県産農産物利用拡大に向け (太地町 )
学校給食へ地場産食材を供給する取り組みが太地町(太地町学校給食推進協議会)でスタートした。17日には町立太地小・中学校で、新宮市産の小松菜などが給食の献立に登場。児童・生徒らは地元産の野菜や魚に舌鼓を打った。
和歌山県では、学校給食献立の早期作成や入札方式導入の働き掛けにより「必ず作ります・売ります・買いますシステム」を確立することで県産野菜などの利用拡大を推進。市町村協議会で学校給食関係者が「購入希望リスト」、生産者が「供給可能リスト」を作成し需要と供給のマッチングを図る。
取り組みは2019(令和元)年に広川町でスタートし、すさみ町、新宮市に続いて県内4地域目。新宮広域圏公設地方卸売市場を核として実施する新宮・東牟婁地域では2地域目となる。
取り組みを進めるに当たり、太地町では1月に町教育委員会、太地小・中学校、新宮周辺地場産青果物対策協議会、県東牟婁振興局農業水産振興課で構成する「太地町学校給食推進協議会」を立ち上げた。太地小・中学校では今後、年に3回ほど地元農水産物を使用した給食が提供される見通しだ。
この日、給食に登場したのは新宮市産小松菜を使った三色ごまあえをはじめ、那智勝浦町太田産の米で炊いたご飯、県産サバのカレー焼き、けんちん煮、牛乳。
太地小学校(宮本礼子校長)では、教諭から「今日の給食には和歌山県の食材がたくさん使われています」と説明を受けた児童たちが、大きな口を開けて地元の味を堪能。長尾彩羽さん(2年)は「野菜も魚もおいしい」と笑顔で話した。
公設市場の出前授業で学びを深めるほか、実際に小松菜や大根を植えて収穫するなどして、普段から野菜に触れる機会を設けている同小学校。取り組みを通して野菜に抵抗がなくなった児童も多いという。
宮本校長は「今日の給食は、いつも以上に食が進んでいるように思います」と話し、児童の給食を見守っていた。
(2021年2月19日付紙面より)
三輪崎小3年生が学習
新宮市立三輪崎小学校(嶋田雅昭校長、児童371人)で16日、熊野学研究委員会や市文化財保護審議会の委員を務める中瀬古友夫さんによる講話があり、3年生60人が昔の市内の風景や人々の暮らしを学んだ。
3年生の社会科では通年で地域学習に取り組んでいるが、教科書の例として紹介されている都市が他府県のため、児童が自身の住む市についてより具体的にイメージできるようにと講話を依頼した。
中瀬古さんは、市の昔と現在の写真を並べ、そこに写った人々の生活を解説。佐野駅近くの踏切を蒸気機関車が走る様子や、三輪崎にある久嶋(孔島)近くに停泊した客船から小舟で運ばれた乗客たちが背負われながら浜に上がる様子を語った。
三輪崎小学校について、「オーストラリアに出稼ぎに行った潜水夫らの寄付によって、和歌山県で初の鉄筋コンクリート校舎として1927(昭和2)年に建設された」と話し、校舎の完成記念として開かれた運動会の写真も見せた。
児童は「全然違う」「山の形は一緒だから同じ場所なのかな」と話しながら写真を見比べ、普段何気なく見ている場所に秘められた歴史に興味を引かれた様子だった。
(2021年2月19日付紙面より)
熊野那智大社で「祈年祭」 ( )
那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で17日、「祈年祭」が営まれた。同大社責任役員の塩﨑巍朗(たかお)さんや献穀講員らが参列し、実りへの感謝と五穀豊穣(ほうじょう)を祈った。
「としごいのまつり」ともいい、古くから定められた国家祭祀(さいし)が起源。旧暦2月4日に行われていたが1873(明治6)年の改暦後は17日となった。
11月の新嘗祭(にいなめさい)と対になる祭りで、日本列島各地で神々に食べ物やささげ物を奉り、豊かな実りに感謝し人々の幸せを祈る祭祀・儀礼が行われている。
同大社では、男成宮司が神饌(しんせん)が供えられた拝殿で祝詞を奏上。新型コロナウイルスの早期終息も祈願した。巫女(みこ)が神楽「浦安の舞」を奉納し、参列者らが玉串をささげ、春の訪れや農作物の豊かな実りに感謝した。
神事を終え、男成宮司は「那智勝浦町では幸いにも新型コロナは拡大していないが、地域経済は厳しい状況にある」と現状に触れ、同日から医療従事者を対象に始まったワクチン接種に対して「大きな期待をしている」と述べあいさつとした。
その後、別宮「飛瀧(ひろう)神社」でも同様に神事が斎行された。
(2021年2月19日付紙面より)
海ノ民話のまちプロジェクト実行委員会が18日、稲村(とうそん)亭の民話を原作としたアニメーション作品「お屋敷になったクジラ」の完成を串本町へ報告した。
同実行委員会は、次代を担う子どもへ海を語り継ぐ日本財団「海と日本プロジェクト」の一環で2018(平成30)年度に発足。以降毎年「海ノ民話のまち」を認定していて、本年度は同町など7自治体を選定し、同町には昨年7月実施の認定証贈呈時に民話アニメの制作と関係フィールドワークへの協力を求めていた。
「お屋敷になったクジラ」は町内にある古民家・稲村亭に伝わる民話の一つ「恩返しの家」を原作とした上映時間5分強の短編作品。同実行委の沼田心之介認定委員長が取締役を務める制作会社「株式会社トマソン」が同町・海ノ民話のまち実行委員会事務局の吉川公一さん(テレビ和歌山東京支社長)の仲介を得ながら制作を進めた。
収束しない新型コロナウイルス感染症の情勢を考慮し、東京を拠点とする同プロジェクト実行委員会と同町をウェブ会議システム「ZOOM(ズーム)」でつないで完成報告の場を整えた。東京からは同実行委員会の沼田委員長と柴田英知さんや吉川支社長、同町からは田嶋勝正町長や稲村亭を預かる株式会社一樹の蔭の博多敏希代表取締役、制作を支援した南紀串本観光協会の宇井晋介事務局長が出席。作品を鑑賞して、串本儀平が作品に登場するクジラと巨木をモチーフにした和菓子の取り扱いを目指し、同協会が作品視聴QRコード付きPRシールを作成配布するなど、今後の利活用を話し合った。
フィールドワーク(上映会込み)は26日(金)に串本西小学校4~6年生を対象に実施する予定。報告を受けた田嶋町長は「本を読む機会が少ない中、5分間にまとめたアニメを見るのはいいことだと思う。串本は捕鯨で栄えたまちで、地震や飢饉(ききん)もうたわれたこの民話から歴史を知り、次の世代へ受け継いでくれれば」と展望を期待した。
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■「お屋敷になったクジラ」視聴方法
