新宮市立佐藤春夫記念館(辻本雄一館長)と実践女子大学は29日、市役所で包括的連携協定を締結した。締結式には辻本館長と、同大学文芸資料研究所の佐藤悟所長、同研究所研究員で佐藤春夫研究者の河野龍也・東京大学文学部准教授が出席。辻本館長と佐藤所長が協定書に署名した。両者は今後、相互連携の下、生誕130年事業などを共催していく予定。
市名誉市民・佐藤春夫(1892~1964年)の生誕から今年で130年。同記念館と同大学文芸資料研究所で連携し、事業を開催できればとの話が発端となり、このたびの締結に至った。
締結には、春夫の研究のため、学生時代から春夫記念館に足を運び、企画展「百年之遇 佐藤春夫 1920臺灣旅行文學展(百年の旅びと 佐藤春夫 1920台湾旅行文学展)」(2020年、台湾台南市の国立台湾文学館)の開催にも尽力した河野准教授が協力。春夫記念館との公式な関わりは14年の没後50年記念行事以降となる。
なお、河野准教授は今年4月から東京大学に転任したが、前任地である実践女子大学には、佐藤家から寄託を受け河野准教授が調査してきた関係資料が多数残されている。実践女子大では未公開の書籍や原稿を中心に1万3000カットの資料撮影を完了しているという。
また、佐藤所長は熊野速玉大社ご神宝の調進に当たった髙倉家に中世以来伝来する装束資料を調査しており、当地方とのつながりに大きく期待を寄せている。
このたびの締結は、協力と信頼関係の下に、互いの持つ資源を有効に活用し、相互の発展とともに文化振興に寄与することを目的とし、目的を達成するため、双方が関心を持つ学術分野において▽共同研究の実施▽講義、講演およびシンポジウムの実施▽学術情報および資料の交換▽研究・教育への相互助言▽その他必要な展示、調査および研究―について交流、協力を推進するもの。
喫緊の生誕130年事業は包括連携協定締結記念と銘打ち、実践女子大学では生誕130年記念展示「知られざる佐藤春夫の軌跡―不滅の光芒(こうぼう)―」(9月26日~10月15日、同大学香雪記念資料館)、国文学科公開講座「美の冒険者・佐藤春夫の挑戦」(10月8日、同大学渋谷キャンパス)、春夫記念館では企画展「『わんぱく時代』の地から―知られざる佐藤春夫の軌跡―」(10月25日~来年2月12日、同記念館)と特別講演会(11月2日、市文化複合施設「丹鶴ホール」)を計画している。
締結式では、河野准教授が締結に至った経緯について説明し「春夫の資料は膨大な量があるので大学と記念館とが協力しながら研究や教育に役立てていきたい。春夫は再評価の機運も高まっていると感じる。新宮市の魅力発信の一助にもなると考えている」。
佐藤所長は「新宮市抜きでは研究はできない。提携がさらに発展し、学術研究・交流など幅広い関係を構築できたら」とあいさつ。
辻本館長は「生誕130年の節目に共催の展示会が開かれることを非常にありがたく思う。かつては谷崎潤一郎、芥川龍之介と共に三者鼎立(ていりつ)などと称された。これを機会に一人でも多くの方に来場、認識いただければ」と話していた。
(2022年8月30日付紙面より)
えとの兎などにぎやかに (太地町飛鳥神社 )
過疎地域神社活性化推進委員会、太地町赤十字奉仕団(和田千明委員長)、太地町地域連絡協議会(法花真左美会長)は27日、同町の飛鳥神社(髙橋正樹宮司)で3回目となる大絵馬づくりを行った。同町在住で日本画家の土長けいさんがクジラとイルカを描き、町内の5歳から11歳までの子どもたち10人が来年のえとである「兎(うさぎ)」の型押しを行い、自由な発想で色を塗り背景を描いた。
髙橋宮司によると、大絵馬づくりは「地域活性化」「子どもたちの思い出づくり」「郷土愛の育くみ」が目的。大絵馬は縦120㌢、横150㌢のヒノキ製。
この日は新型コロナウイルス対策として▽検温▽消毒▽換気▽マスク着用▽3密回避▽大絵馬は1枚のみ作成▽時間短縮―などを徹底。児童らは二手に分かれ、小さな絵馬と大絵馬の作成を交代で取り組んだ。
