飛鳥町小又の田んぼアート (近大新宮高校 )
熊野市の飛鳥地区まちづくり協議会が毎年実施している「飛鳥町小又田んぼアート」の11㌃の田んぼのデザインに近畿大学附属新宮高校美術部の二河さくらさん(3年)の「ハスとメダカ」をテーマにした作品が決定した。5㌃の田んぼは熊野市立飛鳥小学校の戸嶋かのんさんの「ねずみの三兄弟」に決まった。
田んぼアートは地域活性化などを目的に実施され、ビオトープ小又が管理運営を行う。これまでに和歌山県立新宮高校の生徒のデザインも選ばれたことがある。
アートは田んぼに「ゆきあそび」「黄大黒米」などの10種類の古代米を植えて描かれる。6月から8月中旬までが見頃で、田んぼの色が変化する光景を一目見ようと期間中は約2000人が来場するという。稲刈りは9月末に実施される。
二河さんはデザインについて「近くにはメダカやハスがあると聞いていた。満開に咲くハスとその中を力強く泳ぐメダカたちのようにこの地域が発展することを願って1週間ほどでデザインしました。できるだけ多くの品種を使ったので、色の変化を楽しんでほしいです」と説明。
「多くの色をどこに使うかを考えた。遠くから見てもはっきりと分かるように細かくなりすぎないように努力した。完成したら見に行きたいと思う」と語った。
同協議会の小畑貞文さんは「良い作品です。うまいこと描いてくれている。田んぼアートに適している」と二河さんのデザインを評価した。
事務局の杉本和巳さんは「全国的にも田んぼアートで古代米を10種類も使う所は少ないので小又のアートは色の評価も高い。二河さんのデザインは学生の新鮮な気持ちを表現してくれている。ありがたい」と語った。
(2020年4月9日付紙面より)
雨嶋トンネル(仮称)が貫通 (すさみ串本道路 )
現在建設中のすさみ串本道路雨嶋トンネル(仮称)が7日、約4カ月の掘削作業を経て貫通した。発注者・国土交通省紀南河川国道事務所の谷成二副所長ら担当職員もその瞬間に立ち会い、施工者・前田建設工業株式会社の現場作業員らと共に万歳三唱の声を上げて喜んだ。
この道路は、すさみ町江住と串本町串本を結ぶ延長19・2㌔の自動車専用道路として平成26年度に事業化され、おととし秋には工事用道路の設置が始まり現在は用地取得が完了した区間から順次本体工事の発注をする段階に差し掛かっている。国土交通省が先月31日に発表した本年度予算内では直轄事業の一つに数えられ、事業費98億円を計上しているところでもある。
同日現在の計画にあるトンネルの数は16本。うち8本が発注済みで、雨嶋トンネルと二色トンネル(仮称)の2本が先んじて掘削作業に差し掛かっていた。
雨嶋トンネルの設計値は延長225㍍、幅員12㍍。昨年3月の発注以降、工事用道路や坑口の取り付けなど段取りを進めて12月に掘削作業へと入った。すさみ町里野方向から串本町和深方向を目指す片掘りで貫通を目指し、二色トンネルより若干早く貫通の瞬間を迎える形になった。
この日の掘削作業は重機で実施。施工者と発注者が距離を取って見守る中、2分ほどの削岩を経て1㍍程度の貫通孔が開いた。坑内に陽光が差し込むや万歳三唱で歓喜し、ただちに清めの儀を営んで貫通を祝うなどした。
雨嶋トンネルは今後も工程を進め、本年度中に道路としての形が仕上がる予定。他方、二色トンネルも貫通目前のところまできているという。同道路初となるトンネル貫通の瞬間を見届けた谷副所長は、このように道路としての形が見えてくる状況が今後の進み具合の好刺激になることを期待しつつ「まだ用地(取得)の部分が残っているので具体的にいつとはお知らせできないが、地元の皆さまのご期待に添えるよう一日でも早い開通を目指し、かつ安全に事業を進めていきたい」と思うところを語った。
(2020年4月9日付紙面より)
市内5小学校の187人へ (新宮市土建協同組合 )
新宮市土建協同組合(松根康隆理事長)は8日、市内5校の新小学1年生187人に防災頭巾220個を贈呈した。市役所別館で贈呈式が行われ、松根理事長らが「子どもたちの命を災害から守るために役立ててください」と速水盛康教育長に手渡した。
市立の小学校では、かつて児童らは教科書を頭に乗せて守り、避難訓練に取り組んでいた。組合は2010(平成22)年5月に創立60周年記念で、逃げるときに両手を使うことができればより安全と市内小学校全児童に防災頭巾を贈呈。「さまざまな工事において、音やほこりなどで迷惑を掛けている市民に対して何かできることがあれば」との思いもあったという。小学校生活を通して使用できるようにと翌年から毎年新1年生に贈り続けており、今回で11年目になる。
速水教育長は「今年は新型コロナウイルス感染症対策で学校が臨時休業になるなどのさなか、明るい話題を提供してくれた。われわれも防災に対して意識を高め、気を引き締めながら気持ちを新たにしていきたい」と感謝を述べた。
(2020年4月9日付紙面より)
令和元年度専修学校・各種学校優秀卒業生市長表彰式が3月30日、新宮市役所であった。新宮料理学院、萩原きもの総合学院の生徒たち7人に田岡実千年市長が表彰状と記念品を贈呈した。
