三佐木蜂伏地区でボラセン設置訓練 (新宮市 )
新宮市社会福祉協議会は21日、三佐木蜂伏地区災害ボランティアセンター(以下ボラセン)設置訓練を実施した。三輪崎・佐野・木ノ川・蜂伏地区の民生委員、福祉委員、各区役員、光洋中学校・新翔高校の生徒、教師ら78人と社協職員11人が参加。有事に備え、ボラセン立ち上げおよび運営に係る流れを確認した。
ボラセンとは、地域などでボランティアに関する事務を行い、ボランティアの活性化を図る組織。
2007年より毎年ボラセン設置訓練を実施している市社協では、紀伊半島大水害(11年)当時、ボラセン立ち上げや被災世帯への支援活動に生かすことができた教訓を基に、住民主体の「災害時にも強い地域づくり」構築のために当該訓練を実施。今回は新型コロナウイルス感染拡大予防の観点から住民らの参加を取りやめ、三輪崎・佐野・木ノ川会館の3会場をリモートでつないで訓練に取り組んだ。
訓練開始に先立ち、佐野会館では前田道春区長が「最近、新型コロナに気持ちが向いているが大規模災害は必ず来る。その際は後方支援に回っていただけるよう訓練を」。
市社協の大谷康央事務局長は「リモートで会場を三つに分散しての訓練は初の試み。訓練をすることによって地域につながりができ、有事の際に力を発揮できると思っている」とそれぞれあいさつ。
紀伊半島大水害DVDを視聴したほか、和歌山県社会福祉協議会の南出考さんが「講話・災害ボランティアセンターについて」と題し講話した。
訓練では、3日前の午後3時に紀伊半島沖を震源とするマグニチュード8・0、震度7強の地震が起こり、地震による家屋の倒壊(三輪崎・佐野・木ノ川・蜂伏)や津波による浸水被害(三輪崎・佐野)、土砂災害(木ノ川・蜂伏)が発生。道路も寸断されているといった状況を想定し、ボラセン設置に取り掛かった。
各会館入り口で受け付けを済ませた参加者らはそれぞれ班に分かれ、活動の留意事項の説明を受けた後、ボランティア依頼内容に沿って必要な資機材や車両を調達。
コロナ禍の状況の中、実際に被災者役の自宅への訪問は取りやめとし、活動報告書を基にグループワークを展開した。活動状況と活動継続の有無をスタッフに報告するなどして一連の流れを確認。有事に備え体制の構築を図った。
(2021年11月25日付紙面より)
高規格救急車を配備 (那智勝浦町消防本部 )
那智勝浦町消防本部は22日、同本部庁舎で高規格救急車の配備式を開いた。今回の救急車は新型コロナウイルスをはじめとする感染症予防対策強化が図られた構造となっており、高規格救急車は3台目。堀順一郎町長から湯川辰也消防長にキーのレプリカが渡された。
配備された救急車はトヨタ製の四輪駆動車。全長5・66㍍、幅1・89㍍、高さ2・5㍍。総排気量2693㏄。定員は7人。
他の車両と比較し、同車両は▽ストレッチャー架台が洗浄可能▽傷病者室にオゾン発生装置およびオゾンガス濃度計が設置▽運転室と傷病者室の間に間仕切り設置―などを備えている。
さらに救急救命士による心肺機能停止傷病者への器具を用いた気道確保などの特定行為だけでなく、適切な救命処置をしながら医療機関へ搬送するために傷病者室は広さを確保しているという。
新型コロナウイルス関連緊急事業で車両と積載する資機材が整備され、総事業費は3322万円。
堀町長は「さまざまな救命に役立つ車両や資機材の導入により、コロナを心配する患者さまなどにも安心して乗車いただける。各業者さまにも感謝しております。消防職員の皆さまも安心して業務に取り組めるのではないかと思います」。
湯川消防長は「コロナ禍の中、感染対策を強化した高規格救急車の配備、誠にありがたい。改めて、感染症対策の徹底を図るとともに日々、訓練を重ねて町民の安心安全を守るために職員一同、一丸となって取り組んでいきます」と感謝と抱負を述べた。
(2021年11月25日付紙面より)
「本気フェス」にぎわう (那智勝浦町 )
那智勝浦町立図書館は23日、同館駐車場で「本気(マジ)フェス~本とラクガキと~」を開催した。古本市やさまざまなワークショップが催される中、多くの家族連れや図書館ファン、読書愛好家でにぎわった。
