新宮市下本町の「新宮下本町遺跡」が10日、官報告示を経て正式に国史跡に新規指定された。市内では2003年に新宮城跡附水野家墓所が指定を受けて以降、19年ぶりの指定となった。
国指定史跡は、文化財保護法または文化財保護条例によって歴史上、学術上価値の高いものとして指定された遺跡。「新宮下本町遺跡」は6月、文化審議会文化財分科会の審議・議決を経て、文部科学大臣に新規指定するよう答申がされていた。
このたび指定された「新宮下本町遺跡」は、15年以降の市教育委員会による発掘調査によって確認された、12世紀後葉から16世紀中ごろにかけての港湾に深く関係すると考えられる遺跡。
14世紀末ごろから15世紀にかけて最盛期を迎え、熊野川に面した自然堤防の斜面地を石垣に用いて段状に造成した面から地下式倉庫群や鍛冶遺構が検出されるとともに、それに直交して石段を伴う通路が設けられている。また、この時期には出土遺物から交易範囲の拡大が想定されるなど、港湾都市として機能したことが分かる。
中世以降、太平洋航路の重要な拠点であった新宮における港湾や海を介した交流の実態を知る上で重要なだけでなく、中世の海上交通と宗教勢力との関係、平安時代末ごろ以降から全国へ信仰が拡大する熊野三山の経済基盤などについて考える上でも重要なものとされる。
指定を受け、市では今後、実際に文化財を総合的に保存・活用するために必要とされる「保存活用計画」を策定し、保存と活用に向けた整備を実施していく予定としている。
また、指定を記念して、市と市教育委員会は12月17日(土)午後1時から同市下本町の「丹鶴ホール」で、シンポジウム「新宮下本町遺跡~中世の港町新宮の実像に迫る~」を開催する。来年2月25日(土)からは、市立歴史民俗資料館で国史跡指定記念企画展「中世新宮の町と海上交通」を開催する予定。
(2022年11月18日付紙面より)
堀町長が砂防部長に要望 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の堀順一郎町長は9日、同町の那智川上流遊砂地の下流付近の渓流保全工整備について、国土交通省水管理・国土保全局の三上幸三砂防部長を訪問し、要望活動を行った。
2011年9月の紀伊半島大水害によって、甚大な被害が発生した同町。復旧のため、国の緊急対策工事により、砂防えん堤が8支流で15基、完成している。
要望書には現在、工事着手している那智川上流遊砂地の下流にある二ノ瀬橋付近において万一、上流から土石流が発生した場合、土石流とともに流下する流木が橋脚を閉塞(へいそく)し、被害を拡大するおそれがあると記した。
さらには、流域の治水安全度向上および、近隣住民の安全・安心確保のため、当該箇所における渓流保全工整備を要望した。
堀町長は「流域の治水安全度は確実に向上していることを実感している。渓流保全工整備については、かかる状況をご賢察いただき、各段の配慮がなされますようお願い申し上げます」と訴えた。
この日は堀町長に加え、町建設課の楠本定課長も同行した。
(2022年11月18日付紙面より)
榎本君、全国大会3位を報告 (矢渕中 )
「第20回全国中学生都道府県対抗野球大会in伊豆」で3位に輝いた三重選抜(U―15 MIE SELECT)のメンバー、榎本健志君(紀宝町立矢渕中学校3年)が16日、同町役場を訪れ、西章教育長に入賞を報告した。
榎本君は、東紀州選抜の主将で出場した県選抜大会で優勝、三重選抜にも選ばれ、東海大会決勝戦で逆転のきっかけとなる安打を放ち優勝に貢献した。
全国大会は全国各地区を勝ち抜いた10チームが出場し、10月29日に開幕。東海地区代表の三重選抜は初戦で関東代表に勝利、準決勝で優勝した近畿代表に敗れたが3位入賞を果たした。
三重、東海、全国の各大会で全試合、捕手で出場した榎本君。報告会では全国大会を振り返り「自分にとって初めての全国大会で、レベルの高い選手が集まり、一緒にプレーできたことはとても貴重な経験になりました。これからは高校野球で甲子園に出場することが目標」と語った。