作品「お屋敷になったクジラ」は先行して同協会の公式動画チャンネル「くしもと珍魚ちゃんねる」で同日午後1時から公開を開始。同チャンネルは同協会公式ホームページにあるリンクや前述したコードを使って開くこともできる。
同プロジェクト実行委員会と同町の架け橋となっている株式会社テレビ和歌山は、一連の様子も含めて番組を制作し作品と合わせて3月中の放送を目指すほか、最寄りの道の駅へも上映の相談をする予定という。
(2021年2月19日付紙面より)
宗応寺で「涅槃会」法要 (新宮仏教会 )
釈迦(しゃか)の命日の15日、新宮仏教会(会長=白井清牧・清蔵寺住職、会員13人)は、新宮市千穂の宗応寺(石原知実住職)で「涅槃会(ねはんえ)」を営んだ。各寺の住職や副住職が涅槃図を前に経を上げ、遺徳をしのんだ。
新宮仏教会は、市内にある▽松巌院▽淨泉寺▽瑞泉寺▽清閑院▽清蔵寺▽清凉寺▽専光寺▽宗応寺▽東仙寺▽遍照院▽本廣寺―の11カ寺で構成している。
涅槃会は、仏教の祖である釈迦の生誕を祝う降誕会(こうたんえ、別名・花まつり)、悟りを開いた日を記念する成道会(じょうどうえ)と並ぶ三大法会の一つ。
釈迦は35歳で悟りを開くと、その後45年にわたり人々に教えを説く伝道の旅を続けた。インド北東部のネパールとの国境に近いクシナガラで動けなくなり、頭を北にして西向きに横たわり、弟子たちが嘆き悲しむのを慰めながら夜半に80年の生涯を終えたと伝わっている。
涅槃図は釈迦が沙羅双樹の林の下で横たわり、入滅する光景を描いたもので、周囲には嘆き悲しむ弟子や、雲に乗って飛来する釈迦の母などが描かれている。宗応寺の涅槃図(縦156・1㌢、横101・8㌢)は南北朝時代(14世紀)の制作とされている。
毎年、法要は本堂横の室中で執り行うが、今年は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、密を避ける形で本堂大間にて実施。石原住職は「例年なら掛け軸は1週間ほどまつり多くの人に見てもらう機会としているが、翌日にはしまう予定にしている。こんな状況の中でも会員の方々にお経を読んでいただけるのはありがたいこと」。
白井住職は「世情が落ち着かない中において無事に法要を終えることができて良かったと思っている。今後も継続のためお互い元気で尽力していければ」と話していた。
(2021年2月17日付紙面より)
日本クマノザクラの会が記念に (矢渕中 )
日本クマノザクラの会(勝木俊雄会長)は設立翌日の15日、紀宝町立矢渕中学校(竹原巧校長)で記念植樹をした。来春の開花を願い、園芸委員(亀石沙來委員長)がクマノザクラの苗1本を学校花壇に植えた。
会はクマノザクラの保全や活用を目的に発足し、3年目の苗木を学校に提供。副会長の田尾友児さん、会員で樹木医の中村昌幸さんらが訪問した。
苗木はクマノザクラの調査にも参加した中村さんが育てたもので、高さ約2㍍。園芸委員が順番にスコップで根元に土をかぶせた。園芸委員は各学年6人の計18人で、普段から花壇の管理をしており、亀石委員長(2年)は「クマノザクラを見たのは初めて。大切に育てたい」と話していた。
会ではこの日、同町役場玄関前にも鉢植えのクマノザクラを飾った。3月には咲き始める。今後も要望があれば植樹に協力する方針だ。
町内で保全に取り組む田尾副会長によると、クマノザクラは北桧杖、鮒田地区や子(ね)の泊山桐原登山口付近に多く自生しているという。
(2021年2月17日付紙面より)
町産鹿肉のレトルト商品 (古座川ジビエ山の光工房 )
古座川町月野瀬にある古座川ジビエ山の光工房(鈴木貴裕施設長)がこのほど、町産鹿肉を使ったレトルト食品2種類の取り扱いを始めた。地元に知ってほしいという思いで、町内の児童生徒への贈呈も計画。15日に町内各校を訪ね、児童にはボロネーゼ(パスタソース)、生徒にはキーマカレーを届けた。
同工房は、独自のガイドラインと先鋭の機器を駆使して臭みを抑えた新鮮なジビエを生産。「こころうたれるシリーズ」と題してオンライン販売用の加工食品製造にも力を入れるなど販路増強に力を入れている。
レトルト商品の取り扱いは初で、約1年前に県食品流通課の仲介でノウハウを持つ有田食品株式会社=有田市=とつながり開発に着手した。同工房は在庫過剰になりがちなミンチ肉の活用を求め、同社は前述した2種類のメニューを提案。同工房の試食や意見を取り入れながらレシピを仕上げ、今年1月中旬に商品化へこぎ着けた。
土産品を前提とした仕様で、価格はいずれも1袋550円〈税込み〉と設定。同工房は1月下旬から取り扱いを始め、今月15日現在で同工房のオンラインショップと町内の南紀月の瀬温泉ぼたん荘売店、各道の駅物産販売施設、七川ふるさとづくり協議会事務所、もりとよ商店、町外では那智勝浦町下里にあるスーパーマーケットHatiや南紀串本観光協会古座事業所で購入できる。
町立小中学校は地産地消や食育推進の一環ですでに学校給食の食材としてジビエを適時活用していて、その味に慣れ親しむ子どもに新しい商品も知ってもらおうと思って贈ることにしたという。
15日午前は鈴木施設長らが高池小学校へ児童数分のボロネーゼ(1人につき1袋)を届け、学校を代表して大畑眞校長と児童会の山本真琴会長(6年)が受け取り感謝した。午後に他4校へも贈呈。鈴木施設長は「土産品としては安価な設定。子どもたちにはふるさとのジビエを一層誇りに思ってもらえたらと思うし、その気持ちが子どもから大人へと広がっていけば」と今後の反響を期待した。
販路は今後も拡大を目指すという。この商品の問い合わせは同工房(電話0735・72・6006)まで。
(2021年2月17日付紙面より)
熊野三所大神社例大祭 (那智勝浦町 )
那智勝浦町浜ノ宮の熊野三所大神社(くまのさんしょおおみわやしろ)(髙橋正樹宮司)で14日、例大祭が営まれた。今年は恒例行事が全て、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から中止となり、神事のみが斎行された。
同神社は貴重な建築様式の「三間社流造 檜皮葺(ひわだぶ)き」の本殿が有名。
例年は一心会の迫力ある獅子舞や、前日に那智の浜で潮垢離(しおごり)を取り、潔斎した射子(ゆいご)奉仕者が古式ゆかしい作法で矢を射る弓行事や復活した子ども神輿(みこし)などが行われている。