同図書館が主催する地域交流イベントの一環で昨年に引き続き2回目。本と図書館を通して交流を図ってもらうことが目的で、催しを通して図書館に足を運んでもらうきっかけづくりも兼ねている。
好天に恵まれたこの日、駐車場には一般人が当日だけの古本店主となる「一箱古本市」が並んだほか、「しおりづくり」「読書手帳づくり」「新聞エコバッグ」の各種ワークショップも開催。駐車場地面を開放して実施された「ラクガキであそぼ」では、子どもらが色とりどりのチョークを用いて地面にお絵かき。会場は真剣な表情で古本を選ぶ大人や、工作などに熱中する子どもらの姿であふれた。
図書館関係者は「新型コロナウイルス感染症の影響で交流イベントがなかなか開催できない状況が続いた。現在、感染状況が少し落ち着いている中、感染対策を講じながら開催することができた。図書館、ボランティアの皆さん、古本店主さん、ご来場された方々。みんなが楽しいと感じていただけるとうれしいです」と話していた。
(2021年11月25日付紙面より)
熊野那智大社で新嘗祭・献穀講祭
那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)は23日、「新嘗祭(にいなめさい)・献穀講祭(けんこくこうさい)」を営んだ。
新嘗祭は古くから伝わる宮中儀式の一つで、天皇陛下がその年にとれた五穀を神々に供え、自身も食して収穫を感謝する祭り。
同大社でも神前に新しい穀物などをささげ、農作物の恵みに感謝した。責任役員や町内の農家からなる献穀講員ら26人が参列し、五穀豊穣(ほうじょう)を祈った。
祭りでは男成宮司が祝詞を奏上し、正装した2人の巫女(みこ)が「浦安の舞」を奉納した。献穀講代表の太田博久さんらが玉串をささげた。
太田さんは「新型コロナウイルス終息と紀伊半島大水害からの早期復興を願っています」と語っていた。
(2021年11月25日付紙面より)
那智勝浦町総体軟式野球
グラウンドゴルフかつうら大会 (県年金受給者協会 )
新宮市スポーツ祭典バドミントン競技
新宮、王子、アルマは敗れる (全日U―12サッカー和歌山県大会 )
東大文学部熊野プロジェクト (新宮市 )
新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」2階熊野エリアにこのたび「東京大学文学部熊野プロジェクト新宮分室」が設置される。20日に東京大学本郷キャンパスで連携協定締結記念行事・木製看板(幅20㌢×縦60㌢)の引き渡しがあり、田岡実千年市長が藤井輝夫東京大学総長より看板を受け取った。
今年3月22日、相互に連携協力することにより次世代人文学の構築、市・熊野地方における学術の振興と地域活性化に資することを目的に、連携協定を締結した同市と東京大学大学院人文社会系研究科・文学部。
このたびの新宮分室の設置は協定に基づくもので、分室には毎年数カ月程度、大学の地域連携担当の助教が来室し、同市と▽東大学生の熊野地方における体験活動▽東大院生・留学生の熊野研修および若手フォーラム▽「東大人文・熊野フォーラム」ならびにセミナー、ワークショップ▽東大教員、外国人訪問研究者による講演、セミナー―などの活動が計画されている。
看板の引き渡しおよび連携協定締結記念「東大人文・熊野フォーラム in 本郷」における各研究報告の様子はオンラインで配信された。
開催に当たり、秋山聰・人文社会系研究科長が締結と分室設置に至った経緯などを説明。「熊野地方が人文学にとって豊かな地であると痛感している。学生諸君がいろんな体験をするのにもふさわしい場所」。分室設置に関しては「市民の皆さんとより密接な対話ができる機会をつくっていきたい」と述べた。
田岡市長は「東大の皆さんによる活動が計画されていることを喜ばしく感じる。連携活動を通じて、熊野学の充実に一層努めていきたい。分室を拠点に、実り大きい成果が上げられることを期待している」。
藤井総長は「さまざまなものを受け入れてきた熊野地方は、ダイバーシティ(多様性)、インクルーシブ(社会的包摂)を古くから実践してきた場所。協働することで豊かな対話が生まれるのでは」とそれぞれあいさつ。
