東大文学部熊野プロジェクト (新宮市 )
新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」2階熊野エリアにこのたび「東京大学文学部熊野プロジェクト新宮分室」が設置される。20日に東京大学本郷キャンパスで連携協定締結記念行事・木製看板(幅20㌢×縦60㌢)の引き渡しがあり、田岡実千年市長が藤井輝夫東京大学総長より看板を受け取った。
今年3月22日、相互に連携協力することにより次世代人文学の構築、市・熊野地方における学術の振興と地域活性化に資することを目的に、連携協定を締結した同市と東京大学大学院人文社会系研究科・文学部。
このたびの新宮分室の設置は協定に基づくもので、分室には毎年数カ月程度、大学の地域連携担当の助教が来室し、同市と▽東大学生の熊野地方における体験活動▽東大院生・留学生の熊野研修および若手フォーラム▽「東大人文・熊野フォーラム」ならびにセミナー、ワークショップ▽東大教員、外国人訪問研究者による講演、セミナー―などの活動が計画されている。
看板の引き渡しおよび連携協定締結記念「東大人文・熊野フォーラム in 本郷」における各研究報告の様子はオンラインで配信された。
開催に当たり、秋山聰・人文社会系研究科長が締結と分室設置に至った経緯などを説明。「熊野地方が人文学にとって豊かな地であると痛感している。学生諸君がいろんな体験をするのにもふさわしい場所」。分室設置に関しては「市民の皆さんとより密接な対話ができる機会をつくっていきたい」と述べた。
田岡市長は「東大の皆さんによる活動が計画されていることを喜ばしく感じる。連携活動を通じて、熊野学の充実に一層努めていきたい。分室を拠点に、実り大きい成果が上げられることを期待している」。
藤井総長は「さまざまなものを受け入れてきた熊野地方は、ダイバーシティ(多様性)、インクルーシブ(社会的包摂)を古くから実践してきた場所。協働することで豊かな対話が生まれるのでは」とそれぞれあいさつ。
大西克也・前研究科長は「大阪府で育った自分は、幼い頃から熊野の山々には憧れの気持ちを持って眺めていた。在任中にこのような協定が締結できたことを個人的にもうれしく思っている」。
国際熊野学会の山本殖生代表委員は「熊野の魅力を学術的に証明していくことは難しい。ご指導いただき、熊野の魅力を国際的、学術的に研究を進めていければ」と述べた。
(2021年11月21日付紙面より)
観光機構が登録DMOに (那智勝浦町 )
那智勝浦観光機構(NACKT)は4日付で申請を行っていた観光地域づくり法人(登録DMO)に登録されたことを発表した。登録DMOとなったことでは今後、機構は国からの国庫補助金をはじめとするさまざまな支援を幅広く受けることが可能となった。
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観光庁によると、DMOは地域の多様な関係者を巻き込みつつ、科学的なアプローチを取り入れた観光地域づくりを行うかじ取り役となる「観光地域づくり法人」とされている。
日本版DMOは地域の稼ぐ力を引き出すとともに、地域への誇りと愛着を醸成する「観光地経営」の視点に立った観光地づくりの司令塔となる組織。
多様な関係者と協働しながら明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための戦略を策定し、その戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人だ。
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昨年10月に候補DMOに登録された機構。その後、「宿泊」「飲食」「文化財・歴史」「観光資源・体験」「物販・特産品」「交通」「施設・環境整備」の七つの専門部会の設立や会員(サポーター)組織を創設。町内外関連組織との連携を図るとともに、さまざまな調査を行い、広報や各種プロモーション、マーケティング、イベント開催などの事業を展開してきた。
