熊野川濁水対策特別委で決議 (新宮市 )
新宮市議会の熊野川濁水・治水関連対策特別委員会(前田賢一委員長、8人)は22日、風屋ダム(十津川村)を管理、運営する電源開発に対し、ダム湖内に堆積したシルト(沈泥)を撤去すると共に監督する国土交通省に強い指導、支援を求める決議文を採択した。
熊野川の濁水は2011年9月の紀伊半島大水害以降、長期化。電源開発は濁水軽減対策の一環として現在、風屋ダムでダム湖内の清水部分の活用範囲を広げることなどを目的にした表面取水設備の改造工事を実施している。今年5月に第1期の工事が終了し、11月から来年5月末まで第2期工事を予定している。
1期工事中、大量のシルトが流出。熊野川の濁度がさらに悪化し、観光、漁業、上水道などに多大な悪影響を及ぼした。決議文では11月から始まる2期工事の際、ダム建設以降半世紀にわたり堆積した高さ15~20㍍のシルト層の撤去を強く訴えている。
前田委員長は、熊野川が川の参詣道として世界遺産に登録されていることを強調。「これまでと同じような要望活動では前に進まない。ドローンなどで空撮して現状を全国に訴えるべき」。
上田勝之委員はユネスコへ訴えることを提案。松畑玄副委員長は「損するのは住民。二度とシルトを流させてはいけない」と訴訟も辞さない決意で訴えることを求めた。
田岡実千年市長は視点を変えて要望することに理解を示し、「議会と一緒になって濁水が解決できるよう努力していきたい」と述べた。
(2017年9月23日付紙面より)
「bodai」の「鮪中とろカツ丼」 (那智勝浦町 )
那智勝浦町築地の「鮮魚 創作和食・旨い酒 bodai」はこのほど、「全国No.1ご当地どんぶり」の座を競い合う「全国ご当地どんぶり選手権」への出場権を懸けた予選会に参加できる16団体の一つに選出された。予選会は23日(土・祝)・24日(日)に東京ビッグサイトで開催され、同店はお店でも提供している「鮪(まぐろ)中とろカツ丼」で出場する。
全国各地からご当地自慢の絶品どんぶりが集まる同選手権は今年で9回目。同店はこれまで第1回、第2回大会にもエントリーしていたが、いずれも書類審査を通過できず、7年ぶりにエントリーした今回、見事に全国ベスト16のどんぶりの仲間入りを果たした。
「鮪中とろカツ丼」は、勝浦産の生マグロを使用。サクッと食感のジューシーなとろカツを和歌山県産の梅しそを混ぜ込んだご飯の上に乗せ、たっぷりかかった琥珀色の特製土佐酢ジュレであっさりと食べられる一品に。23・24日の予選会で1杯500円(ハーフサイズ)で提供され、当日来場した客の投票によって上位10団体に選ばれると、来年1月の本選に出場できる。
オーナーの谷亮さんは「お店がオープンして13年、自分自身次のステップにつなげるためのいいきっかけにしたいと思います。(大会では)マグロを出しているどんぶりは他にもありますが、“生”を使っているのはうちだけなので、そこを推して頑張りたいです」と意気込みを話した。詳細は下記の大会公式ホームページまで。
https://www.tokyo-dome.co.jp/furusato/
(2017年9月23日付紙面より)
新宮信金で創業セミナー
新宮市の新宮信用金庫本店5階で19日、先輩女性起業家から学ぶ実践セミナー「創業についての悩み事はありませんか?事業を成功に導くコツを学べます」が催された。創業応援セミナーの第5弾。創業予定者や起業5年未満の創業者24人が参加し、スターフードジャパン株式会社の新古祐子代表から起業と成長のこつを学んだ。
新古さんは、起業には「金」、「人」、「物」の順で必要だと力説する。商品化には人を必要とし、まずは、これら二つを成立させる資金を算出するべきだと話した。
