トルコ軍艦遭難慰霊碑前で (串本町 )
串本町樫野にあるトルコ軍艦遭難慰霊碑前で16日に追悼式典があり、トルコ共和国側と日本側合わせて約50人が同碑一帯に眠るエルトゥールル号(以下エ号とする)の将士に哀悼を示し両国の友好を確かめ合った。
エ号は1890(明治23)年9月16日、嵐により樫野沖の暗礁に乗り上げて爆沈。587人が殉難する中、当時の島民の献身により69人が救助され全員が母国への帰還を果たした。
追悼式典は年1回、遭難の日に同町が主催。おととし、昨年はオンライン環境を取り入れ規模を抑えつつ営んだが、今年は国歌と同碑追悼歌を静聴とした以外はほぼ例年同様に挙行した。トルコ共和国側からの来賓招待で在日大使館のエメル・デリノズ・テキン一等参事官やハビブ・イゼット・ゾールオール武官、在名古屋総領事館のウムット・リュトフィ・オズデュルク総領事ら、町側から田嶋勝正町長夫妻を筆頭に町議会の鈴木幸夫議長ら議員や教育委員、大島地区の3区長や町内外の関係個人や団体代表者、一般参拝者が参列した。
岐阜ファーティヒモスク・イマームによる礼拝を経て、田嶋町長は「私たち串本町民はこの地に眠る殉難将士の御霊(みたま)をお守りし、大島島民が示した利他の精神を継承する。歴史を風化させることなく、日ト友好の架け橋のまちとして両国の友好の一助となることを誓う」と式辞。テキン一等参事官は「串本の皆さまとご一緒にエ号の出来事に思いをはせるため、殉難将兵たちが安らかに眠るこの地に立つことができたことを誇りに思う」と胸中を語って古今紡がれる友好関係への感謝を掲げ、参列一同順次献花した。
地元樫野区の髙山カヤ子区長(75)はどのような形であろうと区民は9月16日のことを忘れないとし、「去年よりも参列者が少し多くなり、眠っている将士の方々もきっと心強く思ってくれていると思う」と今年の式典を喜んだ。
(2022年9月18日付紙面より)
熊野川中で「瀞峡めぐり」事前学習 (新宮市 )
新宮市立熊野川中学校(松本潤校長)で16日、国の特別名勝・天然記念物に指定されている瀞峡(瀞八丁)を舟で巡る「瀞峡めぐり」の事前学習があった。南紀熊野ジオガイドの平野皓大さんが来校し、地域の観光資源の魅力を伝えた。事前学習を踏まえ、同校1、2年生は21日(水)に「瀞峡めぐり」を体験する予定。
ふるさと学習の一環として実施。ジオ的観点を通して、地域の名所を知ってもらうことを狙いとしている。
瀞峡は、和歌山、三重、奈良の3県にまたがる景勝地で、大正時代にプロペラ船が瀞峡―新宮町(現新宮市)間を往来し、昭和40年代にはウオータージェット船が登場。多くの観光客を絶勝の地へと運んだ。現在は(一財)熊野川町ふれあい公社が川舟を活用した「瀞峡めぐり」を運営している。
平野さんは、ジオパークの概要や「私たちはプレートの沈み込みで生み出された三つの種類の大地がつくった場所で生活しています」など、南紀熊野ジオパークの成り立ちを説明。
吉野熊野国立公園内にあり、南紀熊野ジオパークエリアでもある瀞峡について「マグマの熱で硬くなった地層が削られて今の地形になりました」。
かつては新宮からプロペラ船で観光客を輸送していたことや、鉱山や炭鉱があったことなどから大変なにぎわいを見せていたとし「河原にはお店もいっぱい並んでいた。三反帆(さんだんぼ)や木材を運ぶ筏(いかだ)も行き交っていた」と、大地が形成した歴史や文化の盛り上がりを紹介。「昔は栄えていたんだということを思い出しながら『瀞峡めぐり』を楽しんで」と呼びかけた。
(2022年9月18日付紙面より)
「空き家バンク」の新事業も (紀宝町 )
紀宝町は本年度から、「空き家バンク制度」の物件充実を図ることを目的に、各自治会と連携した「空き家バンク登録奨励金事業」や「空き家バンク登録促進助成事業」、住宅取得を支援する「住宅購入支援事業」「空き家改修支援事業」を進めている。
人口減少・少子高齢化に歯止めをかけるため、町では地域活性化や空き家の利活用促進、移住定住希望者への支援制度を拡充させてきた。
2014年度から開始した「空き家バンク制度」は延べ62件の物件登録があり、37件が成約し、22組40人が町外からの移住だった。
移住定住、子育て支援を続けてきた結果、19年と21年を比較した30~40代の転入超過率の改善幅が東海4県で4位になるなど、成果が表れてきた。
町では「今後も全庁挙げて紀宝町を移住先として選んでいただける、住み良いまちづくりを推進し、引き続き、人口社会減、自然減対策の取り組みを継続したい」としている。
