「笑顔があふれる町に」 (那智勝浦町長選 )
任期満了(5月19日)に伴う那智勝浦町長選挙は24日に投票、即日開票され、無所属現職の堀順一郎氏(63)が5462票を獲得、無所属新人で会社経営者の和泉行洋氏(55)に2728票差をつけて再選を果たした。防災対策や子育て世代・高齢者への支援、経済対策などが争点になり、4年の実績と今後のビジョンをアピールした堀氏が、引き続き〝かじ取り役〟を担う結果となった。
町政継続か、刷新かを問う選挙。新型コロナウイルス感染で自宅療養する堀氏に代わり、支持者が町内を巡り、公正・公平で安定した町政の継続といった本人の思いを代弁した。
投票は午前7時から町内26カ所で行われた。当日有権者数は1万2407人(男5740、女6667)。投票者は8266人で、このうち3914人が期日前投票、97人が不在者投票を済ませた。投票率は66・62%で、選挙戦となった2017年の69%を2・38㌽下回った。
開票は午後8時から町体育文化会館で始まった。両陣営の関係者らが見守る中、職員が投票箱を次々と開封し、緊張した雰囲気に包まれた。8時45分に確定し、堀氏5462票、和泉氏2734票の結果となった。
選挙事務所は本人不在のため、当選の知らせを受けた堀氏は自宅からリモートで当選報告会をした。
「たくさんの方にご支援いただきありがとうございます。告示前、新型コロナウイルスに感染し、ご心配をおかけしました。今回の選挙は後援会の皆さんをはじめ、多くの支援者、各種団体の皆さんの活動あっての勝利。今まで以上に粉骨砕身、町政の発展に頑張りたい」。
「選挙戦では直接、訴えることができなかったが、4年間、誠心誠意、町政のために尽力してきたことが皆さまに認めていただいた」と話した。
▽子ども・子育て支援▽安心・安全▽高齢者支援▽経済対策・環境保護―の取り組みを2期目の公約に掲げており、「町民の命を守るため、まずは安心・安全な町をつくり上げ、その上でいつまでも生き生き暮らしていける町づくり、主力産業の観光をいま一度盛り上げ、環境問題にも取り組んでいく。子ども・子育て、高齢者の取り組みとして体育文化会館周辺の公園化、木戸浦グラウンドの緑化を考えている。笑顔があふれる町、『住んで良かった』と言ってもらえる町にしたい」と決意を示した。
後援会の大江清一会長は「支持してくれた町民の方々に4年間の実績、公約を理解していただいたことが結果につながった。皆さま方にお礼申し上げます」と感謝。谷洋一・県議会議員、東牟婁町村会長の西前啓市・古座川町長も祝いの言葉を贈り、支持者は万歳三唱で当選を喜んだ。
他方で、和泉氏の事務所では、集まった支持者が開票結果を聞き、がっくりとうなだれた。
和泉氏は支持者に対し「私の力不足で、本当に皆さんに申し訳ない」と謝罪。選挙運動への協力に対し「この4カ月間、私を支え応援していただき、皆さんに感謝しています。ありがとうございました」と語った。支持者らは拍手で和泉氏の健闘をたたえた。
(2022年4月26日付紙面より)
児童の協力得て稚アユ放流 (古座川漁協 )
古座川漁業協同組合(大屋敏治組合長)が21日、本年度2回目の稚アユ放流に取り組んだ。心配した雨も序盤は本降りとならず、町内の小学生も予定通り協力。組合員と一緒に無事の成長を願い、ふるさとの清流へと稚アユを送り出した。
県内水面漁業協同組合連合会事業の一環で、管内のアユ資源増強を目的とし本年度も1・5㌧の放流を計画した古座川漁協。1回目は5日に1㌧、今回は残りの0・5㌧を管内流域各所へ分散放流する計画で臨んだ。
2回目については最近10年ほど、ふるさと体験を兼ねて町内の子どもに手伝ってもらう形が定着していて、この日は高池小1、2年生と明神小、三尾川小の全校児童が協力した。
町立明神小学校(濵地久夫校長、児童11人)は学校前の河原で組合員と合流。持参したバケツで体長8㌢ほどの稚アユを小分けしてもらい、水際まで運んで古座川へと放った。水際が全長20㍍ある放流用ホースの届く距離にあったため、4~5往復ほど稚アユを運んだ後は高学年が代表して同ホースによる放流も体験し低学年も様子を見学。初めて放流に協力した山口暖陽君(1年)は「楽しかった。赤ちゃんを産めるぐらい大きくなってくれたらうれしい」と話した。
高池小1、2年生19人は明神橋そば〈支流小川流域〉、三尾川小の全校児童6人は三尾川橋そば〈本流〉で協力。組合員は協力を得た後、次の放流先へと移動し管内広範に行き渡るよう稚アユを分散放流した。
同漁協管内(おおむね七川ダムより下流域)のアユ漁の漁期は6月1日(水)から12月31日(土)までで、一般向けには友釣り漁とたも網漁を順次解禁する。漁をする場合は同組合が遊漁料と引き換えで発行する鑑札の取得と漁中の常時提示が必要となる。その他規定は同漁協公式ホームページを参照。問い合わせは同漁協(電話0735・72・3800)まで。
(2022年4月26日付紙面より)
新宮市立医療センター
新宮市立医療センター(中井三量院長)は25日、産婦人科医師の不足により休止していた分娩(ぶんべん)予約・妊婦健診を6月から再開すると発表した。
6月から常勤医が3人となり体制が整うことに伴い再開の判断に至った。対象は6月1日時点で妊娠34週0日以前の人(分娩予定日が7月中旬以降の人)。里帰り分娩を希望する人も対象となる(新型コロナウイルス感染症対策として、帰省先での待機期間〈2週間〉が必要)。
