太地中生徒がテーブルマナー講習
太地町立太地中学校(山田貴也校長)の3年生20人は19日、同町のホテル「花いろどりの宿花游(かゆう)」で、テーブルマナーの講習を受けた。同ホテルのチーフでソムリエの資格を持つ井上歩さんが講師を務める中、生徒らはマナーや礼儀を学びつつ豪華なフルコースに舌鼓を打った。
町教育委員会が企画し、地元の宿泊施設などの協力を得て同中学校の3年生を対象に毎年実施している。社会に出た時に通用するマナーを身に付けることが狙い。卒業を目前に控えた生徒たちへの祝福の思いも込められている。
ホテル到着後、迎えたスタッフを前に森本愛美さんが「今日はお忙しい中ありがとうございます。社会に出た時に礼儀やマナーがしっかりできるように学ばせていただきます」と生徒を代表してあいさつし感謝を伝えた。
スタッフに椅子を引いてもらって席に腰掛けた生徒らは緊張の面持ち。コースではアミューズからメインの肉料理までの6品とデザート、パン、コーヒーが提供された。生徒らは井上さんから、ナフキンの使い方や役割、乾杯の仕方、ナイフ・フォークの使い方などを学び、隣の生徒と確かめ合いながら一品一品を丁寧に味わった。
井上さんは「テーブルマナーとは、一緒に食事をする人だけではなく、スタッフを含めたその場にいる人を不快にさせないためのもの。そのことを念頭に置いてください」と説明。次第に緊張がほぐれた生徒らは、器用にフォークやナイフを操りながら笑顔で食事を楽しんだ。
町の歴史や文化を知るために、小・中学校でふるさと学習などへの取り組みを推進する同町。宇佐川彰男教育長は「知識の部分はもちろん、行政の思いや取り組みを体験的に肌で感じてほしい」と思いを語り、「いつか町外に出てもふるさとを思い出すきっかけになればうれしい」と話していた。
(2021年2月23日付紙面より)
第20回和歌山県市町村対抗ジュニア駅伝競走大会が21日、和歌山市で開催された。北山村などを除く県内25市町からオープン参加を含む33チームが出場した。本紙関連では、串本町が市町村記録を更新し、地元勢トップとなる1時間12分17秒で7位に入った。
コースは紀三井寺公園陸上競技場をスタートし、県庁前をゴールとする10区間21・1㌔。晴天の下、各市町代表の小学5、6年生と中学生の男女10人が1本のたすきをつないでいった。大会は海南市が1時間7分27秒でゴールし、優勝を飾った。
本紙エリア内の那智勝浦町は串本同様、記録を更新し15位、古座川町は25位となった。中学生女子の8区(2・5㌔)で串本町の久保凛さん(潮岬中1年)が7分47秒で区間新記録を達成。18、19回大会の3区に続き、3年連続で区間賞を手にした。
本紙関連の各チーム記録は以下の通り。
【大会結果】
⑦串本町 1時間12分17秒=市町村新記録
⑮那智勝浦町 1時間14分46秒=市町村新記録
25古座川町 1時間25分58秒
〈オープンチーム〉
那智勝浦町OP 1時間17分56秒
串本町OP 1時間18分59秒
【区間賞】
▽第8区(中学生女子)2.5㌔
①久保 凛(串本町)7分47秒=区間新記録
(2021年2月23日付紙面より)
めぐるみらい会議最終日 (那智勝浦町 )
那智勝浦町は20日、同町の体育文化会館で「地域資源が循環する持続可能な未来づくり会議(めぐるみらい会議)vol.3 シュタットベルケ事業計画報告会」を開催した。堀順一郎町長も出席し町内外から27人が参加。同会議の企画運営を行うissue+designの白木彩智さんと南紀自然エネルギーの仁木佳男さん、同町役場観光企画課の赤岡誠さんが、今後町が取り組むシュタットベルケ事業の詳細や会社設立について報告した。
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シュタットベルケとはドイツ語でエネルギーをはじめとする幅広い分野の公共事業などを担う公益企業を指し、ドイツ国内ではエネルギー事業を中心に公共公益的なサービスの提供を行い、地域におけるまちづくりの一端を担っている。
同町でも地域資源を生かし、地域内で資源を循環させることで自立したまちづくりを目指す「地域循環共生圏づくり」に取り組んでいる。
官民出資型の事業体(会社)を設立し、発電や熱供給などの再生可能エネルギーや電力小売り事業などを行う。町は設立時に3分の1の出資を行う予定。
その収益で地域課題の解決に取り組み、「熊野信仰に基づいた環境負荷の少ない暮らしで住民幸福度の高い『環幸』のまち」の実現を目指しているという。会社設立は今年4月を予定しており、3月議会に上程されるという。
赤岡さんはシュタットベルケについて、電力の地産地消や熱利用など今後のエネルギー事業の総合的な推進や調整に有効な手段と紹介。さらに第三セクターとの違いは管理の仕方だとし、「シュタットベルケは方針や理念といった進むべき方向性には役場も口を出すが、運営方法には口を出さない。ありたい町の姿に向けて民間企業のスピード感を持って取り組める事業体」と説明した。
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エネルギー事業の可能性調査を進めてきた仁木さんは事業内容について、▽町内の太陽光発電所や電力市場から仕入れた電気を公共施設などに現状より安く販売する「電力小売り」▽公共施設の屋根などにシュタットベルケが太陽光発電設備を設置し、施設の電気の一部を賄う「自家消費型太陽光発電」▽温浴施設などにチップボイラを設置し、製材端材などで作った湯を安く販売し燃料代を抑える「チップボイラ熱供給」▽家庭やホテルなどから集めた廃食油を使い、福祉健康センターに電気と湯を供給する「廃食油コジェネ」▽シュタットベルケの利益の一部を用いて役場内に基金をつくり、毎年数百万円の寄付を予定。観光や1次産業、環境や福祉、子育てなどの課題解決に取り組む町民・町内事業者を支援する「課題解決」―があると解説した。
