熊野那智大社で「桜花祭」 (那智勝浦町 )
那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)は14日、自然の恵みに感謝し、五穀豊穣(ほうじょう)を祈る「桜花祭(おうかさい)」を営んだ。桜の花のかんざしを挿した巫女(みこ)が那智の滝前で「浦安の舞」を優雅に奉納した。
平安時代に花山法皇(968~1008年)が那智山で千日間の山ごもりをした際に、「木のもとをすみかとすればおのづから花見る人となりぬべきかな」と桜の美しさを詠んだという故事にちなんだ祭典。
神事は本社拝殿と別宮飛瀧(ひろう)神社斎場でそれぞれ営まれた。宮司以下神職の烏帽子(えぼし)や巫女の髪飾りにはサクラの小枝が付けられ、長さ約1㍍のヤエザクラの枝を幣帛(へいはく)として奉献した。
男成宮司は祝詞の終わりに新型コロナウイルスの一日も早い終息を祈願し「いろいろなところに大きな影響が出ていますが、季節はいつもと同じように新緑の美しい時季になりました。自然をめでる気持ちと希望を持ち、落ち着いた行動を取っていただければと思います」と話していた。神事の後、参列者には桜餅が振る舞われた。
(2020年4月15日付紙面より)
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民間ロケット発射場周辺地域活性化協議会 (那智勝浦町 )
串本町で建設が進む民間ロケット発射場「スペースポート紀伊」周辺の行政機関や関係団体などで組織される「民間ロケット発射場周辺地域活性化協議会」(会長・下宏副県知事)の第2回通常総会が13日、那智勝浦町の体育文化会館であった。17人が出席し、ロケット打ち上げ時における周辺地域の交通対策について中間報告が行われた。
同協議会は初の打ち上げとなる2021年に向け、見学場の整備や想定される渋滞への対策について協議するため、昨年10月21日に設立された。
総会には下会長をはじめ、田嶋勝正串本町長、堀順一郎那智勝浦町長らが出席。下会長は新型コロナウイルスに触れ、県の状況などを報告した。ロケットについては「令和3年中に1号機の打ち上げを計画している。見学場の設置や想定される渋滞対策について交通対策部会が議論している。今回は中間報告についてご意見を頂きたい」とあいさつした。
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同協議会内には警察や国、町観光協会などのメンバーで構成される交通対策部会があり、これまで3回、課題解決に向け対策を協議してきた。鹿児島県肝付町でロケットが打ち上げられた際のデータを基に、串本町でのロケット1機目の打ち上げ時には2万人の来訪者と自動車8000台が訪れることを想定しているという。
江住中学校前交差点(すさみ南IC出口)および、市屋交差点(那智勝浦新宮道路出口)を先頭に、両道路や国道42号では潮岬西入口と東入口交差点(大島入り口部分)から橋杭岩信号間の串本町の町中、ロケット射場と公式見学場付近での渋滞発生も課題となりそうだ。
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県では▽事前予約制で有料の公式見学場を用意する▽マイカーではなく、公共交通機関(鉄道)やパークアンドライドによる移動を前提とする▽公式見学場予約者以外のマイカー来訪者による渋滞緩和のため、看板や中継車などによる交通誘導を行い、「全体的な交通量の抑制」「42号線における来訪自動車の通過交通の円滑化」―などを対策として行う方針だ。
県商工観光労働部企業政策局産業技術政策課の柴田和也課長によると、予約客以外の来訪者に対し、「渋滞緩和を目的に抑制しすぎるのは地域のためにならないという意見もあった」。「各地域の観光資源とどう組み合わせていくかが重要だが、問題となる渋滞対策を進める必要がある」と見解を示した。
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有料の公式見学場については、現在那智勝浦町が旧浦神小学校の見学場整備を進めており、基本計画策定のために予算300万円を先月の町議会定例会で計上し可決された。
県によると、見学場には来訪者が見学しやすく、輸送しやすい立地が必要だという。同町だけでなく、射場が建設される串本町でもロケットの見学に絡めたさまざまなオプションの検討や見学場の構想があると説明した。
