「コロナに負けるな」 (手作りマスクに込めた思い )
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、マスク不足が叫ばれるようになってはや2カ月。いっときに比べマスク不足解消の兆しは見えつつあるものの、いまだ入手できない人が多いのが現状だ。
そんな中、マスク不足を払拭(ふっしょく)しようと、趣向を凝らしたマスクを手作りする人が増加。好みの布で作ったマスクを身に着ける人々が、春、そして間もなく初夏を迎えようとするまちなかに彩りを与えている。
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困難な状況にあっても女性のおしゃれ心は健在だ。「ガーゼが品薄」「耳に掛けるゴムが手に入りにくい」。そんな情報が流れるごとに誰かが代替案や代用品を提案し、手法などがアップデートされていく。今ではインターネットで「手作りマスク」と検索すると、無料型紙や彩り豊かな手作りマスクの画像などが日々更新されている。中には国が配布する布マスクの俗称「アベノマスク」を「ベツノマスク」「ウチノマスク」としてリメークしてしまうつわものも。
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100年前のパンデミック(世界的大流行)「スペイン風邪」では、当時の日本の総人口約5600万人に対し約2400万人が感染したとされ、終息には丸2年を費やした。スペイン風邪の大流行をきっかけに、当時、主に炭鉱などで働く人たちの粉じんよけとして使用されていたマスクが一般に普及したという。
しかし当時もマスクの供給が需要に追い付かず値段が高騰。さらに困難な状況に一山当てようと、マスクの「不正商人」が横行したという。
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いまだ終息のめどの立たない新型コロナウイルス禍。このたびもマスクなどの転売が社会問題となったが、いつの時代も暴利商法を用いて不正を働く者がいる一方、しなやかに、そしてたくましく困難に立ち向かう人々の姿もある。このコーナーでは、鮮やかなマスクを身に着けた人々の笑顔にスポットを当てたい。
「コロナに負けるな」。「手作りマスク」には、そんな人々の思いが込められているのではないだろうか。
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本紙では、自慢の「手作りマスク」を着用した写真を募集しています(マスク単体でも可)。あなたのすてきな「手作りマスク」の写真をお送りください。画像は「手作りマスク」コーナー宛てで、熊野新聞社フェイスブックもしくはメール(info@kumanoshimbun.com)でお送りください。
(2020年4月29日付紙面より)
中止事業の予算を活用し (古座川町老連 )
古座川町老人クラブ連合会(奥根公平会長)がこのほど、全会員に首掛け式の空間除菌剤1個を配ることを決めた。近々入荷予定で、単位老人クラブ会長経由で会員に届けるという。
24日にあった役員会で、新型コロナウイルス感染予防の観点から本年度前半の行事をすべて中止する判断をした同町老連。関係予算の新たな有効活用の方法を話し合う中で奥根会長(88)が身に着けている空間除菌剤が話題になり、それを全会員へ配って感染予防意識を喚起する方向へとまとまった。
その空間除菌剤は薬局を営む娘夫婦が感染予防に役立てばという思いで託した品で、薬剤師として近隣の病院に勤めた経験を持つ夫・尾鷲恭二さん(68)は医療従事者が身に着けている状況を見て自身も3年ほど前から使っているという。奥根会長は「手洗いや消毒、マスクなど基本の対策の上乗せとして、人が集まる場所へ行かなければならないときに使っている」と利用の状況を語り、ただ配るのではなく感染予防の説明をし日頃の心掛けを高めながら配るとしている。
