帰省ラッシュがピーク (熊野地方 )
盆をふるさとや行楽地で迎えようという家族連れなどのラッシュが「山の日」の11日、ピークを迎えた。熊野地方の幹線道路、国道42号では他府県ナンバーの車が増え始め、列車の乗車率も上がっている。帰省した熊野川町出身の60代女性は「墓参りに戻ってきました。孫を連れてきたので、実家の方に行ってみようと思います」と話していた。
JR新宮駅では、京都・大阪方面や名古屋方面からの特急列車に乗って帰省した人々が大きな荷物を抱えて続々と改札を通り、迎えに来た家族と手を振り合う様子が見られた。
改札付近には「お見送り&お迎えコーナー」が設置され、利用客らを出迎えた。盆や春の大型連休、年末年始などに設けており、家族らがホームをのぞき込むようにして列車から降りてくる家族などを捜す姿があった。
駅として地域を元気づけ、利用者に喜んでもらおうと、季節に合わせたさまざまな取り組みをしている。電車を降りた人を出迎えるのは「おかえりなさい!!」の温かな言葉。夏らしいデザインで、駅社員の石野恵美さんが制作した。
駅では「最も多く利用されるお盆の時期は、関西や関東から大勢のお客さまが新宮の故郷に見えられます。安全で安心して利用できる列車で来られるお客さまに、温かい雰囲気でお迎え、お見送りするためのコーナーを作りました。お客さまに『新宮駅に来てよかった』と感動していただければ、私どももうれしく思います」と話していた。
(2017年8月13日付紙面より)
体育文化会館で強化合宿 (那智勝浦町 )
きのくに和歌山国体での総合優勝を記念して県レスリング協会(森下正紀会長)と県高等学校レスリング専門部は9日、国体レスリング競技の会場にもなった那智勝浦町体育文化会館で強化合宿をスタートさせた。16日(水)まで行われ、最多で約350人が練習に参加する。
合宿は参加者の競技力向上と地域のスポーツ振興を図るのが目的。町体育文化会館は元国体会場であることに加え、マットが6面使用でき、旅館も近いといったメリットがあるため、全国の選手を集める強化合宿の会場として定着してきた。今回で8回目になる。
早稲田、専修、近畿、桃山学院などの大学をはじめ、近畿各府県や遠くは沖縄から高校レスリング部、社会人チーム、地元の小中学生チームが参加。中には各世代の日本チャンピオンもいる。アトランタ五輪銅メダリストで早稲田大レスリング部監督の太田拓弥さんら各参加団体のコーチが指導している。
練習開始前に太田さんは「練習も今年で8年目を迎えて、年々参加人数が増えてレベルも上がってきている。小中高校、全日本レベルの選手が一堂に会するのは日本でもここだけだと思う。レスラーとして模範となるような行動を心掛けて」と呼び掛けた。
1988年のソウル五輪で金メダルを獲得し、現在専修大学のレスリング部監督を務める佐藤満さんは「多くの人が環境を用意してくれたおかげで練習ができる。環境づくりをしてくれた人に感謝して自分をマネジメントし、強い選手、相手の難しい選手を見つけて練習をお願いして。考えて行動できる選手がチャンピオンになる」と選手たちを鼓舞した。
(2017年8月13日付紙面より)
第34回土と水と緑の学校 (新宮市 )
第34回「土と水と緑の学校」(新宮市など主催)の閉校式が12日、同市高田の高田グリーンランドであった。今年は台風の影響で日程を2日短縮し、新宮市の姉妹都市、宮城県名取市の小中学生10人は参加できなかったが、3泊4日の日程を無事終えた。
大自然の中、地球の基本である土、水、緑について学び、その役割、大切さに気付いてもらうことを目的に毎年この時季に開校している。閉校式では参加した児童生徒90人が4班に分かれ、共同生活で学んだ成果を替え歌などで発表。「ホエールウオッチングでは船酔いした人もいたけど楽しかった」「カヌーが楽しかった」「最初は仲間とあまり話せなかったけど、最後には仲良くなれた」などと話した。
参加者たちに修了証を手渡した校長の田岡実千年新宮市長は「自然の美しさ、海の雄大さ、自然の役割を感じてくれたと思います。学校で感じたことをこれからの生活に生かしてください。また来年もお会いできることを楽しみにしています」とあいさつした。
