那智勝浦町で起工式 (国土交通省など )
那智勝浦町天満の町体育文化会館で25日、一般国道42号串本太地道路の起工式があった。国土交通省や和歌山県、関係・近隣自治体関係者、地元選出国会議員ら約200人が出席。くわ入れや餅つきなどをもって工事の順調な進捗(しんちょく)を願った。
2019年度に全線事業化された紀伊半島一周高速道路(近畿自動車道紀勢線)。串本太地道路(太地IC〈仮称〉~串本IC〈仮称〉)は、18年度に新規事業化した。区間は那智勝浦町八尺鏡野(やたがの)~串本町鬮野川(くじのかわ)の延長18・4㌔で総事業費は900億円。
20年度から用地買収を進めており、用地取得率は面積で39%(今年3月31日現在)。今月中旬に太地IC付近の道路改良工事に着手している。
式典開催に当たり、国交省の村山一弥道路局長が「皆さま方の協力を得ながら早期完成を目指したい」と式辞。仁坂吉伸知事が、関係者や地域住民の協力や自民党の二階俊博衆院議員らの尽力に感謝を伝え「この地域は観光資源も多くいろんなものがそろっている。このインフラを基に私たちのまちづくり、地域づくりを進めていきたい」とあいさつした。
二階議員は「道路を活用して、その次にある観光や産業などさまざまな振興につなげていくことが大事。道路が良くなれば観光地として素晴らしいことは全国の人たちが知っている。将来、地域の子どもや孫から賞賛を浴びることができるように、地域の発展に真剣に取り組んでいきたい」と祝辞。
世耕弘成・自民党参院幹事長は「道路ができることによって地域の皆さんの不安が解消でき、多くの観光客を呼び込むことが可能となる。一日も早く完成できるよう汗をかいていきたい」。
自民党の鶴保庸介参院議員は「二階先生をはじめ多くの方々の努力があった。それをかみしめながら新たなスタートとしたい」とそれぞれ祝いを述べた。
地域住民や地元の子どもたちなどによる応援メッセージが動画で流された他、式典最後には堀順一郎那智勝浦町長の呼び掛けに応じ、出席者全員で万歳三唱。一日も早い開通を祈念した。
台風による越波などにより被災するリスクが高い箇所が多数存在し、南海トラフ巨大地震発生時には津波により約8割が浸水し通行不能となることが予測されている区間の現国道42号。
紀伊半島一周となる幹線道路として救急医療活動の支援と広域周遊観光の支援などを目的とする同道路の開通によって、災害時の交通確保を図る目的もある。また、開通により古座川町役場から新宮市立医療センターへの搬送時間が約12分短縮される見込み。同道路を含む近畿自動車道紀勢線が整備されることにより、紀伊半島の観光地を結ぶ周遊観光ネットワークが形成される。
(2021年12月28日付紙面より)
28日にかけても冬型の気圧配置
強い冬型の気圧配置の影響で、日本列島は27日、北日本から西日本の日本海側を中心に大雪が続いた。熊野地方でも26日から27日にかけて雪が降り、山間部などで雪が積もる所もあった。
和歌山地方気象台によると28日、南部ではおおむね晴れる見込みだが冬型の気圧配置が続く予想。路面の凍結による交通障害などに注意が必要だ。
熊野市紀和町の丸山千枚田では稲刈りが終わり、一休み中の棚田が一面銀世界に早変わり。27日も強い寒気が居座り、早朝には朝焼けに映える雪景色の棚田が広がった。
南国熊野の積雪を撮影しようと、朝早くからカメラマンたちが千枚田を訪れ、雪が積もる棚田をカメラに収めていた。
(2021年12月28日付紙面より)
互盟社がクリスマス奉仕 (古座川町 )
古座川町高池、下部区に拠点を置く青年団体「互盟社」(瀧本功社長)が25日夜、区内や社員の子ども約50人にクリスマスのプレゼントを届けて回った。
同社にゆかりがある子どもの楽しみを後押しするべく青年有志が始めた活動を受け継ぎ、同社をいっそう身近に感じてほしいという思いも乗せて毎年取り組んでいるクリスマス奉仕。
今年は社員9人がサンタクロースやモミの木、トナカイなどの衣装を身に着け、区内の子ども宅と区外社員の子ども宅の二手に分かれて訪問してお菓子やお楽しみのくじが詰まったプレゼント袋を配った。当たりくじは区内にあるもりとよ商店で使える商品券や互盟社賞で、同賞が当たった子どもには年齢相応にお菓子以外のプレゼントを届けるという。
先月の役員改選で新たに着任し、この日の奉仕が初の社長活動となった瀧本社長(42)は「互盟社の存在を地域の子どもたちに知ってもらえたらという思いが一番。大勢の子どもたちに興味を持ってもらい、互盟社と一緒に地元のお祭りに参加してもらえたら」と奉仕に込めた思いを語った。
(2021年12月28日付紙面より)
那智の滝で大しめ縄張り替え (那智勝浦町 )
那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で27日、世界遺産である那智の滝で恒例の大しめ縄の張り替えがあった。周囲の山や参道が雪化粧した中、日本一の落差133㍍の滝口で神職たち5人が足元に注意を払いながら慎重に新しいしめ縄に取り換えた。
那智の滝は同大社の別宮・飛瀧(ひろう)神社のご神体。張り替え作業は7月14日の例大祭「那智の扇祭り(火祭)」の前と年末の毎年2回行われている。
しめ縄はサラシ製で長さ約26㍍、重さ約4㌔。大社本殿で安全祈願を行い、白装束に烏帽子(えぼし)姿の神職らが表参道約2㌔の
道のりを運んだ。到着後、粉雪が舞う中、滝の流れに足をつけた神職らは声を掛け合いながら無事にしめ縄を設置した。
