『神倉旧記録』翻刻本が完成 (新宮市 )
『神倉旧記録』翻刻本完成記者会見が27日、新宮市の井の沢隣保館であった。解読した「熊野の歴史をよむ会」講師の山本殖生(しげお)さん(68)は協力に感謝し「貴重な資料なので多くの人に利用してもらいたい。今後の歴史研究に重要になるのではないか。これを出発点にして多角的に研究してもらえれば」と話していた。
『神倉旧記録』は熊野速玉大社所蔵。神武天皇代から明治2年までの神倉を中心とした編年記録で、幕末から明治にかけて成立したと見られる。編さんしたのは神倉聖(ひじり)に仕えた残位(にょらい)坊3家のうち西家と考えられ、山本さんは「幕末、明治の変革の中で神倉に仕えてきたことを主張するために編さんしたのでは」と述べた。
同記録には御燈(おとう)祭りに関する記述は江戸時代後期の1824年からしか見られないと山本さん。年ごとの上がり子の数も判明し、多いときでは900人や数千人などの記録も出てくる。ゴトビキ岩の東側にあった12間×5間(約22㍍×9㍍)の、懸造(かけづくり)の本堂内部の様子も分かった。天照大神(あまてらすおおみかみ)と高倉下命(たかくらじのみこと)をまつるほこらを覆いかぶせるように存在し「御燈祭りではお経を読むお坊さんがいて、その間に上がり子が松明(たいまつ)に火をつけられたまま閉じ込められたのでは」。神仏分離と維新改革では祭りの合図が鐘やほら貝から掛け声に変わったことなども記されていた。
千日修行や神倉衆の組織、午王宝印加持(ごおうほういんかじ)、鎌倉幕府の石段造営、本堂焼失と、宝永地震では神倉山に小屋を作ったこと、河口がふさがった際は住民を挙げて開いた様子などもあったと紹介した。
山本さんらは2013年11月から読み始め、約2年半かけて解読。パソコンで文字におこし、校正や修正などを経て今年3月31日に、会を主催する「熊野地方史研究会(会長=舩上(ふながみ)光次・市立図書館長)」が発行した。
A4版136㌻で80部を印刷した。市立図書館には貸し出し用1冊と保管・閲覧用2冊があり、記録の原本コピーとともに保存されている。他は解読に関わった人たちや国立図書館などに贈られた。表紙の字は熊野速玉大社の上野顯(あきら)宮司。
舩上館長(75)は「形あるものとして資料を残すことは、大きな成果を上げる活動だったと感謝している。原資料として出すという態度が立派」と話していた。
(2018年4月29日付紙面より)
勝浦観光桟橋で旅客船安全点検 (那智勝浦町 )
ゴールデンウイークを前に27日、那智勝浦町勝浦の観光桟橋で、串本海上保安署(亀田進署長)と勝浦海事事務所(長谷潤所長)合同の旅客船安全総点検と防災訓練があった。紀の松島観光、ホテル浦島、ホテル中の島の各所属旅客船計3隻が点検を受けた。
大型連休で多くの利用者が見込まれる中、旅客船の運行が適切に管理されているか確かめ、運航者の安全意識を高めて海難事故を防止するのが目的。毎年実行している。
旅客船の法定書類、救命設備、消防設備などの確認をした。近年は特に巨大地震に伴う津波発生時の初動体制などの防災面に力を入れている。今回はホテル浦島、ホテル中の島の旅客船が、航行中の地震・津波発生を想定した防災訓練を各社策定のマニュアルに沿って実施した。航行中の船長が最寄りの避難岸壁に急行し、ホテル従業員らがライフジャケットを装着して避難し、観光桟橋に着岸後、高台へ誘導した。
長谷所長は「長年にわたって無事故を続けられていることに敬意を表したい。何度も繰り返し訓練することが、お客さまの命を守り、減災につながる」と述べ、亀田署長は「現実に即した訓練と点検ができ、有意義だった。乗客の安全のため改善を加えてほしい」と呼び掛けた。この日午後は串本町有田の串本海中公園センターで同様の安全総点検を実施した。
(2018年4月29日付紙面より)
神社本庁過疎地域活性化推進
神社本庁から過疎地域神社活性化推進の県内唯一の地域指定を受けた太地町の飛鳥神社、金刀比羅(こんぴら)神社では町内各種団体の代表らで委員会をつくり、地域活性化へ向けた取り組みが始まっている。
27日夜は第3回委員会が開かれた。飛鳥神社の髙橋正樹宮司(勝浦八幡神社宮司)、県神社庁の中谷承平事務局長、金刀比羅神社総代の齋藤晴さんはじめ、熟年会や婦人会、子ども会などの代表ら約20人が飛鳥神社社務所に集まり、7月21日(土)の金刀比羅神社の夏祭り、飛鳥神社例祭の樽御輿(たるみこし)の担ぎ手の募集方法などを話し合った。
