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【検索ステータス】 
2019年01月23日
1 無投票で新議員13人が決まる
 紀宝町議選  

 任期満了に伴う紀宝町議会議員選挙が22日告示され、定数13に対して現職8人、元職1人、新人4人の計13人以外に立候補の届け出がなく、無投票当選が決まった。

当選者【定数13、届け出順】

当落候補者名年齢党派現元新
市川  潔71
莊司  健71
榎本 健治42
平野美津子71
向井 健雅64
山本 精一62
野田 純志70
浅田 和江47
原  章三71
大倉 孝司60
奥峪 康之61
萩野 進也64
獺越 幸雄63


※年齢は当初の投票日(1月27日)時点の満年齢


2019年01月23日
2 全員がけがなく無事に
 消防団丹鶴分団が神倉神社を清掃  (御燈祭りに向け )

 2月6日(水)の御燈祭(おとうまつ)りに向け、新宮市消防団丹鶴分団(杉下和夫分団長)は20日、神倉神社の清掃活動に取り組み、団員約20人が参加した。

 火災や事故を防止しようと毎年この時期に実施している。枯れ葉を掃き、枝打ちをするなどして、たいまつの火が燃え移らないようにするとともに、石段の隙間を埋めるなどして上がり子がつまずいたり足を挟むことのないようにと整備をした。午前8時ごろ集合し、午後2時ごろまで作業した。

 以前は杉下分団長も毎年上がり子として祭りに参加し、自身の息子や孫も3歳の頃から一緒に上っていた。数年前からは上がり子としてでなく、消防団としての仕事を果たしている。

 知人の紹介で入団し初めて参加した三鬼成晃さん(29)は当日、上がり子として上る予定をしており、「裏方としての仕事の大切さを改めて実感しています。団員、上がり子として皆さんがけがなく下りていただきたい」。

 杉下分団長は「上がり子はもちろん、祭り関係者、見学者の方々がけがのないよう注意してほしい」と語り、「分団員として一生懸命、火災予防に努めます」と話していた。

(2019年1月23日付紙面より)

手分けして掃除をする分団員ら=20日、新宮市の神倉神社
2019年01月23日
3 研修会や食事で親睦深める
 宇久井地区老人クラブ研修会  (那智勝浦町 )

 宇久井地区老人クラブ連合会(峰武久会長)は21日、那智勝浦町の休暇村南紀勝浦で役員研修会を開催した。町老人クラブ連合会の玉置之一会長が健康寿命などをテーマに講演した。その後は懇親会が行われ、出席者19人は親睦を深めた。

 研修会は宇久井区の各老人クラブ代表者が集まり、年に1回ほど実施されている。区の課題などを話し合うとともに交流を深めることを目的としている。

 峰会長が今年11月に開催される「ねんりんピック紀の国わかやま2019(第32回全国健康福祉祭和歌山大会)」について詳細を説明。同町ではダンススポーツが行われることに触れ、「ねんりんピックは誰でも出ることができる。勝ち負けではなく、交流がメイン。希望者はぜひ、申し込んでほしい」と呼び掛けた。

 玉置会長は平成27年の介護保険制度改正に伴い、市町村ごとに取り組む「新地域支援事業」などを紹介。昨年7月の世界保健機関による統計で日本人の平均寿命は女性が87・1歳(1位)、男性が81・1歳(2位)で男女ともに過去最高を更新し、男女平均は1位であると述べ、「長寿は大切で喜ばしいが、病気にならず元気に生活することはもっと大切」と話した。

 自分の体調や体力に応じた健康寿命を延ばすための運動について、▽健康診断を通して自身の健康状態を知る▽毎日、じゅうぶんな睡眠を取る▽健やかな食事をバランス良く食べる▽ストレッチや運動をする―などを提案した。

 玉置会長は「いつどこでも少しの時間があれば運動はできる。歩くことや簡単なストレッチや筋力トレーニングを行うことで健康寿命を延ばすことができます」と語った。研修会後、出席者らは食事をして会話を楽しんだ。

(2019年1月23日付紙面より)

各地区の役員らが学びを深めた=21日、那智勝浦町の休暇村南紀勝浦
玉置之一会長
2019年01月23日
4 京フィルの演奏を鑑賞
 文化セで文化自主事業  (串本町 )

 串本町文化センターで20日、同町文化自主事業「これぞ超名曲コンサート~クラシックからオールディーズまで~」があり約600人が京都フィルハーモニー室内合奏団による演奏を鑑賞した。

 同事業実行委員会(西野政和会長)と同町教育委員会(潮﨑伸彦教育長)が主催。この事業は同センターの有効活用を目的として1994(平成6)年から回を重ねていて、本年度は同センター開館30年記念事業にも位置付けて同団の招致を計画し、南紀串本観光協会の串本事業所と古座事業所、同センターの3カ所で前売り券を販売する形で来場を呼び掛けた。

 当日は同センターホールがほぼ満席となる盛況の中で開演を迎え、主催者を代表して西野会長は同センターと文化自主事業の歩みを振り返り「このコンサートを機に今後もますます生の芸術を聴けるよう、文化自主事業を実行委員会として充実させていきたい」と述べ、引き続きの支援を求めた。

 同団は72(昭和47)年に京都市を本拠地にして設立した室内オーケストラで、この日は指揮者の井村誠貴さんら23人組で出演。第1部でクラシック9曲、第2部でオールディーズ8曲をホールに響かせた。公演と併せて同センター1階ロビーでは文化自主事業の歩みを振り返る展示もあり、コンサートの前後や合間に来場者の鑑賞を集めた。

(2019年1月23日付紙面より)

ほぼ満席の注目の中で演奏する京都フィルハーモニー室内合奏団=20日、串本町文化センター
2019年01月23日
5 伝統の白装束作り
 新宮市千穂の松田商店  (御燈祭りに向け )

 新宮市千穂の松田商店(松田啓資店主)で、神倉神社の御燈祭(おとうまつ)りで上がり子が着る白装束作りが行われている。毎年正月明けから作業に入っていて、今月いっぱいはこの仕事から手が離せない。

 啓資さん(66)は故祖父・次郎松さん、故父・傳治さんに続いて3代目の店主。父から作り方を学び、体型の変化に合わせて規格を変えながら約50年作り続けている。

 燃えにくい純綿を使用している同店の白装束は、上下と帽子の3点セットが特大から小まで6種類あり、ばら売りもしている。サラシ、白足袋(たび)も販売している。生地の値段が上がり、商売は年々厳しくなっているが、「よっぽどのことがない限り値段を上げるつもりはないよ」と奉仕の心で続けている。

 白装束は修繕しながら何年も使う人がほとんどだが、毎年買う人もいるという。「松田さんところの白装束は丈夫やと褒めてもらえるのは、作り手冥利(みょうり)に尽きる」と笑顔を見せる。

