孔島鈴島で例大祭 (新宮市 )
新宮市三輪崎の孔島(くしま)嚴島(いつくしま)神社と鈴島蛭子(えびす)神社で18日、例大祭が営まれた。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から関係者のみが参列し斎行。孔島・鈴島保護委員会の井上元和委員長や中村武・三輪崎八幡神社氏子総代会長、屋敷満雄三輪崎区長らが航海の安全や大漁、新型コロナ早期収束などを願い玉串をささげた。
孔島嚴島神社の主祭神は海路を守護する神として信仰を集める市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)。鈴島蛭子神社の祭神は漁港を見守る大漁の神である蛭子命(ひるこのみこと)とされている。孔島と鈴島は南紀熊野ジオパークを構成するジオサイトに認定されており、孔島嚴島神社の石造物は、2017年に日本遺産「鯨とともに生きる」に追加登録されている。
毎年、大勢の地域住民が参加している餅まきは、新型コロナ情勢を踏まえおととし、昨年に引き続き今年も中止に。熊野速玉大社の佐藤仁迪(ひとふみ)権禰宜(ごんねぎ)が斎主を務め、しめやかに神事が営まれた。
井上委員長は「今日は風が強いが雨も降らず、天候に恵まれて良かった。本来なら多くの地域住民にご参列いただき、美しい三輪崎の海を見てもらいたいが仕方ない。大漁と新型コロナの一日も早い収束を祈りました」。
孔島・鈴島や周辺の自然保護を主たる目標に定めて活動を展開する同委員会。井上委員長は「漁協組合職員が美化活動に協力してくれておりありがたい限り。しかし、同所に流れ着くプラスチックごみは後を絶たない。一人一人の意識が大事。ポイ捨てはやめてほしい」と話していた。
例大祭は毎年、旧暦の3月18日に営まれている。
(2022年4月19日付紙面より)
古座小前で取り締まり (新宮警察署 )
串本町中湊、串本町立古座小学校正門前で18日早朝、新宮警察署による可搬式速度違反自動取締装置(通称・可搬式オービス)を用いた速度違反の取り締まりがあった。
通学路における通行車両の交通法令順守意識の向上、ひいては通学する児童を保護することが目的。同署は管内にある学校の第1学期始業に合わせてこの取り締まりを始め、ほぼ連日の実施で目的の推進を図っているという。
古座小正門前の県道は法定速度(自動車の場合は毎時60㌔)が適用されていて、利用者相互の配慮が交通事故の抑止に大きな役割を果たしている。同装置による取り締まりを要する状況はほぼないと判断し、この日は車両通行を妨げずかつドライバーから目に付きやすい位置に同装置を配置し警察官3人も同装置横やその周囲で姿を見せるなど、ドライバーの意識喚起に重点を置き登校時間帯に合わせて活動した。同時に日々の交通状況をじかに見届け、交通安全面での課題を探ることにも努めていた。
(2022年4月19日付紙面より)
目覚山水底神社で明神祭 (那智勝浦町 )
大漁と海上安全を祈願する明神祭が17日、那智勝浦町宇久井の目覚山(めさめやま)水底(みそこ)神社で営まれた。参列者は海上安全や地域の発展などを祈願した。
同神社の御神体は獅子頭、社殿横の大きな岩、蛇など複数の説がある。このうち蛇については、1286(弘安9)年5月に伊勢方面から入港する船に乗り込み、目覚山に鎮座したと伝えられる。社殿は1961(昭和36)年に造営されたが、90(平成2)年の9月から11月にかけて上陸した4回の台風で全壊。今の社殿は92(平成4)年4月に竣工(しゅんこう)した。
祭りは旧暦3月14日の前の日曜日に開かれるという。かつては船主が祭主となり、後には宇久井神社宮司に受け継がれてきたが、95(平成7)年度からは区が実施している。神社には中路進総区長をはじめ、宇久井漁業協同組合、宇久井青年会、区の役員や漁業関係者など、合わせて約20人が参拝に訪れた。
神事は熊野那智大社から出仕した神職によって営まれた。今年は、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、宇久井青年会による獅子神楽の奉納はなかった。参拝者一人一人には「目覚山神符」と餅が配られ、それぞれが安全操業の誓いを新たにした。
