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2022年01月29日
1 一足早い節分で終息願う
 補陀洛山寺で立春大護摩供星祭  (那智勝浦町 )

 那智勝浦町浜ノ宮の補陀洛山寺(髙木智英住職)で27日、立春大護摩供星祭(りっしゅんおおごまくほしまつり)があった。昨年に引き続き、今年も新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から僧侶や職員のみが参加。コロナ終息を願い、髙木住職らが「鬼は外、福は内」と掛け声を発し、一足早い豆まきが行われた。

 同寺の国重要文化財の本尊「三貌(さんぼう)十一面千手千眼観世音菩薩(ぼさつ)」を開帳し、髙木住職らが法要を営んだ。

 続いて本堂内の護摩壇で護摩木をたき上げ、家内安全、商売繁盛、身体健全などを祈願。その後、僧侶2人が本堂の回廊から境内に向けて豆をまいた。

 例年は多くの参拝者が集まる中、かみしも姿の厄年の人たちが境内に設置したやぐらから豆まきや餅まきを行いにぎわっている。

 昨年8月に同寺の住職を、11月に那智山青岸渡寺の副住職を拝命した髙木住職は「僧侶にできることは限られているが、天台宗には『一隅を照らす』という言葉がある。それぞれの場所で自らができることを懸命に努力して光り輝くことで、世の中や社会が明るくなる。その思いを持って、一日も早いコロナ終息と安穏を祈願させていただいた。また、コロナや厄、邪気である鬼を払って福が来るように豆まきも行いました」と語った。

 なお、毎年多くの人々が参拝に訪れる那智山青岸渡寺(髙木亮英住職)の「節分会」はコロナの感染拡大防止のため、中止を発表している。

(2022年1月29日付紙面より)

商売繁盛やコロナ終息などを願い護摩木をたき上げた=27日、那智勝浦町の補陀洛山寺
僧侶のみで一足早い豆まきを行った
2022年01月29日
2 今こそ健康づくりの意識を
 動画「ころころ体操」公開  (串本町 )

 串本町がこのほど、介護予防体操動画「ころころ体操」を作成した。昨年12月から町公式ホームページ(HP)上で公開していて、作成した町地域包括支援センターは「外出自粛を求められる今こそ健康づくりを意識してほしい」とし視聴を呼び掛けている。

 この動画は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛で体力や認知が衰えるのを抑える目的で作成。前年度に同様の目的で実施した介護予防教室「ころころ教室」で参加者に紹介した家庭で取り組める体操を厳選収録し、所要時間約15分のレッスン動画として昨年夏に仕上げた。

 同教室を指導した株式会社シグの理学療法士・高垣弘行さんが監修し、▽グーパー体操▽肩回し体操▽腹筋体操▽スクワット▽バランス体操▽ふくらはぎストレッチ▽ハムストリングスストレッチ―の内容とコツを紹介。同センターと町社会福祉協議会の生活支援コーディネーター2人が紹介に合わせて適切な動作を実践し、視聴しながら取り組めるよう工夫している。

 視聴する方法は今月27日現在で2系統あり、昨年秋から取り組み始めた地域リハビリテーション活動支援事業の参加者には希望制で収録DVDを配布。町公式HPからはトップページ→暮らしの情報「高齢・介護」→新着情報「地域リハビリテーション活動支援事業(21・12・2)」とリンクをたどった先のページ中段にある再生画面から視聴できる。視聴自体は無料だが、スマートフォンなど通信端末を使う場合の通信料は各自負担となる。

 外出自粛は日頃の社会活動参加がもたらす体力や認知への好刺激を少なからず減じる。その不足分を家庭の中で補える状況を作って外出自粛で不健康になってしまう町民を一人でも減らしたい、というのが同教室や同動画に込めている願い。同コーディネーターの中まどかさんは「新型コロナウイルスが感染拡大したときのために作った動画。町民の皆さまに親しんでもらえるよう、よく知ってもらっている生活支援コーディネーター2人も協力させていただきました。ぜひこの動画を役立ててもらえれば」と話している。

(2022年1月29日付紙面より)

町公式ホームページ上の動画「ころころ体操」再生画面
2022年01月29日
3 互いの学びを共有
 CSマイスターミニ座談会  (和歌山県 )

 和歌山県教育委員会は26日、オンラインを用いて「令和3年度県CS(コミュニティスクール)マイスターミニ座談会」を開いた。学校運営協議会や共育コミュニティ関係者、教育関係者ら21人が参加。県CSマイスターの対談などを通して学びを共有した。

 県CSマイスター(※)と学校・家庭・地域など、各教育分野の参加者が互いに学び合い、交流を深めることにより、きのくにコミュニティスクールのさらなる推進の輪を広げることを目的に実施。交流センター太田の郷(那智勝浦町南大居)に会場を設けての開催を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大状況を鑑みオンライン開催に切り替えた。

 県は▽「この地域で育ってよかった」と思える子ども▽地域社会を支えようとする意欲あふれる子ども▽ふるさとに愛着を持てる子ども▽ふるさとの未来を託せる子ども―を目指す子ども像としており、2008年に「きのくに共育コミュニティ」(国では学校支援地域本部事業)、17年に「きのくにコミュニティスクール」(同、コミュニティ・スクール)を開始した。

 この日のテーマは「きのくにコミュニティスクールは宝の山~すべての子供が輝くCSをめざして~」。文部科学省CSマイスターの大谷裕美子さん(県CSマイスター)と串本町統括コーディネーターの森博司さん(同)による対談「CSマイスター裕美子の部屋~森CSマイスターとの対談より~」からスタートした。

 森さんは自己紹介に加え、教育現場を通した自身のコミュニティ・スクールとの関わりなどについて説明し「コミュニティ・スクールは最終的には子どもたちの学力向上に返っていかなければならない」。

 対し大谷さんは「いろんな事情のある学校もあり地域の特性もある。学力はあくまでも数字。社会教育は数字では表せない部分も多い」などと見解を示すとともに、県内の状況について情報交換をした。

 対談後、参加者らは「コミスクの困りごと&私の町の宝もの」をテーマにグループ交流を通し、協働の大切さを再確認した。

  □     □

※CSマイスター=コミュニティ・スクールや地域学校協働活動などについて経験と知識が豊富であり、実践に携わった実績を有する者

(2022年1月29日付紙面より)

森博司さん(左)がオンラインを通して大谷裕美子さんと対談=26日、新宮市緑ヶ丘の東牟婁振興局
2022年01月29日
4 おいしい旬の高菜
 太田の郷で収穫体験  (那智勝浦町 )

 那智勝浦町南大居の交流センター「太田の郷」は現在、施設の畑で、今が旬の高菜の収穫体験を実施している。26日には近隣の太田小学校に通う向山遙乃さん(6年)と宮井璃奈さん(5年)が体験に訪れ、コンテナいっぱいの高菜を収穫した。 

 畑では一般的なカラシナと辛味の少ない三池高菜の2種類を栽培している。新型コロナウイルス感染拡大の影響で「高菜の恵方巻作り&節分遊び」のイベントを中止したため、申し込みがあった参加者に随時収穫をしてもらう形に変更した。

 収穫に訪れた2人は、太田の郷の石田一事務局長らに教わりながら、はさみや包丁で大きく育った外側の葉を収穫。慣れない姿勢に「腰が痛い」と笑いながら1畝の収穫を終え、おまけのダイコンも持ち帰った。

 太田区周辺では浅漬けではなく、しょうゆやみりんで甘辛く炊いた高菜の葉で「めはり」を作る。太田区集落支援員の谷口真実さんは「豚肉と甘辛く炒めたり、じゃこと炒めてふりかけにしたりするのもおすすめ。地元の方は、同じく冬が旬のイルカと一緒に煮付けにすると聞きました」と語った。

 石田事務局長は「暖かくなる前の今は虫食いもなく、いい状態で収穫できるのでは」と参加を呼び掛けている。収穫は1家族5㌔まで1㌔180円。申し込みは、2月10日(木)ごろまで随時募集している。問い合わせなどは、太田の郷(電話0735・30・0566)まで。

(2022年1月29日付紙面より)

高菜を収穫した宮井璃奈さん(左)と向山遙乃さん=26日、那智勝浦町
2022年01月29日
5 灯台外周に春の色彩添える  樫野崎園地の早咲きサクラ  (串本町 )
2022年01月29日
6 教育功労者や優秀教職員受賞者  和歌山県  
2022年01月29日
7 虎の耳? しっぽ?  「虎」の名前が付いた植物・新宮市編  (こども新聞 )
2022年01月29日
8 楽しく親睦を深める  高田小と地域住民がグラウンドゴルフ交流  (新宮市 )
2022年01月29日
9 木本総合1・70倍、紀南2・38倍  三重県立高校前期選抜の志願状況  
2022年01月29日
10 人権啓発に力尽くす  人権擁護委員委嘱と感謝状  (御浜町 )
2022年01月29日
11 4月から18歳が成人、成人式は?  「二十歳を祝う会」などに変更  ( )
2022年01月29日
12 いじめ生まない取り組み開始  「ピンクシャツデー」に向けて  (相野谷小 )
2022年01月29日
13 お悔やみ情報
  
2022年01月26日
14 駆け込み需要にも期待
 プレミアム付商品券、使用期限迫る  (新宮市 )

 新宮市が発行する「市プレミアム付商品券」の販売終了および使用期限が1週間後の31日(月)と迫っている。現在の購入率は約66%で、当初見込んでいた7割に届く勢い。市では販売・使用終了直前に伴う駆け込み需要にも期待を寄せている。

 新型コロナウイルス感染症の影響による市民の生活支援を行うとともに、落ち込む地域経済の活性化を図ることを目的に発行。1冊7000円分(500円券×14枚つづり)が5000円で購入できる(プレミアム率40%。1人当たり2冊まで購入可能)。1冊に「地元店舗限定券」と「全店舗共通券」が3500円分(7枚ずつ)の仕様となっており、市内566店舗で使うことができる。

 現在の販売金額は約1億7000万円で発行金額は約2億4000万円。大型スーパー含む小売業店舗における使用が全体の約7割を占め、次に飲食業と続く。担当課である市商工観光課は「日用品で使用する人が多い印象。普段から使っている店舗で使いたい人が多いのでは」と見解。

