「ふれあいネット」の取り組み (太地町 )
太地町社会福祉協議会は9月11日に「ふれあいネット」事業の調印式をし、24団体が高齢者の見守りに結束を強めた。平成18年の発足当初から参加している同町漁協では、特に地域住民が毎日買い物に訪れる漁協スーパーで、支援を必要とする高齢者の発見に高い効果を挙げている。その事例を紹介する。
レジ業務を担当している40代の女性に話を聞くと、異変を感じる例として▽一日に何度も来るようになる▽毎日同じ物を買う▽支払いが小銭ではなく紙幣ばかりになる―といった行動が挙げられた。特別な意識をしているわけではなく、「毎日顔を合わせるお客さんが多いので、様子がいつもと違うと心配になる」と言う。同協議会や町地域包括支援センターに連絡することもあるが、買い物に訪れたヘルパーに、会話の中で伝えることもある。
以前店長を務めていた貝良文参事によると、漁協スーパーでは15年ほど前から、個人の客からの電話注文に応じる際に、異変を感じると訪問して様子をうかがうなどしていた。同事業の発足時も、「今までにもやってきたことだから」と参加を決めた。現店長の東欣哉さんも「高齢者の多い町なので、今後も率先してやっていきたい」と意欲的だ。
調印式での事例紹介では、漁協の他にも農協職員や町営バスの運転手、地域住民などからの報告で要支援者を発見した例も紹介された。
同協議会の岡本研事務局長は、「今後は事業所だけでなく、住民の方にもふれあいネットを知ってもらえるよう努めたい」と話している。
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構成団体は次の通り。
▽太地郵便局
▽新宮警察署
▽南紀くろしお商工会
▽紀友会
▽坂野医院
▽太地歯科
▽紀陽銀行本店/太地支店
▽太地薬局(株式会社ウィーズ)
▽和穂歯科医院
▽みくまの農業協同組合/太地支所
▽太地町漁業協同組合
▽太地町消防団
▽太地町区長会
▽太地町民生児童委員協議会
▽太地町熟年会
▽太地町身体障害者連盟
▽太地町障害児者父母の会
▽太地町婦人会
▽日本赤十字奉仕団太地分区
▽太地町更生保護女性会
▽太地町地域活動連絡協議会
▽太地町議会
▽太地町
▽太地町社会福祉協議会
(2017年10月31日付紙面より)
仲之町商店街でハロウィーン (新宮市 )
新宮市の仲之町商店街振興組合(勢古啓子理事長)は28日、ハロウィーンのイベントを開催した。組合員の若手が企画した初開催の昨年に続き2回目で、雨の中仮装した大勢の人たちでにぎわった。延べ人数約5000人(主催者発表)が来場し、楽しいひとときを過ごした。
ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を活用して周知や募集をした。ライブやダンスのステージは近大新宮高校吹奏楽部の演奏で開幕。マジックショーや大道芸、地域の店舗による飲食の出店などのほか、体験コーナーもあり、家族連れや友人らと訪れた人たちでにぎわった。
ホットドッグの早食い競争も行われた他、仮装フォトコンテストでは緑丘中学校美術部が制作したパネルの前で、お化けやプリンセス、アニメやゲームの登場人物などの装いをした人たちが撮影していた。
家族で訪れた垣下しのぶさんは「大道芸もありお菓子もいろいろなところでくれるようになり、子どもも喜んでいます。雨なのにすごい人で驚きました。みんなが仮装してすてきな催しだと思います」。夫の義和さんは「良かったです。仲之町の人も一生懸命盛り上げてくれています。これからも続けてほしいです」。娘のみのりちゃん(3)は「大道芸が面白かった」。息子の流輝君(6)は「全部面白かった」と話していた。
勢古理事長は「台風の影響もあり中止も考えましたが『こんな時だからこそ元気を』と開催しました。これだけ多くの人が楽しみにしていてくれ、集まってくれたのだとうれしく思います。文化複合施設プレイベント実行委員会が、施設建設の機運を盛り上げようと手作りの垂れ幕を持ちチラシを配布したり、市内の台風災害へあてる募金箱を設けました」と話していた。
(2017年10月31日付紙面より)
平井でユズの搾汁始まる (古座川町 )
古座川町平井で30日、今季収穫したユズの搾汁作業が始まった。台風22号の接近で収穫が進まず、この日の出荷量は約1・6㌧と少なめ。作業が始まると一帯にユズの芳香がにわかに漂い、収穫期の訪れを告げた。
