新宮紀宝道路の見学会 (新宮市 )
国土交通省近畿地方整備局紀南河川国道事務所と、新宮地方建設業協同組合(海邊俊行理事長)は共催で、和歌山県立新翔高校の生徒を対象にした「新宮紀宝道路の現場見学会」を19日、新宮市あけぼのの同道路工事現場で開いた。12人が参加、実際の工事業者から現場で説明を受け、建設がどう行われるかを学んだ。
建設技術系の進路を選択している、2年生6人、3年生6人が参加した。主に同事務所が、熊野川河口大橋のうち、新宮市側の半分について担当。同組合はあけぼの工区、旧新宮原木市場敷地周辺で行われている盛り土やその下部のトンネル部分について紹介した。
前半では、同事務所が▽近畿自動車道紀勢線▽すさみ串本道路、串本太地道路、新宮道路、新宮紀宝道路の概要や進捗(しんちょく)▽建設業界のデジタル化の状況―などを説明。熊野川河口大橋の新宮側の半分を担当する大成建設が、工法などを解説した。
実際の現場見学にも赴いた。熊野川河口大橋は、新宮側の半分はすでに橋の大部分が架かっており、その上部や内部で詳細の説明を受けた。生徒らは、橋から熊野川を見下ろしたり、内部を通るワイヤーを触ってみたりしていた。
あけぼの工区では、海邊理事長があいさつ。盛り土を担当した野平組、トンネル部分を担当する井筒建設、現場の情報通信技術(ICT)を担当するキナンが、各担当分野を説明した。ICTで管理された重機3台の操作も実演があり、画面上で適切管理ができることを示した。
2年生の鈴木鳳馬(ほうま)君は「(大橋が)とても近代的だった」と感想。3年生の西優斗君は「将来、建設関係の仕事に就きたいと考えているので、話が聞けてよかった。今後に生かしたい」と話した。
(2022年4月21日付紙面より)
三輪崎・宇久井も影響
和歌山県のカツオ漁が不漁にあえいでいることが、テレビや新聞など各所で報道されている。県内の主要3港である、串本、すさみ、田辺の1~3月の水揚げ量は昨年と比べ、1割以下と低迷。本紙エリア内の三輪崎や宇久井でも状況は同じで、今シーズンは期待できそうにないという。
現在はまさに、「初ガツオ/のぼりガツオ」の時期。近年は漁獲量が低迷している実情はあるものの、それでも通常なら県内の多くの港で6月ごろまでは、カツオの水揚げで活況を呈しているが、今シーズンは「著しく」低迷している。串本町の県水産試験場によると、主要3港の1~3月の水揚げ量は32㌧。昨年は370㌧で、状況の深刻さがうかがえる。
不漁の原因を県水産試験場は、「黒潮の大蛇行」によるものと分析している。2017年から続く現象で、通常なら紀伊半島付近を流れる黒潮が、はるか沖合を流れている。カツオは暖流である黒潮に沿って日本列島を北上するため、紀伊半島付近に近づかなくなる。
さらに状況を悪化させているのが、燃料費の高騰となる。距離は離れているものの、親潮が流れる海域まで行けば、カツオの漁獲は期待できるが、そうすると今度は漁船の燃料費で、採算が合わなくなる。その結果として、不漁の状態が続いている。
漁師歴40年以上になる、那智勝浦町在住の70歳男性は「普通ならカツオが日に300㌔ほど揚がる時期だが、ほとんど揚がらない状態。黒潮の枝の流れが入っているところでようやく釣れる程度となっている。値段も、普通ならキロ300~500円といったところだが、数がないので、10倍ぐらいの値が付いたと聞いている」と話す。
まれに大きいサイズのカツオはいるそうだが「そういうのは警戒心が強く食わない」とこぼす。「黒潮(との距離)が変わらないと、今シーズンのカツオは難しい。しょうがないので漁師はみんな、キハダマグロに狙いを変えているが、そのシーズンもそろそろ終わり。参った」と述べた。
当地方のカツオ漁は、船を走らせながら疑似餌を踊らせる「ケンケン漁」で行われている。「ケンケンざお」と呼ばれる、ケンケン漁のための長いさおが付いた漁船が、カツオ漁の漁船となる。
(2022年4月21日付紙面より)
袋港沖のポイント3カ所へ (串本ダイビング事業組合 )
串本ダイビング事業組合(高岡誠会長、会員24店舗)が19日、袋港沖にあるダイビングポイント3カ所にアオリイカのための産卵床を設置した。
