20日、「生命のメッセージ展」 (新宮市 )
新宮市の王子公民分館は20日(土)、市立王子ヶ浜小学校体育館で「生命(いのち)のメッセージ展 in 新宮」を開催する。遺族が制作した、理不尽に生命を奪われた犠牲者を型取りメッセージを託した30人分の「メッセンジャー」が展示される他、NPO法人「KENTO」代表の児島早苗さんが「生命(いのち)を越すものはない」を演題に講話する。
紀南交通事故被害者の会代表の中岡貴恵さんは5日、新宮市佐野の自宅で同展に展示する「メッセンジャー」の制作に当たった。中岡さんは2018年12月15日、最愛の母・中尾叔子さん(享年85)を交通事故で亡くした。
高齢ドライバーによる危険運転を避けようとして起こった事故だった。加害者は逃走。警察により発見されたが「加害者とその家族の誠意と反省が全く感じ取れない対応に苦しんだ」という。
そんな中、(公社)紀の国被害者支援センターから児島さんを紹介され、児島さんが会員であるNPO法人「いのちのミュージアム」(鈴木共子代表理事)が開催する「生命のメッセージ展」に参加する機会を得るとともに、新宮市での開催実現に至った。児島さんは息子の健仁さん(享年18)を、鈴木さんもまた息子の零さん(享年19)を、それぞれ交通事故で亡くしている。
「生命のメッセージ展」は殺人や悪質な交通事故、いじめ、医療過誤、一気飲ませなどの結果、理不尽に人生を断ち切られた犠牲者が主役のアート展。犠牲者一人一人の等身大の人型「メッセンジャー」(硬質発泡材)に遺品の靴、残された遺族がつづったメッセージが添えられているもので、向き合う者に命の重さや尊さを訴える。
中岡さんは叔子さんの身長に合わせて硬質発泡材を切り抜き、生前の写真と母、そして来場者に向けたメッセージを貼付。生前愛用していた靴を供え、最後にフェルトで作成したハートを心臓部分に付けて命を吹き込んだ。
中岡さんは「メッセンジャーの方たちからの声が届き、誰もが不幸になる交通事故を減らすことの実現を望んでいます。全てのドライバーの方にハンドルを握る責任と、事故により奪ってしまうものの重み、命の尊さを心に留めて運転していただけることを願います」と話す。
児島さんは「残された家族の一人一人は孤立しているが、こうしてつながることで光が見えてくる。一人じゃないと思えることが歩き出せる一歩になると思う」。
鈴木さんは「彼らはもっと生きたかったはず。失ってから大切な存在に気付かされた。当事者たちが声を上げなければならない。結果的に救われる命が増えることにつながるのでは」と話している。
同展は入場無料。午前9時から午後3時まで。「メッセンジャー」は開催時間中、いつでも観覧することができる。
同公民分館の野尻和則分館長は「今回は地元の濵田雅美市議が尽力してくださり、たくさんの団体が協力してくれた。王子公民分館としても全面的に協力体制を整え実現に向けて活動した。王子公民分館地区以外の方にも、ぜひ一人でも多くの方に参加いただき、かけがえのない命の大切さを改めて考えるきっかけになれば。また、南紀地方初の開催が当公民分館であることを誇りに思い、今後も地域のための活動にさらに努めてまいります」と広く来場を呼び掛けている。
(2021年11月17日付紙面より)
市民ミュージカル、大盛況 (新宮市 )
新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」で14日、一般社団法人「熊野新宮ミュージアム」(池上順一代表理事)の市民ミュージカル「天(あめ)の剣(つるぎ)を託された男~熊野三党の祖高倉下命(たかくらじのみこと)~」があった。観客らはミュージカルを通して当地方の歴史・文化に触れる機会とした。
「紀の国わかやま文化祭2021」の地域文化発信事業の一つとして実施。物語は、新宮地方に伝わる「神武東征」と神倉神社の「御燈祭(おとうまつ)り」を基に、それらをつなげる熊野三党の祖・高倉下命を主人公に制作。高倉下命が神武東征の最大の危機を救う様子がドラマチックに描かれている。
