消防団が合同放水訓練 (那智勝浦町 )
那智勝浦町消防団(下地将仁団長)の合同放水訓練が27日、那智勝浦町天満の町消防・防災センターであった。町内8分団から44人が参加、他分団との連携による放水の手順を確認したほか、無線による正確な情報伝達も訓練した。
同センターは、4月に運用を開始。同町消防団8分団の合同の訓練は、同センターでは初となる。せっかくの合同訓練であることから、実際に火災発生で連携を取ることもある、1・7分団と2・3分団、4・5分団、6・8分団で合同班を組んで、訓練を実施した。
放水訓練は、消火ホースを250㍍伸ばし、水源から7㍍高い場所で放水を行うというものだった。距離が長く高低差もあるため、ポンプ車から水を送り、中間地点に可搬ポンプを設置して水圧低下を防ぎ、無線で指示を送って目的の場所で放水した。各要所では同町の消防職員が指導した。団員らは、協力して懸命に取り組み、迅速な放水を目指していた。
無線による情報伝達訓練は、四つの火災現場写真のうちの一つを見て、無線で正確に情報を伝えるというものだった。同センター内の3部屋に分かれ、1部屋目の団員が写真を見て「木造平屋の火災で、裏は山、左は空き地、右は建物あり」などと連絡。
2部屋目の団員がこれをメモし、3部屋目へ無線で伝達。3部屋目の団員はこれを聞いてメモを取り、最終的に四つの写真のうちどの火災かを当てた。団員らは正確で簡潔な情報伝達と、メモを取りながらの無線連絡に苦労していた。
下地団長は「今回の訓練で、他の分団としっかりと連携を取れるようになれば。また、技術の向上のため、他の分団ではどういうことをしているかをしっかりと見て、良いところは取り入れて、今後の活動に生かしてもらえれば」と語った。
(2022年11月29日付紙面より)
串本漁港で夜間潜水訓練 (串本町消防本部潜水隊 )
串本町消防本部潜水隊(岩谷大輔隊長、隊員11人)が25日、串本漁港北詰めで夜間潜水訓練に取り組んだ。
この訓練は月に1、2回の頻度で日中に取り組んでいる潜水訓練の成果を夜間に当てはめて実践し、身に付けている技術の発揮や隊員としての士気をいっそう強める目的で年1回実施。今回は内規の定めから1年延長で隊に残り後進の指揮を取り続ける岩谷隊長(41)からの引き継ぎも意識し11人一丸で臨んだ。
訓練項目はスノーケリングによる泳法と垂直潜降、スキューバダイビングによる潜降や浮上と水中での環状検索や横隊検索など。岩谷隊長は陸上から全体指揮を取り、他10人は訓練海域内へ入り日没で夕闇が徐々に深まる中で順次各項目を実践した。
同隊は現状、実働における夜間潜水はしないこととしている。にもかかわらず夜間潜水訓練に取り組む狙いは、暗さや濁りなど視界が極端に制限された水中環境に直面しても互いの位置関係を把握し連携して対応する力を高める点にあるという。岩谷隊長は自分のように年齢制限で抜ける隊員もいれば新たに入る隊員もいることで隊の規模が一定に保たれている点を見据え、この訓練で経験の浅い隊員が深い隊員に少しでも追い付き隊全体として対応力が高まる成果を願いながら適時指導を注いだ。
(2022年11月29日付紙面より)
3年ぶり、タウンガーデンで点灯式 (新宮市 )
新宮市保健センター横の「タウンガーデン」で27日夜、「クリスマスイルミネーション点灯式2022」が開催された。3年ぶりとなった点灯式には市内外から多くの人が訪れ、イルミネーションの華やかな光やステージイベント、飲食・体験ブースなどを楽しんだ。
同点灯式実行委員会(沓澤敦委員長)が主催。同所の花壇を管理する花づくりボランティア「タウンガーデン」(平田裕子代表)会員の高齢化などの理由から、以前より設置作業に協力していた有志らがイルミネーション設置作業を引き継いで今年で6年目。点灯式は15回目で、有志らが引き継いで4回目の開催となった。
