大洋捕鯨の第三文丸 (太地町 )
「昭和弐拾五年 大洋捕鯨 南氷洋ニ決死ノ出漁記念 第三文丸 上家幸男」と記された額の中には氷が浮かぶ海とクジラが描かれており、捕鯨船の模型が一体となっている。捕鯨の歴史を回顧できる「模型絵図」を所有するのは太地町森浦にある㈲紀南水産代表取締役の漁野親行さん。漁野さんは「懐かしい。久しぶりに見たが、細かく作られていて立派」と笑顔で話した。
この模型絵図の元の所有者は漁野さんのおじで、大洋捕鯨株式会社(現・マルハニチロ)が操業していた第三文丸で機関長を務めていた故・上家幸男さんだ。
この模型絵図がいつ作られ、どのような形で幸男さんの手に渡ったかは不明で、親族でさえも当時の詳細を知る人はいないという。
漁野さんによると、模型絵図は幸男さんの父、故・金一さんが同町で経営していた理容店に飾っていたもので、金一さんの死後は自宅で保管されていた。そして先日、模型絵図を見つけた幸男さんの息子がいとこである漁野さんに譲渡した。
模型が理容店に飾られていたことなどを記憶しているという同社工場長の松岡妙子さんは「初めて見ると集中して見てしまうのでは。ぜひ、お買い物やお立ち寄りいただいた際は模型を見ていただけたら」。
また、保護の観点から模型絵図を覆う額を同町で工務店を営む坂下行平さんが好意で作成した。
漁野さんは「友人が額を作ってくれた。さらには店に飾れるようにしてくれるのでありがたい」と感謝。
模型絵図については「おじさんは40年ほど南極海で船に乗っていたのでその記念にもらったものだと思う。精巧に作られているので当時の情景が浮かんでくるよう」と語った。
(2021年3月30日付紙面より)
1回無失点で初ホールド
新宮市出身でプロ野球広島の新人、森浦大輔投手(22)が27日、マツダスタジアム(広島市)で行われた開幕2戦目の対中日2回戦でプロ初登板を果たし、1回無失点に抑えた。試合は広島が4―1で勝利し、初のホールドも記録した。
森浦は最速148㌔のストレートとスライダー、チェンジアップ、カーブが武器の左腕。天理大からドラフト2位で入団し、キャンプ中から実戦6試合連続無失点の成績を収めて開幕1軍をつかみ取った。
試合では、広島が3点リードの七回表に2番手として登板し、公式戦初球はストレートで勝負した。スライダー、カーブも織り交ぜながら打者6人と対戦し、先頭の5番・平田を右飛、6番・京田を投ゴロで抑えた後、3四死球を与えて2死満塁のピンチを迎えたが、1番・大島をストレートで二ゴロに打ち取り、無失点で切り抜けた。
この日、森浦は最速144㌔をマーク。ホールドも記録し、チームの勝利に貢献した。共同通信によると「何とか踏ん張れてよかった」とコメントした。
初登板をテレビで観戦した父の孝二さん(52)は「いつものように丁寧に投げてほしいと思っていた。マウンドで緊張しているように見えましたが、広島ファンの皆さんの応援がうれしかった。三つ目のアウトを取ったときはうれしくて、ほっとしました」と笑顔を見せた。
報告を受けた田岡実千年市長は「早くも開幕2試合目の登板に驚きました。大変な緊張だったでしょうが、大きな自信になったと思います。これからは広島カープの試合から目が離せません」。
伯父の孝征さん(55)は「ピンチの場面でも、しっかり抑えたことに『よく頑張った!』と言いたい。映像で目にしたベンチに戻ったときの安心した表情が印象的でした。この日はプロとしての第一歩。けがをしないように気を配り、息の長い選手に成長してほしい」と目を細めていた。
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森浦は翌28日の対中日3回戦(マツダスタジアム)でも登板し、1回無失点で2試合連続のホールドを挙げた。
七回表、0―0の緊迫した場面で森浦が2番手としてマウンドに上がった。先頭の6番・京田に初めて安打を許すと、7番・木下拓の犠打で1死二塁に。8番・根尾から初の三振を奪った。9番の代打・福留には暴投と四球で2死一、三塁とピンチを広げたが、1番・大島を一ゴロに打ち取って無失点に抑えた。
この日の森浦は1回20球を投げて被安打1、奪三振1、与四球1、失点0だった。
試合は0―0で九回規定により引き分けとなった。
(2021年3月30日付紙面より)