 市内でサービス業を営む70代男性は「(商品券の)販売直後は使用されるお客さんがいたがしばらく落ち着いていた。今朝(24日)になって『使うのを忘れていた』と商品券による支払いを希望する人がいた」。

 40代男性は「(商品券を使って)一度家族で焼き肉を食べに行ったが、ほとんどを日用品で使った」。30代男性は「(商品券を)購入するのを忘れていた。まだ間に合うなら買いたい。少しぜいたくして普段食べないものを購入したい」と話していた。

 商品券を購入する場合は昨年6月下旬に市から郵送された購入引換券(はがき)と本人確認書類を持参し、市内郵便局13カ所(簡易郵便局を除く)で希望の冊数を代金と引き換える。なお、購入引換券を紛失した場合、1回に限り同課で再発行が可能。再発行を希望する人は印鑑を持参し同課窓口で申請を。

 取扱加盟店一覧表は市内郵便局、市役所、三輪崎支所、高田支所、熊野川行政局で配布。市ホームページにも掲載している。

(2022年1月26日付紙面より)

販売終了、使用期限が迫る新宮市プレミアム付商品券
2022年01月26日
15 身体健全や無病息災祈願
 加寿地蔵尊で初地蔵まつり  (那智勝浦町 )

 加寿(かす)地蔵尊世話人会(中田勝康代表)は23日、那智勝浦町の熊野古道駿田峠の加寿地蔵尊(同町湯川笹ノ子)で「初地蔵まつり」および鈴姫開眼供養祭を開いた。近隣から参拝者らが訪れ、身体健全や無病息災を祈願した。

 世話人会によれば、加寿地蔵尊は千年前に熊野詣での途中、駿田峠で命を落としたといわれる3人の姫を祭っており、婦人病や足腰の病に御利益がある。3人目の「鈴姫」の社が長年発見されていないことから、このたび新たに社を建て、開眼供養祭を営むこととした。

 この日は雨天のため、拝み社で中田代表と修験者の富岡秀清さんらが初地蔵の供養を営み、笛と舞が奉納された。鈴姫の社の前でも般若心経を唱えて開眼供養祭を営み、参拝者が手を合わせた。会場では「千本つき餅つき」や「加寿姫みくじ」などもあった

 修験者の富岡さんは「3人目の姫様のお地蔵さんはとてもかわいらしく、みなさんを守り、癒やしてくれる力を持っているはず」。中田代表は「崖崩れのためか長年三つ目の社が見つかっていなかったが、ようやくお祭りすることができてうれしい」と話していた。

(2022年1月26日付紙面より)

拝み社で供養を営む=23日、那智勝浦町
鈴姫の地蔵へ手を合わせる参拝者
2022年01月26日
16 八重咲きなど花弁に個体差も
 日本クマノザクラの会が学習会  

 クマノザクラの利活用や保全活動に取り組む「日本クマノザクラの会」(勝木俊雄会長、会員165人)は22日、オンライン学習会を開催。副会長の田尾友児さんがクマノザクラとの出会いや今後の活用などを語った。

 日本クマノザクラの会は昨年2月に発足。和歌山、三重、奈良の3県にまたがる自生地で広域的な活動に取り組み、リーフレットを作製し、ホームページも開設した。昨年9月から毎月、オンライン学習会を開催してきた。

 クマノザクラは、バラ科サクラ属の樹木で、2018年に新しく公表された野生種。紀伊半島南部の3県に分布し、ソメイヨシノより少し早い2月下旬から3月中下旬に開花する。勝木さんが発見し、命名した。

 学習会で田尾さんは自宅から配信し、「クマノザクラが発見されるまで地元では早咲きのヤマザクラだと思っていた。18年3月に約100年ぶりの新種として発見されたというニュースが飛び込んできた」と振り返った。

 新種発見後、紀宝町の山林で調査を開始したことやクマノザクラの苗木育成研究などを写真とともに紹介。濃いピンクやフレア状、八重咲きといった花弁の個体差なども解説し「今後、病気や寿命で枯れているソメイヨシノの代わりになると期待している」と伝えた。

(2022年1月26日付紙面より)

オンライン学習会でクマノザクラについて解説=22日、紀宝町神内
2022年01月26日
17 火災から国の宝を守れ
 文化財防火デー前に訓練  (熊野速玉大社 )

 文化財愛護思想の高揚を目的に制定された「文化財防火デー」(1月26日)を前に、新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)で25日、防火訓練があった。同大社職員らが初期消火活動などを通じて、有事の際の連携体制を確認した。

 例年なら消防団や婦人防火クラブ会員らも参加して行われる防火訓練。今年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、同大社神職や巫女(みこ)からなる自衛消防団10人のみで実施。新宮消防署員立ち会いの下、訓練を展開した。

 午前9時、境内の清掃をしていた巫女が、本殿の奥御前三神殿からの出火を確認。大声で「火事です」と伝え、各自が通報や消火器を用いた消火活動、文化財の運び出しなどを実施。「建物から離れて避難してください」と呼び掛け、参拝者を安全な場所に誘導した。

 訓練の様子を見守っていた、新宮消防署の榎本正昭消防係長は「大きな声で火事発生を知らせてくれていた。各担当も迅速、的確に行動していただいていた。設定時間内に終了し、日頃から訓練をしてくれていると感じた」と講評し「早期の発見と通報が重要。被害を最小限に抑えていただけるよう、今後も訓練に励んで」と呼び掛けた。

 上野潤権宮司は「突発的な災害に対しては常日頃からの備えが必要。年に1度振り返り、こうして訓練できる機会は重要」と述べ、「訓練では適時スムーズに動けていたと思う。訓練を通じて、防火の大切さが広く伝われば」と話していた。

 文化財防火デーの1月26日は1949(昭和24)年に法隆寺金堂壁画が焼損した日。55(昭和30)年からこの日を中心として全国的に防火運動が展開されている。

(2022年1月26日付紙面より)

文化財の運び出しを行う神職ら=25日、新宮市の熊野速玉大社
2022年01月26日
18 たばこは毒の缶詰  神倉小で防煙教室  (新宮市 )
2022年01月26日
19 最高の和歌山暮らし発信  「わかやま魅力Fes.」  
2022年01月26日
20 時代超え、闇を光へ紡ぐ㊦  「大逆事件」から111年  (新宮市 )
2022年01月26日
21 さまざまなゲームに挑戦  橋本児童館「みにみにチャレラン」  (新宮市 )
2022年01月26日
22 フキノトウが顔出す  ひと足早い春の訪れ  (紀宝町 )
2022年01月26日
23 自慢のたこ、大空に  井田小の1、2年生が作る  (紀宝町 )
2022年01月26日
24 串本町モデルにし課題探る  子育て支援検討成果報告会  
2022年01月26日
25 区の関係者らで信心つなぐ  添野川いくさ地蔵尊で例祭  (古座川町 )
2022年01月26日
26 お悔やみ情報
  
2022年01月19日
27 西田健さん、無投票で5選
 紀宝町長選  

 任期満了に伴う紀宝町長選挙が18日告示され、現職の西田健さん(73)=無所属=以外に立候補の届け出がなく、西田さんが無投票で5回目の当選を果たした。


2022年01月19日
28 自分の身を守る行動を
 丹鶴幼で防災出前事業  (新宮市 )

 新宮市立丹鶴幼稚園(下岡容子園長)で17日、「ぼうさい出前事業~たんかくようちえん~」があった。市防災対策課の櫻井勇太さんと日浦規行さんが来園し「見て、考え、触って、身体(からだ)を動かす体験型」の防災授業を展開。44人の園児らが防災に対する心構えを身に付けた。

 6434人が亡くなった阪神・淡路大震災発生(1995年)から17日で27年。1月17日はボランティア活動への認識を深め、災害への備えの充実強化を図ることを目的として「防災とボランティアの日」に制定されている。

 出前授業は子どもたちに有事の際に自らの命を守る行動を身に付けてもらうことを目的に実施。

 櫻井さんは、園児らに、無彩色の人気のキャラクターを青(津波)、黄(土砂崩れ)、赤(火事)に色分けしてもらい「地震が起きたら津波や土砂崩れが起こり火事になります。色で覚えておいて」と呼び掛けた。

 「危険な場所を探そう」で園児らは地震発生時の教室内の危険な箇所を探索。ピアノや空調設備の下などに「危険マーク」を貼り「電灯が落ちてきたら危ないよ」「扇風機も落ちてくるかも」などと意見を出し合った。

 櫻井さんは「地震はいつ来るか分かりません。安全な所を自分で探して頭を守る『ダンゴムシのポーズ』を」。

 園児らは地震発生時に取る体勢を基にした「ぼうさいじゃんけん」や、「新聞紙座布団」「新聞紙ブランケット」「防災新聞紙スリッパの折り紙」など身近にある新聞紙の使い方も学習。「スリッパを作るのが難しかったけど楽しかった」などと感想を発表し、ゲームなどを交えた体験型の授業を通して身を守る行動を学んだ。

(2022年1月19日付紙面より)

「ぼうさいじゃんけん」で有事に取る体勢をおさらい=17日、新宮市立丹鶴幼稚園
新聞紙ブランケットで「暖かいね」
防災新聞紙スリッパの履き心地を確認
2022年01月19日
29 クラシックの世界を堪能
 新春コンサートで西謙二さんら  (新宮市 )

 「オペラとピアノの会」は16日、新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」で「新春コンサート オペラ・ピアノ・歌で誘(いざな)うクラシックの世界」を開催した。西謙二さんらによるピアノ演奏や歌声が会場内に響き渡り、約400人の来場者らがクラシックの世界を満喫した。

 西さん(ピアノ・テノール)、金野友美さん(ソプラノ)、石山優香さん(ピアノ)が出演。バリトンの二宮周平さん、メゾソプラノの滝口小夜子さんをゲストに迎えて開催した。

 コンサートは西さんによるシューマン作曲「『子供の情景より』見知らぬ国へ」のピアノ演奏で幕開け。「楽しいコンサートにしていければ。短い時間ですがごゆっくりお楽しみください」とあいさつした。

 新型コロナウイルスの影響で一部プログラムが変更となったが、主演者らはプッチーニの「トスカ」「トゥーランドット」、ロッシーニの「セビリアの理髪師」などで声楽とピアノを披露。

 「世界の名曲」と題し「ふるさとの」(平井康三郎作曲、石川啄木作詞)「サマータイム」(ガーシュイン)なども会場に響かせ、迫力ある演奏や歌声に来場者らは惜しみない拍手を送った。