創業後も継続させるためには、自分の強みを最大限に生かしてニーズを把握したビジネスモデルを作ることが重要だと講話。個人商店から中小企業になることで新商品開発や販路を拡大できるとし、社長、会社、商品、サービスをブランド化することでライバル企業と差別化できると話した。
参加した事業主に自社の強みや脅威、ニーズなどを分析させ、それらにアドバイスも与えた。
講師を務めた新古祐子さんは、スターフードジャパン株式会社代表取締役。一般社団法人地域食プロデュース協会理事も務める。グローバルな視点で地域の食材を評価分析し、国内外に発信している。中小企業メーカー専門に商品企画・開発のアドバイスも行っており、これまでに300社以上を支援してきた。
(2017年9月23日付紙面より)
串本RHで鍵井靖章写真展 (串本町 )
串本町サンゴ台にある串本ロイヤルホテル(RH)の1階ギャラリーで水中写真家・鍵井靖章写真展「3・11―あの日から」が開かれている。東日本大震災以降の宮古市の海に残る史実と自然再生の様子を伝える内容で、30日(土)まで随時鑑賞できる。
鍵井さん(46)は兵庫県出身。20歳の時に串本でダイビングの資格を取得し、水中写真家の伊藤勝敏さんに師事して同じ道を志した。現在は世界規模で撮影活動に打ち込み、国内でも屈指の歴史を誇る串本海中フォトコンテストの審査員を6年間務めた経験も持つ。
写真展「3・11―あの日から」は震災3週間後から地元の有志や各漁協などの理解と協力を得て密漁防止のためダイビングが制限されている宮古市の海へ潜り、3年越しで撮り続けた作品を通して宿るメッセージを伝える独自企画。今回は厳選14点を公開していて、作品の一部は実物大に迫る大判として展示し臨場感を高めている。有志筆頭の娘・後藤まりさんを介して鍵井さんの取り組みを知った同町古座にあるダイビングショップ「DIVE KOOZA」オーナーの上田直史さんが、宮古市と串本町が本州四端でつながっている縁で町内での写真展実施を提案。鍵井さんもぜひにと応えて実現に至ったという。
会場には山本正德宮古市長のメッセージも掲げられ、併せて鍵井さんの本来の撮影スタンスを伝える写真展「夢色の海」(作品数10点)も実施。鍵井さんは「自分は基本美しい海の提示をしているが、写真展『3・11―あの日から』については震災後の海が今どのように変化しているかをご覧いただいた皆さんに伝えられたら水中写真家として本望」という。
21日は上田さんらダイバー仲間3人と共に田嶋勝正町長を表敬訪問。「復興で様変わりする陸と違い、海には今も数多くの流出物が震災の史実を物語るように残り、それで終わりかというとそうではなく、そこには命もある。そのようなテーマに行きつき、流出物を礎にして海の生き物が新たな生活を始めている様子を3年間撮り続けた」と写真展の経緯を説明し、本州四端サミットが近々青森県大間市(本州最北端)で開かれることから、自身の取り組みを他市町長にもアピールしてもらえればと求めるなどした。
(2017年9月23日付紙面より)
新宮木材協同組合(植松浩理事長)、紀南木材新緑会(速水洋平会長)主催の「第39回児童生徒木工工作コンクール」の作品審査が19日に行われ、和歌山県知事賞、新宮市長賞、新宮木材協同組合理事長賞の3賞を含む全22賞が選ばれた。
同コンクールは毎年開催されており、今年は新宮市、東牟婁郡、三重県南牟婁郡、田辺市本宮町の小中学校から501点の応募があり、各市町村の代表者などが審査した。上位3賞は来年開催される全国コンクールに出品される。審査員らは会場内の一つ一つの作品をじっくりと見ながら選んでいった。