この日は髙橋宮司が祝詞を奏上し、関係者らが玉串をささげた。一心会の汐﨑広一会長は「練習も祭り本番も人が集まらないといけないので今回は残念だった。来年はコロナが終息して通常通りできればありがたい」。
同神社総代の藤社潔さんは「残念だが今年は仕方ない。来年も現時点ではどうなるか分からないが、ぜひこれまで通りに祭りができることを祈っている」と話した。
髙橋宮司は「毎年、お祭りができることに感謝をささげた。この地域や世界の平穏無事を祈願いたしました」と語った。
(2021年2月17日付紙面より)
国内で約100年ぶりに新種と確認された「クマノザクラ」の利活用や保全活動を目指す「日本クマノザクラの会」が発足した。個人、団体を含む76人の会員が連携して和歌山、三重、奈良の3県にまたがる自生地で広域的な活動に取り組む。正確なクマノザクラの情報を発信するため、ホームページ(kumanozakura.jp)を開設した。3月上旬にはリーフレットを作製する予定だ。
クマノザクラはバラ科サクラ属の樹木で、2018(平成30)年に新しく公表された野生種。紀伊半島南部の3県に分布し、早咲きで花が美しいことから観賞用の利用が期待されている。
発見、命名した森林総合研究所多摩森林科学園チーム長の勝木俊雄さんによると、ほとんどが山林に自生しており、花びらはピンク色。海岸部、山間部で違いはあるものの、ソメイヨシノより少し早い2月下旬から3月中下旬に開花する。
14日には、紀宝町の町福祉センターで設立総会があり、会長に勝木さん、副会長にNPO熊野さくらの会理事長の田尾友児さんを選出した。
リモートを含む31人が出席。冒頭、オンライン会議システム「Zoom(ズーム)」を使って東京から参加した勝木さんが「クマノザクラの魅力は美しさにある。すでに観光目的の植栽が始まっており、地域の経済発展に生かすことができる。今後、会員の皆さんと一緒に活動を考えていきたい」とあいさつした。
来賓の西田健・紀宝町長は「皆さんと連携して多くの方々にクマノザクラの良さを知ってもらい、名所として地域の起爆剤になることを願っている」と祝辞を述べた。
議事では役員を選出したほか、会則、事業計画案、予算案を審議し、採択した。本年度はNPO法人化の準備・手続きや、新型コロナウイルスの感染状況に応じて観察会、講習会、講座の開催などを計画した。クマノザクラの鉢植えを貸し出し、その良さもアピールする。
(2021年2月16日付紙面より)
ロケット事業「宇宙ウイーク」 (串本町 )
串本町が12日から14日までの3日間、役場古座分庁舎などでロケット事業「宇宙ウイーク」を実施した。
ロケットによる町民総参加の振興の第一段階「ロケットを自分事にする」を担う同事業は本年度、観光庁「誘客多角化等のための魅力的な滞在コンテンツ造成」実証事業の適用を受けて展開。「宇宙ウイーク」は先んじて取り組んだ町民向けロケットワークショップ(WS)に続く公開行事で、12日は関係者向けのビジネスデー、13、14日は町民向けの一般公開日としてさまざまな企画を展開した。
12日午前はオープニングセレモニーとして、町独自作成のロケットロゴマーク2種類を発表し、漫画「宇宙兄弟」の作者・小山宙哉さんの公式ファンクラブ・コヤチュー部プレミアムが応援の意を込めて単行本全巻(現38巻)3セットや小山さんのサイン入り「宇宙兄弟×串本町コラボレーションポスター」を、小山さんのビデオメッセージを添えて贈呈した。
午後は同事業の委託を受けるUSPジャパンの榎坂伸也さんをファシリテーターとしてトークショーを実施。ファムトリップで来町中のアメリカ人ジャーナリストのロブ・シュワルツさん、小山さんの代理で株式会社コルクの小室元気さん、地元を代表して役場企画課の濵地弘貴課長と南紀串本観光協会の宇井晋介事務局長がパネラーとして登壇した。
テーマは「2025年の串本町の姿」。濵地さんは小型ロケット発射場誘致の経緯、宇井さんは観光需要の変遷を踏まえてどのような活用を見据えているかを語り、外部からの視点でシュワルツさんは訪日外国人観光客対応のさらなる充実の必要性、小室さんは宇宙兄弟関係グッズの売れ筋と作成時の視点を紹介して地元の振興の挑戦を後押しした。
榎坂さんは、2025年は遠くではなく少し未来の話であり、このショーを4年後の串本をどうしたいかを考えるきっかけにすることを呼び掛け。最後に濵地さんは「必ずや皆さんの活性化と笑顔につなげることを約束する」と誓い締めくくった。その後は南紀串本観光協会ガイド部会による宇宙ガイドWSもあった。
12日と13日は午後6時から田原で建設中の小型ロケット発射場の射点そばからサーチライトを照射。一般公開日は午前10時~午後3時に、入場無料で随時来場を受け付けた。翌15日以降は町立小中学校を対象にした見学の受け入れもし、さらに公開の裾野を広げている。同課によると、寄贈の単行本3セットのうち1セットは来夏の新庁舎移転以降に宇宙振興拠点となる同分庁舎、残り2セットは同町図書館で所蔵する。別途、町立小中学校の全図書室に単行本を入れて児童生徒が手軽に読める状況を目指している(実現は来夏の見込み)ことも同ショーの中で明かした。
(2021年2月16日付紙面より)
大辺路コンシェルジュ (那智勝浦町 )
世界遺産・熊野古道「大辺路」活性協議会(会長=堀順一郎・那智勝浦町長)は12、13、14日の3日間、串本町と那智勝浦町間の14駅に「大辺路コンシェルジュ」を配置し、JRの利用客などに熊野古道「大辺路」や地域の魅力を発信した。
大辺路コンシェルジュは大辺路を愛する地元ボランティアの「なちかつ古道を守る会」(以後、守る会)「熊野那智ガイドの会」(以後、ガイドの会)、「大辺路刈り開き隊」の会員がJR和深~紀伊田原駅、紀伊浦神~那智駅に滞在し、熊野古道「大辺路」に興味のある人やウオークを楽しみに来た人々を迎えるもの。
JRの利用促進に務めるとともに、「大辺路アクセス・ルートマップ」や「お散歩まっぷ」を用いて交流しながら、古道と地域の魅力を伝えることが目的だという。
那智勝浦町ではJR浦神、下里、湯川駅を守る会が、紀伊勝浦、紀伊天満、那智駅はガイドの会が担当した。
最終日の14日、那智駅ではガイドの会の宇保英生さんが駅利用者などに声掛けをし、資料などを配布していた。宇保さんは「興味のない方にも大辺路を知っていただいた。那智浜や補陀洛山寺なども案内しました」。
山東健会長は「大辺路を知らない方も多かったが良い反応もあった。この機会を通じて今後は大辺路の魅力を広げていきたい」と話した。