農事組合法人古座川ゆず平井の里(羽山勤代表理事)は、会員全体で約14㌶を作付けた。今年は裏年の巡りにあたり、全体で90㌧の収穫を見込む。傷が少ないなど品質に優れた10㌧分を選別し、生果として紀ノ川農業協同組合に出荷したり皮取り用にする。残り80㌧が搾汁用で、得た果汁は約30品目ある自家商品に加工するほか、大手ファストフード店にも提供。近年は搾った後の実を堆肥の原料として活用している。
搾汁作業は一日あたり5㌧ペースで11月いっぱいまで行う予定。初日は作業員7人体制で出荷されたユズの実を洗浄、乾燥、搾汁といった工程ラインに乗せ、初物となる果汁を得た。
羽山代表理事(69)によると初夏の着花率は平年の7割程度だったそうで、実は大振りになったが全体収量は相応に下がると見越した。果汁は14㌧程度得られる見込みで、一昨年が大豊作で本来裏年になるはずだった昨年も平年以上の豊作になったことで果汁の在庫があり、今年は不足分を在庫で補い向こう一年分の需要を賄うとした。
(2017年10月31日付紙面より)
イベントなど中止相次ぐ
台風22号は29日、熊野地方に最接近した。各地で避難勧告が出され、道路冠水の被害が出た地域もあり、イベントや講演会などの延期が相次いだ。2週連続の週末の台風襲来に住民らは対策に追われた。
和歌山地方気象台によると27日夜の降り始めから29日午後7時までの雨量は新宮市佐野で216・0㍉、那智勝浦町色川では169・0㍉の雨量を記録した。新宮市内では南谷地区などの道路が冠水し、一時通行止めになった。那智勝浦町では宇久井地区の国道が冠水した。
新宮市では午前10時に市内9地域、2836世帯5457人に、那智勝浦町では正午に市野々、井関など5地域の1463世帯2978人に「避難準備・高齢者等避難開始(土砂災害)」が発令された。避難した住民らは不安な午後を過ごした。発令は夜までに解除された。
週末に襲来した台風の影響で29日に開催予定だった各地のイベントに大きな影響が出た。那智勝浦町では町教育センターで予定されていた熊野那智大社創建1700年・那智山青岸渡寺西国三十三所草創1300年の記念文化講演会が延期になった。開催日は検討中で3月ごろになる見込み。いざかた通り商店街の「ハロウィーンパーティー」、特別養護老人ホーム日好荘スマイルの「日好荘秋まつり」は中止。新宮市では蓬莱地区運動会が11月23日(木・祝)に延期、佐野区民運動会も延期(日程協議中)になった。
(2017年10月31日付紙面より)
那智勝浦町総体グラウンドゴルフ大会
観光に影響、早急な対応求める (那智の瀧源流域環境保全の会 )
那智勝浦町の那智の滝源流域を調査する「那智の瀧源流域環境保全の会」(岡﨑吉男会長)は25日、第9回例会を開いた。緊急の問題として台風21号の豪雨で崩落した那智山を通る県道46号線の対応を協議した。
崩落箇所は那智山奥之院駐車場の手前。25㍍以上にわたって片側車線がえぐり取られたように崩れ、約20㍍下の駐車場にがれきや土砂が積もっている。応急処置として奥之院駐車場内を普通車は通れるようにしているが、大型の観光バスが通行できないため、早期復旧が望まれている。
県は土砂の撤去作業にあたっている。今後はさらなる水の浸入と崩落を防ぐため応急的にモルタルを吹き付け、本格的な復旧を計画中としている。
那智山区の高木喜三区長から対応の報告を受けた岡﨑会長は「コンクリートでふさがず、アスファルト下の水を流す構造でないといけない」と主張。熊野那智大社の男成洋三宮司は「土中の水をせき止めないよう工事をしてもらわないといけない。県にも説明会を開いてもらわねば」と話した。
寺本眞一町長は「崩落箇所は町道ではなく県道。こちらから早急に県へ対応を尋ねる」と述べた。
会員からは仮設道路を敷設するべきという声も上がった。路線バスと観光バスの仮設駐車場や運行予定についても話し合われた。
本題の那智の滝源流域の環境保全も議題にあげ、ドローンの空撮映像から環境の変化を把握し、保全方法を模索した。那智川の流れにも過去の工事の影響で一部に無理が生じていると報告があった。
(2017年10月27日付紙面より)
太地浦くじら祭実行委
太地町で11月5日(日)に開催される「太地浦くじら祭」に向けて25日、実行委員会が同町公民館で開かれた。岡本光正実行委員長ら15人が集まり、予定している内容や運営の注意点を確認。来場者に気持ちよく祭りを楽しんでもらうための意見を出し合った。
例年、振る舞いの食べ物には人気が殺到してしまうことから、混雑を避け、なるべく多くのブースを回ってもらえるよう「整理券を配ってはどうか」、「開始の時間をずらしては」といった意見が挙がった。トラブルなく運営するため、今後も事務局を主体に検討を重ねる。