全国的に人口減が続き、過疎地域での神社の護持、運営が危ぶまれている。神社本庁では神社祭祀(さいし)を通じて地域を活性化させるには、地域全体を視野に入れた方策が必要とし、地域ぐるみで支え合う体制づくりを検討。各都道府県で指定地区を定めた。
同町の金刀比羅神社は航海安全の神として崇敬を集め、昭和30年代には広域から大勢の人たちが参詣。神社近辺には出店が並んだ。この夏祭りを盛り上げようと広報用ポスターをつくり、大人も子どもも喜べる餅まきの実施などを話し合った。飛鳥神社例祭では小樽御輿に中学生、高校生にも参加してもらおうと呼び掛けの仕方などのアイデアを活発に出し合った。
髙橋宮司は「この取り組みを地域全体の活性化につなげたい。祭りに参加した子どもたちが大人になって都会に出てもまた太地に戻ってきてくれるそんな祭りにしていければ」と話していた。
(2018年4月29日付紙面より)
急増する外国人観光客に対応 (空き家を有効活用 )
近年急増している外国人観光客の多様な宿泊ニーズへの対応や、少子高齢化で増加している空き家の有効活用の観点から、民泊への期待が高まっている。熊野地方でも民泊施設が増えていて、春の観光シーズンは熊野古道を歩く外国人など、どこも予約で埋まっている。
民宿を含む簡易宿泊所の許可を出している新宮保健所によると管内(新宮市、那智勝浦町、太地町、北山村)の施設数は1日現在39件で前年より5件増。古い民宿などが廃業する一方で、民泊が増えているという。
現在民泊を始めている施設のほとんどが、世界各国の宿泊施設を紹介しているAirbnb(エアビーアンドビー)に登録している。19日現在、登録数は新宮市で8件、那智勝浦町で約10件となっている。
2年前に千葉県から新宮市熊野川町西敷屋に移住した内山清市さん(41)は昨年5月から古民家を自ら改修し、民泊を始めた。当初は月2~3人だったが、口コミで人気が広がり3~5月はほぼ予約で埋まっている。宿泊者の8割は外国人で、3泊、4泊と長期滞在する人が多い。熊野本宮大社からの客がほとんどで、車で往復約1時間かけて送迎している。
「観光地から遠い場所なので最初はそんなにお客が来ないと思っていましたが、1年でびっくりするくらい増えました。こんな山奥でも泊まりに来るのですから、民泊はこれからもっと増えていくのでは」。
内山さん宅は素泊まり4000円、朝晩食事付き7000円。外国人の食事はベジタリアン向けにしている。ヤギ、イヌ、ニワトリを飼育していて「皆さん、この生活スタイルや山や川などの自然を喜んで帰ってくれています」。
那智勝浦町天満の自宅で昨年11月から民泊を始めた丸山都さん(28)は「最初は手探り状態でしたが、3~5月は予約でほぼ埋まりました。外国人客が9割以上で、今では日本語より英語の方が話しています。もっとたくさんの人が安く泊まれる施設をつくりたいと場所を探しています」。
丸山さんの民泊に協力している後呂孝哉さん(28)=新宮市=は「使い道に困っている空き家をもっと民泊施設に変えていければ。民泊をすると全世界に友人がつくれます。家にいながらにして世界を旅しているような気持ちになれます」と話していた。
(2018年4月21日付紙面より)
管内のダイビング事業者ら (串本警察署 )
串本警察署管内海域等レジャー事業安全対策連絡協議会(中西健二会長)の本年度総会が19日、同署内であった。併せて救命講習会にも取り組み、会員らがいよいよ本格化するマリンレジャーシーズンを前に気持ちを引き締める機会にした。
この協議会は、安全で快適なマリンレジャーの確立を目的として、管内のダイビングショップなどの事業所で平成8年2月、結成された。同署地域課内に事務局を置き、現在は26事業所の代表者らが会員となり目的の達成に努めている。
総会冒頭、中西会長は水上安全法講習会の実施や水の事故防止広報活動、交通事故防止広報への協賛など諸事業で着実な成果を上げている点を挙げ、会員の努力に感謝。「本年度も安全で快適なマリンレジャーの提供のため諸事業を進める」とあいさつした。同署の中弥泰典署長は昨年の県内における水の事故は37件で死者14人、同署管内では6件で死者2人と報告。「警察としては、皆さまの協力をいただき各種事件事故の防止に努め、安全で安心してマリンレジャーなどを楽しめる地域の実現を目指す」と思いを掲げ、引き続きレジャー客のマナー、安全、防犯の各意識高揚を向上するきめ細やかな活動を求めるなどした。