いずれも予定だが、今後のスケジュールとして2021年10月から公共施設向けの小売りを開始し、22年度から家庭と事業所に供給を開始する。
太陽光発電は21年度から公共施設に設置し、23年度から家庭と事業所にも設置を始める。チップボイラは21年度に丹敷の湯に設置し、22年度から民間施設に順次設置。廃食油コジェネは早ければ23年度に着手するという。
なお、30年度時点で年間5・7億円のエネルギー支出が町内で循環し、4・8億円の再エネ設備投資を実行し、7人の直接雇用も生まれるとしている。
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参加者からは「採算は取れるのか疑問。雇用者の年収はいくらになる」「出資というが、いくらで何株から購入できるのか」「設立早々に経営破綻した会社もある。リスクについての広報をしっかりとすべきでは」などの意見が挙がった。
仁木さんらは「補助金の利用を考えているところが多い。投資回収年数は短期だと5年、長い場合は10年を見込んでいる。年収は1人400万円」「1株1万円から参加と考えている」「昨年末から日本卸電力取引所の価格が過去類を見ない高騰を続けたため倒産となった会社もあった。株の購入時にはこのリスクについてきちんと説明する」と答えた。
最後は白木さんの指示の下、参加者は設立される会社の名前について意見などを出し合った。
(2021年2月23日付紙面より)
県立みくまの支援学校
和歌山県立みくまの支援学校(榎本貴英校長、新宮市蜂伏)の望月信吾教諭がこのほど、和歌山県教育委員会の「きのくに教育の匠(たくみ)」に選ばれた。先月14日、和歌山市の「ホテルアバローム紀の国」で開催された「和歌山県教育表彰式」で表彰を受けた。
同表彰は県の教育の発展に功績があった個人や団体をたたえるもの。「教育の匠」は、特に優れた教育実践を行い、成果を上げていると認められる教職員などを表彰する「きのくに教育賞」受賞者のうち、特に継続的な実践で成果を上げ、他の教員の指導力向上に寄与できる者に対して与えられる。望月教諭は、肢体不自由教育に対する教職員の専門性向上に寄与した功績などが認められて2018(平成30)年度に教育賞を受賞している。
望月教諭は太地町出身。肢体不自由教育に係る専門的な知識や技能を生かし、2015(平成27)年に県教育委員会が刊行した「肢体不自由教育ハンドブック」の作成委員として内容構成の検討と執筆に尽力した。
また、特別支援教育コーディネーターとして特別支援学校からの相談依頼に積極的に対応するほか、研修会や高校生ボランティアスクールなどの機会において講師を務めるなど校内外から厚い信頼を受けている。校内では現在、支援部長として関係機関などと連携した教育相談の充実に精力的に取り組んでいる。
「普段通りしていただけ。そんな器でもなく驚いています」。そう話しながら「ベストを尽くしてやってきたつもり。周りの人に支えられたおかげだと思っています」と感謝を口にする。
「子どもの成長を追っていけることがモチベーションにつながっている。いつも新鮮な気持ちで仕事することができている」と語り、「地域に根差した支援学校の実現に向けて、より地域に開かれた学校となる一助になれば」と笑顔を見せた。
(2021年2月23日付紙面より)
新宮弓友会主催の月例射会
13団体が市長に要望 (新宮市 )
新宮市自治会連合会をはじめとした市内の13団体は18日、連名で田岡実千年市長に新宮城復元の早期着手を求める要望書を提出した。榎本義清・自治会連合会長ら13団体の代表が市役所を訪れ、「市民に夢と希望を与えるまちづくりの推進を」と求めた。
新宮城は1633(寛永10)年、紀州藩付家老水野氏により完成。建造物は1873(明治6)年の廃城令を受け、75(同8)年までに取り壊されている。現在では、幾多の自然災害の影響による石垣の崩壊や、樹木の成長による天守台の崩落や城跡の劣化も進んでいる。
市は1980(昭和55)年に新宮城跡を公有地化し都市公園として整備を開始。発掘調査や水ノ手側の石垣修復、炭納屋遺構群の保存工事を実施。2003(平成15)年には城郭跡が国史跡指定を受けた。
17(平成29)年に(公財)日本城郭協会より「続日本100名城」に選定され、19(令和元)年には水野家入部400年記念事業が開催されるなど、他地方から訪れる観光人口も増加している。
復元に当たっては、戦後間もない1946(昭和21)年に発生した南海道大地震で市内中心部が焼失しており国内での資料の発見は難しいとされている中、市では復元調査委員会などを組織し、本年度末を期限に「新宮城復元資料収集懸賞事業」を実施。懸賞金を懸けて天守や大手門、やぐらの復元につながる古写真や設計図などの資料を募っているが、今に至るまで復元の足掛かりとなる資料などは見つかっていない。
提出された要望書は▽市自治会連合会▽市婦人団体連絡協議会▽新宮商工会議所▽市観光協会▽市商店街振興組合連合会▽新宮ライオンズクラブ▽新宮ロータリークラブ▽市仲之町商店街振興組合▽丹鶴商店街振興組合▽市駅前本通り商店街振興組合▽新宮商工会議所女性会▽新宮商工会議所青年部▽子育てサポートキッズクラブ―の連名。
19(平成31)年に施行された「文化財保護法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律」、昨年に文化審議会が定めた「史跡等における歴史的建造物の復元等に関する基準」(以下新基準)などに言及し、「今こそ時機を逸することなく、早急に官民一体となった『新宮城再建委員会』などを組織するなど、『新宮城復元』に向けての取り組みを」と要望した。