中路総区長は「海上安全や大漁祈願、地域の発展に加えて、新型コロナウイルス終息も祈願しました。近年は一般参拝者が減っていることを懸念している。目覚山は素晴らしい場所なので、ぜひ区民の皆さまにも知っていただけたら幸いです」と話した。
(2022年4月19日付紙面より)
ラ・フェスタ・プリマベラ (新宮・東牟婁 )
クラシックスポーツカーの公道ラリー「ラ・フェスタ・プリマベラ2022」が15~18日に開催された。16日には56台が出走し、那智勝浦町のブルービーチ那智、太地町立くじらの博物館、串本町の潮岬観光タワーを通過。ランボルギーニ(イタリア)やジャガー(英国)、ポルシェ(ドイツ)などの名車を一目見ようと集まった地域住民らが、沿道から旗を振って歓迎した。
「古いものに敬意を」「いくつになっても心・少年」「イベントに関わる全ての人と友情の輪を広げる」の精神の下、2009年に始まったイベント。毎年春に開催されることから、イタリア語で春を意味する「プリマベラ」の名を冠している。株式会社フォルツァ主催。
今年のラリーは愛知県名古屋市の熱田神宮をスタートし、2府5県の約1250㌔を走ってゴールの京都府京都市の岡崎公園へ向かう。
16日は好天に恵まれ、ルーフ(屋根)をオープンにしたクラシックカーが潮風を受けて沿岸部を疾走。ブルービーチ那智のチェックポイントでは、地元の観光パンフレットや那智黒あめなどの土産を受け取った。
普段は目にすることのないクラシックカーの姿に、地元の子どもたちも大喜び。武内弥那人(みなと)君(勝浦小2)は「車が大好き。5番や33番の車がかっこよかった」と笑顔で話していた。
(2022年4月19日付紙面より)
18歳からカーローン可能に (新宮信用金庫 )
成人年齢を20歳から18歳に引き下げる改正民法が1日、施行された。新宮市大橋通に本店を置く新宮信用金庫(浦木睦雄理事長)では、「カーライフプラン」(マイカーローン)の契約の対象年齢を18歳以上に引き下げた。
これまで▽1人暮らしの部屋を借りる▽クレジットカードを作る▽高額な商品を購入したときにローンを組む―といったとき、未成年者の場合は親の同意が必要だったが、民法の改正により18歳以上で親の同意がなくても上記契約や進路決定などが自分の意思で行うことが可能となる。
そんな中、多くの金融機関が返済できなくなるリスクがあるとして、ローンの対象年齢を据え置きの20歳以上を条件としているが、同信金では公共交通機関が少ないなどといった地域の実情を踏まえ、カーローンのみ対象を18歳以上に引き下げて契約できることを決定した。
引き下げに伴い、18歳以上から新車や中古車、バイクなどの購入のほか、免許取得や車検・修理、車庫設置などの用途で融資を受けることが可能となる。
営業推進部の口地耕司部長と審査部の濵口康夫課長は「お金を使うということにはいろいろな責任が生じてくる。その辺の周知を含めて丁寧に対応していきたい。収支のバランスなどを考慮して審査をしていく」とし、「人口減少の中、地元で働きたいといった若い人たちを応援していければ」と話していた。
(2022年4月6日付紙面より)
県割引プランが開始 (那智勝浦町も期待 )
和歌山県民向けの旅行割引制度「わかやまリフレッシュプランS」が、4月から利用可能となった。本紙エリア内の主要観光地である那智勝浦町も、同プランによる入り込み観光客数の増加に期待を寄せる。
同プランは、コロナ禍で落ち込む観光業界を支援するための県の施策。県民限定で、県内の総旅行代金の2分の1以内、1人1泊当たり最大5000円を補助する。利用期間は28日(木)までとなっている。
同町の観光企画課では4日現在、まだ始まったばかりのため、同プランによる入り込み客数は未集計となっている。ようやく、新型コロナウイルスのまん延防止等重点措置が解除となったこともあり、今後の動向に注目している。
また同町では3月に、初のオンライン開催となった「まぐろ祭り」(同運営委員会主催)が、目標の10倍を超える申し込みを集めるなど、盛況となった経緯がある。このため同課では「今度はリアルで来てもらえるように頑張りたい」と意気込む。
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他方で、肝心の同プランの申し込みは、予定の応募数を大幅に下回った。このため県は、3月31日までとしていた募集を、4日から追加募集とした。