 西さんは県立新宮高校、東京大学工学部卒。米国マサチューセッツ工科大学客員研究員や学術誌のエディター、日本政府関係の委員などを務めた経歴を持つ。ピアノを杉浦範さんらに、声楽を田邊清美さん、二宮さんに師事。テノールとして首都圏でのコンサートを中心に出演している。

(2022年1月19日付紙面より)

迫力ある歌声を響かせる西謙二さん(右)ら=16日、新宮市の「丹鶴ホール」
大勢の来場者がクラシックの世界を堪能
2022年01月19日
30 オリジナルの羽子板作る
 木材会館で第2回木育教室  (新宮市 )

 新宮市あけぼのの新宮木材会館で15日、新宮木材協同組合事務局主催の第2回木育教室が開かれた。親子3組10人がスギとヒノキの見分け方を学び、地元産のスギ材を使ったオリジナルの羽子板を作った。

 大人にも子どもにも、森林の役割や木の良さ、新宮市と林業の関わりなどを知ってもらおうとスタートした取り組み。森林についての座学と木工工作があり、同組合加入の製材所などが材料を提供している。

 この日は事務局員の山本盛都さんが、日本の人工林の多くを占めるスギとヒノキについて解説。タネ、花、苗、葉、樹皮、年輪の写真を見比べながら、その特徴や違いを示した。「木の節ってなんだろう?」「日本のような四季がない国の木材には年輪がある?」などのクイズもあった。

 木工工作では、地元産スギ材の羽子板にカーボン紙でトラや門松、ウメなどを描き、油性ペンや筆ペン、はんこなどで色を塗っていった。完成後は子どもたちが早速「カーン、コーン」と子気味の良い音を響かせて遊んでいた。

 今後も毎月1回、5組限定で開催していく予定。大人の参加も歓迎しており、イベントに関する情報は毎月1日にインスタグラムのアカウント(kinanmokuzai_shinryokukai)で発信している。

(2022年1月19日付紙面より)

スギとヒノキを見比べる参加者=15日、新宮市の新宮木材会館
オリジナル羽子板を持つ子どもたち
2022年01月19日
31 災害時に移動式ハウス提供
 木下建設と利用協定を締結  (串本町 )

 和歌山県有田市に本社を置く木下建設株式会社(木下英文代表取締役社長)が17日、串本町と災害時における避難場所の施設利用に関する協定を締結した。

 同社はかねて、国土交通省が推奨する「地域の守り手」として災害時の復旧活動に参加。その中で地域に安心を届ける方法はないかを考え、2020年度に環境省事業の採択を受けて平時は現場の仮設事務所や休憩所、災害時は拠点基地や避難場所として利用できる太陽光発電付き移動式ハウス「ソーラーシステムハウス」を株式会社ダイワテック、デザイン事務所「BLOOM*ROOM」と共に2種類製作し、計10棟を導入した。

 うち2棟は本社に配置し、残り8棟をすさみ串本道路関係工事請負のため同町内の現場などで運用中。その縁で災害時の利用を図るために同協定を町に申し出て締結するに至った。

 締結式は高富にある同社串本事業所であり、木下社長と田嶋勝正町長が協定書に署名した。災害時に同ハウスを配置場所もしくは町が希望する場所へ移動配置して貸与する内容で、町か同社のいずれかが解除を求めるまで有効となっている。

 署名を経て田嶋町長は「災害はいつ起こるか分からないことを頭に入れて取り組む中、この素晴らしいハウスを活用させていただけることをうれしく思う」と述べて今後の有効活用を視野に入れ、木下社長は「地元の皆さま方と共にこれからも防災対策に取り組んでまいりたいと考えている。本日の締結式はその一歩。社会に生きる者の務めとしての認識を思い、改めて身が引き締まる思い」と胸中を明かして同協定に基づく第一歩を踏み出した。

 同社は有田市とも同様の協定を締結済み。災害時はその状況に応じて両市町内に同ハウスを割り当てるという。

  □     □

1棟は「現場の駅」としてアピール開始



 同町内8棟のうち、1棟は同事務所横に配置し情報発信基地「現場の駅」として同式後から運用を始めた。日曜を除く午前8時30分~午後5時に開いていて、現場の魅力や工事の進捗状況、町の情報(同社と串本警察署が合同で取り組む野生動物接触注意の啓発など)や観光案内などの情報発信と併せて同ハウスも皆さんに知ってほしいとアピールしている。

 同ハウスは角形鋼管・軽量形鋼構造で、4坪サイズ、開放型とプライバシー確保型の2種類がある。太陽光パネルと大容量の蓄電池、エコ給湯器を備え、省エネ型の構造設計や設備採用により満充電・無給電状態で約3日間利用〈通常時〉できる能力を有する。

 採択条件外の独自の仕組みとして、デジタル看板と災害時の情報入手や安否確認に欠かせない携帯端末の充電を想定とした「虹色コンセント」(同社命名、2口コンセント×7個)も備えることで、災害時の安心提供の度合いを強めている。

 この日は同社の招待で高富区の中野實区長ら近隣住民が「現場の駅」として開放している同ハウスを内覧し、特色の説明を受けて概要を確かめた。同ハウス周囲のウッドデッキやウッドフェンスは社員の手作り。同社は同事務所がある限り「現場の駅」の配置も続けると意気込んでいて、地域の皆さんに適時利用してもらえればとしている。

(2022年1月19日付紙面より)

協定を締結した田嶋勝正町長と木下建設株式会社の皆さん=17日、串本町高富の同社串本事務所
内覧者にソーラーシステムハウスの特色を紹介する木下英文代表取締役社長(右)
2022年01月19日
32 学び合う児童の姿を見学  井田小で公開授業研究会  (紀宝町 )
2022年01月19日
33 家族でのんびり自然を満喫  飛雪の滝キャンプ場で体験会  (紀宝町 )
2022年01月19日
34 西村伊作らの草稿を展示 3月21日まで、佐藤春夫記念館 (新宮市)
2022年01月19日
35 練習の成果を披露  神倉小で「手話歌」  (新宮市 )
2022年01月19日
36 「日々の生活が先生だった」  寺岡さん著書「ど根性貧乏!」  (那智勝浦町 )
2022年01月19日
37 県大会結果など町長に報告  ビブリオバトル町代表2人  (串本町 )
2022年01月19日
38 テリハノイバラの実  那智勝浦町の弁天島近く  
2022年01月19日
39 現職・西田候補のみが届け出  無投票の公算大きく  (紀宝町長選 )
2022年01月19日
40 お悔やみ情報
  
2022年01月15日
41 大学入学共通テストへ出発
 新宮高、近大新宮高生ら  

 大学入試シーズンの幕開けとなる令和4年度大学入学共通テストが、15日(土)と16日(日)にいよいよ実施される。14日には、新宮市内の県立新宮高校と近畿大学附属新宮高校の生徒たちが和歌山市の試験会場へ向けて出発した。

 大学入試センターによると、本年度の志願者数は全国53万367人(前年比4878人減)。和歌山県内では和歌山市および紀の川市の4会場で3220人(同177人減)が受験する。初日の15日には地理歴史公民、国語、外国語、16日には理科と数学の試験がある。

 県内でも新型コロナウイルス感染者数が急増する中での実施となる今年、会場では試験実施のガイドラインに沿い、▽席間距離の確保▽マスク着用の義務付け▽手指消毒▽換気▽机・椅子の消毒―などの対策が取られる。

 体調が万全でない場合は29日(土)、30日(日)の追試験の機会が設けられている。また、文部科学省は新型コロナ感染などで本試験も追試験も受けられなかった受験生のため、個別入試のみで合否判定する救済措置を取るよう全国の大学に要請している。

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■近畿大学附属新宮高校



 近畿大学附属新宮高校(池上博基校長)からは3年生108人中63人が受験。JR新宮駅前に集まった生徒たちは、見送りに来た教職員や保護者へ「行ってきます。頑張ります」と言い、バスに乗って出発した。

 宮本俊子・進路指導部長は「今年は総合型選抜入試や学校推薦型入試で国公立10人、近畿大学54人合格と素晴らしい成果を収めている。共通テストを受験する生徒たちも年末年始の休みを返上して対策特別講習に励んできた。本番も実力を発揮してもらいたい」と語り、今後も予備校などと連携して万全のサポート体制を取っていくとした。

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■新宮高校



 新宮高校(東啓史校長)は3年生172人中70人が試験に挑む。今年は新型コロナ感染防止のため出発式を実施せず、学校から出発した3台のバスで各市町村の生徒たちを拾いつつ受験地へ向かった。

 東校長は「コロナ禍という難しい状況の中、生徒たちは感染症とも闘いながら努力してきた。それを試験結果に反映できるよう頑張ってほしい。彼らなら逆境をはねのけられるはず」と語った。同校の控室には教職員一同から「頑張れ新高生‼希望の天地を開かんともに」との激励メッセージがつづられていた。

(2022年1月15日付紙面より)

近大新宮高生を激励=14日、新宮市のJR新宮駅前
手を振ってバスを見送る教職員=同日、新宮市の県立新宮高校
2022年01月15日
42 七川会場の構成を変更
 高齢者接種3回目に向け  (古座川町 )

 古座川町が13日、七川総合センターふるさとで新型コロナワクチン高齢者対象集団接種の3回目開始に向けた会場運営訓練に取り組んだ。

 この接種は2月1日(火)から明神会場(保健福祉センター・明神診療所)と七川会場(同ふるさと)を設けて進める。七川会場は1、2回目時に経過観察が良好でない場合に備えて棟続きではない七川診療所を接種場所とし車両送迎する形を取ったが、3回目はより円滑にワクチンを打てるよう同ふるさとのみで接種者の動線を完結する形に変更するとしている。

 同訓練は、その変更後の円滑な接種体制を構築するのが目的。町健康福祉課、明神診療所、七川診療所の各職員が同ふるさとに集まって▽受け付け▽保健師問診▽医師予診▽接種▽経過観察―をワンフロアに収める配置を検討し、当日の流れを模擬的に当てはめて運営上の支障がないかを確かめて会場構成を決めた。