展示会は30日(土)、10月1日(日)の午前9時から午後5時(最終日は午後4時)まで、新宮市あけぼのの新宮木材会館2階で開かれる。来場者には粗品進呈。小学生以下の子どもにはヨーヨーつり、スーパーボールすくいがある。
(2017年9月21日付紙面より)
全国一斉社会奉仕の日の9月20日、新宮市のゆうゆうクラブ(老人クラブ連合会・上廣正幸会長)は市内各所で美化活動を実施した。37団体429人が早朝から清掃活動に汗を流した。
全クラブ参加で美化活動に取り組むことで、地域社会への感謝と地域の担い手としての活力を示し、次代に良い環境を残そうと毎年実施している。
各クラブ会員らはそれぞれ熊野速玉大社周辺や新宮高校前、新宮城跡付近、阿須賀神社などに分かれてごみ拾いや草むしりなどをした。長寿会は24日(日)に佐野駅周辺を清掃する予定。
阿須賀神社や宮井戸、不老閣周辺では第一蓬莱親睦クラブ、第二蓬莱クラブ、第三蓬莱クラブ、蓬莱春秋クラブの会員ら約50人が参加。黙々と作業する人や、顔を合わせ和気あいあいと話をしながら取り組む姿があった。
第一蓬莱親睦クラブの畑地泰明会長(72)は「朝早くからみんなよく来てくれました。地元の宮様、みんなの神社を大切にしなければという思いもあり、今年は世界遺産に登録されたので、よりきれいにしなければと感じます。祭りを前にちょうどいいですね」。
第二蓬莱クラブの福住昌子会長(83)は「20年ほど、毎年実施しています。だんだんと高齢化で参加する人も少なくなっています。平均年齢は80歳で、皆腰も足も悪くなっていますが頑張っています」と話していた。
(2017年9月21日付紙面より)
那智勝浦町天満の町民センターで16日、須崎区敬老大会が開かれた。楠本實区長のあいさつ、物故者への黙とうの後、わかば保育園の歌遊びや手遊びが始まった。
センターには「おにぎりさん」「マジカルメガネ」など楽しい歌声が響いた。園児たちは最後に全員で「おじいちゃんのお歳」を大合唱。来場者から「かわいいね」「元気やね」と大きな拍手が送られた。
その後は藤紀実美さんはじめ、藤紀孝子さん、永田壽美代さん、榎本惠美子さん、前地忠子さんによる日本舞踊の披露、マヒナ・ホホさんのフラ、北郡克至さんの鉄琴演奏などがあり、来場者らは和やかな時間を過ごした。
北郡さんの鉄琴演奏では「赤とんぼ」「紅葉」などの曲に合わせ、来場者も一緒に口ずさんだ。日本舞踊の「御陣乗太鼓」の子どもたち、藤紀彩愛さん、湯川心結さん、中住茉愛さんにも大きな拍手が送られた。参加者代表で永寿会の和田美津子会長は「今年もここに来ることができ、皆さんに会えてうれしい。今日のためにご尽力くださった皆さまありがとうございました」とお礼の言葉を述べた。
木戸浩二区長代理のあいさつがあり閉会。「また来年も皆さん元気で会いましょう」と司会進行の田中秀俊さんが呼び掛けた。
(2017年9月21日付紙面より)
JR古座駅でマナーキャンペーン (串本町 )
串本町西向にあるJR古座駅で19日早朝、きのくに・さわやかマナーアップキャンペーンがあり高校生を含む20人が啓発物資を配るなどして規範意識の向上を促した。
このキャンペーンは、少年の公共の場における規範意識の向上と健全育成を図るため、県警が関係機関団体と連携して適時実施している。串本警察署は串本駅と古座駅の2カ所で展開していて、主に通学中の高校生を対象にして働き掛けている。
本年度は春に串本駅で展開済みで、この日は古座駅の巡り。啓発員の内訳は同署生活安全刑事課、少年補導員、串本青少年センター職員、県立串本古座高校古座校舎の生徒や教員、JR西日本職員、串本町職員で、列車通学する高校生らにティッシュペーパーやファイルフォルダーなどの啓発物資を配って公共でのルールやマナーの順守を呼び掛けた。
