熊野川で総合水防演習
熊野川総合水防演習実行委員会(国土交通省、和歌山県、三重県、新宮市、田辺市、那智勝浦町、太地町、古座川町、北山村、串本町、熊野市、紀宝町)は28日、新宮市の熊野川河川敷で「令和4年度熊野川総合水防演習」を実施した。国交省近畿地方整備局、和歌山、三重の両県、熊野市~田辺市の各自治体や消防など36団体から約600人が参加。総合的な水防演習を通して地域防災力の継承を図った。
2011年の紀伊半島大水害では各地で土砂氾濫、河川氾濫が発生し、多くの尊い命や多数の財産が失われた。同演習は大水害で得た教訓を未来に継承するため、当時被災した周辺自治体が参画し水防技術の向上・伝承を図るとともに「流域治水」への転換の観点を踏まえ、幅広い主体が参加する実践的な訓練により、地域の防災知識の普及や防災意識の向上、災害対処能力のさらなる向上を図ることを目的とするもの。
演習テーマは「紀伊半島大水害を教訓とした地域防災力を未来に継承~いのちを守る経験を次の世代へつないでいく~」。熊野川における総合水防演習は初で、和歌山県内では紀の川での開催から12年ぶりとなる。
開催に先立ち、先の大水害の犠牲者に黙とうがささげられた。開会式では国旗掲揚に続き、山田邦博国交省事務次官が「国民の財産、生命を守るために、引き続き全力で取り組むとともに、皆さまとの連携を一層強化していきたい。演習を通じて、関係機関と地域住民の皆さまが一体となった防災・減災の取り組みの強化を改めてお願いします」と名誉総裁の斉藤鉄夫国交相のあいさつを代読した。
統裁の仁坂吉伸和歌山県知事は「精いっぱい技量を発揮して思いをさらに高め、実際に災害が発生した際には被害を最小限に食い止められるよう期待している」、一見勝之三重県知事は「災害に立ち向かう強い気持ちが大事。今日の訓練が実りのあるものになれば」。
全国水防管理団体連合会の溝口宏樹事務局長代理が脇雅史会長のあいさつを代読し「関係機関が一丸となって取り組む訓練は極めて重要。住民に安心していただけるよう演習を」と呼びかけた。
来賓の二階俊博衆院議員は、関係者の日頃の尽力に感謝を述べ「その崇高な使命を担い、地域のために一層のご活躍を」。
鈴木英敬衆院議員は「訓練でできないことは本番でもできない。緊張感を持って、訓練が有意義になることを祈念している」とあいさつした。
演習は、紀伊半島大水害に匹敵する恐れのある降雨や河川氾濫が発生したとの想定の下、水防、救出・救護、避難の各訓練に分かれて実施。訓練の様子や関係機関の情報共有の様子は会場内に設置された大型モニターに映し出された。
▽ヘリコプターによる被災状況調査▽大型土のう設置による応急対策工▽排水ポンプ車による緊急排水訓練―や、ヘリコプターや専用機器を駆使した救助・緊急搬送、負傷者のトリアージや応急救護、浸水区域内建物や土砂埋没建物・車両からの救出訓練なども行われ、参加団体はそれぞれの持ち場で日頃の訓練の成果を発揮。協力体制の下、各種訓練に挑んだ。
約2時間におよぶ演習後には、総裁の東川(とがわ)直正・近畿地方整備局長が講評。「もうすぐ出水期がやってくる。これまでの取り組み、今日の訓練を糧にしてほしい」と呼びかけ、協力体制のさらなる強化を誓った。
また、演習の指揮官を務めた中谷健兒・新宮市消防団長に対し、川尻竜也・紀南河川国土事務所長から感謝状が贈られた。
(2022年5月29日付紙面より)
那智勝浦町区長連合会(会長=串俊男・橋ノ川区長)は27日、同町の体育文化会館で総会を開き、本年度の行事計画案、予算案などの上程議案全てを承認した。令和4年度永年勤続区長の表彰では出席した大江清一・中里区長と長雄正紘・市野々区長の2人に堀順一郎町長から表彰状および感謝状が贈呈された。
区長連合会は町内の55区で組織。区長相互の親睦を図り、町当局との連携を密にし、区民の福祉増進のために組織する。これまでには町花火大会実行委員会、南の国の雪まつりなどのイベントなどにも協力している。
2021年度は地区代表者会議や三役会議などを行った。また、新型コロナウイルス感染症の影響で研修視察は中止となった。
22年度の行事計画は地区代表者会議や、区長連合会研修視察、高速道路の要望活動などを実施する予定とした。
