JR西日本は11日、利用者が少ない在来線17路線30区間の収支を初めて公表した。2017~19年度の営業損益の赤字額の平均は、紀勢線の新宮―白浜間が、山陰線の出雲市―益田間の34億5000万円に続く28億6000万円。JR西日本は、経営状況の厳しさを示すデータを共有することで、沿線自治体と存廃を含めた運営の在り方の協議を加速させたい考えだ。
今回の開示対象は19年度の1㌔当たりの1日の輸送密度2000人未満だった区間。在来線総距離の約3割に及び、全ての線区で赤字だった。30区間の合計赤字額は約247億円となった。JR西日本では「地域の皆さまと課題を共有し、地域のまちづくりや線区の特性・移動ニーズを踏まえて、鉄道の上下分離などを含めた地域旅客運送サービスの確保に関する議論や検討を幅広く行いたい」と見解を示している。
情報開示を受け、和歌山県の仁坂吉伸知事は「路線ごとに採算を合わせる必要はなく、黒字路線の収益を赤字路線に配分するなど、全ネットワーク維持の方向で考え、また、輸送密度などの一律の基準を用いて地方路線の切り捨てありきで見直しを進めるのではなく、地域資源を活用した利用促進などの柔軟な対応を行うべき」などとコメント。
新宮市の田岡実千年市長は「新宮―紀伊田辺間で実施していた『サイクルトレイン』が、この4月から御坊までに拡大し、これまでJRを利用していなかった人も利用する機会が増えた。周辺自治体と共に観光を盛り上げ利用促進につなげたい」。
市観光協会の里中陽互会長は「道も良くなり、また人口減少などの影響で鉄道を利用する人も少なくなったのでJRの公表はショックだが予想はしていた。住民や関係自治体も真剣に考えていかないといけない問題では」と話している。
(2022年4月13日付紙面より)
小林ちひろさんが奉納 (熊野那智大社 )
那智勝浦町那智山の熊野那智大社で10日、東京都世田谷区在住の演奏家の小林ちひろさんによる、クリスタルボウル演奏の奉納があった。五つのクリスタルボウルを使い、幻想的な音色を響かせた。
小林さんは、太地町に友人がおり、その友人の仲介で、初の同大社での奉納演奏が実現した。もともと神社仏閣が好きで、2年ほど前から、聖地の一つである熊野三山でも奉納演奏がしたいと思っていたが、コロナ禍の影響で、ずっと来ることができなかったという。
空路で9日に南紀白浜空港に到着、本宮、速玉の両大社も参拝し、この日に那智での奉納演奏となった。クリスタルボウルは、水晶でできた円筒形のボウルで、専用のバチでたたいたり、開口部の縁をなぞったりして音を出す。
小林さんは、奉納演奏前に、熊野那智大社で正式に参拝。祈りをささげた上で、境内にあるあずまやの長生殿に移動し、演奏を行った。
サイズや模様の違う五つのボウルを並べ、バチで鳴らして、空気が静かに揺らぐような、ゆったりとした音の空間を生み出した。たまたま居合わせた参拝客は、小林さんの前に用意された椅子に腰かけて耳を傾け、その音色を堪能していた。
小林さんは「奉納演奏の夢がかない、感慨深い。やっとかなったとの思いがある。素晴らしい所だと思った」と感想。
同大社の男成洋三宮司は「素晴らしい、癒やされるような音色だった」と話した。
(2022年4月13日付紙面より)
中田、阪本さん招き平和学習 (矢渕中 )
紀宝町立矢渕中学校(立嶋信雄校長)で8日、平和学習があった。修学旅行の事前学習として、3年生72人が太平洋戦争で唯一の地上戦があった沖縄の歴史を学んだ。
作家の中田重顕さん(79)が講師を務め、元有線放送アナウンサーの阪本浩子さん(80)が朗読。2人は20年ほど前から各中学校で平和学習を続け、沖縄に修学旅行する意味を伝えてきた。
中田さんは「77年前、沖縄の中学生と先生たちは何を見たのか。沖縄で学ぶべきことは、命が何より大切だと言えなかった時代の悲しみ。それを象徴するのが沖縄学徒隊である。女子学徒隊の悲劇を中心に考えてみよう」と切り出した。
「戦争は人類が考え出した最悪の政策」と断じ、ロシアによるウクライナ侵攻を交えながら「戦争は軍服を着た兵士たちが戦うものだった。子ども、お年寄り、障害者など軍服を着ない人たちを非戦闘員と呼び、戦争中でも保護されるべきとされていた」とハーグ陸戦条約を説明。