点灯式は、サンタクロースに扮(ふん)した大山山学道・立石光正行者らによるほら貝で幕開け。開催に当たり、沓澤委員長は「3年ぶりの点灯式。この3年間は健康について見つめ直すことが多かったと思う。健康は体の健康に目を向けがちだが、心の健康も大事。今夜は元気をいっぱい放出して楽しい思い出を家に持ち帰って」とあいさつ。
会場全員のカウントダウンに合わせて、市立丹鶴幼稚園の植松禅君と下瑚乃羽ちゃんが「魔法のステッキ」を一振り。会場はイルミネーションの華やかな明かりで包まれた。
来賓の田岡実千年市長は実行委員や平田代表ら「タウンガーデン」会員の日頃の協力を伝え「3年ぶりに点灯式が開催でき、多くの市民の皆さんに楽しんでいただけることをうれしく思います」と話した。
同幼稚園児らによるダンスに続き▽F.S.P.A▽HAL CREW▽シャンシャン▽FAL(県立新翔高校バンド)▽あっちゃん’sバンド▽theのの&あづ▽ピアニッシモ&コスモス▽AniAni Hula Studio―らが歌やダンスなどで会場を盛り上げた。
新翔高校の生徒が考案した「マグロカツサンド」をはじめとする飲食の販売やクリスマス縁日などのブースも並び、多くの人が列を作っていた。
会場内にはツリーも設置され、来場者らはそれぞれに願い事を書き込んだ用紙をツリーに飾り付けた。用紙は翌日に護摩だきを行った。
式の最後には豪華景品が当たる菓子まきもあり、会場は終始多くの人の笑顔であふれていた。イルミネーションは来年1月7日(土)までを予定している。
(2022年11月29日付紙面より)
初の「地域医療シンポジウム」 (紀宝町 )
紀宝町地域医療シンポジウム2022―共に学ぶ、優しい街の未来へ―が26日、紀宝町鵜殿の町生涯学習センターまなびの郷で開催された。医療や行政関係者、住民ら約120人が訪れ、がん患者や家族との関わりを考えた。
地域医療と地域包括システムを充実させようと町は10月、町立相野谷診療所に紀宝町地域医療研修センター「KITCHEN(キッチン)」(センター長=森本真之助・相野谷診療所長)を開設。住民への学びや健康普及活動を基本方針の一つに掲げており、一般向けに初めてシンポジウムを開催した。
一般社団法人がんサポートナース代表の片岡幸子さんによる特別講演「小学生から知ってほしい、がんと命の物語」と、医師看護師による質問&トークセッション「聞いてみよう、がんのこと」を企画した。
講演では看護師になった理由や、緩和ケア病棟で働いた日々、思い出深い患者家族とのエピソード、2019年に同法人を立ち上げた経緯を振り返った上で、患者や家族が大切にしていることを自らも大切にしながらケアしていると紹介。「がん患者の最後の苦痛は孤独といわれるが、生きている間に(家族や周りの人に)やれることがたくさんある」とし、患者と話したり、スキンシップをとったり、主治医と良い関係を築いたりすることが大切と伝えた。
「100%死ぬ」ために「あなたが大切にしているものを家族は知っていますか」と問いかけ、「自分が大切にしていることを誰かに伝えておいて。そして、困ったときに相談できる人をつくっておいてほしい」と呼びかけた。
あいさつした森本センター長は、同センター開設の経緯や、今後、年に1~2回程度シンポジウムを開きたいことを伝え「人を育てるという機能を持たせた地域医療研修センター。この場に皆さんが集まってくれたことに感謝し、実りある時間にしたい」と話した。