 長時間座っている仕事で、50歳を超えた頃から体力的にきつくなってきいている。一着作る時間は若い頃の倍になった。65歳でこの仕事を辞めるつもりだったが、66歳となった今は「体力が続く限り」に変わった。

 「神事に参加するという自覚を持って上り、けが、トラブルなく無事に下山してほしい」と願っている。

(2019年1月23日付紙面より)

一着ずつ上がり子への思いを込めて白装束を作る松田啓資さん=9日、新宮市千穂
2019年01月23日
6 1、2回戦が終了
 3回戦以降の組み合わせも決まる  (県高校サッカー新人大会 )
2019年01月23日
7 辻萌々香さんが優勝 第43回新春少年剣道大会 
2019年01月23日
8 中口和子さんが優勝
 なちかつGGCがクラブ大会を開催  
2019年01月23日
9 連携し良い読書環境を  神倉小学校が図書室の整理  (新宮市 )
2019年01月23日
10 太地水共の社会貢献学ぶ  歴史探訪スクールに50人  (新宮市 )
2019年01月23日
11 うがい・手洗いの徹底を  新宮市立医療センター  
2019年01月23日
12 野中誠一さんら4人が1位 写連紀南支部1月例会 
2019年01月23日
13 南紀勝浦温泉で卓球楽しむ  第7回卓球大会「ツナ・カップ」  
2019年01月23日
14 しょうゆの魅力を学ぶ 三輪崎小で出前授業 (新宮市)
2019年01月23日
15 疲れたが楽しかった  宇久井中生がツバキ油搾油を学ぶ  (那智勝浦町 )
2019年01月23日
16 「桃太郎」に笑顔  2園で劇団すぎのこが上演  (串本町 )
2019年01月23日
17 また遊びに来てね  三尾川保育所で交流会  (古座川町 )
2019年01月23日
18 獅子舞奉納など礼尽くす  くじ野川稲荷神社で例祭  (串本町 )
2019年01月23日
19 当選者491人決める  お年玉プレゼント抽選  (串本リリースタンプ会 )
2019年01月23日
20 町内24カ所対象に交信  県の孤立集落通信訓練で  (古座川町 )
2019年01月23日
21 男女とも矢渕中が優勝  ソフトテニス南郡地区予選  
2019年01月23日
22 健康体操などで交流深め  大里でカフェいっぷく亭  (紀宝町 )
2019年01月23日
23 昔の生活道路などを歩き  山歩き部会が歴史ウオーク  (紀宝町 )
2019年01月23日
24 お悔やみ情報
  
2019年01月18日
25 救助能力の向上図る
 ヘリによるホイスト訓練実施  (新宮警察署 )

 新宮警察署(大髙圭司署長)と県警航空隊は16日、新宮市新宮の同署南側空き地で災害警備訓練を実施した。同署の第二機動隊員ら15人が大規模災害発生時を見据え、県警ヘリコプターBK117B―2型「きのくに」による被災者救助訓練を行った。

 署員の防災意識高揚と迅速な体制の確立、対処能力、救助能力の向上などが目的。阪神・淡路大震災(1995年)が発生した1月17日に合わせて毎年実施している。

 この日の訓練では、南海トラフ地震や水害などの大規模災害の際に道路が途絶したり、中州に人が取り残された状況を想定した。急病人やけが人に救助用具を装着させ、ヘリに搭載されているホイストクレーンでつり上げて搬送する一連の動きを確認し合った。

 県警航空隊は「きのくに」に関して「時速は200㌔。3000㍍まで上昇する。天候などにもよるが、和歌山市から新宮市まで早ければ30分で到着できる」などと説明。災害時には搭載さ

れた「ヘリコプターテレビシステム」で地上の状況を中継し、被害状況を把握する。遭難者などに呼び掛けを行うためのスピーカーも搭載している。

 訓練後、同署の木村光太郎警備課長は「災害時にはヘリが一番力を発揮するのでは。今日のようなホイスト訓練を重ねることで、署員の救助能力の向上に努めたい」と話していた。

(2019年1月18日付紙面より)

ホイストクレーンを使った救出訓練の様子=16日、新宮市
救助用具の取り付け方法を確認した
2019年01月18日
26 ジャンボたいまつが登場
 「御燈祭り」を前に仲之町で  (新宮市 )

 新宮市の神倉神社で2月6日(水)に営まれる「御燈祭(おとうまつ)り」を前に、同市の仲之町アーケードに長さ1・8㍍のジャンボたいまつが登場した=写真

 仲之町商店街振興組合(福田一郎理事長)の組合員たちが祭りを盛り上げようと20年以上前から毎年この時期にリフトを使って長さ約370㍍のアーケードに取り付けている。組合員たちが傷みを補修しながらつるしており、たいまつの側面には「世界平和」「商売繁盛」「天下泰平」などの文字を入れている。今後はのぼりも設置する予定。

 熊野地方に春の訪れを告げる「御燈祭り」は1400年前から続くといわれる全国でも珍しい女人禁制の火祭り。白装束に荒縄を胴に巻き、わらじを履いた「上がり子」と呼ばれる祈願者たちが、御神火がついたたいまつを手に538段の石段を下る。

(2019年1月18日付紙面より)


2019年01月18日
27 前回に比べて1割強の伸び
 年末年始の観光動態まとまる  (串本町 )

 串本町の年末年始(昨年12月30日~今年1月3日)の観光動態が15日にまとまった。宿泊、日帰り合わせて推計延べ4万483人が来町。前回の年末年始と比較して11・5%の伸びになったという。

 同町の昨年の大きな環境変化として宿泊施設「大江戸温泉物語南紀串本」の開業があり、他方では同施設や市販車のロケなどCM効果、国指定天然記念物・橋杭岩で相次いだ観光面での高評価、日本ロマンチスト協会による恋する灯台のまち認定など町外における話題性も例年に増して充実していた。

 そのような状況の中で迎えた年末年始の繁忙。推計の内訳は宿泊が8162人(前回より71・1%増)、日帰りが3万2321人(同2・4%増)で、濵地弘貴産業課長は、宿泊の大幅増は大江戸温泉物語南紀串本だけでなくホテル&リゾーツ和歌山串本の伸びも含まれるとし、対して日帰りが微増にとどまった要因の一つに宿泊環境の充実に伴う日帰りから宿泊への移行も見据えている。

  □     □

許容量超える見物客集まる 初日の出対応



 繁忙の中でも特に際立ったのが、元日の初日の出観望。昨今の繁忙傾向を踏まえて昨年末、臨時駐車場として▽橋杭漁港内約40台分▽橋杭園地内約112台分▽潮岬望楼の芝内約400台分―を指定し看板設置や警備員配置などによる誘導を行うとともに、国や県にも協力を得ながら初日の出の位置が紀伊大島に隠れる橋杭岩から観望できる望楼の芝への誘導にも力を入れた。