上記に該当し、他の医療機関を受診中の人が医療センターでの分娩を希望する場合は、受診中の医療機関と相談の上、地域医療連携室を通じて予約を。
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■田岡実千年市長コメント
これまで、医師確保にご尽力いただきました、和歌山県はじめ国会議員、県議会議員、市議会議員の皆さま方、また、医師派遣に多大なるご協力をいただきました、東京慈恵会医科大学・近畿大学に対しまして、深く感謝申し上げる次第です。
今後も、全国的な産婦人科医師不足により、地域の医療機関への医師派遣は難しい状況が続く中、引き続き医師確保に向けて全力で取り組んでまいりますので、なにとぞご理解賜りますようお願い申し上げます。
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■中井院長コメント
当院産婦人科医師体制について、本年3月での前部長退職に伴い、診療の制限と分娩中止に至り、新宮市および地域住民の皆さまならびに地域医療を担う病院産婦人科と産婦人科医家の皆さまにはご迷惑、ご心配をおかけしましたこと、誠におわび申し上げる次第です。
産婦人科常勤医3名を確保すべく、当院幹部、新宮市長および当局、新宮市議会、県議会の皆さまの活動があり、加えて新宮市民および地域住民の方々のご要望、ご署名に後押しされて、医師獲得活動を続けてまいりました。和歌山県の積極的なご判断、ご尽力があり、東京慈恵会医科大学産婦人科のご厚意を得て、4月1日をもって産婦人科部長をお招きすることができました。さらには、近畿大学出身の医師1名を6月よりお迎えし、従前常勤の医師1名を含めた常勤医3名体制が整う見込みです。週末の産科当直に対し、慈恵会医大、近畿大学、和歌山県立医大の各産婦人科医師および、当院奉職経験のある医師の派遣が可能となり、当院産婦人科・分娩体制は皆さまに安全、安心して受診していただけるものとなったと存じます。
各医師の勤務すりあわせを適切に行い、安全に十分注意して、妊婦さまの状態に配慮しつつ、本年6月より産婦人科本格診療、分娩予約再開となる予定であります。
皆々さまの多大なるご配慮、ご尽力に衷心より御礼、感謝申し上げる次第です。
(2022年4月26日付紙面より)
競りにかけられ食卓へ (太地町 )
今期の商業捕鯨で初漁となった、ミンククジラの競りが24日、太地町漁業協同組合の市場であった。3㌔台のブロック肉20箱が、次々と競り落とされた。今後はさらに小分けにされ、近隣のスーパーや鮮魚店に並ぶほか、他地域に出荷される。
ミンククジラは、21日に青森県の大畑の沖合、28㍄(約45㌔)で捕れた、5・3㍍の雌。太地町漁協が所有する第7勝丸を含む4隻での共同操業で、鮎川捕鯨の第3大勝丸が捕獲した。共同操業のため、一部が太地町に送られ、残りは青森県の八戸の市場に水揚げされた。
太地町の競りでは、町内から7軒の仲買が集まっていた。開始と同時に仲買人が値を提示し、次々と競り落とした。競り落とされたブロック肉は、車や台車に積まれ、運び出されていった。同町漁協も運営する漁協スーパー用に、2箱を競り落としており、すぐに切り分けて並べる予定という。
同町漁協の〆谷(しめたに)和豊参事は「ミンククジラは小型のほうが肉が赤い特徴がある。今回のは身が赤く、この地域の人の好みと思う。今回は初漁でめでたいが、勝丸が捕ったのではなくて残念。次は勝丸が捕ることを期待したい」と話した。
なお操業はもうしばらく、青森沖で続けた後、オホーツク沖、道東沖と場所を移していくという。
(2022年4月26日付紙面より)
孔島鈴島で例大祭 (新宮市 )
新宮市三輪崎の孔島(くしま)嚴島(いつくしま)神社と鈴島蛭子(えびす)神社で18日、例大祭が営まれた。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から関係者のみが参列し斎行。孔島・鈴島保護委員会の井上元和委員長や中村武・三輪崎八幡神社氏子総代会長、屋敷満雄三輪崎区長らが航海の安全や大漁、新型コロナ早期収束などを願い玉串をささげた。
孔島嚴島神社の主祭神は海路を守護する神として信仰を集める市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)。鈴島蛭子神社の祭神は漁港を見守る大漁の神である蛭子命(ひるこのみこと)とされている。孔島と鈴島は南紀熊野ジオパークを構成するジオサイトに認定されており、孔島嚴島神社の石造物は、2017年に日本遺産「鯨とともに生きる」に追加登録されている。
毎年、大勢の地域住民が参加している餅まきは、新型コロナ情勢を踏まえおととし、昨年に引き続き今年も中止に。熊野速玉大社の佐藤仁迪(ひとふみ)権禰宜(ごんねぎ)が斎主を務め、しめやかに神事が営まれた。
井上委員長は「今日は風が強いが雨も降らず、天候に恵まれて良かった。本来なら多くの地域住民にご参列いただき、美しい三輪崎の海を見てもらいたいが仕方ない。大漁と新型コロナの一日も早い収束を祈りました」。
孔島・鈴島や周辺の自然保護を主たる目標に定めて活動を展開する同委員会。井上委員長は「漁協組合職員が美化活動に協力してくれておりありがたい限り。しかし、同所に流れ着くプラスチックごみは後を絶たない。一人一人の意識が大事。ポイ捨てはやめてほしい」と話していた。
例大祭は毎年、旧暦の3月18日に営まれている。
(2022年4月19日付紙面より)
古座小前で取り締まり (新宮警察署 )