併せて列車到着を待つ間、駐輪場の整理整頓や無施錠自転車への鍵かけ啓発エフ付けや同駅周辺の清掃活動などにも取り組み、安易に犯罪行為をさせない雰囲気づくりにも努めた。
同校舎生徒会執行部の出口怜奈副会長(2年)は同駅トイレの裏でたくさんの吸い殻を見つけて少しショックだったそうで、「目につく範囲で回収しましたがまだ残っているかもしれない。みんなが過ごしやすい社会をつくるため、マナーは守ってほしい」とコメント。
他方、駐輪場の自転車の約半数が無施錠か鍵自体がついていない状態。同署生活安全刑事課課員は「こういう状況から盗まれてしまうケースは実際に起こっている」とし、エフ付けした自転車所有者の状況改善を期待した。
(2017年9月21日付紙面より)
秋晴れの中、神輿渡御や奉納行事 (三輪崎八幡神社例大祭 )
新宮市の三輪崎八幡神社(上野顯宮司)例大祭の神輿渡御(みこしとぎょ)と奉納行事が18日、同神社と三輪崎漁協周辺で営まれた。台風一過のさわやかな秋晴れの中、みこしや山車(だし)が区内を練り歩き、奉納行事は多くの人々でにぎわった。
漁労加護、五穀豊穣(ほうじょう)、商売繁盛など地域の繁栄を願い、現在の三輪崎漁協付近にあった元宮に神様が年に1度里帰りする祭り。本殿大前ノ儀では祭り関係者が参列し地域の平穏無事を願った。
神輿渡御では、同神社を出発したみこしに続いて、大勢の子どもや大人に引かれた恵比寿(えびす)、二十四孝(にじゅうしこう)、大黒天の山車が、三輪崎漁港前の御旅所まで豪快にぶつかり合いながらまちを練り歩いた。
三輪崎漁港前の御旅所では、三輪崎郷土芸能保存会(濱口仁史会長)が獅子神楽を奉納した。獅子舞の天狗(てんぐ)役は、屋敷朋希君(5)が務めた。三輪崎婦人会、台楽保存会、若吉会が華やかな手踊りを披露。同保存会の青年たちが掛け声とともに、日本遺産にも登録された勇壮な鯨踊りを奉納した。
(2017年9月19日付紙面より)
イスタンブール高校来校 (串本古座高校 )
県立串本古座高校(愛須貴志校長)は15日、トルコ共和国のイスタンブール高校(ヒキメット・コナル校長)と姉妹校提携を結んだ。アメリカのヘメット高校、カナダのバニア高校に続き3校目で、愛須校長(57)は「生徒が世界へといっそう視野を広げ、地域の歴史を見つめ直すいい機会にしたい」と今後の交流に意気込んでいる。
イスタンブール高校は国内でトップクラスの優秀校として有名で、生徒890人が学んでいる。コナル校長(38)によると、生徒が授業でトルコ軍艦エルトゥールル号の史実を学ぶ中で串本町に興味を持ち、どうやれば行けるのかなどを調べて筋道をつけた延長で今回の訪問を計画した。その勢いの背景には日本に関心を持つ学生の増加があり、次年度には日本語クラブも創設される予定。将士を救った地域に感謝を届けるとともに、できることは限られているが生徒間交流で両国の友好に協力できればと考えて今年7月、串本古座高校に姉妹校提携を申し入れたという。
串本古座高校は次年度から地域に貢献できる即戦力人材を育てるグローカルコースを実働させる計画。教材とする地域はトルコ共和国との友好が深く、この姉妹校提携は今後の新たな挑戦において有益だと考えて受け入れることにしたという。
調印式は串本古座高校で行うことになり、この日はコナル校長ら教員3人と訪問を希望した3年生(日本の高校2年生に相当)12人が来校。愛須校長ら教員と生徒会執行部やCGS部トルコ班の生徒が出迎えて歓迎した。両校長、生徒を代表して生徒会執行部の高田紅恋会長(2年)とイイットジャン・カヤ君があいさつを交わし合い、互いの高校を紹介しあった後に両校長名で調印書を交わした。