西教育長は「全国の舞台で、捕手で全試合出場したことは自信になったと思う」とたたえ「夢を持って一日一日を過ごすことが大事。甲子園に出場して矢渕中に甲子園の土を持ち帰ってほしい。夢を追いかけてこれからも頑張って」と激励した。
(2022年11月18日付紙面より)
ロシア非難で県内一斉 (新宮ユネスコ協会 )
ユネスコ設立77周年となる16日の正午、和歌山県内の9ユネスコ協会は、ロシアのウクライナ侵攻を非難し、平和を祈って鐘を打つ「平和の鐘」を行った。新宮ユネスコ協会(中谷剛会長)も新宮市千穂の宗応寺(石原知実住職)に10人が集まり、祈りを込めて鐘を鳴らした。
新宮ユネスコ協会はもともと毎年、世界平和記念日・第1次世界大戦停戦の日である11月11日に、新宮市内の寺院で年ごとに場所を変えながら、平和の鐘を行っていた。しかしロシアのウクライナ侵攻を受けて京都ユネスコ協会が、京都市がウクライナのキーウ市の姉妹都市であることから、3月26日に「平和の鐘」を行うことを決定。これに合わせて新宮ユネスコ協会も、同日に行っていた。
今回は他の県内協会の意向に合わせ、ユネスコ設立の日に時期をずらした。宗応寺に集まった会員らは順次、山門の上にある鐘つき堂に上がり、1人ずつ鐘を鳴らした。鐘を鳴らした後にその場で手を合わせ、一心に祈る姿も見られた。石原住職は「(ウクライナ侵攻が)一刻も早く終わってほしい」と語った。
中谷会長は、ユネスコ憲章にある理念「心の中に平和の砦(とりで)を」に言及。「今回の侵攻はロシア大統領のゆがんだ、誤った考えにより引き起こされたことが明確で、一片の正当性もない」と非難した。
戦争を起こさないためにつくったはずの国際連合の、常任理事国のロシアが侵攻に踏み切ったことを「暴挙であり、戦後社会の理念を踏みにじる行為」と強調。「憤まんやるかたなく、世界の誰もが(止めることができない)無力さを感じている。鐘を鳴らすことで、平和への思いや願いを届けたい」と述べた。
(2022年11月18日付紙面より)
県小学4年生サッカー大会
新宮JC杯中学新人サッカー大会
瀧本岳准教授が講演会 (新宮高校 )
新宮市の県立新宮高校(東啓史校長)で7日、同校第44回卒業生で東京大学大学院農学生命科学研究科の瀧本岳准教授(理学博士)による講演会「感染症と生物多様性~人と自然の共存に数学を役立てる~」が開かれ、全校生徒561人が耳を傾けた。
瀧本准教授は新宮市出身で、新宮高校から京都大学理学部へ進学。現在は、生物多様性の創出や維持を主軸に、数理モデルやコンピューターシミュレーションを用い、複雑な生物群集のダイナミクスを解明する研究をしている。6日に開催された新宮高校同窓会(西哉素史会長)の総会で講演機会があり、生徒向けの講話が実現した。
瀧本准教授は「大学時代、アラスカの旅行中に見た森の風景が熊野に似ており、なぜそのようなことが起こるのかを研究できたらと思った」と語り、数学や進化生物学、生態学を横断する自身の研究を紹介。「コスタリカでは2000年代にカエルツボカビ症の流行でカエルが減少し、ボウフラを食べるオタマジャクシが減ったことでマラリアが流行した。インフルエンザ、ライム病、ニパウイルス感染症、デング熱など人間の感染症の約6割が動物由来の『人獣共通感染症』。病原体の宿主やその上位捕食者の多様性が、人間の病気の感染リスク変動に深く関わっている」と述べ、感染症の短期的な流行過程を数理モデルで表す方法を説明した。
人間活動の影響にも言及し「森が都市化すると上位捕食者となる野生動物が減少し、人獣共通感染症を媒介するネズミやコウモリが繁栄する。一方で、森林保護区を作ることで逆に感染を広げてしまう例もある」と感染リスク変動の複雑性について語った。
最後に「私たちの生活は自然の恩恵に依存しており、自然と折り合いを付けていくためにはその仕組みを解明することが不可欠。高校時代、数学は物理などの分野に使うものと思っていたが、さまざまな分野や現実社会の生活に役立てることができる」と結んだ。
(2022年11月9日付紙面より)
レインボーフェスタにぎわう (那智勝浦町 )
レインボーフェスタ那智勝浦実行委員会は6日、那智勝浦町のブルービーチ那智で2回目となる「RAINBOWFESTA NACHIKATSUURA in ブルービーチ那智」を開催した。多様性を分かち合う場として開かれ、多くの来場者でにぎわった。