開始前に和田委員長が「瑞光寺のくじら橋」など、町に関連する絵本の読み聞かせを実施。今回は時間短縮のために、土長さんがクジラなどをすでに描いており、児童らはウサギ型に切り抜いたステンシルシートを用いて、白色の絵の具でウサギを型押しした。
続いて、好みの色で色塗りをして、カラフルな波などを描き加え完成した。小さい絵馬は色とりどりのマジックで好きな絵を描き、目標なども記した。
昨年も参加した山門咲紀さん(太地小5)は「型紙からはみ出さないように塗るのが難しかった。うまくできたし、楽しかった。来年も参加したい」。
土長さんは「3密回避で今回の形となった。子どもたちの元気やパワーが伝わる大絵馬が完成した。子どもの参加がある限り大絵馬づくりは継続したいです」と話した。
法花会長は「コロナ禍のため、前日まで開催を迷った。無事に実施でき、立派な大絵馬が完成して良かった。正月に、ぎやかに飾られるのが楽しみです」。
和田委員長は「今年も子どもたちの個性が輝いた大絵馬ができてうれしい。来年もコロナ終息を願って実施したいです」。
髙橋宮司は「毎年、子どもたちによって赴きが違う。自由な発想が楽しい」と述べた。
年末には大絵馬の奉納奉告祭を予定しており、小さい絵馬も正月に飾られるという。
(2022年8月30日付紙面より)
国道42号関係3団体の会長 (串本町 )
近畿自動車道紀勢線すさみ・那智勝浦間建設促進協議会(会長=田嶋勝正・串本町長)、国道42号(田辺~新宮)改良促進協議会(会長=佐藤武治・和歌山県議会議員)、みんなの高速道路建設促進串本協議会(髙井英二会長)が26日、3団体合同で国土交通省の丹羽克彦道路局長にウェブ経由で要望をした。
新型コロナウイルスの情勢で上京しての面会が難しい状況が続く中、例年の要望は自重しがたいとして昨年は近畿自動車道紀勢線すさみ・那智勝浦間建設促進協議会と国道42号(田辺~新宮)改良促進協議会でウェブ経由による要望を実施。今年は民間団体等52人で結成するみんなの高速道路建設促進串本協議会も加わる形で臨んだ。
地元側の会場は同町役場本庁舎内に設け、和歌山県の県土整備部・福本仁志部長もウェブ上で同席。3団体それぞれにあらかじめ書面決議した要望事項を読み上げて丹羽局長に伝え、応答を受け止めた。
同町建設課によると、要望事項は沿線に係る防災、医療、ポストコロナ時代を見据えた地域経済振興、大阪・関西万博などを背景とし▽国道42号の代替道路となる近畿自動車道紀勢線(すさみ串本道路などを含む)の早期完成▽防災・減災、国土強靱化(きょうじんか)のための5か年加速化対策以降も含めて財源を確保し継続して取り組むこと▽自然災害に対応するための地方整備局等の体制強化や資機材の確保を図ること―などを求める内容(他に団体それぞれの立場からの事項がある)。田嶋町長は決議した内容に加えて串本太地道路の用地買収などを急ピッチで進めている旨も付して求めたという。
丹羽局長からは「紀勢線につきましては、皆さまの期待に添えるよう事業を進めていきたい」「5か年だけでは強靱化は済みませんので、さらに5年、10年と進むよう頑張っていきたい。支援いただければと思う」などの応答を得たという。
(2022年8月30日付紙面より)
南大居・大野保が交通安全教室 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立南大居保育所(永野陽美所長)で26日、大野保育所と合同の交通安全教室が開かれた。和歌山県警察本部交通部交通企画課安全教育係(通称・ひまわり)が劇で交通ルールを伝え、3~5歳児11人が楽しく学んだ。
園児たちは、交通ルールを守らず、いたずらをしてサルの城に捕まってしまった「しんちゃん」を助けるため、ニャン太郎や警察官と一緒に南の島へ出発。信号機や交通標識の意味、ヘルメットやチャイルドシートの大切さを学習し「飛び出しはしません!」と約束した。
