語り部育成の講演会 (和歌山県観光連盟 )
紀州語り部担い手講演会(座学編)が19日、新宮市野田の福祉センターであった。18人が参加、講演を通して語り部に必要な、熊野や高野山が育んだ歴史や文化などを学んだ。
和歌山県観光連盟の主催で、新宮市のほか田辺市や和歌山市でも実施。内容は同じで、第1部は「熊野」、第2部は「高野山」、第3部は「紀州語り部」の魅力を語るものだった。第1部では、国際熊野学会代表委員の山本殖生さんが講演したほか、熊野家三九郎さんが熊野を題材とした落語を披露した。
山本さんの講演の演題は「日本一の熊野牛玉(ごおう)宝印」だった。山本さんは熊野牛玉宝印について「魔よけのお守り札。家の門口や田の水口に置いた」と説明。「牛玉」の由来について「もともとは牛にできる結石、牛黄(ごおう)のこと。漢方で使われ、中国では万能の解毒薬とされる。牛黄を混ぜた墨や朱を用いて加持祈とうすれば、除災や招福のパワーが得られると考えられた」と話した。
最初は印として額に押すものだったことを解説。「顔を洗うと消えるので、白い紙に印を押すようになった」と語った。熊野本宮大社では、紙に印を押す古い形式の儀式を今もやっていることも発言。「やがて版木でたくさん押すように。それが熊野牛玉宝印の始まり」と述べた。
起請文(きしょうもん)(誓約書)として使われたことにも言及。「日本で2番目に古い起請文に熊野の、那智の牛玉宝印が使われている」と示した。「中世から起請文として使われ、一揆を起こすようなときに書いた。みんなで書いて血判を押し、儀式をやったと思われる」と語った。
古文書にある、熊野牛玉宝印の記述も提示。図柄についても「戦国時代から烏(からす)文字に。日本第一も戦国時代からで、もともとは書いていなかった」と明かした。熊野牛玉宝印が忠誠を誓う際の起請文として▽豊臣秀頼と近畿の大名▽薩摩藩と琉球国王▽代替わりした将軍と各大名―の間で使われたことも伝えた。
熊野比丘尼(びくに)が全国に広めたこと、あまりに有名なため偽物も出回るほどであったことも付け加えた。
熊野家さんの落語は「三枚起請」で、遊女がお客に愛を誓う起請文を3枚も出していたというものだった。参加者の笑いを誘い、盛んな拍手で称賛された。
(2023年2月22日付紙面より)
保護者対象に説明会 (新宮市 )
新宮市役所別館で20日夜、「緑丘中学校・城南中学校統合に関する保護者説明会」があった。城南中学校・王子ヶ浜小学校の保護者らが参加。速水盛康教育長や市職員らが中学校統合に関するスケジュール案などについて説明した。
昨今の生徒数減少に伴う諸問題への対応を行うべく昨年、市教育委員会では緑丘・城南各中学校の統合検討を開始。
統合に向けた話し合いを進めるため、9月に「緑丘中学校・城南中学校統合検討委員会」(板谷貴史・城南中育友会長)第1回会議が行われ、今年1月31日に開かれた第3回会議では、市当局から令和9年4月の統合を想定した統合スケジュール案が示された。
スケジュール案などについて保護者らの理解を得るために開かれたこのたびの説明会は▽城南中学校・王子ヶ浜小学校▽緑丘中学校・神倉小学校―の各保護者を対象に2回に分けて実施した。
市が示す案では、令和5年度から公募やアンケート、パブリックコメントなどを実施した上で新中学校名を検討。その後、校歌や校章の作成、新制服デザインなどに着手する。
令和6年度に教育課程編成等委員会を設置し、経営方針や教育課程、学校行事、部活動、通学路などの検討を進めていく。
統合後の場所を現緑丘中とする案において、令和6年度後半以降に仮設校舎の建設準備を行い、令和7年度に仮設校舎の建設と並行して大規模改修の設計を行い、令和7年度後半以降に生徒・児童、部活動交流や大規模改修、閉校式・開校式に向けた準備を行う計画としている。
開催に当たり、速水教育長は「子どもたちの将来に向けて教育環境を整える必要があると考えている」とあいさつ。市職員がスケジュール案などについて説明した。
