新宮市の熊野速玉大社
令和3年度地域文化功労者表彰(文部科学大臣表彰)が25日に発表され、本紙エリアからは熊野速玉大社祭事保存会(会長・上野顯宮司)が「民俗芸能の伝承」分野で選出された。和歌山県内では同保存会と和歌山市のピアニスト・宮下直子さんのみ。
同表彰は、全国各地において芸術文化の振興、文化財の保護に尽力するなど、地域文化の振興に功績のあった個人・団体に対し、その功績をたたえ文部科学大臣が表彰するもの。
同保存会は、同大社を中核として周辺地域の氏子や関係団体と協力して長年にわたり祭礼の執行や運営を行い、伝統文化の継承と地域の活性化に努めており、また熊野の世界遺産を生かした観光や魅力発信など、地域振興にも重要な役割を果たしているとして受賞対象となった。
同保存会は祭事の伝承や地域の文化交流推進などを目的に1964年に組織。同大社を中心とする「新宮の速玉祭(はやたまさい)・御燈祭(おとうまつ)り」は、2016年に国の重要無形民俗文化財に指定されている。
受賞の決定を受け、上野宮司は「大変うれしく、責任も感じる。祭りを支えていくのが会の大きな目的。祭りの様子が海外に発信されるなど、一地域のものだった祭りや日本の文化が世界に共有されるのは喜ばしいこと」と話す。
コロナ禍の影響で今年の御燈祭り、そして速玉祭は2年連続の縮小に。そういった状況において「神に対する畏れや感謝、祭りを紡いできた先人たちに思いをはせ、祭事を執り行ってきた」とし「関係者、氏子、奉仕者、全国の崇敬者に支えられて『ハレの舞台』がつくられている。自然との共生といわれるが、自然がないと祭りができない。神がそれを教えてくれていると感じる。自然の中で祭りができる喜びを感じている」。
社会の変化や、新型コロナウイルスの影響を受け、祭りを見学する人が減少している昨今の状況について言及し「どの祭りも尊い。その中で代表として表彰を頂いただけ。多くの人に地域の祭りの価値に気付いてほしい」と話した。
表彰式は11月1日(月)、京都市の府立府民ホールで開催される。
(2021年10月28日付紙面より)
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バリアフリー化で供用開始 (那智勝浦町 )
那智勝浦町は7月末から役場庁舎玄関前で実施していた駐車場やスロープ設置などの整備工事をこのほど終了し、18日から供用を開始している。
同町によると、これまでの旧スロープは急な傾斜だったことから、車椅子で庁舎に入るには補助が必要だったという。今回は現在の基準に合わせた傾斜が緩やかなスロープが付き、階段の高さも以前より低くなった。
駐車場は、車椅子の使用や歩行困難な来庁者が庁舎近くに駐車できる屋根付きの「おもいやり駐車場」と2台分の来庁者用駐車場も整備。その横に公用車用駐車場をつくることで、庁舎向かいの来庁者駐車場の駐車台数が数台分増となった。
さらに入り口付近には屋根付きの駐輪場も完備されたほか、町営バスの停留所が庁舎前に移動。玄関前と庁舎内にベンチも設置された。担当者は「雨風などを防ぐことができることから、町民の皆さまからは喜びの声も頂いています」と説明した。
塩﨑圭祐総務課長は「工事中、ご迷惑をお掛けしまして誠に申し訳ございませんでした。今回の工事で、妊婦の方々などにも使用していただけるおもいやり駐車場も設けました。利用証は和歌山県に申請していただく必要があります」。
駐輪場やバスの停留所については「町民の皆さまが庁舎や町営バスを利用しやすいように、駐輪場の設置や停留所の移動も行いました。快適なご利用につながれば幸いです」と話している。
(2021年10月28日付紙面より)
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今年のユズの搾汁始める (古座川ゆず平井の里 )
古座川町の農事組合法人古座川ゆず平井の里(宇田篤弘代表理事)が27日、今年採れたユズの搾汁を始めた。
同法人は、昭和30年代から町内で数を増したユズ生産農家の共同体として2004年に発足。現在は94人が組合員となり、生産したユズの実を同法人の出荷場へ集荷している。
今年は55戸が順次集荷する予定。色づきが若干遅れ気味だが実は大きめで、宇田代表理事(63)は平年並みの作柄と評価し80㌧弱の集荷総量を見込んでいる。
搾汁作業初日のこの日の集荷量は約1・5㌧。同法人は近年、基準を設けて青みが残る果実も受け入れていて、この日はその実を主に搾汁した。今後は色づきが良く傷が少ないなど秀品は生果として紀ノ川農業協同組合へ出荷し、冬至向けの需要に資する。残りが搾汁対象で、11月30日(火)を集荷の最終として作業を進める。搾汁後の皮もきれいなものは加工品の材料とし、残りは堆肥化するなど極力無駄を出さない状況を目指すという。
搾汁で得た果汁は飲料や調味料など、同法人産加工品30品目の原材料として利用する。同町産の果汁は香りの良さで定評があり、一部は希望する大口へも出荷する。