規模縮小し稲荷社大祭 (那智勝浦町 )
天満稲荷講(久司博嗣講長)は28日、那智勝浦町天満の圓心寺(大橋正道住職)境内にある若宮稲荷大明神で春季大祭を営んだ。今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から規模を縮小して式典のみを執り行った。
祭りは例年餅まきが盛大に行われ、多くの住民でにぎわっている。今年は役員や関係者11人が参列し、はじめに金比羅大権現と秋葉山大権現で参拝した。
その後、一同は裏山にある若宮稲荷大明神に手を合わせてコロナ終息や区民の健康家内安全、商売繁盛を祈った。
久司講長は「厄払いや家内安全はもちろんだが、今は多くの方々がコロナで困っている。第4波が来ないことや、早期の終息、元の生活に戻れることを一生懸命祈願しました」と語った。
(2021年3月30日付紙面より)
熊野川第2・3分団に新車両配備 (新宮市 )
新宮市消防本部で28日、消防団消防ポンプ自動車と小型ポンプ積載車の引渡式があった。ポンプ自動車は熊野川第3分団(音川消防コミュニティーセンター)に、小型ポンプ積載車は熊野川第2分団(小口消防コミュニティーセンター)に配備される。
新車両の導入は老朽化に伴う更新整備で、整備事業費は2台合わせて2450万円。前回の整備以降、小口ポンプ車は22年、音川ポンプ車は19年が経過していた。
第2分団に配備された車両は、軽自動車でありながら、水利部署から消火活動に必要な資機材を全て積載。コンパクトなサイズを生かし、狭い道路や消火栓の乏しい地区で迅速な消火活動を実施することができる。小型ポンプは毎分約500㍑の放水性能を有している。
第3分団の消防ポンプ自動車には「e―モニタ」を搭載し、危険なポンプの操作に対応した安全機能が充実。自動化を取り入れることにより機関員の負担を軽減。簡単で安全・確実・迅速な操作が可能となっている。後方確認用バックモニター、ドライブレコーダーも配備されている。
引渡式では、越水薫消防長が「今後も訓練に励んでいただき、消防職・団員一丸となって地域住民の安心と安全を守るためによろしくお願いします」と協力を呼び掛けた。
竹内由定消防団長は「いざ火災が発生したときには、車を有効に活用いただき早期の火災鎮圧・鎮火に努め、熊野川地域の住民の安心と安全に寄与していただきたい」とあいさつ。各分団長にレプリカキーを渡した。
第2分団の佐野健一分団長は「狭い所や谷沿い、山の中でも機敏に動ける。有効的に使える」。第3分団の中瀨好分団長は「気持ち新たにさまざまな災害に対応できるように頑張りたい」と話していた。
熊野川町では昨年1件の建物火災が発生した。
(2021年3月30日付紙面より)
紀南十高校春季野球リーグ戦
新宮弓友会主催の月例射会
山本君、吾妻君が関西支部対抗戦出場 (和歌山南紀ボーイズ )
水害耐えたソメイヨシノ (新宮市熊野川町 )
熊野地方を中心に甚大な被害を及ぼした「紀伊半島大水害」から今年で10年。傷つきながらも当時の水害に耐えた熊野川町相須のソメイヨシノが、今春も花の盛りを迎えている。木を植えた平岩明さん(83)は「毎年、この桜を見るのが楽しみ」と妻・アツ子さん(74)、愛犬・元気君と共に花を見つめ、目を細める。
2011年8月25日、マリアナ諸島の西の海上で発生した大型の台風12号は、紀伊半島を中心に記録的な豪雨を降らせた。熊野川の氾濫で多くの家屋が浸水。幹線道路が寸断され、山間部で土砂災害が発生した。
平岩さんが50年ほど前に植えた桜も濁流にのみ込まれた。アツ子さんが「かわいそうに」とこぼすように、幹には濁流によって付いた痛々しい傷が残っている。「ここに丸太が引っ掛かっていたんですよ」。アツ子さんは傷跡を指で示す。
水害で地区はほとんどの家が浸水。平岩さんの家も同様に被害に遭った。裏手から山へと逃げ、以降8カ月にわたり仮設住宅での生活を余儀なくされた。アツ子さんは「同町日足の仮設住宅では優しい人ばかりで、とても心強かった」と回顧する。現在は取り壊した自宅跡地をかさ上げし、新しい家を建てて暮らしている。
「今年も見事に咲いてくれた」と桜を見上げながら明さんはつぶやく。水害を生き抜いた桜を、明さんは「平岩桜」と命名した。「水害から10年。長く生かせてもらった。花が咲くと元気をもらえる。今年は特に見事。家の2階からの眺めが最高ですよ」と笑顔で話した。