串会長は「各区においては、祭りごとなどの伝統を受け継ぐ使命もあり、参加者にとっては地域の連帯感を強めることにつながる。しかし、広域による連合会の存在意義となれば、果たして肯定的に考えて理解する住民はいかほどなのでしょうか。寸進尺退な制度なのでしょうか。超少子高齢化社会においても必要な制度と考えるのであれば、行政サービスと住民の役割の混在から脱却し、新たなパートナーシップを考えていかなくてはならないのでは」とあいさつ。
堀町長は「区長の皆さまには、地域の課題解決や伝統を守るために日々、ご尽力を頂き感謝している。住民の意識の多様化や高齢化、コロナ禍の中で、区の行事や祭りも盛大にできない状況。区と町が一緒になって盛り上げていけるような行政を目指したい」と話した。
同町議会の荒尾典男議長も区長の尽力に感謝し、祝辞を述べた。
表彰者を代表して長雄区長は「感謝状をいただき、5年間を振り返る良い機会となった。市野々区長として、防災訓練をはじめとする地域活動を継続できたのは、支えてくださった皆さんのおかげだと感謝しています。今後も変わらず、ご支援賜りたく思います。本当にありがとうございました」とあいさつした。
その後、今年12月にロケットの打ち上げを予定しているスペースワン株式会社とスペースポート紀伊周辺地域協議会から、事業概要や打ち上げによる経済波及効果、交通渋滞対策などについて説明があった。
(2022年5月29日付紙面より)
ツール・ド・熊野
第22回ツール・ド・熊野の第1ステージ「赤木川清流コース」が27日、新宮市熊野川町で行われた。18チーム105選手が熱戦を繰り広げ、窪木一茂選手(チームブリヂストンサイクリング)が2時間31分17秒で優勝した。2位にはネイサン・アール選手(チーム右京)、3位に織田聖選手(EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム)が入った。
第1ステージは同町の赤木川沿いを走る16・4㌔を7周する114㌔で実施。レースは、4周目に入り6人がリード。メイン集団に対して30秒ほどのリードを広げるが、最終周回でマトリックスパワータグやブリヂストンサイクリングなどの他チームがペースを上げ先頭集団に追い付いた。
勝負はゴール前のスプリントに持ち込まれ、窪木選手が両手を上げながらフィニッシュラインを通過し、大接戦を制した。
地元キナンレーシングチーム勢では、畑中勇介選手の4位が最高位だった。
(2022年5月29日付紙面より)
土砂災害に備え訓練 (那智勝浦町 )
雨のシーズンを間近に控え、那智勝浦町は28日、「市野々区土砂災害防災訓練」を同区で実施した。大雨による避難指示発令を想定、地域住民が町立市野々小学校の体育館に避難した。ドローンによる情報収集の実証実験もあった。
2011年の紀伊半島大水害を教訓に、14年から訓練を開始。例年なら井関、八反田区も加わるが、コロナ禍の影響で昨年から不参加となっている。
今回は、同区自主防災組織から16人、同町から14人、同町消防本部から3人、町消防団第4分団から13人が参加した。
台風に伴う大雨の影響で、町はまず「高齢者等避難」を、続いて「避難指示」を発令した。「高齢者等避難」の発令段階で同区自主防は、事前に把握している要支援者に連絡。自宅に車で向かい、乗せて同小体育館へと避難させた。
町により、防災無線で避難情報が広報された。消防団も地域を放送車で巡り避難情報を伝え、加えて河川の水位情報を消防本部に伝えた。
地域住民も、避難指示の発令を待たず、避難を開始。最終的に、男性10人、女性20人、世帯数で23世帯が避難した。
また町は自主防と協力し、避難者名簿の作成や、災害対策本部である役場本庁との情報伝達を行った。
ドローンは、新宮市三輪崎のアドホックが飛ばし、映像をモニターに映し出した。また体育館には、簡易テントや簡易トイレ、スポットエアコンなどが展示されていた。
同区長で自主防災組織会長の長雄正紘さん(78)は、講評で近年、ゲリラ豪雨や地震が頻発していることに言及。「この辺りも山が崩れるかも。各自が先頭に立って逃げ、それぞれが自分の命に責任を持って避難を。地震の揺れが収まったら、一分一秒でも早く逃げて」などと呼びかけた。
(2022年5月29日付紙面より)
「磯のいきもの観察会」 (太地町立くじらの博物館 )
太地町立くじらの博物館(稲森大樹館長)は15日、森浦湾の磯で「磯のいきもの観察会」を開いた。同館水族館担当の荻原拓さんらの解説の下、町内外から参加した親子4組13人は磯や潮だまりに生息する生き物を観察し、生態などを学んだ。