1941(昭和16)年12月8日、太平洋戦争が勃発。日本国中が戦争一色になり、女性たちも軍事教練を強いられた。沖縄は日本でただ一つ地上戦が行われ、子どもを含む県民50万人中、10万人が亡くなった。
沖縄を守っていた日本の第32軍の主力部隊「第62師団」は三重県や愛知県出身の兵隊を中心に構成され、熊野市出身者は71人、御浜町は23人が沖縄で戦死したとし「紀宝町は何人だろう。君たちで調べてほしい」と求めた。沖縄では中学3年生から軍に協力し、女学校の生徒594人が動員され361人が戦死した。男子生徒は800人が死亡した。
「『殺せ、殺しなさい、皇国の女性は捕虜になどならない、撃ちなさい、なぜ撃たない』。17歳の少女のこの世のものとも思えぬ声だった。しばらくのためらいの後、自動小銃の響きわたる音がした」。阪本さんは、女学生の手記などを朗読した。
中田さんは「第三外科壕(ひめゆりの壕)で戦死した少女たちは、親やきょうだいにかわいがられてきた。青春もなく恋も知らず、大人が始めた戦争の犠牲になって死んだ」と伝えた。最後は「再び、こんな戦争をする世にするのか、しないのかは、これからの社会を築く君たちの手にかかっている。よく歴史を学び、自分の頭で、自分の心で考えられる人になってほしい」と語った。
3年生は5月16~21日に、沖縄県のひめゆりの塔、平和の礎(いしじ)、ガマなどを訪れる予定。生徒会長の中野悠君は「沖縄では歴史をしっかり勉強したい。ウクライナの人たちなど民間の人が被害に遭わないでほしい」と話していた。
(2022年4月13日付紙面より)
海難救助貢献し表彰 (串本海上保安署 )
新宮市三輪崎の三輪崎漁業協同組合で11日、串本海上保安署長表彰授賞式があった。海難救助に貢献したとして、内海浩一署長が熊野灘救難所三輪崎支所の救助員、谷奥孝信さん、井上元和さん、川上清雄さん、堀内秀訓さんに対し表彰状を手渡した。
串本町で最大時間雨量50㍉、累積雨量193㍉を記録(和歌山県危機管理局発表)した3月18日。新宮・東牟婁地方でも強風、高潮注意報が発表され大荒れの天候となった。
三輪崎漁港港口においてミニボートが転覆し、乗員3人が海中転落したとして、海上保安庁緊急通報用電話番号「118番」に通報が入ったのが午後3時30分。
同署からの救助協力要請を受けた谷奥さんら4人は、救助員として漁船考良丸(船長=谷奥さん)と井上丸(船長=井上さん)で現場に急行し、午後4時ごろに転覆したミニボートにつかまって救助を求める男性3人を考良丸に引き上げ、迅速かつ安全に要救助者を救助した。3人は体力を消耗していたものの、命に別条はなかった。
表彰状を手渡した内海署長は「管内が串本から新宮と非常に長く、リアス式海岸で巡視船も近づけないことが多いが、いつも連絡したときには気持ちよく引き受けてくれてありがたい。今後とも協力を」と呼びかけた。
谷奥さんや井上さんは、当時は大しけで自分たちの身にも危険を感じたと振り返りつつ「もう少し時間がたっていたら危なかったかもしれない。助けることができて良かった。これからもできることがあれば協力したい」と話していた。
なお、同署によれば救助された3人は、全員救命胴衣を着用していた。海上保安庁では、海難事故防止のため、救命胴衣の常時着用を呼びかけている。
(2022年4月13日付紙面より)
小児ワクチン、副反応報告 (新宮市医師会 )
新宮市医師会(米良孝志会長)はこのほど、先月に1回目の新型コロナウイルス小児ワクチンを接種した5~11歳の年齢層における接種後の副反応集計結果を報告した。集計の結果、重篤な副反応は確認できなかった。
今年に入って、国で5~11歳までを対象とした小児向け新型コロナワクチンが薬事承認されたことを受け、市では先月13日、市役所別館で1回目の集団接種を実施。約150人が接種を希望した。
接種に協力した市医師会は、独自に接種者の保護者に副反応記録用紙を配布。その記録を基に、5~11歳の年齢層の副反応調査を行っている。
同日に接種を受けた150人のうち、記録用紙の回収率は78・7%(118人)。接種直後、「息苦しい・気持ちが悪い」や基礎疾患関連の、アナフィラキシー以外の症状を見せた接種者は2人いたものの、重篤な副反応はなかった。