同祭は午前10時ごろから、太地漁港ふれあい広場で開かれる。荒天時は旧グリーンピア南紀の多目的ホールが会場となる。
同町の姉妹都市・長野県白馬村や、近年交流を深めている大阪市浪速区によるステージパフォーマンス、「鯨踊り」などの町の伝統芸能披露、町内外の加工業者や有志による販売ブースの出店などがあり、プログラムの最後には景品付きの「もちほり」も予定されている。
例年ステージでパフォーマンスを行っている町青年会(谷口武史会長)は、今年はクイズを企画。町に関する問題などを出す予定で、上位3位まで景品がある。谷口会長は「大人から子どもまで楽しめる内容を工夫しています。皆さんでお越しください」と来場を呼び掛けている。
(2017年10月27日付紙面より)
笑福亭鶴笑さん招き人権全体鑑賞会 (新宮高校 )
新宮市神倉の県立新宮高校(畑伸憲校長)で25日、人権全体鑑賞会があった。NPO法人「国境なき芸能団」の代表で、国内外で活躍し、社会貢献に取り組む落語家の笑福亭鶴笑(かくしょう)さんが、「笑いは世界の共通語。笑顔は笑顔の連鎖を生む。一緒に笑うと仲良くなれる」と、笑いと平和の大切さを生徒たちに伝えた。
鑑賞会はさまざまな視点から人権問題を考える機会にと毎年開かれている。鶴笑さんは世界各国で毎年人形を使った「パペット落語」公演を続ける国際派落語家。「国境なき芸能団」として国際交流や国際貢献に取り組み、公演実績は世界35カ国、100都市以上に上る。アフガニスタンの病院や難民キャンプへも笑いと救援物資を届けた。
鶴笑さんは「地上に平和を 人に笑顔を~笑いは世界の共通語~」をテーマに軽妙な語り口で、笑いを交えながら自身の経験を紹介した。勉強する習慣を身に付ける必要性や、「笑いは人間だけの特権。笑ったり、笑わせたりすることで世界中の人が仲良く慣れると思う」と笑いの大切さを話した。
紛争地域などでの体験も交え、「笑いは平和な空間でしか生まれない」と語り、難民キャンプでの出来事を挙げた。戦争の悲惨さなどを訴え「情報を得て、何が正しいかを見極めなければならない。戦争は戦争を、戦いは戦いを生むだけ。何の解決にもならない」と訴えた。イラクでの活動の映像を上映し、寄席を披露。会場に笑顔があふれた。
(2017年10月27日付紙面より)
集めたキャップ窓口に託す (高池小児童会 )
古座川町立高池小学校(大畑眞校長)の児童会(後口幸宏会長)が25日、ポリオワクチンを必要とする世界の子どもたちに向けた支援として集めたペットボトルキャップ3万6960個を最寄りの窓口・毎日新聞古座販売所に託した。
この取り組みは今から9年前、当時5年生の担任だった大畑校長が道徳の授業で「燃やせばダイオキシンが出て環境を悪くする。リサイクルすれば人の命を救うこともできる」とし、リサイクル素材として集めた同キャップの売却益を開発途上国の子どもたちに対するポリオワクチン接種費用に充てる運動があることを紹介したのがきっかけ。
命を救う方がいいと考えた5年生はさっそく全校集会で他の学年や教職員に協力を呼び掛け、全校規模で収集を始めた。以降、歴代の児童会が活動を引き継ぎ今日まで続いているという。
今回託したのは、昨年4月以降に集めた分。児童が家庭から持ち寄ったほか、取り組みを知った保護者が勤務先で集めたり地域の個人団体が町教委経由で託したりした分も含まれるなど地域ぐるみの成果だという。
この日は本年度前後期の児童会役員9人が寄付の段取りを整え、支援活動の筋道を仲介する毎日新聞古座販売所が放課後に来校して同キャップを預かった。大畑校長によると児童会は今後も収集を続けるそうで「小学生でも取り組めば遠くにいる子どもの命を救える。そのように世界へと視野を広げていける子どもをこれからも育てていきたい。児童が入れ替わるたびに目的が薄れやすい面があるので、今回の寄付が今通う児童の意識の高まりに結び付けば」と今後を期待した。
支援の先になるユニセフのポリオワクチン単価は1人分20円で、同キャップ約2㌔が1人分に相当するとされている。
(2017年10月27日付紙面より)
第12回新宮市展の写真の部と洋画・デザインの部の審査会が15日、市立蓬莱体育館であり、入賞者が決まった。市展は11月4日(土)と5日(日)に市立総合体育館で開かれる。時間は午前9時から午後5時まで。最終日は午後4時まで。表彰式は5日午後3時から、総合体育館で行われる。
