4月17日(土)に那智勝浦町築地の勝浦地方卸売市場で開催する「さわかみオペラin南紀勝浦生まぐろ市場コンサート」に向けての記者会見が24日、同町役場で開かれた。公益財団法人さわかみオペラ芸術振興財団代表理事の澤上篤人さんと統括責任者の山田純さんがオンラインで出席し、国内外でも珍しいとされる市場で行うオペラに至った経緯や本番に向けての抱負を語った。なお、共催する民間で組織された南紀勝浦生まぐろ市場コンサート実行委員会の会長には後誠介さんが選任された。
同財団はさわかみ投信㈱で取締役会長を務める澤上さんが、生活者に身近で芸術性の高いオペラ文化を日本で広め、多くの人々が心のぜいたくを味わい豊かな人生を送ってもらいたいという思いから設立した。
世界トップレベルであるイタリアの有力歌劇場と協力し、日本の世界遺産と文化遺産を舞台にジャパン・オペラ・フェスティヴァルなどを開催。これまでに姫路城や京都国立博物館、平城京、熊本城などで実施してきた。一方で100~500人規模のオペラやクラシック音楽を身近に楽しめる催しを各地で開くなど幅広い活動を展開している。
また、別財団では2009(平成21)年度から企業や労働組合などがCSR(企業の社会的責任)などの一環として、和歌山県内の森林環境保全に取り組む「企業の森」や道普請などにも参加し社会貢献に尽くしている。
堀順一郎町長によると、和歌山県職員時代の堀町長が職務で澤上さんと知り合い、両者間の交流は続いていたという。その後、澤上さんらが来町した際に堀町長が町を案内し、今回のオペラ開催が決定した。オペラは今秋実施の「紀の国わかやま文化祭2021」の応援事業の一つとして開催される。
同オペラには梨谷桃子さん(ソプラノ)、前川健生さん(テノール)、斉木健詞さん(バス)、ピアニストの篠宮久徳さんの4人が出演する。
演目は▽カルメンより「闘牛士の歌」▽ナポリ民謡「オ・ソレ・ミオ」▽早春賦▽花―など。歌詞の意味が分かるように来場客には日本語訳の歌詞が配布され、司会者が詳細を説明する予定だという。
山田さんは「代名詞のマグロに関係する市場はこの町を代表する場所。ここでコンサートができればお客さまも感動してくれるはず」と話した。
澤上さんは「日本でトップレベルの本物のオペラを地域の方々に楽しんでいただきたい。いずれは世界レベルの方々もお呼びしたい」。
活性化については「地元の人々が自分たちで活性化していかなくてはならない。町と日本中のつながりの手助けをしたい」と話した。
堀町長は「本物の芸術を地元の方々に喜んでいただきたい。しっかりと盛り上げ、来年も継続できるようにしたい」と意気込みを語った。
会見後、実行委員会が開かれ、意見交換などが行われた。後会長は「コロナで人々の気持ちが縮こまってしまっている。対策を万全にし、地域に潤いを与えるこういった機会は良いチャレンジだと思う。今後の継続のためにも第1回をしっかりと成功させられるように尽力したい」と思いを述べた。
なお、座席数は300席で先行予約順になる。価格は一般2000円、学生(小学生~高校生)1000円。地元の小中学生など30人の招待も予定しているという。
チケット予約は3月5日(金)から受け付け開始。同財団でも申し込める。引き換えは4月1日(木)から那智勝浦町二河75の町教育委員会で行う。
予約や問い合わせは那智勝浦町教育委員会(電話0735・52・4686)、(公財)さわかみオペラ芸術振興財団(電話0570・023・223)。
(2021年2月26日付紙面より)
えぼし寮で研修会 (美熊野福祉会 )
社会福祉法人美熊野福祉会(森常夫理事長)の指定障害者支援施設杉の郷えぼし寮(上路拓司施設長、新宮市高田)で24日、ハラスメント研修会があった。社労士の南靖司さん(みなみ社会保険労務士事務所)が講師を務め、同福祉会管理職員ら約30人がハラスメントについて意識を新たにした。