議案審議後は公益財団法人和歌山県水上安全協会職員から昨年中の水難事故発生状況や特色などの詳細報告、串本町消防本部職員から安全対策の紹介を受け、事業者に求められている安全対策について考えを巡らせた。
救命講習会では同本部職員3人を講師に迎え、会員22人と署員4人が参加。心肺蘇生法と自動体外式除細動器(AED)使用の要領を教わり、訓練用人形などを使って実践練習に励んだ。
併せてAEDの使用において疑問に感じる事柄について指導救命士と話し合い、▽メーカーごとの操作の差異▽着衣に金属類が付いている時の対処方法▽船上でのAED使用は適切か(早いほど助かる確率が高いという観点から)▽年少者への対処方法▽電極を貼る位置の意味―など、事業者視点の局面想定における適切な対処を時間の許す限り確かめるなどした。
(2018年4月21日付紙面より)
大狗子・小狗子峠で古道守る会
那智勝浦町のボランティア団体「なちかつ古道を守る会」(太田耕二代表)は19日、熊野古道大辺路の一部、大狗子峠と小狗子峠入り口付近の清掃活動に取り組んだ。
この区間は白菊の浜と呼ばれる狗子の浦に面しており、同会が定期的に保全活動に取り組んでいる。会員12人が朝から草を刈り、空き缶などのごみを拾い集めた。
太田代表は作業開始前に「この区間はもっと手を入れる必要がある。草の中にごみがたくさんあるのでゴールデンウイーク前にきれいにしましょう」と呼び掛けた。
周辺の海辺はサーフィンを楽しむ人たちが多い。会員の一人は「サーファーの中には清掃活動をするグループもあるが、一つでもごみがあると次々に増えていく。草をきれいに刈るとしばらくは保てますね」と話していた。
(2018年4月21日付紙面より)
なぎ看護学校で入学式 (新宮市 )
新宮市蜂伏の県立なぎ看護学校(阿部則章校長)で11日、入学式があった。今年は新入生40(女子28、男子12)人が看護師という夢への一歩を踏み出した。
校歌斉唱などの後、阿部校長は看護学校での学習は自ら考え学ぶ姿勢と習慣が大切になると語った。「コミュニケーション力を高め、自分の気持ちや思いをうまく表現し、他者を理解し、思いやりのある看護の実践者を目指していただきたい」と式辞。
「大切なことは、自分を信じて目指すべきその先を常に見つめ続けること。必ず看護師になるという強い思いを持って取り組んでほしい。友情を育み、諸先輩方や実習で出会う方々のご協力に支えられながら、さまざまな人と触れ合い、多くのことを経験してください」と呼び掛けた。
在校生代表の灘麻美さんは自身の体験を語り、看護師を志すうえで豊かな人間性を養うことが必要だと述べた。自分自身が健康健全であることや常に学ぶ姿勢をもって知識を増やし、技術を磨く努力が大切だとし「たくさんの出会いと人とのつながり、皆さんを温かく見守ってくださる周囲の方々への感謝を忘れず、共に夢を実現させましょう」と激励した。
新入生を代表し道中るいさんが「初心を忘れず、三年後には使命感や責任感、そして思いやりのある、誠実で信頼される看護師となれるよう日々努力する」と誓った。
来賓の形部裕昭・新宮保健所長は仁坂吉伸県知事の励ましの言葉を代読。濱口太史県議会議員、田岡実千年市長が祝辞を述べた。
(2018年4月13日付紙面より)
新宮警察署らが体験イベント (那智勝浦町 )
新宮警察署(大髙圭司署長)とJAF和歌山支部(西山勲事務所長)、自販連和歌山県支部(中谷久生支部長)は春の交通安全運動期間中の11日、那智勝浦町宇久井の那智勝浦自動車教習所で初の「おクルマのお守り体感会in熊野」を開いた。安全運転サポート車やシートベルト衝撃体験車などの各種体験を通して交通安全を呼び掛けた。
大髙署長は、3月末現在和歌山県全体での交通事故件数は減っているが新宮署管内では増えていると指摘。「人間のミスをカバーしてくれる自動車の技術が日々発達している。今日は体感して学び、交通安全意識を高めていってください」とあいさつした。
会場内には各自動車メーカーの安全運転サポート車体感コーナーがあった。白バイやパトカー、最新の自動車の展示などもあり、来場者はそれぞれのコーナーを興味深げに回っていた。自動ブレーキ機能搭載車に試乗した町内の70代男性は「ブレーキが作動した瞬間、すごい衝撃だった。でもその機能がなかったらと考えると恐ろしい。お金があれば乗り換えを考えたい」。