質疑応答では、保護者が「教育だけではなく、環境づくりも大事。地域に子どもたちの声が聞こえないのは大きな問題。城南中の跡地の利用も並行して考えていく必要がある。関係各課も参加すべきでは」「困っていること、やりたいことは大人では分からない。子どもたちが気軽に意見を言える場をつくってほしい」などと意見。
対し、市は「まず子どもたちのことを考えて中身を検討していきたいという思いがある」。跡地に関しては「市のまちづくりとして大きな観点で考えていかなければならない」などと理解を求めた。
緑丘中学校・神倉小学校の保護者を対象にした説明会は22日(水)午後7時から、同所で開催される。
(2023年2月22日付紙面より)
色川地区の農園で新企画 (那智勝浦町 )
那智勝浦町口色川の安田裕志さん(42)が同所で営む農園「vegelike(ベジライク)」で18日、新規体験旅行企画「1・2月の旬の時期だからこそ味わえる菜花摘み取り体験と季節限定『菜花』限定ランチ」があった。愛知県名古屋市から友人同士の女性3人が参加、食用の菜花を摘み、創作ランチを楽しんだ。
一般社団法人那智勝浦観光機構(NACKT)が企画立案に協力した。第1次産業の活性化を図るとともに、新たな那智勝浦ブランドを創出し、さらに農業と観光という二つの地場産業を融合しようと考えた。安田さんは菜花を12年前から作っているが、摘み取り体験の実施は初めてという。
ランチは、安田さんの農園で採れた菜花を使用。同町大野の体験レストランAima(アイマ)で提供した。企画はもともと、1月に4回、2月に4回の実施を予定していたが、コロナ禍の影響でこの日が初回の実施となった。
農園では、安田さんが収穫の仕方を説明。「つぼみか、花がちょっとついたぐらいのものを、ハサミで切り取って」などと語り、実演した。「無農薬なので、このままでも食べられる。生でも甘くておいしい」とも伝えた。参加者は、さっそく収穫を体験。ハサミで切ってはポリ袋に集め、また時折生で口に運んでは「甘くておいしい」と笑顔を見せていた。
那智勝浦観光機構の牛久保賢一さんは「色川や太田には、体験コンテンツにできそうな素材がある。これらをPRすることで、町全体を活性化できれば」と話した。
「菜の花」とは本来、アブラナ科の花の総称。安田さんの農園では、菜花の食用品種「花飾り」を栽培している。花が開いてしまう前のつぼみの状態が食べ頃で、旬は1月と2月、収穫は3月上旬ごろまで続くという。天ぷらやおひたしのほか、卵と炒めたり、浅漬けにして刻みおにぎりに混ぜたりしてもおいしいとのこと。
(2023年2月22日付紙面より)
トルコ地震の見舞い交え (串本町 )
串本町の田嶋勝正町長ら一行が17日に駐日トルコ共和国大使館のコルクット・ギュンゲン特命全権大使と面会し、町内外から寄せられたトルコ南東部地震災害義援金〈第1回目分〉1500万円を届けつつ犠牲者への哀悼と被災者への見舞いの意を示すなどした。
この義援金は、トルコ共和国で現地時間6日未明以降相次いだ大きな地震で被災した人々の支援を目的として7日から募集を開始。役場本庁、旧役場古座分庁舎、文化センター、トルコ記念館の4カ所に義援金箱を設置し、10日には振込口座(紀陽銀行串本支店普通449160と三十三銀行古座支店普通7001609、いずれも振込手数料が必要)も開設して受け付けている。
町内外から高額寄託の申し出もあり、15日までに集まった額から1500万円を第1回分として同大使館に託すこととした。17日は同町議会(鈴木幸夫議長)と合同の陳情活動の延長で同大使館を訪問。田嶋町長と鈴木議長以下議員11人、佐藤武治県議会議員と日本トルコ友好議員連盟会長でもある二階俊博衆院議員らが面会を求め、代表して田嶋町長が同義援金寄託の目録を読み上げてギュンゲン大使に手渡した。