公益社団法人アジア協会アジア友の会の村上公彦事務局長は「台風の影響で2日間短縮しましたが、プログラムを良く組めたと思います。各活動を見て回りましたが、みんな元気によく頑張っているなあと思いました」と講評した。
(2017年8月13日付紙面より)
新宮サマーサッカーフェスティバル
第53回和歌山県吹奏楽コンクールが4日から6日にかけ、県民文化会館ホールで開催された。当地方からは6校が出場。新宮市神倉の県立新宮高校(畑伸憲校長)吹奏楽部(亀谷覚史顧問)が4年連続の金賞、3年ぶりの県代表に選ばれた。立溝まい部長は「真剣に楽器と向き合って練習に取り組み、関西大会では120%の力が出せるようにしたい」と意気込んでいる。
新宮高校は『リンコドンティプス―蒼き海の守り神―』で、小編成26人で出場した。立溝部長は「場面転換が多く、景色や色合いなどが分かりやすく描かれている曲。壮大な雰囲気の所が何カ所かあり、吹いていて楽しいです。拍子を変えるところが難しく、和音のずれも気になります」。
県コンクールでは初日のトップバッターを務めた。「緊張や不安がありました。練習通りの力は出し切れませんでしたが、それでもできる限りの演奏ができたと思います。部員のみんなも金賞の発表を受けられることを楽しみにしており、とてもうれしかったです」と語った。
関西コンクールには、これまで悔しい思いをしてきた先輩の気持ちも持って行きたいとし「自分たちの限界を超えられるくらいのいい演奏をしたいです」と話していた。
コンクール前には長年使っている楽器の一部に不具合が生じ、急きょ代替品をレンタルしての出場となった。「例年以上にチームの状態も不安定で、トップバッターという絶対的に不利な状況だった」と亀谷顧問。「結果は求めず新高らしい演奏をしたいと思っていました。発表では『ゴールド』の言葉に例年落ち着いている生徒らも泣き崩れており、僕自身も驚きました」。
関西に向け「年々少しずつ成長していますが、当地方では他校と対抗してコンテストに出場したり、演奏を聞いたりする機会もなく、本番で緊張し、萎縮してしまいます。伸び伸びと演奏してほしく、本来発揮できる力は別次元なので、本番でその力を出し切りたい。課題は多いです。県代表として他のバンドの思いも背負っている。まずは自分に負けず、練習したことを発揮できるよう内面を磨き上げてほしい。それができれば、もっといい形で現れると思うし、苦労をはじき返す音楽を作ってくれると信じています」と話していた。
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各校の結果は次の通り。
■金賞
▽県立新宮高校(県代表・県知事賞)
■銀賞
▽新宮市立緑丘中学校
▽那智勝浦町立那智中学校
■銅賞
▽県立串本古座高校
▽新宮市立光洋中学校
▽近畿大学附属新宮高校・中学校
(2017年8月10日付紙面より)
和歌山とスペインの合唱団が奉納演奏 (那智勝浦町那智山 )
和歌山市を拠点に活動する和歌山児童合唱団(岩橋延直育成会会長)とスペイン・バルセロナのアミクス・デ・ラ・ウニオ(アミクス)児童合唱団は8日、那智大社創建1700年・青岸渡寺西国三十三所草創1300年を記念して那智勝浦町那智山の両社寺で奉納演奏を催した。境内に和歌山の中高生団員41人とアミクスの中高生団員38人の清らかな歌声が響いた。
2016年5月にブルガリアで開かれた第37回May国際合唱コンクールをきっかけに両団は知り合い、アミクスから「日本でコンサートを行いたい」という希望を受けて、創建草創記念の年と重なることもあって今回の演奏が実現した。アミクスが日本で公演するのは初めてだという。合唱団一行は那智大社本殿前、青岸渡寺の那智の滝展望地、飛瀧神社で「ふるさと」や「Song of hope」など複数曲を合同合唱、奉納した。
和歌山児童合唱団員で私立開智高校2年の西川千尋さん(17)は「ブルガリアで会った時から今日が楽しみでした。このような神聖な場所で生の歌が聴けて、共演もできてうれしい。観客の皆さんもしっかり聴いてくれて、歌が届けられたと思う」。
