや関係者、地域住民に加え、オンラインによる参加もあった。昨年10月に第4ロットの配布が終了し、一区切りを迎えた同プロジェクトの報告や地域の今後について語り合った。
同プロジェクトは「色川地ビールを育てる会」の会長を務める同町小阪区の峯茂喜さんと、共同代表の和歌山大学の藤本多敬(かずひろ)さんらによって2021年4月に発足された。
色川地域の水(那智の滝の源流の水)と特産物を用いた地ビールを造ろうと、地域おこしのために「色川地ビールを育てる会」を組織した。
酒税法の関係から販売ができないため、非営利の育てる会で経費を会員が負担し、完成したビールを楽しむ仕組みとした。醸造は和歌山市などの醸造所で行われ、第1~4までの各ロットとも好評を博したという。
藤本さんが同プロジェクトについて、地域資源を生かしたビールや色川を知ってもらい、地域と交流するきっかけを提供することで、色川を好きな人の増加や地域の関係人口構築、持続的な地域活性化の効果を目指したと説明した。
活動規模拡大のために、交流サイト(SNS)やメディアなどで情報を発信し、口コミでさらに拡大していったとした。結果、4回ビールを造り、全国の300人以上を色川地域とつなげてきたと述べた。
実現ができなかった点や課題として「善意のボランティアのため、運営メンバーの非持続性」「自家醸造ができず、在庫保管用冷蔵庫がない」「赤字運営」「会員制による負荷のかかる運営」などを挙げた。
地元に醸造所の設立や酒販免許を取得し販売ができれば、持続の可能性はあると主張。それには、主体となる人の存在が必要不可欠と付け加えた。
メンバーや関係者によるトークでは、プロジェクトについて「色川の空気や人に魅力を感じた」「地域やプロジェクトで学んだことを生かしたい」との声が上がった。
今後の地域について住民からは「外だけでなく中への視点も必要」「関係人口を増やすことは大事だが、この土地で暮らしていく人が増えないと問題は解決しない」「負担なくやれ、楽しいと思うボランティアが重要」などの意見が出された。
催しを終え、藤本さんは「この日を迎えられたのは皆さまのおかげ。プロジェクトは今後『ビール以外で、こんなものでもやってみたい』という方々のプラットフォームになれば良い。これからも色川に関わっていきたいです」。
峯さんは「プロジェクトは地域にとって良い刺激になってもらえたのでは。若い人が新しい動きをしてくれるはず。この地域では人のつながりやネットワークが重要になる。事業者の方の参入が、このプロジェクトの継続や拡大につながる」と語った。
なお、3~4月には、プロジェクトの詳細や結果をまとめた冊子型の報告書が完成する予定。
(2023年2月28日付紙面より)
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ボラセン設置訓練に120人 (新宮市 )
新宮市社会福祉協議会(濵前泰弘会長)は25日、市福祉センターなどで災害ボランティアセンター(VC)設置・運営訓練を実施した。地域住民ら120人超が、ボランティアの受け入れやマッチングの仕組み、支援時の心得などを学び、防災意識を高めた。
災害VCとは、大きな災害が発生した際に、被災者の困り事を把握し、ボランティアとのマッチングを行う組織。2011年の紀伊半島大水害時にも住民生活の復旧を支援した。
市社協の濵前会長は訓練の目的について「センターの機能を知っていただき、災害発生時に互いに助け合えるようにすることで、災害に強い地域づくりを行うこと」と説明。「トルコ・シリア地震で多くの方が犠牲になったが、日本でもいつそのような災害が起こるか分からない」と防災意識向上を促した。
訓練は、数日前に紀伊半島沖で起こった巨大地震により、千穂第二地区で家屋倒壊・津波浸水被害が発生したことを想定。参加者は受付でのボランティア登録や保険加入を済ませ▽被災者の人権を尊重する▽室内では靴を脱ぐか土足か確認する▽ごみかどうかは自己判断せず依頼者に確認する―といった留意事項を学習。ごみ袋や軍手などの資機材を調達後、実際にグループで指定された場所へ向かい、地域清掃をした。運転代行南紀も訓練に協力し、現地まで参加者を送迎した。
新宮市婦人団体連絡協議会のメンバーは屋外でアルファ米のおこわや備蓄用シチューの炊き出しを行い、参加者に振る舞った。山口商会による防災グッズの展示もあった。
活動の振り返りでは「被害後には町の様子も変わっていることが予想され、運転代行業者の支援があるのは心強い」「ボランティアと一目で分かるよう、名札を赤字にする方がいい」などの意見があった。
和歌山県社会福祉協議会の南出考さんは「ボランティアの方々の気持ちを整えて現場に送り出すのが災害VCの役目。『いってらっしゃい』『気を付けて』といった声かけによる雰囲気づくりも重要」と講評した。
この日は近畿大学附属新宮高校の生徒有志約20人も訓練に協力し、山本みうさん(高2)は「自分の命が一番大切だからこそ、無理な作業はきちんと断るよう言われたことが印象的だった。貴重な経験になった」と話していた。
