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2022年01月19日
1 西田健さん、無投票で5選
 紀宝町長選  

 任期満了に伴う紀宝町長選挙が18日告示され、現職の西田健さん(73)=無所属=以外に立候補の届け出がなく、西田さんが無投票で5回目の当選を果たした。


2022年01月19日
2 自分の身を守る行動を
 丹鶴幼で防災出前事業  (新宮市 )

 新宮市立丹鶴幼稚園(下岡容子園長)で17日、「ぼうさい出前事業~たんかくようちえん~」があった。市防災対策課の櫻井勇太さんと日浦規行さんが来園し「見て、考え、触って、身体(からだ)を動かす体験型」の防災授業を展開。44人の園児らが防災に対する心構えを身に付けた。

 6434人が亡くなった阪神・淡路大震災発生(1995年)から17日で27年。1月17日はボランティア活動への認識を深め、災害への備えの充実強化を図ることを目的として「防災とボランティアの日」に制定されている。

 出前授業は子どもたちに有事の際に自らの命を守る行動を身に付けてもらうことを目的に実施。

 櫻井さんは、園児らに、無彩色の人気のキャラクターを青(津波)、黄(土砂崩れ)、赤(火事)に色分けしてもらい「地震が起きたら津波や土砂崩れが起こり火事になります。色で覚えておいて」と呼び掛けた。

 「危険な場所を探そう」で園児らは地震発生時の教室内の危険な箇所を探索。ピアノや空調設備の下などに「危険マーク」を貼り「電灯が落ちてきたら危ないよ」「扇風機も落ちてくるかも」などと意見を出し合った。

 櫻井さんは「地震はいつ来るか分かりません。安全な所を自分で探して頭を守る『ダンゴムシのポーズ』を」。

 園児らは地震発生時に取る体勢を基にした「ぼうさいじゃんけん」や、「新聞紙座布団」「新聞紙ブランケット」「防災新聞紙スリッパの折り紙」など身近にある新聞紙の使い方も学習。「スリッパを作るのが難しかったけど楽しかった」などと感想を発表し、ゲームなどを交えた体験型の授業を通して身を守る行動を学んだ。

(2022年1月19日付紙面より)

「ぼうさいじゃんけん」で有事に取る体勢をおさらい=17日、新宮市立丹鶴幼稚園
新聞紙ブランケットで「暖かいね」
防災新聞紙スリッパの履き心地を確認
2022年01月19日
3 クラシックの世界を堪能
 新春コンサートで西謙二さんら  (新宮市 )

 「オペラとピアノの会」は16日、新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」で「新春コンサート オペラ・ピアノ・歌で誘(いざな)うクラシックの世界」を開催した。西謙二さんらによるピアノ演奏や歌声が会場内に響き渡り、約400人の来場者らがクラシックの世界を満喫した。

 西さん(ピアノ・テノール)、金野友美さん(ソプラノ)、石山優香さん(ピアノ)が出演。バリトンの二宮周平さん、メゾソプラノの滝口小夜子さんをゲストに迎えて開催した。

 コンサートは西さんによるシューマン作曲「『子供の情景より』見知らぬ国へ」のピアノ演奏で幕開け。「楽しいコンサートにしていければ。短い時間ですがごゆっくりお楽しみください」とあいさつした。

 新型コロナウイルスの影響で一部プログラムが変更となったが、主演者らはプッチーニの「トスカ」「トゥーランドット」、ロッシーニの「セビリアの理髪師」などで声楽とピアノを披露。

 「世界の名曲」と題し「ふるさとの」(平井康三郎作曲、石川啄木作詞)「サマータイム」(ガーシュイン)なども会場に響かせ、迫力ある演奏や歌声に来場者らは惜しみない拍手を送った。

 西さんは県立新宮高校、東京大学工学部卒。米国マサチューセッツ工科大学客員研究員や学術誌のエディター、日本政府関係の委員などを務めた経歴を持つ。ピアノを杉浦範さんらに、声楽を田邊清美さん、二宮さんに師事。テノールとして首都圏でのコンサートを中心に出演している。

(2022年1月19日付紙面より)

迫力ある歌声を響かせる西謙二さん(右)ら=16日、新宮市の「丹鶴ホール」
大勢の来場者がクラシックの世界を堪能
2022年01月19日
4 オリジナルの羽子板作る
 木材会館で第2回木育教室  (新宮市 )

 新宮市あけぼのの新宮木材会館で15日、新宮木材協同組合事務局主催の第2回木育教室が開かれた。親子3組10人がスギとヒノキの見分け方を学び、地元産のスギ材を使ったオリジナルの羽子板を作った。

 大人にも子どもにも、森林の役割や木の良さ、新宮市と林業の関わりなどを知ってもらおうとスタートした取り組み。森林についての座学と木工工作があり、同組合加入の製材所などが材料を提供している。

 この日は事務局員の山本盛都さんが、日本の人工林の多くを占めるスギとヒノキについて解説。タネ、花、苗、葉、樹皮、年輪の写真を見比べながら、その特徴や違いを示した。「木の節ってなんだろう?」「日本のような四季がない国の木材には年輪がある?」などのクイズもあった。

 木工工作では、地元産スギ材の羽子板にカーボン紙でトラや門松、ウメなどを描き、油性ペンや筆ペン、はんこなどで色を塗っていった。完成後は子どもたちが早速「カーン、コーン」と子気味の良い音を響かせて遊んでいた。

 今後も毎月1回、5組限定で開催していく予定。大人の参加も歓迎しており、イベントに関する情報は毎月1日にインスタグラムのアカウント(kinanmokuzai_shinryokukai)で発信している。

(2022年1月19日付紙面より)

スギとヒノキを見比べる参加者=15日、新宮市の新宮木材会館
オリジナル羽子板を持つ子どもたち
2022年01月19日
5 災害時に移動式ハウス提供
 木下建設と利用協定を締結  (串本町 )

 和歌山県有田市に本社を置く木下建設株式会社(木下英文代表取締役社長)が17日、串本町と災害時における避難場所の施設利用に関する協定を締結した。

 同社はかねて、国土交通省が推奨する「地域の守り手」として災害時の復旧活動に参加。その中で地域に安心を届ける方法はないかを考え、2020年度に環境省事業の採択を受けて平時は現場の仮設事務所や休憩所、災害時は拠点基地や避難場所として利用できる太陽光発電付き移動式ハウス「ソーラーシステムハウス」を株式会社ダイワテック、デザイン事務所「BLOOM*ROOM」と共に2種類製作し、計10棟を導入した。

 うち2棟は本社に配置し、残り8棟をすさみ串本道路関係工事請負のため同町内の現場などで運用中。その縁で災害時の利用を図るために同協定を町に申し出て締結するに至った。

 締結式は高富にある同社串本事業所であり、木下社長と田嶋勝正町長が協定書に署名した。災害時に同ハウスを配置場所もしくは町が希望する場所へ移動配置して貸与する内容で、町か同社のいずれかが解除を求めるまで有効となっている。

 署名を経て田嶋町長は「災害はいつ起こるか分からないことを頭に入れて取り組む中、この素晴らしいハウスを活用させていただけることをうれしく思う」と述べて今後の有効活用を視野に入れ、木下社長は「地元の皆さま方と共にこれからも防災対策に取り組んでまいりたいと考えている。本日の締結式はその一歩。社会に生きる者の務めとしての認識を思い、改めて身が引き締まる思い」と胸中を明かして同協定に基づく第一歩を踏み出した。

 同社は有田市とも同様の協定を締結済み。災害時はその状況に応じて両市町内に同ハウスを割り当てるという。

  □     □

1棟は「現場の駅」としてアピール開始



 同町内8棟のうち、1棟は同事務所横に配置し情報発信基地「現場の駅」として同式後から運用を始めた。日曜を除く午前8時30分~午後5時に開いていて、現場の魅力や工事の進捗状況、町の情報(同社と串本警察署が合同で取り組む野生動物接触注意の啓発など)や観光案内などの情報発信と併せて同ハウスも皆さんに知ってほしいとアピールしている。