(2021年3月28日付紙面より)
文化複合施設「丹鶴ホール」 (新宮市 )
新宮市は、今年完成予定の市文化複合施設「丹鶴ホール」の施設開館に向けて機運を高めようと、市庁舎に懸垂幕、市庁舎周辺と市内商店街にのぼり旗を設置した=写真。
のぼり旗は市内中学校の美術部の生徒がデザイン協力。21種類63本を制作した。駅前本通り・丹鶴・仲之町の各商店街に掲揚されており、継続して施設完成に向けて市民の関心を促すPR役の一助を担っていく。
担当課では「各商店街でお買い物の際には、ぜひご覧いただければ」と話している。
(2021年3月28日付紙面より)
モニターツアーに24人 (新宮市 )
新宮市は23日、市内各所で日帰りモニターツアー「新宮の世界遺産体験コース」を実施した。24人の市民が参加。熊野古道ウオークや川舟下り、町歩きなどを通して地元に対する関心を高める機会とした。
世界遺産や新宮城跡など、市内の観光素材の魅力を再発見してもらおうと企画。20日は東牟婁郡内在住者を対象に「新宮の世界遺産3社巡りと新宮城跡散策コース」を催し、参加者らは熊野速玉大社や新宮城跡、徐福公園などを散策し知見を広めた。
市民限定で実施された23日のツアーでは、参加者は貸切バスで小和瀬へ。市観光協会登録ガイドの案内で熊野古道・大雲取越を歩き、円座石(わろうだいし)などを見学。熊野川温泉さつきで昼食を取った。
熊野川町からは、世界で唯一「川の参詣道」として世界遺産に登録されている熊野川を川舟下りで移動。市街地に下った一行はその後熊野速玉大社や周辺を散策し、体験を通じてまちの魅力を肌で感じていた。
初めて川舟下りに乗船したと話す三﨑幸子さん(70)は「御船島を近くで見ることができた。案内のおかげもあり新しい発見でいっぱい。とてもいい体験だった」と笑顔。
「新宮市には素晴らしい所がたくさんあると改めて感じた。新型コロナが落ち着いたらもっとアピールして観光に力を入れてほしい」と話していた。
(2021年3月28日付紙面より)
井筒建設が車椅子など寄贈 (さんぎんSDGs私募債 )
那智勝浦町勝浦の井筒建設株式会社(井筒千津留代表取締役)は26日、第三銀行のSDGs(持続可能な開発目標)私募債を利用して、町立温泉病院(山本康久院長)に車椅子2台と歩行車3台を寄贈した。同日、同町役場で寄贈式が開かれた。
SDGs私募債は、社会貢献活動の一環として実施。同行が私募債を発行する企業から受け取った手数料の一部(発行額の0・20%)を企業が指定する学校や福祉施設などに寄贈している。
2017年からCSR私募債を開始し、19年より内容を一部変更してSDGs私募債の取り扱いを始めた。同銀行では通算77件、約1200万円の寄贈を行っているという。
井筒建設はこれまでにも同町市野々の「那智川平野川他流域整備工事」を実施する際に近隣住民や熊野古道を訪れる観光客のために誰もが利用できるトイレと休憩所を設置し、社会貢献活動に努めている。
また、以前にも町教育委員会に書籍を寄贈しており、私募債発行は2回目。今回、病院側の希望からレッグサポート付き車椅子と歩行車の寄贈に至った。
井筒代表取締役は「創業以来、地域の皆さまや多くの方々に支えられてきた。第三銀行さまにお声掛けをいただき、温泉病院さまに車椅子と歩行車を寄贈させていただいた。町のお役に立つことができれば幸いです。これからも地域の活性化や社会貢献に取り組んでいきたい」と思いを語った。
この日、同銀行勝浦支店の小林秀行支店長やソリューション営業部営業課の大矢雄一課長代理と共に来庁した山川憲一・取締役兼常務執行役員は「井筒建設さまは地域貢献意欲の高い事業者。ご意向を受け、連名で温泉病院さまに車椅子や歩行車を寄贈させていただいた。ご活用いただければ幸いです」と話した。
堀順一郎町長は「寄贈いただきありがたい。有効に活用させていただきます」。
山本院長は「ご寄付いただいた品々は本当にありがたい。地域密着型で高齢化社会に優しい心に寄り添う病院を目指して頑張っていく」と感謝を述べた。
(2021年3月28日付紙面より)
紀南十高校春季野球リーグ戦
熊野三山で慰霊や復興祈願 (東日本大震災から10年 )
