熊野川で七夕行事 (新宮市 )
熊野地方の各地で7日、七夕行事が行われた。天候にも恵まれ、願い事を書いた短冊をつるした笹飾りを手にした子どもたちや家族連れの姿でにぎわいを見せた。
新宮市の熊野速玉大社下河川敷では、感染症対策を講じた友人同士や家族連れが訪れ、「家族みんなが元気で暮らせますように」「ウクライナに日常が戻りますように」「アンパンマンになりたい」など、短冊に願い事を託した笹飾りを置き、「願いがかないますように」と手を合わせたりスマートフォンで写真を撮影したりする姿が見られた。
また、同所ではコロナ禍以降初めて露店商が出店。フランクフルトやかき氷、唐揚げ、くじ引きなどの露店に、多くの人が列を作っていた。
両親と3人で訪れた鈴木朝日(あさか)ちゃん(6)は「ふくいっぱいかえますように」と短冊に願いを託し「願いがかなうといいな。これからお父さんとお母さんに露店で何か買ってもらう」とはにかんだ。
七夕は盆行事の一つ。笹に短冊をつるす風習は江戸時代に広まった日本独自のもので、七夕の伝説に登場する織り姫にあやかり、裁縫や手習い事の上達を願うものだったという。
(2022年7月9日付紙面より)
新宮市人権尊重委員会が総会
新宮市人権尊重委員会(会長・田岡実千年市長)は7日、市役所別館で本年度総会を開いた。約45人が出席し、本年度事業計画など3議案を承認。役員互選では谷口幸生・王子ヶ浜小学校長と中岸基英・市女性人権推進協議会長(再任)を選任した。開会に先立ち、田岡市長は「今なお残る差別の厳しい現実を十分に認識し、あらゆる手立てによって市民一人一人の尊厳と人権が尊重された、誰もが元気で心豊かに暮らすまちを実現していきたい」と誓いを新たにした。
市人権尊重委員会は、市における部落差別をはじめとするあらゆる差別の解消を目指し、基本的人権を確立するための事業を推進。明るい平和な地域社会の建設を図ることを目的に設置された。市関係部課長や市議会議員、教育長、学校関係者、社会教育・人権啓発関係団体代表者などで構成される。
本年度は「新宮市部落差別をはじめあらゆる差別の撤廃に関する条例」の理念に基づき、市民一人一人の参加による人権尊重都市の確立、差別のない新宮市の実現に向け、あらゆる機会を捉えた啓発活動を展開していく。
事業では▽部落差別を人権問題の重要な柱として捉え、多種多様化する人権課題について正しい理解と認識を深める啓発活動の積極的な推進▽あらゆる差別をなくすため、関係機関などとの連携を図り、推進体制の充実に努め人権尊重の精神に則り、人権課題解決に向け取り組む▽「人権に関する市民意識アンケート」の調査結果の分析を基に、効果的な人権教育・啓発などを推進▽部落差別事件が連続して発生する状況、また新型コロナウイルス感染症による社会様式の変化を踏まえ、新たな啓発活動の在り方について調査・研究する―などを予定している。なお、昨年度は市内の企業や人権推進協議会、機関、団体で人権問題学習会や研修会などが開かれ、2000人以上が参加した。
議案審議後には研修もあり、市人権教育指導員の谷嗣弘さんが「性の多様性とパートナーシップ制度」をテーマに講話。
先進7カ国で同性婚を認めていないのは日本だけであるとし「パートナーに対する医療行為に『同意』できない」「葬儀に参列できない」「配偶者控除制度が適用されない」など、性的マイノリティー(少数者)が抱える悩みや問題を解説。
自治体が独自にLGBTQカップルに対して「結婚に相当する関係」とする証明書を発行し、さまざまなサービスや社会的配慮を受けやすくする「パートナーシップ制度」について「法的効力はないが、4月1日現在で209自治体が導入しており、人口カバー率は52・1%で今なお増加している。県内でも橋本市が今年10月より導入することが決まっている」などと制度の現状を紹介した。
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今年は、1922年には大正デモクラシー期の日本において、部落差別の地位向上と人間の尊厳の確立を目的に全国水平社が結成されてから100年となる。
