3年ぶり「ツール・ド・熊野」開幕
熊野地方を舞台とする国際自転車競技連合(UCI)公認で国内屈指の自転車ロードレース「第22回TOUR de 熊野(ツール・ド・くまの)」が27日、新宮市熊野川町の「赤木川清流コース」(114㌔)で開幕した。NPO法人「SPORTS PRODUCE 熊野」が主催、公益財団法人日本自転車競技連盟が後援。
大会は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から昨年、おととしと中止。3年ぶりの開催となった。今年は新宮市を拠点とする「キナンレーシングチーム」をはじめ海外1、国内17の計18チームが出場。総合優勝を目指し、熱戦を繰り広げる。
開会で「SPORTS PRODUCE 熊野」の角口賀敏実行委員長が大会の開催に尽力してくれた多くの人に感謝を伝え、選手に向け「力いっぱい熊野の地を駆け抜けて楽しみつつ、頑張ってください」とあいさつ。来賓の田岡実千年市長は「全力を尽くし、素晴らしい大会にしていただければ」と述べた。
コースは海、山、川の自然豊かな環境で起伏のあるのが特徴。大会2日目の28日(土)は三重県熊野市紀和町の山間部を走る「熊野山岳コース」(104・5㌔)、最終日の29日(日)は捕鯨の歴史が色濃く残る太地町が舞台の「太地半島周回コース」(104・3㌔)で競われる。
(2022年5月28日付紙面より)
コロナ情勢考慮し主催者判断 (串本町 )
串本町が26日、▽JAPANビルフィッシュトーナメントin串本▽熊野水軍古座河内祭(こうちまつり)の夕べ▽串本まつり―の各行事について中止が決まったことを発表した。いずれも新型コロナウイルス感染症の情勢を考慮した主催者判断で、3年続けて実施が見合わされる形となっている。
同トーナメントはスポーツフィッシングの最高峰・カジキ類の釣果を競う大会として年1回実施。串本漁港に本部を置き、釣果公開や体験クルージングなど地域交流の側面もあって例年町民らの見物を集めている。
今年は7月15日(金)~17日(日)に第33回大会を開く方向で準備を進めていたが、同ウイルスの収束が見通せず主催者は4月5日付で中止決定を発表した。最近では2019年に節目の第30回記念大会を実施。以降は中止が続いている。
熊野水軍古座河内祭の夕べは、古座川河口域にある河内神社の例祭「河内祭」の本祭日夕方~夜半に開かれている奉賛行事で同夕べ実行委員会が主催。屋台村やビアガーデン、芸能発表などで例祭後の納涼のひとときを提供し、終盤では東牟婁地方にシーズンインを告げる花火大会が電飾をともした祭船「御舟」も共演しながら行われている。
実行委員長の上野一夫さんによると書面決議で中止を決めたそうで、自身はこの辺りでは大御所の熊野大花火大会が中止を発表する状況で開くのは難しいと判断したという。まして子どものころから見てきた例祭の縮小が続く状況がつらいと訴え、「地元(=古座)が断念しない限り、自分も応援を惜しまない」と今後も例祭と連動して同夕べを続ける意思を掲げた。
串本まつりは前述した行事を除く盆前の行事を包括する企画名で、直近では19年に▽橋杭ビーチサマーフェスタ▽串本節踊り▽花火大会▽ふれあい広場(アユのつかみ取りやビンゴゲーム大会含む)▽串本ダンスフェス―といった各イベントを実施した。
実行委員長の島野利之さんは「やれればと皆思っているが、人出の管理が難しく中止となった」と話し、「ウイズコロナが進み再開する時はためた分も含めてぜひ盛大に開きたい」と思いを語った。
イベントのうち、同フェスタは南紀串本観光協会が主催で橋杭ビーチ振興の関係で本年度も串本まつりによらず独自に実施の方向を模索しているという。連動行事の巡視船体験航海について串本海上保安署は「大枠の串本まつりが中止であれば実施しない」としている。