 同ハウスは角形鋼管・軽量形鋼構造で、4坪サイズ、開放型とプライバシー確保型の2種類がある。太陽光パネルと大容量の蓄電池、エコ給湯器を備え、省エネ型の構造設計や設備採用により満充電・無給電状態で約3日間利用〈通常時〉できる能力を有する。

 採択条件外の独自の仕組みとして、デジタル看板と災害時の情報入手や安否確認に欠かせない携帯端末の充電を想定とした「虹色コンセント」(同社命名、2口コンセント×7個)も備えることで、災害時の安心提供の度合いを強めている。

 この日は同社の招待で高富区の中野實区長ら近隣住民が「現場の駅」として開放している同ハウスを内覧し、特色の説明を受けて概要を確かめた。同ハウス周囲のウッドデッキやウッドフェンスは社員の手作り。同社は同事務所がある限り「現場の駅」の配置も続けると意気込んでいて、地域の皆さんに適時利用してもらえればとしている。

(2022年1月19日付紙面より)

協定を締結した田嶋勝正町長と木下建設株式会社の皆さん=17日、串本町高富の同社串本事務所
内覧者にソーラーシステムハウスの特色を紹介する木下英文代表取締役社長(右)
2022年01月19日
6 学び合う児童の姿を見学  井田小で公開授業研究会  (紀宝町 )
2022年01月19日
7 家族でのんびり自然を満喫  飛雪の滝キャンプ場で体験会  (紀宝町 )
2022年01月19日
8 西村伊作らの草稿を展示 3月21日まで、佐藤春夫記念館 (新宮市)
2022年01月19日
9 練習の成果を披露  神倉小で「手話歌」  (新宮市 )
2022年01月19日
10 「日々の生活が先生だった」  寺岡さん著書「ど根性貧乏!」  (那智勝浦町 )
2022年01月19日
11 県大会結果など町長に報告  ビブリオバトル町代表2人  (串本町 )
2022年01月19日
12 テリハノイバラの実  那智勝浦町の弁天島近く  
2022年01月19日
13 現職・西田候補のみが届け出  無投票の公算大きく  (紀宝町長選 )
2022年01月19日
14 お悔やみ情報
  
2022年01月14日
15 広げよう、赤い羽根
 市内小学生の絵はがきを審査  (新宮市 )

 新宮市野田の市福祉センターで12日、令和3年度赤い羽根絵はがきコンクール審査会があった。市共同募金委員会が主催。同委員会長の田岡実千年市長と社会福祉法人和歌山県共同募金会の髙瀨一郎常務理事、大谷和也副主査、市社会福祉協議会の大谷康央事務局長が審査員を務め、市内5小学校の児童から寄せられた作品を審査。県共同募金会会長賞などに6作品を選んだ。

 赤い羽根共同募金は戦後復興の一助として1947年に始まった住民主体の活動。当初は戦後復興の一助として、被災した福祉施設を中心に支援が行われ、その後、法律(現在の「社会福祉法」)に基づき、地域福祉の推進のために活用されてきた。

 現在は、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、さまざまな地域福祉の課題解決に取り組む民間団体を応援する「じぶんの町を良くするしくみ」として取り組みを展開している。

 10月からの運動期間に合わせ、市では市内の子どもたちに街頭募金への協力を呼び掛け運動を展開。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響でおととしの募金活動は中止となり、昨年は田岡市長や市社会福祉協議会職員らが市内で募金への協力を呼び掛けた。

 そんな昨今のコロナ情勢を鑑み「活動が制限される中でも子どもたちに広く運動および活動の趣旨を伝えることができれば」と同コンクールを初企画。昨年秋に市社協職員らが市内小学校でオンラインを交えながら「赤い羽根共同募金」の授業を実施しつつ、「私たちの町でみつけた! 人のつながり」をテーマに定めたコンクールへの参加を呼び掛けていた。

 第1回のコンクールには、短い募集期間(昨年10月1~31日)にもかかわらず196枚の作品が寄せられた。審査会では最終審査に残った109枚から田岡市長らが▽県共同募金会会長賞(1点)▽市共同募金委員会会長賞(同)▽市社会福祉協議会賞(同)▽審査員特別賞(3点)―を選定。「こういうふうに使われているというメッセージ性が高い」「絵から作品テーマである、人のつながりが感じられる」「共同募金の意味を理解してくれている」などと講評した。

 審査を終え、田岡市長は「レベルの高さに驚いた。この取り組みが共同募金の理解につながっていくことを願います。たくさんの応募に感謝」と話していた。

 応募作品は2月以降に市福祉センターで展示予定。入賞作品は市社協広報紙「Assist(アシスト)」3月号にて掲載されるほか、3月には表彰式も予定している。

(2022年1月14日付紙面より)

作品を審査する和歌山県共同募金会の髙瀨一郎常務理事(左写真手前)、田岡実千年市長(右写真)=12日、新宮市福祉センター
2022年01月14日
16 「来年こそ」の思い諦めず
 塩竈神社で「脊美祭り」神事斎行  (那智勝浦町 )

 那智勝浦町浦神の塩竈(しおがま)神社(井谷正守宮司)で9日、伝統の「脊美(せみ)祭り」が営まれた。祭り関係者約10人が参列し、商売繁盛や船の安全などを祈願した。

 脊美まつり保存会(会長=並川廣・浦神西区長)が祭りや歴史を継承し、古来捕鯨の歴史を持つ同区でセミクジラを模したわら製の「脊美」を縁起物として用いる祭り。過去には成人の儀式として行われていたとされている。長年、捕鯨文化を継承していることから2016年に日本遺産「鯨とともに生きる」に認定された。

 例年は井谷宮司が「鬼」と書かれた的を矢で射抜くと同時に、3人の脊美子が取り付けられた脊美を一斉につかみ取り西区区民会館まで全力で駆け抜ける儀式や東区の勇義社(畑下圭喜社長)による勇壮な獅子舞奉納、脊美音頭などを披露しているが、新型コロナウイルス感染症の影響から昨年に続いて規模を縮小し、神事のみの斎行となった。

 厳かな雰囲気の中、井谷宮司が神事を執り行い祝詞を奏上。参列者が玉串をささげていき、コロナ収束を願った。

 並川区長は「無事に神事を終え安心した反面、2年連続の規模縮小はつらい。私たちはじめ、世話人の方々の高齢化も進んでくるため、伝統を引き継ぎながらも祭事の改善を考えなければならないのではと思っています。来年こそは通常の祭りができるよう、諦めずに信じていければ」と話していた。

(2022年1月14日付紙面より)

多くの思いを祈願し神事を執り行う井谷正守宮司=9日、那智勝浦町浦神の塩竈神社
祭り関係者が玉串をささげた
2022年01月14日
17 警察との連携意識し救助
 関係機関等と合同で訓練  (串本警察署 )

 串本町上野山にある上野山防災広場で12日、串本警察署(泉政勝署長)とその関係機関等合同の災害警備訓練があった。大規模災害発生時の警察との連携を意識して関係機関等も救助訓練に臨む内容で、南海トラフを震源域とする大地震発生から6時間後という想定で態勢構築から救助まで一連の流れを実践した。

 この訓練は、同署が阪神・淡路大震災の期日を踏まえて計画。同署現地本部を軸にして連携し人命救助の態勢を構築して実動する内容で関係機関等に合流を呼び掛けた。

 当日は▽県警本部(警備部警備課・警備部機動隊・生活安全部地域指導課警察航空隊・串本警察署)▽航空自衛隊串本分屯基地▽串本町消防本部古座消防署▽串本海上保安署▽串本町役場▽株式会社POS▽県災害救助犬協会―の7機関42人が参加し、救助関係諸機関未踏の被災地に態勢を構築するところから訓練を始めた。