町総務課によると、その折に田嶋町長は「現在も救援活動が続き、復旧復興には時間がかかると思われる。われわれはトルコにずっと寄り添いながら義援金協力を呼びかけ続ける」と申し添え、ギュンゲン大使は「困難に直面している時にお目にかかれることを心強く思う。日本、和歌山県、とりわけ串本の皆さまはトルコ人の心の中では大変特別な存在で、本日皆さまが来て下さったこともその証明。心より感謝申し上げる」と応えて申し出に感謝したという。
二階衆院議員もできることを考えてトルコに寄り添う意を示し、復興への足取りを踏み出すことを祈念。田嶋町長は併せて同町立潮岬中学校(平原良一校長)の3年生が手作りしたメッセージボードも託し、串本はさまざまな形で被災を乗り越えることを願っていることも伝えた。
同課は今回の被災からの復旧復興を支えるため、今後も同義援金の受け付けを続けるとしている。問い合わせは同課(電話0735・62・0555)まで。
(2023年2月22日付紙面より)
熊野川町で「清流ライド」 (新宮市 )
新宮市熊野川町を舞台に19日、「新宮・熊野川町清流ライド with KINAN Racing Team(キナンレーシングチーム)」が開催された。あいにくの雨となったが、当地方をはじめ、大阪や名古屋などから約50人の自転車愛好家らが参加。「KINAN Racing Team」に所属するプロ選手と共に町内を周遊。自転車を通して同町の自然を満喫し、参加者同士の交流を深めた。
新宮市と市観光協会が主催。自転車を活用した観光(サイクルツーリズム)の推進と、自転車に慣れ親しみ、自転車の魅力を感じてもらうことを目的に、NPO法人「SPORTS PRODUCE 熊野」が後援し、初めての開催に至った。
メイン会場の熊野川ドームでは、開催に当たり田岡実千年市長があいさつ。関係団体に感謝を述べ「今後、サイクルツーリズム推進のさらなる機運醸成を図っていくため、自転車に慣れ親しみ、魅力を感じていただきたいという思いから開催させていただく次第となった。ぜひお楽しみいただければ」と呼びかけた。
この日のコースは、UCI公認国際自転車ロードレース「TOUR de 熊野」の約15㌔に及ぶ赤木川清流コース。3班に分かれた参加者らは、休憩所の小口自然の家を目指して熊野川ドームを出発した。
なお、熊野川ドームと小口自然の家では、(一財)熊野川町ふれあい公社(下阪殖保代表理事)と「かあちゃんの店」による豚汁やめはりずし、同町の野菜を使用したケーキ、くず湯茶が振る舞われた。また、天候を鑑み、参加者らに対し「熊野川温泉さつき」が無料開放された。熊野川ドームでは同チームのグッズ販売コーナーが設けられたほか、Eバイク(電動アシスト自転車)の体験試乗会も実施された。
イベントでは、同チームメンバー7人によるトークショーもあった。各選手らは自己紹介を交え熊野地方や新宮市の魅力、赤木川清流コースの印象、自転車に興味を持ったきっかけなどについて話し「今年こそは『TOUR de 熊野』で総合優勝を。今年も応援してください」と呼びかけた。
名古屋から参加した山口友和さんは「チームのファンなので参加した。あいにくの天気だったが距離も短かったので疲れることもなく楽しめました。また機会があればぜひ参加したい」と話していた。
(2023年2月21日付紙面より)
管内2人に表彰状を伝達 (東牟婁振興局 )
新宮市緑ヶ丘の東牟婁振興局で17日、令和4年度自然公園関係功労者に対する環境大臣表彰の伝達式があった。酒井清崇・東牟婁振興局長が、多年にわたり自然公園の保護とその適正な利用に関して尽力したとして、太地町の白水博さんと那智勝浦町の東定司さんの2人に表彰状を手渡した。
自然保護思想の啓発や普及および自然公園や動植物の保護に関し、15年以上尽力し、その功績が特に顕著であると認められる個人や団体に対して環境大臣が表彰するもの。全国では18人と1団体が選ばれ、県内では白水さんと東さんの2人のみだった。