アミクス児童合唱団のパウラ・コロナド・ソリアーノさん(17)は「那智の滝がすごくすてきで、神様が宿る自然と私たちの歌を一緒に楽しんでいただけるのは、とても光栄なこと。自然と観客がつながる感覚があった」と奉納時の印象を語った。
アミクスの講師で指揮者のジュゼップ・ヴィラ・ジョベルさん(46)は「観光だと信仰など深いところまで知ることができない。この場所で演奏できたのは、幸せなこと。自然と芸術が融合できたのは素晴らしい」と話した。
この日は奉納演奏のほか、町立市野々小学校でコンサートが開かれ、地域住民と同校児童に日本とスペインの合唱曲全10曲を披露した。市野々小児童会の中村悠寿副会長(5年)は「コンサートを開いてくれてありがとうございました。歌声がとてもきれいで、スペインの楽曲は日本のものと違っていて良かったです」と感謝を述べた。
(2017年8月10日付紙面より)
KAK第2弾第2回活動 (古座川町 )
古座川町教育委員会(和田充旦教育長)主催事業「KozagawaAdventureKids(KAK)」の本年度第2弾第2回活動が5日、古座川町民体育館であり町内の小学1~6年生35人が古座川の伝統漁法「ウナギ石漁」の仕組みを教わるなどした。
同町子ども教育15年プランに掲げられた3大重点活動の一つ、体験活動「古座川アドベンチャープログラム(KAP)」を社会教育領域で展開する同事業。本年度第2弾のテーマは「みんなで古座川天然うなぎをとろう!~伝統漁法うなぎ石漁を学ぼう!~」で、事前の申し込みでは37人が参加を希望したという。
第1回活動は7月21日にあり、ウナギ取り名人の細井孝哲さんと一緒にウナギ石漁の仕掛けを、少女峰前の古座川の瀬に五つ作った。第2回活動は漁に臨む計画だったが、台風5号に伴う雨を警戒した七川ダムの事前放流で水位が上がり、仕掛けが水没したためやむなく中止。会場を同館に変更し、環境学習や天然ウナギの調理実演見学と試食のみ実施した。
活動冒頭、ウナギを捕る感覚だけでも伝えたいとして、細井さんが体長80㌢の天然ウナギをたらいに入れて捕り方を紹介。代表3人にウナギばさみで捕まえ方を実践指導してこつを伝えた。
環境学習では県環境学習アドバイザーの瀧野秀二さん(=熊野自然保護連絡協議会副会長)が、ウナギ石漁の仕組みを解説した。仕掛け「ウナギ石」はウナギのエサになるハゼの仲間やエビ類なども隠れ家にするので、ウナギにとっては天敵のカワウやサギから身を守ると同時にエサを探す手間もない快適な居場所。それをウナギが好むきれいな状態(隙間が詰まっていない状態)で作り出して誘い込むのがこの漁の仕組みで、同じ理屈でしば束を沈めて捕る方法もあると紹介した。
併せてウナギ以外に川で観察できる生き物や川石の裏に張り付いている虫の種類と数を調べると川のきれいさがわかる(=スコア法)ことにも触れ、「古座川はスコア法で10点満点中8~9点が取れるきれいな川。だからこそ大切にしてほしい」と呼び掛けた。
学習後は南紀月の瀬温泉ぼたん荘の深海政也料理長らによるさばき方や調理を見学。焼き上がった古座川産天然ウナギのかば焼きをうな丼にし、命をいただくことへの感謝を胸に抱きながらみんなで味わって活動を締めくくった。
(2017年8月10日付紙面より)
熊野マウンテンビルディング
新宮市熊野川町上長井の熊野マウンテンビルディング(南方商店前)のギャラリースペースで若手作家たちの作品展『健康』が開催されている。9月上旬まで。不定休で、開場時間は午前10時ごろから午後4時ごろまで。入場無料。
作品を展示している作家は、ジュエリー作家の高瀬大輔さん、折り紙職人の太田弘昭さん、プログラマーの齋藤雄介さん、写真家の秦雅則さんら。拾った石を乗せる指輪、フイルムを腐敗させた写真など計約20点を並べている。
現在、ビルを管理しているのは写真家の芹川由起子さん(33)=東京都。自らも作品を制作中で、近く展示する。
芹川さんは「健全な考え方、健康的なものを応援するプロジェクトです。日常でないことが考えられる場所になればと思っています」と来場を呼び掛けている。