ダイビング客にも人気の高いアオリイカの産卵シーンを着実に見せたいという思いで始めた晩春恒例の取り組み。現在は日本釣振興会も協賛し、産卵誘発と漁場振興の両面で注目される状況となっている。
同振興会は本年度、協賛先を県内1団体に絞り込む中で同組合を選択。同組合はイベント係の中井嘉昭さんをリーダーにして段取りを進め、設置へとこぎ着けた。
当日は両団体から13人が設置作業に参加。2組に分かれて別行動し、▽備前▽グラスワールド▽イスズミ礁―の各ダイビングポイントで産卵床を組み上げた。素材は山に生えている広葉樹の枝で、前日に長さ2㍍を目安に切り出して調達。重し(土のう)をつないで各ポイントへ複数本投入し、海底で束ねて仕上げた。今年は別の場所ですでにアオリイカの産卵を確認しているそうで、産卵場所として好まれる藻場に極力似せて組み上げた産卵床へも無事産み付けてくれることを願って作業を終えた。
串本の海における産卵は7月半ばまで続く傾向にあり、産卵床は産み付けられた卵がふ化し終わるまで設置する。その頃には枝も朽ち海流で流出していることが多いが、そうならない重しや固定用ロープなどの人工物と残った枝は環境保全のため役目を終え次第回収するという。
(2022年4月21日付紙面より)
宇久井小5年が収穫体験 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立宇久井小学校(芝﨑勝善校長)の5年生23人が19日、同町の環境省宇久井ビジターセンターを訪れ、今が旬のタケノコ掘り体験を楽しんだ。
毎年春の恒例行事で、宇久井半島の自然保護活動を展開する「宇久井海と森の自然塾」メンバーが協力した。
児童たちは、かつては里山の棚田だったモウソウチクの林へ行き、地面から顔をのぞかせているタケノコを探索。慣れないつるはしを振るって1人2~3本を掘り、学校の教職員らへの土産分も掘った。
「今日はたけのこご飯かな」「天ぷらにするのもいいかも」「おばあちゃんが皮をむいてゆでてくれると思う」と話しながら、重たい袋を担いで持ち帰った。
向畑七海さんは「タケノコ掘りは今回が初めてで、2本掘った。どんな料理になるのか楽しみ」と話していた。
(2022年4月21日付紙面より)
小児ワクチン、副反応報告 (新宮市医師会 )
新宮市医師会(米良孝志会長)はこのほど、先月に1回目の新型コロナウイルス小児ワクチンを接種した5~11歳の年齢層における接種後の副反応集計結果を報告した。集計の結果、重篤な副反応は確認できなかった。
今年に入って、国で5~11歳までを対象とした小児向け新型コロナワクチンが薬事承認されたことを受け、市では先月13日、市役所別館で1回目の集団接種を実施。約150人が接種を希望した。
接種に協力した市医師会は、独自に接種者の保護者に副反応記録用紙を配布。その記録を基に、5~11歳の年齢層の副反応調査を行っている。
同日に接種を受けた150人のうち、記録用紙の回収率は78・7%(118人)。接種直後、「息苦しい・気持ちが悪い」や基礎疾患関連の、アナフィラキシー以外の症状を見せた接種者は2人いたものの、重篤な副反応はなかった。
また、接種当日から7日目までの8日間で、37・5度以上の発熱が見られたのは3人のみで、38・0度以上の発熱が見られた者はいなかったという。
接種部位の反応では、痛み(疼痛=とうつう)が84・7%で頻度が高く、腫脹(しゅちょう)(16・9%)、熱感(6・8%)と続いた。また、全身の反応では身体のだるさ(倦怠(けんたい)感)が29・7%、頭痛(18・6%)の頻度が高かった。学校の欠席は接種翌日が多かった。
集計結果を受け、米良会長は「2回目接種後の集計が済んでいないが、言われているよりも副反応が少なかったので安心している」と見解を示している。
なお、市では、今月3日に接種を希望する小学3年生から5年生を対象にした2回目の集団接種を実施。接種率は1回目10・57%、2回目9・79%だった。ワクチンの供給量が見込まれ次第、小学2年生以下の接種を進めていく予定。
(2022年4月10日付紙面より)
市内小学校に防災頭巾 (新宮市土建協同組合 )
新宮市土建協同組合(松根康隆理事長)による防災頭巾の贈呈式が8日、新宮市役所であった。松根理事長をはじめ4人が訪問し、市内小学校の新1年生に向けた、防災頭巾200個を、速水盛康教育長に手渡した。