熊野新宮の歴史文化を継承、発信し、郷土愛を育むとともに次世代への橋渡しを行う目的で設立した同法人は、このたびの公演に当たり一般から出演者を募集。当地方においても新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう中、一部振り付けを変更するなど試行錯誤を重ねながら練習を重ねてきた。
2回に分けて開催されたこの日の公演では、出演者がダンスや演技、歌、演奏などで観客を魅了。約70人が織り成すダイナミックな舞台に、観客席からは惜しみない拍手が送られた。
公演終了後、髙由香専務理事は「新型コロナの影響などで一時はどうなることかと思ったが、出演者の皆さんの集中力で乗り越えることができた。ミュージカルを通して良い仲間に巡り会えた。カーテンコールでは感極まりました」と話していた。
(2021年11月17日付紙面より)
日野のラグビー選手ら串本で (串本町 )
串本町総合運動公園で13日、社会人ラグビーチーム「日野レッドドルフィンズ」のキャンプが始まった。昨年に続き2回目で、期間は18日(木)までの6日間。15日は串本町と県ラグビーフットボール協会が歓迎セレモニーを開き、地元を代表して同町立西向小学校(山本隆介校長、児童50人)が選手との交流に臨むなどした。
東京都日野市を拠点にする同チームは、「ラグビーを通じて社内外の人々の心身の健全な発達と地域社会の発展・活性化に貢献し、社会的課題を解決する」を理念に掲げて活動。現在は日本ラグビー界のレジェンドとたたえられる箕内拓郎ヘッドコーチ(=監督)の下、来年1月に開幕するジャパンラグビーリーグではリーグワンの一角として競う強豪ぶりを発揮している。
今回のキャンプには選手とスタッフ約70人(今回は日本代表選手を含まず)が参加。期間中は本来の目的である練習に加え、理念に基づき▽西向小との交流▽同協会関係で和歌山市立西浜中学校・県立新宮高校・県立新翔高校の各ラグビー部を対象にした教室(14日に実施済み)▽同町消防本部(寺島正彦消防長)の訓練体験(16日に実施済み)―といった交流にも打ち込むという。
同セレモニーには町の平井治司副町長、潮﨑伸彦教育長、寺島消防長と宿泊拠点のホテル&リゾーツ和歌山串本・久保幸彦支配人、同グラウンドを運営する町B&G海洋センター・林享所長、同協会の田中義人副理事長、西向小一同らが出席。代表してラグビーの熱烈な愛好者でもある平井副町長が歓迎のあいさつを述べ田中副理事長と西向小児童代表が差し入れ(ミカン)と花束を贈呈し、同チームを代表して堀江恭佑共同キャプテンはキャンプのつながりの延長で今後の民間小型ロケットの打ち上げも見てみたいと希望しつつ「串本で成長したと言える合宿にしたい」と抱負を掲げ、引き続きの支持を求めて歓迎に感謝した。
西向小と選手の交流内容は前半がコートすぐそばからの練習見学、後半はフィールド内で選手の守りを突破してトライする体験。残った時間で事由に交流してお互いに親しみを深め合った。
(2021年11月17日付紙面より)
勝浦小で「魚」の出張講座 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立勝浦小学校(山下真司校長)で11日、和歌山県主催の出張!県政おはなし講座「魚の骨を知っておいしく食べよう」が開かれた。東牟婁振興局農林水産振興部農業水産振興課の松尾怜さんが講話し、5年生49人にさまざまな魚の知識を伝えた。
子どもの魚食離れが進んでいるといわれる中、魚の骨の構造や骨を取りながらきれいに食べるこつを教わることを通じて、楽しく魚を食べてもらうことが目的。
松尾さんは、県内で行われている漁法や魚の進化の過程、魚と人間の骨の共通点などを解説。魚の食べ方について▽頭から尾びれまで身の真ん中に箸で一本切れ目を入れる▽一口ずつ身をほぐして食べる▽頭と背骨を外す▽下の身を食べる―という手順を教えた。