また、接種当日から7日目までの8日間で、37・5度以上の発熱が見られたのは3人のみで、38・0度以上の発熱が見られた者はいなかったという。
接種部位の反応では、痛み(疼痛=とうつう)が84・7%で頻度が高く、腫脹(しゅちょう)(16・9%)、熱感(6・8%)と続いた。また、全身の反応では身体のだるさ(倦怠(けんたい)感)が29・7%、頭痛(18・6%)の頻度が高かった。学校の欠席は接種翌日が多かった。
集計結果を受け、米良会長は「2回目接種後の集計が済んでいないが、言われているよりも副反応が少なかったので安心している」と見解を示している。
なお、市では、今月3日に接種を希望する小学3年生から5年生を対象にした2回目の集団接種を実施。接種率は1回目10・57%、2回目9・79%だった。ワクチンの供給量が見込まれ次第、小学2年生以下の接種を進めていく予定。
(2022年4月10日付紙面より)
市内小学校に防災頭巾 (新宮市土建協同組合 )
新宮市土建協同組合(松根康隆理事長)による防災頭巾の贈呈式が8日、新宮市役所であった。松根理事長をはじめ4人が訪問し、市内小学校の新1年生に向けた、防災頭巾200個を、速水盛康教育長に手渡した。
同組合は2010年より、市内小学校の児童に向けて毎年、防災頭巾を贈呈している。きっかけは、組合創立60周年記念の取り組み。かつて市内の小学校では、児童は教科書を乗せて頭を守り、避難訓練を行っていたが、両手を使えればより安全と考え、贈呈が始まった。
1回目は全校児童分、2回目からは新小学1年生分を贈ることで、全ての児童に行き渡らせた。頭巾は中綿入りで、緊急時には頭にかぶり、落下物から守るようになっている。平時には、学校のいすの背もたれ部分に挟んだり、座る部分に敷いたり、集会時に体育館に持ち込んだりしてクッションにできるため、身近にあって身を守れる。
贈呈式には松根理事長のほか、阿万卓也副理事長、松原重充副理事長、七瀧伸事務局長が訪れた。市立小学校は5校あり、新1年生は185人。ただし高田小は0人だった。転入児や破損分を考え、余分に200個を贈った。
松根理事長は「日頃は工事のほこりや騒音などで、住民の皆さんに迷惑をかけているので、何かできることはないかと考え、地震のときに子どもの命を守ろうと贈呈することになった。子どもは国の宝。今後も贈呈を続けていきたい」と話した。
速水教育長は「避難訓練などを行って、(防災頭巾を)活用していけるよう取り組んでいきたい。防災意識を高める役割もあるかと。大人のたくさんの力で、地域で子どもを育てる取り組みで、ありがたい」などと語った。
(2022年4月10日付紙面より)
花まつりの平和祈念祭 (新宮仏教会 )
新宮仏教会(会長=清水文雅・本廣寺住職、会員14人)は8日、新宮市福祉センターで花まつりの記念行事「平和祈念祭法要」を営み、祖国の平和と繁栄を願いながら亡くなった諸英霊の冥福を祈った。
祈念祭には遺族約20人が参列し、住職らの読経の中焼香した。田岡実千年市長は「戦後、市においても平和で心豊かに生活できる魅力と活力のあるまちづくりのためにまい進してこられたことは戦没者のご加護と遺族の協力・支援のたまもの」。
「現在享受している平和と繁栄が戦争によって心ならずも命を落とした方々の犠牲の上に築かれていることをひとときも忘れず、明日の市のために一層努力しなければならない」と追悼の辞を述べた。
池上順一・市遺族連合会長は「先の大戦より77年を迎えるが、ロシアのウクライナ侵攻に伴い、日々悲惨な状況が報道されており、世界からは今なお戦禍の報が絶えることはない。その中にあってわが国が平和でいられるのは祖国の繁栄と将来を案じながら尊い命をささげられた諸霊の思いが導いてくださったたまもの。コロナ禍を乗り越え、あの戦争を後世に伝え続けるとともに、世界平和への道を進むことを改めて誓う」と祭辞を読み上げた。
祈念祭後には「新型コロナウイルス終息祈願法要」が営まれ、猛威を振るい続ける新型コロナの早期終息を願う読経が会場内に響いた。