大西克也・前研究科長は「大阪府で育った自分は、幼い頃から熊野の山々には憧れの気持ちを持って眺めていた。在任中にこのような協定が締結できたことを個人的にもうれしく思っている」。
国際熊野学会の山本殖生代表委員は「熊野の魅力を学術的に証明していくことは難しい。ご指導いただき、熊野の魅力を国際的、学術的に研究を進めていければ」と述べた。
(2021年11月21日付紙面より)
観光機構が登録DMOに (那智勝浦町 )
那智勝浦観光機構(NACKT)は4日付で申請を行っていた観光地域づくり法人(登録DMO)に登録されたことを発表した。登録DMOとなったことでは今後、機構は国からの国庫補助金をはじめとするさまざまな支援を幅広く受けることが可能となった。
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観光庁によると、DMOは地域の多様な関係者を巻き込みつつ、科学的なアプローチを取り入れた観光地域づくりを行うかじ取り役となる「観光地域づくり法人」とされている。
日本版DMOは地域の稼ぐ力を引き出すとともに、地域への誇りと愛着を醸成する「観光地経営」の視点に立った観光地づくりの司令塔となる組織。
多様な関係者と協働しながら明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための戦略を策定し、その戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人だ。
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昨年10月に候補DMOに登録された機構。その後、「宿泊」「飲食」「文化財・歴史」「観光資源・体験」「物販・特産品」「交通」「施設・環境整備」の七つの専門部会の設立や会員(サポーター)組織を創設。町内外関連組織との連携を図るとともに、さまざまな調査を行い、広報や各種プロモーション、マーケティング、イベント開催などの事業を展開してきた。
登録DMOとなったことで、国から補助金や情報提供、体制強化、事業などの支援が受けられるという。
機構は「観光で稼ぎ、潤う町へ」を実現するために、「那智勝浦町の観光地域づくりのかじ取り役として、官民さまざまな団体・事業者と連携し、必要な役割を担えるよう、引き続き取り組みを進めていく」と話している。
先日、開かれた臨時議会において、堀順一郎町長は「今後、那智勝浦町の観光振興の旗振り役となるべく、地域の皆さまと一緒に活動を進めてまいります」と抱負を述べていた。
同町在住の60代女性は「コロナ禍も少しずつ落ち着いてきた。今後はこれまで通りのやり方ではいけないと思う。町が元気になるように努力してほしい」。
40代男性は「たくさんの支援が受けられると聞いた。努力してくれているのは分かっているので今後に期待したい」と話していた。
(2021年11月21日付紙面より)
生活支援コーディネーター実践研修会 (新宮市 )
和歌山県が実施する令和3年度第2回生活支援コーディネーター実践研修会が18日、オンラインで開かれた。県内の各市町村が参加する中、新宮市では市職員や市社会福祉協議会職員、市の協議体である「チームくまのがわ」と「わがら広角」、福祉委員や民生委員らが出席。研修会では講義や事例の発表があり、参加者は生活支援サービスの重要性や地域の役割について学びを深めた。
研修会は市町村が生活支援コーディネーターを設置するに当たり、市町村関係職員などがコーディネーターや協議体の役割などを習得することが目的。第1回の研修会は5月に実施。同市では市役所別館に「チームくまのがわ」、市福祉センターに「わがら広角」が集まり、参加した。
NPO法人全国コミュニティライフサポートセンターの池田昌弘理事長が「生活支援サービスの立ち上げと運営方法について」を講義した。神奈川県や長野県などの事例を紹介し、生活支援サービスの成り立ちと住民や地域の変化などを解説。特技や趣味、経験を生かすことや、生活支援サービスは多様であるとし、地域全体で取り組むことの重要性も訴えた。