宇田代表理事は、組合員の生産努力もあるが自然に恵まれた中で栽培できるのも町産ユズの強みだと自負。消費者に商品を利用していただくことで組合員も元気になりみんなで喜べる状態ができていると発足から約17年を経た今を振り返り、今後について依然としてコロナ禍に伴う運営の厳しさがあるが負けず考えて取り組んでいきたいと意気込んでいる。
加工品の情報など問い合わせは同法人(電話0735・77・0123)まで。
(2021年10月28日付紙面より)
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くまの里山の恒例行事 (那智勝浦町 )
和歌山県の「耕作放棄地再生活動協働モデル事業」を活用し、休耕地の再生に取り組む那智勝浦町高津気の「くまの里山」(西美恵子代表)は23日、高津気地区の畑で落花生の収穫体験を楽しんだ。集まった会員や家族連れ約50人は収穫を喜び、作業に汗を流した。
「くまの里山」は2007年に組織された「高津気竹灯りの会」が母体。数年前に現在の「くまの里山」に改称した。農業を身近なものとし、里山に残る食文化や先人の教えを次世代につなぐとともに、耕作放棄地の再生と里山の保存のために活動している。
同収穫体験は今年で3年目。落花生は今年6月上旬に作付けを行ったもの。参加した家族連れは笑顔で土を掘り、「うわー、採れた」「いっぱい採れたよ」「良かったね」と収穫を楽しんだ。その後、参加者は会員らが用意したゆでたサツマイモを味わった。
くまの里山によると、今回の落花生はカラスなどの鳥獣被害を受け、収穫量が減少してしまったという。次回の収穫のためにも今後の打開策を検討するとした。
西代表は「私たちくまの里山は、子どもたちが自然に触れ合うことができることと、美しい里山を次世代に残すことが目的。喜んでいただけているのはうれしい。落花生の味を好んでくれている人もいるので今回は申し訳ない限り。次回は対策も施し、頑張りたい」と話した。
(2021年10月28日付紙面より)
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令和3年度クラブ選手権競技 (日本ダイヤモンドゴルフ倶楽部 )
勝浦ヤンキースが体験会 (那智勝浦町 )
全日本高校女子サッカー和歌山大会
最後の「紀の国トレイナート」 (31日から )
本州最南端・紀伊半島を舞台に2014年から7年間続いてきた「紀の国トレイナート」が今年、ラストランを迎える―。「紀の国わかやま文化祭2021(第36回国民文化祭・わかやま2021、第21回全国障害者芸術・文化祭わかやま大会)」の地域文化発信事業に位置付けられている今年のトレイナートは31日(日)から11月21日(日)にかけて開催。現在、御坊市から新宮市までのJRきのくに線と紀州鉄道の列車内と駅舎、沿線地域では、31日の開幕式に向け参加アーティストによる制作が進んでおり、突如現れたアートが道行く人たちに驚きと興味を与えている。
新宮市のJR三輪崎駅付近の海沿いの土地では、現代美術家・中村岳さんが21日から木材を使用した作品制作に取り掛かった。22日の取材時にはピンク、青、黄色、紫色に着色した木材が約5㍍もの高さに組み上がり、通り過ぎる歩行者や運転手らの目を引いていた。
「“場所”がキャンバス。景観に合わせて自由に発想し創っている」と中村さん。「現代美術家にとって、人を驚かすことはある種の使命」と話す。
作品について「絵画では2次元に3次元的要素を持たせる。いわば虚構の世界。立体物だが絵を描くように、空間に線を描いているイメージ」と説明。
木材は築100年を超える古民家を解体した際の廃材を使用しているそう。「ノーコンセプトでノープラン。場所に5分立つとイメージが湧く」と語るように、当初ピンク一色で予定していた作品は、アザミやススキ、セイタカアワダチソウなどの野草と海の青色に触発され色を増やした。
トレイナート初年度の2014年にも三輪崎駅舎前で作品を展開した中村さん。熊野について「素朴で景色もきれい。人なつっこくてアーティスティックでしゃれた人が多い。魅せられてます」と話していた。
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那智勝浦町の湯川海水浴場では23日、建築家で東京理科大学教授・和歌山大学客員教授の広谷純弘さんが、作品「時の舟」を設置。協賛する㈲白樫木材、実行委員会メンバーら5人が協力した。
広谷さんが約20年前に設計した建築のデッキが老朽化したため、板を張り替えた際に取り外した古い板を使用して完成した「時の舟」。古材は取り外されるまでの15年間を経て、アート作品として新しい航海に出て行く舟に生まれ変わった。
2019年、同作品で参加した際には、台風で作品が波にさらわれた。地元の人たちにより引き上げられた作品はこのたび、内部の板にアルミ箔を貼るなどの改良を加えたことにより、海の青と空の青を映し、万華鏡のようにキラキラと輝くオブジェに。
1本のワイヤで引っ張ることによって成り立つ作品は、板同士がお互いを支え合い、柔らかい空間を演出。古材を利用したリサイクルアートとして、環境問題にも訴え掛ける。