清水会長は「戦争は、全ての命が尊い、という仏教の基本姿勢の全否定。犠牲者の一人一人に家族があり、友人があり、思いがあり、人生を全うするはずだった。時々刻々と情勢は変化するが、こうした法要を通して歴史を感じ取り、先人の犠牲、努力の上に築かれたわれわれの現在を再確認することが、変化への対応の軸になるのでは」と話していた。
(2022年4月10日付紙面より)
太田米の田植え始まる (那智勝浦町 )
那智勝浦町の太田地区で、「太田米」の田植えが始まった。水を張った田んぼに青苗を植える作業が5月中旬ごろまで続き、早いものは8月上旬に収穫となる。
太田米は、太田地区で生産されるコシヒカリ。同町川関在住の桒野稔近(くわの・としちか)さん(38)は、太田地区の一部である、同町中里に約50枚、面積にして約400㌃の田んぼを持つ。7日が田植え初日とのことで、田植え機で田んぼを何度も往復し、苗を植えていた。
田植えのタイミングとしては、太田地区では2番目か3番目で、時期は耕作者により、早かったり遅かったりするという。桒野さんは幾つかに時期をずらして植えていき、5月中旬ごろまでに終わらせる予定でいる。
現在植えているものは、8月7日までに刈り取り、JAを通して地元の温泉旅館に卸されるという。旅館では新米として、お盆明けには出されることになる。昨年同様の量の出荷を依頼されたとのこと。
桒野さんは「今年はいつもより暖かい気がする。成長がいいのが期待できるのでは。うまく育つといい」と話した。
なお桒野さんは、那智勝浦町苺(いちご)生産組合の組合長も務めており、同町中里の8㌃のハウスで、太田地区のブランド苺「くろしお苺」も生産している。こちらも含め、「どちらも頑張って育てたい」と述べた。
(2022年4月10日付紙面より)
新宮神社でさくら祭り (熊野速玉大社 )
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)境内にある新宮神社で3日、例祭(さくら祭り)が執り行われた。大社崇敬会の杉本義和会長や敬神婦人会の久保あや子会長たち約30人が参列。桜の枝を玉串として奉奠(ほうてん)し、春の訪れを祝った。
新宮神社は1907(明治40)年、神社合祀(ごうし)令により、新宮町内にあった18社18柱の祭神を大社境内の金刀比羅(ことひら)宮に合祀したのが始まり。中でも最も位の高い渡御前(わたりごぜん)社の主祭神・神武天皇の例祭に合わせて、毎年4月3日に営まれている。
同神社は2019年に御代(みよ)替わりの年の記念事業として修復工事を実施した。鬼瓦と拝所の瓦は、当時(江戸時代のものとされる)のものが利用されているという。
祭典では小雨の中、上野宮司が祝詞を奏上。その後、参列者が桜の枝を手に玉串をささげていった。この日は雨天のため、巫女(みこ)たちによる舞の奉納は取りやめとなった。祭典終了後には、関係者らによって参拝者らに厄払いの餅が配られた。
上野宮司は「あいにくの天候となりましたが、無事に滞りなく神事を終えることができました。新型コロナウイルスの影響が厳しく、まだまだ油断できない状況にある。不安でつらい日々が続く中でも希望を持ち、いい一年となるよう願っています」と話していた。
(2022年4月5日付紙面より)
4月上旬から運用予定 (太地町 )
太地町に3月30日、町営じゅんかんバスの新車両が1台納車された。町公民館駐車場では車両を販売した和歌山トヨタ自動車株式会社新宮店の玉置直人さんらが町職員に対し、車載装備などを説明した。4月上旬から運用される予定。
じゅんかんバスは2001年に運行が開始され、町民の意見や周辺道路網の変化などにより時刻および経路の改編を行ってきた。町には路線を一般的な形で走行する通常タイプ(大型)のバスと、手を上げた場所から乗車できる自由乗降タイプ(小型)の2種類がある。
今回の車両は14人乗りのハイエースコミューターで自由乗降タイプに使用される。目立ちやすい青色のカラーリングに加え、高齢者が利用しやすいように手すりや補助ステップを設置。車内放送用マイクも完備した。旧車両と併せて運行されるが、この車両をメインとして使用するという。購入費用は476万5880円。