イスタンブール高校一行は式後、校舎やクラブ活動を見学。各部も体験を準備して生徒間交流に臨み「トルコ語は無理だけど英語で何となくコミュニケーションできた」と興奮していた。
提携はしたが両校とも半ば勢いで縁組をした状況で、今後の具体的な交流事業は白紙の状態。学校紹介時に両校ともパソコンを用いてプレゼンテーションをしたこともあり、インターネット経由での情報交流であればすぐにでも始められそうだと愛須校長は思い描いた。
イスタンブール高校の一行は翌16日、串本古座高校と共に同町樫野にあるエ号殉難将士慰霊碑へ献花し、トルコ記念館を見学。一帯の清掃に取り組んでいる大島小学校を訪問し、当事者である児童らに会って感謝した。
その後に田嶋勝正町長と将士を救助した当時の村民の一人・高埜友吉のひ孫にあたる堀口徳弘さん(65)を表敬訪問。自分たちにできることの一端で、沖日記をトルコ語に訳し日本とトルコが今後共同設置する大学に託す目的で電子データの提供を要請し、堀口さんから伝え聞いている当時の状況を聴取しトルコ共和国における尊敬の所作を堀口さんに注いでこの上ない感謝の証しとするなどした。
(2017年9月19日付紙面より)
新宮市橋本児童館で
新宮市の橋本隣保館・児童館(速水得史館長)で16日、「第29回ささやかな敬老会」があった。子どもたちが歌を披露し、お年寄りたちを喜ばせた。
開館の翌年から始まり、紀伊半島大水害の年を除いて毎年開催されている。地域住民たちが子どもたちへのプレゼントを作るなど、手作りイベントとして続いている。
会場には地域の高齢者たちが作った生け花、陶芸、手芸、プリザーブドフラワーなどを展示。松嶋亨さんのシルバー川柳、松嶋享さん、中田定弘さん、広野武子さんの歌のほか、マジックショーやビンゴゲームもあり、盛り上がった。
速水館長は「台風が近づいていたので心配しましたが、多くの人が来てくれて良かったです。本当に手作りの敬老会ですが、毎年皆さんが楽しみにしてくれています」と話していた。
(2017年9月19日付紙面より)
台風18号、近畿地方通過
大型の台風18号は17日午前、鹿児島県南九州市付近に上陸、九州南部、四国、近畿地方を通過し、18日には北日本を進んだ。和歌山県には17日夜に最も接近し、和歌山地方気象台によると午後8時35分に和歌山市の友ヶ島で44・7㍍の最大瞬間風速を記録。新宮市では熊野速玉大社の大鳥居手前で倒木があった。
熊野地方でも強風が吹き、大雨が降った。17日午後9時までに太地町太地で43㍉、那智勝浦町勝浦で38㍉、同町浦神西で37㍉の最大時間雨量を記録。累積雨量は同町勝浦で333㍉、太地町太地で328㍉、新宮市高田で318㍉に達した。和歌山県の調べによると県内の主要河川のはん濫は無かった。
各地で避難準備情報が出された。那智勝浦町では17日午後4時20分に市野々から天満中村にわたる地区と天満地区薬師谷付近に「避難準備・高齢者等早期避難」を発令した。新宮市は16日午後5時、21カ所の自主避難所を開設。20世帯24人が避難した。
県内では由良町白崎海洋公園道の駅で28歳の男性が転倒して骨折、田辺市消防団龍神支団中山路分団車庫のシャッターが破損するなどの被害が出た。
交通機関にも乱れが出た。JRきのくに線は新宮―和歌山間が運転を見合わせた。関西電力によると田辺市内で約3560軒が停電した。
(2017年9月19日付紙面より)
「ツール・ド・北海道」キナンチームレポート①
県大会目指し熱戦繰り広げる
来年の大絵馬が完成 (速玉大社 )