要望を受け、文化振興課は「大手門がどこにあったかも分かっておらず、想像される場所は民有地となっている」「史跡として整備していくとなれば保存活用計画を策定する必要がある」などと現状を説明。新基準については「往時の規模や構造、形式などや材料、工法を検証し、それを採用しない部分については史跡などの理解促進や保存・活用の効果と比較衡量する必要がある」と理解を求めた。
榎本自治会連合会長は「早急に委員会などをつくり進めていかないと、未計画では中ぶらりんと取る市民も多いのでは」。対し田岡市長は「復元整備に向けてしっかりと検討していきたい。早いうちに何らかの返答をさせていただきたい」とした。
(2021年2月20日付紙面より)
大規模氾濫減災協議会 (和歌山県 )
東牟婁地域等における大規模氾濫減災協議会の第6回会議が18日、ウェブ上で実施された。和歌山県や各市町村が参加。各地域の流域治水を計画的に推進するためのプロジェクトの素案などを議論した。
2015年9月の関東・東北豪雨などによる甚大な被害を踏まえ、17年5月、国は多様な主体が連携して社会全体で洪水に備える取り組みなどを推進するために大規模氾濫減災協議会制度を創設。県内においても各地域で同協議会を組織し、さらなる連携・協力体制の構築を図っている。
この日は2日に閣議決定された「特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律案」(流域治水関連法案)についても説明があった。
法案は近年、全国各地で激甚化・頻発する水災害や、気候変動による今後の降雨量や洪水発生頻度の増加に対応するために流域全体を俯瞰(ふかん)し、あらゆる関係者が協働して流域治水の実現を図ることを目的としている。
改正案の概要は「流域治水の計画・体制の強化」「氾濫をできるだけ防ぐための対策」「被害対象を減少させるための対策」「被害の軽減、早期復旧、復興のための対策」となり、同協議会の対策に関連するところも多いことから加えて取り組んでいくという。
ウェブ会議で井口好晴東牟婁振興局長は「協議会を通じて流域治水の取り組みが進み、地域にとって水防災がより高いレベルになることを目指していきたい」とあいさつ。
事務局は「被害の軽減」「早期復旧」「復興のための対策」を三つの柱として▽河川や堤防、砂防えん堤の整備▽浸水が頻発する場所に住宅を建築させない▽危険地域の住宅の移転促進▽浸水想定図の作成▽避難のためのタイムラインの作成継続や強化▽被害の最小化のための事業継続計画(BCP)策定―などを推進していくとした。
古座川、太田川、那智川、佐野川の四つの水系のこれまでの事業の進捗(しんちょく)状況や治水プロジェクトについての素案を説明。次年度は各地域に出向いて課題などのヒアリングを行い、今後の流域治水のプロジェクトに反映させていくと方針を示した。
中家章夫河川・下水道局長が「この素案は住民の皆さまに理解していただけるように県のホームページに掲載する予定。今後もあらゆる関係者が協力し、議論していく。各市町でも取り組んでいただけたら」と締めくくった。
(2021年2月20日付紙面より)
紀宝熊野道路の事業説明会 (紀宝町 )
平成31年度に事業化された「国道42号紀宝熊野道路」の事業説明会が18日、紀宝町の井田公民館であった。国土交通省中部地方整備局紀勢国道事務所が測量、地質などの現地作業の内容やスケジュールを説明した。
紀宝熊野道路は紀勢自動車道、国道42号熊野尾鷲道路、熊野道路などと一体となって道路ネットワーク強化を目的に計画され、熊野市久生屋(くしや)町から紀宝インターに至る延長15・6㌔の一般国道の自動車専用道路。新宮紀宝道路の紀宝町鵜殿から成川、神内、井田の各地区を通過して、御浜町阿田和、志原両地区を経て久生屋町につながる計画だ。
説明会には約30人が訪れ、紀勢国道事務所紀勢線推進室の佐溝健治・事業対策官が説明した。現地調査、予備設計、地元説明、幅杭打設、用地測量、用地補償、工事着手などを経て完成・開通に至る計画で「今後、詳細な設計を行うため現地で測量・地質調査を行う予定です」と述べ、協力を求めた。
調査結果を基に設計を行い、後日、詳細な計画ルートや構造について説明会を開く予定で、出席者からは「ルート変更がないようお願いしたい」「雨量も考えて設計を」などの意見、要望があった。
(2021年2月20日付紙面より)
6施設に寄付金手渡す (新宮東牟婁労福協 )
新宮東牟婁地域労働者福祉協議会(關(せき)勝行会長)は18日、新宮市と那智勝浦町の福祉施設6カ所に寄付金計12万円を贈った。
協議会は子どもたちの健全育成を目的に毎年、入場無料の映画まつりを開催。その際に集まったチャリティー募金と加盟団体からの寄付金を贈呈しているが、今年は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から3密を避けるため上映を中止した。今回は活動費の一部が活用された。
寄付金は▽美熊野福祉会▽なぎの木園作業所▽わかば園作業所▽どんぐりの家▽南紀ひまわり作業所▽いなほ作業所―の6施設に均等に分配され、各2万円が贈られた。
美熊野福祉会(森常夫理事長)には關会長と谷口晃一事務局次長が訪問。森理事長に寄付金を手渡した。
關会長は「残念ながら映画の上映は中止となってしまったが、コロナ禍だからといって皆さんからの善意の気持ちは変わらない。感染症に負けずに継続して活動し、少しでも役に立てていければ」。
森理事長は「このご時世にもかかわらず、気に掛けていただいて本当にありがたい。乳幼児向けのリハビリ用のおもちゃを購入するなど、有効的に使わせていただきます」と感謝を述べていた。
(2021年2月20日付紙面より)
テキサスヒットグラブ工房・須川幸太さん
【第30回】調理体験が子どもを育てる!