新宮署の樋口勇作交通課長は「天候を心配していましたが大勢の方に来ていただき安心しました。自動車の機能が向上し事故が減ることを期待しています。今後も取り締まりや安全啓発に取り組み、悪質なドライバーや違反運転を徹底的に摘発していきたい」と話していた。
(2018年4月13日付紙面より)
橋杭海水浴場で浜清掃 (南紀串本観光協会 )
串本町くじ野川にある橋杭海水浴場で11日、砂浜清掃があった。南紀串本観光協会(島野利之会長)を軸にした取り組みで、関係者約20人が砂浜に打ち上がったごみや石を取り除くなどした。
環境省「快水浴場百選」の一つに数えられる橋杭海水浴場は、国指定天然記念物の橋杭岩などを眺望できる開放的なロケーションや群を抜いてきめ細やかな砂浜を特色とする。運営管理する同協会は、旧串本町観光協会が取り組み始めた春~秋3期活用を引き継いで今月1日に浜開きをし、海の家「ビーチハウスラパン」を拠点にしてシーカヤックやフィッシングカヤック、SUPといったマリンアクティビティーのレンタル提供を始めている。併せて海の家の飲食提供も始まっている(水曜定休)。
この日の浜清掃はシーズン序盤の環境整備、とりわけ15日(日)に開く同協会初のイベント「橋杭ビーチオープンフェスタ2018」の来場者に気持ちよくひとときを過ごしてもらうために計画した。宇井晋介事務局長を筆頭に、約20人がごみ回収、石回収、オフ期の強風で芝地側に寄った砂を浜に下ろすといった作業を2時間程度行った。
昨年秋に張った防砂ネットはオフ期に予想以上の強風が吹き、砂の飛散をよく食い止めたもののいくつかが破損。埋もれてしまったネットも数多く、先月下旬に掘り出して回収した。浜清掃は7月1日(日)の海開き前にも予定しているという。
宇井事務局長(62)はイベントの実施や宿泊施設「大江戸温泉物語南紀串本」の27日(金)開業で今後の利用に弾みがつく状況を期待し、この日の全体指揮に当たった。終盤では来町中の著名人・さかなクンも立ち寄って作業を手伝うなど、清掃を機会にした交流も華やいだ。
15日のイベントは午前10時~午後2時に実施。ステージ披露や軽飲食提供、マリンアクティビティーの無料体験や和歌山トヨタによる車両展示などがある。雨天時は中止とし、同協会公式サイトや問い合わせ対応で周知を図るとしている。
マリンアクティビティーのレンタル提供など詳しい問い合わせは南紀串本観光協会(電話0735・62・3171、午前8時30分~午後5時30分)まで。
(2018年4月13日付紙面より)
那智勝浦町花火大会
那智勝浦町の花火大会実行委員会は11日、今年度第1回の会合を開き、例年通り8月11日(土・祝)に花火大会を那智湾で開催することに決めた。
同町の花火大会は町民手作りの大会として平成19年に復活し、今年で12回目。町役場に事務局を置き、町内23団体で構成する実行委員会をつくり開催している。事務局は役場の機構改革で総務課から観光企画課となった。
矢熊義人副町長は「町民の皆さんからワンコイン寄付など多大なご支援をいただき感謝しています。町民が一つになって楽しめる大会となるよう願っています」とあいさつ。
会長に区長連合会会長の大江清一さんが就任し、議事を進めた。予算額は1444万円で昨年より2万2000円減。協賛金(広告費)は610万円、住民寄付は200万円を計上。町補助金は前年同様の300万円。花火打ち上げ費は864万円と前年度並み。
今年は花火の打ち上げ業者選定の年に当たり、業者の評価基準なども議題となった。昨年までは「海の章」「追善供養」「山の章」「フィナーレ」という枠が決まっていたが、那智勝浦町の特色や町民手作りの花火大会の概要を伝える仕様書を業者に伝え、町にふさわしい新たな企画を考えてもらうことにした。5月10日(木)に選考会を開き、業者の企画を見て委員が5段階の点数を付けて決める。今年は7社が手を挙げている。
委員からは「サブテーマを決めてアピールする方がよい」「那智の浜は補陀落渡海の場所。精霊流しなどを加え、花火の価値を高める企画がほしい」「明るいうちから町に人の流れが生まれるような企画もあれば」などの提案があり、来年の検討課題とした。
(2018年4月13日付紙面より)