湯川駅では守る会のメンバー5人が周辺の案内や見送りに加え、電車が到着するまでの空き時間を利用してトイレ清掃や駅ホーム、駐車場などのごみ拾い、花壇整備にも取り組んだ。
小松隆幸さんは「訪れた方が気持ち良く過ごしていただけることが大事。また来たいと言ってくれた人も多かった」。
太田耕二代表は「今回は仕方ないが、夏休み時期ならもっと反響があったと思う。このモデルを今後、行政がどうやって引き継いでいくかが課題では」と語った。
同協議会のプロジェクトマネージャーの齊藤滋さんは開催時期や新型コロナウイルスの影響から催しへの参加者数は想定より少なかったと説明。
しかし、運営に協力した各団体や参加者、通勤・通学する地元住民らの、大辺路と周辺地域への魅力再認識や意識の向上、JRの利用促進が大きな成果だと述べた。
齋藤さんは「参加団体の皆さまには感謝しています。アクセス・ルートマップや各お散歩まっぷを集めたマップ集も成果物として残る。継続していく基盤はできたと思う」と語った。
(2021年2月16日付紙面より)
5児童館でチャレラン大会 (新宮市 )
新宮市の中央、くろしお、下田、橋本、浮島の5児童館で13日、チャレンジランキング大会が開かれ、子どもたちが「紙ひこうきゴルフ」と「文字探し」に挑戦した。
チャレランとは、子どもたちがさまざまなゲームに挑戦し、記録やランキングを競う活動。例年は児童が1カ所に集まって開催するが、今年は新型コロナウイルス感染症対策のため5児童館に分かれて同じゲームをし、20日(土)に総合順位の発表と表彰を行う。
今回の競技は、紙飛行機を5㍍先の地点に向けて飛ばして近さを競う「紙ひこうきゴルフ」と、400文字の中にある「い」の字を30秒以内に何個見つけられるかを競う「文字探し」の二つ。
床や多目的トイレ、LED照明など内部の改装工事を終えて9日から開館した浮島児童館では、近隣の児童5人が参加。真っすぐに飛ばない飛行機に一喜一憂し、悔しがる様子も見られた。この日は同館で30年以上続く高田優子さんによる料理教室もあり、児童6人がクリームチューを作って持ち帰った。
両方に参加した前山百花さん(王子ヶ浜小3年)は「浮島児童館には料理やバドミントン、茶道、習字などの習い事でよく来ます。改装して床などがきれいになった。紙ひこうきゴルフでは、2位か3位になれたらいいな」と話していた。
(2021年2月16日付紙面より)
全国勝浦ネットワーク会議 (那智勝浦町 )
全国勝浦ネットワークは9日、オンライン会議を実施した。那智勝浦町の堀順一郎町長、千葉県勝浦市の土屋元(はじめ)市長、徳島県勝浦町の野上武典町長の3人が各市町からインターネット上で会議が行える「Zoom(ズーム)」を使用して意見交換や情報共有を行った。
同ネットワークは「勝浦」と地名が付く3自治体が互いの地域の発展を目指すことを目的に集まり、2003(平成15)年に友好都市盟約を取り交わした。
従来は3人の首長が集まって会議を実施しているが、今年度は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から中止となり今回のオンライン会議に至ったという。
会議の進行は勝浦市が行い、3人の首長はそれぞれの地域のコロナの状況や感染防止対策、経済対策などを発表した。
勝浦市ではマスクや応援券(商品券)の全戸配布、水道料金や小中学生の給食費を半額にしたことを説明。勝浦町では小中学校休校時に給食センターの職員に依頼してマスクを作成し配布したことや老人福祉施設への衛生用品、商品券の配布、水道料金を負担したことなどを紹介した。
堀町長は県内の発生状況や観光の町である那智勝浦町がコロナによって受けた打撃や影響を説明。取り組みとして▽紀伊半島大水害の際に寄付されたマスクを消毒し再利用▽運転席と患者室の間仕切りやオゾン発生装置などを完備した高規格救急車などの導入▽災害発生時、避難所での密を防止するため町内宿泊施設との連携▽まちなか商品券の配布▽非接触型決済の導入推進―などを報告した。
土屋市長は「今後も情報共有し、この会議を有効的に活用していきたい」。野上町長は「両市町の目線の変えた取り組みを参考にして、職員一丸となって考えていきたい」とそれぞれ話した。
堀町長は「コロナ終息後はそれぞれの地域に出向いて、より密な情報共有や交流をしたい」と締めくくった。
(2021年2月11日付紙面より)
和深発で駅拠点ウオーク (「大辺路」活性協議会 )
串本町にあるJR和深駅~田並駅間で8日と9日、「世界遺産熊野古道大辺路 駅からウオーク」があり、両日計37人が熊野古道大辺路刈り開き隊(上野一夫隊長)とともに両駅間の大辺路沿いの見どころを巡り歩いた。
那智勝浦町と串本町の観光関係諸機関・団体で結成する世界遺産・熊野古道「大辺路」活性協議会が、観光庁「誘客多角化等のための魅力的な滞在コンテンツ造成」実証事業の適用を受けて展開する取り組みの一環。
同協議会は鉄道駅を拠点にしたウオークに親しむ環境整備を進め、両町内にある各駅を拠点化するツールとして▽駅からアクセス・ルートマップ(駅拠点で歩くためのコース図)▽あがらの○○駅お散歩マップ(各駅周辺の見どころ紹介図)―などを作成。その成果を生かす実証として同ウオークを考え参加を募った。
初日は22人、2日目は15人が参加。その多くが趣旨に沿い、普通列車を利用して参加、解散する手段を取った。
ガイドは串本町域の大辺路を再興し保全する同隊が担当。2日目は上野隊長ら隊員4人で感染症予防のため四つの小グループに分かれた参加者を誘導し、新田平見道や富山平見道はもとよりメタルアートギャラリーやおおな魚(=イシナギ)伝説が宿る大師堂、旧赤瀬小学校など道中の見どころの数々をガイディングレシーバー越しで紹介するなどした。
今回は各自昼食を持参とし、無料で実施。参加者には駅からアクセス・ルートマップを事前送付し、お散歩まっぷはカラー版が完成次第送付するという。同機構の齋藤滋さんは、事業終了後も引き続き実動が伴いJRきのくに線活用の一助にもなる今後を思い描いて同ウオークを主導していた。
翌10日と11日は湯川駅~那智駅間でも同様のウオークを実施。別系統で「JR14駅で大辺路コンシェルジュがお出迎え」と題して12日(金)から14日(日)までの午前7時~午後4時、宇久井を除く対象各駅に管理人が常駐し地図を配るなどして送り出す実証も行う。
問い合わせは南紀串本観光協会(電話0735・62・3171)か那智勝浦町観光案内所(電話0735・52・5311)まで。