串本町中湊、串本町立古座小学校正門前で18日早朝、新宮警察署による可搬式速度違反自動取締装置(通称・可搬式オービス)を用いた速度違反の取り締まりがあった。
通学路における通行車両の交通法令順守意識の向上、ひいては通学する児童を保護することが目的。同署は管内にある学校の第1学期始業に合わせてこの取り締まりを始め、ほぼ連日の実施で目的の推進を図っているという。
古座小正門前の県道は法定速度(自動車の場合は毎時60㌔)が適用されていて、利用者相互の配慮が交通事故の抑止に大きな役割を果たしている。同装置による取り締まりを要する状況はほぼないと判断し、この日は車両通行を妨げずかつドライバーから目に付きやすい位置に同装置を配置し警察官3人も同装置横やその周囲で姿を見せるなど、ドライバーの意識喚起に重点を置き登校時間帯に合わせて活動した。同時に日々の交通状況をじかに見届け、交通安全面での課題を探ることにも努めていた。
(2022年4月19日付紙面より)
目覚山水底神社で明神祭 (那智勝浦町 )
大漁と海上安全を祈願する明神祭が17日、那智勝浦町宇久井の目覚山(めさめやま)水底(みそこ)神社で営まれた。参列者は海上安全や地域の発展などを祈願した。
同神社の御神体は獅子頭、社殿横の大きな岩、蛇など複数の説がある。このうち蛇については、1286(弘安9)年5月に伊勢方面から入港する船に乗り込み、目覚山に鎮座したと伝えられる。社殿は1961(昭和36)年に造営されたが、90(平成2)年の9月から11月にかけて上陸した4回の台風で全壊。今の社殿は92(平成4)年4月に竣工(しゅんこう)した。
祭りは旧暦3月14日の前の日曜日に開かれるという。かつては船主が祭主となり、後には宇久井神社宮司に受け継がれてきたが、95(平成7)年度からは区が実施している。神社には中路進総区長をはじめ、宇久井漁業協同組合、宇久井青年会、区の役員や漁業関係者など、合わせて約20人が参拝に訪れた。
神事は熊野那智大社から出仕した神職によって営まれた。今年は、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、宇久井青年会による獅子神楽の奉納はなかった。参拝者一人一人には「目覚山神符」と餅が配られ、それぞれが安全操業の誓いを新たにした。
中路総区長は「海上安全や大漁祈願、地域の発展に加えて、新型コロナウイルス終息も祈願しました。近年は一般参拝者が減っていることを懸念している。目覚山は素晴らしい場所なので、ぜひ区民の皆さまにも知っていただけたら幸いです」と話した。
(2022年4月19日付紙面より)
ラ・フェスタ・プリマベラ (新宮・東牟婁 )
クラシックスポーツカーの公道ラリー「ラ・フェスタ・プリマベラ2022」が15~18日に開催された。16日には56台が出走し、那智勝浦町のブルービーチ那智、太地町立くじらの博物館、串本町の潮岬観光タワーを通過。ランボルギーニ(イタリア)やジャガー(英国)、ポルシェ(ドイツ)などの名車を一目見ようと集まった地域住民らが、沿道から旗を振って歓迎した。
「古いものに敬意を」「いくつになっても心・少年」「イベントに関わる全ての人と友情の輪を広げる」の精神の下、2009年に始まったイベント。毎年春に開催されることから、イタリア語で春を意味する「プリマベラ」の名を冠している。株式会社フォルツァ主催。
今年のラリーは愛知県名古屋市の熱田神宮をスタートし、2府5県の約1250㌔を走ってゴールの京都府京都市の岡崎公園へ向かう。
16日は好天に恵まれ、ルーフ(屋根)をオープンにしたクラシックカーが潮風を受けて沿岸部を疾走。ブルービーチ那智のチェックポイントでは、地元の観光パンフレットや那智黒あめなどの土産を受け取った。
普段は目にすることのないクラシックカーの姿に、地元の子どもたちも大喜び。武内弥那人(みなと)君(勝浦小2)は「車が大好き。5番や33番の車がかっこよかった」と笑顔で話していた。
(2022年4月19日付紙面より)
小児ワクチン、副反応報告 (新宮市医師会 )
新宮市医師会(米良孝志会長)はこのほど、先月に1回目の新型コロナウイルス小児ワクチンを接種した5~11歳の年齢層における接種後の副反応集計結果を報告した。集計の結果、重篤な副反応は確認できなかった。
今年に入って、国で5~11歳までを対象とした小児向け新型コロナワクチンが薬事承認されたことを受け、市では先月13日、市役所別館で1回目の集団接種を実施。約150人が接種を希望した。
接種に協力した市医師会は、独自に接種者の保護者に副反応記録用紙を配布。その記録を基に、5~11歳の年齢層の副反応調査を行っている。
同日に接種を受けた150人のうち、記録用紙の回収率は78・7%(118人)。接種直後、「息苦しい・気持ちが悪い」や基礎疾患関連の、アナフィラキシー以外の症状を見せた接種者は2人いたものの、重篤な副反応はなかった。
また、接種当日から7日目までの8日間で、37・5度以上の発熱が見られたのは3人のみで、38・0度以上の発熱が見られた者はいなかったという。
接種部位の反応では、痛み(疼痛=とうつう)が84・7%で頻度が高く、腫脹(しゅちょう)(16・9%)、熱感(6・8%)と続いた。また、全身の反応では身体のだるさ(倦怠(けんたい)感)が29・7%、頭痛(18・6%)の頻度が高かった。学校の欠席は接種翌日が多かった。
集計結果を受け、米良会長は「2回目接種後の集計が済んでいないが、言われているよりも副反応が少なかったので安心している」と見解を示している。