白水さんは日本野鳥の会和歌山県支部副支部長ならびに、熊野自然保護連絡協議会の運営委員を務め、吉野熊野国立公園などで、絶滅危惧種をはじめとする鳥類の調査や保護活動に取り組んできた。子どもや地域住民を対象とした野鳥観察会を通して、自然保護思想の普及啓発に努めるとともに、公園内の安全利用のためにも尽力している。自然公園指導員の活動期間は36年に上る。
同じく日本野鳥の会和歌山県支部幹事で、熊野自然保護連絡協議会事務局員を務める東さん。同公園などで自然観察会や野鳥観察会を企画・運営し、希少生物の実態や保全の必要性の指導など、自然保護思想の普及啓発や自然公園・動植物の保護などに尽力してきた。自然公園指導員歴は30年6カ月。
酒井局長は「お二人は地域の誇り、受賞本当におめでとうございます。これを機会に、後進の方々にご指導いただき、今後も熊野地方の自然や鳥類などの研究保護に努めていただけましたら幸いです」と二人の受賞を祝福した。
白水さんは「観察会を継続し開催していく中で、このような表彰を頂き、非常に光栄です。これからも大好きな鳥を通して、自然保護につなげていきたいと思います」。
白水さんとは友人で、仲間として長年活動を共に続けてきた東さんは「二人で受賞できるとは思いもしなかった。最近の観察会では小学生が増えてきた。しっかりと教えて、若い皆さんに引き継いでもらいたい」と語った。
(2023年2月21日付紙面より)
美し国三重市町対抗駅伝
津市から伊勢市までの42・195㌔を10人のランナーがたすきをつなぐ「美(うま)し国三重市町対抗駅伝」が19日、3年ぶりに開催された。県内29市町の選手たちが力走し、市の部(14市)で熊野市は2時間48分14秒の14位、町の部(15町)で御浜町は2時間47分09秒の13位、紀宝町は2時間44分04秒で11位だった。
新型コロナウイルスのため2年間中止になっていたが、今年は沿道からの声援を受け、1区の小学生女子が津市の県庁前を一斉にスタート。市町対抗駅伝が幕を開けた。
2区の小学生男子から中学生男女、40歳以上男子などが各区間で激走。伊勢市の三重交通Gスポーツの杜伊勢でゴールテープを切った。市の部は鈴鹿市が2時間17分36秒、町の部は川越町が2時間21分27秒でそれぞれ優勝した。
(2023年2月21日付紙面より)
天神社で春の例大祭営む (那智勝浦町 )
学問の神様・菅原道真を主神として古くから厚い信仰を集める那智勝浦町天満の天神社(髙橋正樹宮司)の春の例大祭が18日宵宮、19日に本宮の日程で営まれた。今年もおととし、昨年と同様、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から神事のみの斎行となった。
順番に始まる那智谷筋の祭りの最後を飾る同例大祭。例年は古式弓法で大的を射抜いて鬼の邪気を払うお弓神事や祭典委員会(楠本實委員長)が先導する行列が区内を練り歩く。
天満交友会(山東平〈さんどう・たいら〉会長)による獅子舞の地下(じげ)回しもあり、最後は餅まきが盛大に実施され多くの住民でにぎわっている。
今年は雨天のため、社務所内で関係者ら12人が参列して静かに祭りが進められた。髙橋宮司が祝詞を奏上し、関係者が玉串をささげた。
この日、髙橋宮司はお弓神事の際に、的場で神に供え物をするときに用いられる梅島台と松島台について、元は食べ物を載せる台であったなどと、解説。「この地域で台を手作りしているのはこの天神社のみだと思う。準備は大変だが、この伝統を後世に伝えていけるようにお祈りしました」。
楠本委員長は「年末から検討を重ね、今回の形に至った。3年間、祭りができないのは残念だが、コロナ禍のため仕方がない。伝統ある祭りを絶やさないように、来年こそは例年通りの祭りを斎行したい」と話した。
同社責任役員の越水政憲さんは「少子高齢化で担い手も減ってきた。しかし、伝統を絶やさないように続けていきたい」と語った。
(2023年2月21日付紙面より)
第187回職場対抗ボウリング大会
みさきストロングスが卒団式 (新宮市 )
和田禎佑杯サッカーU―9