(2021年2月11日付紙面より)
図書館・子育て支援セの内覧会 (紀宝町 )
紀宝町神内の旧町保健センターを改修した「紀宝町立図書館・子育て支援センター複合施設」の内覧会が9日にあり、西田健町長、町議会議員らが施設内を見学した。
改修は昨年6月24日から始まり、1月29日に完成。1階に図書館、2階には子育て支援センター室、活性化ホールなどを配置した。今後は複合施設の愛称を今月中に決定し、同センター室などの整理や準備、鵜殿図書館から図書の引っ越しなどを行い、4月に開館する予定だという。
施設は誰もが利用できるようエレベーターと多目的トイレを設置。新たなフリースペースでは飲食が可能なほか、キッチンを活用した簡易な料理教室を開くことができる。
図書館は、旧保健センター事務室や診察室などの壁を撤去し、一つのフロアに改修。木の温かみと落ち着きが感じられるスペースとなった。蔵書は約5万冊となる見込みで、児童コーナーには絵本を中心に配置する。
支援センターでは、図書館と連携した事業を展開し、新たな子育て支援のサービスを提供する。活性化ホールは壁や床を改修し、スクリーンを新設し、出入り口にスロープ、窓に転落防止用の手すりを設置した。
視察した西田町長は「木材をふんだんに配置し、温かみのある施設になった。4月の開館後は多くの方に利用していただきたい」と話していた。
(2021年2月11日付紙面より)
ブック・ブックが県教育委員会功労賞 (新宮市 )
新宮市のボランティアグループ「ブック・ブック」(濱野小夜子代表)が、和歌山県教育委員会の「県教育委員会功労賞」を受賞した。先月14日、和歌山市内の「ホテルアバローム紀の国」で開催された「和歌山県教育表彰式」で表彰を受けた。
県の教育の発展に功績があった個人や団体をたたえる同表彰は4分野で構成されており、「知事感謝状・県教育功労者」「知事感謝状・優秀教職員」「教育委員会功労賞」「きのくに教育賞・きのくに教育の匠」がある。同グループは地域の読書文化の振興と向上に大きく貢献した功績が認められこのたびの受賞に至った。
2000(平成12)年度に発足した「新宮市立図書館百周年記念事業実行委員会」を母体とし、02(平成14)年度に設立。
4カ月検診時に母親と幼児に絵本を読み聞かせ、絵本をプレゼントする「ブックスタート」、市立図書館や小学校での「おはなし会」、書架整理、本の修繕、グリーンカーテンの設置や庭の手入れなど、読書環境の整備や子どもの読書を推進する事業を中心に活動している。14(平成26)年に市政功労者表彰、15(平成27)年に第48回優良読書グループに選ばれている。
「本が好き」「子どもが好き」な人が集まり、現在メンバーは25人。新型コロナウイルスの影響を受けながらも、本を通じたふれあいの時間や子どもたちの笑顔を活力に日々、ボランティア活動にいそしむ。
このたびの受賞を受け、濱野代表は「みんな自分の好きなことをしているだけ。大それたことはしていない。うれしいというより驚きです」と謙遜しながらも、読書の輪のさらなる広がりに期待を寄せる。
代表して表彰式に参列した江川大二郎副代表は「率直にうれしい。これからも本を通して『知る』ことを楽しんでくれる子どもたちのお手伝いができれば」と話していた。
(2021年2月11日付紙面より)
森の再生を考える会が植樹 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の住民団体「森の再生を考える会」(新垣有慶会長)は7日、同町湯川の熊野古道沿いで植樹会を開き、ヤマザクラなど26本を植樹した。和歌山県の「令和2年度未来を彩る花の郷づくり事業」を活用した。
同会は熊野古道の一部であるゆかし潟周辺の昔の景観を再現し、古道を散策する来町者に楽しんでもらうことを目的に活動している。昨年には緑の募金事業を活用し、同町湯川のゆかし潟北側側道沿いにヤマザクラ21本の植樹を行った。
この日は▽なちかつ古道を守る会▽南紀くろしお商工会▽南紀くろしお商工会西部支部▽町観光企画課▽二河公民館▽虹の会▽東牟婁振興局▽くまの里山▽NPO三つの森▽ふるさと共会▽住民▽山下造園―など約50人が参加した。
堀順一郎町長は「当町は自然環境に優しい取り組みを行うため、町民の皆さまに生活を見直していただくきっかけになればと思い、ゼロカーボンシティ宣言をした。ぜひ皆さまとたくさんの桜を植えていきたい」。
濵﨑信雅湯川区長は「今日植樹する苗木が桜の名所となって、熊野古道を散策する皆さまの楽しみになればうれしい」とあいさつした。
参加者は3班に分かれ、それぞれの植樹場所へ移動。スコップなどで穴を掘り、肥料を入れるなどして苗を植えた。獣害対策ネットや倒木防止用の杭を打ち込むなど協力しながら作業に汗を流した。
数年前から同会に参加し助言なども行う熊野自然保護連絡協議会の瀧野秀二副会長は「山桜は常緑樹に負けてしまう恐れもあり、ダニを運ぶシカなどの食害もあるので注意が必要。手を掛けていくことで将来は多くのきれいな花が咲き、子どもたちが楽しめる場所になるはず」と話した。
新垣会長は「元々この周辺は桜があったが、朽ちてしまった。熊野古道周辺に再度、桜を植えることで景観を美しくしたい。先では桜を楽しむための会も作ることができれば」と語った。
(2021年2月10日付紙面より)
西向の成就寺で防火訓練 (串本町 )
串本町西向にある薬王山成就寺(大崎實宗住職)で8日、防火訓練があり串本町消防本部古座消防署とともに出火時の初動の在り方を実践しながら確かめるなどした。
第67回文化財防火デーの趣旨に基づく取り組み。旧古座町域は同寺と古座にある佛光山善照寺が隔年で同訓練をしていて、西暦奇数年は成就寺の巡りに当たる。
同寺には国指定重要文化財「成就寺の芦雪(ろせつ)画(方丈障壁画45面)」を所蔵しているが、44面は県立博物館へ寄託済み。昨年7月に残る1面を修復のため搬出し後に県立博物館へ寄託するため同文化財は堂内に残っていないが、守るべきは同文化財を含む寺宝全般であり、これらを火災から守るため同訓練に臨むこととした。
この日は同寺の大崎住職や檀家らと同署の職員、合わせて20人が参加。庫裏から出火し初期消火に失敗したという想定で同訓練を始め、大崎住職は人命最優先の観点で堂内に火事を伝え参拝者が急ぎ寺門そばまで避難した。119番通報をして消防の到着を待つ間、駆け付けた総代らが手分けして本堂の寺宝(同日はその模擬品を使用)を寺門の外へ持ち出し。到着した職員は境内へホースを引き込み、本堂屋根に放水するところまで実践した。