 同課によると、この接種は①1日~3日(木)②16日(水)~18日(金)―の6日間で実施する。①は71歳の一部以上、②は65~71歳の一部と医療・福祉従事者で2回目から6カ月が経過した人が対象。高齢者は2回目から7カ月経過を目安として振り分けている。

 必要なワクチン確保のめどはついていて、②の最終日のみモデルナ社製を接種するとして希望者(71歳の一部以上も希望可)を受け付け、他はファイザー社製を接種する。実施に先だって昨年末に対象者へ案内などを送付していて、今月13日時点で約9割が返信し数人を除いて3回目の接種を希望しているという。

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一般対象開始は4月中旬を予定



 一般(12~64歳)対象集団接種の開始時期は、2回目から8カ月経過の目安に基づき4月中旬と予定して検討中。国が目安の前倒しを示した場合は、呼応して早めるよう努めるとしている(今月13日現在)。

(2022年1月15日付紙面より)

変更後の会場構成に支障がないかを確かめる職員=13日、七川総合センターふるさと
2022年01月15日
43 終息や商売繁盛など祈願
 大泰寺で大般若祈祷会  (那智勝浦町 )

 那智勝浦町下和田の古刹(こさつ)、定光山大泰寺(西山十海住職)で13日、西山住職ほか、同町や太地町の7人の住職が出仕して「大般若祈祷会」を営んだ。昨年は恒例の餅まきが中止となったが、今年は新型コロナウイルス感染症対策を施した上で実施。境内や本堂は多くの参拝者でにぎわった。

 法要ではマスク着用やアルコール消毒、換気など新型コロナウイルス対策を徹底。住職らは全600巻の大般若経典を左右に波打たせながら一気に読む転読を行い、厄払いや家内安全、商売繁盛などを祈願した。

 同寺大総代の尾屋公一さんは「コロナの終息を願った。餅まきを楽しみにしてくれている住民の方も多いので今年、餅まきができることは総代、檀家(だんか)としてもうれしい限り」。

 西山住職は「コロナ終息と皆さまの生活が日常に戻ることを祈願しました。また、ご依頼を受けた多くの企業や個人の方々からの願いがかなうように一生懸命、祈とういたしました」と語った。

 餅まきは3密防止のため、本堂と薬師堂、境内に設置した舞台の3カ所で実施した。町内から訪れた60代男性は「たくさん餅を拾うことができて良かった。今年こそはコロナも収まってくれたらうれしい」と話していた。

 同寺は伝教大師により1200年前の平安初期に創建された桓武天皇勅願道場と伝わる。薬師堂は関南薬師の第一霊場として昔から近隣の人々の信仰を集めてきた。

 この日も開帳された本尊の薬師如来像(国重要文化財)は1156(保元元)年の作。その優美な姿に引かれ、例年の開帳の際は大阪や東京などからも参拝者が訪れている。

(2022年1月15日付紙面より)

大般若経典を転読し厄払いや商売繁盛などを祈願した=13日、那智勝浦町の定光山大泰寺
2年ぶりの餅まきも行われた
2022年01月15日
44 人形劇の世界を楽しむ
 井田保で「どむならん」が上演  (紀宝町 )

 紀宝町立井田保育所(小田幸美所長)で13日、劇団「どむならん」による人形劇があり、3~5歳児が歓声や笑い声を上げながら、夢中になって鑑賞した。

 どむならんは1994年9月に旗揚げ。メンバー3人が全国各地で年間約120ステージの公演活動を繰り広げている。町の依頼を受けて町内各保育所で巡回公演しており、同保育所では二つの演目を披露した。

 3人が5歳にタイムスリップした演目「あそぼ!あそぼ!」では、子どもたちと一緒にかくれんぼを楽しんだ。

 人形劇「ブヒブヒのおつかい ちゃ~んとできるかな?」は、子ブタのブヒブヒが「キノコを採ってきて」と頼まれて森へ出掛ける物語。どのキノコを採ればいいのか分からず、物知りのポンポコじいさんに教えてもらいながら、森の中を大冒険した。子どもたちは、かわいいブヒブヒにすっかり引き込まれて、夢中で劇に見入っていた。

(2022年1月15日付紙面より)

どむならんが楽しい劇を繰り広げる=13日、紀宝町立井田保育所
人形劇を楽しむ子どもたち
2022年01月15日
45 年度内完了見据え考え公表  住民税非課税世帯等の給付  (串本町 )
2022年01月15日
46 税務職員から大切さ教わる  高池小6年生租税教室に参加  (古座川町 )
2022年01月15日
47 世界遺産の普遍的意義学ぶ  ロングハイキングに向け  (新宮高校 )
2022年01月15日
48 バイカオウレン  新宮市高田  
2022年01月15日
49 世界遺産をきれいに  浦島観光ホテルが道普請  (那智勝浦町 )
2022年01月15日
50 県立高校の進学希望状況  前期選抜は21日から願書受付  (三重県教委 )
2022年01月15日
51 オリオン大星雲も見つける  冬の天体観望会  (紀宝町 )
2022年01月15日
52 町内65カ所に掲示板  告示を前に設置  (紀宝町長選 )
2022年01月15日
53 お悔やみ情報
  
2022年01月08日
54 一年の無病息災願い
 7日は「七草粥」  

 1月7日は「七草粥(ななくさがゆ)」。市内のスーパーマーケットなどでは「七草粥セット」を買い求める人の姿が多く見られた。

 一年の無病息災を願って、一般的に人日の節句の朝に食べられる日本の行事食。新年の季語でもある。正月の祝膳や祝酒で弱った胃を休める目的もあるという。平安時代には行事として行われており、室町時代の汁物の原型ともされている。

 地方によって食材や作り方、味付けが異なり、那智勝浦町の七草粥(ななくさがい)はダイコンやニンジンなどの野菜を入れるほか、田辺市中辺路町では餅とシャクシナを入れるという。

 春の七草は、時代や地域によって異なっていたが、現在では一般的にセリ(競り勝つ)、ナズナ(なでて汚れを払う)、ゴギョウ(仏の体)、ハコベラ(繁栄がはびこる)、ホトケノザ(仏の座る場所)、スズナ(神を呼ぶ鈴)、スズシロ(汚れのない純白)で構成されている。

 年明けから約1週間が過ぎ、「寝正月」「飲み正月」「正月太り」で体調を崩している人も多いのでは。七草粥を食べて無病息災を祈りつつ、胃腸を休めてみてはいかが。

(2022年1月8日付紙面より)


スーパーマーケットに並ぶ「七草粥セット」=6日、新宮市
2022年01月08日
55 音読コンで最優秀賞獲得
 上野山こども園の年長児  (串本町 )

 串本町津荷にある社会福祉法人杉の子会上野山こども園(前田紀代子理事長、上地奈奈園長)の年長児(5歳児、ひまわり組)が6日、第17回音読コンクール団体の部〈年長〉で最優秀賞を獲得したことを田嶋勝正町長に報告した。

 このコンクールは、幼年国語教育会が成長の励みとして年1回主催している全国規模の審査会。個人と団体の2部門があり、団体の部は年長・年中・年少・年少未満の4区分でクラス単位の音読作品(=動画)を受け付けている。

 同法人は前田理事長の「本が好きな子になってほしい」という思いを形にする活動の一端で第1回から応募していて、現在は3~5歳児が挑戦する形で定着している。本年度の年長児は▽月の兎▽方丈記より「ゆく河の流れ」―の音読に挑戦し同部〈年長〉に応募。審査の結果は第一席の最優秀賞で、同法人にとっては第4回で旧・上野山保育所の年中児(4歳児)が獲得して以来13年ぶりの好成績となった。上地園長によると、本年度の年長児はおととしに優良賞〈年少〉、昨年に第二席の読売新聞社賞〈年中〉を獲得。職員は応募のたびに成績が上がる成長ぶり、年長児は去年より大きな記念盾がもらえたことに喜んでいるという。

 この日は年長児30人が同園の幼児バス(通称・ねこバス)で役場本庁を訪ね、上地園長ら職員と一緒に結果を報告。田嶋町長は「動画を見たがみんな足や背筋がピンとしていて、これなら取れるだろうと思った」とたたえ、園児一人一人にお祝いの品を贈ってこれからも頑張ってと励ました。

 今回は年中児が優秀賞〈銅賞〉、年少児(3歳児)が優秀賞〈銀賞〉と、どのクラスも賞状と記念盾が贈られる成績を収めた。上地園長は「3年間の積み上げで年長児は、漢字と仮名が交ざる絵本も興味を持って読めるようになっています。本を嫌いにならないのはもちろん、みんなで声を合わせる挑戦で協調性も高めてくれたら」と活動に込める思いを語った。

(2022年1月8日付紙面より)

音読コンクールで最優秀賞を獲得した上野山こども園年長児の皆さんら=6日、串本町役場
2022年01月08日
56 指文字で「自己紹介」
 小学生が手話学ぶ  (紀宝町 )

 小学生対象の「やさしい初級手話教室」が5日、紀宝町鵜殿の町福祉センターで始まった。町内の小学1~5年生11人が参加し、手話でのあいさつや自己紹介をすることを目標に学ぶ。

 同町社会福祉協議会では毎年、幅広い世代に向けた初級手話教室を開いており、小学生にも気軽に参加してもらおうと、昨年度に続いて冬休みに3日間の連続講座を計画した。

 講師は同社協の名取雅博さんと時松有見子さんが務め、ボランティアとして県立木本高校2年の竹内悠真君と瀬古修平君、同3年の市川芹さんがサポートした。3人は昨年11~12月に中学生以上を対象に開かれた全6回の初級手話教室を修了している。

 名取さんは「手話って知っていますか?」と問い掛けながら、耳が聞こえない人の言葉であることを説明。子どもたちは指文字の五十音表と名取さんや高校生たちの指の動きを見ながら、「あいうえお」から順に学習し、自分の名前を指文字で表現できるように練習した。

 慣れてくると、名取さんの指文字を見て理解し、子どもたちで表現する学習にも取り組んだ。

(2022年1月8日付紙面より)

高校生から指文字を習う子どもたち=5日、紀宝町鵜殿の町福祉センター
2022年01月08日
57 宮大工が仕事始め
 安全や向上願い手釿始式  (熊野那智大社 )

 那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で6日、一年間の作業の安全と技術の向上を願い、宮大工の仕事始めの儀式「手釿始式(ちょんなはじめしき)」が営まれた。