各種事業への問い合わせは役場企画調整課(電話0735・33・0334)まで。
□ □
主な事業は次の通り。
■空き家バンク登録促進助成金事業
空き家バンクに物件を登録する際、空き家の清掃や家財道具などの残置物の搬出・処分などを町内業者に委託する場合の費用を一部助成。対象は空き家バンクに登録を行う家主で、助成額は上限3万円で対象額の2分の1。
■空き家改修支援事業
購入した空き家の改修工事を町内建設業者の施工で行う際の工事費用の一部を助成する。助成額は上限10万円で対象額の3分の1。町商工会商品券を給付する。
■町内住宅購入支援事業
町内で新築、中古問わず住宅を購入した人に購入費用の一部を助成する。助成額は5万円(購入額を上限)で、義務教育終了前の子ども1人につき5万円を加算し、町商工会商品券を給付する。
(2022年9月18日付紙面より)
まちなか観光の実証実験 (太地町 )
太地町は15日より、2人乗りの小型電気自動車を使った「ちょいノリ旅」の実証実験を始めた。観光客などに対して無料で車両を貸し出し、町内散策に利用してもらう。28日(水)までで、ニーズや適正価格、行き先などを調べ、事業化の可能性を探る。
太地町は内閣府から、未来技術社会実装事業を行う地方自治体の一つとして採択を受けており、その一環となる。同事業は、未来技術を活用した地方創生の提案を募集したもの。この事業として「ちょいノリ旅」のほか、自動運転車による町内巡回や、ドローン活用ビジネスの実証実験なども行っている。
「ちょいノリ旅」は、まちなか観光の促進を目指すもの。車両はJR太地駅に置いてあり、駅内の観光案内所で利用の受け付けと貸し出しを行う。利用の場合は事前予約を求めているが、借り受けの希望があり、予約が入っていない場合は即日でも貸し出す。
利用時間は午前8時30分から午後4時までで、利用していいのは太地町内のみ。充電時間は2時間必要で、電気と利用時間の残量が十分であれば、1日に複数人に貸し出すこともあり得る。
使用車両は、トヨタのC+pod。後部座席がなく、車長が短い。オートマチックで、最高速度は時速60㌔。クーラー使用時で約75㌔の走行が可能となっている。利用には、普通自動車運転免許が必要。また台風接近など荒天時は、貸し出しを中止する場合がある。予約は、太地町観光案内所(電話0735・59・3131)。前日の午後5時まで受け付ける。
なお「ちょいノリ旅」の実証実験は、太地町が単独で費用負担して実施する。要する費用は、車両レンタル代の十数万円のみ。実証実験の結果、事業化の可能性があるとなれば、内閣府を経由して関係省庁の人材が派遣され、使用できる補助金を紹介してもらえるなど、助言が受けられる。
また事業化するにしても、町事業として、委託管理事業として、関係法人で行うなど、さまざまな選択肢が考えられるという。
(2022年9月18日付紙面より)
新宮市役所別館で7日夜、「緑丘中学校・城南中学校統合検討委員会」の第1回会議が開かれた。学校・教育関係者ら16人が出席。市から委嘱を受けた後、委員会設置要綱や経過を共有し統合に向けて協議を行った。
現在の両校の生徒数は、緑丘中学校228人、城南中学校152人の計380人。千穂・丹鶴小学校、蓬莱・王子小学校が統合された小学校再編が完了した2013年度当時の489人と比較して109人(22・3%)減少している。
学級数も緑丘中は8、城南中は6となっており、両校とも法律上の基準「12~18学級」、和歌山県基準の「9~18学級」の適正学級数を下回っている。
昨年2月に行われた市総合教育会議において、生徒数の減少や学校施設の老朽化などの観点から、田岡実千年市長が教育委員会で統合準備を進めるように指示。現状を受け、学校の活力を維持、発展させる観点から、統合の検討を開始するに至った。
同委員会は、両校の統合に関し、必要な調査や協議を行い、統合を推進するために設置。育友会や学校運営協議会、公民館、町内会、学校関係者からなる19人の委員らが▽両校の統合に関すること▽学校の名称、校歌、校章などに関すること▽生徒の交流活動に関すること▽その他、統合準備に必要な事項に関すること―について協議を進めていく。
開催に当たり、速水盛康教育長が「子どもたちのためにどのような教育環境を整えていくのか、学校を活性化していくのか。皆さまの意見や感じたことを参考にしながら策定していきたい」とあいさつ。委員長に選出された城南中学校育友会の板谷貴史会長は「地域の子どものためにみなさんのご意見を頂戴したい」と協力を求めた。