100年前の創立大会では「人の世に熱あれ、人間に光あれ」と宣言が結ばれ、人間の尊厳と平等がうたわれた。
新宮市では「部落差別解消推進法」(部落差別の解消の推進に関する法律、2016年)に先立ち、15年に「市部落差別をはじめあらゆる差別の撤廃に関する条例」を制定。あらゆる差別をなくし市民全ての人権意識の高揚を図り、差別のない新宮市の実現を目指して各種取り組みが推進されているが、昨今においても部落差別事件など多くの人権問題が発生している。
(2022年7月9日付紙面より)
串本町立串本西中学校(平松聡校長、生徒31人)で7日に日本航空株式会社(JAL)のキャリア教育出前講座があり、全校生徒が自身の将来を考える一助を得た。
この講座は、発案者でもある同社業務企画職の丸島拓郎さんが希望する学校へ届けている学びの機会。前年度に招致した古座川町教育委員会から紹介を受けた串本町教育委員会が同町青少年育成町民会議(生熊和道会長)へ事業提案し、その承認を受けて町立中学校に参加を呼びかけたところ串本西中、潮岬中、串本中が希望し順次実施するに至ったという。
串本西中では来校した丸島さんと共にデジタルイノベーション推進部の三輪祥子さんがオンラインで登壇。丸島さんは学生時代の経験が働くことに生きることを伝えつつ将来を考えるきっかけをつくるためにこの講座をしていると生徒に趣旨を伝えて話を切り出した。
前半はJALグループが131社3万6000人規模の集まりであることの紹介で、丸島さんは多様な業務が互いを認め合いチームとして仕事をするからみんなが得意を発揮して頑張れる点を強調した。
後半は羽田空港で実現している非接触型発券環境のアイデアを出して社長表彰を受けた三輪さんがその成果を紹介。丸島さんはアイデアを出したのは三輪さんだがこれもチームで動いてこその形、と補足して個々の得意がチームとして動くときの力強さを印象づけた。
半ばと終盤で生徒の自由質問も受け付け。仕事でつらかったことを問われた三輪さんは海外の人と一緒に仕事をするときの英会話に苦労したと明かし、「人に喜んでもらえるなら」という思いで克服に頑張っていると仕事の本質を伝えるなどした。
講座を経て清野直人君(3年)は自分のしたいことを続けることで思いがけない仕事に就きやりがいも得られるという筋道が印象的だったとコメント。丸島さんは「大人になるって楽しそうと思ってもらえることが一番。そのために学生の間はまず、目の前のこと(=興味)に頑張ってほしい」と生徒の今後を期待した。
潮岬中は翌8日に参加。串本中は秋に参加予定という。
(2022年7月9日付紙面より)
9、10日、「勝浦展」開催
那智勝浦町教育センターで8日、近畿運輸局勝浦海事事務所、紀南海運協会、公益社団法人近畿海事広報協会、東牟婁地方美育協会が共催する「海と船の絵画コンクール」の審査会があった。9日(土)と10日(日)には、同所で3年ぶりとなる「勝浦展」を開催する。
海の恩恵に感謝するとともに、海洋国家日本の繁栄を願う日として制定された祝日「海の日」(7月18日)、および「海の月間」(7月1~31日)の協賛行事。
本年度は新宮・東牟婁地方の小学校から534点(特別支援51点含む)、中学校62点、合計596点の応募があった。水辺の生き物や海を泳ぐクジラ、マグロが並ぶ市場など、海と関わりの深い熊野地方の自然や文化をモチーフとした作品が寄せられ、特選120点が決定。各学年から1点が勝浦海事事務所長賞に輝いた。
審査に加わった勝浦海事事務所の中川洋所長は「絵を描いた子どもたちの姿を想像しながら審査した。海や船に注目し、興味を持っていただければうれしい。感染対策を取りつつ、ぜひお子さんたちの作品を見てほしい」と語る。
「勝浦展」の開場時間は9日午前9時~午後5時、10日午前9時~午後4時。30日(土)と31日(日)には、太地町立くじらの博物館で「くじら館展」も開催予定にしている。