(2023年2月28日付紙面より)
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第12回新宮市伝統芸能大会
新宮市と市伝統芸能大会実行委員会は26日、同市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」で伝統芸能大会を開いた。9団体が出演して詩吟や日本舞踊、和太鼓など26演目を披露し、約400人の来場者を魅了した。
新型コロナウイルスの感染状況などを注視する中、今年1月末の実行委員会で開催を決定し今回で12回目を迎えた。
開催に当たり、田岡実千年市長が参加団体や関係者の協力に感謝を伝え「各団体の皆さんの稽古の成果を見てもらい、心豊かなひとときを過ごしていただきたいと思います」とあいさつした。
大会は西川流友千恵会の日本舞踊「新しき年の始め」でスタート。続いて哲泉流紀州支部連合の「江南の春」や正派若柳流美栄の会の「紀州女船」、藤紀和会の「下町育ち」、関西吟詩文化協会華城会の詩吟など、稽古を重ねた得意の演目で舞台を盛り上げた。
最後は、熊野曼荼羅(まんだら)太鼓が迫力ある力強い和太鼓演奏で締めくくり、会場から大きな拍手が送られた。
終演後、藤紀流家元で同実行委員長の藤紀実美さんは「多くの人の協力により、開催することができてうれしく思います。コロナ禍で不安な日々が続いている状況の中、来場者の方々に喜んでいただけるよう、今後もみんなで力を合わせて伝統芸能を披露していければ」と話していた。
(2023年2月28日付紙面より)
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ロールプレイング説明会で事件解決 (新宮警察署 )
新宮警察署は23日、同署で「目指せ犯人逮捕‼ 体験型ロールプレイング説明会」を開催した。警察官を志望する、管内外の14~22歳の5人が参加。模擬事件の解決などを通して、警察官の仕事を身近に感じる機会とした。
同署が想定した模擬事件を解決すべく、聞き込みや鑑識、取り調べなどの警察活動を参加者に体験してもらうことによって、警察官という職業の魅力を知ってもらうことを目的に実施。今回は12歳から満32歳までを対象に参加を募った。
同署敷地内に模擬交番が設けられ、警察官になりきった参加者らは、白昼に行われた強盗事件の犯人を特定すべく、同署職員扮する被害者や目撃者らに聞き取りを行い、犯人が触れたとされる乗用車から指紋を採取。被害者から犯人の特徴や雰囲気を聞き出し、似顔絵を作成した。
取り調べでは、3班に分かれ3人の容疑者に事件発生時刻帯の行動などを質問。供述内容から「現金10万円などが入った財布が盗まれた、といった事件の詳細を知っていた」などとする矛盾点などを探り、犯人を特定。事件解決に導いた。
近畿大学附属新宮中学校の村田海人さん(14)は警察官志望。「特に取り調べが楽しかった。今日の体験から、警察官に対する憧れがより強くなりました」と笑顔で話した。
警務課の本田斗生多・警務係長は「体験会の様子を見ていて、皆さんとても素質があると感じた。経験してもらうことによって警察官への興味が湧いてくると思います」と話していた。
(2023年2月25日付紙面より)
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3年ぶりの通常総会 (和歌山ラオス友好協会 )
和歌山ラオス友好協会(田邉毅一会長)は20日、新宮市井の沢の新宮ユーアイホテルで3年ぶりとなる第9回通常総会を開き、支援への報告と提出議案を全て承認した。その後は懇親会が開かれ、出席者が交流を深めた。
同協会は、ラオス人民民主共和国の観光と教育を援助し、友好的な関係を築こうと2015(平成27)年、日本で19番目に発足。現地訪問や会員らからの寄付による学校への備品の寄贈などの活動に取り組んできた。
小学校の建設支援では、20年11月にルアンパバーン市パノーム村の唯一の学校であるパノーム小学校で建設を進めていた新校舎が完成。同月に生徒らが新校舎で勉学に励んでいる。現地からは感謝と喜びの声が寄せられており、同協会発足以来の念願がかなった。
その翌月には、現地での竣工式および譲渡式を予定していたが、新型コロナウイルスの影響で中止となっている。
感染防止の観点から、3年ぶりとなった総会では、22年度の事業報告が行われ、23年度の事業計画や予算を承認した。
事業計画では▽国際協力・親善に関する交流事業▽教育支援事業(教育施設設立、教材寄贈)▽パノーム村小学校校舎新設の竣工式▽YMCAホテル学校ラオス校設立を協力支援▽駐日ラオス人民民主共和国大使館、在京ラス人民民主共和国名誉領事館への協力事業▽和歌山県・ルアンパバーン州のフレンドリーシップ協定の締結―などを予定している。
田邉会長によると、YMCAホテル学校ラオス校の設立は、人材を育成し日本で受け入れることで、国内の働き手不足とラオスの就職難を解決する施策になるという。