今後、委員会では設置場所や校名などを議論するなどして統合に向けた検討を進めていく。また、必要に応じて保護者説明会やアンケートの実施も検討していくという。
統合に向けた計画として速水教育長は「本年度中にはある程度のスケジュール案を作っていく必要があると考えている」と見解を示した。
(2022年9月9日付紙面より)
串本町議会(鈴木幸夫議長、13人)の第3回定例会が7日、役場議場で始まった。
会期は20日(火)までの14日間で、一般質問は14日(水)から16日(金)までの本会議で行う予定。当局は会期初日に前年度の各会計決算案を含む28案件を上程し、審議を求めた。本年度の一般会計補正予算〈第5号〉案も含まれている。
審議に先だって田嶋勝正町長が諸報告に臨み、前回の定例会以降の主な町政動向として▽宇宙シンポジウムin串本実施▽南紀串本ロケットウイーク実施▽ツーリズムエキスポジャパン2022〈東京ビッグサイトで今月22~25日に実施〉でのPR活動▽同町運動公園遊具広場の一括した更新整備▽町道サンゴ台中央線の全線開通と交通混雑の緩和▽地域活性化休憩施設整備の現況。
▽古座消防署移転の現況▽新型コロナワクチン4回目接種の現況とオミクロン株対応ワクチン接種のめど〈10月半ば以降〉―などで概要を伝えた。
以降、林道和深鶴川線であった7月4~5日の降雨に伴う崖崩れに対し12日付、古座川支流長谷川であった8月14日の降雨に伴う護岸崩落に対し15日付で行った災害対応を目的とする専決処分(本年度一般会計補正予算第3号、次いで同第4号の執行)の報告など、順次案件の審議を進めている。
(2022年9月9日付紙面より)
9月議会に28議案上程 (那智勝浦町 )
那智勝浦町議会(荒尾典男議長、12人)の9月定例会が8日、開会した。当局は令和3年度決算認定や地方公共団体財政健全化法の規定による報告、冷蔵株式会社の経営状況報告、条例の一部改正、紀南学園事務組合の規約の変更、令和4年度の補正予算など計28件を上程した。会期は22日(木)までの15日間で、20日(火)、21日(水)に一般質問が行われる。また、開会に先立ち、2011年9月に発生した紀伊半島大水害の犠牲者に対して、黙とうがささげられた。
一般会計補正予算は、歳出歳入に3億9225万3000円を追加し予算総額を103億9461万4000円とした。
新型コロナウイルス感染症関連の予算では、エネルギー価格高騰などにより、影響を受ける町内の中小企業や農林・林業・漁業事業者の負担軽減を図る「中小企業等エネルギー価格高騰対策支援金事業」「農林水産業エネルギー価格高騰対策支援金事業」やマグロ漁船の支援を行い、勝浦卸売市場の水揚げの継続・拡大を図る「まぐろ水揚げ支援事業」「まちなか商品券事業」などが盛り込まれている。
予算額は2億3611万3000円で、そのうち、2億93万5000円が臨時交付金。
感染症対策以外の主な事業では、コロナ禍で疲弊する町を元気づけるために11月に2回、町単独で花火の打ち上げを行う「花火打ち上げ事業」や75歳以上の町営バスの無料化に伴い、民間の路線バスが通行する那智山線の運賃を町が補助し、高齢者や身体障害者の負担軽減を行う「高齢者路線バス交通費助成事業」などを提出した。
冒頭で堀順一郎町長は4日に営まれた慰霊祭に触れ、「犠牲となられた29名の方々に哀悼の意を表すとともに、大水害の悲しみと教訓を薄れさせることなく後世に語り継ぎ、災害に強いまちづくりを進めることを改めてお誓いしたところであります」と述べた。
初日は当局から令和3年度決算認定の説明があった。
(2022年9月9日付紙面より)
平野杏子さん、油絵など奉納 (熊野速玉大社 )
神奈川県平塚市在住の画家・平野杏子さん(93)はこのほど、新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)に油絵ほか作品計3点を奉納した。高齢のため、平野さんは作品を同大社に郵送。同大社では神前に献上し、奉納奉告祭を斎行した。