開催に当たり、森理事長が「自分たちがハラスメントをよく知らなければならない立場だと理解し、今後の姿勢に生かしてほしい」とあいさつした。
南さんは、セクシュアル・マタニティ・パワーの各ハラスメントについて説明。どういった行為が「セクハラ」に当たるのかなどを解説し▽上司は部下に性的な誘い掛けをしない▽性的話題・ジョークはメンバーと状況を的確に熟慮した上で行う▽セクハラをしたと考えたときは迅速かつ誠実に謝罪する―などをハラスメント加害者にならないためのポイントとして挙げた。
妊娠・出産・子育てに伴う不当な取り扱いや嫌がらせを指す「マタハラ」について、法律や制度の観点から説明。「制度などの利用への嫌がらせ」「状態への嫌がらせ」も多いとし「制度や法律があるということを前提に知っておかなければならない」。
ハラスメントには昔の価値観が横たわっており、時代が変わったことに気付かずに価値観を押し付けることによってハラスメントが生まれると話した。
「パワハラ」と「セクハラ」の違いについて説明し「パワハラは『受けたものの不快感』だけを判断基準にしていない。適切な叱咤(しった)や指導は成長のために必要不可欠」。
職場における「パワハラ」とは「優越的な関係を背景とした言動」であり「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」により「労働者の就業環境が害される」もので、これらを全て満たすものとし、「パワハラ」が及ぼす影響についても言及。企業・加害者が負うリスクも過去の裁判を例に紹介した。
「パワハラ」という言葉が強い意味を持ちすぎたために「パワハラとはいえないことでもパワハラと訴える」弊害も発生していると述べ「パワハラは人を陥れたり個人の利益のために利用する言葉ではない。『それはパワハラでない』と理由を説明し指導することが上司の大切な仕事」と呼び掛けた。
(2021年2月26日付紙面より)
渚の会が玉の浦を清掃 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の住民らで組織する「かつうら渚(なぎさ)の会」(猪飼伸会長、会員40人)は21日、同町粉白の玉の浦海水浴場で今年初となる清掃活動を行った。子どもを含めた約50人の参加者が海岸の景観美化に努めた。
同会は住民有志が集まり、町内の海などで定期的に清掃活動することで景観や環境を保持し、啓発していくことを目的としている。子どもを含め、家族で環境について意識し、学びを深めるきっかけをつくる狙いもある。和歌山県の清掃活動の促進を目的とした「わかやまごみゼロ活動応援制度」の認定を受けている。
この日の清掃には、同会のほか、植地篤延・粉白区長をはじめとした区民や町職員も参加。海岸のプラスチックごみや流木などを拾い集め、美化活動に汗を流した。
清掃開始に当たり、同会の濵口佳男副会長が「今日は天気も上々で暑いくらいですが、皆さんの協力をお願いします」。会計の藤社和美さんは「海岸の下見に来た時、若い女性が写真を撮っている姿を見た。この美しい景観を保つためにも活動を続けていければ」とそれぞれあいさつした。
参加した堀順一郎町長は同会や町民の美化活動に感謝を示し「町では昨年12月にゼロカーボンシティ宣言もしたが、一人一人が身の回りから自然環境について考え、継続していくという意味でも、同会は献身的に活動してくれている。玉の浦はきれいな浜なので後世に残していきたい」。
猪飼会長は「びっくりするくらい多くの人に集まっていただき感謝。最近、息子が釣りを覚えたが、うれしそうに釣った魚を見せてくれる姿を見て、活動をしていて良かったと感じています」と話していた。