子どもはかわいくて、手が掛かるものですが、いつかは自立して独り立ちしてもらわないといけません。私も子育ての目標は、一人で生きていける人間に育てることだと思っています。そのために今できること、それは、ズバリ「お手伝い」です。日々の家事のお手伝いももちろんですが、私の一押しは「調理のお手伝い」です。お手伝いがしたい!と言う3~4歳ごろ、私も「今日は時間がないから、また今度ね」とよく言っていました。親がやった方が早い・見ていないと危ない・やりたいことしかやらない。こうなると、やらせるのはかなりハードルが高いですよね。でも、お休みのときなど、ゆとりのあるときに一緒に調理をするだけで十分なんです。調理のお手伝いは、子どもにとってたくさんのメリットがあります。
調理経験は、子どもの自尊心や自己肯定感を高めるという研究結果があります。「調理経験は自尊感情のうち『他者への思いやり』に最も強く影響を及ぼすと考えられた」(栄養学雑誌「小学生の家庭での調理経験が食事観・自尊感情・教科に対する関心に及ぼす影響」、2018年)。子どもにとって、調理体験は、単純に「できた!」という成功体験の喜びを与えるだけではありません。家族に褒めてもらうことで「自分は大切な存在である」ということを認識することができますし、作ることの大変さを通じて、作ってくれる人への思いやりや感謝も学ぶことができるわけです。
さらに、調理の手伝いは学習意欲も向上させます。先ほどの論文にも、こんな記述があります。「調理経験が食事観や自尊感情を介し、教科に対する関心に影響を及ぼすという結果が得られ、児童の調理経験を増やすことが教科に対する関心を高める可能性が示唆された」(同論文)。さらに海外の研究では、調理の体験の食育で、理科や算数などの理解度が高まったという論文もあります。ここには、自尊心や自己肯定感が大きく影響していると私は考えています。ただ、調理をさせるだけではなくとにかく褒めてあげることが大切です。誰かのために作るという姿勢や、やろうとする好奇心、そしてやり切ったこと、出来上がったものを全力で褒めてあげましょう!
他にも、「好き嫌いなどの偏食の改善につながる」というメリットもあります。自分で作ったことによって、食べたいという気持ちや食べてみようという気持ちにつながるからです。そして、調理の手伝いは、将来への食意識に作用します。調理を手伝えば手伝うほど、健康的な食生活への意識が高まるといわれています。親元を離れた後でも、食生活に気を使って、健康的な生活が送れるようになるということです。お料理を一緒にするということは、子どもたちに良いことずくめなんです。忙しい毎日の中で、ふと時間があるとき、ぜひ一緒にお料理を楽しんでみてください。やりたいということをやらせてあげてみてください。子どもたちは、お料理のお手伝いを通して、大人が思っているよりも、たくさんのことを吸収してくれると思います。
(2021年2月20日付紙面より)
県産農産物利用拡大に向け (太地町 )
学校給食へ地場産食材を供給する取り組みが太地町(太地町学校給食推進協議会)でスタートした。17日には町立太地小・中学校で、新宮市産の小松菜などが給食の献立に登場。児童・生徒らは地元産の野菜や魚に舌鼓を打った。
和歌山県では、学校給食献立の早期作成や入札方式導入の働き掛けにより「必ず作ります・売ります・買いますシステム」を確立することで県産野菜などの利用拡大を推進。市町村協議会で学校給食関係者が「購入希望リスト」、生産者が「供給可能リスト」を作成し需要と供給のマッチングを図る。
取り組みは2019(令和元)年に広川町でスタートし、すさみ町、新宮市に続いて県内4地域目。新宮広域圏公設地方卸売市場を核として実施する新宮・東牟婁地域では2地域目となる。
取り組みを進めるに当たり、太地町では1月に町教育委員会、太地小・中学校、新宮周辺地場産青果物対策協議会、県東牟婁振興局農業水産振興課で構成する「太地町学校給食推進協議会」を立ち上げた。太地小・中学校では今後、年に3回ほど地元農水産物を使用した給食が提供される見通しだ。
この日、給食に登場したのは新宮市産小松菜を使った三色ごまあえをはじめ、那智勝浦町太田産の米で炊いたご飯、県産サバのカレー焼き、けんちん煮、牛乳。
太地小学校(宮本礼子校長)では、教諭から「今日の給食には和歌山県の食材がたくさん使われています」と説明を受けた児童たちが、大きな口を開けて地元の味を堪能。長尾彩羽さん(2年)は「野菜も魚もおいしい」と笑顔で話した。
公設市場の出前授業で学びを深めるほか、実際に小松菜や大根を植えて収穫するなどして、普段から野菜に触れる機会を設けている同小学校。取り組みを通して野菜に抵抗がなくなった児童も多いという。
宮本校長は「今日の給食は、いつも以上に食が進んでいるように思います」と話し、児童の給食を見守っていた。
(2021年2月19日付紙面より)
三輪崎小3年生が学習
新宮市立三輪崎小学校(嶋田雅昭校長、児童371人)で16日、熊野学研究委員会や市文化財保護審議会の委員を務める中瀬古友夫さんによる講話があり、3年生60人が昔の市内の風景や人々の暮らしを学んだ。