平野さんは1930年、神奈川県伊勢原市生まれ。大久保作次郎氏、長屋勇氏、三岸節子氏に師事。磨崖仏などを研究し、仏教をテーマとした作品のほか、韓国や中国を訪ねて版画や彫刻の作品も多く制作している。80年、平野杏子招待絵画展(ソウル市世宗文化会館)を開催。87年、「第5回ヘンリー・ムーア大賞展」(美ヶ原高原美術館=長野県)に彫刻「トキオコシ」を出品し、美ヶ原高原美術館賞を受賞した。2004年には「日本・ルーマニア文化交流2004年展」(東京芸術劇場ギャラリー)に彫刻「芽生え」を出品。ブランクーシ賞特別賞を受賞している。
今回、奉納されたのは、高句麗古墳の壁画にある三足の鳥を描いたもので、縦50・5㌢、横44・5㌢のF10号の作品。韓国の慶州で1963年に制作されたもの。
奉納を受け、上野宮司は「平野先生は仏教だけでなく、仏教伝来以前の日本に存在した自然風土と結び付いた素朴な日本人の心、すなわち大自然に対する畏怖の念、自然を神としてあがめていた古代日本の心をとても大切にされている。早速ご神前に献上してつぶさに奏上申し上げ、御奉納奉告祭を斎行いたしました。高句麗古墳壁画の三本足の鳥は、おそらくカラスと思われますが、大陸から悠久の時を駆けて日本にたどり着き、日本固有の瑞鳥・八咫烏(やたがらす)となったのではないかというロマンをほうふつとさせる素晴らしい作品です」と喜びを語った。
(2022年9月9日付紙面より)
那智谷大水害遺族会が追悼式 (紀伊半島大水害から11年 )
当地方に甚大な被害をもたらした紀伊半島大水害(2011年)から11年。各地で同水害の犠牲者を追悼するための慰霊祭や式典などが営まれた。本紙エリアでも新型コロナウイルス感染対策を講じつつ、遺族や関係者らが故人をしのび、防災への誓いを新たにした。
4日未明、那智勝浦町井関の紀伊半島大水害記念公園では那智谷大水害遺族会(岩渕三千生〈みちお〉代表)による追悼式があった。新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から岩渕代表のみが参加し、死者・行方不明者数と同じ29個のLEDキャンドルに祈りを込めて明かりをともした。
午前1時、岩渕代表は慰霊碑と明かりがともされたキャンドルを前に、静かに祈りをささげた。
今年の追悼式は参列の呼びかけを行わなかったが、自発的に集まった遺族ら約30人は慰霊碑に手を合わせて故人をしのんだ。
水害で母と姉を失った新宮市の寺本圭太さん(33)は「何年たってもつらさは変わらない。各地での災害発生のニュースは他人事には思えません。今日は父と一緒に来た。昨年8月に誕生した長女が無事、1歳を迎えることができたことを母と姉に報告しました」と話した。
岩渕代表は追悼式やおいの故・紘明(ひろあき)さん=当時(15)=について「あの時の状況がフラッシュバックする。何年たとうが僕らの思いは変わらない。『見守っていてよ』という思いで毎年、追悼式を行っている」。
災害や今後については「災害を二度と起こさないためにも、この行事を続けていかないといけない。他人を当てにせず、自分の命は自分で守らなくてはいけない」と思いを語った。
(2022年9月6日付紙面より)
1年生がキャリアゼミ (新宮高校 )
新宮市神倉の県立新宮高校(東啓史校長)で8月31日、キャリアゼミナールがあった。近畿圏内のさまざまな大学や専門学校から講師を招き、19の講座を開講。1年生200人が興味のある学部・学科や希望の進路に合わせて、対面やオンラインで熱心に耳を傾けた。
理学・工学系講座では、三重大学工学研究科の林田祐樹教授が「ヒトの脳とコンピュータとをつなぐ」と題して講話。体内の電気信号を測り、応用することで筋ジストロフィーやてんかんによる症状の緩和や網膜神経模倣デバイスによる人工視覚が可能となるとし「医学で人を幸せにすることもできるが、景色などの情報を脳が分かる電気信号に変換する情報工学にしかできないこともある」と自身の研究分野の魅力を語った。
看護系講座では和歌山県立医科大学保健看護学部講師の辻あさみさんが、近代看護教育の母フローレンス・ナイチンゲールの功績や看護師の仕事について語った。受講した坂地壮さんは「母と兄が看護師なので、自分も後を追いかけたい」。江﨑颯さんは「自分も母親が看護師。進路についてはまだ悩んでいるが、今日の講義で、環境を整え、人としての関わりを大切にすることで患者さんの人生を変えることができるというところが印象に残った」と話していた。
(2022年9月6日付紙面より)
JCLツアー第7戦実施 (古座川町 )
三菱地所ジャパンサイクルリーグ(JCL)プロロードレースツアー2022第7戦「キナン古座川ロードレース」が3日に古座川町内であり、リーグ参加10チームの選手49人が町内設置の周回コースで熱戦を繰り広げた。