(2021年2月26日付紙面より)
職員対象に手話講座実施 (古座川町 )
古座川町職員を対象にした手話講座が24日に役場本庁であり、西前啓市町長ら14人が受講して聴覚障害者支援の意識を培う機会とした。
同町は県内でも先駆けて2018(平成30)年4月、町独自の手話言語条例を施行。基づく実践を着実に広げる足掛かりとしてまずは町職員から理解を深めていこうと考え、職員研修の位置付けで同講座を計画した。
当日は社会福祉法人美熊野福祉会の大代聖子さんと新宮市聴覚障害者協会の須川陽一さんを講師として迎え、前半は大代さんが世界規模で手話が言語と見なされるようになった根拠や手話言語条例の広まりと主だった合理的配慮事項、新宮・東牟婁6市町村から意思疎通支援事業を受諾する同福祉会ができる支援事項などを説明。後半は須川さんと共に本題の聴覚障害とコミュニケーション方法を紹介するなどした。
大代さんは、聴覚障害には▽音声言語習得前の失聴(ろう者)▽同習得後の失聴(中途失聴者)▽難聴▽盲ろうなど重複聴覚障害―などさまざまな状況があることを伝え、耳の恩恵を振り返って失聴がもたらす状況を職員と一緒に考えた。須川さんはろう者の一人として生い立ちとその時々の感情、具体的にどのような状況で困っているかやその時の心境を伝え、支援の在り方への理解を促した。
聴覚障害者とのコミュニケーション方法には▽口話(相手の唇の動きから会話を読み取る方法)▽筆談▽手話や手話通訳―があり、前述した状況ごとに得意・不得意があることや実践時に留意してほしい事柄も説明。須川さんは感染症予防のための距離を取って構わないのでマスクを外ししっかりと口元を動かして見せてほしいこと、筆談時は簡潔に分かりよく説明し分かったかどうかの確認を必ずしてほしいこと、聴覚障害者と視線を合わせて接してほしいことなどを願い出た。
その他、聴覚障害者向けの公的支援機器や聴覚障害関係の各種マークも情報として紹介。手話の言葉が生活動作から形作られる点に着目し、イメージしやすい範囲で手話による会話を職員に実践してもらい取り組む上での緊張感を解きほぐすなどした。
研修を経て西前町長は、町民に聴覚障害者がいなくても来町することはあり得るとし引き続き対応できる努力を重ねることを期待し、講師2人には今後の登壇を希望。計画した健康福祉課の増山理恵主事は今後も、さらに対象や内容を工夫してこの講座の町独自実施を目指すと意気込んでいる。
(2021年2月26日付紙面より)
徐福協会が教材「徐福」配布 (新宮市 )
(一財)新宮徐福協会の山口泰郎代表理事は24日、新宮市役所を訪れ、速水盛康教育長に教材「徐福」(B5版12㌻、フルカラー)を贈呈した。教材は新年度、市内の小学5・6年生と中学1年生660人に学校を通じて配布される。
同協会は1989(平成元)年に設立。以降、30年以上にわたり「徐福」の研究や顕彰などを目的に活動を行っている。
コロナ禍で「熊野徐福万燈祭(新宮花火大会)」や各祭りなどが中止となる中、協会は今から2200年も前に不老不死の薬を求めて新宮の地に渡来したと伝わる「徐福」について「いま一度、広く知ってもらい地域学習の一助となれば」と、昨年7月から教材の作成に着手。このたびの発行に至った。
教材では「徐福」関連以外にも、市内の名所や文化・歴史なども解説。地図も掲載されており、子どもたちが教材を手に市内の見どころを巡ることができる仕様となっている。写真やイラストを使い「子どもに分かりやすい」冊子を目指した。文章を協会理事の山﨑泰さん、イラストを市内在勤の宮本典子さんが担当した。