事例発表では、橋本市の「ささえ愛高野口」や上富田町の有償ボランティア「たすけあいくちくまのステーション」、印南町の「奥真妻活々倶楽部」の担当者が発足経緯や活動、有償ボランティアなどの取り組みについて詳細を説明した。
参加者らは各グループで意見交換後、オンラインで「都市部で活動が広がらない」「有償ボランティアの増員はかなり苦労がある」「担い手づくりが課題」などの報告を行った。
池田理事長は「住民の負担をかけないようにせかすことなく進めることが大切。困り事や課題を直球で解決することだけが正解ではない。広い視野で活動し、つながることから始めれば巡り巡ってサービスにつながっていく」と締めくくった。
市内で2組織目の協議体として、今年発足したばかりのわがら広角の中野末子さんと田中みちよさんは「研修会は自分たち自身の勉強になった。助けてもらう方が気兼ねなく頼めるように、少額のお金を頂く有償ボランティアを導入するほうが互いにとって良いかもしれない。皆さんで相談して進めていきたいです」と語った。
(2021年11月21日付紙面より)
部分月食、熊野地方でも
月の一部が地球の影に入って欠けたように見える部分月食が19日、国内で観測された。国立天文台によると、今回は月の直径の97・8%が地球の影に入るのが特徴。欠けた部分が真っ暗になるのではなく、皆既月食に似て赤銅色に輝いた月が夜空に浮かんだ。
当地方では、午後4時48分ごろにはすでに月食が始まっていたがあいにくの雲で、食の最大となる午後6時2分ごろに薄雲を通して確認することができた。
時間がたつにつれて雲がなくなり、月は食の影から顔を出して明るさを増した。写真は雲が薄くなる時を見計らい、約10分おきにシャッターを切り、食の変化を合成したもの。食の最大時間の画像は薄雲がかかっており、ぼやけている。
次に国内で月食が見られるのは皆既月食となる来年11月8日。今回と同様、ほとんどが影に入る部分月食は2086年11月21日まで待たなくてはならないという。
(2021年11月21日付紙面より)
新宮地方建設業協同組合が寄贈
新宮地方建設業協同組合(海邊俊行理事長)は18日、新宮市佐野の新宮港佐野旅客上屋にバイオトイレを寄贈した。寄贈式には同組合員や新宮市、東牟婁振興局新宮建設部職員らが出席。海邊理事長が鈴木伸幸建設部長に目録を手渡した。
クルーズ船などが停泊する同所にはトイレがなく、これまではクルーズ船が来航するたびに市が簡易トイレを設置していた。
そういった状況を鑑み、また地元の魅力発信や地域貢献、建設業のアピールなどの観点からこのたびの寄贈を決めた同組合は、環境にも配慮した、自己処理型のバイオトイレを選択した。
バイオトイレは水を使用せず、好気性バクテリアで便やトイレットペーパーを微生物処理するトイレ。微生物処理に快適な温度、酸素、水分のバランスを自動制御で管理する。菌床にはそば殻が使用されている。
トイレは小便器と洋式トイレ、手洗い場がセットになった1基で、手洗い場も雨水を利用した雨水手洗装置が採用されており、清掃時以外に水を使わない仕様となっている。
寄贈を受け、鈴木建設部長は「今年の春に海邊理事長に(寄贈の話を)相談させていただいたところ、早急に対応いただき今日の寄贈式に至った」と感謝。「新宮建設部においては東牟婁地方の社会資本の整備を担当している。まだまだ至らないところはたくさんあると思うが、早急に整備が進むよう努めたい」とあいさつした。
同港を管理する市からは、新谷嘉敏企画政策部長があいさつ。「立派なトイレを寄贈いただいた。新型コロナウイルス感染症も落ち着きを見せ、今後もクルーズ船の入港が予定されている。来港いただいた際にご利用いただけるよう管理に努めていきたい」と述べた。
海邊理事長は「寄贈場所については市、振興局と相談しながら検討してきた。公園や施設関係にはほぼトイレがあるが、クルーズ船が着く新宮港にはトイレがなく盲点だった。せっかく寄贈するのだから、と環境にも配慮したバイオトイレに決定した」と寄贈に至った経緯などを説明した。
市によると、同トイレは今後手すりを付けるなどしてバリアフリー化していく予定。なお、トイレの利用はクルーズ船離着岸時のみとなる。
(2021年11月20日付紙面より)
農福考える「くまの里山」 (那智勝浦町 )