JCLは地域創生をキーワードにし2021年、地域密着型のプロチームが一丸となって始めたサイクルロードレースリーグ。今季は10チームの選手が全国各地に競技の舞台を求めて対戦を重ねている。
古座川町を競技の舞台とするのは今回が初で、地元団体で結成する古座川ロードレース実行委員会(須川陽介実行委員長)が受け皿となって大会を運営。母体のJCLは昨今の情勢を鑑みて地域創生要素の観戦エリアを設けずレース以外のイベントを見送る判断をし、代替としてインターネットによるライブ配信の視聴を呼びかけて実施へとこぎ着けた。
心配された台風の影響は届かず、ほどよく雲がただよう晴天の下で開会を迎え、会場地最寄りのキナンレーシングチームから順次紹介を受けて競技にエントリー。道の駅一枚岩前をスタート・ゴール地点とし、西前啓市町長による号砲で一斉に出走した。
舞台は下露~小川間の町道を経由する全長41・6㌔の周回コース。選手は3周(124・8㌔)で競い、「Team UKYO SAGAMIHARA」のアール・ネイサン選手が3時間11分45秒でゴールを駆け抜け1着となった。本紙関係ではキナンレーシングチームの山本大喜選手が宇都宮ブリッツェンの増田成幸選手とともにネイサン選手と終盤の接戦を繰り広げ、僅差で3着となった。リザルト(競技結果)の詳細はJCL公式ホームページを参照。
同リーグは昨年開始ながら目下、国際自転車競技連合(UCI)加盟を目指してまい進するさなか。古座川町内はロングコースが設定できる国内でもまれな環境と評価されていて、この加盟による格上げが成り今後も誘致が続けば世界規模の競技の舞台を宿すこととなる。西前町長は伴う通行規制への町民協力を見据えつつ、この誘致を形にした実行委員らの引き続きの頑張りを期待した。
(2022年9月6日付紙面より)
大水害献花式で誓い新た (新宮市 )
新宮市は4日、同市熊野川町田長の道の駅「瀞峡街道 熊野川」の紀伊半島大水害慰霊碑前で犠牲者追悼献花式を営んだ。田岡実千年市長、向井雅男副市長、速水盛康教育長、榎本鉄也議長をはじめとした市議会議員、市幹部職員、地域住民ら関係者約30人が参列。犠牲者の冥福を祈るとともに、災害に強いまちづくりを誓った。
参列者たちは、同市で犠牲になった14人の名前が刻まれた慰霊碑の前で黙とうをささげ、白い菊を献花。故人をしのび、静かに手を合わせた。
田岡市長は「災害でお亡くなりになられた方々の無念の思いと、ご遺族の皆さまの深い悲しみを思うと今も哀惜の念に堪えない」と追悼。
市では災害後、国、県、市民からの多大な支援と励ましを得て復旧・復興を進めるとともに、防災対策を見直し、災害に強いまちづくりに努めてきたと述べ「これからも紀伊半島大水害を片時も忘れることなく、市民の皆さまが安心・安全に暮らすことができるまちを築いていく」と決意を新たにした。
同道の駅に隣接する「かあちゃんの店」は同水害で店が全壊。従業員だった女性が自宅で亡くなった。同店を経営する竹田愛子さん(81)は「亡くなった店のスタッフにみんな元気でやっているよと報告した。お店が続いていけるようにともお願いしました。若い人が続けてくれるとうれしい。災害の記憶も伝えていかなければ」と話していた。
(2022年9月6日付紙面より)
鯨類追い込み漁が解禁 (太地町 )
太地町で1日、イルカや小型クジラの追い込み漁が解禁され、太地いさな組合(小畑充規組合長、20人)の漁船12隻が午前5時15分ごろに太地漁港を出港した。しかし、強風の影響から、船団は約40分後の5時55分に帰港。初日の漁獲には至らなかった。
国際捕鯨委員会(IWC)脱退や商業捕鯨の再開が注目されている同町。反捕鯨活動家による抗議や違法行為などに対処するため、和歌山県警が特別警戒本部現地警戒所を、海上保安庁が臨時駐在所を町内に設置。連携して例年、警備に当たっている。
県警や海保によると、おととし、昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で国外の活動家は確認されていない。また、反捕鯨活動家の違法行為はないが、ドローンを用いて上空から漁の様子を撮影する事例もあったという。近年では交流サイト(SNS)を活用した活動が確認されているとした。
この日、のぼりなどを掲げた動物愛護の活動家ら数人の姿は確認できたが、県警職員らが待機する東の浜駐車場では目立った混乱はなかった。
