大洋捕鯨の第三文丸 (太地町 )
「昭和弐拾五年 大洋捕鯨 南氷洋ニ決死ノ出漁記念 第三文丸 上家幸男」と記された額の中には氷が浮かぶ海とクジラが描かれており、捕鯨船の模型が一体となっている。捕鯨の歴史を回顧できる「模型絵図」を所有するのは太地町森浦にある㈲紀南水産代表取締役の漁野親行さん。漁野さんは「懐かしい。久しぶりに見たが、細かく作られていて立派」と笑顔で話した。
この模型絵図の元の所有者は漁野さんのおじで、大洋捕鯨株式会社(現・マルハニチロ)が操業していた第三文丸で機関長を務めていた故・上家幸男さんだ。
この模型絵図がいつ作られ、どのような形で幸男さんの手に渡ったかは不明で、親族でさえも当時の詳細を知る人はいないという。
漁野さんによると、模型絵図は幸男さんの父、故・金一さんが同町で経営していた理容店に飾っていたもので、金一さんの死後は自宅で保管されていた。そして先日、模型絵図を見つけた幸男さんの息子がいとこである漁野さんに譲渡した。
模型が理容店に飾られていたことなどを記憶しているという同社工場長の松岡妙子さんは「初めて見ると集中して見てしまうのでは。ぜひ、お買い物やお立ち寄りいただいた際は模型を見ていただけたら」。
また、保護の観点から模型絵図を覆う額を同町で工務店を営む坂下行平さんが好意で作成した。
漁野さんは「友人が額を作ってくれた。さらには店に飾れるようにしてくれるのでありがたい」と感謝。
模型絵図については「おじさんは40年ほど南極海で船に乗っていたのでその記念にもらったものだと思う。精巧に作られているので当時の情景が浮かんでくるよう」と語った。
(2021年3月30日付紙面より)
1回無失点で初ホールド
新宮市出身でプロ野球広島の新人、森浦大輔投手(22)が27日、マツダスタジアム(広島市)で行われた開幕2戦目の対中日2回戦でプロ初登板を果たし、1回無失点に抑えた。試合は広島が4―1で勝利し、初のホールドも記録した。
森浦は最速148㌔のストレートとスライダー、チェンジアップ、カーブが武器の左腕。天理大からドラフト2位で入団し、キャンプ中から実戦6試合連続無失点の成績を収めて開幕1軍をつかみ取った。
試合では、広島が3点リードの七回表に2番手として登板し、公式戦初球はストレートで勝負した。スライダー、カーブも織り交ぜながら打者6人と対戦し、先頭の5番・平田を右飛、6番・京田を投ゴロで抑えた後、3四死球を与えて2死満塁のピンチを迎えたが、1番・大島をストレートで二ゴロに打ち取り、無失点で切り抜けた。
この日、森浦は最速144㌔をマーク。ホールドも記録し、チームの勝利に貢献した。共同通信によると「何とか踏ん張れてよかった」とコメントした。
初登板をテレビで観戦した父の孝二さん(52)は「いつものように丁寧に投げてほしいと思っていた。マウンドで緊張しているように見えましたが、広島ファンの皆さんの応援がうれしかった。三つ目のアウトを取ったときはうれしくて、ほっとしました」と笑顔を見せた。
報告を受けた田岡実千年市長は「早くも開幕2試合目の登板に驚きました。大変な緊張だったでしょうが、大きな自信になったと思います。これからは広島カープの試合から目が離せません」。
伯父の孝征さん(55)は「ピンチの場面でも、しっかり抑えたことに『よく頑張った!』と言いたい。映像で目にしたベンチに戻ったときの安心した表情が印象的でした。この日はプロとしての第一歩。けがをしないように気を配り、息の長い選手に成長してほしい」と目を細めていた。
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森浦は翌28日の対中日3回戦(マツダスタジアム)でも登板し、1回無失点で2試合連続のホールドを挙げた。
七回表、0―0の緊迫した場面で森浦が2番手としてマウンドに上がった。先頭の6番・京田に初めて安打を許すと、7番・木下拓の犠打で1死二塁に。8番・根尾から初の三振を奪った。9番の代打・福留には暴投と四球で2死一、三塁とピンチを広げたが、1番・大島を一ゴロに打ち取って無失点に抑えた。