これまでは新宮市とルアンパバーン市のフレンドリーシップ協定を進めてきたが、今後はエリアを拡大し、和歌山県とルアンパバーン州のフレンドリーシップ協定締結を進めることで、さらなる活動の発展に寄与したいと思いを述べた。
田邉会長は「延期となっている竣工ツアーを実施したい。また、日本各地のラオス友好協会と合同の総会を新宮市でもやりたいと思う。これまでは学校のあった村に校舎の建設支援を行ってきたが、次は学校のない村に、学校建設を目標とした校舎造りを応援していきたい」と語った。
この日、新理事に田中國雄さん、上田修司さん、宮本昌幸さん、前田良二郎さんが選出された。懇親会では、寺前正和副会長と名誉顧問の堀順一郎那智勝浦町長らがあいさつ。前田良造副会長が乾杯の音頭を取り、出席者らは会話や食事を楽しんだ。
(2023年2月25日付紙面より)
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熊野三山で「天長祭」
「天皇誕生日」の23日、熊野三山で天皇陛下63歳の誕生日を祝うとともに皇室の弥栄(いやさか)などを祈願する「天長祭」が営まれた。
今上天皇の誕生日を祝うことを目的とする「天皇誕生日」。光仁天皇在位の775年に天皇の誕生日を天長節としたのが始まりで、1948年の「国民の祝日に関する法律」により他の祝日とともに制定された。
新宮市の熊野速玉大社では、上野顯宮司が祝詞を読み上げた後、巫女(みこ)が神楽「浦安の舞」を奉納。神職や参列者たちが玉串を供えた。
神事を終え、上野宮司は92年5月、皇太子時代の天皇陛下が同大社や、神武天皇が東征の際に登った天磐盾と伝わる神倉山を訪れた際のエピソードを紹介し「史実が残る山に御自ら登られたことに感動した」。
天長祭斎行に当たって「皇室の弥栄はもちろんのこと、喜びも悲しみも分かち合う皇室でありたいと、先の大戦で犠牲となられた方々に対する慰霊の気持ちをずっとお持ちになっている。この日が皇室の存在にいま一度、関心を寄せる日になれば」と話していた。
(2023年2月25日付紙面より)
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新年度の当初予算案発表 (古座川町 )
古座川町が22日、2023年度一般会計当初予算案を発表した。予算規模は30億7810万円で、西前啓市町長は「これといった目玉はないが、私なりにまちづくりに対応していきたい」と話している。
予算規模は対前年度で1億3630万円増(4・6%増)。歳入の自主財源は約5億3715万2千円(構成比17・5%)で、対前年度で1億4252万3千円増となっている。地方税収入は対前年度で315万円減の1億9703万7千円を見込んでいるが、他方でふるさとづくり寄付1億3600万円が加わり自主財源増の主たる要因になっているという。
歳出の投資的経費は2億2756万5千円で、対前年度で3446万9千円増。歳出の主な事業として▽住民生活支援事業(539万5千円)▽高速道路関連まちづくり事業(6480万円)▽デジタル防災行政無線整備事業(1821万6千円)▽観光交流施設整備事業(1270万円)▽在宅血液透析導入機器設置補助事業(60万円)▽高校生等就学支援事業(270万円)▽教育指導員配置事業(282万9千円)▽町道維持管理巡視員配置事業(288万円)を挙げる。
住民生活支援関係では交通不便地区高齢者生活支援やし尿処理費補助、移動販売支援の継続に加え、新規で高齢者等粗大ごみ収集運搬補助を導入。65歳以上を対象にし粗大ごみ運搬1回につき1000円を補助して加齢に伴う処理負担増の緩和を図る。
高速道路関連まちづくり関係では新規に残土処理場整備事業を導入。池野山地内の町有林で60万立方㍍規模の受け入れをするとし、その造成を見据えてまちづくり基本構想策定事業〈更新〉も進める。
デジタル防災行政無線整備は23~25年度の3カ年で段階的に防災行政無線を更新する内容。観光交流施設整備はぼたん荘裏用地を購入しキャンプ場や公園、災害時避難所等としての利活用の検討を進めるという。
在宅血液透析導入機器設置補助は新規導入。高校生等就学支援も新規導入で、町内の対象者に月額5000円の支援金を給付する。教育指導員配置と町道維持管理巡視員配置はいずれも新規に人材を起用するという。
併せて特別会計の当初予算案の概要も発表。予算規模は7会計合計12億9662万円で、対前年度で4334万円減(3・2%減)。これら案は3月1日(水)から始まる町議会第1回定例会で上程し、承認を求める流れとなる。
(2023年2月25日付紙面より)
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那智勝浦町総体卓球大会
ダブルスも3位と活躍 (黒潮親善卓球大会 )
みさきストロングスが体験会 (新宮市 )
新宮スポ少が「やたがらすアカデミー」
語り部育成の講演会 (和歌山県観光連盟 )