レインボーフェスタは性的少数者やLGBTQについて理解を広めるとともに、一人一人が持つ「性の多様性」を祝福し、分かち合う場として、全国各地で実施されている。
県内では6年前から和歌山市で開催されているが熊野地域では昨年、初めて同町で開催した。
来場者は色とりどりのリストバンドを装着して入場。地元商店などの豊富な飲食や販売、ワークショップなどのブースも盛況だった。ステージイベントではNPO法人「チーム紀伊水道」副理事長の津村雅稔さんが手話通訳し、紙芝居やバンド演奏、手話パフォーマンス、ダンス、トークショー、キナンレーシングチームの選手紹介などで盛り上がった。
昨年同様、子どもたちが白い旗に6色の色でペイントするレインボーフラッグや、同町での「パートナーシップ制度」「ファミリーシップ制度」の導入に向けた署名活動もあった。
女性として生まれ、自らの性について悩み、性別適合手術を経て戸籍を男性に変更した京都市の大久保暁(あきら)さんと妻の希望(のぞみ)さんも会場を訪れた。
暁さんは「フェスタは当事者や関係者が多い。ここは地域を巻き込んでいて、啓発的な特別感がないところが良い。この町からの発信は大きなことにつながるはず」。
希望さんは「多くの方々が来場し、通常のイベントのようににぎわっていることが素晴らしい」と話していた。
スタッフとして参加した町立那智中学校3年の小賀柚那さんと潮﨑莉桜さんは署名活動に協力。小賀さんは「自分らしさを表現できる場所がたくさんできれば良いなと思います」、潮﨑さんは「同様のイベントが増えて、LGBTQへの理解が深まればうれしい」と話した。
フェスタの代表として企画・運営を行ったのは、自身がトランスジェンダー(性自認と身体的な性が一致していない当事者)である丸山都さんだ。
丸山さんは「僕一人では開催できない。関わってくれた皆さまに感謝しています。LGBTQへの理解は進んできたが、テレビの世界だと思っている方も多い。多様性はみんなのもの。共有できる場として、今後も続けていきたい」と語った。
最後はレインボー餅ほりで締めくくった。
(2022年11月9日付紙面より)
花園近鉄ライナーズの選手ら (串本町 )
社会人ラグビーチーム「花園近鉄ライナーズ」が7日、串本町サンゴ台にある総合運動公園などでキャンプを始めた。昨年に続き2回目の来訪で、12日(土)までの6日間滞在し、練習やチームビルディング、県の中学生や高校生の選手を対象にしたクリニックなどで地域貢献もするという。
大阪府東大阪市にある日本初の専用競技場「花園ラグビー場」を拠点にして活動する1929年創部の同チーム。今年新たに開幕した国内最高峰の舞台・ジャパンラグビーリーグワンDivision2で優勝し、来年は昇格しDivision1の一角として挑むなど勢いのある活躍をしている。
宿泊拠点と練習場所がごく近い点で同公園をキャンプ先としていて、今年は所属選手53人(練習生を含む)が参加。練習開始に合わせて田嶋勝正町長や町教育委員会教育課の潮﨑伸彦教育長と濵地弘貴教育次長、宿泊拠点・ホテル&リゾーツ和歌山串本の久保幸彦総支配人や同公園を管理する町B&G海洋センターの林亨所長らが駆け付け、代表として田嶋町長は「串本ではひと昔前まで経験者がなくルールもいまひとつわからない時代があったが、最近はテレビでも見かけるようになりファンが増えてきたという感じがする。そのような中、伝統のあるチームに本州最南端の地でキャンプしていただけることをうれしく思う。けがなくトレーニングを積み、これからの公式戦で素晴らしい成績を残してほしい」と述べ、花束と差し入れのボトルドウオーター「串本の水」や紀南農業協同組合のブランドミカン「天」を贈呈。選手を代表してチームジャージを町へ託した野中翔平さんは「昨年はオンオフともにたくさんサポートしていただき、自分たちも活躍する事ができた。次のシーズンが終わり目標を達成したときにこのキャンプがあったからだと言えるような1週間にしたい」と応えて、引き続きの支持を求めた。