 男成宮司が祝詞を奏上した後、烏帽子(えぼし)と直垂(ひたたれ)の伝統衣装を身に着けた宮大工と技手の4人が、古式にのっとり大工道具を使う所作などを奉納した。

 棟梁(とうりょう)の嶌﨑和真さん(40)がちょんなを約2㍍のヒノキの角材に打ち込み、続いて南太一さんが墨付け、山口雄太さんがのこぎり、南智紀さんがかんなを使った。ちょんなとは古い大工道具で、丸太の皮を剝いだり、木を削ったりするのに使われるもの。

 地元出身で同大社に勤める嶌﨑さんは神事を終え、「新型コロナウイルス感染症の影響は回復の兆しが見えていない。しかし、一日も早く生活が回復し、明るい年になることを祈念しました」と話した。

 嶌﨑さんにとって、7月に斎行される那智の扇祭り(火祭)のたいまつ作りや準備が最も重要な仕事になるという。この日は本番に向けて士気を高めていた。

(2022年1月8日付紙面より)

ちょんなを打ち込む宮大工の嶌﨑和真さん=6日、那智勝浦町の熊野那智大社
2022年01月08日
58 福徳岡ノ場由来と判断  上浦海岸に漂着した軽石  (南紀熊野ジオパーク )
2022年01月08日
59 知識や技能の活用に課題  学習到達度調査結果  (和歌山県 )
2022年01月08日
60 いま一度コロナ対策徹底を  新翔高校で3学期始業式  (新宮市 )
2022年01月08日
61 古人と神聖な祈りの札  熊野三山「熊野牛王符」  
2022年01月08日
62 花團治さんの高座大盛況  新春初笑い演芸会  (那智勝浦町 )
2022年01月08日
63 242人が新たな門出 誇りと感謝胸に成人式 (新宮市)
2022年01月08日
64 分列行進2年ぶりに 片岡義光分団長ら49団員を表彰 (熊野市消防出初め式)
2022年01月08日
65 PCR検査キットを無料配付  紀宝町、御浜町、熊野市で  
2022年01月08日
66 お悔やみ情報
  
2022年01月05日
67 近年ない水揚げに活気
 恒例のマグロ初市  (那智勝浦町 )

 はえ縄漁による生鮮マグロの水揚げ量が日本一の那智勝浦町の勝浦地方卸売市場で4日、初市が行われた。この日は高知、徳島、沖縄、宮崎、千葉、和歌山県みなべ町のはえ縄漁船7隻がメバチ、キハダ、ビンチョウの各マグロなど約52㌧を水揚げした。初市においては近年にない水揚げとなり、市場は50社約70人の仲買人が集まり活気づいた。クロマグロの水揚げはなかった。

 初市開始前の午前6時50分ごろには式典が開かれ、堀順一郎町長はマグロの水揚げや町の水産振興に寄与する関係者らに感謝を述べ、「クロマグロの漁獲枠も増えたことは明るい兆し。町としてもさまざまな環境整備などにも尽力していきたい」と話した。

 続いて、和歌山県漁業協同組合連合会の額田浩事務局長と勝浦魚商協同組合の木下勝之組合長があいさつ。同町議会の荒尾典男議長の音頭で乾杯後、初市が開始された。

 県漁連勝浦市場の太田直久市場長は「初競りでの約52㌧は最近ではない漁獲量なので、上々の滑り出し。漁師の方によると、近海の漁場でビンチョウも釣れだしていると聞いている」と喜んだ。

 資源の回復などから昨年12月の国際会議でクロマグロの漁獲枠が15%増となったことについては「各船に割り当てがあり、漁獲量としても増えると思う。昨年はコロナ禍で値段が下がっていたため、今年は落ち着いてほしい。勝浦で良いクロマグロが取れ、良い値が付くことを期待しています」と語った。

 初市の水揚げ量はメバチが約300本、キハダ約200本、ビンチョウが約3000本の約52㌧だった。近畿や関東、東海地方へ出荷される。

(2022年1月5日付紙面より)

滑り出しが上々となった初市の様子=4日早朝、那智勝浦町の勝浦地方卸売市場
2022年01月05日
68 新たな一年がスタート
 官公庁で仕事始め式  

 和歌山県庁や各市町村など官公庁で4日、仕事始め式があった。6日間の休業を終えた職員たちは首長らの訓示の下、気を引き締めて新しい一年のスタートを切った。

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■新宮市



 新宮市役所別館であった仕事始め式には、職員や来賓の榎本鉄也市議会議長や東原伸也副議長ら約70人が出席した。田岡実千年市長が「『市政は市民のために』を忘れることなく、公約の実行や諸課題の解決に向けた取り組みを誠心誠意進めていく」と所感表明。

 新型コロナウイルス対策やワクチン追加接種、市内経済の回復、防災、エコ広場、子育て支援策、市文化複合施設「丹鶴ホール」を中心とした文化振興・事業展開などを掲げ「市民生活に密着したソフト事業を強く推進していく」。

 また、福祉や教育、医療、医師確保などのさまざまな諸課題に対し「『市民の誰もが元気で心豊かに暮らせるまち』の実現を目指し、職員と共に渾身(こんしん)の力を込め取り組んでいく」と誓いを新たに。

 職員に向け「コロナ禍3年目。今年はウィズコロナ、アフターコロナを見据えた準備も必要。市民のため、市のためにしっかりと職務に取り組んでほしい」と訓示した。

 榎本議長は「行政の真価が問われる時代となってきた。まだまだコロナ禍ではあるが、一丸となりまちの活性化のために市政発展の期待に応えてほしい」とあいさつ。速水盛康教育長が「これから先の展望をしっかりと築いて見据えながら、市の発展にご協力を」と述べ、万歳三唱で士気を高めた。

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■那智勝浦町



 那智勝浦町では、庁舎大会議室で仕事始め式を開いた。約50人の管理職の職員が出席し、今年一年の業務に取り組むに当たり、気持ちを新たにした。

 町歌を斉唱後、堀順一郎町長は新型コロナウイルスの感染防止対策強化を提言。現在進める感染症関連の経済対策に触れ、「アンテナを張り巡らしていただき、町内で本当にお困りの方々を支援できるようにしたい。全国で実施するさまざまな取り組みの情報収集にも力を注いでほしい」。

 新年度予算や若い職員への指導については「予算策定は何のために、誰のために行うのかを改めて考えてほしい。そして自分たちの仕事の意義についても考え、率先して若い職員の方々にも周知してほしい。今年も大変な一年になるかと思うが、奮起して取り組んでください」と呼び掛けた。

(2022年1月5日付紙面より)

万歳三唱で士気を高めた=4日、新宮市役所別館
堀順一郎町長の訓示に気持ちを新たにする職員たち=同日、那智勝浦町役場
2022年01月05日
69 皇室や国家の安寧祈る 熊野三山で元始祭 

 新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)、那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)、田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)の熊野三山で3日、皇室の弥栄(いやさか)や国家安泰、氏子、崇敬者の願望成就などを祈願する元始祭が厳かに執り行われた。

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■熊野速玉大社



 熊野速玉大社では、斎主を務めた上野潤権宮司が祝詞を奏上。巫女(みこ)たちが国の平穏無事を願い「浦安の舞」を奉納し神職らが玉串をささげた。

 神事を終え、上野権宮司は1940(昭和15)年に皇紀2600年を祝って作られた神楽「浦安の舞」の歌詞「天地(あめつち)の神にぞ祈る朝なぎの海のごとくに波たたぬ世を」に言及。「波風が立たず平和であってほしいとの祈りが込められている。今年は皇紀2682年。新型コロナや自然災害など、避けることのできない災いもあるが戦争は人間が生んだ災い。一人一人が地球環境や世の中のことを真剣に考えて手を携えていかなければ。個々の幸せとともに平和な世の中のために祈る一年になれば」と思いを語った。

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■熊野那智大社



 熊野那智大社では、本社と別宮・飛瀧(ひろう)神社で天皇の御位の大元始めをことほぎ、皇室の悠久と国運の隆昌(りゅうしょう)を祈った。

 飛瀧神社では、那智の滝に向かい男成宮司が祝詞を奏上。巫女が「那智の瀧舞」を舞う姿を、参拝客がカメラや動画に収めるなどし見物した。

 男成宮司は昨年と比較し年末年始の参拝客が増加したとし、「多くの方々にご参拝いただきありがたい。皇室の弥栄とともに皆さまの幸せや地域の繁栄をお祈りした。国民の一番の願いである新型コロナウイルスの終息も祈願いたしました」と語った。

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■熊野本宮大社



 熊野本宮大社では、関係者ら13人が参列。九鬼宮司が祝詞を奏上した後、参列者が玉串をささげていった。

 神事を終えた九鬼宮司は参列者に対し「この約2年間、新型コロナウイルスや変異株などにより厳しい状況が続いている。『今』という時間を大切にし、前へと進んでいただきたい」とあいさつ。

 毎年、元始祭に合わせて参拝を行っているという「まなご充敏後援会『真清会』」の竹中伸会長は「今年も滞りなく終えることができ安心した。今後の市の発展などを祈願した」と話していた。

(2022年1月5日付紙面より)

上野潤権宮司ら神職が玉串を供えた=3日、新宮市の熊野速玉大社
那智の滝を前に神事が営まれた=同日、那智勝浦町那智山の飛瀧神社
九鬼家隆宮司が祝詞を奏上=同日、田辺市本宮町の熊野本宮大社
2022年01月05日
70 建築業界の発展を願い
 新宮建築組合が釿始式  (熊野速玉大社 )

 新宮建築組合(廣田昌弘組合長)は4日、新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)で鎌倉時代から伝わる「釿始式(ちょんなはじめしき)」を営んだ。

 釿始式は同大社の宮大工、小野家に伝わる仕事始めの儀式で、建築業界の発展を願い現在は同組合が継承している。

 この日は組合員約20人が参列。白装束に烏帽子(えぼし)姿の東友一郎さん(51)がヒノキの原木(樹齢約100年超、長さ約4・2㍍、直径約23㌢)をお神酒で清め、伊勢田宣延さん(48)と柚木芳文さん(48)が墨を打った後、東さんが鎌倉時代から同大社に伝わるカギ型の大工道具「釿」を「エイ、エイ」と3カ所に打ち付けていった。