今回の市展には362人から455点の出品があった。内訳は▽洋画55人(55点)▽デザイン7人(7点)▽書114人(114点)▽写真27人(45点)▽生け花59人(59点)▽日本画4人(5点)▽俳画ちぎり絵その他32人(53点)▽木彫1人(2点)▽陶芸47人(86点)▽粘土1人(2点)▽アートフラワー1人(1点)▽手芸・編み物2人(4点)▽刺しゅう1人(2点)▽パッチワーク10人(19点)▽レース編み1人(1点)。
(2017年10月21日付紙面より)
初の芸術鑑賞行事 (近大新宮高校 )
新宮市の近畿大学附属新宮高校・中学校(川合廣征校長、生徒580人)保護者会(瀧川久哉会長)は19日、同校体育館で初の芸術鑑賞行事を開催した。生徒、教職員と保護者らが和歌山県内で活動する落語家、桂枝曾丸さんらの演じる古典落語に親しんだ。生徒が体験する一幕もあり、会場は笑い声に包まれた。
日本の古典落語を鑑賞し、日本文化の魅力を再発見する目的。日本古来の文化や考え方に触れ、歴史に対する興味関心を深める狙いもある。行事は今後3年に1回の頻度で実施していく予定となっている。
桂さんは落語の成り立ちなどを解説。生徒10人が手拭いや扇子の使い方、太鼓、人の表現などを舞台の上で実際に体験し、観客らの笑いを誘った。露の眞さん、桂あさ吉さんらが古典落語や英語落語、太神楽曲芸師のラッキー舞さんが神楽を披露。トリは桂枝曾丸さんが『七度狐』を演じ、会場は笑いと拍手でいっぱいになった。
瀧川会長は「当地方では文化的な行事が少なく、地元でやってほしいと思いました。枝曾丸さんが中学生、高校生に落語を伝えるために来てくれて感謝しています」と話していた。
(2017年10月21日付紙面より)
潮岬中3年生が調理体験 (串本町 )
串本町立潮岬中学校(藤本弘子校長)の3年生が19日、家庭科の一環で炊き出しに挑戦した。潮岬地区自主防災会(木山誠彌会長)の協力を得て、米6升半分の塩おにぎりと7・2㍑のサツマイモのみそ汁を調理。学んだことの延長で自分たちにも炊き出しができることに気付くなど、家庭や学校ではまずできない貴重な実践経験を積んだ。
この挑戦は前年度、義務教育の中で炊き出しを経験させたいと考えた同校が同会に協力を求めて計画した。藤本校長によると、将来の発生が予測される大地震が日中に起こった場合、校区内にいるのは高齢者と中学生以下が大半。その状況で避難所生活を始めると中学生の役割は大きいと考えるさなかに同会の炊き出し訓練を見て、「これを生徒に(できることとして)経験させたい」と思い同会に相談したという。
時期的な感染症を警戒して年度中には行えなかったが、その分準備をしっかりと整えて実現にこぎつけた。今回は生徒教職員全員とこの日来校した同会会員分の塩おにぎり、3年生や教職員と同会員分のサツマイモのみそ汁を炊き出しする内容で、同会は炊き出し用として備蓄している3升炊きのガス炊飯器と容量60㍑の大鍋を貸し出し。各材料の分量計算は教員があらかじめ行い、生徒は調理を担当といった役割分担をし、同会女性会員から段取りを教わりながら目標の量を仕上げた。
生徒の石川朝香さんは「すごい量だったけど、先生が分量を計算してくれたので難しいとは感じなかった。自分たちにも炊き出しができると分かり、今後協力する自信もついた」とコメント。
材料のサツマイモを自分の畑から提供して見守った木山会長(78)は「生徒にはこれから先どの地域に行くにしても、地域のリーダーとなり何か人のお役に立つことができる人であってほしい」と期待し、今後も学校と協力して歴代生徒の炊き出しを支援するとした。併せてこの経験はどの中学生にも意義があるとし、この機に潮岬中をモデルにして他校に実施の裾野が広がればとも期待した。
挑戦の様子は役場総務課防災防犯グループも見学し、枠谷徳彦グループ長は津波緊急避難後の事を考えたよい取り組みだとたたえるなどした。
(2017年10月21日付紙面より)
新宮の名物や名所を世界に発信してもらおうと新宮市観光推進キャンペーン協議会は16、17の両日、市内で「インバウンドファムツアー~新宮の寿司を楽しむ~」を開催した。外国人ライターたちが、さんま寿司(ずし)などを試食し、市内の名所を巡った。
参加したのは台湾、オランダ、アジア系オーストラリア人ライター4人と訪日外国人向けツアーをネット販売する「Voyagin(ボヤジン)」の担当者。徐福寿司、柿乃肴、東宝茶屋、鹿六などを訪れ、昆布巻き、なれ寿司などを味わった。