山口代表理事は「徐福のことを知らない子どもも増えてきている。徐福は市が誇る偉人の一人。教材を通して子どもたちに新宮の魅力を知ってもらいたい」と作成に至った経緯を説明し「コロナが終息したらこの教材を手にご家族やお友達と市内を巡って見聞を広めていただければ」。
速水教育長は「該当学年にふさわしい教材。ふるさと学習に力を入れている市にとって心強く、学習を盛り上げていく大きな力を頂いた」と感謝。「教材を通して子どもたちに歴史の重厚さを伝え、ロマンを与えていけるのでは」と述べた。
教材「徐福」は希望者(子ども優先)に配布も可能。問い合わせは市商工観光課(電話0735・23・3333、内線3006)まで。
(2021年2月25日付紙面より)
串本警察署などが23日、道の駅すさみを利用するドライバーにシカやイノシシへの注意を促す交通事故抑止広報に取り組んだ。
管内で近年、シカやイノシシとの接触事故が多発傾向にある状況を見据えた取り組み。同署交通課によると2018年は14件、19年は22件、20年は20件と推移していて、▽大半がシカ▽大半が国道42号上▽夕方~夜間の発生が多い▽他地域からの車両が接触することが多い―といった特徴があるという。
注意喚起の必要ありと考えた同課は急増傾向を示した昨夏、国道管理者に協力を求めて道路交通情報表示板による注意喚起を始めた。シカやイノシシを避けたことで他の接触事故(自損や対向車との衝突など)へ発展する状況を「出てくるかもしれない」といった危険予測意識で抑えることを狙っているが、同表示板は他の発信すべき情報との兼ね合いで常時とはならないため別系統でチラシによる呼び掛けも立案。交通事故のない社会実現を願うみくまの農業協同組合(JAみくまの)に相談したところ、JA共済として協賛が得られ、JA共済と同署、県交通安全協会串本支部との連名でチラシを作成するに至ったという。
枚数は2000枚。広報実施の強い根拠を得た同課はまず、喚起対象が多く立ち寄る道の駅すさみでの抑止広報を計画。当日は楠間慎也課長ら課員6人と同町の交通指導員1人が手分けしてチラシなどの物資を配り、接触事故多発の状況を伝えて意識を促した。
今後のチラシ活用は未定だが、道の駅くしもと橋杭岩での実施や近隣のサービスエリアなどへの設置を検討中。楠間課長はこのチラシを生かして引き続き事故の危険をなくするために行動し、JAみくまのの支援に応えるとして課員らの広報を指揮していた。
(2021年2月25日付紙面より)
市長らと教委が意見交換 (新宮市 )
新宮市総合教育会議(議長・田岡実千年市長、6人)が22日、市役所であった。コロナ禍における小・中学校の現状や今後の対応、県立高校の再編に伴う市内中学校の現状について当局が報告。田岡市長や教育委員会委員らが質問や意見交換を行った。
同会議は、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の一部改正(2015年4月1日施行)に伴い、市長と教育委員会が十分な意思疎通を図り、市の教育の課題やあるべき姿を共有し、同じ方向性の下に連携して教育行政を推進していくために設けられている。
会議には田岡市長、速水盛康教育長、教育委員会の中村八十八さん、湊川大介さん、鈴森早有美さん、石原貞代さんの全員が出席した。
開会に当たり田岡市長が、市立神倉小学校運営協議会が文部科学大臣表彰を受けることが決定したことを報告し「地域の方々にお世話いただき、前向きに地域を盛り上げてくれていることが確実に子どもたちの好影響につながっている」と日頃の協力に感謝を述べた。
当局は、昨年2月以降の臨時休業や修学旅行の延期などについて振り返り「2学期以降は通常通りの学習進度を取り戻し進度は回復しているが、各学校には学習内容の定着を確認しながら本年度最後のまとめをしてもらえるように指示をしている」などと報告。