新宮市立城南中学校(吉田元紀校長)で17日、和歌山県警察の派遣講師による非行防止教室「キッズサポートスクール」があった。1年生53人が受講、中学生が被害者にも加害者にもなり得る、身近な犯罪について学んだ。
規範意識の向上を目的として、学校と警察が連携し、和歌山県内の小中学校で行っているもので、城南中でも毎年、1年生を対象に実施している。今回は2人の講師が訪れ、組ごとで行われた。
1組は、生活安全部少年課少年サポートセンター紀南分室の今西和之さんが講師を担当、生徒23人が受講した。今西さんは▽友人と3人で万引を計画したが自分は用事で現場には行っていない▽店員が間違えてお釣りを多めに渡したのに気付いたが黙っている▽お釣りが多かったのに後で気付いたが返さない―などは全て犯罪となることを語った。
殴る蹴るに加え▽耳元で大声を出す▽髪の毛を引っ張る▽唾を吐きかける▽水をかける―なども全て暴行罪となること。▽体操服に墨汁をかける▽運動場にくいを打ち授業を妨害▽上靴を隠す▽給食用食器に唾をかける―などは器物損壊罪となること。▽悪口▽無視▽仲間はずれ―などは傷害罪になることを明かした。
学校内外や交流サイト(SNS)内など、あらゆる場所での暴言・暴力が許されないことを強調。「ネット上の誹謗(ひぼう)中傷など、言葉の暴力も駄目。いじめは犯罪」と力を込めた。
児童ポルノや児童買春にも言及。裸の写真がネットで拡散されてしまったり、同級生に転送した裸の写真で児童ポルノの罪に問われたりするケースもあることを伝えた。「他人に見られると良くないようなものは送信しない。ネットの情報は信用しない。写真や学校など個人情報は掲示しないように」と呼びかけた。
「何かやってしまう前に、心のブレーキを。またやってしまった場合は、一人で悩まず相談を」とまとめた。
(2023年2月19日付紙面より)
福祉委員研修会で上富田町の取り組み学ぶ (新宮市社協 )
新宮市野田の市福祉センターで16日、福祉委員研修会があった。市内8地区の福祉委員42人が出席する中、上富田町まちかどカフェの中本多比子会長、山際冨子副会長、上富田町社会福祉協議会の前地加容次長、生活支援コーディネーターの関口玲子さんが「上富田町ふれあい・ささえあいの地域づくり」をテーマに同町の取り組みを紹介した。
開催に当たり、前地次長は「こういう機会を頂いたことをうれしく思う。ボランティアとして活動している中本さん、山際さんの活動を、生の声で伝えられたら」とあいさつした。
関口さんが上富田町の概要や支え合い事業などを説明。同社協が2014年から展開する、町内の会館や空き家、寺、喫茶店などを借りてカフェを展開する「まちかどカフェ」の取り組みについて「できるだけ住民主体の活動につなげるように取り組んでいる」「元気な人は皆さんがボランティアです」などと紹介した。
新型コロナウイルス感染症の影響で現在、休止しているカフェもあるが町内各地域で30カ所のカフェが開かれており、内容は▽おしゃべり会▽健康マージャン▽見学会▽ボランティアによる演奏会▽新年会、忘年会、クリスマス会などの季節イベント―など多岐にわたる。
中本会長は「まちかどカフェマップ」をスライドで示しながら、町内におけるまちかどカフェの広がりや運営、活動内容やカフェの現状などについて紹介し「元々あったおしゃべり会などが広がって新たにカフェとして運営している所もある」。
関口さんは、葬儀社からエンディングノートや終活について話を聞いたり、寺で住職の法話を聞いた後、供物のお下がりの茶菓子を食べたり、防災について学びを深めたりといった各カフェの様子を案内。「カフェを行っていく上で必要な知識やノウハウを取得するため、年に数回講義や演習、実習などを行っています」と話した。
また、コロナ禍によりカフェが休止され、再開に至っても「今まで出てきた人が来なくなった」「カフェに歩いていけなくなった」などの理由で参加者が減少している状況に対応すべく開始した「軒先カフェ」の取り組みについても説明。