帰港後、小畑組合長は「台風の影響で風が強く戻ってくることになった。しかし、初日に出港できて良かった。コロナ禍で、今年1年は厳しい年になると思うが、しっかり水揚げができるように頑張りたい。明日は今日よりも天気が良いと思うので、通常通り操業したい」と語った。
なお、漁期はクジラ類が来年4月末、イルカ類が来年2月末までとなっている。
(2022年9月2日付紙面より)
公設市場事務組合議会
新宮周辺広域市町村圏事務組合議会の第2回定例会が8月31日、新宮市佐野の新宮広域圏公設地方卸売市場であった。11人の議員が出席、2021年度の同組合の一般会計決算を認定したほか、同市場で取り扱う青果・水産について報告を受けた。
同組合は、新宮市と東牟婁郡の市町村で組織、公設市場を運営している。組合議会はその市町村の首長や議長などで構成される。今回は一般会計決算のほか、市場事業特別会計決算の認定についても審議。組合議会議長選挙も行われた。
開会に当たり、管理者の田岡実千年新宮市長があいさつ。コロナ禍の現状について「観光や飲食は厳しい状況が続いている。春先は明るい兆しが見えてきたように思われたが、第7波が襲来し、新宮保健所管内も過去最高の新規感染者数を記録するなど、予断を許さない状況が続いている」と説明。
「とはいえ、地域経済を支えるためには、ウィズコロナの考えに沿った対応も必要かと思う。当面はしっかりと感染予防対策を行いながら観光誘客などに努め、ひいては、市場の取り扱いの増大にもつなげたい。広域圏の皆さんとは一丸となり対応していきたい」とまとめ、協力を求めた。
一般会計決算は▽歳入が692万4264円▽歳出が592万5515円―。特別会計決算は▽歳入が7397万5146円▽歳出が5732万56円―だった。全会一致で認定となった。青果・水産の状況について、7月末現在の対前年比で▽青果は数量で7・9%の減、金額で1・4%の増▽水産は数量で7・0%の減、金額で4・8%の増―となった。新宮水産の業務報告もあった。
議長はもともと、堀順一郎那智勝浦町長が務めていたが、町長選挙が行われた関係で空席となっていた。副議長が推薦、出席議員の異議もなく、堀町長を再任することが決まった。
(2022年9月2日付紙面より)
CGS部が堀笠嶋区内で (串本古座高校 )
和歌山県立串本古座高校CGS部が8月31日、同校が所在する堀笠嶋区内の防犯灯点検ボランティアに取り組み始めた。この日はどこに防犯灯があるかを東敏洋区長ら区役員と一緒に確かめる作業に着手。同時進行でその情報をあらかじめ準備したリストや地図へ落とし込み、まずは全体把握を目指すという。
CGS部は高校生による地域包括的支援(Community General Support)を活動の趣旨とするクラブ。同ボランティアは高齢化の進展相応に大変さが増している同区の防犯灯維持管理の支援を目的とした新たな活動で、その実践を通して地域とじかに関わり課題を共有した上で自分たちにできることを考える発想を部員個々に培う狙いもあるという。
そのため避難路整備や樫野埼灯台一般公開と同様、部内班に縛られない全体活動として位置付け。この日は部員13人が東区長から堀笠嶋区が管理する防犯灯の数や設置方法、維持管理の現状などで話を聞き、以降は東区長組、松本英明副区長組、出嶋正人会計組に分かれて同校の最寄りにある21基の防犯灯の位置や状態を確かめた。
避難誘導灯や街路灯、家庭の屋外灯など他の照明と混同しないよう、実物比較で防犯灯の特徴も確認。区役員と一緒に区内を巡る延長で、順路沿いにある津波避難タワーや避難路についても説明を受け把握に努めた。
東区長と一緒に確認しにまわった井沼希さん(2年)は「防犯灯にはいろんな種類があって堀笠嶋区の皆さんは昔からやっているんだなと知ることができて良かった。自分は防犯灯の位置を確かめて地図に記録したが、これは自分たちだけでなく地域の皆さんにも知ってもらうための取り組みになると思う」と活動の印象をコメント。
同区は現在71基の防犯灯を維持管理していて、残る50基も近日中に確かめる計画。全容把握後の情報はウェブ上のオープンデータとして公開して共有を図り、区の維持管理担当者や同部の部員など特定少数に限らず利用するみんなの目で日々の点検ができる状況の定着を目指すという。
(2022年9月2日付紙面より)
熊野速玉大社で復興慰霊祭 (新宮市 )