(2017年8月10日付紙面より)
紀南十高校リーグ秋季リーグ戦
新宮弓友会主催の月例射会
トルベリーノカップキッズ大会
創建1700年を祝い (熊野那智大社 )
那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で6日、舞踊指導者で構成する「三踊(さんよう)の会」による創建1700年を祝う舞の奉納があった。
会のメンバーは西川友千恵さん(日舞)、川上邦子さん(現代舞踊)、竹中みどりさん(フラ)の3人。いずれもこの地方の先駆者的存在で、尾鷲市から串本町間で多くの踊り手を育ててきた。午後6時すぎのスタートにもかかわらず、拝殿には約100人の関係者や一般の人たちが集まり、3人の踊りに見入った。
奉納は竹中さんがフラの打楽器イプヘケで大王をたたえる曲「カラカウア」を演奏して始まり、川上さんが熊野の地で守られ、今があることにお礼の気持ちを込めて「熊野に生きる ありがとう」を静かに、時には躍動的に全身で生の喜びを表現した。竹中さんは笑顔を絶やさず、柔らかな動きで世界の平和を祈念しつつ、「ハナレイ・ムーン」を。西川さんは、神の前で踊れる光栄を胸に秘め、りんとした舞いで「四君子」をみやびに表現。三者三様の踊りで大社の歴史と存在に、改めて感謝を表現した。踊り終えた3人は「この年まで踊れ、本当に幸せ」「緊張したが神を感じた」「踊りがあったから、熊野が好きになった」などと、それぞれに思いを語った。
男成宮司は三踊の会に感謝状を授与。「素晴らしい踊りの奉納」とたたえながら「踊りは神にささげるところから始まったと思う。道を究められた先生方だが、さらに高みを目指してご精進を」と一層の活躍を願った。
(2017年8月9日付紙面より)
台風5号、紀伊半島通過
台風5号は7日午後3時30分ごろ和歌山県北部に上陸し、熊野地方にも激しい雨を降らせた。那智勝浦町では天満地区薬師谷付近の4世帯に避難勧告が発令され、田辺市本宮町では午後1時に大塔川の水位が上昇、川湯地区の30世帯に避難指示が出された。同日午後7時ごろまでには雨もやみ、避難発令も全て解除された。8日午前11時現在、大きな被害の情報は入っていない。
気象庁によると7日の雨量は三重県御浜町で206・5㍉を観測、古座川町西川276・0㍉、新宮市で165・5㍉だった。
那智勝浦町では7日午前8時40分に町内6地区に避難準備・高齢者等避難開始が発令され、市野々小学校に13人、福祉健康センターに9人、体育文化会館に7人の計29人が避難した。新宮市では旧新宮市内7カ所、旧熊野川町内に14カ所の避難所を開設。午後1時には33世帯47人が避難した。
古座川町では平井地区11人をはじめ、町内の10カ所の避難所に計28人が避難した。串本町では田原、古座、姫、串本、上田原の5地区で9世帯10人が避難した。
関西電力によると那智勝浦町で40戸、古座川町で20戸が停電した。
県の調べでは田辺市神子浜で80歳の女性が風にあおられ転倒して軽症、和歌山市西浜で76歳女性の原動機付き自転車が風にあおられ軽乗用車と接触して骨折するなど人的な被害が出ている。日高川高津尾の鳴滝歩道橋つり架線が断線するなど物的被害も県北部に集中している。
気象庁によると台風5号は8日午前8時現在、新潟県糸魚川市の北西約40㌔にあって、北北東へ1時間に25㌔のゆっくりした速さで進んでいる。
(2017年8月9日付紙面より)
にぎわった「紀和の火祭り」 (熊野市 )
熊野市紀和町小川口の北山川河川敷で5日、「紀和の火祭り」が催された。近づく台風の影響が心配されたが、主催者発表で約3500人が炎の祭典を楽しんだ。実行委員会(岡本尚委員長)が主催した。
午後6時には夜店がオープン。紀和特産のキジ肉の手羽焼きなど地元特産品が並び、ビアガーデンも人気を集めた。高さ20㍍の柱に取り付けた籠に燃えるたいまつを投げ込む「柱まつり」では、50人の若者がたいまつをくるくると回しながら籠をめがけ、次々に放り投げた。たいまつが命中すると、中に仕掛けられた花火が火を噴き、周囲を明るく照らし出して来場者から大きな拍手が送られた。