この日の森浦は1回20球を投げて被安打1、奪三振1、与四球1、失点0だった。
試合は0―0で九回規定により引き分けとなった。
(2021年3月30日付紙面より)
規模縮小し稲荷社大祭 (那智勝浦町 )
天満稲荷講(久司博嗣講長)は28日、那智勝浦町天満の圓心寺(大橋正道住職)境内にある若宮稲荷大明神で春季大祭を営んだ。今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から規模を縮小して式典のみを執り行った。
祭りは例年餅まきが盛大に行われ、多くの住民でにぎわっている。今年は役員や関係者11人が参列し、はじめに金比羅大権現と秋葉山大権現で参拝した。
その後、一同は裏山にある若宮稲荷大明神に手を合わせてコロナ終息や区民の健康家内安全、商売繁盛を祈った。
久司講長は「厄払いや家内安全はもちろんだが、今は多くの方々がコロナで困っている。第4波が来ないことや、早期の終息、元の生活に戻れることを一生懸命祈願しました」と語った。
(2021年3月30日付紙面より)
熊野川第2・3分団に新車両配備 (新宮市 )
新宮市消防本部で28日、消防団消防ポンプ自動車と小型ポンプ積載車の引渡式があった。ポンプ自動車は熊野川第3分団(音川消防コミュニティーセンター)に、小型ポンプ積載車は熊野川第2分団(小口消防コミュニティーセンター)に配備される。
新車両の導入は老朽化に伴う更新整備で、整備事業費は2台合わせて2450万円。前回の整備以降、小口ポンプ車は22年、音川ポンプ車は19年が経過していた。
第2分団に配備された車両は、軽自動車でありながら、水利部署から消火活動に必要な資機材を全て積載。コンパクトなサイズを生かし、狭い道路や消火栓の乏しい地区で迅速な消火活動を実施することができる。小型ポンプは毎分約500㍑の放水性能を有している。
第3分団の消防ポンプ自動車には「e―モニタ」を搭載し、危険なポンプの操作に対応した安全機能が充実。自動化を取り入れることにより機関員の負担を軽減。簡単で安全・確実・迅速な操作が可能となっている。後方確認用バックモニター、ドライブレコーダーも配備されている。
引渡式では、越水薫消防長が「今後も訓練に励んでいただき、消防職・団員一丸となって地域住民の安心と安全を守るためによろしくお願いします」と協力を呼び掛けた。
竹内由定消防団長は「いざ火災が発生したときには、車を有効に活用いただき早期の火災鎮圧・鎮火に努め、熊野川地域の住民の安心と安全に寄与していただきたい」とあいさつ。各分団長にレプリカキーを渡した。
第2分団の佐野健一分団長は「狭い所や谷沿い、山の中でも機敏に動ける。有効的に使える」。第3分団の中瀨好分団長は「気持ち新たにさまざまな災害に対応できるように頑張りたい」と話していた。
熊野川町では昨年1件の建物火災が発生した。
(2021年3月30日付紙面より)
紀南十高校春季野球リーグ戦
新宮弓友会主催の月例射会
山本君、吾妻君が関西支部対抗戦出場 (和歌山南紀ボーイズ )
来週から、医療従事者に接種開始 (新宮市 )
都道府県が実施する、新型コロナウイルスワクチンの医療従事者への接種が全国で始まっている。新宮・東牟婁地方では12日午前、195バイアル(1箱、975人分)が新宮市立医療センターに到着。ワクチンは今後、那智勝浦町立温泉病院、くしもと町立病院に配分される。
ファイザー製ワクチンは、先月12日に輸入第1便として、最大38万6100回(19万3050人)分が到着。21日の第2便では最大45万2790回(22万6395人)分、今月1日の第3便で最大52万6500回(26万3250人)分が国内に届いた。
和歌山県では今月6日、3900回分が県内11病院に到着し、8日に接種が始まった。市立医療センターでは17日(水)から19日(金)にかけて、医師・看護師・技術スタッフなど同センター職員に接種を行っていく予定だ。