同町老連事務局の同町社会福祉協議会によると、会下には12の単位老人クラブがあり総会員数は300人弱。今回は予備分も含めて320個を購入し、会員の感染予防に役立てるとしている。
(2020年4月29日付紙面より)
事業主らに応援金など支給 (紀宝町 )
紀宝町は27日、独自の新型コロナウイルス対策として、町に住民票または法人登記を有し県外に事業所、店舗などを構える中小企業・小規模事業者に支援金を、三重県の協力金交付対象外の全ての町内食事提供施設に応援金を支給すると発表した。
県では「緊急事態措置」として、対象施設に休業または営業時間を午後8時(アルコール提供午後7時)まで短縮するよう要請し、協力した県内中小企業・小規模事業者(個人事業主含む)に協力金を交付している。
同町は和歌山県と隣接し、県外で事業を展開する事業主などが多いことから、町では県外事業者向けの支援金として1事業者当たり最大25万円を交付する。29日から5月6日(水・振休)まで休業や営業時間の短縮といった三重県の要請に協力することなどが条件となる。
応援金は、町内で喫茶店や飲食店など食事提供施設を経営し、県の休業要請に当てはまらない事業者に10万円を交付する。
受け付けはいずれも5月18日(月)から6月5日(金)までで、郵送での申し込みとなる。申請書は町のホームページでダウンロードできるほか町産業振興課、町商工会でも入手できる。支援金、応援金ともに申請要件が異なるため、詳しくは町産業振興課(電話0735・33・0336)まで問い合わせを。
町では5月13日(水)の臨時議会に一般会計補正予算として計上し、可決されれば5月末から交付を開始する。
会見した西田健町長は「紀宝町に住民票を有しながらも県外で活躍する人が多い。厳しい状況にある施設の皆さんに町として応援金を交付し、持続・継続できるよう支援したいという強い思いを持って提案した」と述べた。
(2020年4月29日付紙面より)
グランドール紀の風 (新宮市 )
新宮市佐野のサービス付き高齢者住宅グランドール紀の風(鈴木幹啓代表取締役、中村光德施設長)は23日、職員らが手作りした紙製の桜を飾った同施設内のテラスで「テラスでお花見お茶会」を開いた。マスク着用や互いの距離を空けるなど新型コロナウイルス感染対策を取った利用者は笑顔で外の空気を味わい、花見を楽しんだ。
同施設では毎年、同市の黒潮公園で花見を行っているが、新型コロナの影響で実施できない状況となったため、今回の花見を計画した。
桜の花は柔らかい折り紙で作成。利用者も手伝い、竹と段ボールで木の幹や枝を再現した。準備は1カ月ほど要したという。
花見はグループごとに行われ、職員がシャボン玉を飛ばし、お茶やお菓子でもてなした。
利用者は晴天の下、日光浴をしながら手作りの桜を鑑賞。「本当にきれい」とうれしそうに目を細めていた。また、花見待ちの利用者はバルーンアートなどを楽しんでいた。
催しを企画した同施設管理者の森晶平さんは「新型コロナの影響で利用者の方が屋外へ出ることができないため、少しでも楽しんでもらおうと考えた。今回の催しが今後の良い思い出になってくれたら」と話した。
中村施設長は「新型コロナの影響で面会が禁止になっているため、入居者の方やご家族にはご不便をかけ心苦しく思う。こんな時だからこそ、感染拡大には細心の注意を払いながら、笑顔でいられる環境を提供したい。その様子を写真に収めてご家族に送らせていただきます」。
「来年こそは利用者の皆さまに屋外で思い切り空気を吸ってもらい、お花見を楽しんでもらいたい。そして最高の笑顔をつくっていきたいと思う」と語った。
(2020年4月29日付紙面より)
太地町は24日、町公民館で町が取り組む新型コロナウイルス感染症対策についての記者会見を開いた。町民1人当たりマスク60枚の配布や、米5㌔の支給が実施される施策について三軒一高町長ら町幹部が詳細を説明した。
同町は7日に同町新型コロナウイルス対策本部(本部長・三軒町長)を立ち上げ、これまで5回の会議を重ねてきた。21日には休校中の太地こども園、太地小・中学校の子どもたちへの弁当の無償配達が開始された。