田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)で11日から御創建二千五十年奉祝式年大祭が始まった。初日は奉告祭の後、九鬼宮司と同祭推進協議会の榎本長治会長が境内に設置されている「八咫(やた)ポスト」上の金のヤタガラス像を除幕した。15日(日)まで、歌や踊りなどさまざまな奉納行事を予定している。
大社が旧社地の大斎原(おおゆのはら)へ鎮座し2050年を迎えたことを祝う祭り。初日午前は拝殿で祭りの無事を祝う祝詞を奏上し、みこが「浦安の舞」を奉納。午後から山川豊さんとビリケンが歌を奉納した。金のヤタガラス像は今年末まで設置し、ポストに投函(とうかん)すると金色の消印が押される。
九鬼宮司は祭り関係者ら約40人を前に「いよいよ待ちに待った2050年祭。心一つに推し進めいただくようよろしくお願いします。祭りはきりっとした中にも多くの人々の笑顔が見えることが大事。より一層本宮大社が輝けるよう、多くの人の心のよりどころとなりますよう今後ともよろしくお願いします」。
榎本会長は「昨年から準備を進めてきましたが、いよいよ今日から15日までが行事の中核。2050年に立ち会える感激を胸にご奉仕いただきますようよろしくお願いします」とあいさつした。
■主な行事日程
【12日】午前11時から熊野本宮館でマジックパフォーマンス▽午後2時から本殿前で「蘇る神仏の祈り―世界平和祈願音禅法要」
【13日】午前9時30分~午後3時ごろに本宮大社~湯の峰温泉~大日越で湯登神事▽午後5時30分から本宮大社~大斎原~真名井社で宮渡神事
【14日】午前9時から黎明殿で船玉大祭▽午前10時~11時に本殿前で「弓矢八幡」踊り▽午前11時から産田社で例祭▽午後2時から本殿前で水森かおり歌唱奉納▽午後2時ごろから大斎原で「ラフェスタプリマヴェラ2018」▽午後2時から本宮体育館で植芝守央合気道道主特別講習会▽午後3時40分から本宮体育館で合気道国際奉納演武▽午後5時から大社黎明殿で前夜祭
【15日】午前9時から大社本殿前で本殿祭、東儀秀樹奉納演奏▽午後1時から大社~真名井社~大斎原で渡御祭。
(2018年4月12日付紙面より)
境内施設整備事業で (熊野那智大社 )
境内の整備工事が進む那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)にこのほど、臨時拝礼所が設けられた。通常の参拝では入ることのできない本殿内庭に仮設されている。雨の境内で11日、参拝客らは間近に見る本殿に恭しく手を合わせていた。
足場で覆われた拝殿でのお参りを惜しむ参拝客の声を受け、より良い参拝をとの配慮から、7月に予定している拝殿内部の改修に先立ち仮設された。神職らは「工事に伴いご不便をおかけしておりますが、せっかくの機会ですので地元の方々もぜひご参拝ください」と呼び掛けている。埼玉県から訪れた70代男性は「拝殿を見て少し戸惑いましたが、特別な所でお参りできて良かった」と笑顔で話していた。
創建1700年記念の同整備事業の奉賛は、熊野那智大社境内施設整備事業奉賛会で随時受け付けている。
(2018年4月12日付紙面より)
こざ店の移動販売車運用開始 (みくまの農協 )
みくまの農業協同組合(村上幸弘代表理事組合長)は10日、串本町西向のAコープこざ店で移動販売車「移動スーパー・とくし丸(5号車)」の出発式を開いた。運用エリアは旧古座町域と河内橋より下流の古座川町域で、希望した世帯を週2回の頻度で巡回するという。
この車は、高齢化の進展に伴い増えている「買い物難民」支援策として導入。徳島県の企業「とくし丸」と提携してノウハウを取得し、同店とリンクさせる形で運用の段取りをつけた。買い物難民対策であると同時に、対象世帯の多くが見守り支援も必要としている事から、同組合は今月1日付で串本町や古座川町と連絡協定を締結。週2回の訪問時に理由なく面会ができない場合に役場へ連絡する体制を構築し、見守り支援の面でも貢献を目指す。
昨年2月になち店とリンクする1号車を初導入。以降1号車と共に那智勝浦町域と太地町域を巡回する2号車、ランティス店とリンクして新宮市域を巡回する3号車と4号車、そしてこざ店とリンクする今回の5号車が運用を始めるに至った。