 神事後、上野宮司は参列者に釿始めの歴史を紹介し「自然の中にある温かみや慈しみ、素晴らしい聖なるものを大切にするのが日本の民族。今年も一年、建築業界の発展を願っています」と奉仕に対して感謝を述べた。

 廣田組合長(60)は「コロナの影響もあり、厳しい状況ではありますが、例年通り斎行することができて安心しました。気持ちを新たに頑張り、伝統を絶やさないよう若い人たちに継承していければ」と話していた。

(2022年1月5日付紙面より)

原木に「釿」を打ち付ける東友一郎さん=4日、熊野速玉大社
釿始式に参列した皆さん(一時的にマスクを外して撮影)
2022年01月05日
71 町民目線の姿勢求める  役場本庁で仕事始め式  (古座川町 )
2022年01月05日
72 103人出席して心新たに  文化センターで成人式  (串本町 )
2022年01月05日
73 国家安泰やコロナ終息願う  王子神社で歳旦祭  (新宮市 )
2022年01月05日
74 2022年がスタート  熊野地方でも初日の出参り  
2022年01月05日
75 自覚持って新たな門出  成人式に106人  (那智勝浦町 )
2022年01月05日
76 良い一年になるよう願い  東仙寺で「除夜の鐘」  (新宮市 )
2022年01月05日
77 一年の平安など祈願  新年知らせる初太鼓  (熊野速玉大社 )
2022年01月05日
78 熊野水軍太鼓が奉納演奏  烏止野神社で初詣客を前に  (紀宝町 )
2022年01月05日
79 平穏な新年を祈る  元日の夜空彩る「新春花火大会」  (熊野市 )
2022年01月05日
80 「今の時代を生きていきたい」  成人式でそれぞれの思い胸に  (紀宝町、御浜町 )
2022年01月05日
81 お悔やみ情報
  
2022年01月01日
82 絆つなぎ、次世代へ
 手を取り合い、里山守る「くまの里山」  (那智勝浦町 )

 「鍋のふたはまだ開けたらあかんで」「うどんは何味にするん」「みんなで食べるとおいしいよ」「残りは家に持って帰ったらええよ」「今日は忘年会やね」—。和気あいあいと屋外で昼食を作り、広大な自然をさかなに食事を楽しみ、会話に花を咲かせる人々。古き良き日本の原風景が今もここには残っている。この里山を守るべく活動する那智勝浦町高津気(こうづけ)の「くまの里山」を取材した。

 「くまの里山」は2007年に高津気地区の清源寺(せいげんじ)に覆いかぶさろうとする竹から寺を守るために組織された「高津気竹灯りの会」が母体。その後、農業を身近なものとし、里山に残る食文化や先人の教えを次世代につなぐとともに、耕作放棄地の再生と里山の保存のために新たな組織の存在が必要となった。

 しかし、会員で協議した結果、里山を守るには人口が少なく、高齢化率の高い同地区だけでは難しいと判断。町内外の人々の力を借りながら活動していきたいという思いから「くまの里山」と名付け、新組織が発足した。

 91歳を迎える最高齢の東阪景子さんを含む、各地域から21人の会員が集まった。

 その後は和歌山県の「農業農村活性化支援モデル事業」などを活用し▽オーナー制トウモロコシ栽培▽加工を目的としたラベンダー栽培▽食品加工を目的としたタカナやサトイモ、ニンニクなどの農作物栽培▽オーナー制タマネギ栽培▽サトイモを使用した茎漬け講習会▽たくあん漬け講習会▽子ども参加型めはり寿司教室▽生け花やミニ門松、しめ縄教室▽ジャガイモ収穫イベント▽しめ縄制作と販売▽サツマイモ収穫体験▽落花生収穫体験—など多岐にわたる活動を展開。

 オーナー制タマネギ栽培や落花生の収穫体験では多くの親子が参加する人気の催しとなっており、参加者が自然と触れ合い、農業や耕作放棄地への理解を深める機会につながっている。

 また、総延長が150㌔あるといわれ、保存状態が良い同地区の熊野列石(通称・しし垣)も有名。各地からの見物者も多く、会員らは保全活動にも尽力している。

 2020年には橋本市の学校法人きのくに子どもの村学園のきのくに子どもの村中学校の生徒を迎え、会員らが案内。しし垣の歴史や役割、里山の素晴らしさを伝えた。

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■数ある課題と向き合う



 力を合わせ日々奮闘している「くまの里山」だが、増え続ける耕作放棄地や組織の運営資金、押し寄せる高齢化の波などを課題に挙げる。それらの解決には屋台骨である組織の拡充が必要となり、一定の収益を見込まなくてはならないという。

 代表を務める西美恵子さんは「まずは会員のお弁当代だけでもなんとかしたい。お年寄りから子どもたちへ文化や歴史を継承していくためにも組織づくりが重要になる。皆さまが楽しみながらできる手仕事や新たな事業にも力を入れたい」と抱負を述べる。

 西さんら中心メンバーは、乾燥した麦わらを糸でつないで作るフィンランド伝統の装飾品「ヒンメリ」にも目を向けている。国内でも人気が高まっていることから、里山の耕作放棄地を生かして麦を育て、その麦をヒンメリの作り手に提供することも模索していると話す。

 高齢化については、活動の原点である農業をけん引してきた高齢メンバーが、年齢や肉体的な問題から作業に加わることができない現状もある。「くまの里山」ではその高齢メンバーに各体験の際に提供する振る舞い作りや受付係など、これまでとは違った役割で活動に参加してもらっている。

 互いにさまざまな形で支え合って里山を守り、生きがいを創出する姿は新たな「農業と福祉の連携」につながるのかもしれない。

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■今後の挑戦について



 今後は西さん所有の空き家を拠点とし、「先進地への視察」「地域住民の居場所づくり」「アサギマダラの休憩所整備」「防災と郷土食づくりを掛け合わせた体験」「会員制交流サイト(SNS)の活用による里山の発信」などにも取り組んでいく方針だ。

 西さんは「里山が元気でないと産業廃棄物の捨て場になる可能性が高い。そうなると海へとつながる水源が汚染されてしまう。山村と漁村は水の絆でつながっている」と語った。

 会合の際は屋外で火をたいて調理し、自然の中で食卓を囲むのが「くまの里山」流。会員同士もおかずを持ち寄り、食べきれないほどの料理がテーブルに並ぶ。

 それらの料理に彩りを添え、味を向上させるのがあふれる笑顔と会話の数々。まばゆいほどの明るさは希望となって、太陽とともに里山を照らし続けていくことだろう。山でつないだ手と絆が清流とともに海に流れ込み、里山と地域をつなぐ懸け橋となるはずだ。

(2022年1月1日付紙面より)

環境や文化を次世代へつなぐため奮闘する「くまの里山」の皆さん
町内外から多くの人々が参加する体験会
会合の際は屋外で調理
日本の原風景がここにある
2022年01月01日
83 孤立させない 今、必要な場
 寄り添い奮闘する現場「ママが元気でいて」  (コロナ禍の子育て支援 )

 コロナ禍の今、親と子を孤立させないために必要な子育て支援は何か―。核家族化と女性の社会進出で子育て家庭の孤立化が叫ばれる中、コロナ禍はそれに拍車を掛けた。初めての育児に周囲の手が差し伸べられず、同じ立場の母親たちと悩みを共有できないのは苦しい。再び感染拡大しても、親子の駆け込み寺的役割を果たす、子育て支援の場は守らなければならない。母親たちに寄り添いながら奮闘する現場の声を聞いた。

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◇他愛もない話を

 よく晴れた昨年11月の午前、紀宝町子育て支援センターには10組ほどの親子が訪れ、0歳から2歳までの子どもたちが思い思いに遊んでいた。そばでは母親とベテラン保育士が日々の成長を語り合ったり、母親同士で会話を楽しんだりしている。見守るセンター長の保育士・淡海順子(たんかい・のりこ)さんは「他愛もない話をして、笑って遊んで、子どもと共感し合える場所。お母さんが元気であってほしい」と目を細める。

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◇悩み解決することも

 センターは町立図書館との複合施設「紀宝はぐくみの森」2階で平日に開設されている。遊び場には2~3人の保育士が常駐し、子どもにさまざまな遊びを提供したり、保護者の話を聞いたりしている。

 育児の悩みが話題になることはよくあるが、その場にいる母親も会話に加わって「うちもそうだったよ」と解決することも。淡海さんはそんな様子を何度も見てきた。「悩みを抱えて悶々(もんもん)としていたのが、『あ、そうだったのか』と気持ちが軽くなる。一人で抱え込まないで、ここで一緒に子育てをしたい」。

 相談を受けたときは悩みに寄り添うように心掛け、初めて訪れた保護者には「よくここまで育てましたね。頑張りましたね」とねぎらうという。

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◇多くの母親が支持

 2020年度は延べ4655人の利用にとどまったが、コロナ禍前は1万人前後が訪れていた。「明るい雰囲気」「居心地が良く、安心感がある」との声が多く、近隣の市町からわざわざ足を運ぶ人も多い。講習を受けた地域の人が子どもを一時的に預かるファミリーサポートセンターは、同年度で1039件の利用があった。町が1時間当たり300円を補助しており、1時間当たり400円(平日午前9時~午後5時の場合)の負担で利用できる。

 かづこ助産院(那智勝浦町)の本舘千子(もとだて・かづこ)さんは「紀宝町は近隣に比べて支援センター、ファミサポの利用がとても多く、子育て環境が整っている」と注目。「長くセンター長を務める淡海先生の人柄もある。お母さんたちのために、という思いが反映されている」と支持される理由を語る。

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◇2カ月の閉所、そして再開

 昨年夏、町内で新型コロナウイルス感染症患者が初めて確認され、緊急事態宣言も出たことでセンターは2カ月間、町内の他の公共施設とともに閉所された。ただ、ファミサポは子育て家庭への重要な支援と捉え、継続した。

 全国的に感染拡大していく中、町内で予定されていた子育て関連の集まりも全てなくなり、普段利用している母親たちの間には「どこにも行き場がない」と不安が広がった。

 閉所中は、12年から毎年度引き継がれてきた母親たちのグループ「ママサークルさくらんぼ」が、無料通信アプリ「LINE(ライン)」のグループ機能を使い、利用する母親に向けて情報発信をしてくれたという。