表彰は市内にある各種学校の模範となる卒業生を対象に毎年行われている。表彰式には向井雅男副市長や速水盛康教育長ら関係者も出席。田岡市長は受賞者の努力に敬意を表し、「習得した技能の成果は、これからの長い人生で必ず生かされて役に立ちます。これを契機として、さらに一層究めていけるよう頑張ってください」とあいさつ。
「新型コロナウイルス感染症対策のため、多くのイベントが中止や延期を迫られています。市としては対策を十分に講じ、市民の健康・安全を第一に守っていくことが最も重要。一日も早い終息を祈念しています」と述べた。
受賞者を代表し、新宮料理学院の谷雅美さんは「先生方には基礎からよりおいしくできる方法やこつを分かりやすく教えていただいています。受賞の喜びを胸に指導していただいたことを仕事や生活の中で生かし、人を笑顔にできる料理を作れるようにこれからも学び続けたいと思います」と謝辞を述べた。
(2020年4月1日付紙面より)
青蓮さんが舞を奉納 (熊野那智大社 )
和と洋を融合させた独自のパフォーマンスで国内外から注目を集める青蓮(せいれん)(時広真吾)さんが3月29日、那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)で舞を奉納。「古事記」などから着想を得た自作の衣装3着を身に着けて舞い、多くの参拝客が足を止めた。
毎年、東京都の太子堂八幡神社(畑中一彦宮司)の祭りで舞を奉納しており、宮司同士の縁で今回の奉納に至った。
太子堂八幡神社一同と共に参拝した青蓮さんは、長生殿で熊野の山々を背景に艶やかに舞った。大阪府から訪れた大谷ちえこさんは「フェイスブックで見た時広さんの衣装があまりに素晴らしく、友人2人と駆け付けた。気迫と優しさが感じられ、今の時世のことを祈ってくださったと感じる。途中で空が晴れ、周囲がキラキラとして美しかった」と語った。
時広さんは1990年、オペラ「魔笛」で舞台衣装家デビューし、ミュージカル、劇場、鼓童など数々の舞台で活躍。詩人(中空一)、写真家(八雲浄麿)としても活動している。「『古事記』の衣装は戦に疲れ、病を得たヤマトタケルが能煩野(のぼの)の地で故郷をしのんで歌を詠むという場面に応えて現れたもの。音楽にもハワイ語の『ふるさと』を取り入れました。熊野の神々と熊野を愛する全ての人にささげます」と話していた。
(2020年4月1日付紙面より)
記念講演会や第6回総会 (くしもと9条の会 )
くしもと9条の会が3月29日、串本町文化センターで記念講演会や第6回総会を開いた。記念講演会は当初告知した内容を変更し、パキスタン~アフガニスタンで支援を展開する非政府組織「ペシャワール会」の活動内容に触れて平和を築く気持ちを高めるなどした。
新規会員を得るきっかけとして、総会と対で取り組んでいる研修を一般公開する形で開いている同講演会。当初は第2次世界大戦時に父親を戦死で失った経験を持つ丸山雄史さんを講師に迎えて平和への思いを聞く内容で一般参加を呼び掛けたが、新型コロナウイルスの影響で社会的制約がかかり丸山さんが高齢であることにも配慮して内容を変更することとした。
代替で準備したのは、平和の築き方を考える事例として近年、町内のイベント会場などで情報発信している話題。今回は資料展示と映像資料上映の2系統で活動内容に触れる場を整えた。当日は二胡(にこ)・ギター・マンドリンの三重奏を持ち味とするグループ「彌萬音(やまね)」(西玉博和さん・吉田新次さん・岩城伸一さん)のオープニング演奏で開会。映像資料「アフガニスタン用水路が運ぶ恵みと平和」を一通り鑑賞し、その前後で資料展示も見てもらったという。
その後にくまの平和ネットワーク、市民連合わかやま・くまの、すさみ9条の会の各関係者を来賓に迎えて総会を開き、前年度と本年度の事業関係諸議案を審議。活動の在り方で質疑や意見を活発に交わしつつ承認した。
役員改選もあり、現職全員留任とする事務局案を承認した。本年度も署名とスタンディングを活動の主軸とし、とりわけ署名活動は憲法9条を現政権による改正から守るためさらなる件数獲得を目指す必要があると意思統一。すさみ9条の会から活動報告や提言を受けて取り組む気持ちを高めるなどした。
(2020年4月1日付紙面より)
水害に耐えたソメイヨシノ (新宮市熊野川町 )
新宮市熊野川町相須で2011年の紀伊半島大水害に耐えたソメイヨシノが満開を迎えている。約50年前に平岩明さん(82)が植えた2本のうちの1本で、水害後に知人の勧めで「平岩桜」と名付けた。「唯一生き残った『一本桜』。今年は一気に花が開いた」と笑顔を見せた。
水害時、サクラも頂上まで濁流につかり、丸太などが引っかかって幹に多数の傷が残っていた。「もう1本は倒れてしまったが、川岸の補強用の蛇籠に根を張ったからか、こちらは無事だった。毎年花を咲かせてくれ、神様として祭らなければという気持ち」と語った。
水害では地区のほとんどの家が床上浸水し、平岩さんの家も被害に遭った。裏手の山で雨に打たれながら一晩過ごした際、「雨が星みたいに見えた」と当時を振り返る。現在は自宅跡地をかさ上げした新しい家に妻のアツ子さん、水害後に飼い始めたプードル「元気」らと共に暮らしている。庭にはマンサクも濃いピンクの花を咲かせていた。
(2020年4月1日付紙面より)