講座の最後には「サメの体も魚と同じですか?」「イカやタコにも骨がある?」「毒のある魚の見分け方は?」など数え切れないほどの質問が児童から出された。松尾さんは「勝浦小学校では家族が漁業関係の仕事をしている子もいて、他地域の小学校より魚の知識が豊富な子が多いのでは」と驚いていた。
この日の5年生の給食には、県産のアジの塩焼きが1匹ずつ提供され、児童はきれいに食べようと箸を進めていた。
(2021年11月17日付紙面より)
ジラソーレフットボールクラブが始動
LC杯東牟婁地方少女バレーボール大会
城南中2年がオンラインで (新宮市 )
南北アメリカ大陸にある六つの国・地域の和歌山県人会と県内12校の小・中学校・高校の児童・生徒約800人が一堂に会する「わかやま国際ネットワーク」全体交流会が8日、オンラインで開かれた。本紙エリアからは新宮市立城南中学校の2年生45人が参加し、県の移民史や異文化に触れた。
和歌山県主催。同県は全国6位の移民県であり、戦前から現在まで約3万3000人を世界各地に送り出している。移民した人々は現地で親睦や相互扶助のために県人会を組織し、2019年には初の和歌山県人会世界大会を開催。23年の第2回世界大会に向けて毎年11月を「わかやま国際スピリット推進月間」とし、交流事業を展開していく。
今回の交流会には南加(南カリフォルニア)和歌山県人会、シアトル紀州クラブ、在パラグアイ和歌山県人会、ブラジル和歌山県人会連合会、在ペルー和歌山県人会、在アルゼンチン和歌山県人会が参加し、現地での生活を紹介。城南中学校のパートでは、映像を通じて教室やクラブ活動、文化祭の様子を伝えた。
12月には県がマッチングした在ペルー和歌山県人会の個別交流会を開催する予定で、同会のソニア・サカタ会長は「ペルーの県人会は今年30周年を迎え、会員は100人ほど。皆さんとの交流を楽しみにしている」と語った。
板谷智大(ともき)生徒会長は「和歌山県出身の移民がたくさんいることを初めて知った。交流会を通じて、城南中のいいところをたくさん知ってほしい」と話していた。
(2021年11月11日付紙面より)
幼年消防クラブがパレード (那智勝浦町 )
秋の全国火災予防運動(9~15日)に伴って9日、毎年恒例の防火パレードが那智勝浦町であった。町立勝浦認定こども園(築紫依美香園長)の幼年消防クラブの鼓笛隊や町消防本部、消防団員ら約50人が町役場~那智勝浦観光機構バスターミナルを歩き、火災予防を呼び掛けた。
パレードは火災予防と防火意識の高揚が目的。役場玄関前の出発式では、堀順一郎町長が「町内の皆さんに『火の用心』を呼び掛けるため、ぜひ頑張って。保護者の皆さまは暖房器具の点検などで防火に努めてほしい」とあいさつした。
園児は「僕たち私たちは、火遊びはしません」と誓いの言葉を述べ、「火の用心の歌」を演奏。代表園児4人が堀町長や湯川辰也消防長、下地将仁団長らから「ミニまとい」を受け取り、パレードを開始した。
鼓笛隊の演奏や拍子木の音が響くと、地域住民らも店先から顔をのぞかせ、園児たちの姿を見守った。保護者たちもビデオカメラを手に、一緒に町を歩いた。
バスターミナルの解散式では鼓笛隊が隊列変化を披露しながら「夜に駆ける」を披露。築紫園長は「子どもたちは毎日練習を頑張ってきた。今日皆さんの前で演奏できたことが、大きな自信につながると思う。今後も引き続き、火災予防の大切さを地域に広報していきたい」と述べた。
湯川消防長によれば、今年発生した火災件数は4件で、建物火災が2件、山林火災が1件、その他火災が1件。火災が増えるこれからの時季、▽寝たばこをしない▽ストーブの周りに燃えやすい物を置かない▽コンロを使うときはそばから離れない▽コンセントのホコリを掃除する―の4点と、住宅用警報器の設置・点検を呼び掛け、「寒い季節も『火の用心』をよろしくお願いします」と話していた。
(2021年11月11日付紙面より)
演劇部が創作作品で近畿へ (串本古座高校 )