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◇母親に寄り添う活動

 子育て家庭の孤立化を不安に思った助産院の本舘さんは、民間である強みを生かし、行政がカバーできない部分に目を向けた。ウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」による「子育て女子会」をしたり、普段は各市町で行っているベビーマッサージを院内で少人数開催したりと柔軟に対応し、LINEでの気軽な相談も呼び掛けるなど母親たちに寄り添う活動を続けている。

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◇新しい生活様式で

 宣言解除に伴って10月に再開したセンターでは今、滅菌器によるおもちゃの消毒、室内の定期的な換気、検温と消毒などの対策を取りながら、新しい生活様式で運営している。再開直後は多くの親子が訪れ、再会を喜んでいたという。第6波も懸念されているが、必要な感染対策を続けていくしかないと考えている。

 月に1度開催されている「ママサークルさくらんぼ」の行事も10月から再開。センターには子どもたちのにぎやかな声が響き、母親たちは表情を和らげている。淡海さんは「お母さんが元気で明るく楽しく。そして、笑うのっていいなと感じてもらいたい。気軽に話ができる場であればいいと思う」と語る。

(2022年1月1日付紙面より)

母親たちと語り合うセンター長の淡海順子さん(右から4人目)=紀宝町神内の町子育て支援センター
ママサークルの行事を楽しむ子どもたち
2022年01月01日
84 誘客幅拡大目指して動く
 南紀月の瀬温泉ぼたん荘  (古座川町 )

 古座川町が地域振興拠点として設け、古座川ふるさと振興公社に運営委託する「南紀月の瀬温泉ぼたん荘」。滞在機能を備えた交流施設として近年、時代相応の変化が進んでいる。今後の展望を探ってみた。

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滞在機能備えた多目的施設



 南紀月の瀬温泉ぼたん荘は1996年開業。本館2階に滞在前提の和室(8帖)10室があり、1階には宴会・会議場やレストラン、開放的で木のぬくもりに満ちたオープンスペース「ロビーカフェ」や土産物ショップなどを集約。渡り廊下でつながる別棟の温泉館はpH9・7のアルカリ単純泉を引き込んだ入浴環境があり、本館向かいには宿泊や会議、個展、講演、コンサートなど多目的に活用される「いろり館」がある。その横にはゲートボール(GB)場用途の芝地があり、50台分の駐車場を含めた全体が一施設となっている。

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RVパーク認定目指して



 建設当時の需要を見据えた形を今も宿すぼたん荘だが、25年を経て需要が変遷。とりわけGB場の活用が見込めない状況となり、町は用途変更へと動き出している。そのキーワードが「RVパーク構想(※)」。昨年に関係予算を計上し、本年度中にGB場を13台分の駐車区画と給電設備、ならびにコインランドリーの新設を完了し次年度に同パーク認定を目指す。

 町地域振興課は旅行を含めた時代変遷に加え、長引くコロナ禍により旧来の形で収益の回復を目指すのは難しいと認識。町内近隣はもとより遠方からも利用を引き込む必要性を重視し、その足掛かりとして前述した認定を目指すという。

 他方、最近はコロナ禍で低迷しているが平年は新成人のつどいなど行事利用の多いいろり館は、外周ウッドデッキに続いて屋根部分の改修が新年から本格化する。これも今年進む変化の一つとなっている。

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利便高めつつ体制を強化



 運営委託を受ける公社は町と連携し、町内の65歳以上を対象にした入浴回数券の申請受け付けを前年度から開始。本年度は175件の申請を受けているが、地理的な課題が町民を優遇から遠ざけてしまう状況に直面している。できることから緩和を。本年度はリフレッシュ目的で親しまれるグループ対象の送迎付き食事プランに温泉入浴や買い物支援を付与する工夫を始めた。昨年10月に最初の利用があり、今年はどう軌道に乗せるかが注目される年。同公社も今が完成形ではなく、さらに使いやすい形を目指すと意気込んでいる。

 ハード、ソフトの両面で時代相応の変遷に動き出しているが、これら新たな方向性の担い手確保と人材体制の確立を今後に重視するのが関口隆男理事長。即回復の策はいまだ見えないがスタッフ一丸で直面する過渡期を支え、中期的な視野で新たな方向性への適応を目指したいと思いを語る。

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※RVパークとは…キャンピングカーなどで快適に安心して車中泊ができる施設。

(2022年1月1日付紙面より)

誘客幅拡大を目指して動き出している南紀月の瀬温泉ぼたん荘の本館
気軽に立ち寄れる環境を目指して力を入れているオープンスペース「ロビーカフェ」
温泉館内にある浴場。古座川弧上岩脈由来の湯に親しめる(古座川ふるさと振興公社提供)
多目的スペースのいろり館など。手前のゲートボール場は今年、RVパーク環境に切り替わる
本年度から始めた送迎付き食事プラン付帯の買い物支援の様子(古座川ふるさと振興公社提供)
2022年01月01日
85 向井兵輔氏をご存じですか?
 水産共同支えた立役者  (太地町 )

 「向井氏は郷土愛に満ちた人だったと推測する。水産共同組合の一時期を支えた立役者です」と太地町歴史資料室研究員の江﨑隆司・同町公民館長は話す。大正7年にはコメの価格の急騰による米騒動が起きるなどして、国内が不景気となっていた時代。経営が困難となっていた当時の太地水産共同組合(以降、共同組合)を支えるため、太地漁業株式会社を立ち上げた向井兵輔(ひょうすけ)氏をひもといてみる。

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■カナダで会社起こす



 明治4年に太地村に生まれた向井氏。数年後には長崎県の永野万蔵氏が日本人で初めてカナダ西部のブリティッシュコロンビア州へ渡っている。明治28年、向井氏が24歳の時に、親類の太田音市氏と共にカナダへ渡る。二人はフレーザー川の河口でサケ漁に従事した。

 この時すでに紀南地方からも多くの移民者が海を渡っており、太地や下里の郷友会も結成されていた。二人はサケ漁をやめ、バンクーバー島中部にあるナナイモに移った。根来勝之助氏、松本鉄蔵氏と共にニシンの肥料製造業を始めたが2年後、放火によって工場は全焼した。

 モレスビー島では新潟県出身の池田有親氏が立ち上げた銅鉱山の会社で働いた。明治42年に二人はサケ・ニシンの塩蔵加工や輸出業に取り組み、アワビやハマグリの缶詰業も営むこととなった。

 二人は渡航以来、さまざまな事業に挑み続け、日本人排斥にも負けることなく、ようやくこの地で成果を上げることができた。向井氏は商用で度々、帰国して東京や神戸の輸出入業者や海産物業者との取り引きを行うとともに、帰郷の際には呼び寄せ人との折衝に当たっていたという。

 父たちの背中を追い、海を渡った向井氏の長男・政太郎氏や太田氏の長男・琴太郎氏も事業を助けた。大正9年に帰国した政太郎氏は新宮中学校で事業の様子や見聞などを講演したとされる。

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■太地水産共同組合を助ける



 組合員共同の利益を図るとともに村の経済を援助することを目的とした共同組合が大正5年に発足。しかし、不漁続きで経営的に困窮を極めていたという。

 共同組合は鰤(ぶり)敷網の契約期間が満期になった際に営業権を太地漁業組合に返還するか、新会社を設立し運営するかで揺れ動いていた。

 そんな中、大正11年に帰国後の向井氏と太田氏に資本協力を依頼。二人は快諾し、同年に向井氏を社長とした太地漁業株式会社が発足した。同社は共同組合から船や網など、多くの資材を買い取った。その際に得た金を元に共同組合は同社の株を購入。組合員に1株ずつ分配して生活をつなぐこととなった。

 同社は新しい船を建造し、漁獲高の向上に努め、好成績を挙げた。昭和6年の営業権の契約終了時、共同組合は臨時総会を開き、再び鰤敷網を操業することを決定。その旨を向井氏は承諾し、同社は解散。再び、共同組合が鰤敷網を操業することとなった。

 移民であった向井氏と太田氏の二人の郷土愛や経験が共同組合の危機を救い、その結果、町民への恩恵にもつながった。

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■息子たちは



 父二人が帰国し、その後を託された政太郎氏らは事業を引き継ぎ、キルドナンで「グリーンコーブ鹽魚(えんぎょ)製造所」を開業。事業は発展を遂げたが、太平洋戦争勃発で中断。工場や船舶など全財産が強制的に処分となった。

 開戦の翌年、日系人に「夜間禁足令」が出され、バンクーバー島にいた3300人余りの日系人が収容所に送られてしまう。

 政太郎氏らが一時帰国中に開戦となり、カナダへの渡航はかなわなかった。戦後、カナダ政府と政太郎氏らは財産の返還交渉を行うも、返還や補償には至らなかった。

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■向井氏をご存じですか?



 江﨑館長は「経営が大変だった水産共同組合が鰤敷部門を頼んだ際、向井氏は快くそれを引き受けた。太地と共同組合は切っても切れない存在。組合の経営が持ち直した後に、快くそれを返している。組合が維持できたのも太地漁業株式会社と向井氏がいたからこそ。今後は向井氏を知る方が増え、顕彰されることを望んでいる」と語る。

 向井氏を曽祖父に持つ、向井マリトさんは「築100年となる立派な家屋も残していただいた。大変な時代を生き抜かれたのだと思う。誇らしい存在です」と祖先を思った。

 昭和7年に同社は鰤敷網や海を見下ろすことができる燈明崎(とうみょうざき、町立太地中学校体育館裏近く)に「向井翁遺徳碑」を建立した。郷土の海も世界中の海につながっている。

 59歳で生涯を終え故郷の地に立つ向井氏は、どのような思いでこの景色を見つめているのだろうか。多くの人々が彼を知ることで、その心の中に、彼の郷土への思いや魂が生き続けるはずだ。

(2022年1月1日付紙面より)

(左から)太田音市氏、向井兵輔氏、太田琴太郎氏(太地町歴史資料室提供)
グリーンコーブ鹽魚製造所のラベル(同提供)
当時の作業の様子(同提供)
貯蔵庫にサケが並ぶ(同提供)
長年海と共に生きた向井氏の遺徳碑(同提供)
2022年01月01日
86 多彩さ見せるロケット振興
 年末ごろの打ち上げ期待し  (串本町 )