この行事は、あらゆる災害をたいまつとともに夜空に放つことで、いかだ流しのいかだ師たちの安全や無病息災、豊漁、五穀豊穣(ほうじょう)などを願う伝統行事。一時途絶えていたが、有志が復活させ、今年で29回目。ソーラン踊りや地元出身のプロ歌手紀の川良子さんのミニコンサートなどに続いて、幕末に住民が作った木製大砲「北山砲(づつ)」の発射や打ち上げ花火もあった。
河上敢二熊野市長は過疎高齢化が進む紀和町に「スポーツ人口が増えている」と喜び、岡本委員長は「今から本当の火祭り。見てね」と気勢を上げた。
(2017年8月9日付紙面より)
福竜丸歴史展関係イベント (串本町 )
串本町役場古座分庁舎で5、6の2日間、「第5福竜丸=第7事代丸建造70年歴史展」関係イベントが開かれた。6日の対談では東京都立第五福竜丸展示館の市田真理学芸員と同展を監修した仲江孝丸実行委員が語り合った。仲江実行委員は「国連の核兵器禁止条約採択のきっかけがビキニ事件であり、それを世界に知らしめたのが第五福竜丸。建造の地の一人として次の世代にそう語り継げるよう今後も取り組む」と思いを掲げた。
福竜丸の歴史展実行委員会(藤田勝彦会長)主催、同町教育委員会後援。同展は1日から6日まで同庁舎1階ロビーであり、マグロ漁船第五福竜丸の前身であるカツオ漁船第七事代丸を建造した古座造船所や立地・字中洲の歴史と第五福竜丸が被ばくしたビキニ事件から核兵器禁止条約採択までの経緯を並列させた構成で史実を伝えた。
併せて5日は同庁舎3階大会議室で映画上映があり、約80人がドキュメンタリー作品「放射線を浴びたX年後」を鑑賞。太平洋域における核実験の影響、とりわけ第五福竜丸以外の被ばく漁船や船員らがどのような扱いを受けその後を生きたかを遺族の心境談話も交えて知る機会を持った。
6日の講演と対談は約40人が聴講した。藤田会長のあいさつを経て始まった講演では、東京都立第五福竜丸展示館の市田学芸員が「第五福竜丸の航海はつづく」と題して登壇。
今年2月のマーシャル諸島(=実験場となったビキニ環礁を含む海域)における聞き取り調査の成果として現地の人々の実直な思いを伝達し、7月に国連交渉会議で採択された核兵器禁止条約との対比で「陸揚げされ海を進むことはもうないが、核兵器のない未来に向けて今も航海を続けている」と現在の第五福竜丸を位置づけた。
続く対談で仲江さんは字中洲の歴史や古座造船所がカツオ漁船第七事代丸を建造した経緯など、市田さんは第五福竜丸被ばく後の調査が打ち切られた時の状況やその後も続いた太平洋での核実験の経緯などを報告した。
会場からは大腸がんになる日本人が多いことと核実験の因果関係を問う質問などがあり、市田さんは「長期被ばくについては誰も責任が負えず、誰も評価できないのが現実」としつつ、後の調査で明らかになった放射性物質拡散状況を示す資料の一部を示し、当時はとんでもない環境汚染があったことを示唆するなどした。
一連のイベントを終えて藤田会長は「この地で第五福竜丸の前身、第七事代丸が建造され、原水爆禁止運動の礎になっているという経緯を改めて認識する機会になった。この成果をしっかりと次世代へつなぎ、一日も早く核のない世界を作る一端にできれば」と語った。
(2017年8月9日付紙面より)
京都橘大がプロジェクト
那智勝浦町と「大学ふるさと」協定を結ぶ京都橘(たちばな)大学(京都市山科区)の学生36人と教員5人が2日、「熊野再発見プロジェクト2017」で来町した。2泊3日の日程で地域の観光資源を研究する。
このプロジェクトは2014年10月に町と大学で行われた観光・まちづくりに関するミーティングを契機に、15年6月に発足した。大学の地域連携事業の一環として観光資源を研究し、地域の再生に協力するのが目的。都市文化資源論の受講生を中心に関心ある学生が参加しており、学生と地域住民が交流しながら新しい地域の姿を見つける狙いもある。
今年で3回目になるが、来年度は橘大地域連携センター長で再発見プロジェクトを指揮する木下達文教授が別のプロジェクトに取り組むため、休止となり、再来年度に再開する予定。