新宮市の熊野速玉大社で7日、来年のえと「戊戌(つちのえいぬ)」の大絵馬が完成した。白い紀州犬と3匹の子犬を描いた上野顯宮司は「子どもを守り、しっかりと育ててもらいたいとの願いを込めました」と話した。12月から大社拝殿に掲げる。
大絵馬はヒノキ製で、大きさは縦1・5㍍、横2・1㍍。毅然(きぜん)とした父犬が、無邪気な子犬たちを守っている姿が描かれている。父犬の首には、大社のご神木で平和の象徴であるナギの葉をあしらったしめ縄が巻かれている。
上野宮司は2000(平成12)年から毎年大絵馬を描いている。今年は6色のアクリル絵の具を使い、約1カ月で完成させた。仕上げに「浄心愛徳」の文字を書き添えた上野宮司は「子どもが巻き込まれる事件が多く報道され、心を痛めています。清い心を持って、愛と徳を子どもたちに授けてほしいという思いを込めました」と話していた。犬のモデルはかつて自宅で飼っていた紀州犬で、親犬の慈愛に満ちた目を描くのに苦労したという。
毎年、JR新宮駅に掲げている小絵馬(縦75㌢、横110㌢)も完成した。3匹の子犬を守る母犬が描かれている。
(2017年9月8日付紙面より)
那智勝浦町立下里中学校(前正則校長)は5日、3年生21人を対象に平和学習を実施した。1954年にマーシャル諸島のビキニ環礁近くでアメリカの水爆実験により被爆したマグロ漁船「第五福竜丸」について、紀州語り部・仲江孝丸さんが講演した。
3年生の修学旅行の行程に東京都立第五福竜丸展示館が含まれていることもあり、同船の歴史に詳しい仲江さんを招いた。生徒らはこれまでにも、NHKのドキュメンタリーや絵本の読み聞かせなどでビキニ事件について学んでいる。
第五福竜丸はもともとカツオ漁船「第七事代丸」として旧古座町の造船所で作られた。4年間カツオの水揚げ日本一を誇り、51年にマグロ漁船として改造、53年に改名された。被災してからの福竜丸は56年に東京水産大学の練習船「はやぶさ丸」となり、67年に廃船となってからは東京都の夢の島に捨てられていた。
やがて保存運動が始まり、76年6月、東京都の施設として展示館が開館。別の貨物船に移されていた福竜丸のエンジンが68年に三重県御浜町沖で貨物船と共に沈没し、96年に引き揚げられて福竜丸の横に展示された。
仲江さんは、初めにサンゴでできた美しい島々の映像を紹介。この島々で46年から58年にかけて67回もの核実験が行われたと述べ、第五福竜丸が造られてから被ばくするまでの経緯、魚や環境への汚染などを語った。
福竜丸が被ばくした水爆実験の名は「ブラボー」。実験当事者らの予想を上回る破壊力で、実験を行った島は消え去り深さ120㍍、直径1・8㌔のクレーターができたという。爆発によりサンゴ礁が蒸発、細かいちり(死の灰)となって降り、乗組員や近くの島の住人が被ばくした。
ビキニ事件後、日本各地に水揚げされた魚は放射能汚染魚として次々と廃棄された。仲江さんは事件をきっかけに反核世論が高まり、55年、広島で第1回原水爆禁止世界大会が開かれたことを説明し、今年7月に核兵器禁止条約が国連で採択されたことも紹介した。
授業の後、清原楓雅さん(14)は「ドキュメンタリーなどを見たが、今日は知らないことがたくさんあった。第五福竜丸のことを世界に知ってもらい核兵器をなくしてほしい」と話していた。
(2017年9月8日付紙面より)
県内の母子保健推進員ら (串本町 )
串本町文化センターで6日、母子保健・健全育成住民会議があり県内の母子保健推進員や子育て支援関係者ら約400人が安心して生き生きと子育てできるまちづくりを目指して研さんした。
この会議は、県母と子の健康づくり運動協議会(狭間歌子会長)が全体研修として年1回、県や母子保健推進会議と共に主催。会場は同協議会7支部で持ち回っていて、本年度は新宮・東牟婁支部(井野千代支部長)が主体になって計画した。