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同町のブルービーチ那智に突如現れた、巨大なショッピングカート。そこに住む人々の暮らしや文化との関係を、カラフルでポップな姿で表現したという。カートの着色は町立勝浦小学校の児童らが協力。作家の深尾尚子さんは「ビーチに合う元気な作品になりました。ワークショップに参加した子どもたちをはじめ、計画や設置の段階でも多くの皆さんの協力を頂き完成するこができました」とコメントを寄せている。
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臨時アート列車「紀の国トレイナート号」走行日は11月6日(土)。御坊―新宮間を巡る。期間中は各地で関連イベントや沿線のまちへのローカルダイブも行われる。問い合わせは同実行委員会事務局(電話080・5786・2652、0739・22・5064)まで。
(2021年10月27日付紙面より)
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令和3年度生涯学習講座 (太地町 )
太地町公民館は22日、町公民館で令和3年度生涯学習講座「太地城と戦国時代の熊野」を開いた。町内外から35人が参加。和歌山城郭調査研究会代表の白石博則さんが講師を務め、太地城跡の歴史や他の城との違い、当時の人々の暮らしについて講話した。
白石さんは同町には、森浦地区の頼子(よろこじ)城、太地地区の太地城、東上野地区の和田城の三つ城跡があると説明。今回は太地城をテーマに講演した。
白石さんによると、太地城は、勢力争い(戦)と海を行き来する船から料金(津料)を徴収する二つの役目があったと説明。戦については、状況証拠を基に天正9年から13年まで太地氏らは新宮の堀内氏に属していたという。
堀内氏が日高郡の湯河氏、三前郷・古座の高河原氏と抗争が進む中、太地の武士である和田蔵人と太地隠岐守らが太地城を築いて、それらと戦ったと説明した。
河口に港があって城が築かれることは多いが、太地城は湾に港があって城があることから珍しいと主張。航行する船からスムーズに津料を徴収することと、徴収者の安全を保障するために必要なシンボル的存在だったのではと解説した。
太地城について▽主郭とやや離れた駐屯部がある▽海上や湊が見えることに加え、太田川流域への山道も押さえることができる▽北西からの侵入は多重の堀切で遮断する―などの特徴を挙げた。
安宅氏や周参見氏、西向小山氏などの他の熊野の水軍領主の城館と比較し、太地城は周参見の藤原城にも共通する主郭以外に少し離れて別の曲輪を持っているとし、「湾の奥に位置し、湾内を見下ろす太地城の在り方はこの太地の地に生きた人々の存在形態やなりわいと関係する可能性があるのでは」などと説いた。
白石さんは太地城は町にとっても価値のある城跡と評価して活用を呼び掛けたほか、「太地町は古式捕鯨で有名な町。それ以前の歴史もしっかりとあるが資料は少ない。その部分の歴史にも興味を持っていただけたら幸いです」と締めくくった。
12月開催分の講座では太地城の現地見学を行う。
(2021年10月27日付紙面より)
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那智勝浦町南大居の交流センター太田の郷で24日、「HALLOWEEN FESTIVAL(ハロウィーンフェスティバル)」があった。当初の予定人数を超え、子どもと保護者合わせて約50人が参加。ゲームなどさまざまな催しで盛り上がった。
ハロウィーンにちなみ、仮装する子どもの姿もあった。はじめにフェースペインティングが行われ、子どもたちは「月」「コウモリ」「虹」など、自身の好きな模様を選んで関係者にペイントを施してもらった。
続いて、景品がもらえるボウリングや輪投げ、菓子作りやビンゴゲームなどを楽しんだ。ボウリングに熱中していた子どもたちは「やった、当たった」「もう1回したい」「景品がもらえてうれしい」など、笑顔ではしゃいでた。
太田の郷によると、最近ではバイキングの再開や、ヨガや太極拳などの各教室の利用者が増加するなど、施設の利用の幅が広がってきたという。
石田一事務局長は「予想以上に人が集まってくれてありがたい。コロナの影響で各地のイベントも少ない状況もあり、子どもたちの喜ぶ姿を見ることができてうれしいです。現在は状況も落ち着いてきているので、コロナ対策は徹底し、今後のクリスマスなどのイベントも開催していきたい」と語った。
(2021年10月27日付紙面より)
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第1回紀宝町総合教育会議
本年度の第1回紀宝町総合教育会議が25日、同町神内の紀宝はぐくみの森であった。委員らが各種取り組みを確認し、施設内の町立図書館、子育て支援センターを見学した。