ホースは延長途中で二股分岐をはさみ、今回は実践を省略したが残る一口からも放水できる状態とした。同署による講評後、総代から守るべき文化財がもうない点で訓練実施の意図を確かめる質問があり、大崎住職は数ある寺宝の中でも本尊と過去帳は絶対に守らなければならないという思いを伝えて引き続きの協力を求めた。
(2021年2月10日付紙面より)
新宮高校の教育現場で
和歌山県教育委員会は現在、県内全ての全日制および定時制県立高校に1万9239台のタブレット型パソコン(PC)端末「Surface Go 2」の導入を進めている。新宮市の県立新宮高校(前田成穂校長、生徒547人)にも既にPC端末や高速大容量ネットワーク環境(校内LAN)が整備され、積極的に情報通信技術(ICT)を活用した授業づくりが行われている。
政府は現在、義務教育を受ける全ての小・中学生に1人1台の学習用タブレットPCと校内LANを整備する「GIGAスクール構想」を推進している。高校生は対象外だが、低所得世帯の生徒には端末貸与などの支援を行う方針で、必要な費用を本年度の第3次補正予算案に計上した。一方、和歌山県を含む全国11県は、独自に公立高校の1人1台の端末整備を進めており、本年度内にも整備を終える見通しだ。
新宮高校では、昨年12月中旬から生徒にPC端末を配布した。インターネット接続や機器の不具合はおおむね1週間で終息。当初はPCを使う授業の時間のみ端末保管室から持ち出す形を取っていたが、現在では科目数の増加により一日中端末を貸し出すこともあるという。
コミュニケーション英語の岡野恵子教諭は「もともとパワーポイントで授業をしていたこともあり、現在では黒板に板書をすることはほとんどない」と語り、「PC端末の強みはリスニング。教壇にオーディオを置いて音声を流すのではなく、自分の聞きたいところで巻き戻したり、繰り返したりできる」と話す。
体育の創作ダンスでは、グループごとにはやりのK―POPミュージックなどを流し、動画を見ながら練習をしている。丹羽泰一郎教諭は「動画のスロー再生など、生徒から新しい機能を教えてもらうこともある。球技のシュートやランニングフォームを動画で見せることで、生徒の理解も深まるのでは」。
地理の授業では、ルワンダ内戦やチェチェン共和国問題、北アイルランド紛争といった世界の民族紛争の調べ学習に端末を使用。雨郡義和教諭は「自分で調べた内容を共有したり、発表用のスライドで使う画像を探したりするときには便利だが、差別や偏見を含む情報へのリテラシーも必要になる」と課題を述べた。
大きな抵抗感なくPC端末を使った授業スタイルが定着する一方、有害情報への対応や、いかに生徒の学力向上へつなげていくかが課題として浮かび上がる。今後も各校の取り組みに注視が必要だ。
(2021年2月10日付紙面より)
ワクチン事業盛り込んだ補正予算を可決 (新宮市議会 )
新宮市議会(久保智敬議長、15人)は9日、臨時会を開き、新型コロナウイルスワクチン接種推進事業に係る予算を盛り込んだ「令和2年度新宮市一般会計補正予算(第9号)」を審議。全会一致で可決した。
既存システム改修費用、クーポン券印刷および郵送料、ワクチン接種委託料などワクチン接種に関する予算補正を行い、歳入歳出予算の総額に1355万円を追加し、歳入歳出予算の総額を236億3411万6000円とするもの。
審議に当たり、田岡実千年市長が「10都府県で緊急事態宣言が延長となるなどまだまだ収束の兆しは見えてこないが、間もなく開始されるワクチン接種に大きく期待している」とあいさつ。
国の指示の下、市町村において実施するワクチン接種事業に対して「最優先事項であると考え、迅速かつ的確に実施するため先月に新型コロナワクチン接種推進室を設置した。さらに関係課長などで構成する『新宮市コロナワクチン接種推進連絡会』を設置し、全力で進めていきたい」と決意を新たにした。
県が主体となり3月から医療従事者などに優先接種される新型コロナワクチン。ワクチンを保存する超低温冷凍庫は基本型接種施設である市医療センターに設置され、現在のところは市医療センターや連携型接種施設である新宮病院と岩崎病院、県立なぎ看護学校体育館などでの接種を予定している。
対象者は市医療センターや市内医療機関の従事者や消防の救急隊員など約1000人。接種は任意で、新宮保健所は対象者のうち7割程度の接種を見込んでいるという。
高齢者や高齢者施設などの従事者、基礎疾患を有する人、それ以外の市民への接種については、国から3、4、6月に1台ずつ超低温冷凍庫が提供される予定。
接種には自治体が発送するクーポンを受け取り電話などで予約する必要がある。当局は3月中旬から下旬にかけてクーポンと案内を送り、4月から集団接種を先行して進めていく見通しであるとした。
(2021年2月10日付紙面より)
熊野地方に春の訪れを告げる「御燈祭(おとうまつ)り」が6日夜、新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)の摂社、神倉神社で営まれた。新型コロナウイルス感染防止のため上(あ)がり子の入山が中止となる中、神職と介釈(かいしゃく)の一行は古式床(ゆか)しく神事を斎行。御神火をともした大松明(たいまつ)と共に下山した。
新宮節の一節に「山は火の滝、下り竜」とうたわれ、1500年以上の歴史と伝統を誇る勇壮な火祭り。2016(平成28)年3月、熊野速玉大社例大祭「新宮の速玉祭(はやたまさい)」と合わせて国の重要無形民俗文化財に指定された。
今年は、全国的に新型コロナ感染症のクラスター発生防止の取り組みが行われている中、2000人以上の上がり子が集結することによって長時間の3密状態が避けられない状況であることを考慮した。
上がり子の安全と健康を最重要視し一般の参加を中止に。上野宮司は「当日は各家庭から神倉山に向かってコロナ終息などへの祈りをささげ、歴史上に例のない『千載一遇の御燈祭り』に」と呼び掛けていた。
神倉神社を下山した一行は阿須賀神社へ。御神火を奉安し奉幣神事を執り行った。熊野速玉大社に戻った神職らは同様に神事を行い、厳かに今年の火祭りは幕を下ろした。
祭事を終え、上野宮司は「歴史上始まって以来の御燈祭りだったが、漆黒の闇の中に御神火を頂くという本筋は変わるものではない。おそらく太古の御燈祭りは同様に漆黒の中で執り行われ、麓で待つ人に分け与えられたのでは」。