トークセッションでは森本センター長とくまのなる在宅診療所(井田)医師の濱口政也・副センター長、片岡さん、同法人の緩和ケア認定看護師・佐藤絹代さんが登壇し、来場者の質問に答えたほか、看護師・医師と患者との関わり、医療現場について語り合った。オープニングでは同町の和太鼓グループ「熊野水軍太鼓」が演奏した。
(2022年11月29日付紙面より)
県レスリング新人大会で活躍 (新宮高校 )
県軟連東牟婁支部学童部新人大会
来年のえと「卯」の色紙 (熊野那智大社 )
那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)で来年のえと「癸卯(みずのとう)」の色紙作りがピークを迎えた。男成宮司が直筆で1枚ずつ、色紙に日本がますます栄えるようにと「弥栄(いやさか)」の文字を書き添えている。今月中に1300枚を完成させる予定。
色紙には仲むつまじい親子のウサギと色鮮やかな初日を配した那智の滝が描かれている。原画は8月ごろに完成した。
同社によると、癸卯は恵みの雨によって草木が生い茂り、地面を覆う状態を示す。ウサギは勢いよく飛び跳ね、多産で成長が早く、繁栄の象徴であるとともに、新たな年が飛躍と繁栄の1年となるよう願いが込められているという。
18日は同大社斎館で、男成宮司が色紙に文字を書き入れ、巫女(みこ)が社印を押して仕上げた。
男成宮司は「コロナも3年目。感染はいまだ終息せず、国内でも厳しい状況。新しい1年は災害や感染もなく、皆さまが健康で幸せであることを祈り、描きました」と語った。
社頭での授与は19日から行い、発送は11月下旬からを予定。1枚2000円。送料は2枚以下600円、3枚以上は1200円。申し込みは、はがき(〒649―5301那智勝浦町那智山1、熊野那智大社)、FAX(0735・55・0643)、または同大社ホームページで受け付けている。
(2022年11月20日付紙面より)
各所でオレンジリボン運動 (新宮市 )
児童虐待防止を訴える街頭啓発「オレンジリボン運動」が19日、新宮市内で行われた。新宮市子育て支援センターやわかやま子育てサポートネットワーク、主任児童委員など市子育て支援ネットワーク参加機関の11人が、市内大型スーパー2店舗で児童虐待早期発見を訴えるチラシや啓発グッズを買い物客らに配布した。
厚生労働省では、毎年11月を「児童虐待防止推進月間」と定め、家庭や学校、地域などの社会全般にわたり、児童虐待問題に対する深い関心と理解を得ることができるよう、児童虐待防止のための広報・啓発活動などの取り組みを実施している。
オレンジリボン運動は2004年に栃木県で児童2人が虐待を受け、命を落とした事件をきっかけに、翌年、同県の団体「カンガルーOYAMA」が児童虐待防止を目指して始まった。NPO法人児童虐待防止全国ネットワークなどの協力を得て活動を全国に広めている。
今年の標語は「『もしかして?』ためらわないで!189(いちはやく)」。厚生労働省では、自身が出産や子育てに悩んだとき、虐待かもと思った際には児童相談所虐待対応ダイヤル(電話189)へ連絡するよう呼びかけている。連絡は匿名で行うことが可能。
新型コロナウイルス感染症の影響で3年ぶりとなった街頭啓発では、関係者らが買い物客にチラシとポケットティッシュを配布し、活動趣旨への理解を呼びかけた。
市子育て推進課の嶋田香苗さんは「子どもたちが笑顔で過ごせるように、地域で子育てできる環境をつくっていきたい。お父さん、お母さんのさまざまな悩みが悲しいことにつながっていくケースもある。人ごとではなく、みんなで子どもを守る視点を持っていただければ」と話している。
(2022年11月20日付紙面より)
伝統花火存続のための打上花火 (熊野市 )
3週連続花火のフィナーレを飾る「伝統花火存続のための打上花火」が18日、熊野市の鬼ヶ城を舞台に繰り広げられた。熊野大花火大会の鬼ヶ城大仕掛けをほうふつとさせる彩色千輪や地爆花火が多くの見物客を魅了した。