登録DMOとなったことで、国から補助金や情報提供、体制強化、事業などの支援が受けられるという。
機構は「観光で稼ぎ、潤う町へ」を実現するために、「那智勝浦町の観光地域づくりのかじ取り役として、官民さまざまな団体・事業者と連携し、必要な役割を担えるよう、引き続き取り組みを進めていく」と話している。
先日、開かれた臨時議会において、堀順一郎町長は「今後、那智勝浦町の観光振興の旗振り役となるべく、地域の皆さまと一緒に活動を進めてまいります」と抱負を述べていた。
同町在住の60代女性は「コロナ禍も少しずつ落ち着いてきた。今後はこれまで通りのやり方ではいけないと思う。町が元気になるように努力してほしい」。
40代男性は「たくさんの支援が受けられると聞いた。努力してくれているのは分かっているので今後に期待したい」と話していた。
(2021年11月21日付紙面より)
生活支援コーディネーター実践研修会 (新宮市 )
和歌山県が実施する令和3年度第2回生活支援コーディネーター実践研修会が18日、オンラインで開かれた。県内の各市町村が参加する中、新宮市では市職員や市社会福祉協議会職員、市の協議体である「チームくまのがわ」と「わがら広角」、福祉委員や民生委員らが出席。研修会では講義や事例の発表があり、参加者は生活支援サービスの重要性や地域の役割について学びを深めた。
研修会は市町村が生活支援コーディネーターを設置するに当たり、市町村関係職員などがコーディネーターや協議体の役割などを習得することが目的。第1回の研修会は5月に実施。同市では市役所別館に「チームくまのがわ」、市福祉センターに「わがら広角」が集まり、参加した。
NPO法人全国コミュニティライフサポートセンターの池田昌弘理事長が「生活支援サービスの立ち上げと運営方法について」を講義した。神奈川県や長野県などの事例を紹介し、生活支援サービスの成り立ちと住民や地域の変化などを解説。特技や趣味、経験を生かすことや、生活支援サービスは多様であるとし、地域全体で取り組むことの重要性も訴えた。
事例発表では、橋本市の「ささえ愛高野口」や上富田町の有償ボランティア「たすけあいくちくまのステーション」、印南町の「奥真妻活々倶楽部」の担当者が発足経緯や活動、有償ボランティアなどの取り組みについて詳細を説明した。
参加者らは各グループで意見交換後、オンラインで「都市部で活動が広がらない」「有償ボランティアの増員はかなり苦労がある」「担い手づくりが課題」などの報告を行った。
池田理事長は「住民の負担をかけないようにせかすことなく進めることが大切。困り事や課題を直球で解決することだけが正解ではない。広い視野で活動し、つながることから始めれば巡り巡ってサービスにつながっていく」と締めくくった。
市内で2組織目の協議体として、今年発足したばかりのわがら広角の中野末子さんと田中みちよさんは「研修会は自分たち自身の勉強になった。助けてもらう方が気兼ねなく頼めるように、少額のお金を頂く有償ボランティアを導入するほうが互いにとって良いかもしれない。皆さんで相談して進めていきたいです」と語った。
(2021年11月21日付紙面より)
部分月食、熊野地方でも
月の一部が地球の影に入って欠けたように見える部分月食が19日、国内で観測された。国立天文台によると、今回は月の直径の97・8%が地球の影に入るのが特徴。欠けた部分が真っ暗になるのではなく、皆既月食に似て赤銅色に輝いた月が夜空に浮かんだ。
当地方では、午後4時48分ごろにはすでに月食が始まっていたがあいにくの雲で、食の最大となる午後6時2分ごろに薄雲を通して確認することができた。
時間がたつにつれて雲がなくなり、月は食の影から顔を出して明るさを増した。写真は雲が薄くなる時を見計らい、約10分おきにシャッターを切り、食の変化を合成したもの。食の最大時間の画像は薄雲がかかっており、ぼやけている。