チケットはもともと、約1万6000人分を用意していたが、応募は約6500人分にとどまった。本来は応募があふれ、抽選を行う予定だったが、3月末現在での応募者全員が当選となった。
(2022年4月6日付紙面より)
本年度の稚アユ放流実施 (古座川漁協 )
古座川漁業協同組合(大屋敏治代表理事組合長)が5日、管内流域4カ所(佐本、三尾川(みとがわ)、明神、小川)に分散して稚アユの放流に取り組んだ。
県内水面漁業協同組合連合会の事業委託による、管内の資源増強を目的とした春恒例の取り組み。天然アユの砕波帯調査や遡上状況を目安にし、今年は例年並みの1・5㌧を1㌧と0・5㌧の2回に分けて放流する計画を組んでいる。
今回の放流量は1㌧で、同連合会から届いたのは紀ノ川漁業協同組合で中間育成した体長おおむね10㌢の稚アユ。当日は大屋組合長(65)と理事や組合員有志が4組に分かれて3台の輸送車を迎え、あらかじめ定めた放流場所へホースを伸ばして分散放流した。
今年の天然アユの遡上は断続的だが昨年よりは良好との判断をしていて、引き続き理事ら組合員も各所で魚影を確認しながら状況を見守るという。大屋組合長は「県内水面漁連から届いた稚アユは思っていた以上に大きく形もそろっていて、これが解禁時にどうなるかを楽しみにしている。今年も大勢の皆さんに古座川へ訪れていただけたら」と放流の成果を期待した。
古座川漁協管内のアユ漁の次の漁期は6月1日(水)~12月31日(土)で、友釣り漁から順次解禁となる。漁時は同漁協
が遊漁料と引き換えで発行する鑑札が必要(18歳以下は無料だが、証明書を提示して発行を受ける必要がある)で、詳細は同漁協公式ホームページの遊漁規則を参照。問い合わせは同漁協(電話0735・72・3800)まで。
(2022年4月6日付紙面より)
宇久井海と森の自然塾 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の宇久井半島で自然保護活動を展開する「宇久井海と森の自然塾」は3日、環境省宇久井ビジターセンター園地内でのタケノコ掘りや休暇村南紀勝浦での温泉入浴、タケノコ料理がセットになった体験行事「竹の子ウオッチング&温泉入浴」をスタートさせた。
初日には小雨の中、近隣市町村から7人が参加。同塾運営協議会のメンバーと共に、かつては里山の棚田だった園地内のモウソウチクの林に入り、地面から顔をのぞかせているタケノコを掘り起こして汗を流した。
新宮市佐野から参加した70代女性は「友人に誘われて2回目の参加。慣れないつるはしを使って汗が出ました」。一緒に参加した友人は「掘ったタケノコは、ワラビと一緒に炊いて食べようと思う」と話していた。
4月中は10日(日)、17日(日)にも開催予定で、20人以上の団体は月・金・土曜日の開催も可能。参加費は大人2500円、中学生以下2200円。10人以上の団体は大人2200円、4歳以上中学生以下2000円。申し込みは、開催日2日前午後5時までに、ビジターセンター内の自然塾運営協議会(電話0735・54・2510)まで。水曜日休館。
(2022年4月6日付紙面より)
くじらの博物館で供養祭 (太地町 )
太地町立くじらの博物館(稲森大樹館長)で2日、飼育中に死亡した鯨類や魚類などの冥福と飼育動物の長生きを祈る供養祭が営まれた。同館敷地内にある供養碑前で順心寺の関雄峰住職が読経を行い、職員36人が静かに手を合わせた。
供養祭は同館が開館した1969年4月2日の記念日に合わせ、43年前から毎年行っている。
同館には現在、鯨類がコビレゴンドウ、オキゴンドウ、ハナゴンドウ、カズハゴンドウ、バンドウイルカ、カマイルカ、シワハイルカ、マダライルカ、スジイルカの9種37頭おり、ナンヨウツバメウオなどの魚類51種181匹、ミズクラゲなど無脊椎動物24種345匹を飼育展示している。
同館によると、令和3年度は気候が安定していたため、動物にも大きな変化がなく飼育ができたという。また、県内の教育旅行の増加から来館者数が令和元年度と同等になるなど、回復の兆しが表れているとした。
1日から副館長に就任した同館学芸員の中江環さんは「15年間、博物館に勤めてきた。今後は副館長として新たな気持ちで動物たちや展示物、来館者の皆さまと向き合い、より良い博物館にできるように精進していきたいです」と話した。