和歌山県の「耕作放棄地再生活動協働モデル事業」を活用し、休耕地の再生に取り組む那智勝浦町高津気の「くまの里山」(西美恵子代表)は13日、高津気地区の畑でタマネギの定植体験を開いた。約8000本の苗が用意され、集まった栽培オーナーやその家族など約30人が楽しみながら苗植えの作業に取り組んだ。
「くまの里山」は2007年に組織された「高津気竹灯りの会」が母体。農業を身近なものとし、里山に残る食文化や先人の教えを次世代につなぐとともに、耕作放棄地の再生と里山の保存のために活動している。
農作物の栽培のほか、地区内のしし垣の整備や保全、地元食材を用いた漬物講習会、ジャガイモや落花生の栽培も行っている。
この日は家族連れなどの参加者が会員らと交流を図りながら、苗を植えて水やりを行った。懸命に苗植えを行っていた子どもたちは「いっぱい植えた」「ここも植える」と元気いっぱい作業に汗を流した。
くまの里山によると、今年の苗は良いとし、作り始めて8年目にして手応えを感じているという。収穫は来年5月上旬を予定。それまでの世話は会員らが行う。
西代表は「おいしいという声を頂けるのでやりがいがある。落花生やジャガイモにも力を入れていく。今後は会員制交流サイト(SNS)のノウハウを学び、情報なども発信してきたい。そうすることで、耕作放棄地をなくすことにつなげていきたい」と語った。
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くまの里山はこれまで、農作業などに率先して取り組んできたが、高齢化などの影響から、参加が難しくなった会員もいるという。
しかし、その会員らも、体験参加者への振る舞いを作ったり、受付係をするなど、これまでとは違った形で活動に協力し、生きがいを創出している姿が見られた。
西代表は「高齢化や足腰が悪くなり農作業に参加したくても参加できない方もいらっしゃるが、違った形で協力してくれているのでありがたい。互いにさまざまな形で支え合って里山を守ることは、あるべき『農業と福祉の連携』の姿のような気がします」と語った。
(2021年11月20日付紙面より)
高い防災意識など評価受ける (紀宝町 )
紀宝町の津本地区自主防災会(谷口昌宏会長)が本年度の「みえの防災大賞」に選ばれた。
災害に強い三重づくりを目的に2006年度から実施し、本年度は県内13団体から応募があった。津本自主防は、これまで「みえの防災奨励賞」「みえの防災特別賞」を受賞。今回は「常に高い防災意識を持ち合わせ、町の自主防災組織のリーダー的存在として、今後も地域において防災活動の進展が大いに期待される」と評価を受けた。
紀伊半島大水害後の12年に発足。防災訓練や炊き出し訓練、子どもから高齢者までの幅広い世代を対象にした防災講話などを継続して開催し、地域の防災力向上に努めてきた。子どもから高齢者までが楽しく防災を学ぶ「防災チャレンジ大運動会」も開いてきた。
16年には「地区タイムライン」を作成し、町と連携を図ってきた。昨年は、7月に新型コロナウイルスに対応した避難所開設・運営訓練を実施、9月には町に記録的短時間大雨情報が発表されたことを受け、小中学生に聞き取りをし、危険箇所にポールコーンを設置した。
谷口会長は「皆さんのおかげで受賞することができました。防災は訓練の積み重ね。これからも住民の皆さんと共に訓練を続けていきたい」と話していた。12月5日(日)に桑名市で開催される「みえ地震・津波対策の日シンポジウム」で表彰式が開かれる。
(2021年11月20日付紙面より)
ナベヅルとつかの間の休息 (那智勝浦町 )
那智勝浦町中里の水田に16日、国内でも目撃例の少ないナベコウが飛来した。ナベコウは2羽のナベヅルと共に餌をついばむなどして、つかの間の休息を取った後、再び大空へと飛び立っていった。
ナベコウはコウノトリ科コウノトリ属に分類され、シベリアや中国北部、朝鮮半島で繁殖し、インドや中国南部で越冬する。日本国内では冬季まれにだが、九州や沖縄などの西日本で迷行するという。