年2回の張り替えの様子を見物できたことを喜び、写真撮影を行う参拝客らの姿も見られた。また、昨日には境内の大鳥居などのしめ縄も張り替えられた。
男成宮司は「今日はすす払いを行い、しめ縄の張り替えも済み、新年を迎える準備が整った。今年は厳しい社会情勢だった。そういうものが清められ、すがすがしい明るい一年になることを祈っています」と語った。
同大社では新年の新型コロナウイルス対策として▽階段の一方通行化▽検温・アルコール消毒の実施▽石畳にテープを貼って参拝者同士の距離を空ける▽拝殿前をポールで仕切る―などの対策を施すという。
なお、那智の滝は大みそかから元旦にかけて青岸渡寺の三重塔とともにライトアップされる。
(2021年12月28日付紙面より)
元気いっぱい寅描く (勝浦八幡神社 )
那智勝浦町の勝浦八幡神社(髙橋正樹宮司)で11日、初の大絵馬作りが行われた。太地町在住で日本画家の土長けいさんと共に町内の3歳から12歳までの32人が参加。子どもたちは来年の干支(えと)である「寅(とら)」を色とりどりの絵の具を使って自由に描いた。大きな虎と小さな虎が寄り添い、勝浦の祭りで見られるササが彩りを添えた大絵馬は30日(木)に境内に掲げられる予定。
大絵馬作りは神社本庁の過疎地域活性化推進施策を同社が受け実施。髙橋宮司によると「勝浦でも大絵馬を作りたい」という声もあり、今回に至ったという。これまでには太地町の飛鳥神社で2度、大絵馬が制作されている。
髙橋宮司は「町が元気になるように、皆さんの元気で自由に描いてください」とあいさつした。
大絵馬は縦120㌢、横150㌢のヒノキ製。今回は感染症対策と参加人数が多かったことから、「大虎」「小虎」「ササA」「ササB」の四つの班に分かれて、アクリル絵の具や筆を用いて作業に取り組んだ。順番を待つ班は小さな絵馬に好きな絵や目標を描いていた。
また、神社総代会のメンバーらが大絵馬を設置するための絵馬立てにニスを塗るなど協力した。子どもたちは「楽しい。もっと塗りたい」「模様をもっと付けたい」と笑顔で楽しんでいた。
土長さんは「元気な絵馬ができた。班が変わるごとに完成に近づくのは不思議で面白かったのでは。わくわくしながら楽しむ感覚を記憶していただくことが大事」。
髙橋宮司は保護者に対して「町の元気がないと神社も元気が出ない。子どもたちが地元を出ても、今回の絵馬を思い出して帰ってきてもらえたらありがたい。ふるさとを愛する気持ちを伝えていただけたら」。子どもたちの絵馬については「皆さんが真剣な表情で集中して描いてくれた。心に残ってくれたのでは。元気いっぱいの絵馬になった。面白かったなと思っていただければうれしいです」と語った。
大絵馬作りは毎年実施する予定で、新しい大絵馬ができた際は社務所に設置していくとしている。
(2021年12月15日付紙面より)
旧古座分庁舎で体験企画 (串本町 )
串本町が11、12日の2日間、旧役場古座分庁舎で体験企画「どんな力をつければ宇宙飛行士になれるか?~宇宙飛行士候補者選抜試験に挑戦!!」を実施した。
この企画は、町が前年度に町民向けワークショップを監修するなどロケット振興事業に協力した株式会社USPジャパン=東京都=の提案に基づいて展開する機運醸成策の一つ。同試験の体験を通して宇宙への関心を高めてもらうことを狙いとし、今月と来年1、2月に計3回開く予定という。
初日は町内の小学生~高校生や小中学生の家族、2日目はガイドや教育関係者を対象とし、講師は宇宙関係の次世代教育団体「日本宇宙少年団」の宇宙兄さんズ(小定弘和・副事務局長と小島俊介・宇宙ホンモノ体験総括の2人)が担当している。
両日とも90分の枠組みで「図形を言葉で伝える」など同試験3題を体験する内容。2日目は内容の意図や体験を動機付ける要領など指導する側のノウハウ解説も含んでいる。
講師2人は宇宙という素材が子どもたちの成長にとても役立つことや、その実行手段として同団が展開している宇宙教育の理念や正しい情報に基づく進め方などを町域へ伝えて託す思いで取り組んでいるそう。残り2回も同一の内容を体験提供するとして、思いの裾野を広げるため対象となる子どもやその家族、ガイドや教職員の意欲的な参加を期待した。
□ □
■今後の実施は後日告知
この企画は参加無料、事前申し込み制。1、2月の詳細は同日現在未定で、事務担当の町企画課ロケット推進室は決まり次第、学校や観光協会経由の告知などで伝えるとしている。問い合わせは同室(電話0735・67・7004)まで。
(2021年12月15日付紙面より)
市民有志が署名提出 (新宮市 )
新宮市民有志(清原和代代表世話人)ら6人は14日、新宮市役所を訪れ、田岡実千年市長に市立医療センター常勤産婦人科医師の確保を求める9856人分の署名を届けた。
常勤医師1人の退職決定に伴い、来年3月19日以降の分娩(ぶんべん)予約休止を発表している同医療センター。新宮・東牟婁エリアの中核病院として、年間約300件の分娩を行ってきた。
このたびの署名は、約2週間の期間内において市内を中心とした市立医療センター圏域内の住民らから集められたもの。清原代表世話人は1万近く集まった署名を田岡市長に手渡すとともに、医師の確保を強く求めた。
清原代表世話人は、他府県において出産の際にトラブルがあり、30分離れた総合病院に移送されたが脳性まひとなり、30代で亡くなった事案や、個人病院で普通分娩を予定していたが予定日が遅れ、血圧が異常に上昇したため緊急帝王切開手術になり、ドクターヘリで受け入れ可能な病院で出産した事案など、署名活動の賛同者から寄せられたエピソードを紹介。