新型コロナウイルスの影響で2020年から中止となっている熊野大花火大会の伝統存続と花火事業者を支援しようと、熊野市観光協会(中平孝之会長)が主催。8月から9月末にかけて寄付金を募ったところ、目標の1500万円を大きく上回る協力があった。
300年以上の歴史と伝統を誇る熊野大花火は、海上と鬼ヶ城を舞台に、鬼ヶ城大仕掛けや三尺玉海上自爆など全国屈指の花火大会として知られている。
この日は打ち上げ花火で幕開け。彩色千輪は漆黒の秋の夜空を一瞬のうちに極彩色の世界へと変えた。最後を飾った地爆花火は、岩場から花火が扇状に開いた瞬間、光、音の衝撃が七里御浜の砂利浜を震撼(しんかん)させた。
日本一の呼び声も高い爆風とごう音が体中に響き渡り、浜に集まった見物客から拍手と歓声が上がった。
(2022年11月20日付紙面より)
モニターツアーに首都圏から10人 (新宮市 )
新宮市は17~19日の3日間、市内でEバイク(電動アシスト自転車)を使用したモニターツアーを実施した。首都圏から10人が参加。熊野古道・大雲取越や熊野速玉大社、新宮城跡などを自転車で巡り、市内の観光資源を満喫した。
自転車観光の推進を目指し「市自転車活用推進事業」を進めている同市。今年2月、信金中央金庫が実施する地域創生支援スキーム「SCBふるさと応援団(企業版ふるさと納税)」において、新宮信金の推薦により2021年度の寄付対象事業に同市を選定。同事業への活用にと1000万円を寄付した。
寄付金を元に、市では2カ年にわたって事業を展開。本年度はBESV(ベスビー)社製10台、ブリヂストン社製4台の計14台のEバイクを導入した。
行われたツアーは、観光庁の補助事業「看板商品創出事業」として実施。市では大手旅行会社を活用して市内のサイクリングルートの策定および旅行プラン造成を行っており、先日には台湾からの旅行客を対象に実施したという。今回は大都市圏から一般ユーザーを募集。モニターツアーはこれが最後で、市では今後、一般向けの貸し出しを行うとともに、ツアープランの策定などを展開していく。なお、週明けから、市観光協会において貸し出しを開始する予定としている。
古道歩きや滝巡りなどのトレッキングや「瀞峡めぐり」も交えて開催。秋の好天の下、参加者らは市内の史跡や自然を楽しんだ。千葉県から参加した、自転車愛好家の藤田洋治さんは「(高田の)桑ノ木の滝が見応えがあって良かった。新宮市は太平洋岸自転車道の拠点の一つなので、また訪れると思います」と話していた。
(2022年11月20日付紙面より)
町内統一地震・津波避難訓練 (那智勝浦町 )
内閣府と那智勝浦町は5日、南海トラフ巨大地震を想定した「那智勝浦町内統一地震・津波避難訓練」を実施した。町内25地区の住民らが津波から身を守るために近くの高台に避難するとともに、改めて防災への意識を高めた。
和歌山県が2014年に発表した同町の被害想定の死者数は、南海トラフで1万1700人、三連動地震で5200人。「最も重要なことは、地域住民が災害発生時に避難行動を起こすこと」との考えの下、今回は内閣府と共催で訓練を実施した。各区の自主防災組織をはじめ、新宮警察署や和歌山大学も協力した。
訓練は、町内で最大震度6弱を観測する地震が発生し、直後に「大津波警報」が発令され、10分以内に津波第1波が到達し、最大8㍍の津波が襲来するという想定で実施した。午前9時に日本語・英語で地震発生を知らせる放送が鳴ると、自主防災組織のメンバーらの声かけで町民が避難を開始。災害対策本部への避難状況の伝達や町職員への安否確認メール配信も行われた。