なお、市では、今月3日に接種を希望する小学3年生から5年生を対象にした2回目の集団接種を実施。接種率は1回目10・57%、2回目9・79%だった。ワクチンの供給量が見込まれ次第、小学2年生以下の接種を進めていく予定。
(2022年4月10日付紙面より)
市内小学校に防災頭巾 (新宮市土建協同組合 )
新宮市土建協同組合(松根康隆理事長)による防災頭巾の贈呈式が8日、新宮市役所であった。松根理事長をはじめ4人が訪問し、市内小学校の新1年生に向けた、防災頭巾200個を、速水盛康教育長に手渡した。
同組合は2010年より、市内小学校の児童に向けて毎年、防災頭巾を贈呈している。きっかけは、組合創立60周年記念の取り組み。かつて市内の小学校では、児童は教科書を乗せて頭を守り、避難訓練を行っていたが、両手を使えればより安全と考え、贈呈が始まった。
1回目は全校児童分、2回目からは新小学1年生分を贈ることで、全ての児童に行き渡らせた。頭巾は中綿入りで、緊急時には頭にかぶり、落下物から守るようになっている。平時には、学校のいすの背もたれ部分に挟んだり、座る部分に敷いたり、集会時に体育館に持ち込んだりしてクッションにできるため、身近にあって身を守れる。
贈呈式には松根理事長のほか、阿万卓也副理事長、松原重充副理事長、七瀧伸事務局長が訪れた。市立小学校は5校あり、新1年生は185人。ただし高田小は0人だった。転入児や破損分を考え、余分に200個を贈った。
松根理事長は「日頃は工事のほこりや騒音などで、住民の皆さんに迷惑をかけているので、何かできることはないかと考え、地震のときに子どもの命を守ろうと贈呈することになった。子どもは国の宝。今後も贈呈を続けていきたい」と話した。
速水教育長は「避難訓練などを行って、(防災頭巾を)活用していけるよう取り組んでいきたい。防災意識を高める役割もあるかと。大人のたくさんの力で、地域で子どもを育てる取り組みで、ありがたい」などと語った。
(2022年4月10日付紙面より)
花まつりの平和祈念祭 (新宮仏教会 )
新宮仏教会(会長=清水文雅・本廣寺住職、会員14人)は8日、新宮市福祉センターで花まつりの記念行事「平和祈念祭法要」を営み、祖国の平和と繁栄を願いながら亡くなった諸英霊の冥福を祈った。
祈念祭には遺族約20人が参列し、住職らの読経の中焼香した。田岡実千年市長は「戦後、市においても平和で心豊かに生活できる魅力と活力のあるまちづくりのためにまい進してこられたことは戦没者のご加護と遺族の協力・支援のたまもの」。
「現在享受している平和と繁栄が戦争によって心ならずも命を落とした方々の犠牲の上に築かれていることをひとときも忘れず、明日の市のために一層努力しなければならない」と追悼の辞を述べた。
池上順一・市遺族連合会長は「先の大戦より77年を迎えるが、ロシアのウクライナ侵攻に伴い、日々悲惨な状況が報道されており、世界からは今なお戦禍の報が絶えることはない。その中にあってわが国が平和でいられるのは祖国の繁栄と将来を案じながら尊い命をささげられた諸霊の思いが導いてくださったたまもの。コロナ禍を乗り越え、あの戦争を後世に伝え続けるとともに、世界平和への道を進むことを改めて誓う」と祭辞を読み上げた。
祈念祭後には「新型コロナウイルス終息祈願法要」が営まれ、猛威を振るい続ける新型コロナの早期終息を願う読経が会場内に響いた。
清水会長は「戦争は、全ての命が尊い、という仏教の基本姿勢の全否定。犠牲者の一人一人に家族があり、友人があり、思いがあり、人生を全うするはずだった。時々刻々と情勢は変化するが、こうした法要を通して歴史を感じ取り、先人の犠牲、努力の上に築かれたわれわれの現在を再確認することが、変化への対応の軸になるのでは」と話していた。
(2022年4月10日付紙面より)
太田米の田植え始まる (那智勝浦町 )
那智勝浦町の太田地区で、「太田米」の田植えが始まった。水を張った田んぼに青苗を植える作業が5月中旬ごろまで続き、早いものは8月上旬に収穫となる。
太田米は、太田地区で生産されるコシヒカリ。同町川関在住の桒野稔近(くわの・としちか)さん(38)は、太田地区の一部である、同町中里に約50枚、面積にして約400㌃の田んぼを持つ。7日が田植え初日とのことで、田植え機で田んぼを何度も往復し、苗を植えていた。
田植えのタイミングとしては、太田地区では2番目か3番目で、時期は耕作者により、早かったり遅かったりするという。桒野さんは幾つかに時期をずらして植えていき、5月中旬ごろまでに終わらせる予定でいる。
現在植えているものは、8月7日までに刈り取り、JAを通して地元の温泉旅館に卸されるという。旅館では新米として、お盆明けには出されることになる。昨年同様の量の出荷を依頼されたとのこと。
桒野さんは「今年はいつもより暖かい気がする。成長がいいのが期待できるのでは。うまく育つといい」と話した。
なお桒野さんは、那智勝浦町苺(いちご)生産組合の組合長も務めており、同町中里の8㌃のハウスで、太田地区のブランド苺「くろしお苺」も生産している。こちらも含め、「どちらも頑張って育てたい」と述べた。
(2022年4月10日付紙面より)
消防・防災センター竣工式 (那智勝浦町 )
那智勝浦町は6日、同町天満の駿田山に建設された消防・防災センター(以後、センター)の竣工(しゅんこう)式を開いた。有事の際は災害対策本部として、町の救助や防災の要となる施設の完成を、堀順一郎町長をはじめ各関係者らが祝福した。