未曽有の大災害を忘れない―。2011(平成23)年3月11日午後2時46分ごろ、宮城県牡鹿半島の東南東沖で発生した「東日本大震災」から10年の節目となる11日、被災者を追悼し被災地の復興を祈る式典が全国各所で営まれた。熊野速玉大社、熊野那智大社、熊野本宮大社の三山でも慰霊祭や復興祈願祭を斎行。犠牲者の鎮魂とさらなる復興進展を祈念し玉串がささげられた。
日本国内最大規模、アメリカ地質調査所(USGS)によれば、1900年以降、世界でも4番目の規模となった同大震災。マグニチュードは9・0で、宮城県北部の栗原市で最大震度7が観測されたほか、宮城県、福島県、茨城県、栃木県などで震度6強を観測した。
岩手、宮城、福島県など太平洋沿岸部を未曽有の大津波が襲い、地震に伴う福島第一原子力発電所事故の影響もあり多くの人が避難所生活を余儀なくされた。死者は1万9000人(災害関連死含む)を超え、現在も2500人以上が行方不明となっている。首都圏では交通機関が不便となり大量の帰宅困難者が発生した。
熊野速玉大社では、神職らによる「東日本大震災復興慰霊祭」がしめやかに営まれた。上野宮司の祝詞奏上に続いて、巫女(みこ)が「浦安の舞」を奉納。神前に玉串を供え、10年の節目に思いをはせた。
神事を終え、上野宮司は震災発生当時、羽田空港にいた自身の体験を振り返り「インフラの整備は進んでいるが、大切な人を失ったという心は、何年たっても復興されることはない。これからも心の復興に重きを置いて祈りを込めていきたい」。
それから半年後、紀伊半島大水害によって自分たちが被災するとは想像もしていなかったと回顧し「自然は時として大きな試練を与える。しかし、戦争や犯罪など人の手による罪や悲しみははらい清めていかなければ」と、時折声を詰まらせながらそう語った。
(2021年3月12日付紙面より)
鉄道ファンの畑上耕三さん (串本町 )
串本町西向在住の、70年来の鉄道ファン・畑上耕三さん(78)がこのほどJRきのくに線普通列車に感謝する横断幕を掲げ、日々通過を見送っている。
ターコイズブルーの色彩が印象的なこの列車は105系車両で編成され現在は紀伊田辺駅~新宮駅間で運行されているが、13日(土)のダイヤ改正に伴う227系車両の導入により現役引退となる。
畑上さんは少年期からの鉄道に興味を持ち、成人を機に鉄道友の会へ入会した現役鉄道ファン。最盛期には一眼レフ複数など撮影資機材を担いで北海道から九州まで、鉄道の勇姿を追い掛けていたという。会員歴58年、ファン歴70年。地元のきのくに線を支える車両ももれなく関心の対象で、105系には片面三つの扉が付いた製造車両と山手線や環状線を支えた片面四つの扉が付いた103系からの改装車両の2系統があるなど豊かな知識を背景にして語る。
前述した駅間への導入は1998(平成10)年で、空調やトイレ、車体色の変更など時代相応の改修を重ねながら運行を続けてきた。その車両がまもなく引退と知り、期日が1週間後に迫った辺りで居ても立ってもいられなくなって急ぎ幅4㍍の布を購入。感謝の言葉を記して車窓から目につく場所に掲示し、同列車の通過時間ごとにその横に立ち感謝しているという。
好天の10日はコンパクトカメラで勇姿を撮影しながら通過を見送り。畑上さんは「紀伊田辺~新宮間を走るようになって23年。特急はよく注目されるが、普通列車も地元の足として十分活躍してくれている。それを思うと居ても立ってもいられなくなり、短い期間だが感謝しようという気持ちになった。105系にはただただ『ありがとう』という感謝しかない」とこみ上げる思いを語った。
(2021年3月12日付紙面より)
高池小6年生がガイド実践 (古座川町 )
古座川町立高池小学校(大畑眞校長)の6年生11人が10日、同町池野山にあるクマノザクラのタイプ標本木前で子どもガイドを実践し訪れた人々にクマノザクラの詳細などを紹介した。
同町観光協会(須川陽介会長)のクマノザクラ振興事業を活用したふるさと学習の一環。11人は昨年12月に樹木医の矢倉寛之さんからガイドに役立つ知識を一通り教わり、3学期に解説文を考えガイドの練習に励んできた。今月1日の現地リハーサルでは視察に訪れた下宏副知事ら県の幹部職員が客役の協力をし、本番さながらの度胸付けも得て実践に臨む流れとなった。
