「生命の駅伝」出発式 (新宮市 )
がんと闘う人を励まし、研究を支援する目的で行われている「第23回生命(いのち)の駅伝」の出発式が19日、新宮市立光洋中学校(宮本雅史校長、生徒210人)であった。「EKIDEN for LIFEの会」(太田正隆会長)主催。生徒の中から希望者約150人が約1㌔を伴走した。
出発式で生徒会長の小谷颯志君(3年)が生徒らの募金への協力に感謝し「光洋中生徒会としては、これからも生命の駅伝に協力していきたい」とあいさつ。募金を生命の駅伝実行委員会の上村眞由さんに手渡した。
事務局の北出恭子さんは「私も胃がんで胃を摘出しました。早期発見で今またボランティアに参加させてもらっていることをすごくうれしく思います」と述べ、家族にも検診を勧めるよう呼び掛けた。
駅伝は、がん研究資金を募るためにカナダ人の義足ランナー、テリー・フォックスが「希望のマラソン」として143日かけて5373㌔走ったことにちなむ。95年に「テリーフォックスラン日本」として開始した。活動を通じ、三重県にがん医療センターを設立することを目標としている。
ランナーは中学校をスタートし、東牟婁振興局や新宮市役所など回りながら熊野市役所まで走った。
(2017年5月20日付紙面より)
若者の政治参加意識の向上を目的に、新宮市神倉の県立新宮高校(畑伸憲校長)で18日、和歌山県議会議員と高校生との意見交換会が初めて開かれた。議員5人と高校生15人が参加し、議会に関する質問や「地域と高校生徒のふれあい」をテーマに話し合った。
公職選挙法の改正で選挙権年齢が18歳以上に引き下げられたことを受け、若者の率直な意見を聞き取る場をつくり、政治参加意識を高めようと開いた。今年3月に亡くなった故・浅井修一郎・県議会議長が発案。議会改革の一環として企画され、「議会改革検討委員会」で検討されてきた。
本年度は試行として同県等委員会メンバーを参加者とし、この日は服部一・県議会副議長、長坂隆司議員、山本茂博議員、多田純一議員、森礼子議員が参加。新宮高校からは生徒会を中心に1年生から3年生までの有志メンバーらが集まった。
服部副議長がコーディネーターを務め、意見交換では生徒らから議会への疑問や高速道路、県の理想像、議員を志したきっかけなどへの質問があった。「地域の子どもや高齢者と高校生が関わる機会をどのように持てばよいか」という問い掛けには、「ボランティアや個人活動、慰問活動など、自分から出掛けていき、得意なことを生かして自ら動く」「市や自治体が実施する避難訓練や祭りなどの行事に積極的に参加する。地域の行事では若い力が求められている」とアドバイスを送った。
議員からは高校生に「住んでいる所を将来どんなふるさとにしていきたいか」「選挙権を与えられた際の投票の基準」「自分自身、ここは人に負けないという自信があるものは」「反抗期はあったか」などの質問があり、生徒らは自分の率直な意見を伝えていた。
意見交換会で気付いたことを聞かれた生徒は「もう少し個別に話したり、自由な形で話せるようにしたらもっといいと思う」などと提案する場面もあった。
服部副議長は「意見を活発に出してくれ、反応も良かった。生徒が意見を出しやすいよう、今後の会の在り方をもう少し検討する必要を感じました。感じている、思っていることが伝わったと思う。関心を持ってくれてありがたい」。
生徒会長の藏本梨奈さん(3年)は「緊張しましたが、お互いの意見を話し、私たちのためにもなりました。今後、生徒会を通じ学校内の生徒の意見を出し合い、新宮のために何かできないかという働き掛けができればいいなと思いました」と感想を語り「政治を身近に感じました。話す場がもともと少なかったので、今回の場で距離が縮まり、自分たちの意見も反映してもらえるんだなと感じました。選挙にも行きます」と述べた。
畑校長は「生徒たちは少し緊張していましたが、議員たちから地域貢献の大切さなどを聞き、社会に接するいいきっかけになったと思います。社会で活躍する大人と話をすることで、自分の意見を話すいい機会になったと思います」と話していた。
(2017年5月20日付紙面より)
ジオガイドら通夜島調査 (串本町 )
串本町須江沖にある通夜島で18日に地域資源調査があり、南紀熊野ジオパークガイドら18人が地質と植生の2面から島一帯の特色を探った。
通夜島は神功皇后と応神天皇の一行が一夜を明かしたと伝えられ、その故事をなぞらえる水門(みなと)神社祭礼「水門祭」の旧御旅所だったことで知られる。旧大島村から旧串本町、現串本町へと公有地として受け継がれ、民間事業者に貸し出され熱帯植物の栽培地となっていた時期もあったが2003(平成15)年に明け渡され、現在は無人島になっている。