(2022年5月28日付紙面より)
熊野川河口大橋を視察 (紀宝町議会 )
紀宝町議会の全議員が所属する近畿自動車道紀勢線建設特別委員会(榎本健治委員長)は26日、建設中の熊野川河口大橋を現地視察した。橋の上部、内部を視察した榎本委員長は「初めて河口大橋の上部から視察した。新宮側はかなり工事が進んでいる。委員会としても引き続き、早期完成に向けて努力したい」と語った。
新宮市、紀宝町で建設工事が進む熊野川河口大橋(橋長821㍍)は来年1~2月に接続する計画。河口大橋を含む新宮紀宝道路(延長2・4㌔)は2024年秋の開通を目指している。
河口大橋は現在、両市町で上部工事が続いており、改めて進捗状況を確認しようと視察を計画。全議員と西田健町長らが新宮市側の建設現場に出向いた。
国土交通省近畿地方整備局紀南河川国道事務所の本田明副所長らが説明。新宮紀宝道路は近畿自動車道紀勢線の一部で、13年度に新規事業化された。紀宝町側の用地取得率は昨年度100%となり、現在の工事進捗率は74%だという。
議員らは工事状況を確認し、構造や安全対策も聞いた。視察後、西田町長は「工事が目に見えて進み、肌で実感することができた。河口大橋を含む新宮紀宝道路の一日も早い完成を願っている」と話していた。
(2022年5月28日付紙面より)
Lアラート合同訓練 (和歌山県 )
災害時における円滑な情報伝達を行うために和歌山県は26日、県内市町村および各消防本部一斉のLアラート合同訓練を実施した。那智勝浦町役場では午前9時30分ごろ、町防災対策室の担当職員らが情報入力などに取り組んだ。
Lアラートとは、地方公共団体などが発信した災害情報などを放送報道事業者やインターネット事業者に対して、配信する情報共有基盤のことを指す。それぞれ入力された情報は各市町村でも即座に確認できるという。
訓練は県の防災情報システムに災害情報の入力を行い、操作の習熟度向上に努めるとともに、災害時の情報連携について確認を行うことが目的。
訓練は各市町村それぞれで個別シナリオを設定し、進められた。同町でも各地区の避難場所に避難した人数や職員の人数、発令している避難情報レベルの切り替えなどの入力も行っていた。
町防災対策室の増田晋室長は「正確な情報が瞬時にメディアなどに伝えられることがメリット。訓練ではシステムの更新などにも対応するとともに、それに慣れることが必須。実際の場面で円滑に操作が行えるように今後も取り組んでいきたい」と話した。
(2022年5月28日付紙面より)
那智勝浦町が加入 (スポーツ合宿誘致推進協 )
田辺市や白浜町、串本町など1市5町、和歌山県でつくる「南紀エリアスポーツ合宿誘致推進協議会」にこのほど、新たに那智勝浦町が加入した。印南町も同じく加入し、本年度から8市町となった同協議会は、県外からのスポーツ合宿誘致をさらに強化していく構えだ。
同協議会は、2013年に設立。15年に和歌山県で開催された「紀の国わかやま国体」を契機に整備・改修されたスポーツ施設などを有効活用するため、スポーツ合宿や大会などを広域的に誘致していくことを目的に発足した。串本町は17年度に加入した。
那智勝浦町と印南町の加入は、先月26日に田辺市の西牟婁振興局で開かれた同協議会総会で承認されたもの。那智勝浦町は昨年度からオブザーバーとして同協議会に参加していた。
なお、同協議会によると、18年度には6市町で8万6627人を受け入れたが、19年度には猛威を振るい始めた新型コロナウイルス感染症の影響で合宿のキャンセルが相次ぎ、受け入れは7万7388人に。20年度には2万8648人にまで落ち込みを見せた。昨年度は5万2346人のキャンセルが生じたが、5万4334人を受け入れている。