会議は2015年4月1日施行の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正により、町長と教育委員会が協議・調整を行う場として設置。教育施策の一層の充実につなげることが狙い。同町では、西田健町長、西章教育長と大岡春雄、山中富行、大前妙子、柳澤進の各教育委員で構成。
冒頭、西田町長が「図書館は4月にリニューアルオープンした。地域子育て支援センターと連携した総合的な施設として事業を展開し、子どもの読書活動の推進や生涯学習の充実を図っていく」とあいさつした。
町立図書館は岸葉子館長が、子どもの発達と図書館の読書活動推進事業との関わりを紹介。現在、ブックスタート事業、子育て支援講座、絵本よみきかせボランティア養成講座、赤ちゃんのおはなし会などを展開しており、今後は赤ちゃんの読書会、幼年文学の読み聞かせ、わらべうた講座、百人一首大会などを予定しているという。
子育て支援センターの事業は淡海順子センター長が説明。主に未就園児を対象に遊び場の提供、育児についての相談、母親同士のコミュニティーの場の提供などを目的に09年度に設立した。
子育てを助けてほしい人の要望に応じて、子育ての手伝いができる人を紹介し、地域で子育てをサポートする「ファミリーサポートセンター」は、年々利用者が増加しているという。
淡海センター長は「子育ての孤立化を防いでいくため、センターを利用されていない方への支援も行っていきたい。子育て支援とは、子育て世帯を丸ごと受け入れ、一緒に子育てする仲間をつくること」と伝えた。
(2021年10月27日付紙面より)
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那智勝浦ゴルフ倶楽部
令和3年度シニア選手権競技 (那智勝浦ゴルフ倶楽部 )
新熊野少年野球大会など
イオンSSカップサッカー大会
国の重要無形民俗文化財の「那智の田楽」が復興し今年で100年を迎えることを記念し、那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)宝物殿で15日から、「那智の田楽復興百年記念特別展」を開催している。普段、目にすることのできない田楽に関する貴重な文書類などを公開している。展示は12月14日(火)まで。
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那智の田楽は豊作を祈り、笛や太鼓に合わせて踊る民俗芸能。同大社の例大祭と宵宮(よいみや)の両日に奉納されており、約600年以上の歴史がある。
同大社によると、明治維新を迎え、神仏判然令が出されたのを機に、田楽の担い手であった社僧(衆徒)が還俗(げんぞく)して那智山を去ったことから、田楽は一度途絶えてしまったという。
それから50年後の1921(大正10)年に再興。76(昭和51)年に和歌山県初の国の重要無形民俗文化財の指定を受け、2012(平成24)年にユネスコ無形文化遺産に登録された。田楽は現在、那智山の住民を中心に組織される那智田楽保存会によって伝承されている。
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今回の特別展では板の両面に田楽の演目と舞方の社家名を記した「恒例六月会田楽(こうれいろくがつえでんがく)」や田楽が再興されたことを記した「田楽再興日記」、指南書である「田楽要録」、復興後の田楽含む例大祭の記録「田楽復興史」、田楽衆の衣装を納める「田楽衆装束箱」、1809(文化6)年から13年にかけて田楽に関係する記録が板に記された「田楽記録板」などが拝観できる。
また、恒例六月会田楽と田楽再興日記、田楽記録板は、国指定の重要文化財である「熊野那智大社文書」61点の中に含まれている貴重なものだという。
さらに今回の特別展に合わせ、通常時は非公開の県指定文化財「熊野十二所権現古神像」も展示されている。この15体の古神像は、実際に同大社のご神体として祭られていたもの。戦国時代の戦火で那智山が焼けた際に、豊臣秀吉から建物などの再建の命を受けた秀長が復興の際に納めたものだという。
担当者は「復興から100年の特別展のため、普段は見ることのできない貴重な展示が多くあります。加えて、普段は複製だが、熊野比丘尼(びくに)が布教活動に使った『那智山宮曼荼羅』の実物を見ることができるので、ぜひご来場いただけましたら」と話している。
入場料は300円、中学生以下は200円(未就学児は無料)。時間は午前8時30分から午後4時まで。
(2021年10月20日付紙面より)
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松山隣保館で出前講座 (新宮市 )
新宮市の松山隣保館で18日、在宅療養についての出前講座があった。新宮市医師会の在宅医療相談員で看護師の来馬正美さんが紙芝居「最期まで自分らしく暮らすために!~『もしも』の時に備えて~」を読み、参加者4人と人生の最期の過ごし方や延命治療の在り方を考えた。