「今まさに子どもを作ろうとした矢先に今回の休止を聞き、新宮を離れる選択を語り合う夫婦の嘆き、よそで暮らす娘さんの里帰り出産を望む親御さんの不安など、心から安心して出産できない憂いの数々を耳にした」と述べ、引き続いての医師確保や、法律や条令など改正実現に向けた取り組みを要望した。
署名の重みを両手で受け取った田岡市長は「医療センターで分娩できないということはあってはならない。(署名は)心強い。必ず医師を確保するという強い思いで引き続き努力したい」。
「市民の安心安全の根幹は医療。長期的にも医師不足解消は課題。最優先事項として取り組み、医療センターの充実に努めたい」と述べた。
清原代表世話人は紙面を通して「市長に皆さまの思いを届けることができました。署名へのご協力、ありがとうございました」と感謝を伝えている。
(2021年12月15日付紙面より)
自然探訪スクールに19人
那智勝浦町の環境省宇久井ビジターセンターで11日夜、熊野学研究委員会自然部会と新宮市教育委員会主催の自然探訪スクール「上弦の月と冬の星座」が開かれた。近隣市町から親子連れなど19人が参加し、天体観測を楽しんだ。
美しいふるさとの自然に触れ親しみながらその恵みに感謝し、大自然の営みを学び、それを愛護する精神を培う目的で毎年開催している。今回は元中学校教諭の小林眞人さんが講師を務めた。
小林さんは屋外に設置した望遠鏡で、金星や土星、木星などの惑星を見せ、土星の衛星タイタンや月の表面なども観察。冬の代表的な星座や、地球の自転によって星が移動しているように見える仕組みを解説した。
小山田眞志君(神倉小5)は「土星の輪っかや、木星の衛星が三つ並んでいるのが見えた。いつか宇宙に行ってみたい」と話していた。
□ □
■ふたご座流星群
三大流星群の一つであるふたご座流星群が、14日ごろに極大を迎える。今年は月夜のため、観察は月が沈んだ15日(水)午前3時から明け方までがおすすめ。
ふたご座流星群は、小惑星フェートンが軌道上にまき散らしたちりの道(ダスト・トレイル)に地球が突入することで、宇宙空間の流星物質が大気と衝突し、多くの流れ星が出現する現象だ。
(2021年12月15日付紙面より)
日本少年野球和歌山岩出大会
県レスリング新人大会で活躍 (新宮高校 )
熊野三山小学生バレーフェスタ
打ち上げ開始の延期明かす (スペースワン株式会社 )
スペースワン株式会社(太田信一郎代表取締役)が11日、小型ロケット「カイロス」の打ち上げ開始について来年年末ごろを目指して取り組む考えを明かした。当初掲げた本年度中からの延期で、同社の阿部耕三取締役(43)は新型コロナウイルス感染拡大に伴う部品調達難を事由として挙げている。
同社は串本町田原に射点がある民間小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」の運営母体。現在の進捗(しんちょく)状況などを説明したいと地元のスペースポート紀伊周辺地域協議会(会長・下宏副知事)へ申し入れ、串本町サンゴ台にあるホテル&リゾーツ和歌山串本で開かれた臨時総会に出席して説明する中で打ち上げ開始延期の経緯を伝えた。
説明に臨んだ阿部取締役によると、同発射場の建屋は完工し現在設備を整備中。必要な部品を国内外から調達しているが、世界規模の感染拡大に伴う生産、物流の停滞で思うように進まず、打ち上げ前の試験も含めて計画に遅れが生じ本年度中の開始が困難になったという。地元の期待に添えないことへの謝意と今後も地域と共生する企業であり続ける思いを掲げ「来年年末ごろを目指して取り組んでいきたいと考えている」と伝えて理解と協力を求めた。
会員から意見や質問はなく、下副知事は「来年年末で努力していただける」と解してこの報告を受け止めた。
(2021年12月14日付紙面より)
みんなで考える防災の継続を (紀宝町 )
2011年の紀伊半島大水害から10年の節目を迎え、紀宝町は12日、町総合防災訓練を実施。32の自主防災組織が避難や炊き出しなどの各種訓練に取り組み、参加した約1600人が防災意識の高揚を図った。
午前9時、大津波警報、大雨洪水警報、土砂災害警戒情報発令の放送が流れ、各地区で訓練を開始。鵜殿6組自主防災は、高台の一角で避難者の受け入れ訓練を行い、約60人がテント設営やコロナ対策を意識した炊き出しなどに取り組んだ。野村由美代表は「継続することで防災意識につながる。今後も続けたい」と話した。
□ □
午後からは町生涯学習センターまなびの郷で開催。町防災行政総合アドバイザーで東京大学大学院客員教授の松尾一郎さんが「備えは命を守る」をテーマに講演した。
▽危機感を共有できる社会▽被害を想定できる人を増やす▽役割に応じて正しく行動する「地域とひと」をつくる―の防災三原則を紹介。「みんなで考える防災を継続し、タイムラインは使いながら改善を」と示した。
大水害から10年をテーマに、西田健町長、近畿地方整備局の小島優・河川部長、紀南病院の森本真之助医師、津本地区自主防災会役員がパネル討論を展開。西田町長は「タイムラインが町の文化となるよう災害に強い町づくりに努める」と語った。
小島部長は河道掘削や護岸整備などを紹介し「治水対策を総合的に進めていく」とした。コロナ禍の避難について森本医師は「マスク、手洗い、3密回避を徹底し、ためらわず避難することが大切」と解説した。