3月末をもって館長職を勇退した林克紀さんに代わり、1日から同館を支える重責を担う稲森さんは「54年間、博物館を支えてきた林元館長がご勇退され、大きな節目を迎えた。それでもクジラたちはここで生き、暮らしている。供養祭は動物たちの命の重さと向き合う貴重な時間。動物たちが豊かにより長く生きていけるように、取り組んでいくことがわれわれの務めです」と気持ちを新たにした。
(2022年4月3日付紙面より)
新宮市老連 教室開講式 (278人が受講へ )
新宮市老人クラブ連合会(市老連・上廣正幸会長)の主催による、生きがいと創造の事業教室開講式が1日、新宮市野田の福祉センターであった。36人が出席し本年度の活動に向けて気持ちを新たにした。
同事業は、1979(昭和54)年に市が市老連に委託して以来、意欲や目標を持ちながら継続的に活動することによって、高齢者が元気を維持することを目標に続けられている。本年度は278人が、書道、生け花、陶芸、民踊など、合計15教室で学んでいく。
開講式では、上廣会長があいさつ。新型コロナウイルスの感染状況に言及した上で、「このまま収まってくれれば、今まで通り(活動)できるので、何とかうまくいけば」と願った。
本年度の教室について「みんなと好きな習い物に熱中することは、健康の上でも大事。今年も頑張っていただきたい」と激励した。
来賓として、田岡実千年市長が祝辞。新型コロナの感染状況に言及した上で、「終息に向けてワクチン接種を早く進め、市民にも対策をしてもらい、経済を落ち込まないように対策を行いたい」と語った。
教室については「生きがいを持ってはつらつと暮らし、充実した日々を送ってほしいと願っている。教室で生きがいをつくり、培ったことを地域で生かしていただければ」と呼び掛けた。
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本年度の教室と受講生徒数は次の通り。かっこ内は講師名。敬称略。
■生きがい教室
▽書道(鈴木江邨)18人▽生花(萱野賛曈)15人▽陶芸8人▽卓球33人▽社交ダンス(瀬古玲子)21人▽コーラス(宇都宮恵美)16人▽民踊(川畑恵美)55人▽囲碁・将棋31人▽大正琴(上地美智子)5人▽ソフトテニス21人▽フォークダンス25人▽押花(岡本洋子)4人
■はつらつ教室
▽フラ(松本則子)14人▽民踊(大谷裕子・上田昭子)8人▽進化絵(はたみちこ)4人
(2022年4月3日付紙面より)
春休みプログラムで (那智勝浦町 )
那智勝浦町太田地域の子どもたちを対象とした「春休みプログラム」が3月30日に開かれた。小学生ら15人が参加し、町立太田小学校の体育館で、地域活性化起業人・島田匡平さんによる運動教室を楽しんだ。
「子どもたちにいろいろな体験をして長期休暇を過ごしてほしい」「地域の大人と関わる機会をつくり、『地域で子育て』を目指したい」との思いから、保護者主催で昨年の夏休みに始まった取り組み。今回は、島田さんが社会人向けに開く運動教室「ルネサンスプログラム」に参加した保護者からリクエストがあり、講師に招いた。
子どもたちは島田さんと一緒に、ゲームやスマートフォン操作で固まりがちな肩周りの筋肉をほぐす体操や体幹トレーニングに挑戦。保護者から「学校の体育ではしないような動きを子どもたちに体験させたい」との声があったことから、ボクシングやムエタイなどの格闘技の動きを取り入れたリズム運動でも汗を流した。
この日はパン食い競争やチラシを使った吹き矢の工作もあり、子どもたちは春休みの一日を満喫。仲地一桜さんは「前におじいちゃんおばあちゃんの家で一緒に吹き矢を作ったことがある。パン食い競争では粒あんとチョコのパンが取れて、楽しかった」と話していた。
(2022年4月3日付紙面より)
役場玄関そばで15日まで (串本町 )
串本町役場1階玄関そばで現在、出雲安全マップ=写真=が展示されている。期間は15日(金)までで、平日の午前8時30分~午後5時15分に随時鑑賞できる。
このマップは、町立出雲小学校の前年度の3年生(現4年生)6人が社会科の一環で総合的な学習の時間も使いながら作成。昨年12月に防犯、交通、災害の各視点で危険を感じる校区内の場所12カ所を徒歩で訪ね、当時の串本警察署に質問しながら調べた成果を3学期に手分けして書き込むなどして仕上げた。