同組合は2010年より、市内小学校の児童に向けて毎年、防災頭巾を贈呈している。きっかけは、組合創立60周年記念の取り組み。かつて市内の小学校では、児童は教科書を乗せて頭を守り、避難訓練を行っていたが、両手を使えればより安全と考え、贈呈が始まった。
1回目は全校児童分、2回目からは新小学1年生分を贈ることで、全ての児童に行き渡らせた。頭巾は中綿入りで、緊急時には頭にかぶり、落下物から守るようになっている。平時には、学校のいすの背もたれ部分に挟んだり、座る部分に敷いたり、集会時に体育館に持ち込んだりしてクッションにできるため、身近にあって身を守れる。
贈呈式には松根理事長のほか、阿万卓也副理事長、松原重充副理事長、七瀧伸事務局長が訪れた。市立小学校は5校あり、新1年生は185人。ただし高田小は0人だった。転入児や破損分を考え、余分に200個を贈った。
松根理事長は「日頃は工事のほこりや騒音などで、住民の皆さんに迷惑をかけているので、何かできることはないかと考え、地震のときに子どもの命を守ろうと贈呈することになった。子どもは国の宝。今後も贈呈を続けていきたい」と話した。
速水教育長は「避難訓練などを行って、(防災頭巾を)活用していけるよう取り組んでいきたい。防災意識を高める役割もあるかと。大人のたくさんの力で、地域で子どもを育てる取り組みで、ありがたい」などと語った。
(2022年4月10日付紙面より)
花まつりの平和祈念祭 (新宮仏教会 )
新宮仏教会(会長=清水文雅・本廣寺住職、会員14人)は8日、新宮市福祉センターで花まつりの記念行事「平和祈念祭法要」を営み、祖国の平和と繁栄を願いながら亡くなった諸英霊の冥福を祈った。
祈念祭には遺族約20人が参列し、住職らの読経の中焼香した。田岡実千年市長は「戦後、市においても平和で心豊かに生活できる魅力と活力のあるまちづくりのためにまい進してこられたことは戦没者のご加護と遺族の協力・支援のたまもの」。
「現在享受している平和と繁栄が戦争によって心ならずも命を落とした方々の犠牲の上に築かれていることをひとときも忘れず、明日の市のために一層努力しなければならない」と追悼の辞を述べた。
池上順一・市遺族連合会長は「先の大戦より77年を迎えるが、ロシアのウクライナ侵攻に伴い、日々悲惨な状況が報道されており、世界からは今なお戦禍の報が絶えることはない。その中にあってわが国が平和でいられるのは祖国の繁栄と将来を案じながら尊い命をささげられた諸霊の思いが導いてくださったたまもの。コロナ禍を乗り越え、あの戦争を後世に伝え続けるとともに、世界平和への道を進むことを改めて誓う」と祭辞を読み上げた。
祈念祭後には「新型コロナウイルス終息祈願法要」が営まれ、猛威を振るい続ける新型コロナの早期終息を願う読経が会場内に響いた。
清水会長は「戦争は、全ての命が尊い、という仏教の基本姿勢の全否定。犠牲者の一人一人に家族があり、友人があり、思いがあり、人生を全うするはずだった。時々刻々と情勢は変化するが、こうした法要を通して歴史を感じ取り、先人の犠牲、努力の上に築かれたわれわれの現在を再確認することが、変化への対応の軸になるのでは」と話していた。
(2022年4月10日付紙面より)
太田米の田植え始まる (那智勝浦町 )
那智勝浦町の太田地区で、「太田米」の田植えが始まった。水を張った田んぼに青苗を植える作業が5月中旬ごろまで続き、早いものは8月上旬に収穫となる。
太田米は、太田地区で生産されるコシヒカリ。同町川関在住の桒野稔近(くわの・としちか)さん(38)は、太田地区の一部である、同町中里に約50枚、面積にして約400㌃の田んぼを持つ。7日が田植え初日とのことで、田植え機で田んぼを何度も往復し、苗を植えていた。
田植えのタイミングとしては、太田地区では2番目か3番目で、時期は耕作者により、早かったり遅かったりするという。桒野さんは幾つかに時期をずらして植えていき、5月中旬ごろまでに終わらせる予定でいる。
現在植えているものは、8月7日までに刈り取り、JAを通して地元の温泉旅館に卸されるという。旅館では新米として、お盆明けには出されることになる。昨年同様の量の出荷を依頼されたとのこと。