紀州語り部担い手講演会(座学編)が19日、新宮市野田の福祉センターであった。18人が参加、講演を通して語り部に必要な、熊野や高野山が育んだ歴史や文化などを学んだ。
和歌山県観光連盟の主催で、新宮市のほか田辺市や和歌山市でも実施。内容は同じで、第1部は「熊野」、第2部は「高野山」、第3部は「紀州語り部」の魅力を語るものだった。第1部では、国際熊野学会代表委員の山本殖生さんが講演したほか、熊野家三九郎さんが熊野を題材とした落語を披露した。
山本さんの講演の演題は「日本一の熊野牛玉(ごおう)宝印」だった。山本さんは熊野牛玉宝印について「魔よけのお守り札。家の門口や田の水口に置いた」と説明。「牛玉」の由来について「もともとは牛にできる結石、牛黄(ごおう)のこと。漢方で使われ、中国では万能の解毒薬とされる。牛黄を混ぜた墨や朱を用いて加持祈とうすれば、除災や招福のパワーが得られると考えられた」と話した。
最初は印として額に押すものだったことを解説。「顔を洗うと消えるので、白い紙に印を押すようになった」と語った。熊野本宮大社では、紙に印を押す古い形式の儀式を今もやっていることも発言。「やがて版木でたくさん押すように。それが熊野牛玉宝印の始まり」と述べた。
起請文(きしょうもん)(誓約書)として使われたことにも言及。「日本で2番目に古い起請文に熊野の、那智の牛玉宝印が使われている」と示した。「中世から起請文として使われ、一揆を起こすようなときに書いた。みんなで書いて血判を押し、儀式をやったと思われる」と語った。
古文書にある、熊野牛玉宝印の記述も提示。図柄についても「戦国時代から烏(からす)文字に。日本第一も戦国時代からで、もともとは書いていなかった」と明かした。熊野牛玉宝印が忠誠を誓う際の起請文として▽豊臣秀頼と近畿の大名▽薩摩藩と琉球国王▽代替わりした将軍と各大名―の間で使われたことも伝えた。
熊野比丘尼(びくに)が全国に広めたこと、あまりに有名なため偽物も出回るほどであったことも付け加えた。
熊野家さんの落語は「三枚起請」で、遊女がお客に愛を誓う起請文を3枚も出していたというものだった。参加者の笑いを誘い、盛んな拍手で称賛された。
(2023年2月22日付紙面より)
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保護者対象に説明会 (新宮市 )
新宮市役所別館で20日夜、「緑丘中学校・城南中学校統合に関する保護者説明会」があった。城南中学校・王子ヶ浜小学校の保護者らが参加。速水盛康教育長や市職員らが中学校統合に関するスケジュール案などについて説明した。
昨今の生徒数減少に伴う諸問題への対応を行うべく昨年、市教育委員会では緑丘・城南各中学校の統合検討を開始。
統合に向けた話し合いを進めるため、9月に「緑丘中学校・城南中学校統合検討委員会」(板谷貴史・城南中育友会長)第1回会議が行われ、今年1月31日に開かれた第3回会議では、市当局から令和9年4月の統合を想定した統合スケジュール案が示された。
スケジュール案などについて保護者らの理解を得るために開かれたこのたびの説明会は▽城南中学校・王子ヶ浜小学校▽緑丘中学校・神倉小学校―の各保護者を対象に2回に分けて実施した。
市が示す案では、令和5年度から公募やアンケート、パブリックコメントなどを実施した上で新中学校名を検討。その後、校歌や校章の作成、新制服デザインなどに着手する。
令和6年度に教育課程編成等委員会を設置し、経営方針や教育課程、学校行事、部活動、通学路などの検討を進めていく。
統合後の場所を現緑丘中とする案において、令和6年度後半以降に仮設校舎の建設準備を行い、令和7年度に仮設校舎の建設と並行して大規模改修の設計を行い、令和7年度後半以降に生徒・児童、部活動交流や大規模改修、閉校式・開校式に向けた準備を行う計画としている。
開催に当たり、速水教育長は「子どもたちの将来に向けて教育環境を整える必要があると考えている」とあいさつ。市職員がスケジュール案などについて説明した。
質疑応答では、保護者が「教育だけではなく、環境づくりも大事。地域に子どもたちの声が聞こえないのは大きな問題。城南中の跡地の利用も並行して考えていく必要がある。関係各課も参加すべきでは」「困っていること、やりたいことは大人では分からない。子どもたちが気軽に意見を言える場をつくってほしい」などと意見。
対し、市は「まず子どもたちのことを考えて中身を検討していきたいという思いがある」。跡地に関しては「市のまちづくりとして大きな観点で考えていかなければならない」などと理解を求めた。
緑丘中学校・神倉小学校の保護者を対象にした説明会は22日(水)午後7時から、同所で開催される。
(2023年2月22日付紙面より)
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色川地区の農園で新企画 (那智勝浦町 )