「右見てよし、左見てよし、もう一度右見て渡りましょう♪」の歌詞に合わせて横断歩道を渡る練習もしていた。
同町を含む新宮市・東牟婁郡の公立小・中学校は、9月1日(木)から新学期がスタートする。交通事故を防ぐため、登下校の時間帯にはドライバーも十分注意が必要だ。
(2022年8月30日付紙面より)
那智勝浦町在住で和歌山大学客員教授(災害科学・レジリエンス共創センター)、南紀熊野ジオパーク推進協議会学術専門委員を務める後誠介さんが30日付で「紀伊半島大荒れ 大地の成り立ちからみた豪雨災害」(はる書房)を出版する。前作「熊野謎解きめぐり 大地がつくりだした聖地」の姉妹本の位置付けとなる今作について後さんは「前作では大地の成り立ちによってできた熊野の景観や霊場の魅力を伝えた。今回、大地には災害という自然の脅威があることをつづっている。前作が表、今回が裏になる」と話している。
本作は紀伊半島を襲った過去の大水害に着目し、自然災害が大きな災害へとなる仕組みなどを詳細に解説し、後さんが各地で実施した防災講演の内容を基に書き改めたものだ。また、カバー絵に使用している「新宮川水系図」は後さんが自身で手がけている。
これまで後さんが本紙で発表した記事や論文を用いたコラムも掲載されている。写真は自身が撮影したものに加え、那智谷大水害遺族会や本紙が提供している。
本はA5判並製の120㌻カラー(ISBN978―4―89984―202―6)。税込み1430円。3章立てで、「伝えたい災害の記憶」「ちょっとひと休み」「これも知っておこう」などのコラムも掲載。「でき方の違う大地は壊れ方が違う」という点に着眼し、大地の成り立ちから豪雨災害を考える内容となっている。
「平成の大水害は地形図と地質図がそろっており、大地の成り立ちという視点から豪雨災害を考えることができた」と後さん。
第1章「あっという間に避難できなくなる……」では平成の紀伊半島大水害において、事態急変の原因やその根底に迫り、被災者の体験談や土砂災害からの避難情報を課題として取り上げている。
第2章「土砂災害を引き起こしたカギは?」は多発した大規模崩壊と土石流の特徴や紀伊半島の大地の成り立ちをひもとく。「大規模崩壊が北向き斜面で多発」「大きな岩塊を伴う土石流は南向き斜面で多発」「雨量が多かった北山川の上・中流域では崩壊の規模・頻度が低かった」など、紀伊半島大水害の「3つの不思議」を解説。
第3章「避難のタイミング」では、明治、昭和、平成に繰り返し紀伊半島大水害が発生している点に触れるとともに、「土壌雨量指数」が370~480で岩塊を含む土石流や大規模崩壊が発生していることなどを分かりやすく記した。
前作に引き続き、同町在住の新聞記者・須川達也さんが本の構成についての提案や助言を行い、新宮市在住のアーティスト・平野薫禮(ぐれ)さんがキャラクターやイラストを描いている。
後さんは「地質学は歴史科学。新たな視点を加えて、合理的根拠の下に本を執筆した。市町村や学校の職員の皆さま、防災や自然保護に取り組む方々に読んでいただけると幸いです」と語った。
本は和歌山県内や三重県では販売されており、東京や大阪などの全国書店は30日(火)から販売される。通販サイトのアマゾンでは現在、予約を受け付けている。
熊野新聞社新宮本社でも若干数販売している(税込1430円)。直接引き渡し。現金のみ。なくなり次第終了。
(2022年8月25日付紙面より)
観光クルーズの模索進む (串本町 )
海上からのロケット「カイロス」打ち上げ見学を見据えた観光クルーズ事業化の模索が串本町内で進んでいる。その当事者による試乗会が21日にあり、想定航路一帯に理解のある関係者に乗船と事業化に向けた意見の協力を求めるなどした。