6人の取り組みに感心した同署は、質問に答える時に地域へも紹介することを提案。児童も納得して学習発表後にそうすることを希望したため、同署と同町の調整により先月28日からこの展示が始まるに至った。
展示に当たっては「学校だけでなく地域全体の安全を願う子どもたち6人の想(おも)いがこめられたもの」と紹介。同署は同町との調整を進める折、6人の歩んだ筋道は出雲小校区だけでなく他の小学校区でも意義のあることだとし、展示を通して取り組みの裾野が広まることを今後に期待していた。
(2022年4月3日付紙面より)
商業捕鯨で第7勝丸出港 (太地町 )
太地町漁業協同組合(脊古輝人組合長)の捕鯨船「第7勝丸」(32㌧、竹内隆士船長、乗組員5人)が3月30日正午、4年目を迎えた商業捕鯨を行うために太地漁港を出港した。船員の家族や関係者らが大勢駆け付け、無事を祈りながら手を振り見送った。
第7勝丸は3日(日)からの操業開始に向け、千葉県を目指す。房総沖では1隻のみでツチクジラ漁を実施する。同漁協によると、通常6~7月に行うツチクジラ漁を4月に実施するのは初の試みだという。
その後は5月ごろに青森県で、千葉県と宮城県の船合わせて4隻が共同でミンククジラ漁に取り組む。続いて、6月には北海道網走市において共同でミンク漁、7、8月も釧路市にて共同でミンク漁、9、10月は千葉沖にて、第7勝丸のみでツチクジラ漁を行うとしている。帰港は11月初旬を予定している。
昨年は国が定めるミンククジラの漁獲枠120頭より少ない91頭だった。同漁協は、海水温の上昇などが捕獲頭数に影響したと要因を挙げた。また、今年の漁獲枠はミンククジラが110頭で、ツチクジラが16頭となっている。
水産庁の許可が下りれば、10月中に宮城県でニタリクジラ漁(2頭のみ)を実施する可能性もあるとした。今回は31日未明に出港予定だったが、天候を考慮しこの日の出港となった。
出港を見送った同漁協の〆谷(しめたに)和豊参事は「安全に事故がないように祈るとともに、去年以上に捕れることを期待しています」。同漁協専務理事で日本小型捕鯨協会の貝良文会長は「海水温の上昇は数年続くこともあり、コロナ禍で価格が付きにくいなど商業捕鯨の開始後は苦労が続いている状況。天候が良ければ捕れるため、今年はぜひ大きくておいしいクジラがたくさん捕れることを願っています」と話した。
竹内船長は「最近ではスーパーで生のミンクが売っているため、購入する人の姿を見ることもある。昨年は天候が悪く目標頭数に届かなかった。今年は持ち枠いっぱいまで捕獲できればうれしい。事故なく、頭数も捕れて安全に帰ることができれば」と語った。
(2022年4月1日付紙面より)
1日、HCU開設 (新宮市立医療センター )
新宮市立医療センター(中井三量院長)は1日から、3階に新宮東牟婁医療圏で初となる高度急性期病床(HCU)を開設する。病床は5床(面積=314・9平方㍍)を新設。発症直後で重症化リスクの高い患者や、手術後の全身管理が必要な患者などに対し、より手厚い看護を行う体制づくりを構築していく。
HCUは「High Care Unit」の頭文字を取ったもので、日本語では「高度治療室」「準集中治療管理室」と訳される。集中治療室(ICU)と一般急性期病棟の中間に位置するとされているが、分類的には高度急性期病床となる。
2016年に策定された「和歌山県地域医療構想」には、新宮・東牟婁医療圏について「高度急性期に関しては、奈良県・三重県の隣接した地域に高度急性期機能を担う病床がなく、高度急性期機能を保有する和歌山圏域・田辺圏域から遠方にある地理的な条件から、圏域はもとより県境を越えた周辺地域の拠点として、新宮市立医療センターに多くの患者が集中している」「高度急性期機能を備えた医療機関から遠方となる新宮圏域としては、25年の必要病床数としては44床との推計があり、この地域において高度急性期病床(44床)を担っていくべきとの意見が新宮保健医療圏構想区域検討会で決定された」と記載されている。
HCUの新設に当たり、4人部屋6室を改修。入院対象者は手術後の全身管理が必要となる患者や、事故などによる危篤な救急患者となる。これまでは3階の手術室から各階の観察室に患者を移送していたが、同階にHCUが開設されることによりフロア内での移動が可能に。
生体情報モニタリングシステムや人工呼吸器、ICUベッドなどの医療機器が設置されており、専属の看護師長1人と看護師20人が配置される予定となっている。