那智勝浦町口色川の安田裕志さん(42)が同所で営む農園「vegelike(ベジライク)」で18日、新規体験旅行企画「1・2月の旬の時期だからこそ味わえる菜花摘み取り体験と季節限定『菜花』限定ランチ」があった。愛知県名古屋市から友人同士の女性3人が参加、食用の菜花を摘み、創作ランチを楽しんだ。
一般社団法人那智勝浦観光機構(NACKT)が企画立案に協力した。第1次産業の活性化を図るとともに、新たな那智勝浦ブランドを創出し、さらに農業と観光という二つの地場産業を融合しようと考えた。安田さんは菜花を12年前から作っているが、摘み取り体験の実施は初めてという。
ランチは、安田さんの農園で採れた菜花を使用。同町大野の体験レストランAima(アイマ)で提供した。企画はもともと、1月に4回、2月に4回の実施を予定していたが、コロナ禍の影響でこの日が初回の実施となった。
農園では、安田さんが収穫の仕方を説明。「つぼみか、花がちょっとついたぐらいのものを、ハサミで切り取って」などと語り、実演した。「無農薬なので、このままでも食べられる。生でも甘くておいしい」とも伝えた。参加者は、さっそく収穫を体験。ハサミで切ってはポリ袋に集め、また時折生で口に運んでは「甘くておいしい」と笑顔を見せていた。
那智勝浦観光機構の牛久保賢一さんは「色川や太田には、体験コンテンツにできそうな素材がある。これらをPRすることで、町全体を活性化できれば」と話した。
「菜の花」とは本来、アブラナ科の花の総称。安田さんの農園では、菜花の食用品種「花飾り」を栽培している。花が開いてしまう前のつぼみの状態が食べ頃で、旬は1月と2月、収穫は3月上旬ごろまで続くという。天ぷらやおひたしのほか、卵と炒めたり、浅漬けにして刻みおにぎりに混ぜたりしてもおいしいとのこと。
(2023年2月22日付紙面より)
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トルコ地震の見舞い交え (串本町 )
串本町の田嶋勝正町長ら一行が17日に駐日トルコ共和国大使館のコルクット・ギュンゲン特命全権大使と面会し、町内外から寄せられたトルコ南東部地震災害義援金〈第1回目分〉1500万円を届けつつ犠牲者への哀悼と被災者への見舞いの意を示すなどした。
この義援金は、トルコ共和国で現地時間6日未明以降相次いだ大きな地震で被災した人々の支援を目的として7日から募集を開始。役場本庁、旧役場古座分庁舎、文化センター、トルコ記念館の4カ所に義援金箱を設置し、10日には振込口座(紀陽銀行串本支店普通449160と三十三銀行古座支店普通7001609、いずれも振込手数料が必要)も開設して受け付けている。
町内外から高額寄託の申し出もあり、15日までに集まった額から1500万円を第1回分として同大使館に託すこととした。17日は同町議会(鈴木幸夫議長)と合同の陳情活動の延長で同大使館を訪問。田嶋町長と鈴木議長以下議員11人、佐藤武治県議会議員と日本トルコ友好議員連盟会長でもある二階俊博衆院議員らが面会を求め、代表して田嶋町長が同義援金寄託の目録を読み上げてギュンゲン大使に手渡した。
町総務課によると、その折に田嶋町長は「現在も救援活動が続き、復旧復興には時間がかかると思われる。われわれはトルコにずっと寄り添いながら義援金協力を呼びかけ続ける」と申し添え、ギュンゲン大使は「困難に直面している時にお目にかかれることを心強く思う。日本、和歌山県、とりわけ串本の皆さまはトルコ人の心の中では大変特別な存在で、本日皆さまが来て下さったこともその証明。心より感謝申し上げる」と応えて申し出に感謝したという。
二階衆院議員もできることを考えてトルコに寄り添う意を示し、復興への足取りを踏み出すことを祈念。田嶋町長は併せて同町立潮岬中学校(平原良一校長)の3年生が手作りしたメッセージボードも託し、串本はさまざまな形で被災を乗り越えることを願っていることも伝えた。
同課は今回の被災からの復旧復興を支えるため、今後も同義援金の受け付けを続けるとしている。問い合わせは同課(電話0735・62・0555)まで。
(2023年2月22日付紙面より)
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熊野川町で「清流ライド」 (新宮市 )
新宮市熊野川町を舞台に19日、「新宮・熊野川町清流ライド with KINAN Racing Team(キナンレーシングチーム)」が開催された。あいにくの雨となったが、当地方をはじめ、大阪や名古屋などから約50人の自転車愛好家らが参加。「KINAN Racing Team」に所属するプロ選手と共に町内を周遊。自転車を通して同町の自然を満喫し、参加者同士の交流を深めた。
新宮市と市観光協会が主催。自転車を活用した観光(サイクルツーリズム)の推進と、自転車に慣れ親しみ、自転車の魅力を感じてもらうことを目的に、NPO法人「SPORTS PRODUCE 熊野」が後援し、初めての開催に至った。