国体時にレスリング競技の会場となり、受け入れ体制が整っていることからレスリングの合宿誘致に力を入れていくという那智勝浦町。同協議会は加入自治体が増えることで誘致に向けた連携がより強化され、また取りこぼしをできる限り少なくするといった体制が構築できるとし「受け入れられる競技が増えるとバリエーションに強みが出る。(那智勝浦町は)これまでのエリアと離れているため、東海圏からの受け入れにも力を入れていきたい」と展望を語る。
那智勝浦町観光企画課では「加入により、協議会の持っているノウハウを借り、レスリングや卓球の合宿などの誘致はもとより、これまであまり利用されていない文化系の団体の誘致にもつながっていけば」と話している。
(2022年5月11日付紙面より)
小児ワクチン、副反応報告 (新宮市医師会 )
新宮市医師会(米良孝志会長)はこのほど、新型コロナウイルス小児ワクチンを接種した5~11歳の年齢層における、2回目接種後の副反応集計結果を公表した。1回目接種後同様、重篤な副反応は確認されなかった。
市医師会では、独自に接種者の保護者に副反応記録用紙を配布。その記録を基に同年齢層の副反応調査を行っている。
調査は新宮会場(4月3日)と那智勝浦会場(10日)、個別(16日)で接種を受けた267人を対象に実施。このたびの公表は4月22日までに到着した分の集計結果となっている。
集計の結果、重篤な反応はなかったが1回目に「息苦しい」「気持ちが悪かった」「基礎疾患関連症状」などの症状が見られた3人のうち、2人は2回目は異常がなかった。また、2回目に症状が見られた2人については、1回目は異常はなかった。
接種当日から7日目までの8日間で、37・5度以上の発熱があった人は、1回目は5人(2・0%)、2回目は10人(7・6%)。うち、2回目で38・0度以上の発熱は3人(2・3%)だった。なお、2回目の最高体温が1回目より0・5度以上高かった人は16人(12・1%)いた。発熱の頻度は高くはなかったが、2回目で体温が高くなる傾向が見られた。
接種部位の痛み(疼痛=とうつう)の頻度が最も高く、次に接種部位の腫れ(腫脹=しゅちょう)が続いた。2回目の頻度が高かったのは腫脹のみだった。
全身の反応では、1回目、2回目とも身体のだるさ(倦怠=けんたい=感)の頻度が最も高く、次いで頭痛の頻度が高かった。倦怠感、頭痛の頻度を日別で見ると、1回目、2回目とも接種翌日が高く、いずれも2回目での頻度が高かった。
(2022年5月11日付紙面より)
タイプ木前で観察会開く (日本クマノザクラの会 )
日本クマノザクラの会(勝木俊雄会長)が7日、古座川町池野山にあるタイプ木前で葉や実の観察会を開いた。
昨年2月の発足以降、新型コロナウイルスに伴う活動のしづらさにひるまずオンライン研修などで会員の知識の深化を図っている同会。現地観察会は今年3月に熊野市で花の観察会を開いて以来の実施で、若干数だが一般の参加希望にも応える形とした。
当日は勝木会長自ら講師を務め、会員や一般など30人が参加。勝木会長はクマノザクラの学名登録をした当事者で、そのためのホロタイプ標本〈花の標本〉を採取したのがタイプ木だと紹介しつつ今時期はどこを見比べたら他のサクラと区別できるかを紹介するとして話を切り出した。
予備知識として国内の野生種はクマノザクラを含めて11種類あり他に雑種や栽培品種があるとする捉え方を意識付け。以降本題へと入り、葉で区別する場合は短枝を観察するのが良く、鋸歯と蜜腺の2点で同会が準備した複数のサクラの枝葉の実物比較をしてクマノザクラ特有の特徴を確かめるなどした。