このクルーズは昨年9月、必要性を見越した南紀串本観光協会が前述した見学にも対応できる内容を組んで試行。後にその形を収益事業化して町を盛り上げたいと考え旅行業務取扱管理者資格を取得した令和トラベル(岡本将和代表)と漁船「光芽那丸」(瓜田有冶船長)が名乗りを上げ、同協会はその支援協力をする立場に回って実現を目指している。
現在はクルーズの催行に必要な条件が整った段階で、内容の立案~商品化が目下の課題。今回の試乗会は巡航先にある各地域資源への理解がある関係者から事業化に向けた意見をもらって内容を磨く趣旨で計画し、同協会の仲介で東牟婁振興局や南紀熊野ジオパークセンター、役場産業課や企画課の各職員が協力した。
当日は和歌山東漁業協同組合の協力で乗降しやすい同組合串本本所の浮桟橋を発着場所とし、橋杭岩~紀伊大島金山下の海食洞~箱島付近〈ロケット「カイロス」打ち上げ見学海域〉~くしもと大橋一帯を巡る約1時間の内容で実施。ガイドも同乗する予定だったが都合がかみ合わず中止となり、瓜田船長は想定時間に沿って船を進めることに専念し、同協会の宇井晋介事務局長と岡本代表が各巡航先で関係者の意見を聞く形で成果を目指した。
同日現在、催行開始のめどは未定。12月のロケット「カイロス」打ち上げ開始が濃厚視される状況にあり、間に合わせる形で事業としての実動を目指したいとしている。
主導する岡本代表は「浮桟橋を使わせてくれる和歌山東漁協の組合員優先で利潤が回る体制にしたい」として引き続き従事する漁船の裾野を広げたい考え。さらに収益事業としての安定を図るため、打ち上げ見学以外の内容も複数考えて利用頻度を高めることも今後に見据えて臨んでいる。
(2022年8月25日付紙面より)
「広報きほう」が200号迎える (紀宝町 )
紀宝町が毎月1回発刊する広報紙「広報きほう」が9月号で200号を迎えた。企画調整課の2人が担っており、大森菜央さんは「担当して1年4カ月になります。今回、200号を迎える上で歴代担当者や町民の皆さんに話を聞いて、その思いも実感できた。皆さんの思いを受け継いで、これからも親しまれる紙面をつくっていきたい」、愛野裕基さんは「内閣総理大臣賞受賞後に担当が決まり、プレッシャーしかなかったが、一生懸命取り組んできた。今後も大森さんをサポートしていきたい」と話す。
広報きほうは、当時の鵜殿村と紀宝町が合併した2006年1月の翌月から発行。これまで県広報コンクールで幾度も特選に輝き、全国コンクールで最高賞の内閣総理大臣賞を受賞するなど数々の賞に輝いてきた。
毎年12月号で特集を組んでおり、2019年度の「LGBT」、20年度の「老いじたく」が2年連続で総務大臣賞を受賞した。
記念すべき200号では、見開き2㌻で歴代担当者や町民へのインタビュー、配布されるまでの流れなどを掲載した。
16年にわたり町の情報を発信し続け、発刊100号の際、広報きほうの永遠のテーマは「笑顔」と紹介した。現在担当する2人は「これからも楽しく、伝わりやすい広報を目指していきたい」と口をそろえた。
(2022年8月25日付紙面より)
中央児で夏休み工作 (新宮市 )
新宮市野田の中央児童館で22、23の両日、夏休み工作「牛乳パックランタンを作ろう」があった。同館に登録している小学1~4年生19人が手作りのランタンを作った。
子どもたちは職員から使用する材料の紹介や作り方、注意事項の説明を受けた後、作業を開始。1日目は三つ折りにした障子紙をコップに入った絵の具に数回浸して色染めに取り組み、破らないよう丁寧に広げて乾燥させた。
2日目には前日に乾かした紙を小さくならないようにはさみで四角形に切り、のりを塗った牛乳パックに貼り付けていった。最後はリボンと革ひもの中から好みの物を選び、パックの上部に取り付けて思い思いの作品を完成させた。