鈴森委員は「コロナ禍で制限が多い中、先生や友達とできることを見つけてやってくれていると思い、たくましく適応力もあると感じた」。石原委員は「学校に行けない期間が多かったことで、学校の良さや大切さが分かった子どもも多かったのでは」とそれぞれ意見。
中村委員は「リモートでパソコンを使う機会が増えたことによる通信料や電気代が上がったという声は」と質問し、湊川委員は「長い休みによって、意欲のある子どもと意欲のない子どもが顕著になることが気掛かり」と懸念した。
当局は、県立高校再編について県が開催した説明・懇談会の内容をまとめて報告。
小・中学校の年度別の児童・生徒・園児数の推移を説明し、今後の中学校の再編統合検討の必要性や、緑丘・城南・光洋の各中学校の校舎建築年月に触れた。
委員からは学校施設の耐震面を懸念する声が上がり、当局は「体育館が避難所となっている関係もあり外壁の劣化も進行している。何らかの手を入れていく必要はある」と述べた。
田岡市長は「生徒数の減少に伴い、緑丘・城南中学校の2校の統合に向けて検討を」。速水教育長は「市の教育活動活性化のためには今から施策を考えていかなければいけない。新しい中学校としてどんなことができるのか。高校再編と連携した魅力ある学校づくりも視野に入れ、小さな枠組みではなく大きな枠組みの中で学校教育を考えていく必要がある」とし、来年度から素案づくりに向け、多くの意見と理解を得ながら少しずつ進めていきたいと述べた。
(2021年2月25日付紙面より)
宇久井中2年生が漁業学習 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立宇久井中学校(坊信次校長、生徒62人)で22日、2年生12人を対象とした漁業学習が開かれた。地元漁師の東信義さんがその日の朝に定置網で取れた寒ブリや漁師が釣り上げたビンチョウマグロを持ち寄り、生徒の目の前でさばいて見せた。
宇久井中が取り組む海洋教育の一環で、宇久井漁業協同組合協力の下20年以上続けられている。那智勝浦町の海で繰り広げられている漁業の仕組みや歴史を学ぶとともに、将来的な漁業後継者を育てることも目的の一つとなっている。
東さんは、サンマやトビウオ、タチウオ、ダツ、ソウダガツオ、ウツボ、ウマヅラハギ、フグ、カネヒラなどを見せながら生息海域や産卵期などの生態を解説。マサバとゴマサバの見分け方や、出世魚であるブリの名称についても説明し、「やっと皆さんに魚を見せる機会が持てた。黒潮蛇行の影響で不漁気味だが、普段はこの3倍の種類の魚が入る」と語った。
解体に移ると、生徒たちは鮮やかな包丁さばきに「切り口がきれい」「すごくおいしそう」と感嘆。マグロの胃や心臓、肝臓、ブリの白子などの内臓も観察した。節に分けて2等分したマグロとブリは、生徒が各家庭に持ち帰って味わった。
柴原優花さんは「宇久井では漁業が盛んだけれど、生で解体を見るのは初めてで新鮮だった。知らない種類の魚もいて、ウマヅラハギの皮を一気に剝ぐ様子も面白かった。魚は、家族でお刺し身にしていただきたい」と話していた。生徒たちは、3月には乗船体験も予定している。
(2021年2月25日付紙面より)
宗応寺で「涅槃会」法要 (新宮仏教会 )
釈迦(しゃか)の命日の15日、新宮仏教会(会長=白井清牧・清蔵寺住職、会員13人)は、新宮市千穂の宗応寺(石原知実住職)で「涅槃会(ねはんえ)」を営んだ。各寺の住職や副住職が涅槃図を前に経を上げ、遺徳をしのんだ。
新宮仏教会は、市内にある▽松巌院▽淨泉寺▽瑞泉寺▽清閑院▽清蔵寺▽清凉寺▽専光寺▽宗応寺▽東仙寺▽遍照院▽本廣寺―の11カ寺で構成している。
涅槃会は、仏教の祖である釈迦の生誕を祝う降誕会(こうたんえ、別名・花まつり)、悟りを開いた日を記念する成道会(じょうどうえ)と並ぶ三大法会の一つ。