パネラー4人が「人の命が一番」「事前防災」「何よりも命が大事」「段取り8割」と命を守るキーワードを掲げ、コーディネーターの松尾さんは「今後は南海トラフ地震対策が求められる。災害に強い地域に向けて一緒に取り組んでいきたい」と締めくくった。
(2021年12月14日付紙面より)
新宮市名誉市民・西村伊作(1884~1963年)と、伊作と親交があった小説家で牧師の沖野岩三郎(1876~1956年)の原稿がこのほど発見された=写真。同市丹鶴の旧チャップマン邸では11日、伊作のひ孫の立花万起子さん立ち会いのもと記者会見が開かれ、市立佐藤春夫記念館の辻本雄一館長が「時代背景をうかがうことができ、いろいろなことが想像できるおもしろい原稿」と見解を述べた。
発見されたのは「財産全部を棄(す)てよ(資本家の取る可(べ)き唯一路)」(伊作)と「悪(にく)まれ口を叩(たた)きます」(岩三郎)。二つの原稿は茶色の封筒に入っていたことから同時期のものであると推測。
伊作が文化学院や芸術村構想などに触れていないことなどから、ロシア革命(1917年)の影響でブルジョア階級への風当たりが強くなり、さらには米騒動(18年)が全国的な展開を見せた時期(19年ごろか)のものと思われる。
岩三郎の文章から、雑誌「紀州縦横公論」用の原稿だと考えられるが、雑誌が刊行されたかは確認できず、市立図書館に依頼し県立図書館、国会図書館をはじめ各大学図書館などで検索をしたが所在は明らかにならなかった。
辻本館長によると、明治天皇暗殺を企てたとして11年、全国から24人が連座され、熊野地方からも大石誠之助をはじめとした6人が連座した「大逆事件」の波紋も大きかった時期だけに、出版が困難であった可能性もある。
原稿の存在が初めて明らかになったのが3年ほど前。三重県津市在住の平野繁さんが所蔵していた。平野さんの祖父に当たる里中梅吉は旧矢倉町(新宮市千穂)にあった紀州印刷(2005年閉業)創業者の一人で、伊作と親交があった。伊作は株を持たなかったというが、北山銀行と紀州印刷の株だけは所有していたという。
その過激ともいえる見出しが付けられた伊作の原稿内容は、全財産を社会や国家、人類のために提供するといったもので、さらに「諸君大小の資本家諸君も僕にならひ僕の様(よう)にし給へ」と呼び掛ける。岩三郎の原稿では、伊作の財産放棄の意思への見解や、新宮人に対する思いが皮肉まじりに表現されている。
立花さんは「財産を公共に提供するとしながらも自分で管理すると書いている。やりたいことを公共事業でします、と。とても伊作らしいと思う」と笑顔で感想を述べ「私利私欲を言われないための財産の使い方。文化学院創立にもつながっていくと思う。社会のために大きいことをしたいが人任せではなく自分でやりたい。そういった思いが言葉になり始めた頃の原稿では」。
辻本館長は「資産を持っている危機感が見られる。文章からの判断は難しいが、日本帝国に対するカモフラージュかもしれない。ロシア革命を背景に、自身の財産と向き合った時期だったのでは。ロシア革命の影響を証明する貴重な原稿」と話していた。
(2021年12月14日付紙面より)
城南校区クリーン作戦 (新宮市 )
新宮市立城南中学校(吉田元紀校長)の全生徒160人と市立王子ヶ浜小学校(谷口幸生校長)の5、6年生115人は10日、「城南校区クリーン作戦」を実施した。児童生徒、教職員らが15班に分かれて阿須賀神社や浮島の森、新宮消防署などから出発し、城南中を目指してごみ拾いに励んだ。
地域貢献の一環として毎年開いており、縦割りグループで作業することで中学生の自覚を深めて学校と地域の連携を強めるのが目的。以前は生徒会が「通学路クリーン作戦」として主催し、2009年から現在の形になった。例年は地域住民を含めて約500人が参加するが、昨年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から中学校のみで行った。
阿須賀神社から出発した児童生徒は火箸を手に「これは燃えるごみですか?」などと教職員に尋ね、紙くずやたばこの吸い殻、ガラスの破片などを分別しながら回収していった。
安井薙颯(ちはや)君(城南中3年)は「昨年に比べて全体的にごみが少なかった。地域の人たちが心掛けてくれているおかげだと思います。自分自身は今年で最後ですが、これからも続けてもらい『ごみゼロ』を目指して自分たちの町をきれいに保ってもらえれば」と話していた。
(2021年12月14日付紙面より)
漫画家のやまさき拓味さん
「競馬や馬を知らない方々に読んでいただくことがテーマだった」と語る新宮市出身の漫画家・やまさき拓味(ひろみ)さん(72)の一話読み切り型の新連載「令和 優駿たちの蹄跡(ていせき)」が双葉社の漫画アクションで始まった。第1回は前後編でストーリーが展開され、故郷や恩師である植地貞夫さん(85)も登場している。雑誌は現在、各書店などで発売中。後編掲載分は21日(火)ごろ店頭に並ぶという。
やまさきさんは和歌山県立新宮商業高校(現・新翔高校)を卒業後、さいとうたかをプロダクションに入社。1972年に小池一夫氏原作の「鬼輪番」でデビュー。90年にはバディ・プロダクションを設立。少年チャンピオンで「優駿の門」が連載され、ビジネスジャンプでスーパーホース列伝「優駿たちの蹄跡」を発表した。
長年にわたり、競馬漫画の第一人者として活躍。連載中の「雑兵物語」や元競走馬とオリンピックを目指す「優駿の門2020馬術」も人気を博している。