山本梛温(なの)さん(7)は「剝がれてこないように障子紙を貼る作業が少し難しかったけど楽しかった。初めて作ったわりにはうまくいったので出来は90点。家に持ち帰って飾りたい」と話していた。
(2022年8月25日付紙面より)
ジュントスメンバーが農業体験 (那智勝浦町 )
「けん玉で養えるコンセントレーション(集中力)、コンフィデンス(自信)、コントロール(調整力)は農業にとっても、サッカーにとっても重要。どれが欠けてもいけない」―。
そう話すのは新宮市在住で太地町立子育て支援室・子どもの居場所づくり指導員の村上和弥さんだ。17日、那智勝浦町長井にある村上さん宅の13㌃の田んぼにおいて、新宮・東牟婁地方を拠点に活動する中学生クラブチーム「JUNTOS(ジュントス)フットボールクラブ」の2年生14人が協力して稲刈りなどに取り組み、農業体験に汗を流した。
同クラブ代表の⻆利則さんが生徒に農業体験をさせたいと考え、古くからの知人である村上さんに協力を求めて実施に至ったという。
生徒は三つのグループに分かれ、コンバインによる稲刈り、収穫した米の運搬、機械を用いた草刈りを順番に体験した。
村上さんから操縦や農業についての説明を受けながら、コンバインに乗車した生徒らは、たくましく実った稲穂を刈り取っていった。
速水陸さん(那智中)は「楽しかった。知らないことも多くあり、作業も想像以上に大変だった。チームではディフェンダーを務めている。今年は失点しないように努力したい」。
⻆さんは「体を成長させる上では食事は重要。米がどのような思いで作られているのかを知り、感謝の気持ちを学んでほしい。次は田植えも考えています」と話した。
昨年、太地学童保育所の子どもたちを招いて麦踏み体験を行い「種をまいて、収穫するまでの期間やそこに喜びがあることを理解する『長いものさし』を持ってほしい」と訴えた村上さん。
稲刈りについては「百の職業ができるから百姓だと説明した。努力や苦労してできたものを食べることは当然だが、工程を知って、多くを学んでもらうことこそ大切なのでは」と語った。
収穫した米は精米後、お土産として生徒らに贈られた。
(2022年8月24日付紙面より)
新宮市王子町の市立総合体育館で20、21日の2日間にわたり、剣道交流会が開かれた。新宮剣友会をはじめとする地元と海南市、紀の川市の少年少女剣士ら総勢33人が参加。剣道を通して交流を図り、技術の研さんに励んだ。
交流会に参加したのは▽新宮剣友会▽串本少年剣道クラブ▽正平館(三重県)▽巽剣道教室(海南市)▽貴志川剣道クラブ(紀の川市)―の5団体。県内に5人しかいない八段取得者である新宮剣友会の宮戸伸之会長の指導を得られる好機会を捉え、かねて親交のあった巽剣道教室、貴志川剣道クラブの参加を経て交流会の実施に至った。市外の剣道団体と地元剣道団体が合同練習や交流試合を行うことで技術向上や青少年の健全育成につなげる目的もある。
開催に当たり、応援に駆け付けた田岡実千年市長が、市を代表して歓迎のあいさつ。「剣道に打ち込めているのは監督や指導者、保護者の皆さんのおかげであることを忘れず、感謝の気持ちをもって精いっぱい取り組んで」と激励した。剣士らはお互いの距離を取るなど新型コロナウイルス感染予防対策を講じながら準備体操。素振りでは宮戸会長から「1本1本大切に」「どこですり足するか考えて」などと指導を受けた。
巽剣道教室の谷岡慎吾代表は現役警察官。今年3月に県警を退職した宮戸会長から警察官として指導を受けた縁もあり、教室挙げて交流会に参加した。「八段取得者から指導を受ける貴重な機会。子どもたちも楽しみにしています」と笑顔。
宮戸会長は「当地方の子どもたちはこれまでは出向くことが多かったが、地元で交流会ができて気持ちも違うと思う。剣道には『交剣知愛』、剣を交えて愛(お)しむを知るという言葉がある。これからもこういった交流を続けていきたい」と話していた。
(2022年8月24日付紙面より)