 県警ヘリ「きのくに」と串本警察署配備のオフロードバイクで被害状況を確認し、得た情報を防災相互通信用無線機や衛星電話を用いて関係機関などと共有し応援を要請。株式会社POSと県災害救助犬協会が調査に協力して倒壊家屋と損壊車両に閉じ込められた要救助者を発見し、同家屋は消防が救出して海保が搬送、同車両は警察が救出し自衛隊が搬送する形で救助を実践した。

 警察と消防が有するそれぞれの救出に秀でた資機材とその操作技術を被災地で最大限行使するために他の機関が調査や捜索、要救助者の搬送やがれき撤去などの支援をし、被災地における災害対処能力を効率的に引き出すのが今回の連携の全体像。

 同基地の中津洋紀司令と共に訓練の始終を見届けた泉署長は同訓練の主眼を参加人員に改めて伝え「どの機関も真摯に取り組み、成果があったと思う」と講評。「訓練に終わりなし。要救助者を救える仕事に就いている自覚を持ち、自身や同僚、第三者を危険にさらさないため今後も向上を目指して(訓練を)継続してほしい」と呼び掛けて締めくくった。

(2022年1月14日付紙面より)

損壊車両から要救助者(ダミー人形)を救出する串本警察署の署員=12日、串本町上野山
串本警察署現地本部の指示に基づき消防と海保が連携して倒壊家屋の要救助者を救出
2022年01月14日
18 コロナ収束と豊作願い
 熊野那智大社にまりひめ奉納  (那智勝浦町 )

 那智勝浦町苺(いちご)生産組合(桒野稔近(くわの・としちか)組合長)とJAみくまの農業協同組合が13日、熊野那智大社(男成洋三宮司)に和歌山県のオリジナル品種のイチゴ「まりひめ」約9㌔を奉納した。

 那智勝浦町産のイチゴの振興と豊作を願い、この時季に毎年奉納している。今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、昨年に引き続き生産農家や町立市野々小学校児童、同生産組合のマスコットキャラクター「まりりん」、同町イメージキャラクターの「なっちー」らの参列をやめ、平安衣装によるイチゴの振る舞いも中止とした。

 神事には桒野組合長と坂地安明副組合長、JAみくまの農業協同組合職員ら合わせて4人が参列。巫女(みこ)が「那智の瀧舞」を奉納し、代表して桒野組合長が玉串をささげた。

 最盛期には、栽培面積4・5㌶で45人のイチゴ農家が生産に従事していた同組合。しかし生産者の高齢化などが原因で栽培が減少傾向となっていた。

 現在は若者を中心に再建され、9軒の農家が約65㌃の農地でイチゴを栽培している。まりひめは紀州の伝統工芸品「紀州手まり」にちなみ、命名された東牟婁地方を代表する特産品。同町太田地区が主要産地で、果実は大きめで甘味が強く酸味もほどよいのが特徴だ。

 神事後、男成宮司は「新型コロナの影響で厳しい状況にあるが、町を代表する果物を心待ちにしている人も多い。豊作と組合の発展、農家の皆さまのご健勝をお祈りしております」と感謝。

 桒野組合長は「前年に比べて採れ出しも早く味も良かった。年末には観光客も多く売れ行きが良かった」としつつも「今年に入ってまた感染が拡大しつつある。観光客の減少はイチゴや農業にも関係してくる。早期のコロナ収束を願っています」と話した。

 「まりひめ」は現在、出荷のピークを迎えている。

(2022年1月14日付紙面より)

まりひめ約9㌔を奉納した=13日、那智勝浦町の熊野那智大社(一時的にマスクを外して撮影)
2022年01月14日
19 競技普及のきっかけに
 バレーボール体験会  (新宮バレーボールスポーツ少年団 )
2022年01月14日
20 心身鍛え技術向上目指す
 OBらも参加し伝統の寒稽古  (新宮剣友会 )
2022年01月14日
21 女子サッカーの普及願い
 新宮高とトルベリーノが合同合宿  
2022年01月14日
22 「里親を知って」  巡回パネル展始まる  (那智勝浦町 )
2022年01月14日
23 ごみ減量や適正処理に向け  基本計画素案に対する意見募集中  (新宮市 )
2022年01月14日
24 毎日来るセキレイが心癒やす  井関の笠木千枝子さん  (那智勝浦町 )
2022年01月14日
25 お正月遊びを楽しもう!  くろしお児童館で伝統的な遊び  (新宮市 )
2022年01月14日
26 片山さん、小栗須さん六段に  紀南剣道連盟が初稽古会  
2022年01月14日
27 なぎ看護学校に7年連続合格  9年連続就職率100%達成  (紀南高校 )
2022年01月14日
28 3市町の各チームに寄贈  美し国三重市町対抗駅伝  (JA伊勢 )
2022年01月14日
29 一般高齢者、2月から開始  新型コロナワクチン追加接種  (紀宝町 )
2022年01月14日
30 二刀流でまちづくりを推進  宇宙コース新設受けて町長  (串本町 )
2022年01月14日
31 展示や体験で意識を促す  24日まで防災企画を実施  (南紀熊野GPC )
2022年01月14日
32 峯の薬師如来堂で厨子開扉  守護職・水本一男さん奉仕  (古座川町 )
2022年01月08日
33 一年の無病息災願い
 7日は「七草粥」  

 1月7日は「七草粥(ななくさがゆ)」。市内のスーパーマーケットなどでは「七草粥セット」を買い求める人の姿が多く見られた。

 一年の無病息災を願って、一般的に人日の節句の朝に食べられる日本の行事食。新年の季語でもある。正月の祝膳や祝酒で弱った胃を休める目的もあるという。平安時代には行事として行われており、室町時代の汁物の原型ともされている。

 地方によって食材や作り方、味付けが異なり、那智勝浦町の七草粥(ななくさがい)はダイコンやニンジンなどの野菜を入れるほか、田辺市中辺路町では餅とシャクシナを入れるという。

 春の七草は、時代や地域によって異なっていたが、現在では一般的にセリ(競り勝つ)、ナズナ(なでて汚れを払う)、ゴギョウ(仏の体)、ハコベラ(繁栄がはびこる)、ホトケノザ(仏の座る場所)、スズナ(神を呼ぶ鈴)、スズシロ(汚れのない純白)で構成されている。

 年明けから約1週間が過ぎ、「寝正月」「飲み正月」「正月太り」で体調を崩している人も多いのでは。七草粥を食べて無病息災を祈りつつ、胃腸を休めてみてはいかが。

(2022年1月8日付紙面より)


スーパーマーケットに並ぶ「七草粥セット」=6日、新宮市
2022年01月08日
34 音読コンで最優秀賞獲得
 上野山こども園の年長児  (串本町 )

 串本町津荷にある社会福祉法人杉の子会上野山こども園(前田紀代子理事長、上地奈奈園長)の年長児(5歳児、ひまわり組)が6日、第17回音読コンクール団体の部〈年長〉で最優秀賞を獲得したことを田嶋勝正町長に報告した。

 このコンクールは、幼年国語教育会が成長の励みとして年1回主催している全国規模の審査会。個人と団体の2部門があり、団体の部は年長・年中・年少・年少未満の4区分でクラス単位の音読作品(=動画)を受け付けている。

 同法人は前田理事長の「本が好きな子になってほしい」という思いを形にする活動の一端で第1回から応募していて、現在は3~5歳児が挑戦する形で定着している。本年度の年長児は▽月の兎▽方丈記より「ゆく河の流れ」―の音読に挑戦し同部〈年長〉に応募。審査の結果は第一席の最優秀賞で、同法人にとっては第4回で旧・上野山保育所の年中児(4歳児)が獲得して以来13年ぶりの好成績となった。上地園長によると、本年度の年長児はおととしに優良賞〈年少〉、昨年に第二席の読売新聞社賞〈年中〉を獲得。職員は応募のたびに成績が上がる成長ぶり、年長児は去年より大きな記念盾がもらえたことに喜んでいるという。