メイン会場の熊野川ドームでは、開催に当たり田岡実千年市長があいさつ。関係団体に感謝を述べ「今後、サイクルツーリズム推進のさらなる機運醸成を図っていくため、自転車に慣れ親しみ、魅力を感じていただきたいという思いから開催させていただく次第となった。ぜひお楽しみいただければ」と呼びかけた。
この日のコースは、UCI公認国際自転車ロードレース「TOUR de 熊野」の約15㌔に及ぶ赤木川清流コース。3班に分かれた参加者らは、休憩所の小口自然の家を目指して熊野川ドームを出発した。
なお、熊野川ドームと小口自然の家では、(一財)熊野川町ふれあい公社(下阪殖保代表理事)と「かあちゃんの店」による豚汁やめはりずし、同町の野菜を使用したケーキ、くず湯茶が振る舞われた。また、天候を鑑み、参加者らに対し「熊野川温泉さつき」が無料開放された。熊野川ドームでは同チームのグッズ販売コーナーが設けられたほか、Eバイク(電動アシスト自転車)の体験試乗会も実施された。
イベントでは、同チームメンバー7人によるトークショーもあった。各選手らは自己紹介を交え熊野地方や新宮市の魅力、赤木川清流コースの印象、自転車に興味を持ったきっかけなどについて話し「今年こそは『TOUR de 熊野』で総合優勝を。今年も応援してください」と呼びかけた。
名古屋から参加した山口友和さんは「チームのファンなので参加した。あいにくの天気だったが距離も短かったので疲れることもなく楽しめました。また機会があればぜひ参加したい」と話していた。
(2023年2月21日付紙面より)
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管内2人に表彰状を伝達 (東牟婁振興局 )
新宮市緑ヶ丘の東牟婁振興局で17日、令和4年度自然公園関係功労者に対する環境大臣表彰の伝達式があった。酒井清崇・東牟婁振興局長が、多年にわたり自然公園の保護とその適正な利用に関して尽力したとして、太地町の白水博さんと那智勝浦町の東定司さんの2人に表彰状を手渡した。
自然保護思想の啓発や普及および自然公園や動植物の保護に関し、15年以上尽力し、その功績が特に顕著であると認められる個人や団体に対して環境大臣が表彰するもの。全国では18人と1団体が選ばれ、県内では白水さんと東さんの2人のみだった。
白水さんは日本野鳥の会和歌山県支部副支部長ならびに、熊野自然保護連絡協議会の運営委員を務め、吉野熊野国立公園などで、絶滅危惧種をはじめとする鳥類の調査や保護活動に取り組んできた。子どもや地域住民を対象とした野鳥観察会を通して、自然保護思想の普及啓発に努めるとともに、公園内の安全利用のためにも尽力している。自然公園指導員の活動期間は36年に上る。
同じく日本野鳥の会和歌山県支部幹事で、熊野自然保護連絡協議会事務局員を務める東さん。同公園などで自然観察会や野鳥観察会を企画・運営し、希少生物の実態や保全の必要性の指導など、自然保護思想の普及啓発や自然公園・動植物の保護などに尽力してきた。自然公園指導員歴は30年6カ月。
酒井局長は「お二人は地域の誇り、受賞本当におめでとうございます。これを機会に、後進の方々にご指導いただき、今後も熊野地方の自然や鳥類などの研究保護に努めていただけましたら幸いです」と二人の受賞を祝福した。
白水さんは「観察会を継続し開催していく中で、このような表彰を頂き、非常に光栄です。これからも大好きな鳥を通して、自然保護につなげていきたいと思います」。
白水さんとは友人で、仲間として長年活動を共に続けてきた東さんは「二人で受賞できるとは思いもしなかった。最近の観察会では小学生が増えてきた。しっかりと教えて、若い皆さんに引き継いでもらいたい」と語った。
(2023年2月21日付紙面より)
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美し国三重市町対抗駅伝
津市から伊勢市までの42・195㌔を10人のランナーがたすきをつなぐ「美(うま)し国三重市町対抗駅伝」が19日、3年ぶりに開催された。県内29市町の選手たちが力走し、市の部(14市)で熊野市は2時間48分14秒の14位、町の部(15町)で御浜町は2時間47分09秒の13位、紀宝町は2時間44分04秒で11位だった。
新型コロナウイルスのため2年間中止になっていたが、今年は沿道からの声援を受け、1区の小学生女子が津市の県庁前を一斉にスタート。市町対抗駅伝が幕を開けた。
2区の小学生男子から中学生男女、40歳以上男子などが各区間で激走。伊勢市の三重交通Gスポーツの杜伊勢でゴールテープを切った。市の部は鈴鹿市が2時間17分36秒、町の部は川越町が2時間21分27秒でそれぞれ優勝した。
(2023年2月21日付紙面より)
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天神社で春の例大祭営む (那智勝浦町 )