桒野さんは「今年はいつもより暖かい気がする。成長がいいのが期待できるのでは。うまく育つといい」と話した。
なお桒野さんは、那智勝浦町苺(いちご)生産組合の組合長も務めており、同町中里の8㌃のハウスで、太田地区のブランド苺「くろしお苺」も生産している。こちらも含め、「どちらも頑張って育てたい」と述べた。
(2022年4月10日付紙面より)
商業捕鯨で第7勝丸出港 (太地町 )
太地町漁業協同組合(脊古輝人組合長)の捕鯨船「第7勝丸」(32㌧、竹内隆士船長、乗組員5人)が3月30日正午、4年目を迎えた商業捕鯨を行うために太地漁港を出港した。船員の家族や関係者らが大勢駆け付け、無事を祈りながら手を振り見送った。
第7勝丸は3日(日)からの操業開始に向け、千葉県を目指す。房総沖では1隻のみでツチクジラ漁を実施する。同漁協によると、通常6~7月に行うツチクジラ漁を4月に実施するのは初の試みだという。
その後は5月ごろに青森県で、千葉県と宮城県の船合わせて4隻が共同でミンククジラ漁に取り組む。続いて、6月には北海道網走市において共同でミンク漁、7、8月も釧路市にて共同でミンク漁、9、10月は千葉沖にて、第7勝丸のみでツチクジラ漁を行うとしている。帰港は11月初旬を予定している。
昨年は国が定めるミンククジラの漁獲枠120頭より少ない91頭だった。同漁協は、海水温の上昇などが捕獲頭数に影響したと要因を挙げた。また、今年の漁獲枠はミンククジラが110頭で、ツチクジラが16頭となっている。
水産庁の許可が下りれば、10月中に宮城県でニタリクジラ漁(2頭のみ)を実施する可能性もあるとした。今回は31日未明に出港予定だったが、天候を考慮しこの日の出港となった。
出港を見送った同漁協の〆谷(しめたに)和豊参事は「安全に事故がないように祈るとともに、去年以上に捕れることを期待しています」。同漁協専務理事で日本小型捕鯨協会の貝良文会長は「海水温の上昇は数年続くこともあり、コロナ禍で価格が付きにくいなど商業捕鯨の開始後は苦労が続いている状況。天候が良ければ捕れるため、今年はぜひ大きくておいしいクジラがたくさん捕れることを願っています」と話した。
竹内船長は「最近ではスーパーで生のミンクが売っているため、購入する人の姿を見ることもある。昨年は天候が悪く目標頭数に届かなかった。今年は持ち枠いっぱいまで捕獲できればうれしい。事故なく、頭数も捕れて安全に帰ることができれば」と語った。
(2022年4月1日付紙面より)
1日、HCU開設 (新宮市立医療センター )
新宮市立医療センター(中井三量院長)は1日から、3階に新宮東牟婁医療圏で初となる高度急性期病床(HCU)を開設する。病床は5床(面積=314・9平方㍍)を新設。発症直後で重症化リスクの高い患者や、手術後の全身管理が必要な患者などに対し、より手厚い看護を行う体制づくりを構築していく。
HCUは「High Care Unit」の頭文字を取ったもので、日本語では「高度治療室」「準集中治療管理室」と訳される。集中治療室(ICU)と一般急性期病棟の中間に位置するとされているが、分類的には高度急性期病床となる。
2016年に策定された「和歌山県地域医療構想」には、新宮・東牟婁医療圏について「高度急性期に関しては、奈良県・三重県の隣接した地域に高度急性期機能を担う病床がなく、高度急性期機能を保有する和歌山圏域・田辺圏域から遠方にある地理的な条件から、圏域はもとより県境を越えた周辺地域の拠点として、新宮市立医療センターに多くの患者が集中している」「高度急性期機能を備えた医療機関から遠方となる新宮圏域としては、25年の必要病床数としては44床との推計があり、この地域において高度急性期病床(44床)を担っていくべきとの意見が新宮保健医療圏構想区域検討会で決定された」と記載されている。
HCUの新設に当たり、4人部屋6室を改修。入院対象者は手術後の全身管理が必要となる患者や、事故などによる危篤な救急患者となる。これまでは3階の手術室から各階の観察室に患者を移送していたが、同階にHCUが開設されることによりフロア内での移動が可能に。
生体情報モニタリングシステムや人工呼吸器、ICUベッドなどの医療機器が設置されており、専属の看護師長1人と看護師20人が配置される予定となっている。