 この日は年長児30人が同園の幼児バス(通称・ねこバス)で役場本庁を訪ね、上地園長ら職員と一緒に結果を報告。田嶋町長は「動画を見たがみんな足や背筋がピンとしていて、これなら取れるだろうと思った」とたたえ、園児一人一人にお祝いの品を贈ってこれからも頑張ってと励ました。

 今回は年中児が優秀賞〈銅賞〉、年少児(3歳児)が優秀賞〈銀賞〉と、どのクラスも賞状と記念盾が贈られる成績を収めた。上地園長は「3年間の積み上げで年長児は、漢字と仮名が交ざる絵本も興味を持って読めるようになっています。本を嫌いにならないのはもちろん、みんなで声を合わせる挑戦で協調性も高めてくれたら」と活動に込める思いを語った。

(2022年1月8日付紙面より)

音読コンクールで最優秀賞を獲得した上野山こども園年長児の皆さんら=6日、串本町役場
2022年01月08日
35 指文字で「自己紹介」
 小学生が手話学ぶ  (紀宝町 )

 小学生対象の「やさしい初級手話教室」が5日、紀宝町鵜殿の町福祉センターで始まった。町内の小学1~5年生11人が参加し、手話でのあいさつや自己紹介をすることを目標に学ぶ。

 同町社会福祉協議会では毎年、幅広い世代に向けた初級手話教室を開いており、小学生にも気軽に参加してもらおうと、昨年度に続いて冬休みに3日間の連続講座を計画した。

 講師は同社協の名取雅博さんと時松有見子さんが務め、ボランティアとして県立木本高校2年の竹内悠真君と瀬古修平君、同3年の市川芹さんがサポートした。3人は昨年11~12月に中学生以上を対象に開かれた全6回の初級手話教室を修了している。

 名取さんは「手話って知っていますか?」と問い掛けながら、耳が聞こえない人の言葉であることを説明。子どもたちは指文字の五十音表と名取さんや高校生たちの指の動きを見ながら、「あいうえお」から順に学習し、自分の名前を指文字で表現できるように練習した。

 慣れてくると、名取さんの指文字を見て理解し、子どもたちで表現する学習にも取り組んだ。

(2022年1月8日付紙面より)

高校生から指文字を習う子どもたち=5日、紀宝町鵜殿の町福祉センター
2022年01月08日
36 宮大工が仕事始め
 安全や向上願い手釿始式  (熊野那智大社 )

 那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で6日、一年間の作業の安全と技術の向上を願い、宮大工の仕事始めの儀式「手釿始式(ちょんなはじめしき)」が営まれた。

 男成宮司が祝詞を奏上した後、烏帽子(えぼし)と直垂(ひたたれ)の伝統衣装を身に着けた宮大工と技手の4人が、古式にのっとり大工道具を使う所作などを奉納した。

 棟梁(とうりょう)の嶌﨑和真さん(40)がちょんなを約2㍍のヒノキの角材に打ち込み、続いて南太一さんが墨付け、山口雄太さんがのこぎり、南智紀さんがかんなを使った。ちょんなとは古い大工道具で、丸太の皮を剝いだり、木を削ったりするのに使われるもの。

 地元出身で同大社に勤める嶌﨑さんは神事を終え、「新型コロナウイルス感染症の影響は回復の兆しが見えていない。しかし、一日も早く生活が回復し、明るい年になることを祈念しました」と話した。

 嶌﨑さんにとって、7月に斎行される那智の扇祭り(火祭)のたいまつ作りや準備が最も重要な仕事になるという。この日は本番に向けて士気を高めていた。

(2022年1月8日付紙面より)

ちょんなを打ち込む宮大工の嶌﨑和真さん=6日、那智勝浦町の熊野那智大社
2022年01月08日
37 福徳岡ノ場由来と判断  上浦海岸に漂着した軽石  (南紀熊野ジオパーク )
2022年01月08日
38 知識や技能の活用に課題  学習到達度調査結果  (和歌山県 )
2022年01月08日
39 いま一度コロナ対策徹底を  新翔高校で3学期始業式  (新宮市 )
2022年01月08日
40 古人と神聖な祈りの札  熊野三山「熊野牛王符」  
2022年01月08日
41 花團治さんの高座大盛況  新春初笑い演芸会  (那智勝浦町 )
2022年01月08日
42 242人が新たな門出 誇りと感謝胸に成人式 (新宮市)
2022年01月08日
43 分列行進2年ぶりに 片岡義光分団長ら49団員を表彰 (熊野市消防出初め式)
2022年01月08日
44 PCR検査キットを無料配付  紀宝町、御浜町、熊野市で  
2022年01月08日
45 お悔やみ情報
  
2022年01月07日
46 新春年賀会で決意新た
 新宮商工会議所  

 新宮市井の沢の新宮ユーアイホテルで5日、新宮商工会議所(関康之会頭)の新春年賀会が開催された。2年ぶりとなった今年の年賀会は、新型コロナウイルス感染症の情勢を踏まえ規模を縮小して実施。同会議所役員ら30人が出席し、新春をことほいだ。

 関会頭は冒頭のあいさつで、昨年はコロナ禍で多くの行事やイベントが中止となる中、市文化複合施設「丹鶴ホール」の開館や、串本太地道路起工式などの明るい話題もあったと振り返り「オミクロン株や人口減少・少子高齢化に伴う人手・人材不足、後継者問題など多くの事案があるが、中小企業が抱えるさまざまな諸問題に積極的に取り組み、経営改善普及事業をはじめ引き続き事業者に寄り添った伴走型の経営支援を行っていく」と誓いを新たにした。

 来賓として出席した田岡実千年市長は、長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」紀南コース運行や新宮港へのクルーズ客船入港がもたらす交流人口増加について触れるとともに、3月から運航開始予定の瀞峡観光船の集客効果にも期待し「今年はサイクルツーリズムにも力を入れていきたい」。

 「ウィズコロナ、アフターコロナを見据えてしっかりと準備をしなければ。皆さんのお力をお借りしながら、新宮市の魅力を発信していきたい」とあいさつした。

 榎本鉄也市議会議長は「コロナ禍も3年目を迎えるが、感染症の収束後には歴史が大きく変貌してきた史実がある。前向きに、市長と市議会が一丸となって問題に取り組み、市民の努力が報われる新宮市につながっていくように頑張りたい」。

 濱口太史県議は「県としても感染拡大を少しでも抑えるための対策に取り組んでいるが、経済は大きなダメージを受けている。疫病にも耐えられる体をつくることはひいてはまちの発展にもつながる」と述べ、市の発展に力を尽くすとした。

 同商工会議所の夏山晃一顧問が、同市出身の岩出雅之監督率いる帝京大学ラグビー部の活躍を明るい話題として紹介し乾杯の音頭。新年の門出を祝った。

(2022年1月7日付紙面より)

夏山晃一顧問の音頭で乾杯した=5日、新宮市井の沢の新宮ユーアイホテル
関康之会頭
2022年01月07日
47 全国女子駅伝選抜を報告
 潮岬在住の久保凛さんら  (串本町 )

 串本町潮岬在住の久保凛さん(13)=潮岬中2年=らが5日、皇后盃第40回全国都道府県対抗女子駅伝競争大会の和歌山県チームメンバーに選抜されたことを田嶋勝正町長へ報告した。

 この大会は、都道府県ごとに中学2年生~社会人選手で結成したチームを対象として年1回、京都市を舞台にし日本陸上競技連盟が主催している。西京極総合運動公園たけびしスタジアム京都をスタート・ゴール地点とする全長42・195㌔の折り返しコースを9区間でつなぐ駅伝で、第3、8区(いずれも距離3㌔)が中学生限定区間となっている。

 和歌山県チームを結成する和歌山陸上競技協会は昨年11月下旬実施の主催事業「第6回記録会」中学女子3000㍍種目を第3、8区走者候補の選考会と位置付け。久保さんは記録9分51秒99で1位となり、メンバーに選抜された。「出たいなと思っていた大会なので、メンバーに選ばれてうれしかった」と念願の選抜を喜んでいる。