実については▽所有者の許可を得てから採取する▽サクラの種子は雑種が生じやすい―の2点で注意喚起をしつつ、実物を観察した。質問も受け付け、その一端でクマノザクラはヒトが山の木を切ってまきを得ていた時代の環境の中で存続してきたが今はそれがなくなり伸び放題となった高木との生存競争に勝てず将来的に消えゆく状況にあると懸念。個人的には手を入れて森林を若返らせて管理したい、という思いも掲げるなどした。
その他、観察を終えた苗木の提供や導入を目指している技能検定の原案紹介、入会案内などもして参加者の興味を誘った。勝木会長は今後、各地を巡る形で現地研修を開いて盛り上げたい考え。今回の観察会について「花で区別する人は随分増えたが、花以外でも見分けることができる。まずはそれができることを知ってもらい、クマノザクラをさらに理解する足掛かりにしてもらえれば」と語った。
同会の取り組みについては公式ホームページを参照。
(2022年5月11日付紙面より)
小学校グラウンドに拡大 (那智勝浦町 )
種子に鋭いとげを持つ外来植物のメリケントキンソウが現在、小学校のグラウンドなどに広がり、教育関係者らの頭を悩ませている。
メリケントキンソウは南米原産のキク科の一年草で、国内では1930年代に和歌山県で発見された。公園や芝生などの明るい場所を好む。種には2㍉ほどのとげがあり、靴底などに刺さって分布域を拡大。芝生に寝転んだり、こけたりした際に皮膚に刺さってけがをすることがある。
2008年に県教育委員会の屋外運動場芝生化促進事業でグラウンドを芝生化した那智勝浦町立太田小学校(上地巳奈子校長)では、月1回「芝生の日」を設定して手入れをしてきたが、現在ではほぼ全面にメリケントキンソウが繁殖。8日朝にも児童や保護者、地域住民、小学校教職員、南大居保育所の保育士ら約40人が除去作業を実施するも、取り切れない個体が散見される状態だった。
町立下里小学校でも10年から児童のけが防止や砂ぼこりの飛散防止策として校庭を芝生化したが、14年ごろから少数の個体が確認され始めた。現在では校庭の周辺部に広がり、柴原寛教頭は「児童の足に刺さったとげを一個一個ピンセットで取ったことも。種ができる5~6月は絶対にはだしでグラウンドに出ないこと、座らないことを呼びかけている」と語る。
町立宇久井小学校でもメリケントキンソウが確認されている他、町内外から多くの子どもたちが訪れる環境省宇久井ビジターセンターでも近年急速に拡大している。
メリケントキンソウは非常に繁殖力が強く、ひとたび広がると根絶は困難。全国的に問題視されているものの、子どもたちが集う場所という特性上、除草剤散布が忌避されることも多い。早期発見、および地道な摘み取りによる早期対応が重要となる。
(2022年5月11日付紙面より)
コロナ制限なしのGW (熊野三山 )
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行動制限が、3年ぶりになくなった今年のゴールデンウイーク(GW)。本紙エリア内の各所でも、拡大前をほうふつとさせる人出のにぎわいを見せた。
熊野三山はいずれも、参拝客でごった返した。熊野那智大社では、3日、4日、5日の順で▽約1700人▽約2000人▽約1600人―が参拝。那智の滝では若干多く▽1802人▽2016人▽1837人―が訪れた。
神職は「コロナ禍前の2018年と比較すると、1割から2割ほど減少した感じと思う。当然、昨年やおととしと比べたら、相当多かった。3日から5日にかけ、那智山線も渋滞したと聞いている」と語った。
なお、19年は特別に参拝客が多かったため、比較対象とはしなかった。
熊野速玉大社では、コロナ禍前ほどではないものの、4月28日から増え始め、3日から5日は相当な忙しさだったという。「3日と4日は特に多く、御朱印がずっと続くような状態だった」と話していた。