デザインを手掛けた太地町立くじらの博物館の中江環副館長によると、町を象徴する「イソヒヨドリ」「ハマセンダン」「ハマユウ」が描かれており、きれいな海と自然豊かな山の緑に加えて、降り注ぐ太陽やセミクジラ、コビレゴンドウが囲むシンボル的なデザインになっているという。
中江副館長は「町から依頼を頂いた。太地町の象徴的なものを組み合わせてデザインしました。町民の皆さまや観光客の方々にもなじみやすいものになればうれしいです」と話した。
三軒一高町長は「町民の皆さまに気付いていただけるように目立つ色にしてほしいとお願いしていた。今後は自動運転のカートも整備していきます。一つ一つ進歩していけるように努めていきたい」と語った。
(2022年4月5日付紙面より)
子ども会チーム対象に大会 (串本町 )
串本町立体育館で2日、子ども会のドッジボールチームを対象にした交流大会があり、町内外の3チームが総当たり戦や対抗戦で試合に臨んだ。
新型コロナウイルスの情勢によりドッジボール競技による交流を目的とした県大会が2年続けて中止となり、とりわけチームの準主力(=主に5年生)、主力(=主に6年生)として練習を続けたが活躍の機会がない状況はかわいそうだと感じた東牟婁地方子ども会連絡協議会が今年2月の郡大会実施を計画したが、これも県へのまん延防止等重点措置適用で実現できず。
諦めきれない指導者陣は郡大会の会場地・串本町の教育委員会に交流会の実施を掛け合い、年度をまたぐ形となったがこの日の活躍の機会創出へとこぎ着けた。
急きょ実施で常連団体の一部は参加が間に合わなかったが、当日は潮岬と太地、競技熱が高まり昨夏結成した大島の3チームが参加。ウオーミングアップを経て総当たり戦をし、その後は3チーム混合で即興チームを作り6年生対5年生、5年生以下対5年生以下の試合にも臨んだ。
6年生対5年生の1セット目は6年生が圧勝し、2セット目は接戦となったが僅差で6年生が勝利。潮岬の6年生(現・中学1年生)メンバーは「5年生は強かったけど、まだまだ強くなれると思った。潮岬は今日の試合で全勝したけれど、みんなが強くてチームワークも良かったからだと思う。下級生も努力とチームワークで頑張ってほしい」と話し、下級生の対抗戦を見届けた。
閉会に当たり指導者を代表して山本誠士さんは最高学年が実力を託す良い機会になったとし、この交流を励みにしてこれからも楽しんでドッジボールに挑戦してほしいと呼び掛けて締めくくった。
(2022年4月5日付紙面より)
2年ぶりの餅まきも (大勝浦「弁天祭」 )
那智勝浦町の大勝浦地区にある弁天島の例大祭「弁天祭」が3日、大勝浦漁民集会場であった。弁天島保存会(猪飼伸、宏(こう)両代表)など17人が参列、商売繁盛や大漁、芸能上達などを祈願した。2年ぶりの餅まきもあり、にぎわいを見せた。
本来は弁天島で営まれるが、雨天のため会場を移した。またコロナ禍の影響で、昨年は保存会の役員5人だけが参加して神事のみ実施、餅まきもなかった。今年は場所こそ移したが、例年通りの内容での実施となった。
祭壇には旬の野菜や果物のほか、マグロも供えられていた。勝浦八幡神社の髙橋正樹宮司が神事を担当し、祝詞を奏上。参列者が順次、玉串をささげて祈った。
髙橋宮司は、玉串の意味を説いたほか、同じ祭りを毎年続けられることを「ありがたい。コロナ禍の時代だからこそ、余計に感じる。これが日本の伝統」と伝えた。
餅まきでは、約30人の近隣住民が集まっていた。保存会の会員らが、約50㌔の餅と、袋に詰めた菓子を盛大にまいた。集まった住民らは、歓声を上げて餅や菓子を集めていた。
伸代表(43)は「大阪から毎年来てくれる人が、遠方にもかかわらずまた来てくれた。弁天祭も無事終わり良かった」と感想。
宏代表(41)も「雨で場所は変わったが、例年通りの弁天祭ができて良かった。餅まきも喜んでもらえたし、菓子まきは初めてだったが、子どもらが喜んでいて良かった」と話した。
弁天島は古くから「勝浦三景」の一つに数えられる景勝地で、島には「白蛇弁天」が祀(まつ)られている。パワースポットとしても注目を集め、コロナ禍の前は弁天島を目指す外国人観光客の姿もあった。