 この日は祖母でありジュニア駅伝串本町チーム監督の久保浩子さんや教育委員会教育課の山崎幸三さんらと共に報告に臨み、田嶋町長は「県代表に選ばれるのは素晴らしいこと。最高のコンディションで最大の力を出して頑張ってほしい」と激励するなどした。

 同大会は16日(日)午後0時30分スタート予定。同県チームはその直前で選抜3人(同種目1~3位)の中から出走者を決めるとしていて、良好にコンディションと実力を保てれば1位の久保凛さんの出走は大いに期待できるという。久保さんは「走るかどうかはまだ分からないけれど、走るなら前の人をできる限り抜いて次の人(=第4区走者)につなぎたい」と実現の自信をにじませながら意気込みを語った。

 同大会を共催する日本放送協会(NHK)によると5日現在、実施時はNHK総合テレビなどで様子を報じる予定という。

(2022年1月7日付紙面より)

全国女子駅伝和歌山県チームメンバー選抜を報告する久保凛さん(中)ら=5日、串本町役場
2022年01月07日
48 共通の目的持ち進む
 賀詞交歓会で結束固める  (那智勝浦町 )

 那智勝浦町の南紀くろしお商工会は、一般社団法人那智勝浦観光機構(NACKT)、町水産振興会、南紀勝浦温泉旅館組合の協力の下に5日、町体育文化会館で、2年ぶりとなる「新春の集い!~賀詞交歓会~」を開き、関係者ら約70人が参加した。

 賀詞交歓会は商工業、観光、水産が一体となり町の活性化に寄与することが目的。新型コロナウイルス流行前までは毎年開催されていた。

 南紀くろしお商工会の森川起安会長は、コロナ禍の現状からGoToトラベルキャンペーンの再開やインバウンドが戻ってくることなどに触れ、終息後が肝要だと主張。今回配布されたパンフレットの「目的に向かって準備を積み重ねる時」「ポストコロナに向け、(略)共通の目的を持って、持続可能な取組を図っていきましょう」の一文を紹介した。

 今後については「観光協会の解散を巡ってさまざまなことがあったが、ラグビーで言うところの『ノーサイド』としてはどうか。熊野信仰やよみがえりの地、風光明媚(めいび)な自然、温泉、マグロがある那智勝浦町にとって最大のチャンスになる。行政や関係機関、団体、地域が一つとなって進む寅(とら)年であってほしい」と話した。

 堀順一郎町長はこれまで町が実施してきたまちなか商品券などのコロナ対策や新宮市立医療センター産婦人科の分娩(ぶんべん)予約休止に関する対応など報告。「観光客は文化や幸せな町を見に来る。そのためには町民の方々が幸せと思えるような町にしていきたい」と語った。

 また、この日は感染症対策のため、国歌や「一月一日」は歌わず、曲が流されたほか、恒例の鏡割りも行わなかった。荒尾典男町議会議長の乾杯の後、出席者は新年の抱負などを歓談し、交流した。

(2022年1月7日付紙面より)

町の発展を祈り乾杯した=5日、那智勝浦町体育文化会館
2022年01月07日
49 新春の森にかれんな花  バイカオウレン咲く  (古座川町 )
2022年01月07日
50 農福連携食品5品で認証  規格「ノウフクJAS」  (エコ工房四季 )
2022年01月07日
51 接種問わず検査など無料  和歌山県  
2022年01月07日
52 185人乗せ、にっぽん丸入港  新宮市  
2022年01月07日
53 若い人に贈る読書のすすめ  新宮市立図書館  
2022年01月07日
54 渡邉小姫さんが特別賞  中学生人権作文コンテスト  (那智勝浦町 )
2022年01月07日
55 町の安心、安全確保を決意  御浜町消防出初め式  
2022年01月07日
56 熊野大花火大会開催へ意欲  河上市長が年頭会見  (熊野市 )
2022年01月07日
57 団員一丸で防災意識誓う 感染症対策講じて消防出初め式 (紀宝町)
2022年01月07日
58 この一年、どんな年に?  新宮高校で始業式  
2022年01月07日
59 お悔やみ情報
  
2022年01月01日
60 絆つなぎ、次世代へ
 手を取り合い、里山守る「くまの里山」  (那智勝浦町 )

 「鍋のふたはまだ開けたらあかんで」「うどんは何味にするん」「みんなで食べるとおいしいよ」「残りは家に持って帰ったらええよ」「今日は忘年会やね」—。和気あいあいと屋外で昼食を作り、広大な自然をさかなに食事を楽しみ、会話に花を咲かせる人々。古き良き日本の原風景が今もここには残っている。この里山を守るべく活動する那智勝浦町高津気(こうづけ)の「くまの里山」を取材した。

 「くまの里山」は2007年に高津気地区の清源寺(せいげんじ)に覆いかぶさろうとする竹から寺を守るために組織された「高津気竹灯りの会」が母体。その後、農業を身近なものとし、里山に残る食文化や先人の教えを次世代につなぐとともに、耕作放棄地の再生と里山の保存のために新たな組織の存在が必要となった。

 しかし、会員で協議した結果、里山を守るには人口が少なく、高齢化率の高い同地区だけでは難しいと判断。町内外の人々の力を借りながら活動していきたいという思いから「くまの里山」と名付け、新組織が発足した。

 91歳を迎える最高齢の東阪景子さんを含む、各地域から21人の会員が集まった。

 その後は和歌山県の「農業農村活性化支援モデル事業」などを活用し▽オーナー制トウモロコシ栽培▽加工を目的としたラベンダー栽培▽食品加工を目的としたタカナやサトイモ、ニンニクなどの農作物栽培▽オーナー制タマネギ栽培▽サトイモを使用した茎漬け講習会▽たくあん漬け講習会▽子ども参加型めはり寿司教室▽生け花やミニ門松、しめ縄教室▽ジャガイモ収穫イベント▽しめ縄制作と販売▽サツマイモ収穫体験▽落花生収穫体験—など多岐にわたる活動を展開。

 オーナー制タマネギ栽培や落花生の収穫体験では多くの親子が参加する人気の催しとなっており、参加者が自然と触れ合い、農業や耕作放棄地への理解を深める機会につながっている。

 また、総延長が150㌔あるといわれ、保存状態が良い同地区の熊野列石(通称・しし垣)も有名。各地からの見物者も多く、会員らは保全活動にも尽力している。

 2020年には橋本市の学校法人きのくに子どもの村学園のきのくに子どもの村中学校の生徒を迎え、会員らが案内。しし垣の歴史や役割、里山の素晴らしさを伝えた。

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■数ある課題と向き合う



 力を合わせ日々奮闘している「くまの里山」だが、増え続ける耕作放棄地や組織の運営資金、押し寄せる高齢化の波などを課題に挙げる。それらの解決には屋台骨である組織の拡充が必要となり、一定の収益を見込まなくてはならないという。

 代表を務める西美恵子さんは「まずは会員のお弁当代だけでもなんとかしたい。お年寄りから子どもたちへ文化や歴史を継承していくためにも組織づくりが重要になる。皆さまが楽しみながらできる手仕事や新たな事業にも力を入れたい」と抱負を述べる。

 西さんら中心メンバーは、乾燥した麦わらを糸でつないで作るフィンランド伝統の装飾品「ヒンメリ」にも目を向けている。国内でも人気が高まっていることから、里山の耕作放棄地を生かして麦を育て、その麦をヒンメリの作り手に提供することも模索していると話す。

 高齢化については、活動の原点である農業をけん引してきた高齢メンバーが、年齢や肉体的な問題から作業に加わることができない現状もある。「くまの里山」ではその高齢メンバーに各体験の際に提供する振る舞い作りや受付係など、これまでとは違った役割で活動に参加してもらっている。