市観光ガイドの会、西田晴胤会長の案内で神倉神社、阿須賀神社、新宮城跡などを訪れた他、16日には熊野速玉大社例大祭「御船祭り」「御旅所神事」を見学した。取材記事は英語と中国語でネット、SNSで発信する。
マグロの寿司にサンズと塩を振って食べたアレクサンダー・スタンコフさんは「ものすごくおいしい。この食べ方は初めて。さんま寿司や熊野牛も初めて食べました」と絶賛。「新宮はコンパクトでいい。世界に発信すればたくさん外国人が訪れると思います」と話していた。
(2017年10月21日付紙面より)
愛好者への技術指導とダブルス大会
中体連新人バレーボール大会
東牟婁地方中学校新人バスケット大会
新宮市出身の谷口暁理君(大阪・浪速高校)
2021年の稼働を目指す (株式会社エフオン )
全国各地で木質バイオマス発電事業を展開している株式会社エフオン(島﨑知格社長、本社・東京都中央区)がこのほど、新宮市佐野の新宮港第2期工業用地に新宮発電所(仮称)を建設する計画を発表した。2021(平成33)年中の稼働運転を目指すとしている。
発電所を建設する土地は現在、国土交通省が紀伊半島大水害後、熊野川河口で実施した掘削工事で採取した土砂の置き場になっている。敷地面積は約5万3000平方㍍。発電所の定格出力は1万8000㌔㍗で、年間発電量は一般家庭約3万世帯分となる。稼働日数は年330日(24時間稼働)。燃料として県内や近隣県から調達した木質チップを年間約18万㌧使用する。総投資額は約100億円。
同社グループは、2006(平成18)年から木質バイオマス事業を実施しており、現在、大分県日田市と豊後大野市、福島県白河市の3カ所で稼働運転している。2019(平成31)年からは栃木県壬生町でも稼働を計画している。新宮発電所は豊後大野市と同規模となる予定。
同社は新宮港を選んだ理由について「わが国有数の木材産出地であったことから、森林資源の潜在性は高く、木質バイオマス発電に必要な燃料確保が十分見込まれること、また日本の『新たな木材産業のしくみ』を地域産業とともに生み出すにふさわしい地であることから、事業開発を推進することといたしました」
木質バイオマスについては「単なるエネルギー源としての目的ではなく、木質燃料の購入・消費を通じて、林業・製材事業者、運送業者など、多岐にわたること。加えて事業の継続を通じて地域経済に雇用や産業振興機会を創出する効果が期待されています。再生エネルギーとして地球環境を考慮した純国産木材で電気を供給するという本来の意義を備えた事業です」と話している。
同社は1997(平成9)年5月設立。資本金21億6400万円(6月末現在)、従業員は連結126人、単体30人(同)。
港の土地を所有する新宮市は、同社とまだ売買契約を締結しておらず、詳細は今後話し合うとしている。港内に残る他の土地でも、別会社とバイオマス発電所建設の話し合いを進めている。
田岡実千年市長は「今回の会社からは、正社員を地元優先で40人、運送や林業など関連企業を含めると100人規模の新たな雇用が生まれると聞いています。人口が減少する中、雇用の創出が大きな課題になっているので、ぜひ成功させたい」と話した。
(2017年10月7日付紙面より)
那智勝浦町の宇久井区自主防災組織(東正通会長)は1日、宇久井小学校グラウンドで同町消防団第5分団(大場英正分団長)の協力を得て放水訓練を行った。区民ら約60人が参加し、消防ホースの延長から実際に放水するまで一連の動作を実際に体験した。
同地区には火災発生時の初期消火に対応するため、区内32カ所に消防ホースやノズルなどを備えた消火栓箱を設置している。同区自主防災組織では消火活動の安全を図るため、昨年度から進めてきた可変ノズルの配備が完了したことを受けて訓練を実施した。
大場分団長は「火災が発生したら、まず周囲の人たちに声を掛けてほしい。1人では行動せず複数であたり、役割を指名しながら活動してほしい」と参加者に呼び掛けた。区民らは地区ごとの班に別れて訓練に取り組んだ。各班には消防団員が補助につき、ホースの延長、巻き方、接続金具の扱い、筒先の構え方などを丁寧に指導していた。
東会長は「基礎的な訓練だったが、いい経験になった。地域の消防団員と一緒に訓練したことでお互いに知り合うことができ、相談しやすくなったと思う」と話していた。
(2017年10月7日付紙面より)
紀の国トレイナート
那智勝浦町のJR紀伊天満駅に真っ白の待合室が出現した。駅舎を舞台とするアートプロジェクト「紀の国トレイナート2017」(同実行委員会主催)の一環で、東京都在住の鮫島慧さん(24)が制作したアート作品。