熊野本宮大社も、状況は同様。「3、4、5日は、神門の外まで人があふれ、われわれ神職がずっと、メガホンを持ち整理するような状態が続いた」と言う。
(2022年5月10日付紙面より)
「四季彩まるしぇ」始める (エコ工房四季・株式会社天然 )
串本町古座にある社会福祉法人つばさ福祉会(北野好美理事長)の就労継続支援B型事業所「エコ工房四季」(平原正雄施設長)が4月30日、国保古座川病院跡地で株式会社天然=和歌山市=(以下天然とする)と連携した出店イベント「四季彩まるしぇ」を始めた。
天然は古座川町を保養先とする和歌山トヨタ自動車株式会社が地域貢献のために起こしたグループ会社。保養時の地域交流活動を通して接点を得た同事業所は、天然が力を入れるキッチンカー「PANDA」やその仲間を迎え入れる形でこのイベントを計画し、3月の試行を経て実施にこぎ着けたという。
この日は「PANDA」とその仲間計4台が来場し、客寄せとして8歳以下対象の遊具やテラス席も持ち込み。同事業所や県セルプセンター、会場一帯の出店希望者も軒を連ね、国道42号に面する出入り口にのぼりを掲げて来場を誘った。同事業所の利用者は職員と共に自店運営に加え車両誘導、遊具の適時消毒など会場運営もこなし、来場者の円滑な利用を図った。
天然の営業責任者・東照之さんによると、同事業所との連携の狙いは利用者や出店者などの働く場所の創出。今回は会場運営を同事業所に委ねて利用者らの勤労としての場慣れと収入を図る筋道つけをし、今後は出店数増強(同カー・屋台・物販・フリマ・農家直売・ハンドメード・ワークショップなど)やゲストステージなども積極的に組み込んでやりがいと収益をいっそう増すよう目指すという。
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このイベントは11月まで、月1~4回の頻度で週末に開場する計画。開場時間は基本午前10時~午後5時で、7月と8月は午後9時まで時間延長する。出店希望(要出店料)は両者を代表しオフィスkokomoが統括していて、メール(officekokomo1@gmail.com)やインスタグラムのメッセージ(@officekokomo)で相談してほしいとしている。
次回の開場日は5月22日(日)。以降の開場日は▽6月11、12日▽7月23、24日▽8月6、7日▽8月20、21日▽9月3、4日▽9月17、18日▽10月8、9日▽11月5、6日―を予定している。いずれも会場設営が困難な場合は中止するので、あらかじめ了承してほしいという。
同事業所の地域交流行事「エコまつり」の月例版的な内容となっていて、回を重ねるほど利用者の収入につながる仕組み。平原施設長は「まだ始まったばかりで今回は小規模だが、今後は地元の皆さんにも参加を呼びかけ、より多くの皆さんに来てもらえるよう盛り上げていきたい」と意気込みを語った。
(2022年5月10日付紙面より)
古武術の不二流体術和歌山県支部新宮道場(山本盛夫支部長)は7日、那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で奉納演武会を開いた。同大社での奉納は4回目で、第三代宗家の大嶋竜太郎さん他、18人が体術や棒術、剣術を披露。足を止めて見物したり、撮影を行う参拝者の姿も多かった。
不二流体術とは、突き、蹴り、投げなどといった古来から伝わる日本伝統の総合武術で、審判のいないルール不在の中で行われるのが特徴。開祖・古賀不二人師が、合気道開祖・植芝盛平師、親和体道開祖・井上方軒師を源流に、真の合気武術を目指してより実践的に練り上げた。
二代宗家・田中光四郎師を経て、現宗家の大嶋さんに伝えられた奥義は、講道館出身の柔気流宗家・八木不動師から伝授された柔気流の技を加えて、今や一段と深みを増しているという。