 互いにさまざまな形で支え合って里山を守り、生きがいを創出する姿は新たな「農業と福祉の連携」につながるのかもしれない。

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■今後の挑戦について



 今後は西さん所有の空き家を拠点とし、「先進地への視察」「地域住民の居場所づくり」「アサギマダラの休憩所整備」「防災と郷土食づくりを掛け合わせた体験」「会員制交流サイト(SNS)の活用による里山の発信」などにも取り組んでいく方針だ。

 西さんは「里山が元気でないと産業廃棄物の捨て場になる可能性が高い。そうなると海へとつながる水源が汚染されてしまう。山村と漁村は水の絆でつながっている」と語った。

 会合の際は屋外で火をたいて調理し、自然の中で食卓を囲むのが「くまの里山」流。会員同士もおかずを持ち寄り、食べきれないほどの料理がテーブルに並ぶ。

 それらの料理に彩りを添え、味を向上させるのがあふれる笑顔と会話の数々。まばゆいほどの明るさは希望となって、太陽とともに里山を照らし続けていくことだろう。山でつないだ手と絆が清流とともに海に流れ込み、里山と地域をつなぐ懸け橋となるはずだ。

(2022年1月1日付紙面より)

環境や文化を次世代へつなぐため奮闘する「くまの里山」の皆さん
町内外から多くの人々が参加する体験会
会合の際は屋外で調理
日本の原風景がここにある
2022年01月01日
61 孤立させない 今、必要な場
 寄り添い奮闘する現場「ママが元気でいて」  (コロナ禍の子育て支援 )

 コロナ禍の今、親と子を孤立させないために必要な子育て支援は何か―。核家族化と女性の社会進出で子育て家庭の孤立化が叫ばれる中、コロナ禍はそれに拍車を掛けた。初めての育児に周囲の手が差し伸べられず、同じ立場の母親たちと悩みを共有できないのは苦しい。再び感染拡大しても、親子の駆け込み寺的役割を果たす、子育て支援の場は守らなければならない。母親たちに寄り添いながら奮闘する現場の声を聞いた。

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◇他愛もない話を

 よく晴れた昨年11月の午前、紀宝町子育て支援センターには10組ほどの親子が訪れ、0歳から2歳までの子どもたちが思い思いに遊んでいた。そばでは母親とベテラン保育士が日々の成長を語り合ったり、母親同士で会話を楽しんだりしている。見守るセンター長の保育士・淡海順子(たんかい・のりこ)さんは「他愛もない話をして、笑って遊んで、子どもと共感し合える場所。お母さんが元気であってほしい」と目を細める。

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◇悩み解決することも

 センターは町立図書館との複合施設「紀宝はぐくみの森」2階で平日に開設されている。遊び場には2~3人の保育士が常駐し、子どもにさまざまな遊びを提供したり、保護者の話を聞いたりしている。

 育児の悩みが話題になることはよくあるが、その場にいる母親も会話に加わって「うちもそうだったよ」と解決することも。淡海さんはそんな様子を何度も見てきた。「悩みを抱えて悶々(もんもん)としていたのが、『あ、そうだったのか』と気持ちが軽くなる。一人で抱え込まないで、ここで一緒に子育てをしたい」。

 相談を受けたときは悩みに寄り添うように心掛け、初めて訪れた保護者には「よくここまで育てましたね。頑張りましたね」とねぎらうという。

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◇多くの母親が支持

 2020年度は延べ4655人の利用にとどまったが、コロナ禍前は1万人前後が訪れていた。「明るい雰囲気」「居心地が良く、安心感がある」との声が多く、近隣の市町からわざわざ足を運ぶ人も多い。講習を受けた地域の人が子どもを一時的に預かるファミリーサポートセンターは、同年度で1039件の利用があった。町が1時間当たり300円を補助しており、1時間当たり400円(平日午前9時~午後5時の場合)の負担で利用できる。

 かづこ助産院(那智勝浦町)の本舘千子(もとだて・かづこ)さんは「紀宝町は近隣に比べて支援センター、ファミサポの利用がとても多く、子育て環境が整っている」と注目。「長くセンター長を務める淡海先生の人柄もある。お母さんたちのために、という思いが反映されている」と支持される理由を語る。

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◇2カ月の閉所、そして再開

 昨年夏、町内で新型コロナウイルス感染症患者が初めて確認され、緊急事態宣言も出たことでセンターは2カ月間、町内の他の公共施設とともに閉所された。ただ、ファミサポは子育て家庭への重要な支援と捉え、継続した。

 全国的に感染拡大していく中、町内で予定されていた子育て関連の集まりも全てなくなり、普段利用している母親たちの間には「どこにも行き場がない」と不安が広がった。

 閉所中は、12年から毎年度引き継がれてきた母親たちのグループ「ママサークルさくらんぼ」が、無料通信アプリ「LINE(ライン)」のグループ機能を使い、利用する母親に向けて情報発信をしてくれたという。

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◇母親に寄り添う活動

 子育て家庭の孤立化を不安に思った助産院の本舘さんは、民間である強みを生かし、行政がカバーできない部分に目を向けた。ウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」による「子育て女子会」をしたり、普段は各市町で行っているベビーマッサージを院内で少人数開催したりと柔軟に対応し、LINEでの気軽な相談も呼び掛けるなど母親たちに寄り添う活動を続けている。

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◇新しい生活様式で

 宣言解除に伴って10月に再開したセンターでは今、滅菌器によるおもちゃの消毒、室内の定期的な換気、検温と消毒などの対策を取りながら、新しい生活様式で運営している。再開直後は多くの親子が訪れ、再会を喜んでいたという。第6波も懸念されているが、必要な感染対策を続けていくしかないと考えている。

 月に1度開催されている「ママサークルさくらんぼ」の行事も10月から再開。センターには子どもたちのにぎやかな声が響き、母親たちは表情を和らげている。淡海さんは「お母さんが元気で明るく楽しく。そして、笑うのっていいなと感じてもらいたい。気軽に話ができる場であればいいと思う」と語る。

(2022年1月1日付紙面より)

母親たちと語り合うセンター長の淡海順子さん(右から4人目)=紀宝町神内の町子育て支援センター
ママサークルの行事を楽しむ子どもたち
2022年01月01日
62 誘客幅拡大目指して動く
 南紀月の瀬温泉ぼたん荘  (古座川町 )

 古座川町が地域振興拠点として設け、古座川ふるさと振興公社に運営委託する「南紀月の瀬温泉ぼたん荘」。滞在機能を備えた交流施設として近年、時代相応の変化が進んでいる。今後の展望を探ってみた。

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滞在機能備えた多目的施設



 南紀月の瀬温泉ぼたん荘は1996年開業。本館2階に滞在前提の和室(8帖)10室があり、1階には宴会・会議場やレストラン、開放的で木のぬくもりに満ちたオープンスペース「ロビーカフェ」や土産物ショップなどを集約。渡り廊下でつながる別棟の温泉館はpH9・7のアルカリ単純泉を引き込んだ入浴環境があり、本館向かいには宿泊や会議、個展、講演、コンサートなど多目的に活用される「いろり館」がある。その横にはゲートボール(GB)場用途の芝地があり、50台分の駐車場を含めた全体が一施設となっている。

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RVパーク認定目指して



 建設当時の需要を見据えた形を今も宿すぼたん荘だが、25年を経て需要が変遷。とりわけGB場の活用が見込めない状況となり、町は用途変更へと動き出している。そのキーワードが「RVパーク構想(※)」。昨年に関係予算を計上し、本年度中にGB場を13台分の駐車区画と給電設備、ならびにコインランドリーの新設を完了し次年度に同パーク認定を目指す。

 町地域振興課は旅行を含めた時代変遷に加え、長引くコロナ禍により旧来の形で収益の回復を目指すのは難しいと認識。町内近隣はもとより遠方からも利用を引き込む必要性を重視し、その足掛かりとして前述した認定を目指すという。