地域資源としては北岸区域13・7㌶が2005(平成17)年にラムサール条約登録湿地に認定されているが、この日の調査はジオパークの観点から魅力を発掘するのが狙い。和歌山東漁業協同組合須江支所の通夜島活用への期待も踏まえて南紀熊野ジオパークガイドの会南エリア(芝崎浩子代表)が計画し、当日はガイドや南紀熊野ジオパーク推進協議会学術専門委員の中屋志津男さん、県自然環境室や同町産業課、串本町観光協会や古座観光協会、リゾート大島や熊野新聞社の各関係者が参加した。
資料調査はしたが上陸は初めてという中屋さんは▽地質的に熊野カルデラ由来と考えらえる火砕流の造形(流紋岩質火砕岩層)が見られる▽地形的に島上部が平地「海岸段丘」になっている―といった二つの特色があると参加者に事前解説し、前半はその象徴となる場所を観察した。
先だって12日に大辺路刈開き隊や同町地域おこし協力隊、環境省やリゾート大島が刈り開いたルートに沿って移動し、その道中には往時の作業小屋や祠(ほこら)も複数点在。上陸地点で地質的な特色、その反対側の浜で地形的特色を観察し、後者では目の前に広がる波食棚や海食台といった平たい海岸が隆起して海岸段丘ができるという大地の営みを、各地形の実物を見ながら感じられるといった魅力の発見があった。
昼食休憩後は既存のスダジイや熱帯植物と栽培管理を離れて野生化したワシントンヤシなどさまざまなヤシ類などで覆われた島内を巡り、眺望に秀でた岩棚などを確かめた。
南紀熊野ジオパークガイドの会の上野一夫会長は「串本には平見と呼ばれる場所が多いが、これらは海岸段丘を意味する。陸繋(りくけい)島も含めてそのような地形がよくわかる岩棚も発見の一つだった。中屋先生が話された特色も含めた今日の収穫を生かし、通夜島を訪れるツアーを年に何回か計画していければと思う」とこの日の成果を振り返った。
(2017年5月20日付紙面より)
地震から命守る減災セミナー (太地町 )
太地町の一級建築士事務所「熊野くらし工房」の森岡茂夫さんは17日、同町公民館で第2回減災セミナー「地震から命を守る」を開いた。日本建築家協会の災害対策委員として活動した森岡さんは、全国の被災地で得た知識と経験を町民の防災に役立ててもらおうとセミナーを企画し、今年3月にスタートさせた。2回目は「命を守る『倒さない・燃やさない・逃げ切る』」がテーマ。
南海トラフの巨大地震、東海・東南海・南海3連動地震の国の被害想定を挙げて講演を進めた。南海トラフ巨大地震の死者想定は32万3000人にも上り、「死者率」は南海トラフで74%、3連動地震で47%といずれも太地町が第1位となっている数字を示した。森岡さんは「この通りだと私のふるさとは消滅してしまう。対策を」と語り、家屋の倒壊、家具の転倒などを防ぐ「倒さない」、火災の発生を防ぐ「燃やさない」、津波から「逃げ切る」の三つのキーワードを掲げて防災対策を呼び掛けた。
電気が復旧し、倒壊家屋に通電した際に発生する「通電火災」の防止には建築家協会が考案した感電ブレーカーを紹介。ガスコンロは2008年に法制化された安全センサーを説明した。受講者に帰宅後に各家庭でセンサーが付いているかどうか確認を呼び掛け、古い家屋が多い同町では社会福祉協議会などと連携しての安全チェックを提案した。
森岡さんは「国の想定を最後まで読むと、しっかり対応すれば被害は5分の1になると書かれている。対策を積み重ねれば被害は小さくできる。みんなで知恵を合わせて未来を守ろう」と呼び掛けた。
20日は同会場で午後1時30分から同4時30分まで「津波からの逃げ地図づくりマスター講座」を開催する。問い合わせは同事務所(電話0735・29・7986)まで。
(2017年5月20日付紙面より)
医療センター中井院長が講演 (新宮市 )
新宮市立医療センターの中井三量院長(脳神経外科医)が11日、新宮市福祉センターで「身体の健康について―脳卒中の予防的外科治療―」をテーマに講演した。脳卒中は医学の進歩で死亡率4位に下がっているが、後遺症が残ることが多いため、介護原因の1位になっているとし、発生前の治療などを紹介した。
厚生労働省の平成14年の調査によると、脳卒中(脳血管障害)は死因の4位(年間13万人)で、患者数は年間137・4万人(4位)、国民医療費は年間1・7兆円(4位)。高齢者医療費では年間1・38兆円(1位)で、要介護の原因の1位となっている。
脳卒中の内訳は、くも膜下出血15%、脳出血25%、脳梗塞60%(脳血栓42%、脳塞栓15%、一過性脳虚血3%)。中井院長は、脳卒中が発生する原因として▽血圧が高い▽食塩を多くとる▽糖尿病▽悪玉コレステロールが多い―などを紹介。
突然、激しい頭痛に襲われたり、手足の動きが悪く、ろれつが回らなくなったりした人がいたら、衣服を緩めるなど、息をしやすい体勢にして、すぐ救急車を呼ぶよう呼び掛けた。