3年生の社会科では通年で地域学習に取り組んでいるが、教科書の例として紹介されている都市が他府県のため、児童が自身の住む市についてより具体的にイメージできるようにと講話を依頼した。
中瀬古さんは、市の昔と現在の写真を並べ、そこに写った人々の生活を解説。佐野駅近くの踏切を蒸気機関車が走る様子や、三輪崎にある久嶋(孔島)近くに停泊した客船から小舟で運ばれた乗客たちが背負われながら浜に上がる様子を語った。
三輪崎小学校について、「オーストラリアに出稼ぎに行った潜水夫らの寄付によって、和歌山県で初の鉄筋コンクリート校舎として1927(昭和2)年に建設された」と話し、校舎の完成記念として開かれた運動会の写真も見せた。
児童は「全然違う」「山の形は一緒だから同じ場所なのかな」と話しながら写真を見比べ、普段何気なく見ている場所に秘められた歴史に興味を引かれた様子だった。
(2021年2月19日付紙面より)
熊野那智大社で「祈年祭」 ( )
那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で17日、「祈年祭」が営まれた。同大社責任役員の塩﨑巍朗(たかお)さんや献穀講員らが参列し、実りへの感謝と五穀豊穣(ほうじょう)を祈った。
「としごいのまつり」ともいい、古くから定められた国家祭祀(さいし)が起源。旧暦2月4日に行われていたが1873(明治6)年の改暦後は17日となった。
11月の新嘗祭(にいなめさい)と対になる祭りで、日本列島各地で神々に食べ物やささげ物を奉り、豊かな実りに感謝し人々の幸せを祈る祭祀・儀礼が行われている。
同大社では、男成宮司が神饌(しんせん)が供えられた拝殿で祝詞を奏上。新型コロナウイルスの早期終息も祈願した。巫女(みこ)が神楽「浦安の舞」を奉納し、参列者らが玉串をささげ、春の訪れや農作物の豊かな実りに感謝した。
神事を終え、男成宮司は「那智勝浦町では幸いにも新型コロナは拡大していないが、地域経済は厳しい状況にある」と現状に触れ、同日から医療従事者を対象に始まったワクチン接種に対して「大きな期待をしている」と述べあいさつとした。
その後、別宮「飛瀧(ひろう)神社」でも同様に神事が斎行された。
(2021年2月19日付紙面より)
海ノ民話のまちプロジェクト実行委員会が18日、稲村(とうそん)亭の民話を原作としたアニメーション作品「お屋敷になったクジラ」の完成を串本町へ報告した。
同実行委員会は、次代を担う子どもへ海を語り継ぐ日本財団「海と日本プロジェクト」の一環で2018(平成30)年度に発足。以降毎年「海ノ民話のまち」を認定していて、本年度は同町など7自治体を選定し、同町には昨年7月実施の認定証贈呈時に民話アニメの制作と関係フィールドワークへの協力を求めていた。
「お屋敷になったクジラ」は町内にある古民家・稲村亭に伝わる民話の一つ「恩返しの家」を原作とした上映時間5分強の短編作品。同実行委の沼田心之介認定委員長が取締役を務める制作会社「株式会社トマソン」が同町・海ノ民話のまち実行委員会事務局の吉川公一さん(テレビ和歌山東京支社長)の仲介を得ながら制作を進めた。
収束しない新型コロナウイルス感染症の情勢を考慮し、東京を拠点とする同プロジェクト実行委員会と同町をウェブ会議システム「ZOOM(ズーム)」でつないで完成報告の場を整えた。東京からは同実行委員会の沼田委員長と柴田英知さんや吉川支社長、同町からは田嶋勝正町長や稲村亭を預かる株式会社一樹の蔭の博多敏希代表取締役、制作を支援した南紀串本観光協会の宇井晋介事務局長が出席。作品を鑑賞して、串本儀平が作品に登場するクジラと巨木をモチーフにした和菓子の取り扱いを目指し、同協会が作品視聴QRコード付きPRシールを作成配布するなど、今後の利活用を話し合った。
フィールドワーク(上映会込み)は26日(金)に串本西小学校4~6年生を対象に実施する予定。報告を受けた田嶋町長は「本を読む機会が少ない中、5分間にまとめたアニメを見るのはいいことだと思う。串本は捕鯨で栄えたまちで、地震や飢饉(ききん)もうたわれたこの民話から歴史を知り、次の世代へ受け継いでくれれば」と展望を期待した。
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■「お屋敷になったクジラ」視聴方法
作品「お屋敷になったクジラ」は先行して同協会の公式動画チャンネル「くしもと珍魚ちゃんねる」で同日午後1時から公開を開始。同チャンネルは同協会公式ホームページにあるリンクや前述したコードを使って開くこともできる。
同プロジェクト実行委員会と同町の架け橋となっている株式会社テレビ和歌山は、一連の様子も含めて番組を制作し作品と合わせて3月中の放送を目指すほか、最寄りの道の駅へも上映の相談をする予定という。
(2021年2月19日付紙面より)
森の再生を考える会が植樹 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の住民団体「森の再生を考える会」(新垣有慶会長)は7日、同町湯川の熊野古道沿いで植樹会を開き、ヤマザクラなど26本を植樹した。和歌山県の「令和2年度未来を彩る花の郷づくり事業」を活用した。