釈迦は35歳で悟りを開くと、その後45年にわたり人々に教えを説く伝道の旅を続けた。インド北東部のネパールとの国境に近いクシナガラで動けなくなり、頭を北にして西向きに横たわり、弟子たちが嘆き悲しむのを慰めながら夜半に80年の生涯を終えたと伝わっている。
涅槃図は釈迦が沙羅双樹の林の下で横たわり、入滅する光景を描いたもので、周囲には嘆き悲しむ弟子や、雲に乗って飛来する釈迦の母などが描かれている。宗応寺の涅槃図(縦156・1㌢、横101・8㌢)は南北朝時代(14世紀)の制作とされている。
毎年、法要は本堂横の室中で執り行うが、今年は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、密を避ける形で本堂大間にて実施。石原住職は「例年なら掛け軸は1週間ほどまつり多くの人に見てもらう機会としているが、翌日にはしまう予定にしている。こんな状況の中でも会員の方々にお経を読んでいただけるのはありがたいこと」。
白井住職は「世情が落ち着かない中において無事に法要を終えることができて良かったと思っている。今後も継続のためお互い元気で尽力していければ」と話していた。
(2021年2月17日付紙面より)
日本クマノザクラの会が記念に (矢渕中 )
日本クマノザクラの会(勝木俊雄会長)は設立翌日の15日、紀宝町立矢渕中学校(竹原巧校長)で記念植樹をした。来春の開花を願い、園芸委員(亀石沙來委員長)がクマノザクラの苗1本を学校花壇に植えた。
会はクマノザクラの保全や活用を目的に発足し、3年目の苗木を学校に提供。副会長の田尾友児さん、会員で樹木医の中村昌幸さんらが訪問した。
苗木はクマノザクラの調査にも参加した中村さんが育てたもので、高さ約2㍍。園芸委員が順番にスコップで根元に土をかぶせた。園芸委員は各学年6人の計18人で、普段から花壇の管理をしており、亀石委員長(2年)は「クマノザクラを見たのは初めて。大切に育てたい」と話していた。
会ではこの日、同町役場玄関前にも鉢植えのクマノザクラを飾った。3月には咲き始める。今後も要望があれば植樹に協力する方針だ。
町内で保全に取り組む田尾副会長によると、クマノザクラは北桧杖、鮒田地区や子(ね)の泊山桐原登山口付近に多く自生しているという。
(2021年2月17日付紙面より)
町産鹿肉のレトルト商品 (古座川ジビエ山の光工房 )
古座川町月野瀬にある古座川ジビエ山の光工房(鈴木貴裕施設長)がこのほど、町産鹿肉を使ったレトルト食品2種類の取り扱いを始めた。地元に知ってほしいという思いで、町内の児童生徒への贈呈も計画。15日に町内各校を訪ね、児童にはボロネーゼ(パスタソース)、生徒にはキーマカレーを届けた。
同工房は、独自のガイドラインと先鋭の機器を駆使して臭みを抑えた新鮮なジビエを生産。「こころうたれるシリーズ」と題してオンライン販売用の加工食品製造にも力を入れるなど販路増強に力を入れている。
レトルト商品の取り扱いは初で、約1年前に県食品流通課の仲介でノウハウを持つ有田食品株式会社=有田市=とつながり開発に着手した。同工房は在庫過剰になりがちなミンチ肉の活用を求め、同社は前述した2種類のメニューを提案。同工房の試食や意見を取り入れながらレシピを仕上げ、今年1月中旬に商品化へこぎ着けた。
土産品を前提とした仕様で、価格はいずれも1袋550円〈税込み〉と設定。同工房は1月下旬から取り扱いを始め、今月15日現在で同工房のオンラインショップと町内の南紀月の瀬温泉ぼたん荘売店、各道の駅物産販売施設、七川ふるさとづくり協議会事務所、もりとよ商店、町外では那智勝浦町下里にあるスーパーマーケットHatiや南紀串本観光協会古座事業所で購入できる。