出発式において村上組合長は「地区の高齢化が進み買い物難民が出てきている中、一つでもお役に立てればと思う。この地域で大勢の皆さんに喜んでいただけるよう努力したい」とあいさつ。来賓を代表して串本町の吉村眞也福祉課長は「日常の買い物が困難な皆さんの利便性が図られるだけでなく、高齢者の見守りや防犯にも大いに役立っていただけると思う。地域に根付き、利用者に末永く愛されることを願いたい」と期待を寄せた。村上組合長から5号車を運用する販売パートナー・菊本靖さんにキーを託し、村上勝俊常務理事の決意表明やテープカットで祝いつつ同車を送り出した。
同車は軽四貨物自動車をベースにし、荷台部分に移動販売機能を積載した仕様。日ごとにこざ店から商品を積み込んで出発し、小規模ながら店舗に近しい販売環境を希望世帯に届ける仕組みになっている。
商品は一品ごとに店舗価格より10円高く設定されていて、その利益で車両の運用費用などを賄う。河内橋より下流域としているのは、上流域で定着している既存の移動販売と競合せず共存するための配慮。移動販売が希薄な地域の買い物難民対策を基本にしていて、希望世帯訪問時に近所の人も買い出しの手間の軽減として利用してもらえればとしている。
菊本さんは親子2代で約60年の移動販売業を営んだベテラン。今後巡回する地域にも得手があるそうで、今後は販売パートナーとして地域の支えになる活躍が期されている。同車両の訪問希望など問い合わせはみくまの農業協同組合(電話0735・52・1177)まで。
(2018年4月12日付紙面より)
全日本学童軟式野球県大会支部予選
田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)の御創建二千五十年奉祝式年大祭(11~15日)に向け、同大社敬神婦人会有志5人が祭りで授与する菊を模した造花「挑花(ちょうばな)」を作っている。授かれば1年間災難がなく豊作である、とされている縁起物で、祭りまでに約800本作る。
挑花は直径約15㌢、高さ約60~90㌢。昨年10月から大社氏子総代会が材料集めなどの準備を始め、1月中旬から婦人会有志たちが花を作っている。赤、白、黄などの紙を花びらや葉の形に切って接着剤などで貼り付けて完成させる。
30年ほど作業に取り組んでいるという岡本ミチさん(73)=本宮町渡瀬=は「奉仕の気持ちで続けさせてもらっています。私は葉を茎に取り付ける作業に一番苦労しています」と話していた。
例大祭は、主祭神の家津美御子大神(けつみみこのおおかみ)=スサノオノミコト=が本宮に鎮座する際に「我を祀(まつ)るに母神(イザナミノミコト)をも同じく祀れ」と言ったという故事が起源。熊野市の花の窟(いわや)から母神を迎え、花を奉じて鼓、笛、旗をもって祭りを営むようになったと社伝に記されている。
15日(日)午後1時からの渡御祭(とぎょさい)で、木箱に無数の挑花を刺して飾った4基がみこしなどと共に真名井社(まないしゃ)を経て、旧社地の大斎原(おおゆのはら)まで歩く。かつては旧社地での神事が終わると氏子が挑花を奪い合ったが、現在は餅投げの赤餅と引き換えている。
大社氏子総代会の榎本隆文会長(66)は「挑花は本宮大社の例大祭のシンボルの一つ。40年ぐらい前にはみんなで激しく取り合っていました。例大祭の最後を締める餅まきは15日午後3時ごろです。今年は2050年の節目。日曜日が重なっていますので、大勢の人が来てくれると思います」と話していた。
(2018年4月3日付紙面より)
町長選挙は5月20日見込み (那智勝浦町 )
那智勝浦町は2日、役場応接室で記者会見を開き、森崇町長が辞職願を中岩和子議長に提出したと発表した。森町長は和歌山市内の病院に入院中で、矢熊義人副町長が辞職願を預かり、3月31日に中岩議長に出し、受理された。退職日は地方自治法の規定により、4月20日(金)付となる。町によると町長選挙は5月20日(日)までに実施する見通し。
記者会見で矢熊副町長は「新年度からの復帰に向けて、役場組織の再編と人事の体制を整えておりましたが、3月22日の検査において、病状が改善されておらず、今後は病院での入院治療が必要とのことで、町長の職務を続けていくことは厳しい状況であり、また町民の皆さまにこれ以上ご迷惑をお掛けすることはできないとの事から、辞職願を議会議長宛てに提出させていただきました」と森町長のコメントを発表した。
森町長は昨年12月24日に投開票された町長選挙で初当選した。当選2日後に検査を受け肺がんが判明。和歌山市内の病院で治療を受け、1月17日に初登庁したが、体調を崩し、和歌山市内の病院に入院。2月22日に復帰し、臨時議会に出席したが、3月8日から療養のため休職していた。