今回、図らずして千載一遇の機会を得て斎行することができたことで太古の祭りを感じることができたとし「消防関係者や警察の方々、多くの関係者の支えがあり祭りを終えることができた。来年は本来の祭りができることを心から祈っています」と話していた。
(2021年2月9日付紙面より)
第72回書初競書会 (新宮・東牟婁 )
東牟婁地方書写教育研究会(山田貴也会長)は5日、新宮市立緑丘中学校で第72回書初競書会の審査会を実施した。今回は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から展示は行わないが、新宮・東牟婁の小中学校の教職員34人が集まり、児童・生徒の作品を審査した。
同研究会によると、今年は金賞作品展だけでなく、中央展の審査ならびに展示も中止となった。審査後は各校で賞状が手渡されるのみだという。
この日は教職員がグループに分かれ、「文字を正しく整えて書けているか」「画の接し方が正しいか」「点画のつながりに気を付けているか」「文字の大きさや配列が適当であるか」「作品を書く上での問題点」などに注意しながら各学年の作品を審査した。
なお、今回は金賞と銀賞に加え、中止となった中央展の出展に相当する作品を金賞から選び、特賞を設けた。特賞には同研究会から記念ボールペンが副賞として贈られる。
作品総数は3053点で審査の結果、硬筆2335点のうち、特賞が128、金賞が806、銀賞が1401点。毛筆718点のうち、特賞が68、金賞が220、銀賞が430点となった。
山田会長は県内のほとんどの児童生徒が同じ手本を用いて、年に1回競い合うことは他府県では珍しいとし、「和歌山県は書写教育に熱心。子どもたちや保護者の皆さん、地域の方々も関心を持っていただいている。今年は展示もなく残念だが、来年こそはコロナが終息してこれまで通りに実施できればうれしい」と語った。
(2021年2月9日付紙面より)
ツアー活用に向け準備中 (南紀串本観光協会 )
南紀串本観光協会(島野利之会長)がこのほど、古座事業所付けで足こぎ式のフィッシングカヤック(Fカヤック)2艇を取得した。4月から有償ツアーによる活用を始める予定で、5日は串本町西向出身のアングラーズアイドル・そらなさゆりさん=フライドライス所属=にモニター協力を求めてツアーを試行するなどした。
このカヤックは、県の「水の国、わかやま。」体験観光事業者スタートアップ補助金を受けて導入を目指す新規アクティビティの中核となる資材。同町が連携協定を結ぶアウトドアメーカー・株式会社モンベルの仲介でアメリカ合衆国から取り寄せた製品で、船底を擦るような浅瀬ではパドルを使用し、水深がある場所でスクリューを出しペダルで回転させて進む。パドル式と比較して両手が自由になるため、さおを手にしたまま釣るポイントの微調整ができるという強みがあるという。
取得したのは全長12フィート(約3・7㍍)の一人艇で、到着後はさっそく職員が操作の習熟に励んで特性を理解し、このカヤックでできるツアーの内容を検討中。習熟の延長で分かりよい指導の確立にも努めている。
協力したそらなさんは、同協会が主催するイベント「ラブ太平洋串本エギング大会」で中湊出身のプロエギンガー・湯川マサタカさんと対でゲスト参加し盛り上げている人材。同協会はコロナ禍を避け帰郷中の折を見て、協力を求めたという。
この日は同事業所勤務の三栖雅章さんがインストラクターとなりツアーを試行。足こぎ式のカヤックは初経験のそらなさんに操船方法を伝えて古座大橋一帯を周遊し、利用時の印象などで意見を求めた。そらなさんは「水面が近くて海と一体になる感じが心地良かった。何より両手が空くことにはいろいろな可能性があるなぁと感じました」とコメント。扱いについて「操作がシンプルで、移動時の癖さえ知ってしまえば初心者の方でもどんどん慣れていけると思う。風を読んで潮を読んで、行きたい方向へ行けるのがうれしかった」と語った。
同協会はこのカヤックを用いたインストラクター付き有償ツアーを検討していて、今は2艇しかないため上限数人程度のグループを対象にして4月1日から提供を始める予定と話している。問い合わせは南紀串本観光協会古座事業所(電話0735・72・0645)まで。
(2021年2月9日付紙面より)
神倉神社で翌日祭
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)の摂社、神倉神社で7日朝、御燈祭(おとうまつ)り翌日祭(奉祝祭)があった。神倉神社奉賛会の猪飼三雄会長や神倉青年団の中山忠吏団長らが玉串を供え、祭りの無事に感謝するとともに、コロナの一日も早い終息を願った。
上がり子の参加が中止となり、神職と介釈(かいしゃく)のみで執り行われた今年の御燈祭り。同神社では古式床(ゆか)しく神事が斎行され、御神火をともした大松明(たいまつ)が無事に麓に下山した。
例年なら、奉賛会らによる盛大な餅まきが開催される翌日祭だが、今年は厳かに神事のみが執り行われた。
神事を終え、上野宮司は「皆さんにとっても心配も苦労も多い祭りになったと思う。千載一遇となった今年では、御神火を頂くことのありがたさを改めて感じることができた」とあいさつ。
「長きにわたり伝わる祭りを、私たちは未来につなぐために全力を尽くしている。そのために影で尽力してくれている警察や消防関係、ボランティアの方々の存在も忘れてはならない」と述べ、さらなる協力を呼び掛けた。
祭りから一夜明け、猪飼会長は「御燈祭りは一年の締めくくり。昨夜は大松明が火を携えて降りてきた時は安心した。奉賛会と青年団は家族みたいなもの。上(あ)がり子がおらずさみしく感じたが、こんな神事は今後はないと思う。来年はコロナが終息し、多くの人でにぎわう祭りになれば」。
中山団長は「今年はさまざまなことが初めての中での斎行となったが、闇の中で大松明1本に火が灯された様子は神秘的で太古の祭りをほうふつとさせられた。神様に頂いた火を氏子さんたちに見ていただけて良かったと思います」と話していた。
(2021年2月9日付紙面より)
オンラインで生徒らに伝える (新宮市立城南中学校 )
駐日トルコ共和国大使館のハサン・ムラット・メルジャン特命全権大使は4日、オンライン会議システム「Zoom(ズーム)」で、新宮市立城南中学校(中田善夫校長)と中継をつなぎ、同校生徒会5人に対し「エーゲ海地震」の義援金への感謝を伝えた。