観察会は魚類やヤドカリ、エビなどの無脊椎動物の観察、採集を通して種類や生態を学ぶとともに、海を利用する際の危険や注意の普及啓発を行う目的で昨年から実施している。
参加者は同館園内に集合し、徒歩で森浦湾の磯へ移動。荻原さんから、湾内に生息するウツボやハオコゼ、ガンガゼ、カツオノエボシなどの危険な生物の紹介や海での事故防止について説明があった。
参加者はライフジャケットや軍手を装着後、網とバケツを持って、磯や潮だまりで生き物の観察や採集に取り組んだ。
「ヤドカリ見つけた」「魚おった」「海草が柔らかい」と笑顔ではしゃぐ子どもたちの姿が見られた。その後、各自で採集した生き物約20種類を大きな水槽に移し、荻原さんが特徴や生態を解説した。
町内から参加した山下みつきさん(太地小5年)は「生き物を捕まえたり、観察ができてすごく楽しかった。いろいろなことを知れたので、家でも家族に話してあげたいです」と語った。
荻原さんは「当館はクジラを専門としている博物館。そのクジラやイルカが生息する豊かな海を支えている小さな生物たちにも目を向けていただきたかった。子どもさんたちには観察会を通して、水温を直接感じ、海草を踏む感触や生き物に触れることなどを体感して、楽しんでいただけたら幸いです」。
稲森館長は「皆さま方に、自然に直接触れて体験していただける機会として昨年から実施している。どのような頻度や形になるかは検討中だが、今後も観察会などの催しを拡充していく予定です」と話した。
(2022年5月18日付紙面より)
新宮ユネスコ協会が総会 (新宮市 )
新宮ユネスコ協会(個人60人、法人12社)は15日、新宮市福祉センターで令和4年度総会を開いた。会員約20人が出席する中、本年度事業や予算などを承認した。
日本では、民間ユネスコ活動から起こったユネスコ運動が、政府、国会などに波及し、ユネスコ加盟の機運が高まって
いったという経緯がある。1947年に宮城県で、世界で最初の民間ユネスコ運動団体「仙台ユネスコ協力会」が発足。新宮ユネスコ協会は2012年10月20日、和歌山県で7番目に立ち上げられた。
開会に当たり、中谷剛会長があいさつ。いまだ世界的に猛威を振るう新型コロナウイルス情勢、ロシアのウクライナ侵攻に言及し「日々、大変悲惨な状況が耳に入ってくる。国際社会や国連の無力さを感じるが私たちもなすすべなく見守っていくしかないのが現状。平和や戦争について考えていかなければならない。この総会が祈りの場となるような、実り多きものになれば」と思いを語った。
来賓の田岡実千年市長は、同協会の日頃の尽力と新型コロナ対策への協力に感謝を伝え「多くの皆さま方からの支持を受けられるようになったのは、設立メンバーの皆さま方がユネスコの理念の持つ素晴らしさと民間ユネスコ運動の意義の正当性を信じ、この世界に誇れる歴史と伝統と文化の地『新宮』を守るため、そしてより世界に開かれた地域とすべくため、熱意をもって呼びかけられた成果」と活動や取り組みをたたえた。
本年度の事業計画は▽熊野古道の実地学習と保全活動▽市町村行事、学校行事への団体参加▽ユネスコ協会連盟、連絡協議活動への参加▽書き損じはがきキャンペーンへの参加▽組織ならびに活動の活性化に向けての方策▽平和への取り組み▽会議の充実―などを予定している。新型コロナウイルス感染症の状況を見ながら、ユネスコ文化講演会の実施に向けて準備を進めていくという。
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総会後には、勢古啓子副会長による講話があった。勢古副会長は「ジェンダー平等について」をテーマに、日本におけるジェンダーバイアス(性的役割の固定的価値観)の現状について話した。
勢古副会長は、1975年に国連によって制定された「国際女性デー」(3月8日)に触れ「日本でも『女性の生き方を考える』として全国に拡大している。47都道府県中22県で開催されたが、和歌山県は不参加だった」。
また、ジェンダーギャップ指数は国連加盟156カ国中、日本は120位であるとし「日本は男女の賃金格差が大きく、役員や管理職、女性議員の割合が低く深刻な状況」と説明した。
▽管理職には男性の方が適している▽喪主は長男がすべきだ▽育児休業を男性が取るなんて考えられない―などの項目を挙げて意識チェックを促し「ジェンダーバイアスの影響を受けている人は少なくない。ジェンダー平等を実現するためには身の回りの当たり前に気付き、見直しと気付きを深めていくことで自分らしく生きられる社会が実現できるのでは」と締めくくった。