(2022年7月9日付紙面より)
扇立祭は神事のみ斎行 (熊野速玉大社 )
熊野地方の夏の風物詩として1000年以上の伝統を持つ「扇立祭(おうぎたてまつり)」=14日(木)=を前に、新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)は4日、祭り当日に各殿で開帳する檜扇(ひおうぎ)7握を虫干しのため蔵から出し、ほこりなどを払った。
扇立祭は、神前に立てられた檜扇に神が降臨し、氏子が病気にかからないよう、また五穀につく虫を追い払って豊作を願い始まった。
室町時代の作品と伝わる檜扇は大社を代表する宝物で、現在、日本に18握ある国宝のうち11握が大社に伝わっている。ヒノキの薄い板の木目の美しさを生かしながら彩色、金箔(きんぱく)、銀箔(ぎんぱく)が施されていて「熊野檜扇」と呼ばれている。
祭りで使用されている檜扇7握は、1964(昭和39)年に模写されたもので、本殿用(高さ1・5㍍、幅1・65㍍)は大社先々代の故・上野殖宮司、残り6握の各殿用(高さ0・8㍍、幅1・3㍍)は故・杉本義夫さんが模写し、故・鮒田和往さんが奉製したものとなっている。
なお、今年の扇立祭は昨年同様、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から神賑行事や露店商組合の出店は中止。午後1時に神事を斎行する。未生流笹岡の家元・笹岡隆甫さんによる献花も予定。檜扇の開帳は4時までで、5時に閉門する。
濵中孝成禰宜(ねぎ)は「万が一のこともあり無理はできない。奉賛会の意向もあり、今年も神事のみを斎行させていただく形となった。来年こそは例年通りの形でお祭りを斎行することができれば」と話した。
(2022年7月5日付紙面より)
「初号機応援サイト」開設 (SP紀伊周辺地域協議会 )
スペースポート紀伊周辺地域協議会が1日、ロケット打ち上げ関係情報などの発信を目的としたホームページ「ロケット『カイロス』初号機打ち上げサイト」(アドレスhttps://wakayama-rocket.com)を開設した。
同協議会が開設する公式見学場や打ち上げ時のイベント「ロケット『カイロス』打ち上げ応援会」関係の各種チケット料金やアクセス方法などを伝える内容。打ち上げ情報のお知らせを希望する登録フォームもあり、事前登録しておけば速やかに新着情報の通知を受けることができる。同情報には数量限定の公式見学場イベント「ロケット打ち上げ応援会」入場チケットやオフィシャルツアー(宿泊・同見学場へのバス送迎・入場チケットのセットプラン)の販売情報も含まれていて、その案内を受けたい人は事前登録が必要となる。
公式見学場は旧プレミア見学場として告知されていた田原海水浴場と旧浦神小学校の2会場で、いずれもスペースポート紀伊の射点から約2㌔の至近。定員は各2500人で、JRまたはパーク&ライド(有料・事前予約制)のいずれかで入場を受け付ける。パーク&ライドは場外に設けた駐車場からシャトルバスで送迎する仕組みで、駐車場は串本町の西の岡学校用地と那智勝浦町の体育文化会館・ホテル浦島駐車場の2カ所。事前予約は入場チケット販売開始と同発で受け付けを始めるとしている。
打ち上げ日が決まるのは打ち上げの1~2カ月前で、公式見学場関係の情報は以降の通知となりチケットや事前予約はその内容に基づいて別途申し込む形となる。このホームページ関係の問い合わせは同応援会事務局(電話073・432・5860、株式会社JTB和歌山支店内、平日午前9時30分~午後5時30分)まで。
(2022年7月5日付紙面より)
観光機構が社員総会 (那智勝浦町 )
一般社団法人那智勝浦観光機構(NACKT、以降は機構)は6月30日、那智勝浦町の体育文化会館で本年度の定時社員総会を開いた。会場に9人、オンラインで3人の計12人が出席。事業報告後、収支決算や理事の選任などの全議案が承認された。