同協議会のスローガン「社会が子育て、地域で子育て、環境づくり」を掲げ、同支部管内各市町村単位での活動状況紹介や実践発表、特別講演といった講演を準備。新宮市~三重県紀宝町で活動するユニット「ベリル」による演奏と管内の主な見どころの低空撮影映像上映といったオープニングを経て開会した。
主催者を代表して井野支部長は母子保健推進員の意義や抱負を語り、「困っているお母さんや子どものために共に学びつながり、子育てを地域で応援しよう」、児玉征也東牟婁振興局長は県内の状況や取り組みを紹介し「地域のつながりが弱まった時代だからこそ、子育て支援包括支援センターで切れ目のない支援を行う必要があり、そのために地域に根付いたつながりが重要になる。常日頃から切れ目のない支援体制の充実を各市町村の皆さまと共に図りたい」とあいさつ。
会場地を代表して串本町福祉課の瓜田真理子副課長が町長メッセージを代読。「皆さまが母子保健向上のために活動されていることに敬意と感謝を申し上げる。今後も支援の輪を広げ、地域の中で気軽に相談できる存在として子育て世代に寄り添ってほしい」という期待を参加一同に寄せた。
実践報告では那智勝浦町北浜にあるかづこ助産院の本舘千子院長が登壇。「子ども達のために」と題して同院設立の経緯や実践として取り組んでいる各ライフステージの世代に命の大切さを伝える地域活動の体系を説明し、「いい母ではなく幸せな母が幸せな子をもたらす。その世代循環を生むために今後も活動する」と目指すところを掲げた。
特別講演では梅花女子大学心理こども学部の伊丹昌一教授が「発達障害の理解と親子への支援」と題して登壇。子どもが何に困っているかを見抜き、周囲はどのように関わればよいかといった点で持論を展開し、参加者はヒントとなる事柄を探りながら聴講した。
(2017年9月8日付紙面より)
女性たちが「三輪崎の鯨踊り」 (新宮市 )
1960年代に三輪崎の女性たちが踊っていた『三輪崎の鯨踊り』が復活しようとしている。踊るのは三輪崎老人クラブ連合会(江川守会長)の女性部員たち。22日(金)の舞込芸能大会で披露する予定で、1日には11人が老人憩の家はまゆうで練習に励んだ。
『三輪崎の鯨踊り』は鯨を捕る様子を踊りに仕立てており、三輪崎郷土芸能保存会(濱口仁史会長)が伝承している踊りは県の無形民俗文化財の指定を受けている。
今回復活するのは手踊りで、江川会長は「僕が25歳くらいの頃、この地方を訪れた歌手が鯨踊りを『素晴らしい』と持ち帰ったと聞いた。その後、民謡集の中に手踊りとともに収められていたのを三輪崎青年会女子部が祭りの際に数年披露していました。波や網を投げる様子などが表現されています」と振り返る。
当時踊っていたことのある、地域の70代の女性が教えており「先輩に教わったのを覚えていました。皆さん踊りたいという意欲があるのはいいこと」と話していた。
江川会長は「当日は8人で踊る予定。踊りの復活は大変いいこと。協力も頂き、うれしく思う。懐かしく思う人もいるのではないでしょうか」と話していた。
(2017年9月8日付紙面より)
選抜出場目指し、9日開幕
スパセン南紀・熊野防災イベント (新宮市 )
「スパセン南紀・熊野防災イベント」が2日、新宮市佐野のスーパーセンターオークワ南紀店を会場に始まった。同店テナント会主催。来場者や買い物客らが訪れ、ダンスステージや展示されている車両を見学し、起震車や煙の体験などをした。