学問の神様・菅原道真を主神として古くから厚い信仰を集める那智勝浦町天満の天神社(髙橋正樹宮司)の春の例大祭が18日宵宮、19日に本宮の日程で営まれた。今年もおととし、昨年と同様、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から神事のみの斎行となった。
順番に始まる那智谷筋の祭りの最後を飾る同例大祭。例年は古式弓法で大的を射抜いて鬼の邪気を払うお弓神事や祭典委員会(楠本實委員長)が先導する行列が区内を練り歩く。
天満交友会(山東平〈さんどう・たいら〉会長)による獅子舞の地下(じげ)回しもあり、最後は餅まきが盛大に実施され多くの住民でにぎわっている。
今年は雨天のため、社務所内で関係者ら12人が参列して静かに祭りが進められた。髙橋宮司が祝詞を奏上し、関係者が玉串をささげた。
この日、髙橋宮司はお弓神事の際に、的場で神に供え物をするときに用いられる梅島台と松島台について、元は食べ物を載せる台であったなどと、解説。「この地域で台を手作りしているのはこの天神社のみだと思う。準備は大変だが、この伝統を後世に伝えていけるようにお祈りしました」。
楠本委員長は「年末から検討を重ね、今回の形に至った。3年間、祭りができないのは残念だが、コロナ禍のため仕方がない。伝統ある祭りを絶やさないように、来年こそは例年通りの祭りを斎行したい」と話した。
同社責任役員の越水政憲さんは「少子高齢化で担い手も減ってきた。しかし、伝統を絶やさないように続けていきたい」と語った。
(2023年2月21日付紙面より)
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第187回職場対抗ボウリング大会
みさきストロングスが卒団式 (新宮市 )
和田禎佑杯サッカーU―9
新宮市の熊野速玉大社、那智勝浦町の熊野那智大社、田辺市本宮町の熊野本宮大社で3日、節分行事が営まれた。境内に「福は内、鬼は外」の声が響く中、参拝客らは疫病退散や除災招福などを祈願した。
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熊野速玉大社(上野顯宮司)では、鬼を払う追儺式(ついなしき)と正月に飾ったしめ縄などを燃やすどんど焼きがあった。
追儺式では境内に赤鬼と青鬼が登場。上野宮司をはじめ大社関係者らが「福は内、鬼は外」と豆をまき、鬼を鳥居の外に。子どもたちも加わり、元気いっぱいに鬼を追い払った。
新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、最後に行われる福豆やお菓子まきは中止とし、上野宮司らが子どもたちにお菓子を配った。
毎年多くの人が求める縁起物の「吉兆(きっちょう)」は同日午前中に完売。どんど焼きでは午前中から多くの人が訪れ、境内に掘られた穴に御神火がついたお焚き上げたいまつと一緒にしめ縄などを投げ入れていた。どんど焼きに協力した新宮市消防団丹鶴分団は、火災防止のために午前8時から神社敷地内に放水を行った。
上野宮司は「冬と春が分かれる日に新しい命と力を得るため邪気を払って福を呼び込む神事。このような伝統神事を続けていくことは意味深いこと。健康な1年であることを心から願っています」と話していた。
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熊野那智大社(男成洋三宮司)は、午前と午後の2回に分け、2年ぶりに「鬼追い追儺式」を営んだ。午前の式では、大檀那(だんな)と呼ばれる特別崇敬者の約60人が参列。鬼役が面を着けて福升の豆をまき、社殿前の石階段を青竹で3回打ち付け、「家内安全、延命息災、家運隆昌」と唱えて邪を払い、福を呼び込んだ。
「お弓の儀」もあった。神職が弓を引き、「鬼」の字が書かれた的を射抜いた。放った2本の矢はどちらも命中し、見学者や参拝者の拍手と歓声が湧いた。宝物殿の回廊からの、男成宮司や大檀那による豆まきもあり、福を求めて多くの人が手を伸ばす姿が見られた。
男成宮司は「鬼に例えて邪を払い、福を呼ぶ伝統的な行事。こういう時代こそ絶やさないことが大事」と語った。
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熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)では、神職や大社役員らが参加する中、3年ぶりに通常規模で節分祭と追儺式が執り行われた。
追儺式では、神職や大社関係者らが豆をまきながら拝殿の回廊を3周。鬼を前に、泣き叫ぶ子どももいる中、九鬼宮司が天に向かって3本の矢を放ち鬼を追い払った。
追儺式後には、多くの地域住民らが集まる中、大社関係者や今年厄年を迎える人らによって餅やお菓子などがまかれた。
九鬼宮司は「昨年はコロナの影響で餅まきも控えたが、今年は一歩でも前進するという意味で餅やお菓子をまかせていただいた。久しぶりににぎやかな節分。子どもたちにも力をもらいました」と述べた。
(2023年2月5日付紙面より)