宇宙・ロケット・人工衛星教室 (雑賀技術研究所 )
雑賀技術研究所=和歌山市=の主催事業「サイカ/宇宙・ロケット・人工衛星教室」の第1回が21、22日に串本町内であり、受講登録する中学生~高校生37人が自身のスキルアップを意識して取り組んだ。
この教室は、一人でも多くの若者にロケット「カイロス」打ち上げの瞬間を間近で体験できるよう、初号機打ち上げ時の公式見学場のボランティアスタッフとして関わる(県との調整で決定済み)ことを前提にし指導のノウハウを持つ県宇宙教育研究会の共催を得て計画。計3回の集合活動とその間のオンライン交流により、来たる宇宙時代に自分はこれから何をするべきか考える機会とすることを目指して進めるとしている。
参加している中学生や高校生は応募時に動機と今後の目標をアンケート聴取しその内容で選抜されたメンバーで、登録数は39人。中学1年生から高校3年生まで、県内外から参加する状況となっている。
メンバーとはすでにオンライン活動を始めているが、集合活動は今回が初。打ち上げの現地・串本町を会場とし、南紀熊野ジオパークセンターで地理的特色を学んだ後、2024年度に普通科宇宙探究コース開設予定の県立串本古座高校へ移動して開講式に臨んだ。
県宇宙教育研究会の木皮享顧問と同校の榎本貴英校長がこの教室で目指すことの達成を期待してあいさつを述べ、同研究所の中西豊理事が第1回の活動内容と目的を説明。榎本校長が5月11日に校内実施した宇宙講座の内容解説を含めて学校の紹介をするなどした。
以降は教室名に掲げた宇宙・ロケット・人工衛星やコミュニケーションの大切さなどを学ぶセミナー(初日)やモデルロケット〈アルファⅢ〉の打ち上げ資格取得を見据えた講習・制作・打ち上げ体験(2日目)を実施。初日は同研究会の戸川定昭副会長、会員の成戸秀和さんや太田昇さん、藤木郁久事務局長、2日目は藤木事務局長が講師を務め、県立桐蔭高校科学部員やそのOB5人もサポートする中でメンバーは内容の習熟に励んだ。
町内から参加した松原咲奏さん(中学1年)は「すでに知っていた内容もあったけれど新しい内容もあって深く学べたし、話の中にあったNASA(アメリカの航空宇宙局)も見学してみたいなと思った。ボランティアをするときは串本の魅力も伝え、質問を受けたらしっかりと答えていきたい」とコメント。
教室を主導する中西理事によると、第2回は初号機打ち上げ前日と当日の2日間で組み、前日にボランティアセミナー、当日に公式見学場での実奉仕に臨む。その間はオンラインのつながりを生かして適時追加の勉強会も織り交ぜる予定。第3回は来年1月15日(日)に和歌山市内で開き、成果発表や修了証の交付、記念行事(宇宙飛行士・山崎直子さんのビデオレターやスペースワン株式会社・遠藤守最高顧問の講演を予定)を経て締めくくるという。
(2022年8月24日付紙面より)
「仲間と笑顔で地域づくり」 (おひまち会 )
御浜町の山間部にある尾呂志地域の女性グループ「おひまち会」(畑タミ代会長)のスイーツが人気だ。尾呂志産の農産物を生かした菓子作りで「仲間と共に笑顔で楽しむ地域づくり」に貢献したいと考えている。
尾呂志は明治時代にあった村名で、上野や阪本、栗須など7地区を合わせて今もそう呼ばれる。元々、住民主体の活動が盛んな地域で、町が1999年に設置した「農産物直売所さぎりの里」には多くの農家が出品し、地元の人や観光客でにぎわいを見せている。
会は、阪本地区で正月に作られる「三杯(さんばい)」など郷土料理を保存していこうと2017年4月に設立され、講習会などを通して作り方や味を受け継いできた。今は60~70代の女性7人が中心となり、尾呂志で取れた米や野菜を使った菓子作りに力を入れている。
季節に合わせてさまざまな菓子を提案しており、紅茶の原種として明治から栽培されている特産「アッサム茶」のゼリーや、米粉のレモンケーキ、クッキーは年間を通して作っている。昨年からは地元の高齢者の声に応え、10~2月限定で週2回の弁当販売も始めた。