 橋杭岩周辺は元日未明にキャンピングカーなどで道の駅くしもと橋杭岩と同漁港内の各駐車場が満車になり、日の出時刻直前には橋杭海水浴場駐車場や準備した臨時駐車場など全て満車になった。望楼の芝は午前5時ごろに満車に達したとみられ、役場産業課職員が元日返上で駐車場をでき得る限り拡張して誘導するなど現場対応に当たったが結果的に誘導しきれない勢いで見物客が集まり、直前の駆け込みに伴う事故防止のため満車の看板を掲げて駐車を断る対応を取った。警備に当たった事業者から550台以上の駐車があったと報告を受けているという。

 今回の状況を踏まえて同課は、有効だった手立てと今後取り組むべき手立てを取りまとめて次回に引き継ぐとしている。

(2019年1月18日付紙面より)

初日の出直前、臨時駐車場に集まる見物客の車両の列=1日、串本町潮岬(読者提供)
2019年01月18日
28 春祭りにぎわう
 井関青彦神社で例大祭  (那智勝浦町 )

 那智勝浦町にある井関青彦神社で13日、春の例大祭が営まれた。午前の神事では五穀豊穣(ほうじょう)と厄払いを祈願し、宮総代や獅子舞を奉納する神楽会、子どもみこし会などが参列した。

 お弓行事では最初に神主役の中村悠寿君(13)が弓を引き的を射抜いた。続いて兄弓、中弓、弟弓の6人の弓子が矢を放った。的に当たるとどよめきが起こり、拍手喝采。中村君は「真ん中の的近くに当たってよかった。安心した」と話していた。

 的を射た弓子の親族が胴上げされ、集まった区民や関係者に大きな笑い声と笑顔があふれた。同時間帯には子どもたちのみこしがにぎやかに区内を練り歩いた。

 午後は井関宝寿寺近くの弁財天に神楽を奉納し、同寺境内では「幣の舞」「乱の舞」「神明の舞」「剣の舞」の獅子神楽が奉納された。その後の餅まきは多くの住民で大変なにぎわいだった。

(2019年1月18日付紙面より)

中弓の桑木野徳太郎さん(左)と中村寿夫さん=13日、那智勝浦町井関
2019年01月18日
29 市野・杉本組が優勝
 県ソフトテニスインドア選手権大会  
2019年01月18日
30 全国・近畿への出場懸け熱戦展開
 県高校剣道新人大会  
2019年01月18日
31 新宮SSSブルーが2位
 優勝は敦賀FC、3位は斑鳩FC  (新宮SSS招待兼ヤタガラスカップ )
2019年01月18日
32 タバコや薬物の危険学ぶ  町更生保護女性会主催で講話  (太地小学校 )
2019年01月18日
33 海翁禅寺で穏やかな一年祈る  火盗守護秋葉大権現祈祷  (那智勝浦町 )
2019年01月18日
34 ヤブシンと立木早絵さんが出演  いさなの宿白鯨でライブ  (太地町 )
2019年01月18日
35 消防署の仕事学ぼう  王子幼、たづはら保が消防署見学  (新宮市 )
2019年01月18日
36 思いやりの心を育む  王子幼稚園、バリアフリー教室  (新宮市 )
2019年01月18日
37 串本沖に帆船などが停泊  練習船「海王丸」「青雲丸」  (串本町 )
2019年01月18日
38 使える英語を楽しく学ぶ  文化セで英会話講座開講  (南紀国際交流協会 )
2019年01月18日
39 紀宝町、熊野市で閉鎖措置  インフルエンザが流行  
2019年01月18日
40 振り込め詐欺防止を啓発  高齢者地域見守り隊  (紀宝町 )
2019年01月18日
41 全校児童が運動場に避難  相野谷小学校で避難訓練  (紀宝町 )
2019年01月18日
42 竹田真子さんが全国へ  高校卓球三重予選で優勝  (紀南高校 )
2019年01月18日
43 町議選に向け準備進む  事前審査に現職、新人ら13人  (紀宝町 )
2019年01月18日
44 お悔やみ情報
  
2019年01月05日
45 新たな一年がスタート
 官公庁で仕事始め式  

 和歌山県庁や各市町村など官公庁で4日、仕事始め式があった。6日間の休業を終えた職員たちは首長らの訓示の下、気を引き締めて新しい一年のスタートを切った。

■新宮市



 新宮市の仕事始め式は市福祉センターであり、職員約100人が出席した。全員で市歌を斉唱した後、田岡実千年市長が「市政は市民のため」を基本理念に犠牲者ゼロのまちづくり、文化複合施設の平成32年度までの完成などに取り組むと述べ、「市民の誰もが元気で心豊かに暮らせるまちの実現のため今年も渾身(こんしん)の力を込めて頑張ってまいります」とあいさつした。

 来賓として出席した屋敷満雄市議会議長が「課題は山積していますが、諦めず、縦と横の連携を密にして公務に励んでもらいたい」と祝辞。向井雅男副市長が「創意工夫による事業展開を実施し、市政発展のために取り組んでもらいたい」と乾杯の音頭を取り、速水盛康教育長が「猪突(ちょとつ)猛進、迷わず、ブレずに着実に市が発展し続けることを願って」と述べ、万歳三唱で閉式した。

  □     □

■那智勝浦町



 那智勝浦町は4日、庁舎2階の大会議室で仕事始め式を開いた。出席した職員ら約70人は新たな気持ちで今年の業務に取り組むべく、気を引き締めた。

 全員で町歌を斉唱後、堀順一郎町長が「職員の皆さまには今まで以上に奮起していただきたい」と訓示。「懸案・課題を早く解決できるように、私も先頭に立ち、那智勝浦町や役場が元気に明るくなったといわれるように皆さまと一緒にまちづくりをしていきたい。ご協力をお願いします」と呼び掛けた。

(2019年1月5日付紙面より)

田岡実千年市長のあいさつを聴く職員ら=4日、新宮市福祉センター
職員らに訓示する堀順一郎町長=4日、那智勝浦町役場
2019年01月05日
46 建築業界の発展を願い
 新宮建築組合が釿始式  (熊野速玉大社 )

 建築業界の発展を願い新宮建築組合(広里嘉一組合長)は4日、新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)で鎌倉時代から伝わる「釿始式(ちょんなはじめしき)」を営んだ。

 この神事はもともと同大社の宮大工、小野家に伝わる仕事始めの儀式で、現在は、同組合が継承している。

 この日は組合員ら18人が参列。白装束にえぼし姿の森田稔さん(54)がヒノキの原木(樹齢約60~70年、長さ約4㍍、直径約20㌢)をお神酒で清め、西下悟さん(41)と清岡尚寿さん(39)が墨を打った後、森田さんが鎌倉時代から同大社に伝わるカギ型の大工道具「釿」を「エイ、エイ」と3カ所に打ち付けた。