前述したクリニックは最終日の12日に実施予定。中日の9日にチームビルディングとして町内飲食店巡りをし、それ以外の時間は練習に打ち込んで来年のリーグへ向け弾みをつけるという。
(2022年11月9日付紙面より)
米良孝志さんに表彰状 (和歌山県 )
和歌山県はこのほど、令和4年度「救急医療功労者に対する知事表彰」の受賞者11個人、1団体を発表した。本紙エリアでは個人の部で医療法人米良医院(新宮市池田)の米良孝志さん(66)が受賞。7日には表彰状の伝達が行われ、県福祉保健部健康局の石田定副課長らが同医院を訪問し、米良さんに感謝を伝えた。
救急医療対策の推進など、救急医療の確保に貢献し、その功績が特に顕著である個人や団体を表彰することにより、救急医療対策の一層の充実や強化を図る目的で1994年度から実施している。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、例年実施している表彰式は行わず県職員が各医療機関を訪問。表彰状の伝達をもって功労をたたえる運びとなった。
2002年から約20年にわたり新宮市医師会役員を務める米良さん。17年からは同会長を担っている。このたびの表彰は、新型コロナウイルス対応において、医療従事者向けワクチン接種事業を実施し、並行して新宮市主導の住民に対する集団接種の医師や看護師の派遣体制の整備を行い、地域の感染拡大防止に尽力し、また市内医療機関と中核病院である市立医療センターとの医療連携に貢献したことが認められたもの。
表彰状を受け取った米良さんは「コロナ禍における休日診療体制の構築などを医師会メンバーたちとやってきた。それを認めていただいたものと思っている。しかし、コロナはまだ終わりではない。表彰を受け、休日の医療体制をつくるなどの課題に対して、責任も感じています」と話していた。
(2022年11月9日付紙面より)
「文化の日」の3日、新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」敷地内の佐藤春夫筆塚前で、令和4年度「佐藤春夫『筆供養』」が営まれた。関係者ら約60人が参列し、使い古した筆を供養するとともに佐藤春夫(1892~1964年)の遺徳をしのんだ。
「筆塚」は春夫没2年後の1966年、新宮ライオンズクラブ(新宮LC)が認証5周年を記念して旧市民会館前に建立。揮毫(きごう)は春夫の親友だった詩人の堀口大學が行い、佐藤千代夫人と堀口夫妻らが除幕した。塚の中には春夫愛用の毛筆と万年筆が納められている。
市民会館解体により一時的に撤去されたが昨年10月、「丹鶴ホール」完成に伴い筆塚は同施設敷地内に移設された。今年6月には、新宮LCが認証60周年記念事業の一環として筆塚に「佐藤春夫筆塚石碑」を寄贈。石碑には51年、春夫が59歳の時に作詞し、文化の日に制定された「新宮市歌」が刻まれている。
式典では、新宮市歌斉唱に続き、田岡実千年市長が「市歌からは、ふるさとをこよなく愛された先生の思いが伝わってくる。われわれも熊野地方の豊かな自然と悠久の歴史、文化に抱かれ生きることを誇りに、後世にそれを守り伝えていかなければ」とあいさつ。
市立佐藤春夫記念館の辻本雄一館長は「筆供養は記念館ができる前から続いており、今年も多くの方々の協力の下、開催できることをありがたく思う」。
春夫遺族の高橋百百子さんは「素晴らしい天気に恵まれた。春夫は常々、自分は晴れ男だと言っていたが、『どうだ』と言っている顔が目に浮かぶよう」。東京大学准教授で実践女子大学客員研究員の河野龍也さんは「2000年に調査で初めて新宮市を訪れた時、大変親切にしていただき、ここが自分のふるさとの一つになるかもしれないと感激した記憶がある。記念館があることは私にとっても新宮市にとっても大切なこと」と話した。
お供茶式では、茶道裏千家淡交会南紀青年部の上宗景さん(お点前)と谷口宗尚さん(半東)が筆塚前にお茶を供えた。式典後には同青年部による呈茶もあった。
(2022年11月5日付紙面より)
新宮市内2カ所で街頭啓発
新宮市人権尊重委員会(会長・田岡実千年市長)は4日、同市佐野のスーパーセンターオークワ南紀店前と、同市橋本のイオン新宮店前で街頭啓発を実施した。同委員や東牟婁振興局職員ら約35人がチラシやポケットティッシュなどの啓発物資を買い物客たちに配布した。