正式参拝後に行われた奉納演武では、道着やはかま姿の門下生が素手による実践的な演武や短刀、木刀を用いた数々の技を披露した。子どもたちも元気いっぱい鍛錬の成果を発揮し、参拝者からは大きな拍手が送られた。
奉納後、大嶋さんは「半年に1回、和歌山に来ているが、皆さんの成長が素晴らしいのでうれしい限り。那智大社さまには毎年奉納させていただいているが、尊い場所で演武ができることをありがたく思います。良いご縁が広がっているため、9月には伊勢神宮の外宮でも奉納演武会をさせていただくことになりました」と話した。
同大社の伊藤士騎(しき)禰宜(ねぎ)は「地域のお子さんたちが神社で演武をご奉納する機会は少ないと思うので、毎年の楽しみや良い思い出にしてもらえたら。大人になり熊野地方を離れた際にも、今日の日を思い出していただきたいです」と語った。
なお、11月には熊野本宮大社で奉納演武会を実施する予定。
(2022年5月10日付紙面より)
紀伊半島の海亀を守る会 (新宮市 )
ウミガメの保護活動を展開する「紀伊半島の海亀を守る会」(榎本晴光会長、環境ファースト連合会会員)の会員らは8日、アカウミガメの産卵シーズンを前に、新宮市王子ヶ浜のふ化場周辺で清掃活動を実施した。市職員らも活動に参加し、総勢16人で草刈りや溝掃除などに汗を流した。
同浜は絶滅危惧種・アカウミガメが訪れる世界でも数少ない海岸の一つ。同会は、波浪流失や小動物の捕食被害からアカウミガメの卵を守るための保護活動を行っている。
アカウミガメの上陸・産卵シーズンは5月中旬から8月半ばごろまで。1回の産卵で平均110~120個の卵を産み、60~80日でふ化する。卵は海岸に隣接するふ化場に移し、ふ化した子ガメは秋ごろ、同会や関係者らの手によって海に戻される。
なお、昨年は例年より早めとなった5月20日に初上陸と産卵を確認。会員らは同浜の大規模清掃活動などを通してウミガメの上陸に備えたが、以降、上陸が1度あったものの産卵は確認されなかった。初産卵で発見した卵は98個。うちふ化した14匹を放流した。
早い時期に産卵が見られた場合のふ化率は低く、また海水温の上昇など地球温暖化も影響してか、上陸数が減少しているという。
今月から、同浜で早朝のウミガメパトロールを開始した榎本会長。「今シーズンは多くのウミガメが上陸してくれたら。今年は新型コロナウイルス感染症の影響などで大々的に行えていなかった放流会も開催したい」と話していた。
(2022年5月10日付紙面より)
新宮RC旗学童軟式野球大会
オンラインで交通安全教室 (宇久井小 )
那智勝浦町立宇久井小学校(芝﨑勝善校長)で4月28日、和歌山県警察本部交通部交通企画課安全教育係(通称・ひまわり)による交通安全教室があった。全校児童178人が、オンラインで交通ルールや安全な自転車の乗り方を学んだ。
和歌山県警が公表している「令和3年中 和歌山県の交通事故概況」によれば、県内の中学生以下の子どもが関係する事故は死者1人(小学生)、傷者計98人を出している。「令和2年版交通年鑑」を見ると、登下校や買い物、訪問中に事故が起こっており、原因は歩行中の「飛び出し」や自転車乗車中の「前左右安全不確認」が多い。
教室には、ひまわりの西山俊幸警部補、池田映実巡査部長、北岡萌巡査の他、宇久井駐在所の中井功治巡査部長、同町の交通安全指導員らが協力。前日の雨でグラウンドが使えないことや、新型コロナウイルス感染拡大状況を受け、初めてオンラインで実施した。
児童は「歩く人は右側。自転車は車の仲間なので左側を走る」という基本的な交通ルールを学習。自転車に乗るときには「ヘルメットをかぶる」ことを約束した。ゴールデンウイーク中に遊びに行くときの不審者対策や、川や海で遊ぶときの注意点も学んだ。