次に国内で月食が見られるのは皆既月食となる来年11月8日。今回と同様、ほとんどが影に入る部分月食は2086年11月21日まで待たなくてはならないという。
(2021年11月21日付紙面より)
後誠介さんが本を出版 (那智勝浦町 )
「熊野からの目線で熊野を描きたいと思っていた。熊野の魅力発信につながればありがたい」。そう語るのは那智勝浦町在住で和歌山大学客員教授、南紀熊野ジオパーク推進協議会学術専門委員を務める後誠介さんだ。後さんは10日、はる書房から「熊野謎解きめぐり 大地がつくりだした聖地」を出版した。
これまで本紙などで地質に関する記事などを発表してきた後さん。その軌跡を残すことで、熊野の魅力発信につながると考え、今回の出版に至ったという。
書籍化する上で「自身の伝えたいことのみを情報発信する」のではなく、「熊野から離れて暮らす人や訪れたことが無い人にも熊野に触れてもらえる」ことを注意し、昨年末から進めてきた。
本はA5判並製の120㌻カラー(ISBN978―4―89984―198―2)。税込み1430円。3章立てで、「謎解きめぐり」として展開。世界遺産や変化に富んだ海岸線を含め、大地の成り立ち深くつながる熊野の魅力をくまなく伝える内容となっている。
第1章「熊野の霊場」では熊野の霊場や那智大滝(なちのおおたき)の成り立ちなどを解説。第2章「熊野の古道」は新宮市の高野坂や古道で見つかる貝化石などに触れ、第3章「熊野の大地のめぐみ」では、地形を生かした集落や棚田、古式捕鯨を生んだ海岸地形などにスポットを当てた。
地名を省略せずに表記し、子どもが手に取りやすいようにふりがなに対応。ユニバーサルデザインにこだわったほか、Q&A方式を採用。写真や見出し、コラム、イラストでその事柄がイメージできる工夫も行った。
本の構成について提案や助言を行った同町在住の新聞記者・須川達也さんと、キャラクターやマップ、イラストを描いた新宮市在住のアーティスト・平野薫禮(ぐれ)さんに対し、「お二人のおかげで本を完成することができた」と感謝。
後さんは「歴史と文化がつながり、色濃く残る熊野が詰まった一冊となった。ジオパークガイドや観光ガイド、語り部の方々にも読んでいただきたい。それによって、多くの人々に熊野の魅力が広がると思う。そうなれば幸いです」と語った。
本は東京や大阪をはじめ、和歌山県内の各書店で販売しているほか、通販サイトのアマゾンでも購入できる。
(2021年11月18日付紙面より)
西山修司さんが旧チャップマン邸で講話 (新宮市 )
新宮市丹鶴の旧チャップマン邸で14日、「紀の国わかやま文化祭2021」地域文化発信事業「和歌山の文化の今昔~熊野古道と近代建築~」があった。建築史家の西山修司さんが講話。聴講者らは西村伊作(1884~1963年)や近代建築への学びを深めた。
世界遺産に登録されるためには文化財に登録されている必要がある。事業は、地域にある近代建築物を活用し、それぞれの地域の話題をテーマに地元の人などを講師に迎えて実施することで、近代建築物含む文化財の掘り起こしと保全・活用する機会を考えるとともに多様な人々が交流を図り、また世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の登録箇所の拡大に向けた追加登録への機運を高めることなどを目的に実施。県内各所で講演会やフィールドワークなどが展開されている。
「大辺路沿いに残る近代建築と西村伊作について」を題目に開催された旧チャップマン邸では、主催者を代表して県世界遺産マスターで「熊野古道」を世界遺産に登録するプロジェクト準備会の小野田真弓さんがあいさつした。
西山さんは「世界遺産はもちろん大切だが、広範囲にマイナーなものも大切にして地域の魅力をレベルアップさせることが必要。歴史的な建物は地域づくりに役立てるべき」と思いを語った。