同会では5年前にも防災イベントを開き、集まった義援金を市などに寄付している。オープニングで下向栄一会長は「全国、いつどこで起こってもおかしくない災害。私たち南紀店内のテナント会で何かしていこうとイベントを開いた。防災のいろんな体験とフラのショー、明日はプロ歌手のライブもあり楽しんでもらいたい」とあいさつ。
来賓の田岡実千年市長は「今日は災害などに活躍する車両の展示、体験、イベントがあると聞いている。多くの方々に体験してもらいたい」。県議会の濱口太史議員は「防災イベントを民間で立ち上げて行っていただくことは大変有意義。民間、一般の皆さまに防災意識を高めていただくことが一人の犠牲者も出さない方向に向かっていくことだと思う」。泉正徳議員は「防災意識を高めてくれるイベントを開いてくれた各位に感謝したい。6年前の大変な災害から、いつ来るか分からないものに備え、気を引き締めていかなければならない」と述べた。
会場では国土交通省紀南河川国道事務所の排水ポンプ車、照明車、対策本部車をはじめ、自衛隊の軽装甲機動車などの車両展示があり、来場者らが実際に乗り込み記念撮影するなどした。起震車や煙の体験では子ども連れの家族らの姿もあった。店内では家具固定の講習会防災グッズ展示、アドバイスコーナーなどがあり、屋外ステージでは5組のフラチームが青空の下で踊りを披露した。
3日は午前11時から小芝陽子さん、午後3時から丸石輝正さんのライブを予定している。車両展示は午前9時30分~午後4時。
(2017年9月3日付紙面より)
丹鶴幼稚園で地震津波避難訓練 (新宮市 )
新宮市立丹鶴幼稚園(下岡容子園長、園児67人)は1日、地震と津波を想定した避難訓練をした。園児らは防災頭巾をかぶり、市保健センター横のタウンガーデンまで逃げた。
同園では年に6、7回ほど避難訓練を行い、防災意識を高めている。この日は午前10時に地震発生を知らせる放送が流れ、園児らは職員の指示に従って机などの下に身を隠した。揺れが収まると、園児らは防災頭巾をかぶって園庭へ。そこから歩いてタウンガーデンに避難した。
下岡園長は「地震で揺れたときには丈夫なものの下にもぐらなければいけません。今日は上手に避難できました」と話し、逃げる際にはしゃべらないよう呼び掛けた。
「おうちでいるときは家の人が守ってくれます。幼稚園では先生が守ってくれますが、自分の体、命は自分で守らなければいけません。そのためにちゃんと逃げられるように訓練をしています」と述べ、「押さない」「走らない」「しゃべらない」「戻らない」の「お・は・し・も」を守るよう伝えた。
園に戻った園児らは遊戯室で「防災の日」の話を聞き『稲むらの火』の紙芝居を見た。
(2017年9月3日付紙面より)
熊野那智大社が義援金 (那智勝浦町 )
九州北部で7月にあった豪雨災害の被災者を支援するため那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)は、今年の「那智の扇祭り」前後に同大社と飛龍神社に募金箱を設置した。男成宮司が8月31日、集まった募金と同大社からの義援金を合わせた50万円を日本赤十字社へ送ろうと、同社和歌山県支部那智勝浦町分区長である寺本眞一町長に届けた。
義援金の名称は「平成29年7月5日からの大雨災害義援金」で、町でも12月20日(水)まで募集している。
男成宮司は「ご参拝の方が多く、日数の割に思ったよりも多く集まった。人的なボランティアはなかなか難しいが、少しでも役立ててもらえれば」と述べ、寺本町長は「募金を預かるたびに23年の災害を思い返す。こうした形で恩返しできることはありがたい」と振り返り感謝した。
2人は紀伊半島大水害当時の町の様子や、災害についても話し合い、那智の原生林と滝の水量保全についても熱心に意見を交わしていた。
(2017年9月3日付紙面より)