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)で1日、紀伊半島大水害復興慰霊祭が営まれた。大社崇敬会の杉本義和会長や敬神婦人会の久保あや子会長ら大社関係者が参列。上野宮司が大水害の犠牲者の鎮魂などを願って祝詞をささげた。
当地域に甚大な被害をもたらした紀伊半島大水害(2011年)から今年で11年。毎年、この時期に慰霊祭を執り行っている同大社では、今年は月首祭に合わせて斎行。犠牲者の鎮魂安霊や人々の心の復興、経験を基にした防災意識のさらなる向上などを願った。
上野宮司の祝詞に続き、巫女(みこ)が国の平穏無事、国民の安寧を願う「浦安の舞」を奉納。参列者らがさまざまな思いを胸に、神前に玉串をささげた。
上野宮司は「魂の安らぎのためには、『今』を一生懸命に、世のため人のために生きていくことが大事。その延長線の中で自然の恵みと試練を経験しながら世の中を良くする努力をしていくといった使命を改めて持たなければ」とあいさつ。
昨今の自然環境に憂慮し、旧ソ連の最後の指導者で東西冷戦を終結に導いたミハイル・ゴルバチョフ元大統領の逝去にも言及。「小さなことでも、地球のためにできることを考えていく必要がある。また、災害だけではなく人間の手によって生まれた悲しみは人間の手によってなくさなければ」と思いを語った。
(2022年9月2日付紙面より)
那智勝浦ゴルフ倶楽部
ソフトボール大会紀南地区予選 (和歌山県病院協会 )
全日本卓球選手権和歌山県予選会など
来年度導入の新制服公開 (近大新宮 )
近畿大学附属新宮高校・中学校(池上博基校長)が、来年度から導入予定の新制服を公開した。紺色とえんじ色を基調とした落ち着いたデザインで、スカートやスラックス、ポロシャツなどさまざまな選択肢があり、生徒の個性や体調、気分に合わせて多彩な着こなしが可能となる。
従来の制服は2005年のコース改変に伴って導入されたもの。同校では2年前から、ジェンダーレス化や活動のしやすさ、防寒などのため、女子生徒の制服でスラックスを選択可能とした。しかし、セーラー服との組み合わせに違和感を指摘する声もあったことから、教職員で制服検討委員会を組織し、デザイン刷新に着手。数パターンに絞り込んだ後、生徒へのアンケート結果を踏まえて決定した。
女子生徒の制服は、セーラー型からブレザースタイルに変更。スラックスとネクタイの組み合わせも「足が細く見えてかっこいい」と大好評だ。
男子生徒の制服も、ブレザーが三つボタンから二つボタンになるなどの変更があり、「校章のサイズが小さくなり、ネクタイの柄もシンプルになったことで、よりスタイリッシュになった」との声が聞かれた。
夏服では、男女ともに白、ピンク、水色、紺色のポロシャツが選択可能に。白とグレーのベストとセーターもオプションで購入することができる。
池上校長は「制服は学校のシンボル。この制服を見て『いい学校だな』と感じていただけるよう、生徒たちには内面も磨いていってほしい。従来の制服にも人気があり、惜しむ声もあったが、来年の新入生たちにはぜひ新しい制服を着てほしい」と話していた。
(2022年9月1日付紙面より)
町内中学生らにパンフ配布 (串本町 )
串本町の第五福竜丸建造の地平和の歴史展実行委員会(西野政和会長)が8月30日、町内の中学生などに関心を持ってほしいとしてパンフレット「忘れないで ビキニ事件と被爆漁船の建造の物語」配布の協力を潮﨑伸彦教育長に申し出た。9月第2週に中学生の手元に届く見込みで、西野会長は「生徒自身はもちろん家族で第五福竜丸のことを知り、核兵器の怖さを考えてもらえれば」と思いを掲げている。
第五福竜丸は古座造船所で建造され1947年に進水したカツオ漁船第七事代丸をマグロ漁仕様に改装した漁船。54年3月1日、操業中にビキニ環礁であった水爆実験に伴う降灰を浴び、急性放射能症となった乗組員・久保山愛吉さんの死など事後の経緯が国内の核兵器廃絶を求める運動を広げることにつながった。
同実行委員会は8月2~7日に同町文化センター2階ホワイエで展示会「語り継ごう 第五福竜丸建造75年平和の歴史展」を実施。資料として前述したパンフレットを来場者に配った。A4判カラー14㌻構成で、作成数は1200部。第五福竜丸がたどった経緯や第七事代丸と建造の地の経緯、ビキニ環礁で行われた水爆実験の影響などの史実をつづり、これら歴史を通して核兵器の愚かさを語り継ぐことを呼びかける内容となっている。