和歌山県は11月の「同和運動推進月間」に当たり、同和問題をはじめとするさまざまな差別に対する理解を深めてもらおうと県内各地で啓発活動を展開している。市は同月を「差別をなくする強調月間」とし、人権問題の早期解決を図るため実施している。
スーパーセンターオークワ南紀店では、田岡市長が「市では1953年に人権尊重委員会が結成され、あらゆる差別の解消を目指し取り組みを進めています」とあいさつ。「市民一人一人の尊厳と人権が尊重され、皆さんが明るく笑顔で心豊かに暮らせる人権尊重のまちを目指すことを目的に、市民の皆さまと共に『差別のない明るいまちづくり』には何が必要なのかということを考えて啓発させていただきたい」と協力を求めた。
新宮市では強調月間に伴い、人権尊重文集「春を呼ぼう」の制作(令和5年1月発行予定)や、市庁舎に「広げよう やさしい心と思いやり」の懸垂幕を掲揚するなどしている。今年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、例年開催している「市民のつどい2022」は中止となった。
(2022年11月5日付紙面より)
田辺市本宮町の熊野本宮大社と本宮町商工会、熊野本宮観光協会で組織する「熊野本宮よみがえり委員会」(会長・名渕敬熊野本宮観光協会長)は2日、同大社の瑞宝殿で、令和4年第3回の会議を開いた。約20人が出席、8月の大雨で破損した潜水橋について、年末年始までに盛り土を仮設し、旧社地・大斎原(おおゆのはら)まで渡れるようになる予定との報告を受けた。
潜水橋は現在通行止めとなっており、年末年始は多数の来客が予想されることもあって、早めの復旧が望まれていた。また、潜水橋の周辺にはかつて「高橋」という太鼓橋が架かっていたが、1889(明治22)年の十津川大水害で流出した経緯があり、これを機会に高橋そのもの、もしくは似たような橋の復元ができないかとの意見があった。ただ、世界遺産の場所であるため実現には障壁も多く、まずは潜水橋を復旧させる方向で進んでいる。
久畑弘幸本宮行政局長が、潜水橋の今後について報告。「潜水橋の復旧のための補正予算、7600万円を議決いただいた。(破損した橋の)撤去の入札が完了し、落札者が近々確定、撤去に入る。終わったら(水抜き穴を設けて)盛り土をして、大斎原に渡れるような対応をしたい」と述べた。
ただ、4月の同大社の例大祭「本宮祭」の頃には、盛り土は撤去されているが、潜水橋はできておらず、完成は8月ごろと想定されている。本宮祭は行列が潜水橋を通るため、何らかの対策が必要となる。このため九鬼家隆宮司は、開会あいさつの中で、高橋が架かる以前には参詣者が川を渡る「ぬれわらじの入堂」を行っていたことを紹介。「これを再現したいと思っている。海外の人にも体感してもらえれば。意見や案を。知恵を拝借できれば」と呼びかけた。
正月の態勢も協議した。九鬼宮司は、新型コロナ対策として、12月1日(木)から31日(土)までを「幸先詣(さいさきもうで)」期間とし、朱印や祈とうなどの受け付けを正月と同じ態勢とすることを報告。明けて1月1日(日・祝)から15日(日)までを「新年祭」期間とすることも語った。
また、同大社の警備担当者が、正月は動線を左右に分けて一方通行とし、密集や事故を予防する予定であることも解説した。出席者は注意点などを助言した。
(2022年11月5日付紙面より)
橋杭岩ライトアップ始まる (串本町 )
串本町くじ野川地内で3日、イベント「橋杭岩ライトアップ」が始まった。実施期間は5日(土)までで、期間中の午後5時30分~8時30分に投光が行われる。見物自由。
串本町が主催する、おおむね元岩~弁天岩間とその一帯に投光して夕闇が深まる中に浮かび上がらせる趣向。その幻想的な光景は2017年に日本夜景遺産〈ライトアップ夜景遺産〉として認定され、一段と注目されるところとなっている。