 神事のあと上野宮司が参列した組合員らを前に釿始めの歴史を紹介し、「どうか今年一年も皆さんお元気で、新宮のみならず熊野地域の業界の発展のために尽力いただきたい。本当に今日は素晴らしい釿始めをありがとうございました」とあいさつ。広里組合長は「昨年は材料が入りにくかったり、自然災害が発生したりと、いろいろなことでお客さまにも迷惑をかけてしまったが、皆さん頑張っていたと思う。いま、釿始式を終え、今年一年頑張ろうという気持ちが湧いてきました」と話した。

(2019年1月5日付紙面より)

鎌倉時代から伝わる宮大工の仕事始めの儀式「釿始式」=4日、熊野速玉大社
釿始式に参加した皆さん
2019年01月05日
47 弓頭3人思い込めて放つ
 有田神社祭礼「お的祭り」  (串本町 )

 串本町有田上にある有田神社(深美芳治宮司)の祭礼「お的祭り」が3日にあり、弓頭3人が同神社近くの的場で思いを込めて矢を放った。

 この祭礼は氏子区域である有田、有田上、吐生の新春に弾みをつける例祭で、今年の弓頭は昨年に引き続いて有田~有田上区域の寒川広夢さん(19)、吐生区域の水本小夏さん(16)と長谷川莉杏さん(16)が務めた。

 午前9時に本殿前で式典が営まれ、弓頭3人は中山眞作区長や世話役の神社総代と共に神前奉告。鳥居そばで古式の修祓(しゅばつ)「湯立ての儀」で身を清めた後に同神社前の耕地に設けた的場へ入り、深美宮司の仕切りによる弓行事に臨んだ。

 弓頭は1人につき1巡目と2巡目に6本を放ち、3巡目は3本を放った後に一度同神社へ戻って白衣から黒衣へと着替え、魚の切り身を口にして的場へ入り残り3本を放った。その様子は家族ら住民も見守り、的中するたびに拍手を注いで喜んだ。

 湯立ての儀の釜湯の上にサンマなど28匹をかざし、弓頭は魚の切り身を口にして素人(白衣)から玄人(黒衣)に変わるなど、独特の慣習を宿す同神社の「お的祭り」。弓頭を務めた水本さんと長谷川さんは学力の向上、寒川さんは仕事の上達を個々の願いとして奉仕に込めたそうで、区域の代表として寒川さんは「自分は地元で就職したが、そうしたいほど有田はいい環境。同じように若い皆さんにも興味を持ってほしい」、水本さんは「このような行事を通して有田は素晴らしいところだということを、地元だけでなく観光客の皆さんにも見てもらえるようになれば」、長谷川さんは「有田は自然も豊かなところだということを、このお祭りをきっかけにしていろんな人に見てもらいたい」、深美宮司は「昨年の台風で有田地区も被害を受けた。人災、天災(=台風や豪雨の災害)、自然災(=地震や津波の災害)。今年は諸々の災いが氏子に降りかからないことを願いたい」と思うところを語った。

(2019年1月5日付紙面より)

有田神社前の的場で営まれた弓行事=3日、串本町有田上
魚の切り身の振る舞いを受ける弓頭ら
2019年01月05日
48 魚価は上昇傾向
 勝浦市場で初競り  (那智勝浦町 )

 はえ縄漁法による生鮮マグロ水揚げ高で日本一を誇る那智勝浦町築地の勝浦地方卸売市場で4日に初市があった。近海で操業していた高知の漁船3隻がメバチ、キハダ、ビンチョウなど約20㌧、2257万円を水揚げ。前年に比べると水揚げ量は7割近く減ったものの、平均単価は1112円とほぼ倍増。4月からの年度集計では平均価格に上昇が見られている。

 勝浦漁協によると昨年の1月1日から12月31日までの水揚げは約922㌧・1億7911万円の減。4月1日から12月31日では約6749㌧(前年比476㌧減)、金額は49億3568万円(同約1億4816万円増)となっている。

 勝浦魚商協同組合の木下勝之組合長は「漁獲高の減少、漁価の上昇はわれわれにとって厳しくはあるが、組合で協力し合い販路を広げていく。外来船が安心して入港できる港に」とあいさつし、3月完成予定の冷凍冷蔵施設の整備に感謝の言葉を述べた。県漁連勝浦市場の太田直久参事は「年末はビンチョウマグロが少なかったが、今日は多く揚がった。近海のシーズンはスタートしたばかり。これからに期待したい」と話した。

(2019年1月5日付紙面より)

マグロの品質を見る仲買人ら=4日、那智勝浦町築地
2019年01月05日
49 新成人の華やかな門出祝福  熊野地方で成人式  
2019年01月05日
50 「ファムツアー」記事が人気  宿泊客数増とプロモーションが効果  (新宮市 )
2019年01月05日
51 厳かな音色響き渡る 大みそか、各地で除夜の鐘 
2019年01月05日
52 気仙沼からの大漁旗展示  新宮市  
2019年01月05日
53 獅子舞や餅つきで新年祝う  太地町飛鳥神社  
2019年01月05日
54 舟謡、神楽で新年を祝う  那智勝浦町勝浦八幡神社  
2019年01月05日
55 竹灯籠で参拝客迎え  那智勝浦町宇久井神社  
2019年01月05日
56 世界平和や国の安寧祈り  新宮市王子神社  
2019年01月05日
57 皇室や国家の繁栄祈る  熊野三山で歳旦祭  
2019年01月05日
58 行政効率高め仕事全うを  仕事始め式営み業務再開  (串本町 )
2019年01月05日
59 誓い掲げ大人の仲間入り  文化セで平成31年成人式  (串本町 )
2019年01月05日
60 初詣客の幸運を願い  烏止野神社で新春奉納太鼓  (熊野水軍太鼓 )
2019年01月05日
61 町民目線に立って仕事を  西田健町長が年頭訓示  (紀宝町 )
2019年01月05日
62 大人への決意と自覚胸に  成人式で136人が門出  (紀宝町 )
2019年01月05日
63 初日の出に大勢の人  熊野地方  
2019年01月05日
64 お悔やみ情報
  
2019年01月01日
65 水野家入部400年と新宮城
 「歴史の故郷」から「心の故郷」へ  (モニカ・水野・ベロイターさん )

 2019年は新宮領主として紀州徳川家を補佐した水野家の入部400年を迎える。新宮市では11月に記念行事などを企画しており祝賀ムードが高まる中、紀州藩新宮領主水野家の子孫であるモニカ・水野・ベロイターさんにインタビューし、「新宮」と「水野家」について、自身のルーツへの思いを語っていただいた。