実在した競走馬や人々の絆を描く今回の作品。同校をモデルとした熊野商業高校(誤植。後編では新宮商業高校に訂正)や当時の学校周辺の風景に加え、新高(新宮高校)、北山村などのフレーズも登場する。やまさきさんの作品で同市が登場するのは過去にも数度ある。
新宮商業高校美術部に入部したやまさきさんに絵を教えたのが教師の植地さんだった。植地さんは「絵が好きな生徒だった。『80号サイズの絵を描かせてほしい』と言った時は驚いた。教師はそういう声が欲しくなる」。
連載については「水墨画の要素で演出したきれいな絵。新宮出身の漫画家がいること、新宮が登場し物語をまとめているところを読んでほしい。彼は自慢の教え子」と笑顔で話した。
やまさきさんは「今の僕があるのは植地先生のおかげ。出会わなければ、この仕事はしていなかったと思う」。
作品については「根底には新宮にいたあの頃の時代がある。今回の作品は僕らの年代であれば『分かる』と共感してもらえるはず。今後も馬を一頭ずつ取り上げ、普遍的な人間の物語を描いていくので、若い方にも楽しんでいただけるはず」と語った。
(2021年12月11日付紙面より)
宇久井小で野菜の学習 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立宇久井小学校(芝﨑勝善校長)で10日、野菜の学習があった。「野菜のおじさん」こと新宮広域圏公設地方卸売市場の中本勝久市場長が講話し、4年生23人が、野菜が食卓に届くまでの仕組みや地産地消について学んだ。
社会科と総合学習の一環で、自分たちが住む地域や県について知識を深めてもらうことが目的。
中本市場長は、市場の仕事について「八百屋やスーパーマーケットなど野菜を仕入れたい店が値段を競う『競り』を通じ、農家さんの野菜や果物に最初に値段を付けて売るところ」と紹介。遠方で取れた野菜が輸送される中でどんどん値段が上乗せされていく仕組みなどを解説し、「地産地消」の大切さを訴えた。
野菜のパワーについて「今が旬のブロッコリーには、ビタミンCがたくさん含まれており、食べると風邪の予防になる。コマツナ200㌘には牛乳1本分のカルシウムが含まれている」と例を挙げて説明。「宇久井では枝豆やネギを生産しており、特に高津気ピーマンはブランド野菜。地元産の野菜には輸送料もかからず、すぐに皆さんの元に届くので新鮮で栄養もたっぷり。皆さんにはぜひ那智勝浦産、和歌山産の野菜を食べてほしい」と呼び掛けた。
授業後、児童には地元産のブロッコリーやダイコン、ニンジン、ネギ、生シイタケ、ミカンがプレゼントされた。
(2021年12月11日付紙面より)
院長代理を迎えて健康教室 (串本町 )
串本町が9日夕方、役場会議室で本年度の健康教室を開いた。今回はくしもと町立病院の院長代理で内科医の秋山裕由(ひろゆき)さんが登壇。「慢性閉塞性肺疾患(COPD)と喫煙について」と題して語り、50人が聴講した。
この教室は、町健康増進計画に掲げる諸項目の達成を目指し町保健センター主体で毎年実施。運動指導や講演などさまざまな形で計画して町民の主体的な健康増進の裾野を町内へ広めている。
今回は項目の一つ、喫煙と健康の関係を啓発し禁煙や受動喫煙防止に努めることに基づいて計画。秋山医師は呼吸器内科を専門としその見地から健康増進を図る内容を求めつつ、当日の受講を呼び掛けた。
始めるに当たり田嶋勝正町長は、新たにいろいろな知識を得て健康増進につなげてほしいと呼び掛けて秋山医師を迎えた。
秋山医師はまずCOPDの定義とその症状、発症時に肺はどうなるかを進行の度合いを踏まえて解説。対して医療では薬物治療(吸入薬など)と非薬物治療(禁煙や呼吸リハビリなど)を並行実施し、将来の重症化リスクの低減を図るとした。
国内のCOPD発症者が500万人を超えるとされる一方、治療を受けているのは数十万人。せきやたんが出る段階を中等度、周りの人と同じ生活行動で息切れをする時点を高度と位置付け、「壊れずに残るところを効率良く使うのが治療の目指すところ」という点も強調して少しでも症状を感じたら受診する(使えるところを多く残す管理を始める)事を求めた。
喫煙がCOPDにつながる事を喫煙歴別の肺CT画像を交えて伝え、COPDの進行抑制や皮膚の老化抑制、生計圧迫の解消など禁煙がもたらすメリットや喫煙がもたらす影響にも触れて肺機能の適切な管理意識を促すなどした。
(2021年12月11日付紙面より)
生涯現役スキルアップセミナー (新宮市 )
新宮市生涯現役促進地域連携協議会は9日、市保健センターで令和3年度生涯現役スキルアップセミナー「郷土料理を作ってみよう」を開催した。市内の55歳以上の8人が、在宅栄養士の堀順子さんに教わり、「いももち」などの郷土料理作りに挑戦した。
この日の献立は、めはりずし、かつおの角煮、いももちの3品。堀さんは、実習前に調理のこつや栄養バランスの良い食事について解説し、「高齢になって食欲がなくなったときにも、かつおの角煮などちょっとした料理があればタンパク質を取れる」と食事の大切さを語った。
参加者たちは2班に分かれて調理を開始。いももち作りでは、柔らかく煮たサツマイモに餅と砂糖をつき混ぜ、中にあんこを入れたり、きなこを掛けたりして完成させた。
堀さんは「私は串本在住ですが、新宮市ではいももちをあまり作らないと聞いた。おいしいので、皆さんにもぜひ作ってほしい」。
参加した70代女性は「いももちは今まで作ったことがなく、気になって参加した。手間の掛かる料理だけれど、サツマイモをいただく機会が多いので、時間があれば作りたいと思う」と語った。