県立串本古座高校演劇部(谷口克朗顧問、青木心優嘉(みうか)部長、部員9人)の創作作品「桜の花の咲くころに」がこのほど、県高校総合文化祭演劇部門(以下県大会)で最優秀賞を獲得。県代表として近畿高校総合文化祭演劇部門(以下近畿大会)に出場することとなった。
同部は8月に県内であった紀の国わかやま総文2021(=第45回全国高校総合文化祭)の演劇部門をボランティアスタッフとして支持。トップクラスの作品発表に刺激を受け、高まる気持ちが冷めないうちに自身の作品創作に取りかかったという。
青木部長(2年)が考えた筋書きを原作とし、部員9人一丸で工夫を注ぎ込み練り上げたのが前述した創作作品。全国各地から夢を持って上京した若者4人の1年目の挑戦と人間模様を学生マンションの屋上を舞台にして描き出す内容で、創作をしながら同時にキャスト4人、スタッフ5人と手分けして稽古や準備を進め、大会4日前に県大会時点の形がほぼ仕上がるほど打ち込んだという。
キャラクター設定を詳細に詰め、どの場面に何を入れ込むかで特にこだわったそう。県大会は先月27~29日に県民文化会館であり、74回目を数える今回は8校が作品を発表する中で最優秀賞をつかみとった。
同部は2015年に作品「扉はひらく」、翌16年に作品「幸と歩」で同賞を連続受賞していて、今回は5年ぶりの獲得となる。青木部長は「作品を発表するまでとても緊張したけれど、本番は今までで一番良くできた。(先月29日に)結果を聞いた時はすぐに実感は湧かなかったけれどうれしかったし、泣いたり抱き合ったりしてみんなで喜んだ」と県大会の挑戦を振り返って語る。
近畿大会は今月19日(金)~21日(日)、滋賀県大津市にあるびわ湖ホールで開かれる。府県代表が競演するワンランク上の舞台に向け、同部は今ある原型をとどめつつ直せるところを直して県大会以上に仕上げ、全国を目指して挑む考え。そのような中、5日にあった同校文化祭で校内上演もし、鑑賞した生徒教職員から励ましを受けるなどして意気込みを高めている。
地域への披露については目下12月19日(日)に串本町文化センターで公演を開く方向で調整を進めているという。
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創作作品「桜の花の咲くころに」を支える部員は次の皆さん。
■キャスト
青木心優嘉〈部長〉
森 風香 廣瀬みりか
田中歩実
■スタッフ
久保文乃 船井早来
浦木利菜 海野 藍
坂井美優
※海野さんは作中に登場する鳥の声も担当。
(2021年11月11日付紙面より)
新宮市内2カ所で街頭啓発
新宮市人権尊重委員会(会長・田岡実千年市長)は10日、同市佐野のスーパーセンターオークワ南紀店前と、同市橋本のイオン新宮店前で街頭啓発を実施した。同委員や東牟婁振興局職員ら約50人がチラシやポケットティッシュなどの啓発物資を買い物客たちに配布した。
和歌山県は11月の「同和運動推進月間」に当たり、同和問題をはじめとするさまざまな差別に対する理解を深めてもらおうと県内各地で啓発活動を展開している。市は同月を「差別をなくする強調月間」とし、人権問題の早期解決を図るため実施している。
スーパーセンターオークワ南紀店では、田岡市長が「市では1953年に人権尊重委員会が結成され、あらゆる差別の解消を目指し取り組みを進めています」とあいさつ。「啓発活動によって市民の皆さんと共に、『差別のない明るいまちづくり』を行っていくという私たちの思いを届けていければ」と呼び掛けていた。
新宮市では強調月間に伴い、人権尊重文集「春を呼ぼう」の発行や、市庁舎正面に「広げよう やさしい心と思いやり」の懸垂幕を掲揚するなどしている。今年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、例年開催している「市民のつどい2021・ふれ愛講座」は中止となった。
(2021年11月11日付紙面より)