総事業費は約2億8000万円(本体工事費1億9800万円、医療機器など購入費8200万円)。財源は県補助金1億1200万円、企業債1億6600万円、内部留保資金200万円。工期は昨年7月16日から今年3月7日。
中井院長は、救急専門医の確保などの課題を挙げつつも「新年度からの開設に間に合って良かった。県の補助金を頂いて運営できるようになった。(医師確保に対して)当センターに来ていただけるように、今後も活動を続けていきたい」と話していた。
(2022年4月1日付紙面より)
学校法人近畿大学と株式会社NTTドコモが3月30日、串本町串本沖で第5世代移動通信システム(通称・5G)と水中ドローンを活用して完全養殖クロマグロを飼育するいけすを遠隔監視する実証実験に取り組んだ。
2020年に両者で締結した「5Gの推進、『スマートシティ・スマートキャンパス』創造に関する包括連携協定」に基づく取り組みで、同町域では昨年9月にくしもと町立病院―同大学病院間で実施した遠隔医療支援以来の実証実験となる。
同支援時は移動基地局を据えてローカル5Gの通信環境を確保したが、以降昨年末に大字串本一帯でNTTの商用5Gが開局。今回はその通信環境をさっそく活用し、同大学水産研究所大島実験場と同大学東大阪キャンパスを結ぶ形で試みた。
実証内容の目的は養殖業のさらなる効率化(現行でダイバーがこなしている作業の一部代替)で、同実験場は重さ10㌔前後の完全養殖クロマグロを飼育するいけすを実証実験の場として提供。同ドローンのいけすへの投入など不可避の現場作業を図りつつ5G経由で同キャンパスから同ドローンを遠隔操縦し撮影したいけす内の映像をリアルタイム伝送したほか、その映像情報に基づいて作業を指示する想定で別に準備したアーム付き同ドローンの現地操縦者がいけす内の死亡魚(今回の実験では同程度の大きさの模型を使用)を回収する手順も試みた。さらにNTTは、撮影した映像を自社クラウドサービスへ保存し、アーカイブ共有可能とする実証にも取り組んだ。
同キャンパスで実験に参加した近畿大学水産養殖種苗センターの岡田貴彦センター長は、事前にわずかな映像遅延の説明があったが実際には感じられなかったと遠隔監視の印象をコメント。その映像からダイバーがいけすに入るよりも同ドローンの方が完全養殖クロマグロのストレスは小さいように見受けられた、と今回の実証内容の有用性を見据えるなどした。
両者は今後も実証内容の検証を重ねて目的に資する成果を目指すとしている。
(2022年4月1日付紙面より)
京城跡の整備で新たに (紀宝町 )
2019年、紀宝町指定文化財に指定された同町大里の京城跡(みやこのじょうせき)で、新たに畝状竪堀群(うねじょうたてぼりぐん)と堀切が見つかった。
京城跡は相野谷川中流域にある平山城跡。紀伊続風土記には1585(天正13)年に豊臣秀吉の臣下、堀内氏善(うじよし)によって建てられたとの記述がある。
海抜約70㍍の小高い山頂部を中心として、北東の曲輪(くるわ)と周囲に設けられた畝状竪堀や堀切などの防御施設から構成される。当時、山城としては全国的にも希少な石垣造りの城壁も築かれていたことから、かなりの規模と威容を誇る城であったと思われる。
今年1~2月の下草刈り、間伐、支障木伐採により東側に四つの竪堀、堀切が確認された。町教育委員会では、間伐などで城の形状が分かり始めているとし、来年度も環境整備を続けていくという。
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相野谷中学校の新2年生9人は授業「京城跡を学ぶ」で案内看板を制作し、京城跡保存・活用・整備検討委員会の寺尾邦義委員長に託した。1年生だった昨年度、学校近くの京城跡を訪れ、郷土の文化遺産を学習。その際「案内版がなく、文化財に思えない」と感じた生徒たちが発案して看板作りに着手した。スギ、ヒノキの板に「石垣」「竪堀」「堀切」などを彫り、1人1枚の計9枚を完成させた。
寺尾委員長は「生徒の手作りに価値を感じる。立派な看板で設置場所を検討したい。生徒たちにはこれからも京城跡に関心を持ってもらいたい」と話していた。今後、検討委員会に報告した上で、設置場所などを話し合うという。
(2022年4月1日付紙面より)