壁も床もベンチも全て白くペイントされている。鮫島さんが一晩かけて塗り上げた。この待合室に制服姿の高校生(新宮高校の吹奏楽部員3~5人)に入ってもらうことで展示は完成する。観客も含め、その場に流れる時間や空気の全てが作品となる。
観客も展示の中に入り込んで鑑賞するインスタレーションという技法で、テーマは「共有」。駅の待合室は他人同士がひとときの時間を共有する場所であることや、電車が次々にやってくる都心の駅とは違い、同駅では少人数がゆったりとした時間を過ごしていることなどに着想を得た。白い色にはその存在を際立たせる意図がある。
高校生に依頼したのは、新しい「日本らしさ」の象徴や文化の担い手として、アートやファッションの世界で注目される存在であることから。定時制高校出身で「制服を着てみたかった」という作者のあこがれも投影されているそうだ。
トレイナートの開催期間は29日(日)までで、高校生によるパフォーマンスは28日(土)、29日(日)を予定している。白い待合室は開催期間終了後もそのまま残される。
(2017年10月7日付紙面より)
勝浦小4年生がサバイバル学習 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立勝浦小学校(上浦一剛校長)で5日、那智勝浦町公民館勝浦分館(大嶽勝司分館長)によるサバイバル学習が開かれ、4年生が災害時に水道、電気などのライフラインが断たれた場合のサバイバル術を学んだ。
大嶽分館長は「災害時に取り残された時、救助が来るまで生き残るために、災害に強い精神と体を養ってください」とあいさつ。
非常時に用いる道具として、懐中電灯と水を入れたペットボトルを重ねたランタン、針金ハンガーを利用した鍋(フライパン)や金網、空き缶を用いたコンロの作り方を実演し、牛乳パックのろうそく、段ボールベッドも紹介。水のろ過方法と飲み水の作り方、火のおこし方、ランタン用の植物油の代わりに、ツバキの実から油を取る方法など、ユーモアを交えながら語り掛けるように説明し、児童らは楽しそうに話を聞いていた。
(2017年10月7日付紙面より)
北道院拳法和歌山支部
総合上位4チームは全少県大会へ
点検・整備後に各地区へ (熊野速玉大社 )
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)で5日早朝、秋の例大祭「御船祭」で使用する早船9隻が、各地区のこぎ手や関係者らにより蔵出しされた。
早船は長さ8・9㍍、幅は広いところで1・4㍍。スギ、ヒノキ、カシ、ケヤキの4種類を使用。点検・整備をした後、8日(日)、9日(月・祝)に、出船する各地区へと引き渡される。
御船祭は昨年3月に国の重要無形民俗文化財に指定された「新宮の速玉祭・御燈祭」に含まれている。早船競漕(きょうそう)は16日(月)の午後4時30分ごろ、神輿(みこし)で市内を巡幸した御神霊が熊野川河原で神幸船に遷御された後、旧丹鶴小学校下の河原に設けられた下札場(しもふだば)からスタート。熊野川をさかのぼり約1・6㌔上流にある御船島を3周し、同市相筋河原の上札場(かみふだば)を目指す。
11日(水)午後7時から、スタート位置を決める旗番抽選会が同大社双鶴殿で開かれ、同時に3年に1度行われる船番抽選(使用は平成30年から3年)も実施される。
今年の出船は、相筋、阿須賀、王子、春日、神倉、丹鶴、千穂、堤防、明神の9地区。昨年の優勝は阿須賀区で、記録は14分18秒。2位は王子区、3位は御幸区だった。
(2017年10月6日付紙面より)
全国一斉キャンペーンで呼び掛ける (新宮市 )
「里親の日」の4日、新宮市橋本のイオン新宮店で里親制度の啓発活動があった。紀南児童相談所新宮分室の職員やファミリーホームクローバーの家の職員など7人がチラシやポケットティッシュを配布し、買い物客らに呼び掛けた。
活動は特定非営利活動法人日本こども支援協会が里親制度の認知度向上、里親の担い手不足を解消しようと企画した全国一斉里親制度啓発「One Loveキャンペーン」の一環として、市内では今回初めての実施となった。
同企画は里親制度の説明と社会的養護の現状が書かれたハート型のチラシを全国で一斉配布することにより一層の相乗効果を起こす目的。社会的養護の子どもの数と同じ4万5000枚が用意され、各地区の子どもと同じ枚数が配られた。チラシには「これだけ、この地域に養護されている子どもがおり、この子たちのハートを受け取ったあなたにこの子の未来が託されている」というメッセージを込めている。