同協議会は市内在住の55歳以上を対象に、就労を希望する人と雇用を希望する企業・事業所のマッチングを行い、中高年齢者の雇用促進と生きがいづくりを支援。平日午前9時~午後4時30分に市役所別館1階(旧職業訓練センター)で生涯現役相談窓口を開設している。問い合わせなどは同協議会(電話0735・29・7384)まで。
(2021年12月11日付紙面より)
【第44回】シニアの食育
食育は子どものもの、と思われている方はとても多いです。確かに、私もずっと子どもの食に関することを調べてきましたし、食育が積極的に行われるのは、幼少期から小学生くらいが一般的ではあります。先日シニアの方向けの食育について、話す機会があったので、ご紹介しておこうと思います。
60代以上の方は、30代から40代よりもさらに健康的な食生活を意識されている方がほとんどです。野菜を中心の食生活にしたり、肉より魚、洋食より和食という方も多いのではないでしょうか? そして、今のシニア世代は、昔に比べてうんと若くて、情報にも敏感ですよね。テレビや雑誌、インターネットなどで、「○○が体にいい」「○○食がブーム」なんて聞くと、試してみようと思われる方もたくさんいます。今のトレンドで言うと、「糖質オフ」や野菜中心の「ビーガンフード」「オートミール」なんかでしょうか?こういったトレンド食もいち早く取り入れるのは、実は50代以上だったりすることもあるんです。
ただ、これらは50歳を過ぎると、むしろ取り入れることは危険な側面もあります。東京都健康長寿医療センター研究所によると、BMI(体格指数)の低い痩せ型が一番死亡リスクが高く、軽度や中度の肥満はリスクは変わらないそうです。つまり痩せ型の方は生きるための栄養が足りていない状況にあるのです。この低栄養こそ寿命を縮める原因です。栄養が十分にないと、免疫力も低下しますし、骨がもろくなったり、集中力や記憶力も低下します。手術や骨折の回復にも時間がかかります。しかも、この低栄養は女性に多いのです。65歳以上になると、22%の女性が低栄養といわれています。(平成28年国民健康・栄養調査結果)
低栄養にならないためにも、1日3食しっかりと食べる!をまずは意識してください。野菜信仰を捨てて、お肉やお魚・お米などタンパク質や炭水化物を取ってほしいのです。コレステロール値でさえ高い人の方が低い人より長生きというデータがあるくらいです。
私が一番伝えたいのは、シニアにも食を楽しんでほしいということです。孤立感や孤食から食事がおろそかになり、しっかり食べない人が増えているというのも事実です。これは子どももそうですが、シニアも、「楽しく食べること」で生活の質は大きく向上するのです。作るときに、気になるレシピを試してみてもいいし、作ったことのない料理にトライしてみるのもいいですよね。ぜひ趣味として、食事作りや食事を取ることを、何らかの形で楽しんでください。
そして、トレンドに振り回されず、できるだけ多くの品目をバランスよく食べることを意識してほしいと思います。できる範囲で構いません。今は作り置きのレシピもたくさんあるので、まとめて作って、毎日少しづつ食べていくのもいいと思います。食を楽しめるシニアになれたら、きっと健康で楽しく長生きできると思います。
(2021年12月11日付紙面より)
歳末助け合い托鉢 (新宮仏教会 )
新宮仏教会(会長・白井清牧清蔵寺住職)は8日、新宮市大橋通の淨泉寺で成道会(じょうどうえ)の法要と「歳末助け合い托鉢(たくはつ)」を実施した。同会加盟寺院の僧侶11人が網代がさ姿で市内を回った。
成道会は釈迦(しゃか)が菩提樹(ぼだいじゅ)の下で悟りを開いたとされている12月8日を記念して行う法会。2月15日の涅槃会(ねはんえ)や4月8日の降誕会(ごうたんえ=花まつり)と並んで三大法会の一つとなっている。托鉢は1922(大正11)年ごろから行われている。集まった寄金は市社会福祉協議会に寄付された。
法要を営んだ後、僧侶たちは同寺を出発。国道42号沿いやJR新宮駅前、仲之町商店街などを回り、ずだ袋を掛けて「恵まれない子どもたちに温かなお正月を」と呼び掛ける声に、市民らは「ご苦労さまです」と応えながら浄財を入れていった。
白井住職は「大勢の人たちの温かい気持ちに感謝しています。苦労されている方々の手に届くよう願い、コロナ禍でも感染対策を施しながら役に立てれば」と話していた。
新宮仏教会加盟寺院は▽松巌院▽淨泉寺▽瑞泉寺▽清閑院▽清蔵寺▽清凉寺▽専光寺▽宗応寺▽長徳寺▽東仙寺▽遍照院▽本廣寺―の12寺院。
(2021年12月9日付紙面より)
民生委員児童委員らが要望書提出 (新宮市 )
新宮市民生委員児童委員協議会、子育てサポートキッズクラブ、新宮市・那智勝浦町・太地町・古座川町・北山村・串本町母子保健推進員会の代表ら6人は8日、新宮市役所を訪れ、田岡実千年市長に市立医療センター産婦人科常勤医師の確保などを訴える要望書を提出した。
市立医療センター産婦人科では、常勤医師2人のうち1人が退職することが決定したことに伴い「後任の医師が確定していない状況下では、安全で安心な医療の提供が担保できない」といった理由から、来年3月以降の分娩(ぶんべん)予約休止を発表している。