初日は、学生らが那智山青岸渡寺と熊野那智大社を見学。ホテル浦島では歓迎会が催され、町から関係者18人が出席して学生たちを迎えた。
町観光産業課の在仲靖二課長は「明日からの体験でぜひ頑張って町の魅力を再発見していただけたら」とあいさつ。町観光協会の花井啓州会長が乾杯の音頭を取った。各テーブルで町関係者と学生が歓談を交わした。
3回目の参加になる現代ビジネス学部都市環境デザイン学科の松尾和斗さん(3年)は「1回の期間が短いので回数を重ねて町の全貌を見たい。今回はお土産のパッケージデザインを研究し、新しい商品開発も提言できたら。太地町にも目を向け、那智勝浦町と地域の関わりも見たい」と話した。
3日は学生が班ごとにテーマを決めてフィールドワークに取り組み、関係各所への聞き込みや観光地を調査する。4日は体育文化会館でフィールドワーク報告会を開き、調査に基づいた報告や提案をする。
(2017年8月4日付紙面より)
新宮高校でオープンスクール (新宮市 )
新宮市神倉の県立新宮高校(畑伸憲校長)のオープンスクールが3日、同校であった。新宮・東牟婁地方を中心に17校から279人が参加し、体験講座を受講。進学への意識を高めた。
同校の学習内容や学校生活を体験し、理解を深め、中学校での進路指導に役立ててもらおうと中学3年生を対象に毎年実施している。畑校長は「オープンスクールで雰囲気を感じてもらえれば。進路選択は自分で情報を集めることが大切。有効に活用して」とあいさつ。
進学、就職などの進路に向けた指導も充実しており、安心して入学してきてほしいと呼び掛け「最大のうりは豊かな環境。県内でも敷地面積は1、2を争う。学習や部活の環境も整っており、個人活動にも十分な余裕がある」と紹介した。
高校1年生が校訓「質実剛健」の意味や授業、行事、クラブ活動など高校生活を説明。自身の所属する部活や学校生活で良いと思うことを挙げた。その後、中学生らは8教科12科目の体験講座の中から自分が事前に申し込んでいた内容を受講し、高校の授業の雰囲気などにじかに触れていた。
(2017年8月4日付紙面より)
新翔高校で教育体験学習 (新宮市 )
中学生対象の新宮市佐野の県立新翔高校(永石和校長)の生徒教育体験学習が2日、同校であった。新宮東牟婁地方と三重県内の11中学校から167人と保護者13人、引率教員18人が参加。講座やクラブ体験で進路への考えを深めた。
総合学科への理解と進路に関する目的意識の高揚、学習意欲の育成を図る目的で毎年実施している。全体会で國見一郎教頭は同校が今年創立100周年を迎えることや総合学科の特徴などを交えてあいさつ。
生徒会による学校説明では丸亀弘稀会長、安井貫乃副会長が特色ある系列や科目、クラブ活動、学校行事をスライドで紹介した。その後、中学生らは13講座の中から事前に申し込んでいた内容を受け、高校の学習を体験した。
建設実習には同校建設技術部の生徒らが協力した。担当教諭から授業の特徴や川原家、資機材の説明などを聞き、測量や建設車両の運転の実習に挑戦した。
森口斗輝君(15)は「パワーショベルが運転できると聞いて参加しました。体が車両と一体化しているようで思うように運転できました。川原家のことが学べました」。
十河りく君(14)は「面白そうだと思い参加しました。初めて乗り、どう動かすかがよく分かりました。震動が来て面白かった。工業科ではどのようなことをしているかが学べました」と話していた。
(2017年8月4日付紙面より)
トレス市の副市長ら一行 (串本町 )
串本町の友好都市、オーストラリア・トレス市のイェン・ロバン副市長ら一行が2日、両市町友好の深化を目指して来町した。7日(月)午前まで滞在する計画で、到着後すぐに田嶋勝正町長を表敬訪問し、記念品を交換するなどして親交を深め合った。
同市はオーストラリア北東部に位置する、明治期以降約7000人の日本人が白蝶貝採取事業などに従事するため渡航した海域「トレス海峡」の7島とヨーク岬の2地域を統括する行政区。渡航者の約8割は和歌山県出身者で、ダイバーとして従事し現地で命を落とした約700人のうち、162人が同町の出身者だったとされている。