(2020年4月15日付紙面より)
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300㌔超えの大物など55本水揚げ (勝浦地方卸売市場 )
国内有数のマグロはえ縄船の基地、那智勝浦町の勝浦地方卸売市場で13日、300㌔を超える大物を含めクロマグロ(本マグロ)55本が揚がった。前日分を合わせると30隻以上の入港船があった。
同市場一日の水揚げでは、近年まれに見るクロマグロの本数となったものの、国が7日に発表した7都府県の緊急事態宣言の影響からか高級魚のクロマグロを筆頭に需要が冷え込んでいる。
和歌山県漁業協同組合連合会(JF県漁連)勝浦市場の太田直久市場長は「全体の相場は4月初めまで安定していましたが、先週中頃から下がり出し、メバチ、キハダも安いですね」と話す。一方、スーパーなどで出回ることの多い大衆魚のビンチョウマグロは比較的高値で取引されている。
クロマグロを買い付けた仲買人からは「歴史的な安値になった。質も良いのに料亭やすし屋が営業していないから売れない。ビンチョウと変わらない値段で出回るかも」などの声が多くあった。同市場関係者らは「せっかく漁師さんが苦労して釣ってくれた本マグロ。今こそ産地の家庭で食べてもらえれば」と地元での消費を呼び掛けている。
(2020年4月15日付紙面より)
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御幸町全龍寺線で (新宮市 )
新宮市新宮の本廣寺近くの道路が13日午後、陥没した=写真。陥没直前にオートバイで現場脇を通過した40代男性は「通過して2、3秒後にドカーンとすごい音がして、振り返ったら大きな穴が開いていた。驚いた」と興奮混じりに話す。
男性によると、通過中から道がへこんでいると感じたとのこと。道路が落ちる音に驚いた近隣住民が次々に家から飛び出してきたという。道は駐車場に面しており、車で道に出ようとしていた別の男性は「危ないとは思っていたがまさか道が落ちるとは」と驚きを隠せない。
市によると、もともとアスファルトにクラック(ひび)があり地面が下がっていたことから、3月末から同所を通行止めにしていた。最近の調査で床版の亀裂が目立っていたことなどを受け、市は6月の補正予算に工事費を盛り込む計画を立てるとともに、鉄板で道の補強を予定していたという。
現在のところ対応は決まっておらず、落ちたアスファルト片を早急に撤去するとともに、人が通行できるように処置を急ぐ方針だ。
(2020年4月15日付紙面より)
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拳武館新宮空手道スポーツ少年団代表・青山富男さん
令和元年度専修学校・各種学校優秀卒業生市長表彰式が3月30日、新宮市役所であった。新宮料理学院、萩原きもの総合学院の生徒たち7人に田岡実千年市長が表彰状と記念品を贈呈した。
表彰は市内にある各種学校の模範となる卒業生を対象に毎年行われている。表彰式には向井雅男副市長や速水盛康教育長ら関係者も出席。田岡市長は受賞者の努力に敬意を表し、「習得した技能の成果は、これからの長い人生で必ず生かされて役に立ちます。これを契機として、さらに一層究めていけるよう頑張ってください」とあいさつ。
「新型コロナウイルス感染症対策のため、多くのイベントが中止や延期を迫られています。市としては対策を十分に講じ、市民の健康・安全を第一に守っていくことが最も重要。一日も早い終息を祈念しています」と述べた。
受賞者を代表し、新宮料理学院の谷雅美さんは「先生方には基礎からよりおいしくできる方法やこつを分かりやすく教えていただいています。受賞の喜びを胸に指導していただいたことを仕事や生活の中で生かし、人を笑顔にできる料理を作れるようにこれからも学び続けたいと思います」と謝辞を述べた。
(2020年4月1日付紙面より)
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青蓮さんが舞を奉納 (熊野那智大社 )
和と洋を融合させた独自のパフォーマンスで国内外から注目を集める青蓮(せいれん)(時広真吾)さんが3月29日、那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)で舞を奉納。「古事記」などから着想を得た自作の衣装3着を身に着けて舞い、多くの参拝客が足を止めた。