センター建設は老朽化した旧消防庁舎が耐震・免震設計ではなく、南海トラフ巨大地震の津波浸水域に位置していることに伴うもの。2020年5月に着工し、先月31日に完成した。
庁舎棟、車庫棟、訓練塔、補助訓練塔、倉庫からなるセンターは鉄筋コンクリート造の一部鉄骨造2階建てで海抜27㍍に位置。敷地面積が9201・98平方㍍で、全体延べ床面積が1910・14平方㍍、全体建築面積が1194・35平方㍍。
設計は同町築地の清水設計事務所が、施工は有田郡有田川町の株式会社ケイズが行った。総事業費は約12・7億円。
自家発電設備や自家給油取扱所、ヘリポート、救急消毒室、女子仮眠室、研修室などを完備。さらには近畿でも珍しい、個人ロッカーを採用した出動準備室なども備えている。
式典では堀町長が「センターは大規模災害発生時の救出や救護の拠点として、役場が被災した際の災害対策本部になる。今後も町民の皆さまの安心と安全のために防災・減災対策に取り組んでいく」と式辞。
続いて、湯川辰也消防長から事業経過が報告され、関係事業者に対し感謝状が贈呈された。来賓の祝辞では、知事代理で東牟婁振興局の玉置昌彦地域振興部長と荒尾典男町議会議長、谷洋一和歌山県議会議員が祝いの言葉を述べた。
テープカット終了後は訓練塔において、町消防本部の職員が日頃の訓練の成果を披露した。最後は内覧会が開かれた。
湯川消防長は「南海トラフなどが発生した際も消防力の低下なく、対応できることがありがたい。訓練設備では消防職員だけでなく、消防団員の皆さまも訓練が行えるため、地域消防力の強化につながる」と話した。
(2022年4月7日付紙面より)
レトロ絵はがき取り扱い (串本町・古座川町 )
南紀串本観光協会や道の駅一枚岩monolith(モノリス)でこのほど、串本・潮岬や古座川のレトロ絵はがきの取り扱いが始まった。奈良県吉野郡十津川村にある観光拠点「瀞ホテル」代表の東達也さん(41)が手掛ける復刻版の一端で、1枚220円で購入できる。
「瀞ホテル」は100余年続いた旅館だが、2011年紀伊半島大水害により宿泊施設としての機能を損失。以降喫茶店として再出発し、現在は観光案内や座敷の貸し出しもする拠点となっている。「瀞ホテル」の名はいつか旅館として再興したいという決意として拠点名に掲げているという。
再興を目指す中、押し入れを整理している時に昔のパンフレットなどが出てきて「古いのに色あせを感じさせない」と往時の絵柄のすごさに感銘を覚えた東さん。興味の延長で熊野の近現代史に詳しい中瀬古友夫さんと出会い、親身な応援を受けて数年前に瀞峡のレトロ絵はがき17種類を復刻し取り扱いを始めた。
販路を広げる中、三重県熊野市にある道の駅熊野・花の窟(いわや)の売店からも設置の声掛けがあり、それならと熊野市方面の昔の絵柄を探し出し、木本~矢ノ川峠~尾鷲のレトロ絵はがきを第2弾として復刻し応えた。その折に串本や古座川、勝浦や那智など他地域の絵柄も複数残っていることを知り、レトロ絵はがきのシリーズ化を思い立った。
復刻の第3弾が串本・潮岬(9種類)と古座川(3種類)の各レトロ絵はがきで、拠点に加え前者は同協会と道の駅一枚岩monolith、後者は同駅に協力を求め販路を開いている(5日現在、今後も販路拡大予定)。
先月下旬から取り扱いを始めた同協会はセット買いや好みの絵柄の単品買いでさっそく動き出しているという。売店機能を持つ同協会古座事業所では瀞峡関係のレトロ絵はがき9種類、同道の駅も6種類を取り扱い。東さんは「昔を知る人には懐かしむ、知らない人にもデザインを通してにぎやかな当時に思いをはせる感じで親しんでもらえれば」と話している。
現在は勝浦や那智山の復刻に挑戦中という。レトロ絵はがき全般の問い合わせは瀞ホテル(電話0746・69・0003、不定休)まで。
(2022年4月7日付紙面より)
公共交通への影響は (熊野御坊南海バス )
コロナ禍やウクライナ情勢の影響により4月から、タイヤの価格が7~10%上昇している。都市部に比べ地方は生活における車への依存度が高く、本紙エリアでも各所で影響が聞かれる。所有する多くの大型バスのタイヤを必要とする、新宮市の熊野御坊南海バスに現状を尋ねた。
タイヤ価格は、コロナ禍における海運コストの上昇に加え、ウクライナ情勢の悪化によるエネルギー危機で、各主要メーカーが4月からの値上げを発表。これを受けてタイヤ販売店は、駆け込み需要を狙って盛んな商戦を繰り広げていたが、それも3月末で終了していた。
営業・企画・総務担当の谷埜泰正部長によると、熊野御坊南海バスは、38台の大型バスを所有。しかも普通車と違い、タイヤは1台当たり6本もあり、サイズも大型のため値段も高い。このため、値上げ前に履き替えたのかと思いきや「ゴム製品は劣化もあるので、そういうわけにもいかない」と明かす。
同社では常に運行前に、タイヤなど各部の点検を実施。すり減りや傷を確認するほか、定期的にタイヤ交換を行っている。しかも夏用だけでなく冬用タイヤも同様にメンテナンスをしているため、タイヤに要する費用は大きい。「タイヤ値上げは相当痛い」と話す。コロナ禍による乗客数の減少や、原油高による燃料費高騰も追い打ちをかける。
一方で他の業種、例えば飲食店のように、仕入れ値や原材料費の上昇をすぐに価格、バス事業でいう運賃に反映させるわけにはいかない。「われわれは国の認可を受けての事業で、簡単に改定はできない。自社努力で吸収するしかない」と述べる。