10日はほぼ快晴の好天に恵まれ、タイプ標本木は散り始めに差し掛かっていたがまだまだ花の盛り。11人は同協会が準備した「クマノザクラ子供ガイド」のユニホームを着て4組に分かれ、同協会の帯企画「古座川桜フェア2021」内での事前告知により町内外から続々と訪れる見物客に声を掛け、ガイドを希望した人に5分程度の解説をしてクマノザクラやそのタイプ標本木の特色、一期一会の好機を生かしてアピールしたい同町の魅力などを伝えた。
実施時間帯は午後2時~3時の1時間で、4組合計で28回のガイドを実践。緊張して早口にならないよう、表情にも気を付けながら挑戦したという山本真琴さんは「できたできなかったで言えばできた方。明日も緊張せず真剣に伝えたいことを伝えて、古座川の魅力を来てくれる皆さんに教えたい」と初日を終えての感想を語った。
この日は3~6年生で育てているクマノザクラの実生苗をおととしの6年生が卒業制作した看板の横に並べて披露した。11人は翌11日も同じ時間帯で同標本木前に常駐して実践に臨んだ。
子どもガイドは前年度の6年生も挑戦したが、実践直前でコロナ禍に伴う臨時休校が始まり実現できず。大畑校長は本年度の11人はそのリベンジを合い言葉にして頑張ったと実践に至るまでの様子を語り、その達成感を11人と分かちあいながら初日の実践を締めくくった。
(2021年3月12日付紙面より)
ウミガメ公園で一般公開 (紀宝町 )
メキシコ湾などに生息するクロウミガメが御浜町阿田和の沖合で見つかり、保護した紀宝町井田の道の駅「紀宝町ウミガメ公園」飼育プールで10日、一般公開が始まった。クロウミガメが日本近海で発見されるのは珍しいという。
2月24日に阿田和沖2㌔の定置網にかかっていたところを、漁師の山本善之さん(47)が見つけ、連絡を受けたウミガメ公園の飼育員・伊藤柊也さんがその日に保護した。
クロウミガメは、アオウミガメと同じ種に分類されるが、体色が灰から黒で甲羅の一部などに特徴がある。熊野灘で発見されたのは初めてで、国内では五つの水族館で飼育されている。
保護されたクロウミガメは甲羅の長さが53㌢、幅46㌢で体重は約15㌔。10~20歳と推定され、性別は不明だという。
発見した山本さんは「定置網で作業をしていた際、魚に交じって泳いでいた。変わったカメなので伊藤さんに連絡した。アオウミガメ、アカウミガメを見掛けるが珍しいと聞いてびっくりした。20年漁をしていて初めて見た」と振り返った。
伊藤さんは「ウミガメは絶滅危惧種に指定されていて、クロウミガメも数が少ない。日本での発見例や飼育が少ないため、日本ウミガメ協議会と連携して経過を観察し、貴重なデータを取っていきたい」と話していた。
(2021年3月12日付紙面より)
全国一斉放水に「はくりゅう」参加 (那智勝浦町 )
新型コロナウイルス感染症と闘う全ての人にエールを送ろうと、消防艇による全国一斉放水が7日午後2時から、全国23消防本部の各地域で行われた。那智勝浦町の勝浦漁港内では、県内で唯一消防艇を有する町消防本部(湯川辰也消防長)と町消防団(下地将仁団長)が消防艇「はくりゅう」で放水を実施。約10分間の放水に、コロナ収束と応援の思いを込めた。
初となった全国一斉放水は神戸市の提案によるもので、「コロナ禍において、ともにコロナを乗り越える勇気と希望を全国に発信する」ことが目的で消防艇のある各消防本部に呼び掛けたという。
賛同した同町消防本部らはコロナ感染拡大防止の観点から参加者を必要最少人数6人にとどめるとともに、多くの人々が集まらないように放水の実施も広報しなかった。
湯川消防長は「無事終了して感慨深いものがある。本来なら多くの方々に見ていただきたかったが今回は感染防止のため仕方なかった」。
町民に対しては「火災予防はもちろん、感染予防にも注意を払っていただけましたら幸いです」と語った。
(2021年3月9日付紙面より)
「さくら山」で80人が作業 (熊野さくらの会 )
NPO法人熊野さくらの会(田尾友児代表)は7日、紀宝町鮒田の林道浅里北桧杖線沿い標高500㍍の山林で19回目となる植樹祭を開催。三重、和歌山両県から参加した約80人がクマノザクラの苗木300本を植えた。