新宮市教育委員会主催の健人大学5月講座で講演した。受講生約200人が聴講した。中井院長は、医療センターの医療に対する要望があれば、声をあげてほしいと話していた。
(2017年5月13日付紙面より)
北山小学校4年生の社会見学
熊野市有馬町の熊野市消防本部(職員80人)を10日、北山村立北山小学校(松本広明校長、児童15人)の4年生3人が山口哲(さとし)教諭の引率で社会見学に訪れた。
児童らは消防司令補の北勝志さんの案内で庁舎を見学し、北さんから救急隊員や消防隊員がどのような仕事をしているかを教わった。
消防長の岡田敏哉さんからは「救急の電話をする時に備えて、自分の家の正確な住所、お父さんお母さんの名前を言えるようにしておいてください」と指導を受けた。通信指令室では119番通報する練習をしたが、練習中に実際の119番通報があり、児童らは1分で救急車が出動する様子を見ることができた。
車庫に移って、救急車や消防車に乗せてもらい、車の設備、車中での仕事、出動の手順などの詳しい説明を受けた。防護服を着せてもらい、その重みや暑さも体験した。
児童らは、消防の仕事は怖くないか、火事の一報から何分で出動できるか、なぜ短時間で出動できるのかなどを質問した。なぜ消防士になったのかという質問に、北さんは「人を助けたい気持ちがあったから。私だけでなく消防士はみんなそうだと思う」と答えていた。北さんからは、家に火災報知器があるか確認することと自宅の正確な住所を覚えるという二つの宿題が出された。
岡ひよりさんは「火事や救急の時に消防署でどんな仕事をするのかを教えてもらい、今まで知らなかったことを知ることができた」と話していた。
(2017年5月13日付紙面より)
橋杭小玄関前でお披露目 (串本町 )
串本町立橋杭小学校(岡﨑明生校長、児童48人)で今年もバラ「エルトゥールル」が花の時期を迎えている。昨年より半月ほど遅れたが、次々と深紅の花が咲いている。花つきがいい株を選んで玄関前に飾り付けていて、正門越しに鑑賞することができる。
このバラは平成25年5月、駐日トルコ共和国大使夫人に送られた新種で、同夫人は「エルトゥールル」と命名。27年6月に同町の日本トルコ友好125周年事業で町民が育てた株約20本がお披露目され、以来両国友好の象徴の一つとなっている。
同校は上記のお披露目時に使われた木製プランターケースを譲り受けた機に、バラ「エルトゥールル」を育てようと考えて入手先を調査。同事業に合わせて苗15本を寄贈した日本バラ協会の若林英子理事から千葉県船橋市の店舗「パティオローズ」(小川宏代表)が生みの親だと紹介を受け、併せて「串本町の学校が育ててくれるなら」と苗を私的に寄贈する申し出があり感謝して苗をもらうことにした。
昨年1月に苗20本が届き、児童を代表して当時の6年生(現中学2年生)が鉢植え。バラの育て方に詳しい田並在住の小川春寛さんに教わった方法で管理し、児童も水やりなどの世話をしているという。
昨年は4月中旬に咲き始めたが、今年は5月初めに初開花を迎えた。枝を切り詰めて越冬させたため、株自体がまだ小ぶりで花も大きいもので10㌢弱。前校長から管理を受け継いだ平松聡教頭は「つぼみをいくらか摘めば花を大きくできると思うが、花の数が減ってしまうのもさみしいのでなかなか踏み切れないでいる」と述べ、当面は株任せで大きくなるのを見守るとした。
(2017年5月13日付紙面より)
21日の体育祭本番に向け (潮岬中 )
串本町立潮岬中学校(藤本弘子校長)の生徒52人が12日、ダンス「これぞオチャヤレ岬節」の練習に取り組んだ。体育祭に向けた準備の一環。本年度は21日(日)に挙行する計画で、練習も大詰めを迎え、この日は全学年一丸で通し練習に臨むなどした。
「これぞオチャヤレ岬節」は潮岬節保存会(島田和幸会長)が継承する正調潮岬節を現代的にアレンジしたダンス。同校が体育祭で披露するのは8回目で、初披露となる1年生は4月中旬から、経験のある2、3年生は一足早く3月中旬から練習に励んできたという。
12日の前半は1年生と2、3年生に分かれて練習し、1年生は会員・稲生由紀子さんの指導を受けて稽古の総仕上げに臨んだ。2、3年生は教員指導で過去に教わった振り付けに磨きをかけ、後半は1年生も加わった生徒全員で通し練習などに励んだ。
本年度も生徒の指導を担当した稲生さんは「初めて挑戦する1年生は振り付けを一通り覚え、2、3年生はとにかく元気に踊ってほしい」と期待し、練習の後押しをした。
潮岬地区で育つ子どもは小学校で踊り「正調潮岬節」、中学校でダンス「これぞオチャヤレ岬節」を練習し運動会や体育祭で披露している。本番では同会が生歌を届け、生徒と会員の共演で郷土色豊かに会場を盛り上げる。
(2017年5月13日付紙面より)