タイヤ価格高騰の要因の一つである、ウクライナ情勢に関しては「人道的にはもちろん、経済的にも戦争は反対」と強調。バス利用者を含めた周辺住民に対しては「地域のため、公共交通は守っていかないとと考えています。ぜひバスのご利用を」と呼び掛けた。
(2022年4月7日付紙面より)
各地で啓発活動など展開
正しい交通ルールの順守とマナーの実践を呼び掛ける「春の全国交通安全運動」が始まった。15日(金)までの10日間、「子供を始めとする歩行者の安全確保」「歩行者保護や飲酒運転根絶などの安全運転意識の向上」「自転車の交通ルール遵守の徹底と安全確保」を重点に全国で活動が行われる。
新宮市では初日の6日、市交通事故をなくする市民運動推進協議会(会長・田岡実千年新宮市長)、市交通指導員協議会、市交通安全母の会、県交通安全協会新宮支部、交通事故をなくする県民運動東牟婁地区推進協議会(会長・酒井清崇東牟婁振興局長)、新宮警察署(田原正士署長)など関係者約70人が、同市佐野のスーパーセンターオークワ南紀店で決起集会を挙行。買い物客らに啓発物資配布などを通して交通安全を呼び掛けた。県では三つの運動重点に加え「高齢者の交通事故防止」を掲げて運動を展開していく。
田岡市長は「啓発活動を通して、交通事故を1件でもなくし安心安全なまちづくりにつなげていくといった私たちの思いをお伝えできれば」とあいさつ。
東牟婁振興局の玉置昌彦地域振興部長は「気を付けていても事故に巻き込まれることがある。リスクのある社会で暮らしているということを改めて意識する機会に」。
田原署長は、串本町と古座川町を含む管内では、人身・物損合わせた交通事故総件数は昨年同期比で減少傾向にあるが飲酒運転の根絶にはいたっておらず予断を許さない状況であると説明。
「管轄区域が広くなったが、引き続き交差点関連の交通違反を取り締まるとともに、重大事故に直結しかねない横断歩行者妨害や飲酒運転に対して徹底した取り締まりを。自転車による悪質な違反に対しても取り締まりを強化していく」と述べ、さらなる協力を求めた。
特別ゲストの和歌山市出身の漫画家・マエオカテツヤさんは「気持ちにゆとりを持って運転を」などと呼び掛け。初の試みとして、新宮警察署交通取り締まり部隊による出発式もあり、警察官らが白バイやパトカーに乗り込み取り締まりに出発。関係者らが拍手をもって見送った。
(2022年4月7日付紙面より)
18歳からカーローン可能に (新宮信用金庫 )
成人年齢を20歳から18歳に引き下げる改正民法が1日、施行された。新宮市大橋通に本店を置く新宮信用金庫(浦木睦雄理事長)では、「カーライフプラン」(マイカーローン)の契約の対象年齢を18歳以上に引き下げた。
これまで▽1人暮らしの部屋を借りる▽クレジットカードを作る▽高額な商品を購入したときにローンを組む―といったとき、未成年者の場合は親の同意が必要だったが、民法の改正により18歳以上で親の同意がなくても上記契約や進路決定などが自分の意思で行うことが可能となる。
そんな中、多くの金融機関が返済できなくなるリスクがあるとして、ローンの対象年齢を据え置きの20歳以上を条件としているが、同信金では公共交通機関が少ないなどといった地域の実情を踏まえ、カーローンのみ対象を18歳以上に引き下げて契約できることを決定した。
引き下げに伴い、18歳以上から新車や中古車、バイクなどの購入のほか、免許取得や車検・修理、車庫設置などの用途で融資を受けることが可能となる。
営業推進部の口地耕司部長と審査部の濵口康夫課長は「お金を使うということにはいろいろな責任が生じてくる。その辺の周知を含めて丁寧に対応していきたい。収支のバランスなどを考慮して審査をしていく」とし、「人口減少の中、地元で働きたいといった若い人たちを応援していければ」と話していた。
(2022年4月6日付紙面より)
県割引プランが開始 (那智勝浦町も期待 )
和歌山県民向けの旅行割引制度「わかやまリフレッシュプランS」が、4月から利用可能となった。本紙エリア内の主要観光地である那智勝浦町も、同プランによる入り込み観光客数の増加に期待を寄せる。
同プランは、コロナ禍で落ち込む観光業界を支援するための県の施策。県民限定で、県内の総旅行代金の2分の1以内、1人1泊当たり最大5000円を補助する。利用期間は28日(木)までとなっている。
同町の観光企画課では4日現在、まだ始まったばかりのため、同プランによる入り込み客数は未集計となっている。ようやく、新型コロナウイルスのまん延防止等重点措置が解除となったこともあり、今後の動向に注目している。
また同町では3月に、初のオンライン開催となった「まぐろ祭り」(同運営委員会主催)が、目標の10倍を超える申し込みを集めるなど、盛況となった経緯がある。このため同課では「今度はリアルで来てもらえるように頑張りたい」と意気込む。
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他方で、肝心の同プランの申し込みは、予定の応募数を大幅に下回った。このため県は、3月31日までとしていた募集を、4日から追加募集とした。
チケットはもともと、約1万6000人分を用意していたが、応募は約6500人分にとどまった。本来は応募があふれ、抽選を行う予定だったが、3月末現在での応募者全員が当選となった。
(2022年4月6日付紙面より)
本年度の稚アユ放流実施 (古座川漁協 )