尾呂志では昔、農作業を休む日のことを「おひまち」と呼び、毎月1日と15日には当番の人が丘の上から知らせたという。おひまちが意味するように菓子は毎週日曜だけ、さぎりの里に出品している。会員の板津呂良子さんと山田優子さんは「今はコロナ禍で活動が制限されるが、試作を繰り返して新しいお菓子にも挑戦していきたい。地域を元気にできれば」と話していた。
(2022年8月24日付紙面より)
全国道場少年剣道大会
日本少年野球紀州興紀大会
新宮サマーサッカーフェスティバル
那智勝浦町と覚書を交わす (新宮警察署 )
新宮警察署(田原正士署長)と那智勝浦町(堀順一郎町長)は5日、同町天満の消防・防災センターで「災害時における警察車両等への燃料の供給に関する覚書」に伴う調印式を行った。災害発生時、警察車両への給油が不可能な際に、消防・防災センターに保有する燃料を供給するもので、新宮署から呼びかけた。過去には新宮市や串本町とも調印しており、管内では3例目。
近年、豪雨災害が激甚化・頻発化し、全国各地で甚大な被害をもたらしているほか、高い確率で発生が予測される南海トラフ巨大地震を受け、防災体制強化の一環として締結した。
災害時、町が管理する燃料を警備活動に務める警察車両に給油することで、町民の安心安全につなげることが目的だ。
同町では南海トラフ巨大地震発生時、津波の第1波到達が約3分、最大17㍍と想定されている。今年4月に竣工(しゅんこう)した消防・防災センターは、海抜27㍍の高台に位置し、有事の際は対策本部として町防災の要となる施設。
完備した自家給油取扱所にはガソリンを最大6000㍑、軽油を4000㍑保有できるとしている。
調印式を終え、堀町長は「これまでの消防署は浸水域であり、燃料の備蓄を行える設備がなかった。新設することで、給油設備もでき、防災・減災対策や町民の安心安全につながった。有事の際は警察車両に給油を行うことで、さまざまな警察活動を行っていただけることから、町の防災力が向上した」。
田原署長は「災害はいつ、どのような形で発生するか分からない。発生時は、給油のために移動することで現場への到着が遅れることも懸念される。今回の調印によって、素早く警察力が発揮できるのでありがたい」と語った。
(2022年8月6日付紙面より)
南紀熊野ジオパーク探偵団
「南紀熊野ジオパーク探偵団」(東垣(あずま・わたる)団長=南紀熊野ジオパークセンター長)の活動が、本年度もスタートした。8日にはオンラインで事前学習会が開かれ、新宮市の県立新宮高校、新翔高校を含む県内5高校、1中学校の有志生徒らが参加した。
地元の自然や地球環境に関心を持つ中高生が、南紀熊野ジオパークをフィールドに探求活動を行い、地元の課題解決のために自律的に思考し、世界に情報発信していくことを目指す取り組み。昨年度スタートした。
本年度の研究テーマは「海洋環境を考える」。東団長は「think locally, act globally(地域で考え、地球規模で行動)」という探偵団のモットーを述べ「青い海をどう守るのか、皆さんには科学的に問題に取り組み、学んだことを日本地球惑星科学連合大会などの学術大会で発信してほしい。最終的には、会社や企業と連携し、プラスチック循環社会に向けたイノベーションにつなげていくことができれば」と今後の展望を語った。
和歌山大学教育学部の岡崎裕教授は、持続可能な開発目標(SDGs)の観点からみた探偵団活動の意義を説明。
京都大学学際融合教育研究推進センターの島村道代・特定准教授は、海ごみ問題の特徴を▽グローバルな問題(人類共通課題)▽地域の問題(ごみは現場に落ちている)▽日常生活に密接に関係した問題(普段使っている物が海を汚す)―の三つと説明。過去15年で海ごみに占めるプラスチック製品の割合が増えていることを述べ「物理・化学といった理系のアプローチだけでなく、法整備やごみ処理の仕組みづくりなどの文系の解決方法を探っていく必要もある。皆で協力して問題について考えていきたい」と呼びかけた。