同会は熊野古道の一部であるゆかし潟周辺の昔の景観を再現し、古道を散策する来町者に楽しんでもらうことを目的に活動している。昨年には緑の募金事業を活用し、同町湯川のゆかし潟北側側道沿いにヤマザクラ21本の植樹を行った。
この日は▽なちかつ古道を守る会▽南紀くろしお商工会▽南紀くろしお商工会西部支部▽町観光企画課▽二河公民館▽虹の会▽東牟婁振興局▽くまの里山▽NPO三つの森▽ふるさと共会▽住民▽山下造園―など約50人が参加した。
堀順一郎町長は「当町は自然環境に優しい取り組みを行うため、町民の皆さまに生活を見直していただくきっかけになればと思い、ゼロカーボンシティ宣言をした。ぜひ皆さまとたくさんの桜を植えていきたい」。
濵﨑信雅湯川区長は「今日植樹する苗木が桜の名所となって、熊野古道を散策する皆さまの楽しみになればうれしい」とあいさつした。
参加者は3班に分かれ、それぞれの植樹場所へ移動。スコップなどで穴を掘り、肥料を入れるなどして苗を植えた。獣害対策ネットや倒木防止用の杭を打ち込むなど協力しながら作業に汗を流した。
数年前から同会に参加し助言なども行う熊野自然保護連絡協議会の瀧野秀二副会長は「山桜は常緑樹に負けてしまう恐れもあり、ダニを運ぶシカなどの食害もあるので注意が必要。手を掛けていくことで将来は多くのきれいな花が咲き、子どもたちが楽しめる場所になるはず」と話した。
新垣会長は「元々この周辺は桜があったが、朽ちてしまった。熊野古道周辺に再度、桜を植えることで景観を美しくしたい。先では桜を楽しむための会も作ることができれば」と語った。
(2021年2月10日付紙面より)
西向の成就寺で防火訓練 (串本町 )
串本町西向にある薬王山成就寺(大崎實宗住職)で8日、防火訓練があり串本町消防本部古座消防署とともに出火時の初動の在り方を実践しながら確かめるなどした。
第67回文化財防火デーの趣旨に基づく取り組み。旧古座町域は同寺と古座にある佛光山善照寺が隔年で同訓練をしていて、西暦奇数年は成就寺の巡りに当たる。
同寺には国指定重要文化財「成就寺の芦雪(ろせつ)画(方丈障壁画45面)」を所蔵しているが、44面は県立博物館へ寄託済み。昨年7月に残る1面を修復のため搬出し後に県立博物館へ寄託するため同文化財は堂内に残っていないが、守るべきは同文化財を含む寺宝全般であり、これらを火災から守るため同訓練に臨むこととした。
この日は同寺の大崎住職や檀家らと同署の職員、合わせて20人が参加。庫裏から出火し初期消火に失敗したという想定で同訓練を始め、大崎住職は人命最優先の観点で堂内に火事を伝え参拝者が急ぎ寺門そばまで避難した。119番通報をして消防の到着を待つ間、駆け付けた総代らが手分けして本堂の寺宝(同日はその模擬品を使用)を寺門の外へ持ち出し。到着した職員は境内へホースを引き込み、本堂屋根に放水するところまで実践した。
ホースは延長途中で二股分岐をはさみ、今回は実践を省略したが残る一口からも放水できる状態とした。同署による講評後、総代から守るべき文化財がもうない点で訓練実施の意図を確かめる質問があり、大崎住職は数ある寺宝の中でも本尊と過去帳は絶対に守らなければならないという思いを伝えて引き続きの協力を求めた。
(2021年2月10日付紙面より)
新宮高校の教育現場で
和歌山県教育委員会は現在、県内全ての全日制および定時制県立高校に1万9239台のタブレット型パソコン(PC)端末「Surface Go 2」の導入を進めている。新宮市の県立新宮高校(前田成穂校長、生徒547人)にも既にPC端末や高速大容量ネットワーク環境(校内LAN)が整備され、積極的に情報通信技術(ICT)を活用した授業づくりが行われている。
政府は現在、義務教育を受ける全ての小・中学生に1人1台の学習用タブレットPCと校内LANを整備する「GIGAスクール構想」を推進している。高校生は対象外だが、低所得世帯の生徒には端末貸与などの支援を行う方針で、必要な費用を本年度の第3次補正予算案に計上した。一方、和歌山県を含む全国11県は、独自に公立高校の1人1台の端末整備を進めており、本年度内にも整備を終える見通しだ。
新宮高校では、昨年12月中旬から生徒にPC端末を配布した。インターネット接続や機器の不具合はおおむね1週間で終息。当初はPCを使う授業の時間のみ端末保管室から持ち出す形を取っていたが、現在では科目数の増加により一日中端末を貸し出すこともあるという。
コミュニケーション英語の岡野恵子教諭は「もともとパワーポイントで授業をしていたこともあり、現在では黒板に板書をすることはほとんどない」と語り、「PC端末の強みはリスニング。教壇にオーディオを置いて音声を流すのではなく、自分の聞きたいところで巻き戻したり、繰り返したりできる」と話す。
体育の創作ダンスでは、グループごとにはやりのK―POPミュージックなどを流し、動画を見ながら練習をしている。丹羽泰一郎教諭は「動画のスロー再生など、生徒から新しい機能を教えてもらうこともある。球技のシュートやランニングフォームを動画で見せることで、生徒の理解も深まるのでは」。