両市町の友好都市関係は、串本町出身者をはじめとする日本人渡航者がもたらした技術で市域発展の礎を築いた先人の絆を起点にして新たな友好を築きたいというトレス市からの申し出により、平成23年12月7日の友好都市宣言合意文書調印によって成立。現在6年目の半ばを迎えている。
来町したのはロバン副市長と妻のアリス・ロバン夫人、ガブリエル・バニ市議会議員と同市企業・地域振興部のアンドリュー・ブラウン部長、日本人渡航者子孫の芝崎ロンダさんの5人。ボンダ・マローン新市長就任の報告と現地視察が目的だという。
田嶋勝正町長の歓迎を受けたロバン副市長は同島の日本人墓地や盆フェスタ、人口規模や産業の現況を話題にして懇談を重ねる中で、市域で日本人ダイバーの歴史を今以上に伝えるためにこの6日間で友好をより深めたいという思いも打ち明けた。田嶋町長は時季折々の交流とともに普段付き合いを重ねることが友好を長く続ける手段になると応え、両市町経由で互いの物産を販売し合うことを提案するなどした。ブラウン部長は同墓地保存について日本国政府や日本財団に資金援助を求めていることを報告し、田嶋町長は同町も後者と縁があり、協力を申し入れるとした。
懇談後は同町から記念楯、同市から成人や友好の象徴としての意味合いを持つ装飾品「ダーリィ」を贈り合い、今回の来町交流の証とした。
一行は翌3日、同町潮岬にある潮風の休憩所を訪ねて関係資料を視察し、隣接する顕彰碑に献花。木曜島遺族会(坂井敏生会長)との懇談に臨んだ。以降は町内近隣の現地視察が主な行程で、串本まつり串本節踊りや花火大会、巡視船体験航海への参加や両市町間の会食交流も含まれている。
(2017年8月4日付紙面より)
熊野新宮遺跡群の保存と活用を願う会(西村忠之会長)と新宮市観光協会(丹羽生会長)は7月30日、「歴史発見!新宮ぶらさんぽで夏休み自由研究を作っちゃおう!!」を開催した。小学3年生から高校1年生までの8人が観光ガイドらの案内で市内の名所を巡り、新宮の歴史を学んだ。
世界遺産に追加登録された阿須賀神社に集合した参加者たちは、新宮市観光ガイドの会の西浦康代さんや新宮市教育委員会文化振興課の小林高太主任らの説明を受けながら、宮井戸遺跡、新宮城下町遺跡、熊野速玉大社、神倉神社と歩いて巡った。
新宮城跡で西浦さんは、太平洋が見渡せることから「沖見城」とも呼ばれていたことや、石段は敵に攻められにくいように工夫されていることなどを説明。与謝野鉄幹の歌碑やケーブルカー跡も紹介した。児童らはメモを取りながら、石垣などをカメラで撮影していた。
参加した櫻井龍之介君(11)=神倉小学校6年=は「最初の天皇が来たと伝わる場所が新宮にあることに驚きました」と話していた。
同イベントは5日(土)にも開催される。時間は午前9時~午後2時。参加対象は小中学生で、小学3年生以下は保護者同伴。おにぎり、水筒、帽子、タオル、鉛筆、カメラかスマートフォン持参。参加費500円。申し込みは事務局(電話090・5671・6500)まで。雨天決行。
(2017年8月1日付紙面より)
珍しい深海魚、ヒレナガユメタチ
新宮市徐福の辻本大二魚店に、7月29日、珍種であるヒレナガユメタチが入荷した=写真。
ヒレナガユメタチは全長約130㌢。鵜殿から勝浦辺りの沖合、水深150~200㍍の深さで捕獲されたという。ヒレナガユメタチはスズキ目タチウオ科。伊豆諸島以南やパラオ海嶺、インド洋の底層を遊泳する深海魚。タチウオに似ているが、尾びれがあり、頭にある長い背びれが特徴。大きなものは200㌢を超えるという。まれに釣獲、漁獲されることはあるが、詳しい生態は不明。同店では「私も見るのは初めて。漁師さんから詳しい話は聞けていないが、珍しいことだと思う。食べてみようと思うけど、食べたことある人が周りにいないのでどう調理していいのかも分からない」と話していた。
(2017年8月1日付紙面より)
新翔高校で予選会に向け講習