西山警部補は「横断歩道を渡るときは、右、左、右を見るだけでなく、後ろから曲がってくる車がないかどうかも確認して。命は一つしかない。小学1、2年生は事故に遭いやすいため、特に注意を」と呼びかけていた。
ゴールデンウイーク中は、日中に子どもたちが遊びに出かけることも増えるため、ドライバーも十分が注意だ。
(2022年5月1日付紙面より)
JR利用者ら、昨年より増加 (熊野地方 )
大型連休をふるさとや観光地で過ごす人たちの帰省ラッシュが本格化している。今年はコロナ禍で迎える3回目の大型連休。連休初日の4月29日はあいにくの雨となったが、移動や帰省の自粛などの行動制限がない中、JR新宮駅では家族の帰省を車中で待つ人の姿などが見られた。
同駅職員によると、電車利用者はコロナ以前には回復していないものの、連休開始日周辺の利用者数はおととし、昨年に比べて増加の傾向にあるという。
西日本高速道路株式会社(NEXCO西日本)などでは、渋滞のピークを4月29日~5月1日、3日(火・祝)~5日(木・祝)と予想。和歌山県警が発表している5月の交通事故発生予報では、1日、2日(月)、3日を当地方の交通事故多発厳重警戒日としており「レジャー中の交通事故に注意を」と呼びかけている。
連休中前半は全国的に雨が多いが、中盤は東日本や西日本で晴れる所が多く、後半にかけて気温が高くなる見込み。
(2022年5月1日付紙面より)
家族でロケットのぼり作り (潮岬青少年の家 )
串本町潮岬にある県立潮岬青少年の家(山口和紀所長)の主催事業「家族で作ろう!ロケットのぼり」が4月24日にあり、新宮市や串本町から家族3組が参加し小型ロケット「カイロス」打ち上げ開始への期待を高める一助にした。
この事業は、子どもたちに創作意欲とともにロケットへの興味を高めてほしいという願いを込めて立案した日帰り型の体験プログラム。感染予防を意識し事前告知を県民の友と公式ホームページのみにとどめて参加を呼びかけた。
後藤明洋副所長が歓迎のあいさつを述べ、以降は立案したスタッフ・松原孝季さんが小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」について現在分かっている状況を伝えて本題の工作指導を進めた。
ロケットの形になるようテーブル用の透明ビニールクロスを切り出し、出来上がる形をイメージしながら油性フェルトペンで好みのデザインを考えて着色。筒状とよりシンプルなシート状の2種類を仕上げ、最後にひもで棒へつないで手持ちのこいのぼりのような形に仕上げた。また紙コップ2個を使いゴムの力で飛び上がる紙ロケット作りもしたという。
3年前の秋にスペースポート紀伊の設置が決まって以降、イベント「おもしろらんど春祭り」など機会を捉えて体験企画を実施したりスタッフ手作りのロケットのぼりを掲げたりして地域の盛り上げに力を入れている同家。主催事業としてはロケットの高さをバルーンで体験するプログラム以来で、松原さんは「ロケットの打ち上げを楽しみにするきっかけを託せれば」の一心で、参加した子どもらの創作活動を後押しした。
(2022年5月1日付紙面より)
熊野那智大社
5月5日の「こどもの日」に先立ち、熊野那智大社(男成洋三宮司)境内では、マグロを模したこいのぼり「マグロのぼり」が青空の下、風を受けて元気よく泳いでいる=写真。
「マグロのぼり」は、生マグロの水揚げ日本一を誇る同町のPRにと、南紀くろしお商工会が同大社に奉納したもの。青色と赤色のマグロはそれぞれ約4㍍。大型連休初日はあいにくの雨となったが、30日は天候に恵まれ、風を受けて気持ちよさそうに泳ぐマグロたちの姿が見られた。
5月8日(日)の午後3時30分まで掲揚される。
(2022年5月1日付紙面より)