中本会長は「認知症の人への対応」「男性の参加」「リーダー育成」「参加者を増やす(地域の人や若い人を誘う)」を今後の課題として挙げた。
講話後には4班に分かれてグループワークが行われ、参加者らは上富田町の取り組みの感想や各地域における課題などについて意見交換。
班ごとに代表者が「男性の参画を進めるためには男性が興味を持てることを取り入れていくことが必要では」「上富田町ではお寺や喫茶店などいろいろな所を借りてやっている。参考にしていきたい」「新宮市は会館の使用料の一考を」などと発表した。
(2023年2月19日付紙面より)
商店街情報コーナーも (新宮市「丹鶴ホール」 )
新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」エントランスに「だれでもピアノ」が設置された。
市民に音楽に親しむきっかけを提供するとともに、「丹鶴ホール」のにぎわい創出を目的に設置。昨年11月、同施設の大階段へ電子ピアノ「YAMAHA P―515」を設置したところ、子どもから大人まで想定以上の利用があったことから設置を検討し、ピアノへの影響などについてピアノ技師と協議の上、設置が決定した。
新たに設置したのはフルコンサートグランドピアノ「YAMAHA CF」で、岩﨑正夫さんが1976年に市に寄贈したもの。開放時間は午前9時~午後6時(休館日や催しもののある日は除く)。使用の際は同施設総合事務室で確認を。
また、同施設ではこのほど、市商工会議所の協力を得て「新宮市商店街情報コーナー」を2カ所に設置。市内の商店街を網羅した「しんぐう商店街MAP」を紹介するとともに、「仲之町商店街を歩く。」「駅前本通り商店街 えきまえ散歩」「たんたんタンカク商店街」などの各商店街のパンフレットも設置しており、同施設では「お気軽に手に取っていただき、まちなかを周遊していただければ」と話している。
(2023年2月19日付紙面より)
熊野那智大社で「祈年祭」
那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で17日、「祈年祭」が営まれた。献穀講員の大江清一代表らが参列し、実りへの感謝と五穀豊穣(ほうじょう)を祈った。
「としごいのまつり」ともいい、古くから定められた国家祭祀(さいし)が起源。旧暦2月4日に行われていたが1873(明治6)年の改暦後は17日となった。
11月の新嘗祭(にいなめさい)と対になる祭りで、日本列島各地で神々に食べ物やささげ物を奉り、豊かな実りに感謝し人々の幸せを祈る祭祀・儀礼が行われている。
同大社では、男成宮司が神饌(しんせん)が供えられた拝殿で祝詞を奏上。巫女(みこ)が神楽「浦安の舞」を奉納し、参列者らが玉串をささげ、春の訪れや農作物の豊かな実りに感謝した。
神事を終え、男成宮司は「毎年のご奉納に対し、感謝を申し上げます。今年も一年、穏やかな天候に恵まれて、秋には多くの実りを収穫できることを祈念しております」とあいさつとした。
その後、別宮「飛瀧(ひろう)神社」でも同様に神事が斎行された。
(2023年2月19日付紙面より)
「勝小まるごと防災」開催 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立勝浦小学校(山下真司校長)の5年1組22人が1月31日、町体育文化会館で学習発表「勝小まるごと防災」を開催した。地震・津波から命を守る方法について、学んできたことや未来に向けての提言を発信し、地域住民や保護者、町の防災関係者ら約60人が耳を傾けた。
5年生は本年度、町内外の防災専門家の支援を受けながら、1年かけて地震・津波の学習に取り組んできた。その成果を発信し、地域の人々に防災意識を高めてもらおうと企画した。
発表は劇でスタート。2人の児童が地震津波の研究者・奥川博士と、東日本大震災が発生した2011年へタイムスリップし、その被害や津波の恐ろしさを振り返った。昭和東南海地震が起きた1944年にも行き、同町木戸浦から流れ込んだ大津波が天満、下地、須崎地区などの民家をのみ込んでいく様子を述べた。