新宮市佐野の県立新翔高校で7月29日、「きのくにロボットフェスティバル2017 全日本小中学生ロボット選手権」の予選会に向けた講習会が行われた。当地方の小学生8人、中学生4人が、それぞれ大会で使用するロボットを作った。
ロボットフェスティバルは小学生~高校生対象のロボットコンテストと「高専ロボコン」招待チームのロボットや企業の最先端ロボットのデモンストレーションを総合的に実施することで青少年の物作りへの理解を深め、日本の物作りと科学技術の進展に資することを目的に開いている。今年は12月17日(日)御坊市立体育館での開催を予定している。
講習会では同校職員の指導を受けながらロボット作りに取り組んだ。小学生は保護者に手伝ってもらうなどしながら熱心に作業を進め、できたものを試走させるなどして物作りへの関心を深めていた。できたロボットは規定の範囲内で改造するなどして大会で使用する。
毎年参加している魚立祥大君(11)=新宮市佐野=は「(ロボットなどを作るのが)好きです。簡単でした。楽しいです。去年は車輪を付けましたが、今年は規定でできないのでつらいです。毎年3位、2位と上がってきているので今年は1位を取りたい」と話していた。
予選会は11月3日(金・祝)に新翔高校で開催される。小学生は6足歩行ロボットで、コート内の長さが異なるロープをゴールへ運ぶ「ストリング・ストリング」、中学生はコート内のポールに輪を入れる「輪投げ大作戦!」で競う。
(2017年8月1日付紙面より)
第13回串本まつり始まる (串本町 )
串本町の夏の風物詩イベント「第13回串本まつり」が7月29日から始まった。初日の「橋杭ビーチサマーフェスタ2017」は旧海水浴まつりに代わる新イベント。メイン企画のビーチサイド運動会など盛りだくさんの内容が、海水浴客らの挑戦や注目を集めた。
同フェスタは、本年度から本格化している橋杭海水浴場アウトドアレジャー拠点化の推進を意識した、串本町観光協会(島野利之会長)主管の新イベント。前年度まで実施していた海水浴まつりのメイン企画だった潮干狩りや宝探しに代わり取り入れたのがビーチサイド運動会で、ビーチハウスラパンが提供するマリンアクティビティーや遊泳区域のフロートなど同浴場の特色を生かした全9種目を午前と午後の2部構成で実施した。
各種目とも参加賞付で当日受け付け。2基ある洋上滑り台をつなぐフロートを一直線につないだ全長約12㍍のコースを駆け抜ける種目・水上ランニングは主に小学生が出場し、全力の挑戦が注目を集めた。
2部の間では当日配布した番号札300枚を使った抽選会があり、各種景品に加え約100㌔のアサリも景品として小分けして提供した。
イベント冒頭、島野会長と田嶋勝正町長が開会のあいさつを述べ「ハラウフラ・オ・カウイオナラニ」がフラダンスを披露。メイン企画実施中は串本海中公園のウミガメタッチングやトルコのパンの移動販売「気まぐれアイシェのシミット号」、スーパーボールすくいや大道芸人ジロー今村さんによるパフォーマンスもあった。島野会長は「串本の夏のイベントはどんどん続く。串本町にまた来て楽しんでほしい」と呼び掛けてイベントを締めくくり、「今後もより多くの皆さんに楽しんでいただける内容を考え、同フェスタを続けていきたい」と総括した。
30日は同町文化センターでサマーBANDライブがあり、8ユニットが迫力のあるステージ演奏を繰り広げてファンらの熱狂を誘った。
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本年度の串本まつりは7月の29日と30日、8月の5日(土)と6日(日)の計4日間にわたって行われる予定で、日程詳細は本紙7月29日付特集を参照。町内外から多くの来場を集める本州最南端の花火大会は5日午後8時から串本港で実施(予備日は6日、以降未定)となっている。問い合わせは同町観光協会(電話0735・62・3171)か役場産業課(電話0735・62・0557)まで。
(2017年8月1日付紙面より)
県総体サッカー競技の部で準優勝
県総体陸上100㍍ハードルで3位入賞
県中総体バドミントン
イオン新宮店専門店会少年野球大会