イオン新宮店では里親制度を周知するのぼり旗を立てて活動を実施した。クローバーの家の荒木博和理事長は「里親制度はあまり知られておらず、このように一斉に活動することに意味があると思います。毎年継続していきたい」。
参加した社会福祉法人和歌山県福祉事業団本部・里親支援センターの平野雅裕センター長は「里親制度について認知度が低く、知ってもらいたいです。県内では施設やファミリーホーム、里親の下で暮らす子どもたちが500人おり、みなべ町以南は70人ほど。国もファミリーホームや里親など児童養護施設の小規模化と、より家庭的な環境で育てられる子どもたちを増やしていくことを目標としています。キャンペーンを通じて受け皿となる里親を増やしていきたい」と話していた。
(2017年10月6日付紙面より)
図書館講座で山﨑泰さん講演 (新宮市 )
新宮市立図書館で4日、図書館講座があり、元同館司書の山﨑泰さんが「大逆事件の余波」をテーマに講演した。山﨑さんは、事件に直接関与しなかったが、大きな影響を受けた熊野と縁のある人々を紹介した。
明治天皇暗殺を企てたとして1911(明治44)年、12人が絞首刑、12人が無期懲役となった「大逆事件」。現在の研究では大逆罪に名を借りた社会主義者らへの弾圧で、国家によるでっち上げであったことが明らかになっている。熊野地域からは大石誠之助ら6人の犠牲者が出ている。
叔父誠之助が親代わりだった西村伊作は、国策の「良妻賢母」を徹底して嫌い、長女アヤの小学校卒業を機に、東京に日本初、男女共学の文化学院を設立した。誠之助と交流のあった与謝野晶子は、伊作の考えに共感し、学院で『源氏物語』を教えた。
誠之助が仲人した社交ダンスの草分け玉置真吉は事件後、九重小学校教員を退職に追い込まれ、のちに文化学院事務長に就任。その時ダンスに出会い、当時、上流階級で流行していたダンスを庶民に普及させた。
事件で犠牲となった古河力作が勤務していた東京・滝野川の西洋草花店『康楽園』の経営者・印東熊児は、父が新宮藩士で、母は東くめのいとこ。佐藤春夫の家(現在の佐藤春夫記念館)を設計した誠之助の末弟・大石七分や春夫が、大正時代の社会主義者のリーダー大杉栄と親しかったことなども紹介。山﨑さんは、反体制的な思想を持つ人物が熊野地域から多く出ている原因は、誠之助の影響だけではなく、風土もあると分析した。
管野須賀子や荒畑寒村が記者として活躍した『牟婁新報』の発行者、毛利柴庵は、新宮生まれ新宮育ち。誠之助の自宅が新宮支局だった。
同紙で神社合祀(ごうし)反対を訴えた南方熊楠は、「大逆事件」について「神社破滅のもっとも行われたる新宮町に、大逆徒の六名まで集まりしは、なお一層の研究を要すというも、相当の理由あり」と『和歌山新報』で書いている。
山﨑さんは、熊楠が事件の犠牲者たちに冷淡だった理由について、近所に住んでいた管野が神社合祀反対運動を冷笑したことや、海外留学時代に差別的扱いを受け、帰国後、天皇を特別視するようになったためではないかと推測した。
(2017年10月6日付紙面より)
22日まで、熊野那智大社で (那智勝浦町 )
創建1700年式年大祭(14日・土)に伴い、那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)宝物殿で4日、企画展「熊野曼荼羅(まんだら)」が始まった。鎌倉時代から室町時代制作の貴重な曼荼羅を期間限定で22日(日)まで展示する。開催中の熊野十二所権現古神像などの特別展・後期は、12月31日(日)まで。入場料は300円、小・中学生200円(未就学児は無料)。時間は午前8時30分~午後4時。
特別展後期の展示品は国指定、県指定重要文化財を含む82点。天正9(1580)年の戦火で羅災した堂舎を豊臣家が願主となり復興造営をした際に作られた古神像7体(8体は前期展示)のほか、国指定文化財の『豊臣秀頼宛書状』、秀頼奉納品、同大社の由緒を記した『熊野山略記・那智の巻』や『那智山本社末社図写し』、三十三所巡礼の中興の祖といわれる花山法皇の遺物など。
企画展「熊野曼荼羅」として、熊野信仰布教の絵説きに用いられた県指定文化財『那智山宮曼荼羅』、仏の姿の熊野権現を表す厨子(ずし)入り『熊野本地仏曼荼羅図』、『熊野垂迹神曼荼羅図』を加え展示している。
京都府京丹後市から訪れた参拝客の西山浩さん(57)は「20代のころから、いつか熊野へ行ってみたいと思っていました。歴史が好きなので、曼荼羅を見て感激しました。」と話していた。