ナベヅルは中国東北部とロシアの境を流れるアムール川流域などで繁殖し、秋・冬は西南日本や韓国南部、中国揚子江流域などで過ごす。世界での生息数は1万4000~1万6000羽と推定されており、鹿児島県の出水地域でその8~9割が越冬しているとされている。
和歌山県立自然博物館によると、県内へのツル類の飛来は少数だが、毎年確認されているとし、夏場に過ごす生息地よりも南(赤道側)の温暖な地域に移動し、寒い冬を乗り切るため、餌が取れる環境を求めてやって来るという。
しかし、ナベコウについては、和歌山県鳥類目録(2009年版)で記録がないとし、国内での目撃例もかなり少ないため、同町で確認できたことはかなり珍しい事例ではと見解を示している。
同館の鳥類・哺乳類担当学芸員の佐々木歩さんは「ナベコウが渡来する理由は説明できないが、越冬地へ向かう途中でたまたまこの場所で休んでいるのか、ナベヅルがいることに安心してこの場所を採食場所として利用しているのかなどと考えている」「ナベヅルもナベコウも採食場所として水田や畑、河川、河口などの開けた場所の水場を好む。残念ながら近頃は干潟の埋め立て、護岸整備や宅地化が進んでいるため、これらの場所を好む鳥類も徐々に見られなくなっていくかもしれません」と語った。
(2021年11月20日付紙面より)
新宮市民スポ祭弓道競技の部
建武館創立120周年近畿剣道大会 (三輪崎剣道クラブ )
【第43回】食育のバロメーター
「食育って、やっているつもりだけど、これでいいのか、本当に身に付いているのか不安です」。最近こんなご相談を受けました。食育は子どもの自己肯定感を上げ、将来の健やかな食意識をつけてもらうためだと私は思っているので、日々の学習を確認するテストのように、進捗(しんちょく)を確認する必要はないと思っています。
でも、その不安な気持ちもよく分かります。そこで、私はこうお答えしました。「お子さんが、食事を楽しみにしていたら成功の印ですよ」。子どもが食事を楽しみにする、というのは食育においてとても大切なことです。では食事を楽しみにする子どもには、どんな特徴があるのでしょうか? 最新の論文によると、その特徴は三つあります。
まず一つ目は「食欲がある」これは当然といえば当然ですね。食べたいから、食事が楽しみということです。でもこの食欲は、体調と大きく関係しています。睡眠不足や、日光に当たらず体内時計が狂うと、食欲はなくなってしまいます。おなかがすくということは、規則正しい生活・きちんとした食事のリズム・そして間食を取りすぎないなど、健やかな生活ができている証しでもあるのです。
二つ目は「好き嫌いが少ない」ということです。偏食は厳しく叱責(しっせき)する必要はありませんが、諦めることもよくありません。あまり好まない食材も、食卓に出して、「おいしいよ」と声を掛けてあげてください。そしておいしそうに食べてみせてあげてください。そうした経験が警戒心を解き、食べてみようかなという気持ちにつながります。食べられるものが増えると、食事は楽しくなるはずです。
三つ目は「よくかんでいる」ということです。それでいて、ダラダラ食べる子は少なかったという結果が出ています。よくかむことで、よく味わい、おいしさを発見することができます。以前もこの連載で書きましたが、かむことにはメリットしかありません。さらに、よくかむことは食事の楽しさと関係することが今回の研究で分かったということですね。
食事が楽しいという子どもは、どの研究を見ても、自己肯定感が高く、何事にも前向きで、家族関係も良好だということが分かります。そして、楽しい食事は食経験として子どもたちの未来を、確実に明るくしてくれるはずです。
食育がうまくいっているかどうかは、食の知識を増やすということではありません。子どもたちが、毎日のご飯を楽しみに生活し、食卓で自分の居場所を再確認することができるかどうか、ということなのです。もしもあなたが、「食育できているかな?」と不安になったら、お子さんに「ご飯の時間は好き?」と聞いてみてください。
最初にまず、家庭での食育が目指すところは、「ご飯を食べる時間が好き!」と言ってもらうこと、これに尽きると思っています。逆に、食事が好きと言ってもらえたら、食育の8割は成功しているのです。
(2021年11月20日付紙面より)