「まるごと防災!お役立ち情報コーナー」では、夏休みに実施した「防災意識アンケート」を基に、未来に役立つ提言を発表。地震に備えて家具の固定をしていない人が73・6%に上ったことから「とても不安に感じた。たんすやテレビの下敷きになるなど、被害が大きくなる可能性がある。家具を固定し、配置を見直すことも大切」。避難バッグを用意していない人が52・5%だったことから「1人一つ用意し、年2回は点検して」と呼びかけた。
発表を終え、仲野佑汰郎君は「校区内の安全な避難場所や新聞を使った食器の工作について話した。これから災害が起きる可能性が高くなっていくので、みんなで備えることが大切」。村瀬桃梨さんは「大人も子どもも必ずみんなで助かりたいから、声をかけ合って逃げてほしい」と語った。
発表を聞きに訪れた清水彩加さんは「市販の持ち出し袋を買ったけれど、中身や必要なものを詳しく解説してくれ、役に立った」と話していた。
3日(金)の午後2時30分~3時30分には、同所で5年2組の発表も開催される予定で、児童たちは来場を呼びかけている。
(2023年2月2日付紙面より)
臨時総会で進捗確認 (スペースポート紀伊周辺地域協議会 )
スペースポート紀伊周辺地域協議会(会長=下宏・和歌山県副知事)の臨時総会が1月31日、串本町サンゴ台にあるホテル&リゾーツ和歌山串本であった。スペースワン株式会社と同協議会それぞれの事業進捗の確認が今回の議題で、同社の阿部耕三取締役はロケット「カイロス」初号機の打ち上げについて今年2月末ごろを今年夏ごろに改めて考えていることを報告。同協議会事務局は打ち上げ時の誘客対策と渋滞対策の考え方を会員に伝えるなどした。
序盤はスペースワン社の報告で、阿部取締役は世界的な物流の混乱で当初想定していた時期に海外からの部品が調達できず今年2月末ごろの初打ち上げが困難になったと状況を伝え、「初号機の打ち上げについては本年夏ごろを目指していきたいと考えているが、3月中の部品の調達状況を見極めた上で4月ごろに打ち上げの時期について改めて皆さまに説明させていただきたい」とした。
度重なる延長についての謝意を示しつつ引き続きの支援を求め、下副知事は地元も期待して準備を着々と進めているだけに非常に残念な気持ちでいっぱいだと伝えつつ「4月には着実な打ち上げについてきちっと説明をしていただきたい。ぜひお願いしたいと強く言わせていただく」として同社の前進を期した。
中盤以降は同協議会事務局が、今年2月末ごろの打ち上げを見据えて詰めてきた誘客対策や渋滞対策の基本的な考え方を報告。ロケット「カイロス」初号機打ち上げ応援サイトの事前登録者数が1万人を超えている状況を受け、上限5000人の公式見学場に加えてウェブ配信やサテライト会場も展開して当日の流入を抑制、かつ交通規制による通過交通の円滑化を図る方向性を説明して会員からの質問を受けた。
当初の2021年度中から昨年末ごろ、今年2月ごろ、そして今年の夏ごろ、と3度の延期報告を受けて副会長の田嶋勝正・串本町長は「ものすごく残念だが、立派な打ち上げ場が完成しロケットの関係者も一生懸命に取り組みを進める中での結果だと思う。われわれは今後の打ち上げに向け全力で協力したいし、町民にも今の状況を説明して共にもっとこれからも頑張ろうと話をしていきたい」。同じく堀順一郎・那智勝浦町長は「非常に残念だが、社会情勢を見ると致し方ないところもあるのかなと思う。万全の体制で臨み必ず成功するための準備と思って、(われわれも)打ち上げまでの準備を進めていきたい」とそれぞれコメントした。
(2023年2月2日付紙面より)
令和9年4月を想定 (新宮市 )
新宮市役所別館で1月31日夜、「緑丘中学校・城南中学校統合検討委員会」(板谷貴史・城南中育友会長)の第3回会議があった。市から委嘱を受けた学校・教育関係者ら10人が出席。統合スケジュール案などに対し意見を交わした。