弁天祭はこの弁天島を会場に、1年で最も潮が引く旧暦の3月3日に合わせて実施している。好天なら干潮時には磯伝いに歩いて島に渡ることができる。
(2022年4月5日付紙面より)
商業捕鯨で第7勝丸出港 (太地町 )
太地町漁業協同組合(脊古輝人組合長)の捕鯨船「第7勝丸」(32㌧、竹内隆士船長、乗組員5人)が3月30日正午、4年目を迎えた商業捕鯨を行うために太地漁港を出港した。船員の家族や関係者らが大勢駆け付け、無事を祈りながら手を振り見送った。
第7勝丸は3日(日)からの操業開始に向け、千葉県を目指す。房総沖では1隻のみでツチクジラ漁を実施する。同漁協によると、通常6~7月に行うツチクジラ漁を4月に実施するのは初の試みだという。
その後は5月ごろに青森県で、千葉県と宮城県の船合わせて4隻が共同でミンククジラ漁に取り組む。続いて、6月には北海道網走市において共同でミンク漁、7、8月も釧路市にて共同でミンク漁、9、10月は千葉沖にて、第7勝丸のみでツチクジラ漁を行うとしている。帰港は11月初旬を予定している。
昨年は国が定めるミンククジラの漁獲枠120頭より少ない91頭だった。同漁協は、海水温の上昇などが捕獲頭数に影響したと要因を挙げた。また、今年の漁獲枠はミンククジラが110頭で、ツチクジラが16頭となっている。
水産庁の許可が下りれば、10月中に宮城県でニタリクジラ漁(2頭のみ)を実施する可能性もあるとした。今回は31日未明に出港予定だったが、天候を考慮しこの日の出港となった。
出港を見送った同漁協の〆谷(しめたに)和豊参事は「安全に事故がないように祈るとともに、去年以上に捕れることを期待しています」。同漁協専務理事で日本小型捕鯨協会の貝良文会長は「海水温の上昇は数年続くこともあり、コロナ禍で価格が付きにくいなど商業捕鯨の開始後は苦労が続いている状況。天候が良ければ捕れるため、今年はぜひ大きくておいしいクジラがたくさん捕れることを願っています」と話した。
竹内船長は「最近ではスーパーで生のミンクが売っているため、購入する人の姿を見ることもある。昨年は天候が悪く目標頭数に届かなかった。今年は持ち枠いっぱいまで捕獲できればうれしい。事故なく、頭数も捕れて安全に帰ることができれば」と語った。
(2022年4月1日付紙面より)
1日、HCU開設 (新宮市立医療センター )
新宮市立医療センター(中井三量院長)は1日から、3階に新宮東牟婁医療圏で初となる高度急性期病床(HCU)を開設する。病床は5床(面積=314・9平方㍍)を新設。発症直後で重症化リスクの高い患者や、手術後の全身管理が必要な患者などに対し、より手厚い看護を行う体制づくりを構築していく。
HCUは「High Care Unit」の頭文字を取ったもので、日本語では「高度治療室」「準集中治療管理室」と訳される。集中治療室(ICU)と一般急性期病棟の中間に位置するとされているが、分類的には高度急性期病床となる。
2016年に策定された「和歌山県地域医療構想」には、新宮・東牟婁医療圏について「高度急性期に関しては、奈良県・三重県の隣接した地域に高度急性期機能を担う病床がなく、高度急性期機能を保有する和歌山圏域・田辺圏域から遠方にある地理的な条件から、圏域はもとより県境を越えた周辺地域の拠点として、新宮市立医療センターに多くの患者が集中している」「高度急性期機能を備えた医療機関から遠方となる新宮圏域としては、25年の必要病床数としては44床との推計があり、この地域において高度急性期病床(44床)を担っていくべきとの意見が新宮保健医療圏構想区域検討会で決定された」と記載されている。
HCUの新設に当たり、4人部屋6室を改修。入院対象者は手術後の全身管理が必要となる患者や、事故などによる危篤な救急患者となる。これまでは3階の手術室から各階の観察室に患者を移送していたが、同階にHCUが開設されることによりフロア内での移動が可能に。
生体情報モニタリングシステムや人工呼吸器、ICUベッドなどの医療機器が設置されており、専属の看護師長1人と看護師20人が配置される予定となっている。