 また、昨年11月には新宮城の復元を目指す資料収集懸賞事業が始まり、城郭再建に向けた動きも活発になっている。

 新宮城は関ケ原の戦いで戦功をたてた浅野幸長の一族の家老・忠吉が1601年に着工した。一国一城令で廃城になるも、幕府の許しを得て水野重仲(しげなか)が築城を継続。33年、2代目・重良(しげよし)の時代に完成した。改修は続き、今の新宮城になったのは3代目・重上(しげたか)の69年。1873年の廃城令で取り壊された。2003年に国史跡に指定。17年には「続日本100名城」に選ばれた。

 新宮城に詳しい日本城郭史学会和歌山支部長の水島大二さんから引き継ぎ、田辺市の小学生のふるさと学習で講師を務める小渕伸二さん(新宮城復元対策委員)に特徴や見どころを教わった。

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新宮市との関わり



 幼い頃に祖父母から先祖はお城に住んでいたという話を聞きましたが、どこかおとぎ話のような感覚。成人し、独日交流に携わる中で自分のルーツに興味を抱きました。

 新宮は複数の世界遺産に囲まれ、豊かな自然の恵みに育まれた「伝統のまち」という印象が強く、さまざまな文化的影響が分かる、神秘的で魅力的なところ。2010年に息子と新宮を訪れて以来、さまざまな出会いがあり、励みになる言葉を頂きました。

 新宮市の歓迎会で「お帰りなさい」と声を掛けていただいたことは感動でした。また、城に関わっていた子孫の方が、その歴史をご存じでその場に見えられていたことが印象的でした。

 関係者から頂いた「あなたにはあなたにしかできないことがある。ぜひそのことを考えてください」という言葉を受け、私は自分のルーツを再確認し、新宮との交流に関しても、ドイツと日本、言葉と文化の違いを超えて懸け橋になれればと思いました。多くの人に新宮の自然と伝統を知ってもらいたい。水野家入部400年祭に関しても公益法人独日フォーラム・エルベとの協力プロジェクトを推進中で、これをきっかけに国内、国外の交流もさらに広まれば。関係者の皆様のご尽力に心より感謝するとともに、今後の展開に期待が寄せられます。

 これまで「歴史の故郷」と紹介していた新宮は、2010年の来新をきっかけに始まった体験と、人と人との結び付きから今や「心の故郷」になりつつあります。

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墓所と城跡の重み



 末裔(まつえい)として墓所と城を見たいという思いが達成できたことは感激でした。緑豊かな歴代墓所の高台に一歩一歩足を運ぶほどにご先祖様のありし日が想われ、歴史の尊さを感じました。皆さんに大切に守ってきていただいた郷土の歴史を感じるひとときに、自然と手が合わされました。

 新宮城は立地が良く、城郭が残っていればどんなに素晴らしかっただろうとうかがわせられます。歴史・文化遺産は年を重ねれば重ねるほど貴重なもの。お城の復元事業は実現すれば素晴らしい。国外で新宮城に関する資料が得られる可能性もあるとのこと、海外に向けた取り組みにも役に立てればうれしい。

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◆モニカ・水野・ベロイターさんプロフィル

 新宮水野家14代水野誠氏の娘、慈子(やすこ)さんとドイツ人の父との間に、東京都で生まれた。12歳でドイツに移り住み、現在はハンブルクにて公益法人独日フォーラム・エルベを立ち上げ、独日交流に力を注いでいる

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■新宮城

 平安時代には源頼朝と義経の叔母、丹鶴姫が住み、戦国時代には豪族の堀内氏が築城する計画があったという場所に立つ。「北山一揆などから、藩主の力を見せ『こんな城は攻められない』と思わせられるような立派な城を築く必要があった」と小渕さん。城の中には舟入(船着き場)があり、海の物流の重要な拠点の役割も果たした。

 主な見どころは▽総石垣▽水ノ手曲輪(みずのてくるわ)▽出丸。

 石垣にはあらかじめ成形した石材を積み上げる「切り込み接ぎ」の中でも「亀甲積み」や「算木積み」という高度な方法を用いている。技術を持った職人をアピールし力を誇示することにつながった。石垣の上には白壁が巡らされていたとも。石垣の美しさは今も見る人が感嘆するほどだ。

 また、水ノ手曲輪には舟入がある。城中核の舟入を守るように囲んでいるのは「倭城(わじょう)」と呼ばれ、日本では非常に珍しい。秀吉の朝鮮出兵に随行した浅野氏が技術を持ち帰り築城したともいわれている。洪水などの被害に備えた石垣造りの港が築かれ、炭納屋があった。

 独立した出丸は橋で本丸とつながっていた。水ノ手、新宮津、熊野川のそれぞれの様子を見ることができる位置にあった。天守台からの眺めから「沖見城」とも。「沖からも城が美しく見られたでしょう」と小渕さん。

 「心のふるさと、シンボルとして見る人や復元を夢見る人もいる。多くの市民が『心のよりどころ』と言うのを聞きました。僕にとっても幼い頃から親しんできた愛着のある場所で、国指定史跡、続日本100名城に選ばれたことはうれしい限り」と話す。

 「来年の初夢には復元された新宮城天守閣が見たい。資料の発見や調査で正夢になってほしいです。丹鶴山に威厳を持った美しい城郭の復元を心待ちにしています」とほほ笑んだ。

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■水野家

 新宮領3万5000石を領したが、熊野の木材、木炭などを支配しその実力は10万石以上であったといわれている。初代の水野重仲は徳川家康の母方のいとこ。1606年に家康の十男、頼宣(よりのぶ)の後見となる。16年に「附家老(つけがろう)」として家臣となり、19年に頼宣が紀州藩に移ったことから同じく新宮に入った。

 9代目城主、水野家10代忠央(ただなか)は優れて賢く、35年に4人の兄を差し置いて家督を継いだ。熊野材や備長炭、和紙や瓦の製造などで領内の経済力を高めた。幕政にも深く関わり、彦根藩主・井伊直弼(いい・なおすけ)や大奥と手を結んで第14代将軍・家茂(いえもち)を擁立することに成功した。

 進歩的かつ開明的な思想の持ち主で、外国の原書を多く翻訳させた。いち早く洋式軍隊を編成し、騎馬調練の「丹鶴流」は江戸に広く宣伝された。洋式船「丹鶴丸」の製造、北海道開拓や小笠原での捕鯨などさまざまな試みをした。

 江戸新宮藩邸に「育栄館」、赤坂邸に紀州藩校「文武館」を設けた他、徳川時代の三大名著の一つといわれる『丹鶴叢書(そうしょ)』を編さんするなど多方面で活躍した。直弼が暗殺されるとともに失脚。家督を嫡男・忠幹(ただもと)に譲り、新宮で隠居生活を送った。忠央や多くの家臣が新宮に滞在したことで江戸風の文化を新宮に伝えることになった。(新宮市協力)

(2019年1月1日付紙面より)