町立小中学校は地産地消や食育推進の一環ですでに学校給食の食材としてジビエを適時活用していて、その味に慣れ親しむ子どもに新しい商品も知ってもらおうと思って贈ることにしたという。
15日午前は鈴木施設長らが高池小学校へ児童数分のボロネーゼ(1人につき1袋)を届け、学校を代表して大畑眞校長と児童会の山本真琴会長(6年)が受け取り感謝した。午後に他4校へも贈呈。鈴木施設長は「土産品としては安価な設定。子どもたちにはふるさとのジビエを一層誇りに思ってもらえたらと思うし、その気持ちが子どもから大人へと広がっていけば」と今後の反響を期待した。
販路は今後も拡大を目指すという。この商品の問い合わせは同工房(電話0735・72・6006)まで。
(2021年2月17日付紙面より)
熊野三所大神社例大祭 (那智勝浦町 )
那智勝浦町浜ノ宮の熊野三所大神社(くまのさんしょおおみわやしろ)(髙橋正樹宮司)で14日、例大祭が営まれた。今年は恒例行事が全て、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から中止となり、神事のみが斎行された。
同神社は貴重な建築様式の「三間社流造 檜皮葺(ひわだぶ)き」の本殿が有名。
例年は一心会の迫力ある獅子舞や、前日に那智の浜で潮垢離(しおごり)を取り、潔斎した射子(ゆいご)奉仕者が古式ゆかしい作法で矢を射る弓行事や復活した子ども神輿(みこし)などが行われている。
この日は髙橋宮司が祝詞を奏上し、関係者らが玉串をささげた。一心会の汐﨑広一会長は「練習も祭り本番も人が集まらないといけないので今回は残念だった。来年はコロナが終息して通常通りできればありがたい」。
同神社総代の藤社潔さんは「残念だが今年は仕方ない。来年も現時点ではどうなるか分からないが、ぜひこれまで通りに祭りができることを祈っている」と話した。
髙橋宮司は「毎年、お祭りができることに感謝をささげた。この地域や世界の平穏無事を祈願いたしました」と語った。
(2021年2月17日付紙面より)
佐野会館にサーマルカメラなど設置 (新宮市佐野区 )
「区民が安心して住めることが一番大事」―。新宮市の佐野区(前田道春区長)では、新型コロナウイルス感染症対策として12日、佐野会館に自立スタンド型測定センサー「サーマルカメラ」とドア取り付け型測定センサー「サーモゲート」を設置。利用者や区民が安心して会館を使用することができるための取り組みが進められている。
今年に入り、新宮保健所管内で新たに感染者が確認された新型コロナウイルス。コロナの影響で昨年は半分以下となったものの、年間で2万人以上の使用実績があるほど利用者が多い同会館。同区はそういった会館の現状やコロナの情勢を鑑み、地域住民の不安を払拭(ふっしょく)するために設置を決定した。
この日は会館入り口にサーマルカメラ1器、会議室や多目的室、大広間などの入り口にサーモゲート4器を取り付けた。サーマルカメラは新宮市庁舎などに設置されているものと同タイプで、37・5度以上を検知した場合、アラーム音で通知される。また、マスクを着用しないと検温することができない仕様となっている。
利用者は会館や会議室入り口で人手を介さずに発熱の有無を素早く検査することができるほか、各部屋ごとに一度に多くの利用がある場合にも迅速に対応でき、また会館入り口での測定検温忘れの人にも対応することが可能となる。設置後には早速サーマルカメラで検温する会館利用者の姿があり「便利でいい」「すぐに検温できる」などと感想を口にしていた。会館では他にも、自動アルコール噴霧器を設置し、会館使用に当たって検温・消毒や許可書の提出を義務付けるなどの対策を講じているという。