今回は町民1人当たりにマスクを60枚配布するとともに、緊急経済対策として町民(3005人、21日現在)1人当たりに米5㌔の支給が決まっている。米の支給は2回に分けて行われ、1回目に全世帯に5㌔ずつ届けられる。続いて2回目の支給は1世帯の残り人数分を配布する(1人暮らしなら1回目で終了。2人暮らしなら1回目に加え、2回目にもう1人分届けられる)。
当日は町職員や町社会福祉協議会の職員が協力し配布を行う。また、町議会議員もボランティアで参加するという。
三軒町長は「基準は全町民に行き届くこと。議会からも緊急事態なのでスピード良く進めてほしいと理解を得ている。こういった混乱がある時こそ町の出番。全町民の安心のために取り組みたい」と述べた。
配布を米にした理由については「体温計などいろいろな案も出たが、全町民に行き届かなくてはいけない。家にいてほしいという願いもあり、議論を重ねた結果、米になった」と説明した。
なお、今後も同様の対策は実施していく予定だとし、マスクについてはさらに50枚の配布を検討しており、前述の分を併せて1人当たり合計110枚の配布が行えるように進めているという。
(2020年4月26日付紙面より)
広報コンクール町村の部で (紀宝町 )
紀宝町が昨年発行した「広報きほう12月号」が日本広報協会主催の令和2年全国広報コンクール広報紙部門(町村の部)で全国1位となる特選(総務大臣賞)に輝いた。
全国コンクールの入選は11回目で、特選に輝いた12月号では「性の多様性」をテーマに、その現状や当事者・支援者の思いなど13㌻にわたり特集を組んだ。
特集ページでは性的マイノリティーを取り上げ、女性同性愛者、男性同性愛者、両性愛者、トランスジェンダーの各単語の頭文字を組み合わせたLGBTや支援団体などを紹介した。
広報広聴係の愛野裕基さんと、田中健太郎さんが昨年8月から3カ月半かけて取り組んだ。愛野さんは「予想以上に評価を受けて驚きました。性の多様性について意識が広がればと思い取り上げました。年に1回の大型特集を目標に日々、取材活動に励んでいます。今後も町の話題を広く広報していきたい」と話していた。
(2020年4月26日付紙面より)
採捕再開22日後に停止 (勝浦地方卸売市場 )
3月末までの採捕停止期間を終えたばかりの「はえ縄船によるクロマグロ漁」が、6月30日までの上限枠230・9㌧(都道府県別知事管理漁業を除く)の80%に達したため早くも採捕停止となった。(一社)全国近海かつお・まぐろ漁業協会(全近協)が21日に協会所属船や関係者に通達した。
規制は資源の減少が危ぶまれている太平洋クロマグロの管理のため国が定めた漁獲可能量制度(TAC法)によるもので農林水産大臣管理の同魚種大型魚(30㌔以上、エラハラ抜き26・1㌔以上)が対象。
那智勝浦町の和歌山県漁業協同組合連合会(JF県漁連)勝浦市場が受け取った通達書によると22日までに漁獲したクロマグロは規制の対象外となっており、現在操業中の船が持つクロマグロは23日までに漁獲本数の報告がなされる。これらの船が国内各地の港に揚げる数量により残り20%の枠の消費を見ていく。同市場では規制前のクロマグロの水揚げは5月頭ごろまでと見込んでいる。
勝浦地方卸売市場では24日早朝、3隻の船から253㌔の大物を含め26本のクロマグロが揚がった。宮崎県の船頭、第18漁雄丸の青木信裕さん、第1海伸丸の児玉博さんは採捕停止の知らせを受け、予定していた操業を切り上げて入港したという。
2人は「コロナの影響と漁獲規制のダブルパンチだ。禁止になった後クロマグロが食いついたら、はさみで切らないといけない。食料やお金を海に捨てるようなもの。それが嫌でたまらんから急いで縄を上げた」と声をそろえながらも「1カ月ほどゆっくり休んでまた頑張る」と希望を持ち帰港の途に就いた。
勝浦魚商協同組合の木下勝之組合長は「国が決めたことには従うしかないが、資源は回復してきているはず。あと少しの辛抱だと思っています」と話していた。