12日、河野太郎行政改革担当相は会見で、6月までに計約1億回分(約5千万人分)のワクチンを調達できるとの見通しを表明した。欧州連合(EU)の承認が得られれば、5月に毎週9188箱、最大約1千万回分が日本に到着し、全ての高齢者約3600万人分を6月末までに市区町村に届けるなどの方針を示した。
今後のスケジュールによると、15日(月)に360箱が日本に到着。医療従事者分のワクチンについて、5月10日の週に対象者全てが2回接種できる量の配送が完了するという。
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4月中旬から高齢者への接種が始まる新型コロナワクチン。和歌山県では、16日(火)に相談窓口を開設し、ワクチンの効果や副反応に係る相談などに対応していく。相談は電話(073・441・2593)もしくはFAX(073・431・1800)で応じる。受付時間は土・日・祝日含む午前9時~午後6時。接種券、接種場所、接種時期などについては各市町村に問い合わせる。
(2021年3月14日付紙面より)
ICOCAもエリア拡大 (JR西日本 )
春のダイヤ改正に伴い13日、JRきのくに線・紀伊田辺―新宮駅間に新型車両227系が導入された=写真。同車両には車載型IC改札機が搭載。これにより、県内全域でICOCA(イコカ)が使用できるようになった。
同車両は、アーバンネットワーク共通のインテリアデザインを採用。客室には間接光を組み合わせたLED照明を用いるなど落ち着いた車内空間となっている。2019年春のダイヤ改正により近畿圏に初投入。和歌山線・桜井線、きのくに線の一部に導入された。和歌山県と奈良県では、文化・歴史・自然の奥深さを表現した緑色が配されている。
同日午前6時53分、第1便が新宮駅を出発。駅のホームには新型車両を写真に収めようとスマートフォンや一眼レフを手にした鉄道ファンの姿が見られた。
ICOCAが新たに使えるようになるのは同区間で21駅。ICOCA、ICOCA定期券が利用できる。また、ICOCA以外の全国相互利用対象ICカード乗車券も使うことができる。
(2021年3月14日付紙面より)
フラット7紀宝バイパス店で2人展 (紀宝町 )
アフリカを代表する現代アートでタンザニア発祥の「ティンガティンガ」。現地でその芸術を学んだ2人のアーティストによる作品展が14日まで、紀宝町神内の紀宝バイパス沿いにある「フラット7紀宝バイパス店」で開かれている。入場無料で、時間は午前10時30分から午後5時まで。14日午後1時30分からはピアノに作品を描くという。
出品したアーティストは、SHOGEN(上田祥玄)さん(34)と御浜町立阿田和小学校6年のHARUKA(細川悠花)さん(12)。赤、青、黄、緑、白、黒の6色の外壁用油性ペンキを用いて描いた35点を展示した。
ティンガティンガは、1960年代末に生まれた絵画スタイル。サバンナの動物や豊かな自然、人々の暮らしを6色のペンキを使って、色鮮やかに描き出す。
SHOGENさんは京都の雑貨店で出会ったティンガティンガに魅了され、その日のうちにタンザニア行きのチケットを購入。2014年7月から約1年間、現地で生活しながら修行を積んだ。現地で、タンザニア政府にパトカーを寄贈したHARUKAさんの父と知り合い、帰国した翌年、小学1年のHARUKAさんと出会った。
「ティンガティンガは人の背中を押してくれるアート。コロナ禍だからこそ見てほしい。タンザニアの人たちと同じ生活をしたHARUKAさんにも会いに来てほしい」。
HARUKAさんもティンガティンガに心を引かれ、小学4年の夏休みに2週間ほどタンザニアで学んだ。帰国後、初めて描いた「草原の中の夢」や、未来を意味するスワヒリ語の「baadaye」と題してヒマワリを描いた作品など27点を出品。「ヒマワリは太陽に向いて咲くので、前を向くイメージで描いた。ティンガティンガは自分が思ったときに好きな動物などを描けるので好き」と話していた。
(2021年3月14日付紙面より)