新宮城跡
モニカ・水野・ベロイターさん
独立した出丸
2019年01月01日
66 仏画に見る動物たち
 十二支から神獣まで  

 仏画の中の動物をはじめ、眷属(けんぞく)神の十二神将に施された干支(えと)の動物(写真①)、仏像の台座や欄間(らんま)の獅子や象など、寺社には動物が意外と多い(写真②・摩利支天=まりしてん=像)。中でも「涅槃図(ねはんず)」は、龍(りゅう)などの想像上の神獣も含め、大小さまざまな動物、鳥や昆虫、爬虫(はちゅう)類、甲殻類などを1枚の絵で見ることができる。

 万物全てが釈迦(しゃか)の入滅を悲しみ、集まっているように見えるが、一般的な涅槃図にはネコが描かれないという。正体不明の生き物(写真③)までもがいるのに、なぜ身近な存在のネコがいないのか―。西昭嘉(しょうか)住職(那智勝浦町宇久井・延命寺)にお願いし、涅槃図について話を聞かせてもらった。不思議なことに、ここの涅槃図には「ネコらしきもの」がいるのだ。

 寺により図像が異なる涅槃図を見ると、曼荼羅(まんだら)絵解きのような興味が湧いてくる。見せてもらえる機会があれば、動物好きの人にもお勧めする。さまざまな説があるようだが、正体の分からない存在、顔の表情や振る舞い、描いた絵師の意図などを、あれこれ推測するのも一興ではないだろうか。

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 ―延命寺の涅槃図はいつの時代のもの?

 はっきりとは分かっていませんが、ご本尊や大般若経、紺紙金泥法華経(こんしこんでいほけきょう)10巻などの他の寺宝が鎌倉時代(1185~1333年)初期のものと考えられていますので、同時期のものだと思われます。元々、一間(約1・8㍍)あったといわれていますが、修復を続けているうちに少し小さくなってしまいました。

 ―涅槃図とは?

 お釈迦様がお亡くなりなった瞬間の様子を描いているものです。場所は北インドのクシナガラで、一説には当時の栄えていた都から自分の生まれ故郷に帰る途中にお亡くなりになったとされています。

 インドやスリランカの石窟寺院にも石像の涅槃仏と共に壁画で描かれており、それらはマハーパリニッバーナ経(漢訳名は遊行経)に基づき描かれたものといわれています。日本では平安時代から紙に描かれるようになりました。

 ―お釈迦様の存在は?

 お釈迦様は、仏教の開祖。涅槃図に描かれている神々は、完全に悟りを開いた最高神ではありません。仏教の考え方では、この世の中には、六つの世界があり、天上界に住む神々さえも、輪廻(りんね)転生から抜け出すために必ず生まれ変わらなければならないといわれています。輪廻から抜け出した覚者に教えを聞きに来たのだといわれています。

 ―周囲の人物たちの様子は?

 集まったお弟子さんや仏様、神々の中には平然とした顔している者もいれば、悲しんでいる者もいます。平然としている人は悟りを開いており、嘆き悲しんでいる人はまだ悟りを開いていないことになります。

 象徴的なのは一番悲しんでいる付き人のアーナンダです。彼は仏教史上、最もお釈迦様から教えを聞いている人物でしたが、お釈迦様が生きている間は悟りを開くことができませんでした。一説にはお釈迦さまのまたいとこや義理の弟であったともいわれています。

 ―延命寺の涅槃図に描かれている人物や動物は?

 多くのお弟子さんや神々、阿修羅(あしゅら)、龍神などが描かれています。他にも人面鳥と呼ばれ、インドの神であり、日本では秋葉三尺坊大権現(あきばさんじゃくぼうだいごんげん)と呼ばれているガルーダの姿もあります。干支の動物もおり、鳥やシカ、ゾウ、チョウ、トンボ、クジャク、ツルもいます。日本に伝わった際に描かれる動物が変わりました。

 ―ネコがいる、いないは?

 一説にはネズミがお釈迦様の使いであるという話から涅槃図にはネコが描かれないようになったといわれています。

 しかし、絵の具を運んできてくれたネコを描いてあげたという絵師の話もあり、臨済宗の東福寺の涅槃図のようにあえて、ネコを猫いた涅槃図も存在します。

(2019年1月1日付紙面より)

那智勝浦町宇久井・延命寺の涅槃図と西昭嘉住職
ネコやイノシシが描かれている(延命寺所蔵)
〈写真①〉薬師如来を守る十二神将。表情や体形、ポーズなど一体ずつの違いが見どころ。安底羅(あんてら)大将は、武神にしては優しげな顔立ち(那智勝浦町下和田・大泰寺所蔵)
頭上には十二支の寅(とら)
〈写真②〉今年の干支・イノシシにまたがる摩利支天。かげろうを神としてあがめたもの。実体がないので、捉えられず、焼けず、傷つかず。自在の神通力を持つ
〈写真③〉正体不明の裃(かみしも)を着たような生き物(大泰寺所蔵)
2019年01月01日
67 準備期間経て4月本稼働
 中堅世代主導の観光協会  (古座川町 )

 昨年9月に発足した新生・古座川町観光協会は、約半年となる初年度を準備・整備期間と位置付け、来年度の本稼働に向けた体制構築に努めている。「年長が将来を担う世代の振興を後押しする」という共通認識の下、30~40代の会長と副会長、事務局職員が軸になっている点が同協会の持ち味。その主導で着々と歩み始めている。

 同町には過去、旧・古座川町観光協会があったが2013(平成25)年9月に解散。後に玉川大学観光学部の協力を得て観光振興計画(15~19年度)、次いで観光実施計画が策定され、これら計画に基づいて町域にある観光関係諸事業のブラッシュアップが図られている。それらを束ねる核となるプラットフォームとして設置が目指されたのが、現在の古座川町観光協会にあたる。

 17(平成29)年度にプラットフォーム立ち上げ検討会議が開かれ、その結論をもって昨年5月に同協会設立発起人会が発足。会合を重ね、9月27日に任意団体・古座川町観光協会の設立総会を開くに至った。

 その展開を見据えていた役場は予算補助に加え、地域おこし協力隊制度を活用して木下昂さんを起用し、設立と同時に同協会付事務職員に充てている。設立総会で選出された理事は、これから地域の中核になる人材による主導を策として思い描き、会員の中では中堅世代となる須川陽介会長、森武志、深海政也の両副会長を選出。さらに年長の会員は3人の将来構築を後押しするという認識を共有して初動を固めた。

 設立目的は「町内の文化や自然資源を用い、持続可能な発展を図ること」。団体名を観光協会としたのはすでに広く認知された呼称であり将来的に相応の機能を町外に向けて発揮するためだが、町内に向けては少し工夫がされていて、観光事業に関わる法人や団体に加えて観光振興に関心のある個人の入会にも力を入れている。その背景には、古座川町を愛好する人々の思いや意欲を観光振興の素地として取り入れたいという思いがある。