サクラの植樹を通じて、誰もが癒やされる「さくら山」作りに取り組んでおり、これまでヤマザクラやカンヒザクラなど約50種5080本を植樹。2月下旬にはカワヅザクラ、3月以降にダイカンザクラ、コヒガンザクラ、エドヒガン、ヤマザクラなどが咲く。
クマノザクラは紀伊半島南部に自生し、2018(平成30)年には約100年ぶりに新種と確認された。会では3年前からクマノザクラのみを植樹しており、今回で計630本となった。
参加者は20㌶の広大な山林で1・5㍍前後に育った苗木を約8㍍間隔で植え、鹿による食害を防ぐために保護用ネットも取り付けた。友達と参加した森隆喜君(相野谷小5年)は「初めて参加して、午前中で7本植えた。咲いたら見に来たい」と話し、元気いっぱい作業した。
今回はクマノザクラの看板も設置し、田尾代表は「クマノザクラを植樹するようになって参加者が増えた。活動を通してさくら山とクマノザクラを知ってもらえれば」と語っていた。
(2021年3月9日付紙面より)
潮岬で第8回フェスタ (南紀熊野ジオパーク )
第8回南紀熊野ジオパークフェスタが6日、串本町潮岬にある同パークセンターであった。今回はコロナ禍の情勢を鑑み、オンライン配信を交えた形での実施。記念講演や各種展示などで同パークを軸とした地質振興などに取り組んだ。
同パーク推進協議会と環境省近畿地方環境事務所主催。吉野熊野国立公園とその中にある同パークの関係諸活動への理解を促し、持続可能な地域づくりに資する目的で年1回開いている。通常は関係諸団体も参加し幅広い交流の機会を設けるが、今回は両主催の行事のみとし代替として様子をオンライン配信する内容で実施の準備を進めてきた。
同協議会関係行事は午後1時から開始。主催者を代表して県環境生活部の田中一寿部長があいさつをし、本年度同パークフォトコンテスト最優秀賞表彰式の上映を経てオンラインによる記念講演やジオパークガイドの交流を実施した。
記念講演の講師は早稲田大学教授の高木秀雄さん、演題は「南紀熊野ジオパークで体験する日本列島のジオの特徴―付加体、火山、そして地震―」。高木さんは同パークや日本の国土の地質学的な特徴を振り返り、プレート運動に伴う付加体の成因や火山活動(熊野カルデラ)の経緯の解説を受け、同パークエリアの大地の成り立ちの実感を伝えた。
高木さんは同運動には地震が伴うことにも注目し、南海~東海を震源とする地震の発生史が物語るように同運動の長大な時間の流れの中で繰り返し起こる状況を示唆。被災した先人が残した記録を後世へ受け継ぐ大切さを掲げるなどして、来る地震への意識を喚起した。
ガイドの交流は黒潮でつながる各地のジオパークガイドとオンラインで語らう内容で、南紀熊野ジオパークガイドの会会長の上野一夫さんがコロナ禍における活動状況を報告し、以降類する内容などで情報交換を重ねた。
同事務所関係行事は午前10時から午後4時まで実施。内容は同公園と北山村筏(いかだ)流しの資料展示による啓発で、後者は実物の観光筏を同センター駐車場へ展示し筏師らスタッフ自ら利用推進を願ってアピールに努めた。
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■配信した内容は約1週間視聴可
同センターでの実施は当日限りだが、オンライン配信した内容などは同センター公式ホームページで13日(土)ごろまで視聴できる状態にするという。
(2021年3月9日付紙面より)
少年少女発明クラブ閉講式 (新宮市 )
新宮市少年少女発明クラブ(瀧野秀二会長)は6日、新宮市役所別館で3月講座「プログラミング的思考について学ぼう」と閉講式を開いた。市内の小学生会員14人が近畿大学附属新宮高校・中学校で非常勤講師を務める廣里恵梨香さんからプログラミングの仕組みなどを学んだ。
発明クラブは全国各地で活動しており、県内でも10市町で行われている。市では、市内小学校4~6年生の児童を対象に年間を通して講座を開催。子どもたちに理科や科学、ものづくりに関心を持ってもらえるよう、さまざまな制作・野外活動に取り組んでいる。
この日は同中スーパーサイエンス部の生徒3人がサポート役で参加した。講座で廣里さんは「脳で命令を出して体を動かす人間とは違い、決められたことを指令通り動作を行うのがプログラミングです」と説明。使用する教材の解説を受けた後、子どもたちは部品を組み合わせ▽部屋が明るいときだけ、LEDモジュールが光る▽拍手をするとモーターが動く―などの課題に取り組んだ。