おととし、昨年と新型コロナウイルスの情勢により中止したため、今回は3年ぶりの実施。10色のパーライト計60基を2カ所に分けて配置して岩の数々、無限発色可能のLEDライト14基で道の駅くしもと橋杭岩そば一帯を照らす内容は変わらずで、期間前日の2日に委託を受ける事業者が試験点灯をして投光先の調整や色彩を変える流れのリハーサルをするなどして目前の本番に備えた。
期間中は同駅に加え橋杭漁港、橋杭ビーチに臨時駐車場を設けている。同駅内は投光中、北側を入り口、南側を出口とする一方通行としていて、同町は来場時に順路を守る協力を求めている。併せて不特定多数が集まりやすい状況となるため、各自で感染症予防対策を心がけて見物してほしいと呼びかけている。
(2022年11月5日付紙面より)
ゆうゆうクラブ芸能大会 (新宮市 )
ゆうゆうクラブ(老人クラブ連合会、上廣正幸会長)は10月29日、新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」で、3年ぶりとなる「『愛の日』ゆうゆうクラブ芸能大会」を開催した。約300人が来場し、年を重ねて磨き上げられた歌声や踊りを堪能した。
和歌山県が制定した「愛の日」(11月15日)に協賛し、会員同士の交流を深め、芸術文化への理解と教養を高めようと毎年開いている。今年で46回目を迎える。
開会式で上廣会長は「昨年完成した市民待望の『丹鶴ホール』で芸能大会を開催でき、会員一同喜びでいっぱい。新型コロナウイルス感染拡大によって3年間近く練習もままならない状況だったが、各教室で一生懸命練習してきた集大成を発表する場です」と喜びを語り「観覧の皆さまは、ぜひ大きな拍手でお応えください」と呼びかけた。
田岡実千年市長は「戦中戦後の困難な時代を生き抜き、市の発展にご尽力いただいた皆さま。市民生活に密着し、高齢者が安心して暮らせるまちづくりに努めていきたい」。市社会福祉協議会の濵前泰弘会長は「長寿社会をより豊かに生きていくためには、さまざまな活動を通じて教養を高め、仲間づくり、生きがいづくりを進めていくことが大切。人生の先輩である皆さまのお知恵を拝借したい」と祝辞を述べた。
和歌山市出身で歌手・女優として活躍する春菜美保さんによる歌謡ショーで開幕。会員たちは歌やダンス、大正琴の演奏、ひょっとこ踊り、フラダンスを披露した。最高齢96歳の会員も出演し、惜しみない拍手が送られた。孫子3世代で構成される「シャルレモリモトファミリーズ」によるエイサー太鼓がエンディングを飾った。
会場では、生きがい教室生徒らによる書道、生け花、陶芸作品や、はつらつ教室生徒の進化絵の展示もあった。来場者らは「赤い羽根共同募金」にも協力していた。
(2022年11月1日付紙面より)
吾妻聖子さんが食育講演会 (新宮市 )
新宮市食生活改善推進協議会と新宮市母子保健推進員会は10月30日、市役所別館で食育講演会を開いた。食育プロデューサー・TVプロデューサー・食コンサルタントの吾妻聖子さんが「疲れない・頑張らない食育」をテーマに講演。約120人が聴講した。
吾妻さんは大阪府出身。3歳から高校卒業まで那智勝浦町宇久井で暮らす。現在は東京でテレビの料理番組プロデューサーをしながら、食や食育のコンサルタントとしても活躍する1児の母。現在、月に1度、本紙にてコラム「疲れない食育」を連載中。
開催に当たり、田岡実千年市長が、食生活改善推進協議会と母子保健推進員会の日頃の活動に敬意を示し「吾妻さんは食と子どもについて独自の研究を進められている。具体的なヒントも頂き、健康づくりに役立てていただければ」。
食生活改善推進協議会の栃尾眞喜子代表は「常にバランスの良い食事を取るのは難しいかもしれない。本日の講演会が有意義なものになることを祈念しています」とあいさつした。
吾妻さんは、食育の資格を取得した経緯や2005年に制定・施行された食育基本法などについて触れ「資格取得の際には『フードマイレージ・フードロス』『栄養バランスを考える』『手作りで加工食品や添加物を避ける』を学んだが、多くの人が仕事も子育ても他の家事もしておりそれができないから悩んでいる」。
資格を取得してみて、新たに▽添加物って本当に怖いのか▽本当に毎日手作りすることが子どもの健康に直結するのか▽子どもの心身を健康にする食育とは―への疑問が湧いたと話した。