(2022年5月18日付紙面より)
星野さんの刺しゅう画展示 (補陀洛山寺 )
「東日本大震災から10年。東北の皆さまの心や思いなどを考えた際に千手観音菩薩(ぼさつ)の姿が浮かんだ」。そう話すのは刺しゅう作家として国内外で活躍する東京都在住の星野真弓さんだ。「慈愛」をテーマとし、一針一針に東北復興への思いなどを込めて作成した「レジリエンス~千手観音菩薩~」の特別展示会が16日から、那智勝浦町の補陀洛山寺(髙木智英住職)で始まった。
慈愛に満ちた表情を浮かべる千手観音菩薩が座した大作は約44万針刺し、およそ22万個のマスをクロスステッチで仕上げた。作成に使用した針も同じく展示されている。7月1日(金)まで観覧できる。
星野さんは国際平和芸術協会の特別会員や一般社団法人三月のひまわりの代表なども務め、日本代表団の一員として、スイス・ジュネーブ国連欧州本部で作品の展示も行われるほど。今年6月にはフランス・パリの国連教育科学文化機構(ユネスコ)本部において、桜をイメージした作品の展示も決まっている。
東日本の震災後、作品の寄贈や刺しゅう教室を開くなどして、10年にわたって東北地方の復興のために尽力してきた。
10年を機に癒やしや鎮魂の願いを込めた作品に取り組むことを決意。一針入魂の思いで作業に没頭し、約80色の糸を使い用いた針は1本。5㌢ほど短くなったが折れることはなかった。
作成期間中には最愛の父を亡くした。その悲しみにも耐えながら作品に力を注ぎ、1年3カ月をかけて仕上げた。サイズは縦124㌢、横106㌢、重さ16㌔(額含む)。
災害などの困難に負けないという思いも込めて、作品名には「回復力」「復元力」「しなやかな強さ」などの意味を持つレジリエンスを加えた。完成後は東北地方、千葉、佐賀県など各地で巡回展を実施してきた。
今年1月、母と共にクルーズ船の旅に出かけ、船が新宮港へ着岸。タクシーで周遊した際、偶然にも最初に立ち寄ったのが同寺だったとし、「補陀洛山寺のご本尊は十一面千手観音菩薩。ご縁を感じた。自身の作品や巡回展のお話をさせていただいた」と述べ、今回の展示に至ったと話した。
同寺の管理人である南善文さんは「素晴らしい作品の展示、ありがとうございます。ぜひ、多くの皆さまに見に来ていただけましたら」。
星野さんは「糸には思いが宿る。多くの方々のさまざまな思いと一緒に全国を回っている。現在、コロナ禍で世の中が沈んでいるが、暗闇の中にも必ず光がある。この作品が皆さまの光となり、心の豊かさにつながれば」と語った。
刺しゅう画の観覧は午前8時30分から午後4時まで。年中無休。問い合わせは補陀洛山寺(電話0735・52・2523)まで。
(2022年5月18日付紙面より)
南紀串本観光協会協力し (日本釣振興会 )
串本町くじ野川にある橋杭ビーチで16日、ヒラメの稚魚放流があった。公益財団法人日本釣振興会和歌山県支部による釣りを楽しむ環境づくりの一環で、会員の南紀串本観光協会(島野利之会長)が協力し稚魚約1200匹を串本の海へ送り出した。
同協会がフィッシングタウンとしての地域振興に打ち込む一環で同振興会の団体会員となったことで始まった取り組みで、同支部はまず4年ほど定点実施し放流効果のデータを得る方向で同協会に協力を求めている。
2回目となる今回も、県南部栽培漁業センターからふ化後約3カ月、体長8・5㌢前後まで育った稚魚を入荷。同協会の職員や会員、西向出身のアングラーズアイドル・そらなさゆりさんら関係者計8人が協力し、同ビーチ駐車場から波打ち際まで急ぎ稚魚を運び入れ、今回は沖へ出やすいよう引き波へ乗せることを意識して放った。
稚魚が同振興会の見据える大きさになるまでには3~4年ほどかかるとされ、このことが定点放流を続ける期間の一目安となっている。
2回目の実施を経て同協会の宇井晋介事務局長は「フィッシングタウンとして振興を目指す中、資源が増えてほしいなぁという思いで協力しています。稚魚は来年の今ごろには30㌢ぐらいになる予定。橋杭ビーチの活用ということでいろいろ使っていますが、(その中でレンタル提供している)フィッシングカヤックなどいろいろな形でヒラメの釣りを楽しんでいただければ」と話した。
(2022年5月18日付紙面より)
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県サッカーU―12選手権東牟婁予選