後半には応用で思い思いの装置を作り、テーブルごとに発表した。最後に廣里さんは「周囲には電化製品やパソコンなど、プログラミングされた機械がたくさんある。講座を通じて指示を受けると動く設定があることを改めて理解し、楽しさを知ってください」と呼び掛けた。
講座後には閉講式が行われ、瀧野会長が一人一人に証書を手渡し「今年は、予定していた講座がコロナ禍でできなくなってしまい非常に残念でしたが、何とか閉講を迎えることができた。来年度も、ぜひ参加してください」とあいさつした。
村上空君(神倉小6年)は「2年間でしたが、いろんな実験ができて楽しかったです。次からは参加できなくて寂しいけど、これからの勉強に生かしていきたい」と話していた。
(2021年3月9日付紙面より)
新宮ラグビーフットボールクラブ (進め!!青春 )
沖縄琉球空手オンライン国際大会 (松林流和歌山教室 )
新年度案を3月議会に上程 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の堀順一郎町長や幹部職員らが2日、会見を開き、一般会計79億8700万円の令和3年度当初予算案を発表した。前年度より7億3200万円(8・4%)減となった。予算案は9日(火)開会の町議会定例会に上程する。
当初予算は子ども・子育て支援に重点を置き、少子化対策や子育て支援策として「赤ちゃん誕生祝い金」「高校生の通学補助」などの事業を実施する。
防災・減災対策では令和2年度に引き続き、消防・防災センターの新築工事を進めていくという。さらにオペラや「紀の国わかやま文化祭2021」などのイベントを通じて主力産業である観光産業の振興に力を入れる方針だ。当局は今議会で町政運営の指針となる「長期総合計画」を上程する。
堀町長は新型コロナウイルス感染症の影響から、宿泊者数が対前年比38%減の22万8303人となったと説明。3万7022人だった外国人宿泊客が95%減の1941人に落ち込み、マグロの水揚げ量が9509㌧から8079㌧に減少したと報告した。
今後や当初予算については「緊急事態宣言の解除に伴い、GoToキャンペーンの再開を見越して経済対策を実施していきたい。ワクチン接種を進めることが一番の経済対策だと思う。引き続き、防災・減災対策を行うとともに、自然にやさしいゼロカーボンに向かって各事業を行っていく」と話した。
また、4日にワクチン接種の確認作業を実施し、5日(金)から相談窓口を開設するとした。
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町税収入は2016万円(1・4%)増の14億1239万円を計上。新型コロナウイルス感染症の影響で、令和2年度に徴収猶予した分の固定資産税が令和3年度に納入されることから、滞納繰越分が大幅に増加した。
歳入の3分の1強を占める地方交付税は1億円(3・3%)増の31億円。国県支出金は1億4344万円(12・1%)増の13億3307万円。
借り入れに当たる町債は8億9911万円(66・4%)減の4億5540万円となった。歳入の不足を補う基金繰入金では財政調整基金、減債基金合わせて6億円となった。
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民生費が4024万円増の26億3970万円で全体の33・1%を占め、続いて14・5%を占める衛生費が11億6082万円、公債費が11億2949万円となった。
前年度と比較し1億572万5000円増と大幅に増加した教育費は6億6190万9000円を計上。主な要因は熊野参詣道中辺路の石倉峠災害復旧工事に係る費用だという。
また、消防費は大幅に減少し9億4802万円減の4億4580万7000円となった。防災行政無線デジタル化整備事業、消防・防災センター用地造成事業に係る費用の減少が要因となった。
(2021年3月4日付紙面より)
子ども教育15年プラン冊子 (古座川町 )
古座川町教育委員会がこのほど、子ども教育15年プラン〈令和3~7年度〉を冊子化し、1日付で町内の各保育所・小学校・中学校に通う子どもの家庭へ配布した。