退職日は地方自治法の規定により今月20日となる。次の町長選挙で新町長が決まるまで矢熊副町長が職務を代理する。
(2018年4月3日付紙面より)
南紀串本観光協会が本稼働 (串本町 )
一般社団法人南紀串本観光協会(島野利之会長)が1日付で本稼働を始めた。観光関係4団体を統合した新法人で、前日に串本事務所と古座事務所(通称・南紀串本観光協会古座)の開所式を営み、士気高らかに弾みをつけながら新たな歴史への第一歩を踏み出した。
同法人は▽串本町観光協会(昭和30年~)▽古座観光協会(平成元年~)▽教育旅行誘致協議会(平成16年~)▽串本アウトドアフェスティバル実行委員会(平成17年~)の統合体として3月9日に法人登記。4者はいずれも任意団体で、前年度の総会で統合協議を進めることを決め、昨秋に観光関連団体統合調整協議会を立ち上げて同法人設立を目指した。併せて前年度末に解散し、同法人に有する諸事業を引き継いで本稼働させた。
事務所はJR串本駅社内の串本事務所とJR古座駅舎内の古座事務所の2カ所とし、旧養春小内にあった教育旅行誘致協議会事務所は串本事務所に吸収。同法人の両事務所は通信環境的一元化が図られ、どちらに問い合わせても同法人が提供する全てのサービスにつながる仕組みになっているという。
開所式は午後4時に串本事務所、午後5時に古座事務所で開いた。島野会長は串本事務所で「今、串本町にはいろいろな観光の追い風が吹いている。四つの団体が一つに固まることで、今までの業務がより充実し、新しいことにもチャレンジして、皆さまと一緒に素晴らしい未来に向かって進んでいきたい」とあいさつし、古座事業所では同法人のアウトドア部門を同事務所に集約し多くの皆さんの来訪で盛り上がる形にしたいと申し添えた。
来賓を代表して田嶋勝正町長は串本で串本太地道路の事業化やすさみ串本道路の起工式、古座で小型ロケット射場誘致推進室設置といった追い風の現況と展望を報告し、「これを受け止めきれなかったら串本町の浮上はないのかなという風が吹いている。その時にこういった力を合わせて誘客に努めることは素晴らしいことだ。まちもできる限りバックアップし、皆さんと共にがっちりと多くの観光客を獲得し地域経済発展のため頑張っていきたい」と思いを伝えて同法人の設立を祝った。
両事業所ともテープカットで祝い、日本トルコ友好キャラクター「まぐトル」や串本エギング大会ゲストで知られる西向出身のタレント・そらなさゆりさん(古座事務所のみ)も立ち会い華やかさを添えた。
両事務所とも開所時間は午前8時30分~午後5時30分で原則無休。問い合わせは串本事務所(電話0735・62・3171)か古座事務所(電話0735・72・0645)まで。
(2018年4月3日付紙面より)
官公庁で辞令交付式
官公庁で2日、辞令交付式があり新年度がスタートした。熊野地方の各自治体の首長たちは、昇任した幹部職員や新規採用職員らを前に少子高齢化、人口減少が進む地域を活性化するため一丸となって職務に取り組もう、と奮起を促した。
新宮市では田岡実千年市長が課長以上の管理職員、新規採用職員などと分けて人事発令通知書を一人一人に手渡した。幹部職員には「平成30年度は第2次総合計画がスタートする非常に重要な年。極めて厳しい時期ですが、全ての職員が一致団結し、課題に向き合い、市民本位の市政を推進していかねばなりません」と訓示。
新規採用職員には「今の初心と謙虚さを忘れず、任務に当たっていただきたいと思います。現場はあなた方の斬新な発想と活気に満ちあふれた熱意を心待ちにしています」と呼び掛けた。新規採用職員を代表して企画調整課の須川卓哉さんが「公務を民主的かつ能率的に運営すべき責務を深く自覚し、全体の奉仕者として誠実かつ公正に職務を執行することを固く誓います」などと宣誓。交付式の後、田岡市長は新規採用職員対象に訓話し、あいさつやチームワークの大切さを訴えた。
市の本年度新規採用職員は一般事務職8、消防職3、看護師1、一般事務職追加募集3の計15人。採用試験の受験者は計123人だった。受験者本人の希望により、得点、順位、合格ラインを開示している。問い合わせは市総務課職員係(電話0735・23・3333)まで。
(2018年4月3日付紙面より)
三和お花見グラウンドゴルフ大会