毎年、東京都の太子堂八幡神社(畑中一彦宮司)の祭りで舞を奉納しており、宮司同士の縁で今回の奉納に至った。
太子堂八幡神社一同と共に参拝した青蓮さんは、長生殿で熊野の山々を背景に艶やかに舞った。大阪府から訪れた大谷ちえこさんは「フェイスブックで見た時広さんの衣装があまりに素晴らしく、友人2人と駆け付けた。気迫と優しさが感じられ、今の時世のことを祈ってくださったと感じる。途中で空が晴れ、周囲がキラキラとして美しかった」と語った。
時広さんは1990年、オペラ「魔笛」で舞台衣装家デビューし、ミュージカル、劇場、鼓童など数々の舞台で活躍。詩人(中空一)、写真家(八雲浄麿)としても活動している。「『古事記』の衣装は戦に疲れ、病を得たヤマトタケルが能煩野(のぼの)の地で故郷をしのんで歌を詠むという場面に応えて現れたもの。音楽にもハワイ語の『ふるさと』を取り入れました。熊野の神々と熊野を愛する全ての人にささげます」と話していた。
(2020年4月1日付紙面より)
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記念講演会や第6回総会 (くしもと9条の会 )
くしもと9条の会が3月29日、串本町文化センターで記念講演会や第6回総会を開いた。記念講演会は当初告知した内容を変更し、パキスタン~アフガニスタンで支援を展開する非政府組織「ペシャワール会」の活動内容に触れて平和を築く気持ちを高めるなどした。
新規会員を得るきっかけとして、総会と対で取り組んでいる研修を一般公開する形で開いている同講演会。当初は第2次世界大戦時に父親を戦死で失った経験を持つ丸山雄史さんを講師に迎えて平和への思いを聞く内容で一般参加を呼び掛けたが、新型コロナウイルスの影響で社会的制約がかかり丸山さんが高齢であることにも配慮して内容を変更することとした。
代替で準備したのは、平和の築き方を考える事例として近年、町内のイベント会場などで情報発信している話題。今回は資料展示と映像資料上映の2系統で活動内容に触れる場を整えた。当日は二胡(にこ)・ギター・マンドリンの三重奏を持ち味とするグループ「彌萬音(やまね)」(西玉博和さん・吉田新次さん・岩城伸一さん)のオープニング演奏で開会。映像資料「アフガニスタン用水路が運ぶ恵みと平和」を一通り鑑賞し、その前後で資料展示も見てもらったという。
その後にくまの平和ネットワーク、市民連合わかやま・くまの、すさみ9条の会の各関係者を来賓に迎えて総会を開き、前年度と本年度の事業関係諸議案を審議。活動の在り方で質疑や意見を活発に交わしつつ承認した。
役員改選もあり、現職全員留任とする事務局案を承認した。本年度も署名とスタンディングを活動の主軸とし、とりわけ署名活動は憲法9条を現政権による改正から守るためさらなる件数獲得を目指す必要があると意思統一。すさみ9条の会から活動報告や提言を受けて取り組む気持ちを高めるなどした。
(2020年4月1日付紙面より)
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水害に耐えたソメイヨシノ (新宮市熊野川町 )
新宮市熊野川町相須で2011年の紀伊半島大水害に耐えたソメイヨシノが満開を迎えている。約50年前に平岩明さん(82)が植えた2本のうちの1本で、水害後に知人の勧めで「平岩桜」と名付けた。「唯一生き残った『一本桜』。今年は一気に花が開いた」と笑顔を見せた。
水害時、サクラも頂上まで濁流につかり、丸太などが引っかかって幹に多数の傷が残っていた。「もう1本は倒れてしまったが、川岸の補強用の蛇籠に根を張ったからか、こちらは無事だった。毎年花を咲かせてくれ、神様として祭らなければという気持ち」と語った。
水害では地区のほとんどの家が床上浸水し、平岩さんの家も被害に遭った。裏手の山で雨に打たれながら一晩過ごした際、「雨が星みたいに見えた」と当時を振り返る。現在は自宅跡地をかさ上げした新しい家に妻のアツ子さん、水害後に飼い始めたプードル「元気」らと共に暮らしている。庭にはマンサクも濃いピンクの花を咲かせていた。
(2020年4月1日付紙面より)
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