町立勝浦小学校では、元自衛官で役場防災対策室の柴田通仁さんによる防災講話と非常用持ち出し袋の解説などもあり、各区の住民らが耳を傾けた。勝浦小学校の5年生44人は防災コマーシャルとしてダンス「こわがりヒーロー」を披露し「3学期の防災学習発表を見に来て」と呼びかけた。終了後には、物資配給訓練として乾パンとエマージェンシーボトルの配布も行われた。
勝浦6区(築地区)の坂井與己区長は「勝浦区の参加者は234人と、区民の15%ほど。今後の課題として取り組んでいきたい」。堀順一郎町長は避難タワーなどの設置で津波避難困難地域の解消に努めていることに言及し「ハード面の整備だけでなく、外国人観光客などのことも想定して今後もさまざまな訓練を実施していきたい。町民の皆さまには、改めて日々の備えの見直しをお願いしたい」と呼びかけていた。
(2022年11月6日付紙面より)
新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」で2日、(公財)佐藤春夫記念会と市教育委員会が主催する「講演・談話・公演『わんぱく時代』の地から」があった。約80人が来場し、佐藤春夫の友人・東熈市(ひがし・きいち)氏の令孫で歌手の東哲一郎さんによる公演や東京大学准教授の河野龍也さんの講演、春夫遺族の髙橋百百子さんと河野さんの談話などを通して、春夫の遺徳をしのんだ。
市名誉市民・佐藤春夫(1892~1964年)の生誕から今年で130年を迎える節目に合わせ、同施設オープニングイヤー事業として位置付けて開催の運びとなった。なお、市立春夫記念館では2023年2月12日(日)まで、実践女子大学との包括連携協定に基づき、同大学の協力を得ながら企画展「『わんぱく時代』の地から―知られざる佐藤春夫の軌跡―」を開催している。
同記念館の辻本雄一館長が司会を務め、速水盛康教育長が開会のあいさつ。東さんが「春夫詩を歌う」をテーマに「海邊の戀」や「秋の夜」「秋刀魚(さんま)の歌」など、春夫の六つの詩に曲を付けて歌声を披露。岩戸崇さんのキーボード演奏に乗せ、ボサノヴァやジャズ、ラテン調などにアレンジし新しい詩の楽しみ方を実践した。
河野さんは「春夫文学の今後」と題して講話。新宮を舞台に、自我の形成史を描いた自伝的小説「わんぱく時代」(1957~58年にかけて朝日新聞で連載)のあらすじを紹介し、現在春夫記念館の企画展で実物が展示されている、少年時代の日記の内容に言及。「当時の日記には文豪としての片鱗が見えない。文学への起源に当たる時期の日記だが、医者を目指してほしいといった父親の目を気にしてか、文学に触れておらず残念」などと話した。
当時の絵地図から「わんぱく時代」の地政学にも触れ、春夫は当時の新宮と熊野地の関係性や土地のイメージを小説に反映していると解説。「町方と地方の伝統的な対立感情を背景にしている。地域の境界に当たる『戸坂』(登坂)の住人である主人公は両地域のパイプ役を担っている」などと説明した。
弱者救済に目覚め、「大逆事件」の犠牲となった転校生の「崎山栄」の人生から「主人公が『こう生きれば良かった』と、もう一人の自分として彼の姿が造形されているのでは」。「危険なところを巧みに回避して生きながらえてきた、罪悪感をもった老詩人が『こういう人生じゃない人生もあったかもしれない』と思いつつ想像力をはせ、少年時代を再現した悲しみの詩」と同小説を読み解いた。
最後には、辻本館長と河野さんが、春夫のおい・竹田龍児と、谷崎潤一郎と千代(後に春夫と結婚)との間に生まれた鮎子の娘である髙橋さんに対して、春夫との思い出などを質問。髙橋さんは文学界から多くの人が駆け付けた春夫の誕生日会について「ごちそうがいっぱいあってにぎやかで楽しかったと記憶している。そうそうたる方がいらしている感覚はなかった」。