古座川漁業協同組合(大屋敏治代表理事組合長)が5日、管内流域4カ所(佐本、三尾川(みとがわ)、明神、小川)に分散して稚アユの放流に取り組んだ。
県内水面漁業協同組合連合会の事業委託による、管内の資源増強を目的とした春恒例の取り組み。天然アユの砕波帯調査や遡上状況を目安にし、今年は例年並みの1・5㌧を1㌧と0・5㌧の2回に分けて放流する計画を組んでいる。
今回の放流量は1㌧で、同連合会から届いたのは紀ノ川漁業協同組合で中間育成した体長おおむね10㌢の稚アユ。当日は大屋組合長(65)と理事や組合員有志が4組に分かれて3台の輸送車を迎え、あらかじめ定めた放流場所へホースを伸ばして分散放流した。
今年の天然アユの遡上は断続的だが昨年よりは良好との判断をしていて、引き続き理事ら組合員も各所で魚影を確認しながら状況を見守るという。大屋組合長は「県内水面漁連から届いた稚アユは思っていた以上に大きく形もそろっていて、これが解禁時にどうなるかを楽しみにしている。今年も大勢の皆さんに古座川へ訪れていただけたら」と放流の成果を期待した。
古座川漁協管内のアユ漁の次の漁期は6月1日(水)~12月31日(土)で、友釣り漁から順次解禁となる。漁時は同漁協
が遊漁料と引き換えで発行する鑑札が必要(18歳以下は無料だが、証明書を提示して発行を受ける必要がある)で、詳細は同漁協公式ホームページの遊漁規則を参照。問い合わせは同漁協(電話0735・72・3800)まで。
(2022年4月6日付紙面より)
宇久井海と森の自然塾 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の宇久井半島で自然保護活動を展開する「宇久井海と森の自然塾」は3日、環境省宇久井ビジターセンター園地内でのタケノコ掘りや休暇村南紀勝浦での温泉入浴、タケノコ料理がセットになった体験行事「竹の子ウオッチング&温泉入浴」をスタートさせた。
初日には小雨の中、近隣市町村から7人が参加。同塾運営協議会のメンバーと共に、かつては里山の棚田だった園地内のモウソウチクの林に入り、地面から顔をのぞかせているタケノコを掘り起こして汗を流した。
新宮市佐野から参加した70代女性は「友人に誘われて2回目の参加。慣れないつるはしを使って汗が出ました」。一緒に参加した友人は「掘ったタケノコは、ワラビと一緒に炊いて食べようと思う」と話していた。
4月中は10日(日)、17日(日)にも開催予定で、20人以上の団体は月・金・土曜日の開催も可能。参加費は大人2500円、中学生以下2200円。10人以上の団体は大人2200円、4歳以上中学生以下2000円。申し込みは、開催日2日前午後5時までに、ビジターセンター内の自然塾運営協議会(電話0735・54・2510)まで。水曜日休館。
(2022年4月6日付紙面より)
商業捕鯨で第7勝丸出港 (太地町 )
太地町漁業協同組合(脊古輝人組合長)の捕鯨船「第7勝丸」(32㌧、竹内隆士船長、乗組員5人)が3月30日正午、4年目を迎えた商業捕鯨を行うために太地漁港を出港した。船員の家族や関係者らが大勢駆け付け、無事を祈りながら手を振り見送った。
第7勝丸は3日(日)からの操業開始に向け、千葉県を目指す。房総沖では1隻のみでツチクジラ漁を実施する。同漁協によると、通常6~7月に行うツチクジラ漁を4月に実施するのは初の試みだという。
その後は5月ごろに青森県で、千葉県と宮城県の船合わせて4隻が共同でミンククジラ漁に取り組む。続いて、6月には北海道網走市において共同でミンク漁、7、8月も釧路市にて共同でミンク漁、9、10月は千葉沖にて、第7勝丸のみでツチクジラ漁を行うとしている。帰港は11月初旬を予定している。
昨年は国が定めるミンククジラの漁獲枠120頭より少ない91頭だった。同漁協は、海水温の上昇などが捕獲頭数に影響したと要因を挙げた。また、今年の漁獲枠はミンククジラが110頭で、ツチクジラが16頭となっている。
水産庁の許可が下りれば、10月中に宮城県でニタリクジラ漁(2頭のみ)を実施する可能性もあるとした。今回は31日未明に出港予定だったが、天候を考慮しこの日の出港となった。
出港を見送った同漁協の〆谷(しめたに)和豊参事は「安全に事故がないように祈るとともに、去年以上に捕れることを期待しています」。同漁協専務理事で日本小型捕鯨協会の貝良文会長は「海水温の上昇は数年続くこともあり、コロナ禍で価格が付きにくいなど商業捕鯨の開始後は苦労が続いている状況。天候が良ければ捕れるため、今年はぜひ大きくておいしいクジラがたくさん捕れることを願っています」と話した。
竹内船長は「最近ではスーパーで生のミンクが売っているため、購入する人の姿を見ることもある。昨年は天候が悪く目標頭数に届かなかった。今年は持ち枠いっぱいまで捕獲できればうれしい。事故なく、頭数も捕れて安全に帰ることができれば」と語った。
(2022年4月1日付紙面より)
1日、HCU開設 (新宮市立医療センター )
新宮市立医療センター(中井三量院長)は1日から、3階に新宮東牟婁医療圏で初となる高度急性期病床(HCU)を開設する。病床は5床(面積=314・9平方㍍)を新設。発症直後で重症化リスクの高い患者や、手術後の全身管理が必要な患者などに対し、より手厚い看護を行う体制づくりを構築していく。
HCUは「High Care Unit」の頭文字を取ったもので、日本語では「高度治療室」「準集中治療管理室」と訳される。集中治療室(ICU)と一般急性期病棟の中間に位置するとされているが、分類的には高度急性期病床となる。