新宮市主催。在宅療養とは、住み慣れた自宅や施設で在宅医や訪問看護師、ホームヘルパーによる医療と介護を受けながら療養生活を送ること。
来馬さんは、療養する場所には自宅、施設、病院の三つの選択肢があると述べ、それぞれのメリットとデメリットを解説。回復の見込みがない最終時点にある患者に人工呼吸器の取り付け、点滴や胃ろうによる栄養投与を行う延命治療についても話した。
「どのような医療を望むのかは、その人の価値観次第。その選択が必要になるのは、ずっと先かもしれないし、明日かもしれない。『もしも』のときは自分の意思を伝えられないことがほとんどなので、今の自分の意思を書き記しておくことが大事です」と呼び掛けた。
参加者からは「延命治療は望んでいないけれど、家族は反対のよう。ちゃんと話し合っておかないと」などの声があった。
在宅医療については市在宅医療相談窓口(電話0735・29・7211、携帯080・2477・1818)、高齢者の困り事については市地域包括支援センター(電話0735・23・3306)で相談を受け付けている。
(2021年10月20日付紙面より)
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神内神社で初穂祭 (紀宝町 )
紀宝町神内の神内神社(宮地秀直宮司)で17日、初穂祭が行われ、稲の豊かな実りに感謝した。
60年ほど前までは初穂2束を供え、祭が終わった後から稲刈りが行われていた。収穫時期が早まった現在は新米を供えており、今年も地元の人らが収穫した米を並べ、五穀豊穣(ほうじょう)に手を合わせた。
この日の神事には総代会長の下澤深さん、区長の川原田規泰さん、農業委員の中西和益さん、総代らが参列。例年は御神体の巨岩の前で行うが、午前中に雨が降ったため、社務所で執り行った。
あいさつした宮地宮司は「神様の恵みを頂いたことに、お礼をする祭り。コロナ禍で昨年、一昨年と祭りも様変わりしてしまい、今年は(稲の豊作を願う)弓神事もできなかったが、来年こそはできたらいい」と語った。
神内神社は「子安の宮」と呼ばれ、地域内外から安産祈願に人々が訪れることで知られる。例祭は毎年11月23日に行われている。
(2021年10月20日付紙面より)
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串本古座高オープンスクール (串本町 )
和歌山県立串本古座高校(左近晴久校長)は16日、同校でオープンスクールを実施した。県内外の13校から中学生67人が参加し、学校紹介やクラブ体験を通じて進学への意識を高めた。当初は9月に予定していたが新型コロナウイルス感染症の影響で延期していた。
学習内容や学校生活を体験し、理解を深めてもらおうと中学3年生を対象に毎年実施している。同高校は全国募集を行っており、今回は串本・古座川の両町と那智勝浦町、すさみ町に加え、橋本市や大阪府、愛知県の中学校からも参加があった。
学校紹介では同高校生徒らが▽アドバンスト▽クリエイティブ▽グローカル―の各コースと特徴、学校行事、「水産生物探求」「マリンスポーツ」「南紀食文化研究」「介護福祉基礎」の特色ある科目の説明をした。また、串本古座高校地域協議会が運営する県内唯一の校内塾「くろしお塾」の紹介もあった。
クラブ体験もあり、参加車らはソフトテニスやサッカー、剣道、演劇、CGSなど11の部活動から興味のある内容を選択して参加していた。
(2021年10月20日付紙面より)
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新宮市民スポ祭グラウンドゴルフ大会
バスケット・卓球・剣道
熊野速玉大社「新宮の速玉祭」
国の重要無形民俗文化財(重文)の指定を受ける新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)の例大祭「新宮の速玉祭(はやたまさい)」が執り行われ、16日には神輿(みこし)渡御式と御船祭(みふねまつり)が営まれた。
例年なら「わっしょい」の掛け声とともに市内を巡行する神輿渡御。今年は新型コロナウイルス感染症拡大予防のため、昨年に引き続き小神輿を使用。神馬(しんめ)に乗った「一ツ物」に先導され、熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)の御神霊が神遷(うつ)し場に向かった。
熊野大橋上流の「神遷し場」で朱塗神幸用船に遷され、諸手船(もろとぶね)、供奉船とともに御船島に向け出発。漕手の密集密接を避けるため早船競漕(きょうそう)が中止となる中、古式ゆかしく御船島を廻(まわ)った。
その後、熊野川河原の乙基(おとも)の御旅所(おたびしょ)では、「神輿所」に設けられた杉ノ仮宮で、前日同様に御旅所神事が営まれた。
祭りを終え、上野宮司は「コロナ禍だが天候に恵まれ、心穏やかに執り行うことができた。皆さま方のお力添えの誠」と感謝。
「これを縁に、熊野への信仰と、かけがえのない祭りを日本の祈りとして未来につないでいきたい」と話していた。
熊野地方はこれから、本格的な秋を迎える。