春夫と谷崎との関係性については「お互いに意地っ張りだった」と振り返った。
(2022年11月6日付紙面より)
自動運転サービス本格始動 (太地町 )
町営バスが通行できない対象地区で自動運転サービスの実証実験を実施してきた太地町は1日、車両を1台増やし、本格運用を開始した。車両が2台となったことで、運行間隔がこれまでの45分に1回から約20分に1回に、便数が9便から倍の18便となった。運賃は変わらず無料で、実証実験より利便性が大きく向上した。
同町の10月末現在の高齢化率は45・1%で、総人口2903人のうち、高齢者が1308人を占めている。今回の自動運転の導入は高齢者の移動手段確保が主な目的だが、誰もが乗車できる。
同町は、国が行う自動運転やドローンなどの未来技術を活用し、地方創生を目指す未来技術社会実装事業に昨年採択された。
国の「デジタル田園都市国家構想推進交付金」を車両購入に用いた。今年6月から対象区間に電磁誘導線と、車両制御などに必要なタグを埋め込む工事を実施してきた。
対象は暖海、水ノ浦、寄子路、新屋敷、小東、大東の6地区で、区間は3・2㌔(県道1・2㌔、町道2㌔)。車両はヤマハ発動機株式会社のスローモビリティ「AR05」。乗客は4人で、安全確認や手動運転時に操作する運転補助者1人が乗車する。タクシーのように手を上げて乗るフリー乗降制。
同町によると、実証実験時の利用者数は494人。1日平均で9人が利用し、運行率は89・8%となった。役場やスーパー、病院などでの利用が多かったという。利用者満足度の平均は10点満点中、9点以上だった。
複数回利用者もおり、外出頻度の増加につながったとし、自動運転サービスの継続を求める声もあったとしている。その一方で行き先やルートについてサービス拡充を求める声や乗り心地に対する満足度は若干低かったとアンケート結果を示した。
主な変更点は前述の運行に加え、午前の出発時間が8時発から8時22分発に、午後の最終便が午後4時15分発から5時20分発となった。
総務課の和田正希さんは実証実験に関わった近隣住民や和歌山県、新宮警察署、国土交通省、利用者に感謝を述べ「運行していく中で皆さまの声をお聞きし、問題の改善に努めていきたい」。
来年度はエリア拡大も検討しているとし「補助金なども視野に入れ、準備を進めていく。町内外問わず、利用は無料。乗車がまだの方もぜひ気軽にご利用いただきたいです」と話していた。
(2022年11月6日付紙面より)
七里御浜で11、18日も (熊野市 )
熊野市木本町の七里御浜海岸で4日、市による「花火のまち熊野観光PR花火」があり、熊野の秋の夜空を光の大輪が彩った。11日(金)にはPR花火第2弾、18日(金)には市観光協会による「伝統花火存続のための打ち上げ花火」が繰り広げられる。時間はいずれも午後6時30分から。
例年、10万人以上が訪れ、300年以上の伝統と歴史を誇る「熊野大花火大会」が、新型コロナウイルスの影響で3年連続の中止となり、「花火のまち熊野」のイメージが薄れつつあることから、来年の再開に向け、観光客にあらためてアピールするのが狙い。
この日、七里御浜海岸には多くの市民らが集まり、次々と打ち上がる花火を見上げた。秋の夜空を彩る光のショーは約15分続き、人々を魅了した。
11、18日が荒天の場合、PR花火第2弾は12月2日(金)、伝統花火存続のための打ち上げ花火は11月19日(土)に延期となる。
(2022年11月6日付紙面より)
ゆうゆうクラブ芸能大会 (新宮市 )