2007年、学校や幼稚園などの適正規模と配置などについて審議するために設置された市教育環境整備計画審議会は、多感な中学生の教育の充実や指導が難しくなることから、両校の2校を残すことを答申。
そんな中、08年に市総合計画において10年後には両校とも適正規模から外れることが予想されるとして、統合をしていく方針が出された。方針を受け、中学校統合について再度検討が行われたが当時は統合により適正規模を大きく上回ることが予想されることから統合は見送りに。適正規模から外れる10年後をめどに再度検討することとなっていた。
現在の両校の生徒数は、緑丘中学校228人、城南中学校152人の計380人。千穂・丹鶴小学校、蓬莱・王子小学校が統合された小学校再編が完了した2013年度当時の489人と比較して109人(22・3%)減少している。学級数も緑丘中は8、城南中は6となっており、両校とも法律上の基準と和歌山県基準の適正学級数を下回っている。
この日の会議では、事務局から統合スケジュール案が示された。案によると、令和9年4月の統合を想定し、令和5年度から公募やアンケート、パブリックコメントなどを実施した上で新中学校名を検討。その後、校歌や校章の作成、新制服デザインなどに着手するという。
令和6年度に教育課程編成等委員会を設置し、経営方針や教育課程、学校行事、部活動、通学路などの検討を進めていく。
また、統合後の場所を現緑丘中とする案において、令和6年度後半以降に仮設校舎の建設準備を行い、令和7年度に仮設校舎の建設と並行して大規模改修の設計を行う。
令和7年度後半以降に生徒・児童、部活動交流や大規模改修、閉校式・開講式に向けた準備を行う計画としている。
事務局案を受け、委員らは「令和9年ということで決めてしまうのであれば、急ぐ必要や無理のある部分も出てくるのでは」などの意見があった。対し、速水盛康教育長は「余裕を持たせたスケジュールとしている。今後、修正を加えながら進めていきたい」とした。今後、市では案を基に保護者説明会を開催し、保護者らの意見を募っていくという。
(2023年2月2日付紙面より)
新宮青年会議所が街頭啓発 (新宮市 )
「北方領土の日」(2月7日)を前に、新宮青年会議所(新宮JC)は1日、新宮市徐福のJR新宮駅前で北方領土返還要求街頭啓発活動を実施。北方領土問題への理解を深めてもらおうと、駅利用者らに啓発チラシなどを配布した。
日本青年会議所では、1970年に北方領土現地視察団を派遣したのを皮切りに、北方領土返還運動への取り組みを全国規模で展開。新宮青年会議所でも「北方領土返還運動全国強調月間」(2月、8月)を周知しようと毎年2月に街頭での啓発活動を続けている。
この日は、同駅を含む県内12カ所で「北方領土返還要求運動和歌山県民会議」(1981年12月12日設立、加盟団体112団体=1月現在)主催による啓発活動が展開され、各地域の青年会議所や同会議加盟団体などが運動を実施した。令和4年度北方領土に関する標語は「四島(しま)還せ! 声出し合って 動く今」。
JR新宮駅では、新宮JC会員と県職員の4人が、通学する生徒らに啓発物資を手渡した。和田祐幸・2023年度理事長は「啓発活動は毎年実施していたが、新型コロナウイルス感染症の影響で2年ぶりとなった。今年は、北方領土返還要求運動和歌山県民会議が新宮市で開催される。この地から声を上げていきたい」と話していた。
北方領土問題は、北海道根室半島沖合にある島々の領有権を巡るもの。現在ロシアが占拠、統治する択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島の島々に対し、日本が返還を求めている。北方領土の日は、国民の関心と全国的な返還要求運動の推進を図り、1981年に閣議決定。日露の国境が択捉島とウルップ(得撫)島の間に定められた日魯通好条約が調印された1855年2月7日にちなんでいる。
(2023年2月2日付紙面より)