(2017年10月6日付紙面より)
速玉大社例大祭前に30人 (新宮市 )
熊野速玉大社例大祭を前に世界遺産を守る会(会長・上野顯熊野速玉大社宮司)は9月30日、新宮市相筋の乙基(おとも)河原にある御旅所(おたびしょ)を清掃した。約30人が草刈りなどで汗を流した。
御船島の対岸にある御旅所では、例大祭両日の夕刻に神事が営まれる。早船競漕(きょうそう)や神輿(みこし)などの『動』に対し、祈りを込める『静』の場所として最も重要な土地とされる。
守る会は2011年の権現山不法伐採を受け、翌年4月に地元住民を中心に発足した。御旅所は、約750平方㍍の平地の周囲をさまざまな樹木が取り囲む土地だったが、紀伊半島大水害でほとんどが流失。ナギ、マキ、サカキなどを植樹し復元を目指している。
上野宮司は「毎年皆さんの力を頂き活動しています。水害後、人の手を入れ、早く元の姿に戻る力をつけようという気持ちで奉仕してくれました。御旅所は新宮の新宮たるゆえんの第一歩の場所。祭りは国の重要無形民俗文化財に指定されており、喜びをさらに伝えていくには地道な活動が必要です」。
速水盛康事務局長は「世界遺産と関わり、自分たちの大切にしているものを確かめられる活動です。関わり、共有し、一体感を得られることに意味がある。例大祭に向け、神と人との交流の場だと感じています」。60代の女性は「神様と共にいられると実感しています。皆さんに神事を知ってもらいたい」と語った。
例大祭は「新宮の速玉祭(はやたまさい)・御燈祭(おとうまつ)り」として国の重要無形民俗文化財に指定されている。
(2017年10月1日付紙面より)
田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)で9月30日、献湯祭が営まれた。熊野本宮温泉郷(川湯、湯の峯、渡瀬)の16軒の旅館・民宿などの代表者たちが一番湯をささげ、自然の恵みに感謝するとともに温泉郷の繁栄を祈った。
熊野本宮観光協会(堀克也会長)が主催で、今年39回目の神事。旅館の女将(おかみ)らが朱塗りのたるに入れた一番湯を本殿前に置かれた大たるに願いを込めて注ぎ込んだ。社務所前では、熊野本宮女将の会が参拝者たちに温泉コーヒーを振る舞った。
観光協会によると、本宮町の観光客数は、2011年は紀伊半島大水害の影響で100万人を割ったが、翌年以降回復。昨年は宿泊客13万1184人(前年比7748人減)、日帰り客136万8500人(同2万1700人増)の計149万9684人(同1万3952人増)だった。
九鬼宮司は「来年は本宮大社創建2050年。それぞれの役目を果たし、あらためて熊野を発信できれば」。堀会長は「近年増えている外国人観光客に対するおもてなしを特に充実させ、多くの方に熊野の温泉の魅力を感じてもらいたい」と話していた。
(2017年10月1日付紙面より)
風屋ダム2期工前に発表 (電源開発 )
電源開発は9月29日、11月から始まる風屋ダム(十津川村)の表面取水設備改良2期工事に伴う濁水軽減の追加対策を発表した。1期工事ではダム水位の低下が濁度上昇の主な原因になったと分析し、「できる限り水位を上げて工事する」などとした。新宮市議会が先日採択した「風屋ダム湖における堆積土砂撤去を求める決議」を重く受け止め、今後さらに対策を検討すると理解を求めた。
市福祉センターで開かれた「熊野川の総合的な治水対策協議会」の臨時連絡調整会議で、電源開発西日本支店の斉藤文彦支店長代理が説明。昨年11月から今年5月まで実施した1期工事では、ダム湖に堆積したシルト(沈泥)が流出し、熊野川流域住民に迷惑を掛けたと述べた。
2期工事では▽可能な限りダムの水位を上げる▽1期工事で効果があった濁水をろ過する沈殿池工を2基から6基に増やし、幅を約2㍍から4~5㍍に広げる▽地元の意見を参考に瀬の一部を掘削して流れの遅い部分を作り、濁質の沈降を促す▽チラシ配布などで流域住民への丁寧な説明に努める―などと報告した。
会議で国土交通省紀南河川国道事務所の冠雅之副所長は「追加対策の効果はどれだけ出るのか」と質問。斉藤支店長代理は「幅があると思うが、今後の協議会で説明していきたい」と回答した。
決議では、シルトを含む土砂撤去計画を示した上で2期工事に着手することを求めている。会議を傍聴した熊野川濁水・治水関連対策特別委員会の前田賢一委員長は「今日示された対策では効果が期待できない。さらなる努力を望みます」とコメントした。
(2017年10月1日付紙面より)