ゆうゆうクラブ(老人クラブ連合会、上廣正幸会長)は10月29日、新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」で、3年ぶりとなる「『愛の日』ゆうゆうクラブ芸能大会」を開催した。約300人が来場し、年を重ねて磨き上げられた歌声や踊りを堪能した。
和歌山県が制定した「愛の日」(11月15日)に協賛し、会員同士の交流を深め、芸術文化への理解と教養を高めようと毎年開いている。今年で46回目を迎える。
開会式で上廣会長は「昨年完成した市民待望の『丹鶴ホール』で芸能大会を開催でき、会員一同喜びでいっぱい。新型コロナウイルス感染拡大によって3年間近く練習もままならない状況だったが、各教室で一生懸命練習してきた集大成を発表する場です」と喜びを語り「観覧の皆さまは、ぜひ大きな拍手でお応えください」と呼びかけた。
田岡実千年市長は「戦中戦後の困難な時代を生き抜き、市の発展にご尽力いただいた皆さま。市民生活に密着し、高齢者が安心して暮らせるまちづくりに努めていきたい」。市社会福祉協議会の濵前泰弘会長は「長寿社会をより豊かに生きていくためには、さまざまな活動を通じて教養を高め、仲間づくり、生きがいづくりを進めていくことが大切。人生の先輩である皆さまのお知恵を拝借したい」と祝辞を述べた。
和歌山市出身で歌手・女優として活躍する春菜美保さんによる歌謡ショーで開幕。会員たちは歌やダンス、大正琴の演奏、ひょっとこ踊り、フラダンスを披露した。最高齢96歳の会員も出演し、惜しみない拍手が送られた。孫子3世代で構成される「シャルレモリモトファミリーズ」によるエイサー太鼓がエンディングを飾った。
会場では、生きがい教室生徒らによる書道、生け花、陶芸作品や、はつらつ教室生徒の進化絵の展示もあった。来場者らは「赤い羽根共同募金」にも協力していた。
(2022年11月1日付紙面より)
吾妻聖子さんが食育講演会 (新宮市 )
新宮市食生活改善推進協議会と新宮市母子保健推進員会は10月30日、市役所別館で食育講演会を開いた。食育プロデューサー・TVプロデューサー・食コンサルタントの吾妻聖子さんが「疲れない・頑張らない食育」をテーマに講演。約120人が聴講した。
吾妻さんは大阪府出身。3歳から高校卒業まで那智勝浦町宇久井で暮らす。現在は東京でテレビの料理番組プロデューサーをしながら、食や食育のコンサルタントとしても活躍する1児の母。現在、月に1度、本紙にてコラム「疲れない食育」を連載中。
開催に当たり、田岡実千年市長が、食生活改善推進協議会と母子保健推進員会の日頃の活動に敬意を示し「吾妻さんは食と子どもについて独自の研究を進められている。具体的なヒントも頂き、健康づくりに役立てていただければ」。
食生活改善推進協議会の栃尾眞喜子代表は「常にバランスの良い食事を取るのは難しいかもしれない。本日の講演会が有意義なものになることを祈念しています」とあいさつした。
吾妻さんは、食育の資格を取得した経緯や2005年に制定・施行された食育基本法などについて触れ「資格取得の際には『フードマイレージ・フードロス』『栄養バランスを考える』『手作りで加工食品や添加物を避ける』を学んだが、多くの人が仕事も子育ても他の家事もしておりそれができないから悩んでいる」。
資格を取得してみて、新たに▽添加物って本当に怖いのか▽本当に毎日手作りすることが子どもの健康に直結するのか▽子どもの心身を健康にする食育とは―への疑問が湧いたと話した。
日本で使われている添加物は1500品目以上あるとし「避けていくのは至難の業」。添加物の管理方法や、添加物が含まれるうま味調味料、加工品、パン、マーガリンなどの体内における作用を説明し「全ての食品は化学物質でできている。添加物は毒にも薬にもならないが、どんなものも量を間違えると毒になる。目に付いてしまう危険な情報に惑わされないで」と呼びかけた。