 他方、最近はコロナ禍で低迷しているが平年は新成人のつどいなど行事利用の多いいろり館は、外周ウッドデッキに続いて屋根部分の改修が新年から本格化する。これも今年進む変化の一つとなっている。

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利便高めつつ体制を強化



 運営委託を受ける公社は町と連携し、町内の65歳以上を対象にした入浴回数券の申請受け付けを前年度から開始。本年度は175件の申請を受けているが、地理的な課題が町民を優遇から遠ざけてしまう状況に直面している。できることから緩和を。本年度はリフレッシュ目的で親しまれるグループ対象の送迎付き食事プランに温泉入浴や買い物支援を付与する工夫を始めた。昨年10月に最初の利用があり、今年はどう軌道に乗せるかが注目される年。同公社も今が完成形ではなく、さらに使いやすい形を目指すと意気込んでいる。

 ハード、ソフトの両面で時代相応の変遷に動き出しているが、これら新たな方向性の担い手確保と人材体制の確立を今後に重視するのが関口隆男理事長。即回復の策はいまだ見えないがスタッフ一丸で直面する過渡期を支え、中期的な視野で新たな方向性への適応を目指したいと思いを語る。

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※RVパークとは…キャンピングカーなどで快適に安心して車中泊ができる施設。

(2022年1月1日付紙面より)

誘客幅拡大を目指して動き出している南紀月の瀬温泉ぼたん荘の本館
気軽に立ち寄れる環境を目指して力を入れているオープンスペース「ロビーカフェ」
温泉館内にある浴場。古座川弧上岩脈由来の湯に親しめる(古座川ふるさと振興公社提供)
多目的スペースのいろり館など。手前のゲートボール場は今年、RVパーク環境に切り替わる
本年度から始めた送迎付き食事プラン付帯の買い物支援の様子(古座川ふるさと振興公社提供)
2022年01月01日
63 向井兵輔氏をご存じですか?
 水産共同支えた立役者  (太地町 )

 「向井氏は郷土愛に満ちた人だったと推測する。水産共同組合の一時期を支えた立役者です」と太地町歴史資料室研究員の江﨑隆司・同町公民館長は話す。大正7年にはコメの価格の急騰による米騒動が起きるなどして、国内が不景気となっていた時代。経営が困難となっていた当時の太地水産共同組合(以降、共同組合)を支えるため、太地漁業株式会社を立ち上げた向井兵輔(ひょうすけ)氏をひもといてみる。

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■カナダで会社起こす



 明治4年に太地村に生まれた向井氏。数年後には長崎県の永野万蔵氏が日本人で初めてカナダ西部のブリティッシュコロンビア州へ渡っている。明治28年、向井氏が24歳の時に、親類の太田音市氏と共にカナダへ渡る。二人はフレーザー川の河口でサケ漁に従事した。

 この時すでに紀南地方からも多くの移民者が海を渡っており、太地や下里の郷友会も結成されていた。二人はサケ漁をやめ、バンクーバー島中部にあるナナイモに移った。根来勝之助氏、松本鉄蔵氏と共にニシンの肥料製造業を始めたが2年後、放火によって工場は全焼した。

 モレスビー島では新潟県出身の池田有親氏が立ち上げた銅鉱山の会社で働いた。明治42年に二人はサケ・ニシンの塩蔵加工や輸出業に取り組み、アワビやハマグリの缶詰業も営むこととなった。

 二人は渡航以来、さまざまな事業に挑み続け、日本人排斥にも負けることなく、ようやくこの地で成果を上げることができた。向井氏は商用で度々、帰国して東京や神戸の輸出入業者や海産物業者との取り引きを行うとともに、帰郷の際には呼び寄せ人との折衝に当たっていたという。

 父たちの背中を追い、海を渡った向井氏の長男・政太郎氏や太田氏の長男・琴太郎氏も事業を助けた。大正9年に帰国した政太郎氏は新宮中学校で事業の様子や見聞などを講演したとされる。

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■太地水産共同組合を助ける



 組合員共同の利益を図るとともに村の経済を援助することを目的とした共同組合が大正5年に発足。しかし、不漁続きで経営的に困窮を極めていたという。

 共同組合は鰤(ぶり)敷網の契約期間が満期になった際に営業権を太地漁業組合に返還するか、新会社を設立し運営するかで揺れ動いていた。

 そんな中、大正11年に帰国後の向井氏と太田氏に資本協力を依頼。二人は快諾し、同年に向井氏を社長とした太地漁業株式会社が発足した。同社は共同組合から船や網など、多くの資材を買い取った。その際に得た金を元に共同組合は同社の株を購入。組合員に1株ずつ分配して生活をつなぐこととなった。

 同社は新しい船を建造し、漁獲高の向上に努め、好成績を挙げた。昭和6年の営業権の契約終了時、共同組合は臨時総会を開き、再び鰤敷網を操業することを決定。その旨を向井氏は承諾し、同社は解散。再び、共同組合が鰤敷網を操業することとなった。

 移民であった向井氏と太田氏の二人の郷土愛や経験が共同組合の危機を救い、その結果、町民への恩恵にもつながった。

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■息子たちは



 父二人が帰国し、その後を託された政太郎氏らは事業を引き継ぎ、キルドナンで「グリーンコーブ鹽魚(えんぎょ)製造所」を開業。事業は発展を遂げたが、太平洋戦争勃発で中断。工場や船舶など全財産が強制的に処分となった。

 開戦の翌年、日系人に「夜間禁足令」が出され、バンクーバー島にいた3300人余りの日系人が収容所に送られてしまう。

 政太郎氏らが一時帰国中に開戦となり、カナダへの渡航はかなわなかった。戦後、カナダ政府と政太郎氏らは財産の返還交渉を行うも、返還や補償には至らなかった。

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■向井氏をご存じですか?



 江﨑館長は「経営が大変だった水産共同組合が鰤敷部門を頼んだ際、向井氏は快くそれを引き受けた。太地と共同組合は切っても切れない存在。組合の経営が持ち直した後に、快くそれを返している。組合が維持できたのも太地漁業株式会社と向井氏がいたからこそ。今後は向井氏を知る方が増え、顕彰されることを望んでいる」と語る。

 向井氏を曽祖父に持つ、向井マリトさんは「築100年となる立派な家屋も残していただいた。大変な時代を生き抜かれたのだと思う。誇らしい存在です」と祖先を思った。

 昭和7年に同社は鰤敷網や海を見下ろすことができる燈明崎(とうみょうざき、町立太地中学校体育館裏近く)に「向井翁遺徳碑」を建立した。郷土の海も世界中の海につながっている。

 59歳で生涯を終え故郷の地に立つ向井氏は、どのような思いでこの景色を見つめているのだろうか。多くの人々が彼を知ることで、その心の中に、彼の郷土への思いや魂が生き続けるはずだ。

(2022年1月1日付紙面より)

(左から)太田音市氏、向井兵輔氏、太田琴太郎氏(太地町歴史資料室提供)
グリーンコーブ鹽魚製造所のラベル(同提供)
当時の作業の様子(同提供)
貯蔵庫にサケが並ぶ(同提供)
長年海と共に生きた向井氏の遺徳碑(同提供)
2022年01月01日
64 多彩さ見せるロケット振興
 年末ごろの打ち上げ期待し  (串本町 )

 串本町田原などでほぼ完成したとされる民間小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」。地元内外が注目する小型ロケット「カイロス」初号機の打ち上げについてスペースワン株式会社は昨年末、当初予定から1年遅れて今年年末ごろを目指して取り組む考えをスペースポート紀伊周辺地域協議会に伝えた。その瞬間を期待して、射点がある串本町ではロケット振興が日に日に多彩さを増している。

 「ロケットといえば串本」を印象づけるため県と町が両輪で始めた振興企画「宇宙シンポジウムin串本」。本州最南端から最先端情報を発信するという趣旨で年1回、回を重ねている。