生徒たちは今後、専門家らのサポートを受けながら、新宮市の三輪崎海岸と白浜町の志原海岸で漂着ごみの調査を行い、比較・分析を通じて特徴や原因を探っていく予定だ。
(2022年8月6日付紙面より)
給食米支える生産者組合 (串本町 )
串本町の学校給食米納入を担う地産地消生産者組合(山下敏文組合長)が4日、稲刈りの作業に取りかかった。
同町は学校給食における地産地消の推進と休耕田の解消を目的として2009年度に学校給食米の制度を導入。その納入者として発足したのが同組合で、休耕田を借りて再興し町指定品種・コシヒカリを栽培している。16年度には学校給食センターが本格稼働し、全町規模(古座川町立古座中学校分も含む)での学校給食がスタート。呼応して同組合も会員増強と作付面積の拡大に努め、現在は21人で27㌶を作付し白米換算で年間14~15㌧規模の需要を支えているという。
この日稲刈りに取りかかったのは坂本渡副組合長。二色地内で4月9日に田植えした苗が収穫適期に差し掛かったため、愛用のコンバインで刈り進めた。
今年は梅雨明けが早かった分好天に恵まれ、組合内では「塩害を受けた」という話もあるがこの場所は心配した台風接近の影響もほぼ無く作柄は上々。育ちも良く例年より1週間ほど早く取りかかることができ、「好天が続けば盆前には(組合からの預かり分の)収穫を終えられそう。じかに見えなくても子どもたちが喜ぶ顔は目に浮かぶ。それを励みにして暑い中だが収穫に頑張りたい」と意気込んでいる。
山下組合長によると今年も14㌧を目安にして納入を目指すそう。新型コロナウイルスの情勢に伴い昨年納入分が若干余っているため、子どもたちが新米を味わえるのは余った分を使い切る9月半ば以降になる予定。今年は組合員間で田植えをした時期にばらつきがあり、組合全体としての収穫作業は9月いっぱいまでかかる見込みだという。
(2022年8月6日付紙面より)
「スペシャルおはなし会」満喫 (新宮市 )
新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」内の市立図書館は4日、同施設1階の大階段で「スペシャルおはなし会」を開催した。午前と午後の2回に分けて実施され、幼稚園から小学6年生までの子どもらと兄弟、保護者ら約30人が参加。ボランティアグループ「ブック・ブック」(濱野小夜子代表)メンバーが読み聞かせを担当し、子どもたちは絵本の世界を満喫した。
図書館内の「おはなしのへや」で定期的に開催される催し。今回は「スペシャル」と銘打ち、3密回避なども目的として小規模な多目的イベント空間として利用可能な「大階段」に場所を移した。「大階段」でのおはなし会の開催は初で、集客を伴う同所でのイベント開催も初めてという。
この日、「ブック・ブック」のメンバーらは▽あんぱんまん▽地震がおきたら▽にゃーご▽花さき山―の大型絵本を読み聞かせ。子どもたちは真剣な表情で絵本に見入り、終了後には拍手を送っていた。
パネルシアター「とんでったバナナ」では、メンバーらが同タイトルの童謡を歌いながら歌詞に合わせてパネル上で物語を展開。子どもらはメンバーと一緒に、元気に童謡を口ずさむなどした。
午前の部に参加した園山将臣君(7)は「(『とんでったバナナ』の小道具など)どうやって作ったのか気になる。作ってみたい。歌も歌えて楽しかったです」と笑顔。母親のまどかさんは「おはなし会には初めて参加しました。喜んでくれて良かった」と話していた。
(2022年8月6日付紙面より)
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