地理の授業では、ルワンダ内戦やチェチェン共和国問題、北アイルランド紛争といった世界の民族紛争の調べ学習に端末を使用。雨郡義和教諭は「自分で調べた内容を共有したり、発表用のスライドで使う画像を探したりするときには便利だが、差別や偏見を含む情報へのリテラシーも必要になる」と課題を述べた。
大きな抵抗感なくPC端末を使った授業スタイルが定着する一方、有害情報への対応や、いかに生徒の学力向上へつなげていくかが課題として浮かび上がる。今後も各校の取り組みに注視が必要だ。
(2021年2月10日付紙面より)
ワクチン事業盛り込んだ補正予算を可決 (新宮市議会 )
新宮市議会(久保智敬議長、15人)は9日、臨時会を開き、新型コロナウイルスワクチン接種推進事業に係る予算を盛り込んだ「令和2年度新宮市一般会計補正予算(第9号)」を審議。全会一致で可決した。
既存システム改修費用、クーポン券印刷および郵送料、ワクチン接種委託料などワクチン接種に関する予算補正を行い、歳入歳出予算の総額に1355万円を追加し、歳入歳出予算の総額を236億3411万6000円とするもの。
審議に当たり、田岡実千年市長が「10都府県で緊急事態宣言が延長となるなどまだまだ収束の兆しは見えてこないが、間もなく開始されるワクチン接種に大きく期待している」とあいさつ。
国の指示の下、市町村において実施するワクチン接種事業に対して「最優先事項であると考え、迅速かつ的確に実施するため先月に新型コロナワクチン接種推進室を設置した。さらに関係課長などで構成する『新宮市コロナワクチン接種推進連絡会』を設置し、全力で進めていきたい」と決意を新たにした。
県が主体となり3月から医療従事者などに優先接種される新型コロナワクチン。ワクチンを保存する超低温冷凍庫は基本型接種施設である市医療センターに設置され、現在のところは市医療センターや連携型接種施設である新宮病院と岩崎病院、県立なぎ看護学校体育館などでの接種を予定している。
対象者は市医療センターや市内医療機関の従事者や消防の救急隊員など約1000人。接種は任意で、新宮保健所は対象者のうち7割程度の接種を見込んでいるという。
高齢者や高齢者施設などの従事者、基礎疾患を有する人、それ以外の市民への接種については、国から3、4、6月に1台ずつ超低温冷凍庫が提供される予定。
接種には自治体が発送するクーポンを受け取り電話などで予約する必要がある。当局は3月中旬から下旬にかけてクーポンと案内を送り、4月から集団接種を先行して進めていく見通しであるとした。
(2021年2月10日付紙面より)
熊野地方に春の訪れを告げる「御燈祭(おとうまつ)り」が6日夜、新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)の摂社、神倉神社で営まれた。新型コロナウイルス感染防止のため上(あ)がり子の入山が中止となる中、神職と介釈(かいしゃく)の一行は古式床(ゆか)しく神事を斎行。御神火をともした大松明(たいまつ)と共に下山した。
新宮節の一節に「山は火の滝、下り竜」とうたわれ、1500年以上の歴史と伝統を誇る勇壮な火祭り。2016(平成28)年3月、熊野速玉大社例大祭「新宮の速玉祭(はやたまさい)」と合わせて国の重要無形民俗文化財に指定された。
今年は、全国的に新型コロナ感染症のクラスター発生防止の取り組みが行われている中、2000人以上の上がり子が集結することによって長時間の3密状態が避けられない状況であることを考慮した。
上がり子の安全と健康を最重要視し一般の参加を中止に。上野宮司は「当日は各家庭から神倉山に向かってコロナ終息などへの祈りをささげ、歴史上に例のない『千載一遇の御燈祭り』に」と呼び掛けていた。
神倉神社を下山した一行は阿須賀神社へ。御神火を奉安し奉幣神事を執り行った。熊野速玉大社に戻った神職らは同様に神事を行い、厳かに今年の火祭りは幕を下ろした。
祭事を終え、上野宮司は「歴史上始まって以来の御燈祭りだったが、漆黒の闇の中に御神火を頂くという本筋は変わるものではない。おそらく太古の御燈祭りは同様に漆黒の中で執り行われ、麓で待つ人に分け与えられたのでは」。
今回、図らずして千載一遇の機会を得て斎行することができたことで太古の祭りを感じることができたとし「消防関係者や警察の方々、多くの関係者の支えがあり祭りを終えることができた。来年は本来の祭りができることを心から祈っています」と話していた。
(2021年2月9日付紙面より)
第72回書初競書会 (新宮・東牟婁 )
東牟婁地方書写教育研究会(山田貴也会長)は5日、新宮市立緑丘中学校で第72回書初競書会の審査会を実施した。今回は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から展示は行わないが、新宮・東牟婁の小中学校の教職員34人が集まり、児童・生徒の作品を審査した。
同研究会によると、今年は金賞作品展だけでなく、中央展の審査ならびに展示も中止となった。審査後は各校で賞状が手渡されるのみだという。