日本で使われている添加物は1500品目以上あるとし「避けていくのは至難の業」。添加物の管理方法や、添加物が含まれるうま味調味料、加工品、パン、マーガリンなどの体内における作用を説明し「全ての食品は化学物質でできている。添加物は毒にも薬にもならないが、どんなものも量を間違えると毒になる。目に付いてしまう危険な情報に惑わされないで」と呼びかけた。
「子どもも大人も心身共に健康で前向きになれる」「子どもが成長した後、健康に生きていける」食卓の実現が、自身が目指す食育の目的であるとし、子どもの食育について年代別に解説。「コミュニケーションを取ることが大事」と述べ、共食の重要性などに触れた。
大人・高齢者に向けては「50代以上の人が『食のトレンド』を追うのは低栄養を招く危険性がある」。
「作った食事を写真に撮って交流サイト(SNS)などに載せることが日々の励みになる」とし、インターネットスキルを上げることも効果的とした。
「子どもも大人も食事はコミュニケーション。楽しく笑って食事をすることが意識や肯定感の向上につながる。食育は何を食べるかよりどう食べるか。子どもにとってはお母さんの笑顔が何よりの食育だと思う」と講演を締めくくった。
(2022年11月1日付紙面より)
三尾川小招き「海の教室」 (勝浦海事事務所など )
国土交通省近畿運輸局勝浦海事事務所(中川洋所長)など主催の青少年対象行事「海の教室」が10月28日に串本町内であり、古座川町立三尾川(みとがわ)小学校(中井清校長、児童6人)が招待を受け魚類養殖の現場や潮岬灯台を巡るなどした。
この行事は同事務所と紀南海運協会、近畿海事広報協会が主催。青少年に海への関心を高めてもらう目的で同事務所管内の小学校に参加を呼びかけていて、本年度は4校が順次招待を受ける流れとなっている。
この日は2校目の実施で、大島港で三尾川小と合流し主催者を代表して同事務所の名越正典次長が海と人との関わりを楽しく学ぶよう願い出て歓迎。午前は有限会社岩谷水産協力による海の仕事講座で、船でブランド魚「紀州梅まだい」やクエの養殖いけすを見学し餌やりを体験するなどした。望楼の芝で昼食休憩し、午後は南紀熊野ジオパークセンターと潮岬灯台を見学。同パークガイドや同灯台の航路標識協力団体「燈光会潮岬支所」の阿部千穂支所長から説明してもらい質問をするなどして学びを深めた。
一通りの見学を経て名越次長は「今日経験したことをおうちに帰ってお話しして、海のことを好きになってくれたら」と期待を寄せ、児童は「見るのが初めての所がたくさんあって、自分は海のことを知っていると思っていたけれど発見が多かった」「今日はいろんな海の知識が得られた。養殖の現場を見たり餌をあげたりするのも初めてで、この経験を生かしてもっと賢くなりたい」などみんなで感想を発表して招待に感謝した。
1校目は串本町立串本小学校で5、6年生が10月6日に参加。3校目は串本町立出雲小学校で4~6年生が11月11日(金)に町内で、4校目は串本町立西向小学校で4、5年生が11月24日(木)に那智勝浦町・太地町でそれぞれ参加予定となっている。
(2022年11月1日付紙面より)
太田の郷でフリマ盛況 (那智勝浦町 )
那智勝浦町南大居の交流センター「太田の郷」で10月30日、「ハッピーハロウィーンフリーマーケット」があった。43店舗がスイーツやハンドメードアクセサリー、食器、雑貨、地元産の農作物などを販売し、町内外から大勢の親子連れでにぎわった。
地域おこし協力隊や集落支援員が企画したのが始まりで、例年春と秋の2回、フリマを開催している。
今回は仮装して参加した来場者や出店者にお菓子やドリンクのサービスがあり、カボチャおばけ「ジャック・オー・ランタン」や魔女、プリンセス姿の子どもたちの姿が見られた。ミュージックカフェスタジオネイバーフッド&Hiroya主催の音楽ステージもあり、コーラスや昭和歌謡フォークデュオが会場を盛り上げた。
家族6人で訪れた中村日葵さん(鵜殿小3)は「仮装は魔女。スコーンとクッキー、ポップコーンを買った。たこ焼きも食べたいな」と話していた。
(2022年11月1日付紙面より)