総事業費は約2億8000万円(本体工事費1億9800万円、医療機器など購入費8200万円)。財源は県補助金1億1200万円、企業債1億6600万円、内部留保資金200万円。工期は昨年7月16日から今年3月7日。
中井院長は、救急専門医の確保などの課題を挙げつつも「新年度からの開設に間に合って良かった。県の補助金を頂いて運営できるようになった。(医師確保に対して)当センターに来ていただけるように、今後も活動を続けていきたい」と話していた。
(2022年4月1日付紙面より)
学校法人近畿大学と株式会社NTTドコモが3月30日、串本町串本沖で第5世代移動通信システム(通称・5G)と水中ドローンを活用して完全養殖クロマグロを飼育するいけすを遠隔監視する実証実験に取り組んだ。
2020年に両者で締結した「5Gの推進、『スマートシティ・スマートキャンパス』創造に関する包括連携協定」に基づく取り組みで、同町域では昨年9月にくしもと町立病院―同大学病院間で実施した遠隔医療支援以来の実証実験となる。
同支援時は移動基地局を据えてローカル5Gの通信環境を確保したが、以降昨年末に大字串本一帯でNTTの商用5Gが開局。今回はその通信環境をさっそく活用し、同大学水産研究所大島実験場と同大学東大阪キャンパスを結ぶ形で試みた。
実証内容の目的は養殖業のさらなる効率化(現行でダイバーがこなしている作業の一部代替)で、同実験場は重さ10㌔前後の完全養殖クロマグロを飼育するいけすを実証実験の場として提供。同ドローンのいけすへの投入など不可避の現場作業を図りつつ5G経由で同キャンパスから同ドローンを遠隔操縦し撮影したいけす内の映像をリアルタイム伝送したほか、その映像情報に基づいて作業を指示する想定で別に準備したアーム付き同ドローンの現地操縦者がいけす内の死亡魚(今回の実験では同程度の大きさの模型を使用)を回収する手順も試みた。さらにNTTは、撮影した映像を自社クラウドサービスへ保存し、アーカイブ共有可能とする実証にも取り組んだ。
同キャンパスで実験に参加した近畿大学水産養殖種苗センターの岡田貴彦センター長は、事前にわずかな映像遅延の説明があったが実際には感じられなかったと遠隔監視の印象をコメント。その映像からダイバーがいけすに入るよりも同ドローンの方が完全養殖クロマグロのストレスは小さいように見受けられた、と今回の実証内容の有用性を見据えるなどした。
両者は今後も実証内容の検証を重ねて目的に資する成果を目指すとしている。
(2022年4月1日付紙面より)
京城跡の整備で新たに (紀宝町 )
2019年、紀宝町指定文化財に指定された同町大里の京城跡(みやこのじょうせき)で、新たに畝状竪堀群(うねじょうたてぼりぐん)と堀切が見つかった。
京城跡は相野谷川中流域にある平山城跡。紀伊続風土記には1585(天正13)年に豊臣秀吉の臣下、堀内氏善(うじよし)によって建てられたとの記述がある。
海抜約70㍍の小高い山頂部を中心として、北東の曲輪(くるわ)と周囲に設けられた畝状竪堀や堀切などの防御施設から構成される。当時、山城としては全国的にも希少な石垣造りの城壁も築かれていたことから、かなりの規模と威容を誇る城であったと思われる。
今年1~2月の下草刈り、間伐、支障木伐採により東側に四つの竪堀、堀切が確認された。町教育委員会では、間伐などで城の形状が分かり始めているとし、来年度も環境整備を続けていくという。
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相野谷中学校の新2年生9人は授業「京城跡を学ぶ」で案内看板を制作し、京城跡保存・活用・整備検討委員会の寺尾邦義委員長に託した。1年生だった昨年度、学校近くの京城跡を訪れ、郷土の文化遺産を学習。その際「案内版がなく、文化財に思えない」と感じた生徒たちが発案して看板作りに着手した。スギ、ヒノキの板に「石垣」「竪堀」「堀切」などを彫り、1人1枚の計9枚を完成させた。
寺尾委員長は「生徒の手作りに価値を感じる。立派な看板で設置場所を検討したい。生徒たちにはこれからも京城跡に関心を持ってもらいたい」と話していた。今後、検討委員会に報告した上で、設置場所などを話し合うという。
(2022年4月1日付紙面より)