機構は町観光協会解散後に業務の一部を引き継ぎ、2020年4月に設立。21年11月に「観光地域づくり法人(登録DMO)」に登録され、国からさまざまな支援を受けることが可能となった。
「宿泊」「飲食」「文化財・歴史」「観光資源・体験」「物販・特産品」「交通」「施設・環境整備」の七つの専門部会の設立や会員(サポーター)組織を創設。町内外関連組織との連携を図り、調査やプロモーション、マーケティングなどの事業を展開している。
総会で清水貞吾理事長が「観光で人流をつくり出すことが機構の役割。明るい報告ができるように運営していきたい」。
堀順一郎町長は「観光は主力産業、経済対策を図っていきたい。地域活性化のためにも町と機構が両輪となって頑張っていく」とあいさつした。
機構は21年度の事業を報告。宿泊施設利用者統計調査では、21年度の目標値35万人に対し、コロナ禍の影響で達成率が79%とした。前年度比28・9%増だが、コロナ禍前の19年度比では25%減となった。
来町者アンケートでは、宿泊客は20~30代の割合が低いことが把握できたとし、「オンラインまぐろ祭り2021」の際にはデジタル広告(SNS広告)を初使用し、安価だがターゲット層をピンポイントに集客できたとした。
そのほか、個人客をターゲットとした現地プロモーションや団体客を狙った各種商談会、ウェブサイトアクセス解析調査、町民観光地満足度調査、町と連携した団体宿泊旅行誘致、個人宿泊旅行誘致および観光消費促進、オンラインまぐろ祭りの開催、着地型旅行商品開発、実証事業などの詳細を報告した。
22年度の事業計画では本格的な誘客活動を展開し、造成した体験型観光商品を販売し、自主財源増を図るという。
これまでの各調査などの継続事業に加え▽インバウンド客を対象とした来町者アンケート▽那智勝浦PRポスターの制作▽湯めぐりチケットMAPのインバウンド対応▽新型コロナウイルス感染症対策を行ってのまぐろ祭りやツナカップ、あげいん熊野詣などの実施▽現在は直接、観光客との取引ができないため、旅行業登録を取得する▽大泰寺を中心とした地域周遊コース整備事業▽365日のロケット観光の確立事業―などを説明した。
また、新たに近畿日本ツーリスト株式会社の柴田健次さん、株式会社JTB和歌山支店の田邊淳さん、前任者の後任として那智勝浦町観光企画課の吉中秀郎さんが理事に選任された。
(2022年7月5日付紙面より)
3年ぶりの「じゃばらカップ」 (北山村 )
北山村音乗(おとのり)の北山川で2、3の両日、カヌー大会「第6回じゃばらカップ」が開かれた。40人が出場し、技とスピードを競い合った。
北山村、同村観光協会、和歌山県カヌー協会、熊野カヌークラブが主催した。じゃばらカップは2015年に北山川が紀の国わかやま国体カヌー競技の会場となったことをきっかけに開催。新型コロナウイルスの影響で昨年、おととしと中止になっており、3年ぶりに催された。
開会式で村観光協会の葛城健也会長が大会の実施に協力した関係者たちに感謝を述べ「暑い日が続いていますが、熱中症に注意し、楽しみながらも全力で頑張ってください」とあいさつしスタートした。
2日は自由形式の艇で五つのゲートを通過し、速さを競うダウンリバーレースが行われた。参加者15人は激流にもまれながら競技に臨み、ゲートをくぐる選手たちに観客から拍手や声援が送られた。
3日には、スラロームレースが行われ、25人が日本カヌー連盟スラローム競技規則に準じたK―1、C―1、C―2種目でスタンドアップパドルボート(SUP)やポリ艇など、多種多様な艇に乗り競技に挑んだ。
大阪市から訪れ、ダウンリバーレースに出場した古川啓滋さん(53)は「今回で3回目の参加になります。結果は残念でしたが、待ちわびた大会だったので楽しめました。北山村は景観がよく、魅力ある場所。難しいコースではありますが、来年以降も開催を願い参加したい」と笑顔を見せていた。
(2022年7月5日付紙面より)