この日は教職員がグループに分かれ、「文字を正しく整えて書けているか」「画の接し方が正しいか」「点画のつながりに気を付けているか」「文字の大きさや配列が適当であるか」「作品を書く上での問題点」などに注意しながら各学年の作品を審査した。
なお、今回は金賞と銀賞に加え、中止となった中央展の出展に相当する作品を金賞から選び、特賞を設けた。特賞には同研究会から記念ボールペンが副賞として贈られる。
作品総数は3053点で審査の結果、硬筆2335点のうち、特賞が128、金賞が806、銀賞が1401点。毛筆718点のうち、特賞が68、金賞が220、銀賞が430点となった。
山田会長は県内のほとんどの児童生徒が同じ手本を用いて、年に1回競い合うことは他府県では珍しいとし、「和歌山県は書写教育に熱心。子どもたちや保護者の皆さん、地域の方々も関心を持っていただいている。今年は展示もなく残念だが、来年こそはコロナが終息してこれまで通りに実施できればうれしい」と語った。
(2021年2月9日付紙面より)
ツアー活用に向け準備中 (南紀串本観光協会 )
南紀串本観光協会(島野利之会長)がこのほど、古座事業所付けで足こぎ式のフィッシングカヤック(Fカヤック)2艇を取得した。4月から有償ツアーによる活用を始める予定で、5日は串本町西向出身のアングラーズアイドル・そらなさゆりさん=フライドライス所属=にモニター協力を求めてツアーを試行するなどした。
このカヤックは、県の「水の国、わかやま。」体験観光事業者スタートアップ補助金を受けて導入を目指す新規アクティビティの中核となる資材。同町が連携協定を結ぶアウトドアメーカー・株式会社モンベルの仲介でアメリカ合衆国から取り寄せた製品で、船底を擦るような浅瀬ではパドルを使用し、水深がある場所でスクリューを出しペダルで回転させて進む。パドル式と比較して両手が自由になるため、さおを手にしたまま釣るポイントの微調整ができるという強みがあるという。
取得したのは全長12フィート(約3・7㍍)の一人艇で、到着後はさっそく職員が操作の習熟に励んで特性を理解し、このカヤックでできるツアーの内容を検討中。習熟の延長で分かりよい指導の確立にも努めている。
協力したそらなさんは、同協会が主催するイベント「ラブ太平洋串本エギング大会」で中湊出身のプロエギンガー・湯川マサタカさんと対でゲスト参加し盛り上げている人材。同協会はコロナ禍を避け帰郷中の折を見て、協力を求めたという。
この日は同事業所勤務の三栖雅章さんがインストラクターとなりツアーを試行。足こぎ式のカヤックは初経験のそらなさんに操船方法を伝えて古座大橋一帯を周遊し、利用時の印象などで意見を求めた。そらなさんは「水面が近くて海と一体になる感じが心地良かった。何より両手が空くことにはいろいろな可能性があるなぁと感じました」とコメント。扱いについて「操作がシンプルで、移動時の癖さえ知ってしまえば初心者の方でもどんどん慣れていけると思う。風を読んで潮を読んで、行きたい方向へ行けるのがうれしかった」と語った。
同協会はこのカヤックを用いたインストラクター付き有償ツアーを検討していて、今は2艇しかないため上限数人程度のグループを対象にして4月1日から提供を始める予定と話している。問い合わせは南紀串本観光協会古座事業所(電話0735・72・0645)まで。
(2021年2月9日付紙面より)
神倉神社で翌日祭
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)の摂社、神倉神社で7日朝、御燈祭(おとうまつ)り翌日祭(奉祝祭)があった。神倉神社奉賛会の猪飼三雄会長や神倉青年団の中山忠吏団長らが玉串を供え、祭りの無事に感謝するとともに、コロナの一日も早い終息を願った。
上がり子の参加が中止となり、神職と介釈(かいしゃく)のみで執り行われた今年の御燈祭り。同神社では古式床(ゆか)しく神事が斎行され、御神火をともした大松明(たいまつ)が無事に麓に下山した。
例年なら、奉賛会らによる盛大な餅まきが開催される翌日祭だが、今年は厳かに神事のみが執り行われた。
神事を終え、上野宮司は「皆さんにとっても心配も苦労も多い祭りになったと思う。千載一遇となった今年では、御神火を頂くことのありがたさを改めて感じることができた」とあいさつ。
「長きにわたり伝わる祭りを、私たちは未来につなぐために全力を尽くしている。そのために影で尽力してくれている警察や消防関係、ボランティアの方々の存在も忘れてはならない」と述べ、さらなる協力を呼び掛けた。
祭りから一夜明け、猪飼会長は「御燈祭りは一年の締めくくり。昨夜は大松明が火を携えて降りてきた時は安心した。奉賛会と青年団は家族みたいなもの。上(あ)がり子がおらずさみしく感じたが、こんな神事は今後はないと思う。来年はコロナが終息し、多くの人でにぎわう祭りになれば」。
中山団長は「今年はさまざまなことが初めての中での斎行となったが、闇の中で大松明1本に火が灯された様子は神秘的で太古の祭りをほうふつとさせられた。神様に頂いた火を氏子さんたちに見ていただけて良かったと思います」と話していた。
(2021年2月9日付紙面より)