 年会費は法人・団体が1万円、個人が2000円。入会案内チラシを作って周知を図り、古座川秋まつりにおいてコーナーを設けアピールにも努めた。入会は随時受け付けていて、役場地域振興課内にある事務局に尋ねてほしいという。

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愛好を束ねた観光目指す チーム古座川の意識醸成



 目下、振興に力を入れているのはクマノザクラ。町の花にもなっている地域資源の振興を通してまずはノウハウをつかみ、これを他の地域資源の振興へと広げていく考えだ。情報発信の主力はインターネット上の公式サイト。訪れる人々のリサーチに応える仕組みで、関心を着実につかみ誘客へとつなげる筋道をつけるため、要となる公式サイトの制作を進めている。

 古座川町が好きなみんなでこの地域を振興する機運を高める―。3人が将来に思い描くのは、誰もがもてなしの心で訪れる人々を歓迎するところから始まる観光。この発想は今に始まったものではなく、2014(平成26)年度末に開かれた観光振興計画策定委員会の時点で強く意識された挑戦課題「チーム古座川の意識醸成」に基づく。もう一つの挑戦課題「観光地域プラットフォームの具現化」は同協会設立により達成されたため、今後は一点集中で残る挑戦課題の達成を目指すことになる。

 設立から3カ月。須川会長(35)は4月の本稼働に向け「設立したばかりでまだこれといった会員特典もないのに入会していただけているのは、まさにこの協会に対する期待そのものだと思っています。これに応えられるよう皆さんの意見を吸い上げながら努めたい」と意気込む。すでにSNS(Facebook)の公式アカウントを取得し情報発信を始めているが、クマノザクラの開花に間に合わせるため1月中には主力の公式サイトを開設するとしている。並行してクマノザクラなど町域の桜の開花シーズンに合わせたキャンペーンの展開、各種研修機会の創出も本年度中の達成課題として意識。役場内にある事務局も来年度には今まで以上に観光客の来訪利便に応える別の場所へ移す準備も進めている。

(2019年1月1日付紙面より)

古座川町観光振興基本計画策定委員会(2014年度)。この時点で「チーム古座川の意識醸成」と「観光地域プラットフォームの具体化」が意識された
古座川町観光協会設立総会。今後地域の中核になる中堅世代に主導権を託す形で観光地域プラットフォームが動き始めた
古座川秋まつりの会場で設立の周知や会員勧誘に努める(左から)深海政也副会長、木下昂さん、森武志副会長
「期待に応えられるよう努める」と意気込みを語る須川陽介・初代会長
2019年01月01日
68 夏休み前の開館を目指す
 南紀熊野ジオパークセンター  (串本町 )

 日本ジオパークの再認定が待たれる南紀熊野ジオパーク。その新たな拠点施設「南紀熊野ジオパークセンター」が7月、串本町潮岬で開館する。昨年春に始まった工事は11月末現在で進捗(しんちょく)率50%を突破。県自然環境室は「今年の夏休みに(開館を)間に合わせたい」とし、開館後は同パークを訪ねる人流が本州最南端に向けて新たに宿る変化が見込まれる。

 南紀熊野ジオパークは、県南部の特色ある地形や地質を包括振興する枠組み構想。県知事を筆頭に関係する9市町村(新宮市、白浜町、上富田町、すさみ町、那智勝浦町、太地町、古座川町、串本町、北山村)と市町村内主要団体で推進協議会を立ち上げ、105人の登録ガイドが結成するガイドの会と両輪で世界ジオパーク認定まで見据えた振興に挑戦している。

 平成26年8月に日本ジオパークとして認定され、昨年11月には4年ごとに迎える再認定の現地審査を受けた。そのような局面をまたぐ形で進んでいるのが、同センターの建設。立地は同パーク沿岸エリアのほぼ中央、本州最南端にある潮岬観光タワー施設の西隣で、年の瀬には木造2階建ての建物の形が見て取れる段階まで建設が進んでいる。

 建物の延べ床面積は約978平方㍍で、5月末には完成する予定。以降は各種展示物の配置などを進めて開館を目指す。館内には展示室、映像室、セミナー室、作業室、事務室などがあり、これらを活用し▽展示と学習▽情報発信▽調査研究▽地域活動支援―などの機能を発揮する。2478平方㍍の敷地整備も含めた総事業費は約7億円。

 現在は環境省施設「宇久井ビジターセンター」を拠点としているが、推進協議会の事務機能は和歌山市の県庁(県自然環境室内)にあり、現地で活躍する登録ガイドとの連携には大きな移動負担が余儀なくされている。同センター開館時に県自然環境室が有する事務機能を移すことも計画に含まれていて、センター長以下5人程度の規模で人員配置の調整を進めている。うち2人は地形・地質の専門員(正職員待遇)で、昨秋に公募し人選を進めている段階。別途、登録ガイド2人が館内案内のため常駐する仕組みも調整している。

 推進協議会の事務機能を有する県自然環境室は「同センターは、現在の拠点をさらに上質にした感じの拠点になる。開館により訪れる皆さんにいっそう南紀熊野ジオパークを知ってもらうことができ、登録ガイドの皆さんと現地で連携する体制もようやく整う形になる」と話し、開館が今後の振興のいっそうの弾みになることを期待している。

 開館時間は午前9時~午後5時と想定しているが、休館日など具体的な運営手法は年の瀬の時点で未定。那智勝浦町にある宇久井ビジターセンターと望楼の芝にある環境省施設「潮風の休憩所」機能は、南紀熊野ジオパークセンターが開館した後も吉野熊野国立公園の一端を物語る要素として継続する方向にあるという。

(2019年1月1日付紙面より)

本州最南端で建設中の南紀熊野ジオパークセンター(左)
完成時のイメージ図(県自然環境室提供)
潮風の休憩所にある南紀熊野ジオパークコーナー

2019年01月01日
69 くじらの博物館50年の歩み
  

 今年50周年を迎える「太地町立くじらの博物館」は、1969(昭和44)年4月2日にオープンした。同4日付の熊野新聞に、喜びに沸く開館式の様子が大きく取り上げられている。

 くじら浜公園などの埋め立てや土地開発費を含めると総工費10億1500万円(注1)もの巨費が投じられた。「長年の夢を実現させ、クジラの伝統を生かし観光の町として第一歩をふみ出した」故・庄司五郎町長のあいさつが記されている。

 開館準備に始まり、いつも「くじらの博物館」と共にいた林克紀館長から巨大模型をはじめ、同館の展示品や鯨類の飼育にまつわる数々のエピソードを聞いた。その一部を紹介する。

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■クジラのヒゲ磨き

 1967年にオホーツク海で捕獲された体長約15㍍のセミクジラ。現地で取り出された内臓は、貨車1台を丸ごと借り切って積み込まれ、下里駅に到着した。町役場に勤務していた18歳の林さんは、トラックで太地町へ運び、オープンに向けて標本作りに取り掛かった。油分が出なくなるまで、何度もホルマリン液を交換する作業に追われたという。