新型コロナが国内にまん延し、全国的に緊急事態宣言が発出された昨年の4~5月。同区では「区として、区民のために何ができるか」を協議し、当時入手が困難だったマスクや消毒液の確保に奔走。区民の不安を少しでも和らげようと、区加入の約1200世帯と賛助区民に配布した。
前田区長は「寄付金や熊本地震被災地への義援金など、区民はいろいろなことに協力してくれている。日頃の協力に対して少しでも還元することができれば」と思いを語り「区民や佐野会館を利用する人に『同会館はコロナ対策を十分にしている』と安心して利用していただければ」と話していた。
(2021年2月14日付紙面より)
新宮市議会総務建設委員会
新宮市議会の総務建設委員会(福田讓委員長、7人)が12日、市役所であった。各担当部からの所管事務報告が行われたほか、市が行うプレミアム付共通商品券や国の第3次補正予算案などについて議論が交わされた。
報告では熊野川行政局から空気清浄機購入に関する入札の内容が、消防本部からは令和2年1月から12月までの管内の災害出動状況や昨年12月にあけぼの地区で発生した火災の詳細が、水道事業所からは令和2年度の入札、企画調整課からは熊野川町のデマンドタクシーについて報告があった。
商工観光課は12月に国際交流員の任用を開始したことや、和歌山大学と高田中学校がオンライン交流会を実施したこと、プレミアム付共通商品券の経過について説明した。
委員は、使用期限が迫る1月末時点でプレミアム付共通商品券の販売率が約60%であることに触れ、どの業種で使用され、期間の延長ができるのかを質問した。
当局は「新型コロナウイルス感染症の交付金のため、今年度内での完了となっている。現在は考えていない」とし、市商工会議所からの速報値では飲食店が20%、日用品や食料品で20%であると答弁した。
委員は、商品券の発行は店舗側が喜んでいると評価するとともに、紛失した際の再発行についても提案した。
また、国の第3次補正予算案の交付金額の約2億6600万円にも触れ「安全対策などの支援策もしっかりやっていただきたい」と言及した。
そのほか、委員は▽舗装に関する入札について、公正な競争入札が必要▽串本町で発射予定のロケットをクルーズ船で楽しむ商品開発▽感染症対策室の利用状況▽選挙投票率の低迷対策として移動期日前投票―などについて問うた。
(2021年2月14日付紙面より)
1年生が「地域を学ぶ」発表会 (矢渕中 )
紀宝町立矢渕中学校(竹原巧校長)の1年生74人は9日、同校体育館で「地域を学ぶ」の発表会に挑んだ。7グループが昨年12月から町内の名所や歴史などを調べた成果を披露した。
これまで、1年生は町学校支援本部「元気キッズ」の協力を得て「地域に学ぶ」の授業で、地区住民から生け花、手話、陶芸、書道、茶道、地域の踊りなどを学んできた。
本年度は新型コロナウイルスの影響で中止となり、自ら学習する「地域を学ぶ」に切り替えた。1年生はフィールドワークで町内の神社や海岸、観光施設などを訪れ、魅力を発見した。
この日は、学習のまとめの場で、バスツアーや神社、特産品、ジオサイト、町の変遷、古文書を調べた各グループが発表した。バスツアーを企画したグループは、朝日が見える井田海岸を出発し、ウミガメ公園、鵜殿城跡、神内神社、田代公園、京城跡(みやこのじょうせき)、大里親水公園、三反帆(さんだんぼ)、飛雪の滝といった町内の名所を巡るコースを提案した。
烏止野(うどの)神社、貴祢谷(きねがだに)神社、中村神社を調べたグループは「烏止野神社を調べて思ったことは、いろいろな祭りがあって面白かった。最初は漢字すら知らなかったけど、調べてみるとちゃんとした由来があって地元のことについて知ることができた」と伝えた。
(2021年2月14日付紙面より)