(2021年10月19日付紙面より)
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皆さんの声を大事に市政に (熊野市長選 )
任期満了(11月12日)伴う熊野市長選挙が17日告示され、現職の河上敢二さん(65)が無投票で5選を決めた。4候補で競った2017年の市長選と一転し、今回は対立候補がなかった。1998年12月に合併前の旧熊野市長に初当選し、通算では7選目となる。
河上さんの公約は、コロナ禍で痛めつけられた市民の日常生活を取り戻し、経済の回復と再活性を図ることや安心して暮らせる福祉社会、万全な防災対策の実現など。市内を街宣車で巡り、午後5時に井戸町の選挙事務所へ帰着。直ちに始まった祝勝会で集まった支援者に当選のお礼を述べ、「小さくても元気なまちにしたい。3回目の無投票当選だが、やっと勝たせていただいたとの思いで取り組む。皆さんの声を大事にして市政に当たる」と約束。コロナ感染症予防に配慮して万歳三唱を省略し、お茶で乾杯した。
会場には松阪市長や近隣の首長、議会議長らも祝福に駆け付けた。
(2021年10月19日付紙面より)
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下里小で文化庁巡回公演 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立下里小学校(泉一代校長)で14日、NPO法人国際文化交流促進協会カルティベイトによる巡回公演「これがヒップホップダンス!」が開かれた。同小と町立太田小学校(上地巳奈子校長)の児童がプロダンサーによるパフォーマンスに見入り、一緒にヒップホップに挑戦した。
文化庁の「令和3年度文化芸術による子供育成総合事業」の一環。ヒップホップは1970年代前半にアメリカ・ニューヨークの路上で若者たちによって生みだされた音楽・ダンス・アートを中心とする文化である。
公演には世界中で活躍する9人のダンサーが登場。▽メリハリのある動きや指をさすポーズが特徴的な「ロックダンス」▽体の筋肉をはじくような面白い動きの「ポップダンス」▽片手で逆立ちや回転をするアクロバティックな「ブレイクダンス」―の三つのスタイルを披露した。
児童はステージ上で繰り広げられる激しいダンスバトルに大喜びで「カルティベイト最高!」と歓声を上げた。楽曲「Uptown Funk」では振り付けを教わり、一緒に踊る一幕もあった。
カルティベイト・リーダーのEGAさんは「みんなの中から世界的なダンサーが生まれたら、ぜひ一緒にステージで踊りましょう」と呼び掛けた。
児童を代表して下里小学校の中地礼香(らいか)さん(6年)が「忙しい中、公演に来ていただいてありがとうございました」とあいさつ。向山遙乃さん(太田小6年)は「ダンスの動きがすごかった」。峰山英心君(下里小1年)は「ブレイクダンスのポーズがかっこよかったし、踊るのも楽しかった」と話していた。
新型コロナウイルスの影響で参加できなかった韓国のダンサーからは「みんなでコロナに打ち勝っていこう。来年は必ず日本へ」とメッセージが寄せられた。
(2021年10月19日付紙面より)
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任期満了(10月29日)に伴う新宮市長選挙と、議員辞職に伴う市議会議員補欠選挙(欠員1)が17日、告示された。市長選では届け出順に現職の田岡実千年候補(60)=無所属、新人で元市議の松畑玄候補(49)=同、同じく新人で元市議の上田勝之候補(56)=同=の3人が、市議補選では届け出順に新人の中山忠吏候補(51)=無所属、元市議の大石元則候補(67)=同、新人の月輪匡克候補(54)=同=の3人が立候補。雨模様の空の下、舌戦がスタートした。投開票日は24日(日)。
人口減少対策や市民生活向上策、新型コロナウイルス感染症対策などが争点となる見通し。午前8時30分に市福祉センターで立候補の届け出を済ませ、選挙の七つ道具を受け取った6陣営は、各後援会事務所前で出陣式を開いた。各候補はマイクを握り、大勢の有権者たちに支持を呼び掛けそれぞれ演説場所へ向かった。
市選挙管理委員会によると、16日現在の選挙人名簿登録者数は2万3773人(男1万833、女1万2940)。
(2021年10月19日付紙面より)
下里小で青少年劇場 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立下里小学校(泉一代校長)で7日、全校児童75人を対象とした青少年劇場小公演「はなしの伝統芸能『落語』」があり、噺(はなし)家の柳家禽太夫(きんだゆう)さんが落語の面白さや社会におけるルールの大切さを訴えた。
公益財団法人日本青少年文化センターが都道府県と連携して実施している事業。子どもたちが一流の芸術に触れる機会をつくることで、豊かな人間形成の一助とすることが目的。