 セミクジラの特徴でもある長い「クジラヒゲ」【写真①】も磨いた。食べ物の残りかすなどが隙間にたまっていたので、除去してからワックスをかけ、さらに磨いてきれいにした。

 そうこうしているうちに土に埋めていたセミクジラの骨が届いた。大ホールにつられたセミクジラである。セミクジラの実物大全身模型は、生体の頭部、尾びれ、胸びれの型を取って作成されたもの【写真②】。その後もホッキョククジラ、コククジラ、シャチなどの骨格が次々と追加され、林さんは骨磨きでも忙しかった。

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■龍涎香(りゅうぜんこう)見つける

 15㍍くらいの大きなマッコウクジラが水揚げされたので、他の職員らと解体を見学に市場へ。林さんらが見ていると、「腸からポロッと塊が出てきましてね。何だろうと思ってバケツに入れて持ち帰りました。西脇先生(注2)に見せたらびっくり。希少な龍涎香(注3)でした。お香のような良い香りがしましたよ」。

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■イルカを待つこと3カ月

 オープン前年の秋から生け捕りを計画してきたが、まだイルカは捕獲できておらず、ショープールはしばらく空のままだった。「7月に漁師さんらの協力でコビレゴンドウ29頭の生け捕りに成功し、小プールで4頭、自然プールで25頭の飼育が始まりました。ところが、餌(イカ)を食べなくて困った。真夜中に与えてみたり、はえ縄を使ってぶら下げてみたり、いろいろ試したが食べてくれない。最初の食事は強制給餌(喉の奥まで手でイカを押し込む)が必要だったのです」。

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■難しい飼育に挑戦中

 追い込み漁の対象となっている9種類のイルカ全ての飼育展示に挑戦している。2013年には初めてスジイルカが入館。17年にはシワハイルカとカズハイルカの飼育を始めた。スジイルカ、マダライルカは飼育が難しく、国内でのスジイルカの飼育は同館のみとなっている。

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■腹びれイルカ「はるか」の思い出

 2006年に発見された腹びれを持つバンドウイルカ「はるか」。各水族館担当者が集まる選別会場での順番はくじ引きで決めるルールがあり、体長250㌢前後の若い雌から順に選ばれていった。はるかは雌だが272㌢と大きく、雌雄選別の時に腹びれに気付かれることもなく残った。「(はるかを)ひっくり返したら、なんだこれは?となりまして大騒ぎでしたよ」。

 選別に立ち会った林館長は「和田頼元が太地で組織捕鯨を始めたのが1606年ですから、ちょうど400年の節目に見つかった。先祖からの贈り物のように思えました」と振り返る。

 鯨類の進化における後ろ足の消失過程は明らかになっていない。はるかは「5000万年をタイムスリップしたイルカ」と称され、さまざまな研究に貢献した。「2013年に残念ながら息を引き取りましたが、不思議なことに翌年の1月に白いバンドウイルカのスピカ、同じ年の11月には白いハナゴンドウのハマタと珍しい個体が続けて見つかりました」。

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■庄司町長、先見の明

 『田畑のない土地でクジラしか頼るところが無かった町。しかし、いずれ捕鯨は厳しいことになる。』―庄司町長の言葉を今もかみしめる。「南氷洋(なんぴょうよう)の捕鯨がまだまだ盛んな頃に、捕鯨を続けることができなくなる先を見越して博物館を作った。観光とクジラを結び付けたのです」。

 庄司町長が残したくじらの博物館は、その遺志と共に、三軒一高町長が掲げる「太地町30年構想」へとつながり、捕鯨の歴史、文化、伝統と共に後世に受け継がれていくことだろう。

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▼注1 現在の価格に換算/国内企業物価指数1・8倍、消費者物価指数3・1倍

▼注2 博物館建設の指導に当たった日本海洋研究所長、西脇昌治東大教授

▼注3 マッコウクジラだけにできる腸の結石。天然香料として、古来より珍重される。

(2019年1月1日付紙面より)

【写真①】ヒゲクジラの中でも「畝(うね)」を持たないセミクジラは長いクジラヒゲ(ヒゲ板)を持つのが特徴。ヒゲ板の展示の前で、林克紀館長
クロミンククジラの模型。オキアミなどを海水と共に口に含み、ヒゲ板でこし取って食べる。風船のように膨らむ「畝」を持つ。ヒゲは短い
【写真②】背びれのない「美しい背中」を名前の由来とする背美(せみ)クジラ。大ホールの骨格標本と模型
古来より金と同等の取引がされたという龍涎香
腹びれを持つ「はるか」(提供写真)
紙面に躍る見出しから、オープンの喜びが伝わる=1969(昭和44)年4月4日付の「熊野新聞」
2019年01月01日
70 ツール・ド・熊野での個人総合優勝が最大目標  2019年シーズンの戦いへ  (キナンサイクリングチーム )
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71 「未来の金メダリスト」  熊野地域から世界の舞台へ  (金メダル目指して鍛錬 )
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72 いよいよ11月に開催 ねんりんピック紀の国わかやま2019 
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73 穏やかに新年を迎える歴史の里  那智勝浦町・栃ノ木  
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74 夢は花園出場!!  ラグビーを通し人間性育む  (新宮ラグビーフットボールクラブ )
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75 たまには歩いてみるのです。  勝浦の隠れた観光資源を探る編  
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76 祀り守られ生きる  神宿る島・孔島を訪ねて  (新宮市三輪崎・孔島嚴島神社 )
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77 大規模改修工事進む  紀宝町鵜殿運動場  
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78 熊野、そして未来へ―。  熊野地方10市町村のリーダーが語る、“熊野の2019”  
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79 ロマンチック熊野街道  3県にまたがる「ロマンの道」観光の行方をひもとく  (栂嶺レイさん講演会から )
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80 お正月に、折り紙でなに作ろう?  折り紙に生命を宿す  (平松幸一さんが語る「折り紙と私」。 )
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81 シダに魅せられた年男  新宮市・大洞浩一さん  
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82 古写真で振り返る熊野   
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83 自然のガチャガチャ!? ノジュールの謎に触れる。  南紀熊野ジオパーク・太古のロマン  
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84 歴史刻む築70年の木造校舎 4月から新校舎に移転 (田辺市本宮町・三里小学校)
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85 熊野川「三反帆の川舟」  伝統を受け継ぐ若き川舟大工  (紀宝町井田・廣田琢巳さん )
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86 荒船海岸耳ノ鼻へのウオーク  地球の息吹を感じて  (那智勝浦町 )
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87 忘れられない勝山城と藤倉城  那智山の歴史を訪ねて  (那智勝浦町 )
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88 漁師と猪―山の生命をいただく  北山村猟友会