西野会長は同展実施当初からパンフレットを町内の中学生に託す考えを持っていて、潮﨑教育長には4校242人分(7月1日時点)に町外から赴任し史実を詳しく知らない教員分を上積みした数と町立小中学校割り当て分の配布協力を求めた。併せて次年度から次の改訂までの間、その年の中学1年生にもパンフレットを託したい旨も伝えた。
同実行委員会は別途、田原小と古座小の卒業生が通う古座川町立古座中学校にも同様の配布協力を求め、町内にある県立串本古座高校へも必要数を届ける考え。同町図書館にも配置するので内容を知りたい町民は同館で閲覧するか、残部があるので役場本庁舎内の教育課窓口に申し出てほしいという。問い合わせは同実行委員会事務局の同課(電話0735・67・7260)まで。
(2022年9月1日付紙面より)
米出身のエリースさん (那智勝浦町 )
那智勝浦町で新たに外国語指導助手(ALT)を務める、アメリカ出身のルネー・ジリアン・エリースさん(22)が8月30日、堀順一郎町長を表敬訪問した。「日本とアメリカの関係をもっと良くしたい」と意気込んでいる。新学期から、町内の中学校と色川小学校での勤務を予定している。
エリースさんは、ペンシルベニア州パーカーシーの出身。ミネソタ州のブリンマー大学で、都市建築学とともに日本語を学んだ。父親が高校生の頃、日本に留学経験があり、その影響で日本に興味を持ったという。ジブリ作品で日本語を学んだといい、好きな作品は「風の谷のナウシカ」と話す。
23日に来日、東京都でのオリエンテーションを経て、25日に来町した。同町の印象について「とってもきれいなところ。私の出身地も田舎なので、懐かしい感じがする」と語る。日本の建築、特に神社仏閣に興味があり「熊野那智大社や那智山青岸渡寺はとてもきれいでした」とほほ笑む。
好きな食べ物は、アイスクリームやサンドイッチ。日本食も好きで刺し身も食べられる。「和歌山ラーメンを食べてみたら、おいしかった」と述べる。趣味は読書とウオーキング。「日本の子どもたちには、特にアメリカの祝日について教えたい」と考えている。
堀町長は「心から歓迎します。世界に目を向ける子どもが育ってほしいと思っているので、よろしくお願いします。また、町の良いところや悪いところを、違った目線でアドバイスいただければ」と伝えた。
エリースさんは「語学指導等を行う外国青年招致事業(JETプログラム)」による来日となる。同事業は、地方公共団体が総務省、外務省、文部科学省、自治体国際化協会の協力で実施するもの。外国語教育の充実と地域レベルの国際交流の進展を図ることを目的に、1987年より行っている。
参加する外国青年は、学校などに配置されるALT、国際交流担当部局などに配置される国際交流員(CIR)、スポーツ指導などを行うスポーツ国際交流員(SEA)に分かれている。
(2022年9月1日付紙面より)
新翔高野球部が3年生引退試合 (新宮市 )
県立新翔高校(藤田勝範校長)野球部は8月27日、新宮市佐野のくろしおスタジアムで3年生引退特別試合を開いた。保護者や教職員らが見守る中、選手たちはグラウンドを駆け巡りプレーに励んだ。
同校は新型コロナウイルスの影響により「第104回全国高校野球選手権和歌山大会」への出場辞退を余儀なくされ、本大会で引退となっていた3年生に高校生活最後の試合で全力を尽くしてもらおうと企画。その後、OBから対戦相手の申し出を受けて実現した。
試合は先攻のOBが一回表に4点を先制し、三回には1点を追加した。新翔は四回裏に一挙7点を挙げ逆転に成功したが、五回と八回に3点ずつを許し7―11で勝利とはならなかったものの、力強いプレーを見せた選手たちに会場から大きな拍手が送られた。
試合後には、3年生5人が一人ずつ整列する保護者に対して「今まで応援し、支えてくれてありがとう」などの感謝の言葉を伝えた。
同部保護者会長の西慎二さんは「3年生の最後の雄姿が見られてよかった。和歌山大会の際には多くの方々からエールや寄付を頂いたが、出場辞退となってしまったため、この引退試合で使わせてもらった。大変ありがたく思います。引退しても人への感謝を忘れずにいてほしい」。
伊藤温基前主将(3年)は「和歌山大会に出場できず心残りがありましたが、OBの方たちの協力でこのような場を設けてくれてうれしかったです。引退するという実感が湧いた。後輩にはずっと取り組んできた打ち勝つ野球を貫き、活躍してもらいたい」と話していた。
(2022年9月1日付紙面より)