 串本町田原などでほぼ完成したとされる民間小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」。地元内外が注目する小型ロケット「カイロス」初号機の打ち上げについてスペースワン株式会社は昨年末、当初予定から1年遅れて今年年末ごろを目指して取り組む考えをスペースポート紀伊周辺地域協議会に伝えた。その瞬間を期待して、射点がある串本町ではロケット振興が日に日に多彩さを増している。

 「ロケットといえば串本」を印象づけるため県と町が両輪で始めた振興企画「宇宙シンポジウムin串本」。本州最南端から最先端情報を発信するという趣旨で年1回、回を重ねている。

 第2回以降、感染症予防のため県に主導権を委ねている町だが、おととしの秋に町独自の振興を始動。町民対象ワークショップ(WS)で基本情報の普及を図り、昨年2月にキックオフ企画「宇宙ウイーク」を展開して振興の一歩を踏み出した。その一端が射点近くからのサーチライト投光で、天候に恵まれなかったが、田原海水浴場が望める町域東側広範で見物できることを予見させた。

 この時に発表されたスペースタウン串本ロゴは、町企画課ロケット推進室を窓口にして7月から使用許諾申請の受け付けを始め、活用商材の開発が進んでいる。南紀串本観光協会は先導的にロケットサイダーやロゴ入りシャツなどを商品化。町もピンバッジなどさまざまなグッズ開発を進め、宇宙産業のまちづくりに取り組む串本町の応援サポーター『宇宙兄弟』とのコラボレーションによる盛り上げにも力を入れている。

 紀の国わかやま文化祭2021の一環で日本初民間ロケット射場開始プレイベントも実施。宇宙飛行士講演やそのダイジェストの期間限定オンライン配信、模型などの展示で「宇宙ウイーク」に続く接点をつくった。

 年末には新年にもかかる町民対象WSの第2弾をスタート。同室は「いざ打ち上がるとなると、今の町職員規模では見学の受け入れだけで手いっぱいになってしまう。その前後でできることを考えて、今後とも盛り上げていきたい」と思いを語る。

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官民それぞれに振興の歩み



 3カ年計画でリノベーションが始まった旧役場古座分庁舎は本年度末に3階8Kシアターと1階玄関が先んじて仕上がり、別事業で2階サテライトオフィスも完成予定となっている。コミュニティバス佐部・上田原線でロケットの絵でラッピングされたノンステップ車両を導入。教育面で県宇宙教育研究会がモデルロケット製作、打ち上げ体験を重ねていて、昨年は学校教育領域での試行にも取り組んだ。県立串本古座高校のCGS部が小型ロケット「カイロス」にちなんだ独自キャラクターを生み出して盛り上げを意識し、生徒有志による缶サット甲子園への挑戦も始まっている。

 ロケットにちなんだ飲食メニューの開発と発表、ロケットが描かれた大型観光バスの運行、小型ロケット模型の寄贈など、盛り上がりも一段と多彩になった昨年。田嶋勝正町長は、2016年にスタートした発射場進出が今こうして盛り上がっているのは用地を提供してくれた地権者をはじめ各関係者の協力あればこそだと喜び以上に感謝を掲げ、「ロケットが放つ光は必ず串本を明るく照らしてくれる。打ち上げ時には県とも調整して混雑の緩和に努め、ロケットから得られる学びの裾野の広さを生かして学力レベルが上がったといわれるよう教育にもつなげていきたい」と今年の挑戦への意気込みを語る。

(2022年1月1日付紙面より)

スペースポート紀伊の総合司令塔一帯。昨年末時点でほぼ完成に達している
振興企画「宇宙シンポジウムin串本」(上)や「宇宙ウイーク」(下)の様子
スペースポート紀伊射点付近からのサーチライトによる投光
実物大「カイロス」懸垂幕
宇宙ウイーク以降、数を増しているロケット関係グッズ類
ロケットの絵を背負って地元を盛り上げているコミュニティバス(上)や大型観光バス
県宇宙教育研究会による学校教育領域でのモデルロケット製作・打ち上げ体験の試行の様子
美術造形工房「BAS Fronti」寄贈の「カイロス」模型(現在は役場に常設)
2022年01月01日
87 新年度から統合、運用開始へ
 新宮警察署・串本警察署  

 新宮警察署と串本警察署は今年4月1日(金)に統合し、串本警察署は「新宮警察署串本分庁舎」として運用を開始する。串本署が管轄する串本町と古座川町は新宮警察署に、すさみ町は白浜警察署の管轄となる。統合は1968年以降半世紀ぶりとなる。

 県内の警察署ごとの警察官1人当たりの年間処理件数(刑法犯認知件数)は平均2・7件。しかし、串本警察署は1・2件と、他の警察署に比べて少なくなっている。また、交通事故発生件数についても0・5件(平均1・1件)、110番通報の受理件数も14・9件(平均35・2件)と少なくなっている。

 現在地で2005年に供用開始となった串本警察署は津波浸水域に位置しており、南海トラフ巨大地震発生時には車両や装備資機材の流失や浸水などで警察機能が失われてしまう可能性も指摘されている。

 統合はそういった現状に対応するためのもので「警察官の負担の平準」「警察機能の喪失回避」を図るとともに、「マンパワーの集中的運用」を目指す目的もある。

 統合により新宮署の管轄エリアは新宮市、田辺市本宮町、那智勝浦町、太地町、北山村、古座川町、串本町となり、面積は1・62倍、人口は1・37倍となる。

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■何が、どう変わる?



 統合により、約100人から約140人体制へと、人員が増員される新宮警察署。主に事件事故を担当する課の体制を強化するほか、夜間休日の当直体制も強化される。

 うち、一定数の警察官は串本分庁舎に配置され、刑事事件や交通事故の初動対応に当たる捜査員2人も配置(24時間常勤)。パトカー1台の増強も予定されている。発災時に初動対応に当たる災害対策要員2人を代替指揮所に配置する予定だ。

 また、運転免許関係(更新、記載事項変更など)の手続き、交通許認可関係(自動車保管場所証明、道路使用許可など)、生活安全許認可関係(銃砲、風俗営業、古物営業、警備業など)の申請、落とし物(遺失物、拾得物)、警察安全相談の届け出などの行政サービスは継続となる。新宮市、田辺市本宮町、那智勝浦町、太地町、北山村、古座川町、串本町の各交番・駐在所も引き続き存続される。

 しかしながら、串本、古座川両町に存在する交番や駐在所、分庁舎配属の警察官を合わせると現状の約半数となる予定。津波による浸水被害が想定されている古座交番、和深、田並、大島の3駐在所については、当面の間、夜間の勤務員を引き上げるとのこと。夜間パトロールを強化するなど、新宮警察署を挙げて治安維持に努めていく計画だが、住民には治安の低下や初動対応などについて不安視する声もある。

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■デメリットも周知が必要



 前述したように、統合の目的は▽負担平準化▽警察機能の喪失回避▽マンパワーの集中的運用—とされているが、新宮警察署の山田守孝署長は「住民の不安を払拭(ふっしょく)するためには、統合のデメリットもしっかりと周知していく必要がある」と口にする。

 昨年3月下旬から4月下旬にかけて実施されたパブリックコメントでは「大規模地震・津波で国道42号が寸断された場合、新宮警察署員は串本町に来ることができないので、串本警察署がなくなったときは、初動対応に当たる警察官が少なくなってしまうのではないか」「津波被害に遭うのであれば、なぜ現在の場所に警察署を建てたのか」「いつ発生するか分からない津波被害に備えるよりも、日々の生活の不安解消を優先すべきではないか」「高速道路が開通すれば(新宮警察署から串本町などの)現場への時間短縮にもなるが、それまで(統合を)待てないのか」「令和3年度に串本町においてロケットの打ち上げが予定されており、多くの観光客などの来町が予想される。そのような時期に串本警察署がなくなると、交通渋滞、交通事故、防犯面において不安がある」などの意見が寄せられた。

 山田署長は「初動対応や災害対応など、とにかく『頑張る』としか言いようがない。しかし、いくら『頑張る』『大丈夫だ』と言ったところで近くに警察署がなくなるといった住民の不安を払拭することは簡単ではない」と話す。

 今年、串本町田原で民間ロケットの打ち上げが予定されており、紀伊半島一周高速道路の全線事業化も決定している。ロケット打ち上げや道路の開通により人流が増加し、交通事情や治安情勢が変化することが考えられる。

 「住民に寄り添った警察行政」とは。警察署の再編がもたらす弊害とは、利点とは。今、4月1日の新宮警察署、串本分庁舎の運用開始に向けて準備が進められている。

(2022年1月1日付紙面より)

新宮警察署
串本警察署
2022年01月01日
88 走り出す、「わがら広角」  広がる、支え合いの地域づくり  (新宮市 )
2022年01月01日
89 いつまで待たすんや!  寅年の今年こそ優勝を!猛虎魂!!  (三佐木虎の会 )
2022年01月01日
90 熊野の匠を訪ねて  ②今日もシロアリと向き合う  (那智勝浦町・尾屋勝夫さん(オヤシロアリ技研) )
2022年01月01日
91 M地記者の冒険  八十八カ所、お遍路へ。  
2022年01月01日
92 佐藤春夫から中上健次へ その100年の系譜 (春夫生誕130年、中上没後30年)
2022年01月01日
93 「虎図」に隠された奇想  長沢蘆雪の生涯と熊野  
2022年01月01日
94 アフターコロナ。動くか、熊野。  熊野地方9市町村のリーダーが語る、「熊野の2022年」  (Kumano Summit K10 )
2022年01月01日
95 翁が愛した「飛鳥山」 渋沢栄一ゆかりの地と熊野信仰 (新宮市)
2022年01月01日
96 積み上げる実績で継続目指す  今年はJGCの再認定審査年  (南紀熊野ジオパーク )
2022年01月01日
97 10市町村から大集合!  キャラクターズサミット「C10」  
2022年01月01日
98 熊野の匠を訪ねて  ①もんちゃんとみっちん  (新宮市・浅井もと実さん、髙橋美智子さん )
2022年01月01日
99 先輩の思いを胸に日々精進  新宮高校サッカー部100周年  
2022年01月01日
100 移住×観光  きらりと光る地域の魅力  
2022年01月01日
101 「M地十景」ご堪能あれ  独断と偏見で選ぶ地域の景色  
2022年01月01日
102 地元の魅力を配信したい  紀宝町出身・向井雅喜さん  (オンラインゲーム「Apex Legends」アジアチャンピオン )