「近代建築は幕末から戦前までの洋風建築」と定義し、近代建築、近代和風建築、近代化遺産の違いなど、近代建築の基礎知識について説明。
田辺市の「赤別荘」、「旧田辺市警察署」(現在はレストランとして使用)、串本町の「樫野埼灯台」、古座川町の「互盟社」、那智勝浦町の「懸泉堂」、伊作が設計した「日本基督教団紀南教会」、「那智勝浦港郵便局(旧大同銀行那智勝浦支店)」、新宮市の「三輪崎青年会館」、「旧西村家住宅」など、大辺路沿いに残る近代建築を紹介し「貴重な建築物を残してくためには地域の人が声を上げていくことが必要」と訴えた。
西山さんは「大正時代にグローバルな視点が広まり、公的な部分は洋風化が進んだが私的な部分は昔のままだった」と解説し、伊作について「『これから世界に生きる日本人の私生活はどうあるべきか』を考え、教育や新しい住まいの在り方を訴えた」などと説明した。
(2021年11月18日付紙面より)
太田小児童ら海の教室で (串本町 )
串本町内で15日に国土交通省など主催の海の教室があり、那智勝浦町立太田小学校(上地巳奈子校長、児童20人)が参加して海の仕事を教わり、串本の海とそれにまつわる灯台や日本とトルコの友好を学ぶなどした。
この教室は、同省勝浦海事事務所と紀南海運協会、近畿海事広報協会が連携し、青少年の海に対する関心を高める目的で毎年実施。本年度は下里小、宇久井小、熊野川小、太田小の4校を対象にして順次開かれた。
うち前3校は那智勝浦町・太地町コース(県漁連勝浦市場~紀の松島めぐり~太地町立くじらの博物館)を巡りつつ、同事務所による海の仕事講座を受講して海への関心を培った。
実施最終となった太田小は串本町コースでの参加を希望し、串本海中公園センターで同事務所の名越正典次長ら職員と合流。職員の大薮晃介さんによる同講座を受講し、知っている船の種類をみんなで思い出した後、海に囲まれた国・日本の暮らしを支える船の仕事(=海運業)に注目し国内流通で約半分、海外流通に至っては99・7%(いずれも重量換算)もの物資が船を使って運ばれていることやそのおかげでみんなの生活が成り立っていることなどを教わった。
以降は海の体験で、午前中は同センターで半潜水型海中観光船や海中展望塔越しに日本最初の海中公園(現・海域公園)の一つに選ばれた串本の海をじかに観察。同センター水族館が飼育している串本の海の主な生き物やバックヤードも見学して、身近にある海で成り立っている豊かな自然への理解を深めた。
昼食休憩を経て、午後は樫野へ移動。田辺海上保安部の協力で船舶の安全な航行を促す樫野埼灯台を内部も含めて見学し、同部からのサプライズ企画で巡視艇むろづきによる運航演示も見学。トルコ記念館でトルコ軍艦エルトゥールル号遭難事件や後に深まる日本とトルコの友好史の一端などにも触れたという。
(2021年11月18日付紙面より)
新宮市立医療センター
新宮市立医療センターは、令和4年3月1日(火)から、同院産婦人科において分娩予約を休止すると発表した。休止期間は新たに体制整備ができるまでの間。
地域の中核病院として、年間約300件の分娩を行ってきた同院産婦人科。分娩予約の休止は常勤医師2人のうち1人が退職することが決定したことに伴うもの。現在、県、病院、市当局、市議会では、全力で医師の確保に努めているが、現段階で後任の医師の確保が困難な状況にあるという。
同院は、引き続き産婦人科医師の確保に努めていくとし、「後任の医師が確定していない状況下では、安全で安心な医療の提供が担保できず、苦渋の決断。地域住民の皆さまには大変ご迷惑、ご心配をお掛けいたしますこと、ご理解賜りますようお願い申し上げます」とコメントを寄せている。
(2021年11月18日付紙面より)
全国少年少女レスリング選手権大会 (新宮ジュニアレスリングクラブ )
ガールズサッカーフェスティバル
男子団体は近畿大会出場権を獲得 (新宮高校弓道部 )