禽太夫さんは柳家小三治に入門し、「小のり」の名で初高座。2001年に真打に昇進し、全国各地の落語会や東京都内の寄席に出演するなど、精力的に活動している。
禽太夫さんは落語の基礎について優しく説明。筆や紙などを表現する際に扇子と手拭いを用いるとし、顔が左右を向くことで別人を演じているなどと解説した。
まんじゅうを食べるしぐさなども紹介して笑いを取り、「しぐさでいろんなものに見立てていくことや、頭の中に情景を思い浮かべてもらうのも落語の特徴」と述べた。
6年生の菅浩士君、川口慶次君、桃井勇起斗(ゆきと)君の3人も小話に挑戦。1人ずつ高座へ上がり、小話を見事にやり遂げ笑いを取った。
最後は犬が人間になった様子を描いた落語「元犬(もといぬ)」を禽太夫さんが披露し、児童は笑い声を上げ、拍手を送った。
禽太夫さんは「見たり、聞いたりして集中している時は人の邪魔をしないようにしましょう。邪魔をすると人の時間やお金を奪ってしまうことになる。ルールを守れる大人になってください」と締めくくった。
児童を代表して児童会役員の小谷恵菜さん(6年)が「面白い落語を聞かせていただきありがとうございます。とても面白かったです」と感謝を述べた。
柴原寛教頭は「全学年が笑える楽しい時間を持つことができた。公共のマナーについてのお話もしていただき、学校としてもありがたい」と話していた。
(2021年10月9日付紙面より)
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救急医療功労たたえ伝達 (くしもと町立病院 )
くしもと町立病院の院長代理を務める秋山裕由(ひろゆき)医師(63)が7日、本年度の救急医療功労者に対する知事表彰の伝達を受けた。
この表彰は関係者の意識高揚による救急医療対策の推進を目的とし、その功績が特に顕著な個人や団体を対象にして1994年度から贈呈している。本年度は医師10人を被表彰者として選び、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から例年の表彰式は取りやめて順次被表彰者を訪ねて表彰状などを伝達する形で功績をたたえている。
秋山医師は大阪府大阪市出身。近畿大学大学院を修了して医学博士となり、94年4月に南和歌山医療センターへ赴任、2012年8月から院長代理として同病院へ赴任し現在に至る。呼吸器内科担当医として27年にわたり県内の地域医療に貢献する中、後進の育成や福祉施設との信頼構築による円滑な救急医療の充実に努め、最近では新型コロナウイルス感染症対策面でも陣頭指揮を執って地域における感染拡大防止にも尽力している。それら功績が評価され、本年度の被表彰者として選ばれた。
この日は新宮保健所の和田安彦所長らが同病院を訪問し、同病院側が整えた会場で秋山医師に表彰状と記念の盾を伝達。秋山医師は「この表彰は私の名前だが、今まで診療に携わってこられた方々全てで受けたものと理解する。人間至る所に青山ありの節目としてありがたく拝受し、今日より明日への励みとして診療を続けていきたい」と述べて感謝した。
共に診療に当たった専門家集団と患者やその家族から力を頂き時には慰めも頂きながら育てたからこそ今がある、と27年の歩みを振り返る秋山医師。今後は人間到る所青山ありにどこまで迫れるかを医の道で目指すこと、自分の良心の声に従い続けることを心掛けて頑張りたいと心境を語った。
(2021年10月9日付紙面より)
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鳥羽市長が鮒田区の防災を視察 (紀宝町 )
鳥羽市の中村欣一郎市長と防災担当を含む各課職員が8日、紀宝町鮒田地区を訪れた。鮒田自主防災会の東口高士会長から2011年9月に発生した紀伊半島大水害の被害状況を聞き、避難所や高台に完成した一時避難場所などを視察した。
当時、県議会議員だった中村市長は紀伊半島大水害後、熊野市紀和町でボランティアに携わり、鮒田地区にも視察で訪れている。
鮒田構造改善センターで西田健町長は、当時の広報きほう、町防災情報共有システム、各種防災関連事業を紹介し「広報には災害支援制度を掲載し活用していただいた。大きな災害を受けて、多くの皆さまに支えていただき、復旧・復興につながった。地域のご努力が一番ありがたかった。地域と連携して今後も防災・減災につなげたい」と話した。
中村市長は「10年前のご縁があって訪問させていただいた。広報12月号の写真にインパクトがあり、現地に出向こうと思っていた。紀宝町との共通点もあり、多くのことを学びたい」と述べた。
水害発生時、鮒田地区は約13㍍浸水し、家屋の全壊が5棟、大規模半壊128棟、半壊41棟などの被害を受けた。多くの住民が深夜に避難所から山頂まで歩いて逃げた。
東口会長は「水門、輪中堤があり大丈夫だと思い込んでいたが、昔からの言い伝えで助かった人もいる。現場は地元の判断が大切」と振り返り、水害を教訓にした地区タイムラインを説明。「地域のことは地域で考える。生活の中に防災を組み込むことが大切」と共助の必要性を示した。新型コロナウイルス対策として、山口建設から寄贈があった「抗原検査キット」も備蓄しているという。