総事業費は約2億8000万円(本体工事費1億9800万円、医療機器など購入費8200万円)。財源は県補助金1億1200万円、企業債1億6600万円、内部留保資金200万円。工期は昨年7月16日から今年3月7日。
中井院長は、救急専門医の確保などの課題を挙げつつも「新年度からの開設に間に合って良かった。県の補助金を頂いて運営できるようになった。(医師確保に対して)当センターに来ていただけるように、今後も活動を続けていきたい」と話していた。
(2022年4月1日付紙面より)
学校法人近畿大学と株式会社NTTドコモが3月30日、串本町串本沖で第5世代移動通信システム(通称・5G)と水中ドローンを活用して完全養殖クロマグロを飼育するいけすを遠隔監視する実証実験に取り組んだ。
2020年に両者で締結した「5Gの推進、『スマートシティ・スマートキャンパス』創造に関する包括連携協定」に基づく取り組みで、同町域では昨年9月にくしもと町立病院―同大学病院間で実施した遠隔医療支援以来の実証実験となる。
同支援時は移動基地局を据えてローカル5Gの通信環境を確保したが、以降昨年末に大字串本一帯でNTTの商用5Gが開局。今回はその通信環境をさっそく活用し、同大学水産研究所大島実験場と同大学東大阪キャンパスを結ぶ形で試みた。
実証内容の目的は養殖業のさらなる効率化(現行でダイバーがこなしている作業の一部代替)で、同実験場は重さ10㌔前後の完全養殖クロマグロを飼育するいけすを実証実験の場として提供。同ドローンのいけすへの投入など不可避の現場作業を図りつつ5G経由で同キャンパスから同ドローンを遠隔操縦し撮影したいけす内の映像をリアルタイム伝送したほか、その映像情報に基づいて作業を指示する想定で別に準備したアーム付き同ドローンの現地操縦者がいけす内の死亡魚(今回の実験では同程度の大きさの模型を使用)を回収する手順も試みた。さらにNTTは、撮影した映像を自社クラウドサービスへ保存し、アーカイブ共有可能とする実証にも取り組んだ。
同キャンパスで実験に参加した近畿大学水産養殖種苗センターの岡田貴彦センター長は、事前にわずかな映像遅延の説明があったが実際には感じられなかったと遠隔監視の印象をコメント。その映像からダイバーがいけすに入るよりも同ドローンの方が完全養殖クロマグロのストレスは小さいように見受けられた、と今回の実証内容の有用性を見据えるなどした。
両者は今後も実証内容の検証を重ねて目的に資する成果を目指すとしている。
(2022年4月1日付紙面より)
京城跡の整備で新たに (紀宝町 )
2019年、紀宝町指定文化財に指定された同町大里の京城跡(みやこのじょうせき)で、新たに畝状竪堀群(うねじょうたてぼりぐん)と堀切が見つかった。
京城跡は相野谷川中流域にある平山城跡。紀伊続風土記には1585(天正13)年に豊臣秀吉の臣下、堀内氏善(うじよし)によって建てられたとの記述がある。
海抜約70㍍の小高い山頂部を中心として、北東の曲輪(くるわ)と周囲に設けられた畝状竪堀や堀切などの防御施設から構成される。当時、山城としては全国的にも希少な石垣造りの城壁も築かれていたことから、かなりの規模と威容を誇る城であったと思われる。
今年1~2月の下草刈り、間伐、支障木伐採により東側に四つの竪堀、堀切が確認された。町教育委員会では、間伐などで城の形状が分かり始めているとし、来年度も環境整備を続けていくという。
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相野谷中学校の新2年生9人は授業「京城跡を学ぶ」で案内看板を制作し、京城跡保存・活用・整備検討委員会の寺尾邦義委員長に託した。1年生だった昨年度、学校近くの京城跡を訪れ、郷土の文化遺産を学習。その際「案内版がなく、文化財に思えない」と感じた生徒たちが発案して看板作りに着手した。スギ、ヒノキの板に「石垣」「竪堀」「堀切」などを彫り、1人1枚の計9枚を完成させた。
寺尾委員長は「生徒の手作りに価値を感じる。立派な看板で設置場所を検討したい。生徒たちにはこれからも京城跡に関心を持ってもらいたい」と話していた。今後、検討委員会に報告した上で、設置場所などを話し合うという。
(2022年4月1日付紙面より)