紀南十高校春季野球リーグ交流戦
全日本学童県大会支部予選 (準決勝、決勝は7日に市民運動競技場で )
発射場誘致の推進室 (串本町 )
日本初の民間ロケット発射場の建設誘致を進めている串本町は3月30日、同町役場古座分庁舎1階に「民間ロケット射場誘致推進室」を設置した。2日に開室し、職員2人が用地交渉や情報発信などを行っていく。発射場は同町田原地区が想定されている。
キヤノン電子など民間4社で設立した会社「新世代小型ロケット開発企画株式会社」=本社・東京都港区=は小型衛星打ち上げのロケット発射場の建設を計画。候補地の要件として▽射点を起点に半径1㌔圏内が恒常的に無人である▽射点から南方に陸地や島がない▽本州の工場から発射場まで低コストで物資輸送が可能▽周辺住民から歓迎されること―などを掲げ、昨年9月に47都道府県に適地を打診した。
県は串本町を候補地として推薦。同社は串本町を国内の第一有力候補地としたが、立地はまだ決定していない。
町は県と共に誘致を進め、2月14日に田原山村交流センターで地権者説明会を開いた。買収面積は約150㌶を予定。このうち7割は町有地。
推進室には田原地区出身の役場職員OB2人を配置し、用地交渉のサポートなどにあたる。
推進室の看板を設置した田嶋勝正町長は「候補地の最有力地の一つに入ったという話を受け、本格的に活動していこうと推進室を設けた。この事業の鍵となるのは地域の皆さん、関係する方々の同意と考えている」と述べ、「都心から一番離れた本州最南端の地で日本の最先端技術を結集したロケットの打ち上げ場ができる。実現はまだ分からないが、ロケットが舞い上がる姿を夢見ながら頑張りたい」と意欲を示した。
県商工観光労働部企業政策局産業技術政策課の佐久秀弥課長は「鹿児島県の発射場を視察したが、交通の便の悪い場所なのに1000人を超える見学者が訪れていた。発射場の誘致は産業振興と同時に、串本町を含む熊野地方広域の地域活性化に役立つ事業だ」と話した。
(2018年4月1日付紙面より)
絵本の会「よむよむ」に助成金 (那智勝浦町 )
子どもたちに絵本の読み聞かせを行う那智勝浦町のボランティア団体、絵本の会「よむよむ」が平成29年度伊藤忠記念財団助成金対象に選ばれた。3月2日に東京都内で開かれた贈呈式には、会員の伊藤松枝さんが出席した。
「よむよむ」は、町内の保育所・園、図書館などで絵本の読み聞かせや手作りの紙芝居を行い、0歳児健診を利用した絵本で親子のふれあいを促す「ブックスタート」にも力を入れている。28年には、子どもの読書を推進する活動が顕著な団体に贈られる文部科学大臣表彰を受けた。
伊藤さんらは20年にわたるボランティア活動を振り返り、10年前に受けた同事業の「子どもの本100冊助成」や、イオンが毎月実施するボランティア団体への売上金還元システム「イオン 幸せの黄色いレシートキャンペーン」も活動の支えとなったと感謝した。「本の購入以外にも、紙芝居の画材や折り紙などの購入費に充てました。今回の助成金も含め、支援システムがあることをボランティアの方々に知ってもらえれば」と話した。
伊藤さんは贈呈式で、ICBA国際児童文庫協会のオパール・ダンさんがスピーチで紹介した『人を深いところから突き動かすのは、子どもの頃の何か、奥深くに眠っていたものなのです』という言葉に感銘を受けたと話し、「いただいた助成金をもとに活動をさらに充実させて、子どもたちのために役立てていきたい」と語った。
(2018年4月1日付紙面より)
2日から外来診察スタート (那智勝浦町立温泉病院 )
那智勝浦町天満の新町立温泉病院(那智勝浦町天満1185番地4)で3月30日、開院に向け器具などの移転作業が進んだ。新病院は4月2日(月)に開院し、午前9時から外来診察を開始する。
新たに購入した医療機器などの搬入は済んでおり、28日に診察を終えた旧病院からの移送が主なもの。この日も作業トラックのピストン輸送が続いた。
新病院は鉄骨造り地上4階と塔屋階、延べ床面積9260平方㍍。診療科目は内科、整形外科、リハビリテーション科、眼科。病床数は120床。職員住宅棟は、鉄骨造り地上2階、延べ床面積626平方㍍。単身用12戸、家族用3戸、会議室1室。院内のリハビリテーションセンターは広さ約400平方㍍あり、日本で初導入となる歩行訓練のVRトレッドミルや運動解析装置などを設置している。
(2018年4月1日付紙面より)