高台の一時避難場所で防災倉庫や備蓄品などを確認した中村市長は「当時は被害の状況だけを見たが、今回、視察して持続可能な準備ができていることが分かった。地域の力を付ける総合力になっており、地域共生社会そのものだと感じた」と話していた。
(2021年10月9日付紙面より)
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文化ホールを一般開放 (新宮市 )
新宮市は8、9の両日、市文化複合施設「丹鶴ホール」(同市下本町)内文化ホールを一般開放している。8日には市内外から大勢が来館し、新しいホールと舞台の広さや完成度を確かめた。
3日に記念式典の開催をもって開館した同施設。5日から通常業務を開始したが、文化ホールは安全管理上、イベント開催時以外は開放していない。
このたびの一般開放は、新型コロナウイルス感染症の影響で8月に予定していた施設内覧会が中止となる中、普段見る機会の少ない舞台側からの景色を楽しんでもらおうと企画。2日にわたって開放し、新ホール披露の機会とした。
文化ホールでは今後、多くの自主事業や貸館事業が控えているほか、今月30日(土)から和歌山県を舞台に開催される「紀の国わかやま文化祭2021(第36回国民文化祭・わかやま2021、第21回全国障害者芸術・文化祭わかやま大会)」の舞台の一つとなる。
ホール貸館の本年度の予約率は58・8%。土・日・祝日は75・9%。10~12月の間では77・3%で土・日・祝日は80・8%(9月6日現在)。新型コロナの影響で若干のキャンセルが出ているという。
9日の舞台一般開放時間は午前10時~正午(最終入場11時30分)と午後1時~4時30分(同4時)。市は、新型コロナ感染防止対策への協力と、体調がすぐれない場合は来場を控えるよう呼び掛けている。
(2021年10月9日付紙面より)
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後期ホップリーグ3日目 (和歌山県サッカー協会 )
那智勝浦町総体グラウンドゴルフ大会
【第41回】孤食のフォロー法
食育の話をすると、「孤食」という言葉をよく見ると思います。孤食はいけない!といわれていますよね。確かに、食卓でのコミュニケーションは、子どもたちのメンタルにとてもいい作用があります。一人で食べる子どもより、家族と会話をしながら食べている子どもの方が、自己肯定感が高いという研究結果もあります。では、孤食の何が問題なのか、それはズバリ「子どもが孤独に感じること」なんです。一人でテレビを見ながら食べる食事は、大人だっておいしいとはなかなか思えないですよね。大勢でわいわい食べる食事は、何を食べてもおいしく感じるものです。一人で食べることで、寂しいと感じてしまうことが、一番子どもにとってつらいことだと思います。
孤食とひと言で言っても、色々なタイプがあると思います。大人が近くにいて一人で食べる。一人で何かを買って食べる。親が用意してくれた食事を食べる。兄弟・姉妹と一緒に食べる。大人が近くにいると孤食ではないと考える人もいるかもしれませんが、私は、これも孤食だと思っています。どれだけ近くにいても、膝を突き合わせて、会話をできる状況でなければ孤食になります。子どもにとって、共食とは大人と一緒に会話をしながら食事をするということなんです。
では仕事の都合やさまざまな事情で子どもに孤食をさせなければいけなくなった場合、どうフォローをすればいいのでしょうか? まず、お勧めしたいのが、コミュニケーションのフォローです。食事の時間に一緒にいられなくても、帰宅後お茶でも飲みながら、今日あったことなどを話してみてください。会話をする時間があれば、それは食事の時間でなくても大丈夫。話をたくさん聞いてあげるようにしましょう。きちんと向き合って、会話ができていて、わかってくれていると子どもたちが感じることができれば、孤食も怖くありません。孤食をさせてしまった日は電話でもメールでもいいので、必ずコミュニケーションを取ることにしましょう。その日がどうしても無理な場合は翌日いつもの倍コミュニケーションを取れば、大丈夫です。
そして、さらに意識してほしいのが翌日の食事です。やむを得ず孤食をさせてしまった場合は、できるだけ翌日、家族でゆっくり食事を取るようにしてください。朝食でも夕食でも大丈夫。家族がそろう時間の食事を大切にしてあげてください。孤食は続くほど、子どもには悪影響です。
そして最後に忘れないでほしいのが、声がけです。一人で食事をさせたときは「ありがとう助かった」「一人で食べさせてごめんね」と必ず声をかけてあげてください。私もまだまだ勉強中ですが、調べれば調べるほど、子どもたちは親の声がけを聞いていないようできちんと聞いているのです。
慌ただしく忙しい毎日の中ですが、どうか頑張りすぎず、罪悪感を持たず、笑顔で子どもと向き合ってあげてください。それが、子どもたちにとっては一番の栄養剤であるはずです!
(2021年10月9日付紙面より)