「子どもも大人も心身共に健康で前向きになれる」「子どもが成長した後、健康に生きていける」食卓の実現が、自身が目指す食育の目的であるとし、子どもの食育について年代別に解説。「コミュニケーションを取ることが大事」と述べ、共食の重要性などに触れた。
大人・高齢者に向けては「50代以上の人が『食のトレンド』を追うのは低栄養を招く危険性がある」。
「作った食事を写真に撮って交流サイト(SNS)などに載せることが日々の励みになる」とし、インターネットスキルを上げることも効果的とした。
「子どもも大人も食事はコミュニケーション。楽しく笑って食事をすることが意識や肯定感の向上につながる。食育は何を食べるかよりどう食べるか。子どもにとってはお母さんの笑顔が何よりの食育だと思う」と講演を締めくくった。
(2022年11月1日付紙面より)
三尾川小招き「海の教室」 (勝浦海事事務所など )
国土交通省近畿運輸局勝浦海事事務所(中川洋所長)など主催の青少年対象行事「海の教室」が10月28日に串本町内であり、古座川町立三尾川(みとがわ)小学校(中井清校長、児童6人)が招待を受け魚類養殖の現場や潮岬灯台を巡るなどした。
この行事は同事務所と紀南海運協会、近畿海事広報協会が主催。青少年に海への関心を高めてもらう目的で同事務所管内の小学校に参加を呼びかけていて、本年度は4校が順次招待を受ける流れとなっている。
この日は2校目の実施で、大島港で三尾川小と合流し主催者を代表して同事務所の名越正典次長が海と人との関わりを楽しく学ぶよう願い出て歓迎。午前は有限会社岩谷水産協力による海の仕事講座で、船でブランド魚「紀州梅まだい」やクエの養殖いけすを見学し餌やりを体験するなどした。望楼の芝で昼食休憩し、午後は南紀熊野ジオパークセンターと潮岬灯台を見学。同パークガイドや同灯台の航路標識協力団体「燈光会潮岬支所」の阿部千穂支所長から説明してもらい質問をするなどして学びを深めた。
一通りの見学を経て名越次長は「今日経験したことをおうちに帰ってお話しして、海のことを好きになってくれたら」と期待を寄せ、児童は「見るのが初めての所がたくさんあって、自分は海のことを知っていると思っていたけれど発見が多かった」「今日はいろんな海の知識が得られた。養殖の現場を見たり餌をあげたりするのも初めてで、この経験を生かしてもっと賢くなりたい」などみんなで感想を発表して招待に感謝した。
1校目は串本町立串本小学校で5、6年生が10月6日に参加。3校目は串本町立出雲小学校で4~6年生が11月11日(金)に町内で、4校目は串本町立西向小学校で4、5年生が11月24日(木)に那智勝浦町・太地町でそれぞれ参加予定となっている。
(2022年11月1日付紙面より)
太田の郷でフリマ盛況 (那智勝浦町 )
那智勝浦町南大居の交流センター「太田の郷」で10月30日、「ハッピーハロウィーンフリーマーケット」があった。43店舗がスイーツやハンドメードアクセサリー、食器、雑貨、地元産の農作物などを販売し、町内外から大勢の親子連れでにぎわった。
地域おこし協力隊や集落支援員が企画したのが始まりで、例年春と秋の2回、フリマを開催している。
今回は仮装して参加した来場者や出店者にお菓子やドリンクのサービスがあり、カボチャおばけ「ジャック・オー・ランタン」や魔女、プリンセス姿の子どもたちの姿が見られた。ミュージックカフェスタジオネイバーフッド&Hiroya主催の音楽ステージもあり、コーラスや昭和歌謡フォークデュオが会場を盛り上げた。
家族6人で訪れた中村日葵さん(鵜殿小3)は「仮装は魔女。スコーンとクッキー、ポップコーンを買った。たこ焼きも食べたいな」と話していた。
(2022年11月1日付紙面より)