 第2回以降、感染症予防のため県に主導権を委ねている町だが、おととしの秋に町独自の振興を始動。町民対象ワークショップ(WS)で基本情報の普及を図り、昨年2月にキックオフ企画「宇宙ウイーク」を展開して振興の一歩を踏み出した。その一端が射点近くからのサーチライト投光で、天候に恵まれなかったが、田原海水浴場が望める町域東側広範で見物できることを予見させた。

 この時に発表されたスペースタウン串本ロゴは、町企画課ロケット推進室を窓口にして7月から使用許諾申請の受け付けを始め、活用商材の開発が進んでいる。南紀串本観光協会は先導的にロケットサイダーやロゴ入りシャツなどを商品化。町もピンバッジなどさまざまなグッズ開発を進め、宇宙産業のまちづくりに取り組む串本町の応援サポーター『宇宙兄弟』とのコラボレーションによる盛り上げにも力を入れている。

 紀の国わかやま文化祭2021の一環で日本初民間ロケット射場開始プレイベントも実施。宇宙飛行士講演やそのダイジェストの期間限定オンライン配信、模型などの展示で「宇宙ウイーク」に続く接点をつくった。

 年末には新年にもかかる町民対象WSの第2弾をスタート。同室は「いざ打ち上がるとなると、今の町職員規模では見学の受け入れだけで手いっぱいになってしまう。その前後でできることを考えて、今後とも盛り上げていきたい」と思いを語る。

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官民それぞれに振興の歩み



 3カ年計画でリノベーションが始まった旧役場古座分庁舎は本年度末に3階8Kシアターと1階玄関が先んじて仕上がり、別事業で2階サテライトオフィスも完成予定となっている。コミュニティバス佐部・上田原線でロケットの絵でラッピングされたノンステップ車両を導入。教育面で県宇宙教育研究会がモデルロケット製作、打ち上げ体験を重ねていて、昨年は学校教育領域での試行にも取り組んだ。県立串本古座高校のCGS部が小型ロケット「カイロス」にちなんだ独自キャラクターを生み出して盛り上げを意識し、生徒有志による缶サット甲子園への挑戦も始まっている。

 ロケットにちなんだ飲食メニューの開発と発表、ロケットが描かれた大型観光バスの運行、小型ロケット模型の寄贈など、盛り上がりも一段と多彩になった昨年。田嶋勝正町長は、2016年にスタートした発射場進出が今こうして盛り上がっているのは用地を提供してくれた地権者をはじめ各関係者の協力あればこそだと喜び以上に感謝を掲げ、「ロケットが放つ光は必ず串本を明るく照らしてくれる。打ち上げ時には県とも調整して混雑の緩和に努め、ロケットから得られる学びの裾野の広さを生かして学力レベルが上がったといわれるよう教育にもつなげていきたい」と今年の挑戦への意気込みを語る。

(2022年1月1日付紙面より)

スペースポート紀伊の総合司令塔一帯。昨年末時点でほぼ完成に達している
振興企画「宇宙シンポジウムin串本」(上)や「宇宙ウイーク」(下)の様子
スペースポート紀伊射点付近からのサーチライトによる投光
実物大「カイロス」懸垂幕
宇宙ウイーク以降、数を増しているロケット関係グッズ類
ロケットの絵を背負って地元を盛り上げているコミュニティバス(上)や大型観光バス
県宇宙教育研究会による学校教育領域でのモデルロケット製作・打ち上げ体験の試行の様子
美術造形工房「BAS Fronti」寄贈の「カイロス」模型(現在は役場に常設)
2022年01月01日
65 新年度から統合、運用開始へ
 新宮警察署・串本警察署  

 新宮警察署と串本警察署は今年4月1日(金)に統合し、串本警察署は「新宮警察署串本分庁舎」として運用を開始する。串本署が管轄する串本町と古座川町は新宮警察署に、すさみ町は白浜警察署の管轄となる。統合は1968年以降半世紀ぶりとなる。

 県内の警察署ごとの警察官1人当たりの年間処理件数(刑法犯認知件数)は平均2・7件。しかし、串本警察署は1・2件と、他の警察署に比べて少なくなっている。また、交通事故発生件数についても0・5件(平均1・1件)、110番通報の受理件数も14・9件(平均35・2件)と少なくなっている。

 現在地で2005年に供用開始となった串本警察署は津波浸水域に位置しており、南海トラフ巨大地震発生時には車両や装備資機材の流失や浸水などで警察機能が失われてしまう可能性も指摘されている。

 統合はそういった現状に対応するためのもので「警察官の負担の平準」「警察機能の喪失回避」を図るとともに、「マンパワーの集中的運用」を目指す目的もある。

 統合により新宮署の管轄エリアは新宮市、田辺市本宮町、那智勝浦町、太地町、北山村、古座川町、串本町となり、面積は1・62倍、人口は1・37倍となる。

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■何が、どう変わる?



 統合により、約100人から約140人体制へと、人員が増員される新宮警察署。主に事件事故を担当する課の体制を強化するほか、夜間休日の当直体制も強化される。

 うち、一定数の警察官は串本分庁舎に配置され、刑事事件や交通事故の初動対応に当たる捜査員2人も配置(24時間常勤)。パトカー1台の増強も予定されている。発災時に初動対応に当たる災害対策要員2人を代替指揮所に配置する予定だ。

 また、運転免許関係(更新、記載事項変更など)の手続き、交通許認可関係(自動車保管場所証明、道路使用許可など)、生活安全許認可関係(銃砲、風俗営業、古物営業、警備業など)の申請、落とし物(遺失物、拾得物)、警察安全相談の届け出などの行政サービスは継続となる。新宮市、田辺市本宮町、那智勝浦町、太地町、北山村、古座川町、串本町の各交番・駐在所も引き続き存続される。

 しかしながら、串本、古座川両町に存在する交番や駐在所、分庁舎配属の警察官を合わせると現状の約半数となる予定。津波による浸水被害が想定されている古座交番、和深、田並、大島の3駐在所については、当面の間、夜間の勤務員を引き上げるとのこと。夜間パトロールを強化するなど、新宮警察署を挙げて治安維持に努めていく計画だが、住民には治安の低下や初動対応などについて不安視する声もある。

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■デメリットも周知が必要



 前述したように、統合の目的は▽負担平準化▽警察機能の喪失回避▽マンパワーの集中的運用—とされているが、新宮警察署の山田守孝署長は「住民の不安を払拭(ふっしょく)するためには、統合のデメリットもしっかりと周知していく必要がある」と口にする。

 昨年3月下旬から4月下旬にかけて実施されたパブリックコメントでは「大規模地震・津波で国道42号が寸断された場合、新宮警察署員は串本町に来ることができないので、串本警察署がなくなったときは、初動対応に当たる警察官が少なくなってしまうのではないか」「津波被害に遭うのであれば、なぜ現在の場所に警察署を建てたのか」「いつ発生するか分からない津波被害に備えるよりも、日々の生活の不安解消を優先すべきではないか」「高速道路が開通すれば(新宮警察署から串本町などの)現場への時間短縮にもなるが、それまで(統合を)待てないのか」「令和3年度に串本町においてロケットの打ち上げが予定されており、多くの観光客などの来町が予想される。そのような時期に串本警察署がなくなると、交通渋滞、交通事故、防犯面において不安がある」などの意見が寄せられた。

 山田署長は「初動対応や災害対応など、とにかく『頑張る』としか言いようがない。しかし、いくら『頑張る』『大丈夫だ』と言ったところで近くに警察署がなくなるといった住民の不安を払拭することは簡単ではない」と話す。

 今年、串本町田原で民間ロケットの打ち上げが予定されており、紀伊半島一周高速道路の全線事業化も決定している。ロケット打ち上げや道路の開通により人流が増加し、交通事情や治安情勢が変化することが考えられる。

 「住民に寄り添った警察行政」とは。警察署の再編がもたらす弊害とは、利点とは。今、4月1日の新宮警察署、串本分庁舎の運用開始に向けて準備が進められている。

(2022年1月1日付紙面より)

新宮警察署
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