同地震は、昨年10月30日にエーゲ海を震源に発生したマグニチュード7・0の地震。余震も相次ぎ、トルコとギリシャで100人以上が死亡し1000人以上が負傷した。
「何か世の中の役に立てることを」と考えていた同校生徒会は、地震の発生を受け昨年12月初旬に募金箱を手作り。全クラスを訪問して募金を呼び掛けた。
生徒会は約1週間かけて1万1191円を集め、仁坂吉伸県知事と串本町の田嶋勝正町長が呼び掛け人となり募集していた「トルコ西部イズミル県における地震被害に対する災害義援金募集」の受け入れ口座に送金。入金手続きも生徒ら自らが行ったという。
中継では、メルジャン特命全権大使が募金をしようと思った経緯などを生徒らに質問。エルトゥールル号を通した和歌山県とトルコとのつながりや歴史について細かく説明し「和歌山県がトルコにとってどれだけ大事な場所か。今回のことも感謝を込めていろんな人に伝えていきたい。いつかトルコに遊びに来て」と呼び掛けた。
生徒会会計の山中瑛斗君(2年)は「緊張したが(大使は)気さくに話してくれた。和歌山県とトルコの歴史について深く教えてもらった。このことをばねにして生きていきたい」。
生徒会長の小口篤紀君(同)は、災害直後のトルコの様子について「建物の原形がなくなるくらいの被害にショックを受けた」と述べ「感謝を示してくれたことに感謝したい。トルコにより親しみを持つことができました」と話していた。
中田校長は「さまざまな活動を通して、生徒たちの意識も変わり自信もついてきた。生徒会を中心により良い学校になっていけば」と生徒らを激励。「生徒らに感謝するとともに、今日のことは先生たちにもしっかり伝えたい」と話していた。
(2021年2月6日付紙面より)
下里小学校で啓発授業 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立下里小学校(泉一代校長、児童86人)で4日、同町天満の「くまのこころのクリニック」睡眠健康指導士(上級)の西山直子さん、福戸百合子さんによる啓発授業が開かれ、6年生25人と保護者、近隣学校の教職員らが睡眠について学んだ。
障害者福祉に携わる事業所で組織する新宮・東牟婁圏域自立支援協議会の取り組みで、開催は今回が初めて。不眠症患者らと関わる心療内科の立場から、睡眠が心身の発達に及ぼす影響について知ってもらうとともに、教育機関との連携を強化する中で精神障害の予防や偏見解消につなげる狙いもある。
福戸さんは6年生を対象に○×クイズを実施。「睡眠には成長ホルモンを出し、疲労を回復させる『ノンレム睡眠』と、記憶を整理し、学習したことを定着させる『レム睡眠』の2種類がある。必要な睡眠時間は人によって違うが、皆さんの年齢にお薦めなのは9~11時間」と語った。
「朝食のタンパク質から活動ホルモン『セロトニン』が作られ、夜の暗さで睡眠ホルモン『メラトニン』に変化する。夜に明るい光を見ると脳が興奮して眠りにくくなるため、寝る1時間前から照明を一段階暗くし、携帯電話やパソコンを触らないよう心掛けて」とポイントを伝えた。
保護者・教職員向けには西山さんが講話。同小の児童を対象にした生活アンケートで、寝る時間が遅くなる理由の48・1%がスマートフォンやメディア、ゲームだったと話し、「大事なのは早寝、早起き、朝ご飯。より良い明日を生きるためには、良い睡眠を取ることが大切です。夜は『早く寝なさい』ではなく、『いい夢を見てね』という言葉で送り出してあげてほしい」と呼び掛けていた。
(2021年2月6日付紙面より)
消防本部が自主参集訓練 (串本町 )
串本町消防本部(寺島正彦消防長)が3日、地震を想定した自主参集訓練に取り組んだ。訓練指揮者以外の職員は抜き打ちとする形で開始し、有事さながらの緊張感を持って全職員が取るべき行動を考え配属先拠点での体制確立を目指した。
同本部の拠点を消防防災センターへ移して以降、未実施だった同訓練。久しく途絶えたことで未経験の若い隊員が増えている状況を踏まえ、今回は午後7時に震度4の揺れを感じる地震が発生したという想定で開始した。
当務職員は速やかに全員集合し、安否確認をした上で初動の布陣を構築。手分けして施設の被害確認、全消防・救急車両の始動、非番職員自主参集指示のメール送信などを実行した。
同メールを5分たっても受信していない非番職員には当務職員が順次電話をかけて指示を伝達。その参集を待つ間、当務職員は先んじて管内の被害情報収集を始め同町と同本部の各災害対策本部立ち上げの準備も進めた。自主参集した非番職員は職員登庁報告書を記入し、登庁の手段や参集の開始・終了時刻、参集中に確かめた被害状況を集約しながら同本部災害対策本部による指示が出るまで庁内待機した。職員全員が参集した時点で同訓練終了とし、寺島消防長は「今回の訓練の結果をさらに精査検証し、今後の防災力の充実強化につなげてほしい」と訓示して締めくくった。
今回は地震のみとしたが津波も想定としてあり得るし職員が取るべき行動の考え方も違ってくるとし、今後はその状況で参集できない想定での同訓練実施も考えているという寺島消防長。今回は未経験の職員が増える中で何が問題になっているかを洗い出すための訓練だと位置づけ、訓示した成果の発揮を職員の今後に期待した。
(2021年2月6日付紙面より)
太地こども園でキノピー教室 (太地町 )
太地町立太地こども園(森尾扶佐子園長、園児68人)で3日、3~5歳児51人を対象とした「キノピー教室」が開かれた。和歌山の森を守る妖精「キノピー」と太地町のマスコットキャラクター「ゴン太」が来園し、森林の働きや山の大切さを伝えた。
県内の全市町村と県で組織する「紀の国ふるさとづくり協議会」の取り組みで、森林の恵みやそれを支えてきた山村に対する理解と関心を深めてもらうことが目的。
キノピーは、和歌山の森の巨木のふところに住み、きれいな水や空気、大地、太陽の光、森の生き物が大好き。子どもを育てるように山村や森林も守り育てていきたいという願いから、小さな子どもの姿をしている。
キノピーが登場すると、園児たちは「かわいい」と大喜び。紙芝居「みんなで森へ行こう」では、森の落ち葉のスポンジが川の水をきれいにし、土砂災害から町を守り、木材や食べ物といった恵みをもたらしていることを勉強した。最後に働き者の森に全員で「ありがとう」を伝えた。
キノピーとゴン太と記念撮影した園児たちは「森のことを勉強した。森にはカブトムシとかバッタ、鳥がいる」「前に森に遊びに行った時には、タケノコを掘ったよ」と話していた。
(2021年2月6日付紙面より)