市民生委員児童委員協議会、子育てサポートキッズクラブの要望書は「子どもを産み、育てられないまちに将来はない」とし▽産婦人科常勤医師を確保し、来年3月1日以降の分娩予約を再開する▽分娩休止に伴う相談窓口を設置し、とりうる他の手段を市民・圏域住民に伝える▽市の医師確保の取り組みについて、今後の方法と予定を公表する▽市外で出産する妊産婦の通院交通費や出産前の待機宿泊費を助成する支援策など、分娩ができない状況における妊産婦の支援策を整える―の項目を盛り込んだ。
また、新宮・東牟婁の母子保健推進員会長連名の要望書では「市立医療センターにおいて、妊婦や家族が安全・安心に出産を迎えられるよう、産科医師の確保及び分娩体制の再構築を図る」よう求めた。
市民生委員児童委員協議会の勢古啓子・主任児童委員委員長は「受け入れられない状況。住民として訴えていかなければ。ますます少子化が進んでいる状況の中、切に要望したい」。
子育てサポートキッズクラブの川嶋ひとみ代表は「協力できることはさせていただきたい」と訴えた。
要望書を受け取った田岡市長は「市の最優先課題として取り組んでいる。県でも技監を先頭に尽力いただいている。あらゆる手を使って、医師確保に全力で努めたい」と述べた。
(2021年12月9日付紙面より)
串本町潮岬にある県立潮岬青少年の家で4日、町内の小学生を対象にしたロケット体験会があり23人が製作を交えて打ち上げの原理に親しむなどした。
この体験会は、県宇宙教育研究会が主催。昨年9月の発足以降社会教育の領域で回を重ねていて、今回は1~3年生向けに空気ロケット、4~6年生向けにモデルロケットの各製作・打ち上げ体験を準備し学校経由で参加を呼び掛けた。
今回も県立桐蔭高校・中学校科学部の部員有志が参加者をサポート。空気ロケットの体験は午前に実施し、バンドー神戸青少年科学館サイエンスアドバイザー・齋藤賢之輔さん指導の下で18人が空気の力を原動力とするミニロケット作りに取り組んだ。
同会の定番となりつつあるモデルロケットの体験は午後に実施し、藤木郁久事務局長(同部顧問)指導の下で5人がキット「アルファⅢ」を組み上げ、望楼の芝へ移動して打ち上げに臨んだ。このロケットは火薬エンジンを原動力とし、3秒で約100㍍まで飛びパラシュートを開いて落下する仕組み。点火の指導ができる藤木事務局長と一緒に一人ずつ発射して一連の過程を見届けた。今回は定員に対して少人数の参加だったため、打ち上げ後の余った時間でドローンの操縦体験も提供した。
同研究会は7月に町子ども会連絡協議会主催のモデルロケット体験に協力。他方で学校教育領域(本年度は試験的に串本中1年生と串本西中が参加)における体験提供に踏み出した状況もあり、本年度の体験会は今回が最終となる予定。藤木事務局長は今後もタイミングを見て計画するとし、対象となる子どもやその家族にぜひ参加してほしいとコメントした。
(2021年12月9日付紙面より)
合同で移住ウェブセミナー (紀宝町 )
紀宝町は4日、大紀町と合同で移住ウェブセミナーを開催。オンラインでの配信を通して町の魅力を全国に発信した。
新型コロナウイルスの影響で移住相談会が困難な状況となっていることから、昨年に引き続き、合同で開催。愛知、東京、兵庫などから移住に興味がある人が参加した。
紀宝町は高岡地区の「お試し住宅」から発信し、森まりかさんが進行。大阪府出身の自然ガイド・佐竹剛さんと沖縄県出身で子育て真っ最中の大山ゆかさんが町での暮らし、働き方、子育て事情などを紹介した。
佐竹さんは「地域おこし協力隊の募集があり、滝がメインの飛雪の滝キャンプ場で、ゼロから自分で考えて運営できる内容だったので、またとない機会だと思った。ちょうどアウトドアガイドを起業したところで、それを進めていくにもメリットがあると感じた。自然に関わる仕事をしたかったので今の仕事に満足しています」と移住のきっかけや現状を語った。
大山さんは、お試し住宅を通じて紀宝町が気に入ったと伝え、「自然が豊かで過ごしやすい。図書館などの公共施設が充実し、新宮市もあるので買い物にも便利だし、外食も病院も一通りそろっているので不便さはほとんど感じない」と話した。
子育て環境について「保育所も待機することなく入れて良かった。子どもの医療費が高校生まで無料など、子育て支援が手厚くうれしい」と紹介した。
(2021年12月9日付紙面より)
県中学校剣道選手権大会
那智勝浦町総体グラウンドゴルフ大会
尾﨑酒造で初搾り (新宮市 )
熊野地方唯一の地酒メーカー、新宮市船町の尾﨑酒造株式会社(尾﨑征朗(いくろう)社長)で新酒の仕込み作業が本格化している。来年3月末までに700石、一升瓶で約7万本を造る予定で、正月用の太平洋しぼりたて生原酒、大吟醸、純米酒など約30種類の銘柄になる。
同社は紀伊半島の和歌山県田辺市以南から三重県松阪市周辺までの間で唯一、本州最南端の蔵元。6代目の尾﨑社長(77)が「地元の皆さんにかわいがってもらえるお酒を」と1880(明治13)年から約140年の伝統を守っている。
熊野川の伏流水や地元産「コシヒカリ」を使用するなど、地元「熊野」にこだわった酒造りを続けており、新宮出身の文豪・佐藤春夫や中上健次も愛飲していたことで知られている。
代表銘柄「本醸造太平洋」は「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」で2017年、18年と2年連続の最高金賞を受賞するなど、数々の栄冠に輝いている。今年8月には「全国燗(かん)酒コンテスト2021」の「お値打ちぬる燗部門」で最高金賞を受賞した。