同プランは町域における0歳から15歳までの育ちを大切にする保小中一貫教育の筋道を示す計画で、同町の教育振興基本計画に相当する。2016(平成28)年度に導入し、5年周期で改訂する仕組みに基づいて教育委員会と保育所や学校が一丸となり約1年にわたって協議。その集大成が同プラン〈令和3~7年度〉となる。
大枠の教育目標「心豊かに たくましく羽ばたく 古座川っ子の育成」を1期目〈平成28年度~令和2年度〉から引き継ぎつつ、詳細は現状と照らし合わせて多岐に改訂。1期目と比べたときの大きな変化は、保育所から小学校へのつなぎをより強く意識し直した点や重点活動の「英語教育」と「読書活動」を継続しつつ「古座川アドベンチャープログラム(KAP)」を「ふるさと教育」に置き換えた点にある。
保育所と小学校のつなぎの強化では、幼児期終了時に育っている10の姿を踏まえて児童期へつなぐ流れを意識。ふるさと教育は子どもにより一層ふるさとへの誇りを持ってほしいという地域の期待の高まりに応えるための重点化だという。
▽確かな学力(自ら学ぶ力=知)▽豊かな人間性(ともに生きる力=徳)▽健康で元気(たくましく生きる力=体)をバランス良く備えた子どもの育成が同プランの目指すところ。分かりよく保育所や学校、地域社会、家庭の役割も見据えた概要樹も示して、全体像の理解を図っている。
全容版となる冊子はA4判カラー54㌻構成で500部作成。別途概要版(=リーフレット)も1000部作成した。家庭には全容版と概要版をセットにして配布した。次年度以降に古座中へ進学する串本町の子どもの家庭には入学をめどにして配るという。今回は概要樹を印刷したクリアフォルダも作成。概要版の余剰分と共に同プランの紹介資料として活用するとしている。同プランの問い合わせは同町教育委員会(電話0735・72・3344)まで。
(2021年3月4日付紙面より)
プロジェクトチームを設置 (紀宝町 )
紀宝町は新型コロナウイルスのワクチン接種を速やかに開始できるよう、役場庁舎内に「紀宝町新型コロナウイルスワクチン接種プロジェクトチーム」を立ち上げた。
町によると、今月中旬以降、住民票のある65歳以上の住民のみに先行してクーポン(接種券)を郵送する予定。接種開始は4月以降となる見込みで、会場や日時は広報などで知らせる。
接種希望者は町のワクチン専用ダイヤルなどで申し込む。予約開始時期は詳細が決まり次第、周知する。
16~64歳は、基礎疾患のある人などからワクチン供給量に応じて順次受けられる見込み。接種時期が決まった後、クーポンを郵送する。
これらの情報は3月1日時点のもので、今後、国・県の準備状況によりスケジュールは変更になることがあるという。
町の専用ダイヤル(電話0735・33・0363)は、クーポン・予約などの相談を受ける。平日のみで、時間は午前9時~午後4時。
紀宝町は県内で唯一、新型コロナの感染者が確認されておらず、1日の町議会定例会で西田健町長は町民や医療従事者、福祉施設、企業をはじめ各事業者の感染予防と感染防止対策の徹底に感謝し、接種体制構築強化を図るとともに役場全体で総力を挙げて、確実かつ円滑にワクチン接種を受けてもらえるよう全力を尽くすと述べた。
(2021年3月4日付紙面より)
特設コーナーで展示 (新宮市立図書館 )
新宮市井の沢の市立図書館では、1階に特設コーナー「東日本大震災から10年」を設け、震災関連の本を展示・貸し出ししている=写真。5月2日(日)まで。
震災関連の「小説」「記録」、東北の文化を紹介している本や写真集、ガイドブックなどの「東北の本」、防災に関する本など、一般書・児童書合わせて約200冊を展示中。
卒業、進学、就職など冬から春の季節の本が並ぶ「季節の本」コーナーでも引き続き展示・貸し出しを行っている。
今月のおはなし会「ぷちぷち」(先着5組、4日から申し込み受け付け)は26日(金)午前10時30分からの約15分、「にこにこ」(先着10人・付き添い含む、申し込み不要)は27日(土)午後2時30分からの約15分を予定している。申し込み、問い合わせは同図書館(電話0735・22・2284、FAX0735・22・2312、メールtosyo@city.shingu.lg.jp)まで。
(2021年3月4日付紙面より)