2016年に策定された「和歌山県地域医療構想」には、新宮・東牟婁医療圏について「高度急性期に関しては、奈良県・三重県の隣接した地域に高度急性期機能を担う病床がなく、高度急性期機能を保有する和歌山圏域・田辺圏域から遠方にある地理的な条件から、圏域はもとより県境を越えた周辺地域の拠点として、新宮市立医療センターに多くの患者が集中している」「高度急性期機能を備えた医療機関から遠方となる新宮圏域としては、25年の必要病床数としては44床との推計があり、この地域において高度急性期病床(44床)を担っていくべきとの意見が新宮保健医療圏構想区域検討会で決定された」と記載されている。
HCUの新設に当たり、4人部屋6室を改修。入院対象者は手術後の全身管理が必要となる患者や、事故などによる危篤な救急患者となる。これまでは3階の手術室から各階の観察室に患者を移送していたが、同階にHCUが開設されることによりフロア内での移動が可能に。
生体情報モニタリングシステムや人工呼吸器、ICUベッドなどの医療機器が設置されており、専属の看護師長1人と看護師20人が配置される予定となっている。
総事業費は約2億8000万円(本体工事費1億9800万円、医療機器など購入費8200万円)。財源は県補助金1億1200万円、企業債1億6600万円、内部留保資金200万円。工期は昨年7月16日から今年3月7日。
中井院長は、救急専門医の確保などの課題を挙げつつも「新年度からの開設に間に合って良かった。県の補助金を頂いて運営できるようになった。(医師確保に対して)当センターに来ていただけるように、今後も活動を続けていきたい」と話していた。
(2022年4月1日付紙面より)
学校法人近畿大学と株式会社NTTドコモが3月30日、串本町串本沖で第5世代移動通信システム(通称・5G)と水中ドローンを活用して完全養殖クロマグロを飼育するいけすを遠隔監視する実証実験に取り組んだ。
2020年に両者で締結した「5Gの推進、『スマートシティ・スマートキャンパス』創造に関する包括連携協定」に基づく取り組みで、同町域では昨年9月にくしもと町立病院―同大学病院間で実施した遠隔医療支援以来の実証実験となる。
同支援時は移動基地局を据えてローカル5Gの通信環境を確保したが、以降昨年末に大字串本一帯でNTTの商用5Gが開局。今回はその通信環境をさっそく活用し、同大学水産研究所大島実験場と同大学東大阪キャンパスを結ぶ形で試みた。
実証内容の目的は養殖業のさらなる効率化(現行でダイバーがこなしている作業の一部代替)で、同実験場は重さ10㌔前後の完全養殖クロマグロを飼育するいけすを実証実験の場として提供。同ドローンのいけすへの投入など不可避の現場作業を図りつつ5G経由で同キャンパスから同ドローンを遠隔操縦し撮影したいけす内の映像をリアルタイム伝送したほか、その映像情報に基づいて作業を指示する想定で別に準備したアーム付き同ドローンの現地操縦者がいけす内の死亡魚(今回の実験では同程度の大きさの模型を使用)を回収する手順も試みた。さらにNTTは、撮影した映像を自社クラウドサービスへ保存し、アーカイブ共有可能とする実証にも取り組んだ。
同キャンパスで実験に参加した近畿大学水産養殖種苗センターの岡田貴彦センター長は、事前にわずかな映像遅延の説明があったが実際には感じられなかったと遠隔監視の印象をコメント。その映像からダイバーがいけすに入るよりも同ドローンの方が完全養殖クロマグロのストレスは小さいように見受けられた、と今回の実証内容の有用性を見据えるなどした。
両者は今後も実証内容の検証を重ねて目的に資する成果を目指すとしている。
(2022年4月1日付紙面より)
京城跡の整備で新たに (紀宝町 )
2019年、紀宝町指定文化財に指定された同町大里の京城跡(みやこのじょうせき)で、新たに畝状竪堀群(うねじょうたてぼりぐん)と堀切が見つかった。
京城跡は相野谷川中流域にある平山城跡。紀伊続風土記には1585(天正13)年に豊臣秀吉の臣下、堀内氏善(うじよし)によって建てられたとの記述がある。
海抜約70㍍の小高い山頂部を中心として、北東の曲輪(くるわ)と周囲に設けられた畝状竪堀や堀切などの防御施設から構成される。当時、山城としては全国的にも希少な石垣造りの城壁も築かれていたことから、かなりの規模と威容を誇る城であったと思われる。
今年1~2月の下草刈り、間伐、支障木伐採により東側に四つの竪堀、堀切が確認された。町教育委員会では、間伐などで城の形状が分かり始めているとし、来年度も環境整備を続けていくという。
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相野谷中学校の新2年生9人は授業「京城跡を学ぶ」で案内看板を制作し、京城跡保存・活用・整備検討委員会の寺尾邦義委員長に託した。1年生だった昨年度、学校近くの京城跡を訪れ、郷土の文化遺産を学習。その際「案内版がなく、文化財に思えない」と感じた生徒たちが発案して看板作りに着手した。スギ、ヒノキの板に「石垣」「竪堀」「堀切」などを彫り、1人1枚の計9枚を完成させた。
寺尾委員長は「生徒の手作りに価値を感じる。立派な看板で設置場所を検討したい。生徒たちにはこれからも京城跡に関心を持ってもらいたい」と話していた。今後、検討委員会に報告した上で、設置場所などを話し合うという。
(2022年4月1日付紙面より)