仕込みは10月25日から始まり、11月29日に初搾りが行われた。杜氏(とうじ)を務める小林武司さん(47)らがタンクに入ったもろみを櫂(かい)でかき混ぜる「櫂入れ作業」などに取り組んでおり、清酒を利き猪口(ちょこ)にすくい、色や不純物の有無などの品質を確認した。
新酒は「太平洋」の搾りたて生原酒として今月15日(水)から店頭に並ぶ予定だ。
小林さんは「今年は暖かかったが、ここ数日で温度が下がって安心している。うま味があって飲みやすいお酒に仕上がりました」。製造部長の森本紘造さん(44)は「楽しみにして待ってくれている人もいる。地元に密着したお酒造りを心掛けている。多くの人に楽しんでいただければ」と話していた。
搾りたて生原酒は3000本限定で3135円(税込み)。商品に関する問い合わせは同社(電話0735・22・2105)まで。
(2021年12月1日付紙面より)
熊野姫まつりに大勢が参拝 (那智勝浦町 )
加寿(かす)地蔵尊世話人会(中田勝康代表)は11月27日、那智勝浦町の熊野古道駿田峠の加寿地蔵尊(同町湯川笹ノ子)で「熊野姫まつり」を開催した。10周年の節目を迎える今年も多くの人々が参拝し、催しを楽しんだ。
加寿地蔵尊は、千年前に熊野詣での途中、駿田峠で命を落としたといわれる姫を祭っている。姫の伝承にちなんだ短編映画「熊野古道加寿姫」の作成をきっかけに、それまで秋の大祭として営んでいた祭りを「熊野姫まつり」と改称し、今年で10年となる。
修験者の富岡秀清さんのほら貝に合わせ、平安装束の姫たちが加寿地蔵尊へ参拝。身体健全や無病息災を祈願する神事を営んだ。
奉納神楽のステージでは、藤紀流藤紀和会の姫組が「加寿姫舞」で稽古の成果を披露。晴天の下、タヒチアンダンスや江戸芸かっぽれ、Team雅龍のよさこい、しの笛と琴の演奏などがあり、小芝陽子さんも演歌で会場を盛り上げた。
会場ではマグロのかぶと焼きの振る舞いや農作物の販売、各家庭から持ち寄った「もらってくださいコーナー」もあり、最後は抽選券付きの「姫くじ引き」の賞品交換でにぎわった。
中田代表は「駿田峠が世界遺産に登録されて以降、本当に大勢の方に足を運んでいただいている。来年はこの地で命を落とした3人の姫をまつる三つ目の祠(ほこら)も完成する。今後も加寿地蔵尊を知っていただくため、新しいことに挑戦していきたい」と話していた。
(2021年12月1日付紙面より)
町子ども劇団等鑑賞事業 (串本町 )
串本町文化センターで11月29日、2年ぶりとなる町子ども劇団等鑑賞事業に基づく公演があり、町内の年長園児~小学4年生が劇団ポプラ=東京都=のミュージカル作品「ピーターパンとウェンディ」を鑑賞した。
この公演は、環境に秀でた同センターホールでプロの舞台芸術に親しむ機会として年1回、町教育委員会が町子ども会連絡協議会と連携し町内の小学生を対象にして実施。座席数(600席)の都合で1~3年生と4~6年生が隔年で参加する形となっていて、1~3年生が参加するときは次年度に入学する年長園児をゲストとして招待する形が定着している。
前年度は1~3年生が参加する番だったが、新型コロナウイルスの影響で実施できなかった。本年度はその巡りを引き継ぎ、劇団側が2回公演の協力をしてくれたこともあり、家族参加は見合わせたものの年長園児に加えて前年度に鑑賞できなかった4年生(前年度の3年生)も招待。対象者計491人を午前と午後の2組に分け、引率の教諭らと一緒に迎えた。
午後の部実施に当たり同協議会の小原真子会長は、年長園児もいることから分かりやすく「(本物の演劇を見るのは)なかなかない機会なので、しっかりと楽しんで」と気持ちを促して歓迎。以降はさっそく上演が始まり、約90分の鑑賞に親しんだ。普段は家族の参加も受け入れているが、今回は子どもと教職員のみに制限した。
(2021年12月1日付紙面より)
観光機構の理事会で選任 (那智勝浦町 )
一般社団法人那智勝浦観光機構(NACKT)は11月29日、那智勝浦町築地の商工会館(南紀くろしお商工会本所)で令和3年度の第2回理事会を開いた。この日はオンライン含め11人が出席。機構設立時より理事長を務めてきた堀順一郎町長が理事長を退任し、清水貞吾副理事長が理事長職を引き継いだ。そのほか、一般会計収支補正予算などが承認された。
機構が11月4日付で観光地域づくり法人(登録DMO)となったことを受け、堀町長が19日付で理事長辞職届を提出。堀町長は機構が登録DMOとなったことで国庫補助金をはじめとする国からの支援が幅広く受けることが可能となったことを説明し、「かねて登録DMOとなった際には町の観光施策を推進していくためにも、常に観光の最前線におられて、民間の感覚と経験を持った方に交代すべきだと考えていた。今後は理事として引き続き、機構の運営に尽力してまいります」とあいさつした。
事務局からは南紀勝浦温泉旅館組合長の清水副理事長が理事長に、副理事長には理事である南紀くろしお商工会の森川起安会長が選任され、全会一致で承認となった。
森川副理事長は「堀町長、立ち上げから今日までの間、本当にご苦労さまでした。今後は副理事長として、理事長を支えていきたい」。
清水理事長は「大役を仰せつかり、身の引き締まる思い。観光機構の定款には関係団体と連携し、町の観光振興や地域活性化、産業の振興に関する事業を行い、地域の経済振興と地域社会の健全かつ持続的発展に寄与することが目的となっている。それらを皆さまと連携をしながら、精いっぱい努力する所存でございます」と抱負を述べた。
(2021年12月1日付紙面より)