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歴探スクールで速水盛康さん (新宮市 )
熊野学研究委員会歴史部会・新宮市教育委員会が主催する令和4年度熊野学講座「第37回歴史探訪スクール」が2日、同市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」であった。熊野学研究委員会の速水盛康さんが「世界遺産・熊野の聖地信仰―その価値と意義―」を題目に講話。約30人が聴講した。
速水さんは、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」について「文化遺産でありながら自然の占める割合が多い。個々の資産の価値ではない、道と
霊場、自然が一体となった人と自然との共同作品(文化的景観)」とその概要や価値を説明。
「かつては山、川、海など自然と一体となった生活をしていた。単なる文化財という『もの』から、人々の視点も構成要素として考えていくと面白い見方ができる。地域の持っている力を大切にしていくことが必要」と話した。
同じく世界遺産であるサンティアゴ・デ・コンポステラの巡礼路を挙げ「ヨーロッパ的思考では征服地に自分たちの文化をつくる。道が先にあって信仰の文化を築いていく」と特徴的な違いについて述べ「文化的景観には歴史的な背景を持った目には見えないものの存在がある。熊野には人と対比する空間が今もなお生きている」と話した。
補陀落渡海、小栗判官伝説、熊野比丘尼(びくに)などを挙げ「これらのストーリーを先人たちが神仏を仲立ちとして聖地熊野で創り上げていったのは事実」と熊野地域の個性に言及。
「物証がなくても十分なストーリーが存在する。見えないものの存在を一つの価値観として発信していく力が、グローバル的な発信力になり得る。これはお金では買えない宝物。文化から多様性を国際的に発信していける。挑戦できる世界遺産、そういう捉え方をしてもいいのでは」と話していた。
(2023年2月5日付紙面より)
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近大新宮中でテスト運用
近畿大学附属新宮中学校(池上博基校長)で4日、「ハイブリッド・サタデー」と題し、在宅オンライン授業を併用したハイブリッド授業のテスト運用が行われた。1年生48人中39人が在宅、9人が対面で授業を受け、その感触を確かめた。
同校は現在の中学1年生より、生徒に1人1台のタブレット端末「iPad(アイパッド)」を配布し、学習に活用している。授業で配布するプリント数が激減し、アプリ「Kahoot!(カフート)」を用いた復習クイズが定着するなど、さまざまな変化が生まれている。
今回のテスト運用について教務部の松田頼義部長は「先日の大雪で教職員や生徒の通勤通学に大きな影響が出た。遠方から通う生徒も多いため、天候によるアクシデントが起きても、いつでもどこでも授業ができるようICT(情報通信技術)機器の活用を進めたいと考えた。本校は土曜日も授業があるが、中体連などのスポーツ大会と重なることも多い。今回の検証を経てハイブリッド型授業が導入されれば、こうした場合も役に立つのでは」と語る。
この日は生徒自身が在宅・通学を選択する形で実施し、午前中に社会、理科、道徳、数学の授業が行われた。
在宅でのオンライン授業を選択した前田里空さんは「思っていた以上に画質がきれいで、クラスとの一体感を感じることもでき、特に不足は感じなかった」。対面授業を選んだ小谷恵菜さんは「分からないことがあっても直接質問できるので、通学を選んだ。A組で教室にいるのは4人だけなので、少し寂しい感じもある」と話していた。
(2023年2月5日付紙面より)
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3団体がボランティアで (御浜町 )
御浜町山地の町道平山寺前線の沿道で、昨年11月ごろから、不法投棄が目立つようになった。この状況を改善し、環境美化に努めようと地元団体が3日、ボランティアで撤去作業に取り組んだ。
町道平山寺前線は夜になると通行する車両が少なく、2~3年ほど前からペットボトルや空き缶などが道路脇の斜面に不法投棄されていたという。
撤去作業には、NPO法人環境ファースト連合会事務局、山地地区企業会、山地地区と六部海岸の環境を守る会が参加。町も協力した。
約30人が作業し、急斜面に不法投棄されたタイヤや水槽、瓶、缶、ペットボトル、扇風機、炊飯器、照明器具などの一般廃棄物、コンテナ、消毒用容器、マルチシートなど農業廃棄物を集めた。
約1時間の作業後、回収した廃棄物を分別して処理した。今後、現場にはフェンスと不法投棄禁止を呼びかける看板を設置する。
同連合会事務局では「今後、このような不法投棄が多発するようであれば法的手段も考える」としている。
(2023年2月5日付紙面より)
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