(2020年4月26日付紙面より)
田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)で13日から15日にかけて、例大祭が営まれた。新型コロナウイルス感染症の影響で一部中止、規模縮小となったが、最終日の15日の渡御祭(とぎょさい)では、御霊(みたま)を抱えた九鬼宮司と時代行列が社殿から旧社地の大斎原(おおゆのはら)まで練り歩いた。最後は熊野修験道による「採燈大護摩(さいとうおおごま)」も執り行われ、新型コロナ終息が祈願された。
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例大祭は、主祭神の家津美御子大神(けつみみこのおおかみ=スサノオノミコト)の故事に倣う祭典とされる一年の豊穣(ほうじょう)を願う祭り。
15日午前は本殿前において神職や氏子総代など関係者のみが参列し、本殿祭が営まれた。
この日は特別に新型コロナ終息を願い、疫病よけとして、力強く太鼓をたたきながらの「大祓詞(おおはらえのことば)」が唱えられた。
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渡御祭では新型コロナの感染拡大防止の観点から、中学生による大和舞や巫女(みこ)舞、御田植神事なども中止となった。例年400人が参加した行列も40人ほどに縮小となったが、「挑花(ちょうばな)」と呼ばれるチョウを付けた菊の造花が祭りに花を添えた。
また、御霊を移す神輿(みこし)も中止となっため、今回は「厨子(ずし)」と呼ばれるヒノキ製の箱に御霊を移し、九鬼宮司が抱え渡御した。この形式での渡御は初だという。大斎原に到着後は宮司が祝詞を奏上し、参列者らが玉串をささげた。
その後、熊野修験道による「採燈大護摩」が行われ、参列者の家内安全や、コロナウイルスの終息が祈願された。
九鬼宮司は「コロナにによって現在、国難といわれる状況になっている。飲食業や宿泊業などさまざまな業種の方々も生活が戻るように頑張っている。皆さま方の思いを受けながら今回の祭りは祈り一辺倒でさせていただいた」。
来年の例大祭については「祭りは地域活性化につながる大きな行事。来年は今まで以上に力強い祭りにできれば」と語った。
(2020年4月17日付紙面より)
総務建設委員会でコロナ対策 (新宮市議会 )
新宮市議会の総務建設委員会(福田讓委員長、7人)が15日、市役所であった。4人の議員が出席し、全国的に猛威を振るう新型コロナウイルス感染症に対する市の対応などについて質問した。
三栗章史委員は、市庁舎内で感染があった場合、部署が閉鎖になる可能性があるとし、対策について質問。当局は、職員から感染者が出た場合や濃厚接触者と判明した場合、所管事務が滞らないように業務を継続していくとしながらも、多数の感染者が出る可能性を想定し、課を2班に分けて勤務する準備を進める必要があるとした。
市におけるマスク不足に対して当局は「市でも在庫がなく職員には個人で負担してもらっている。市民に配布できる備蓄もない」と理解を求めた。
上田勝之委員は▽感染予防、防止▽感染者が発生した場合の対応▽経済的困窮者への支援―について質問した。感染防止の観点から、ゴールデンウイークに他府県から帰省する人に対して2週間の自宅待機を強く要請するメッセージを出すべきと提言。市長から簡潔に広く市民に訴えかけるべきとした。
紀宝町の備蓄用マスクの配布や那智勝浦町の事業所に対する消毒液の配布などを挙げ「市からの発信が市民の不安解消につながるように早急な対応を」と求めた。
生活困窮者に対する国の支援制度について「方向性が定まれば市役所は混乱するのではないか。支給に該当しないケースも出てくるし書類も煩雑する可能性がある」。これに対し田岡実千年市長は、17日から市役所別館に相談窓口を開設することを報告した。
静岡県御殿場市が、損失額を保証した上で市内のバーなどに対し休業要請したことを例に挙げ「市として支援、助成のために思い切った対策を」と訴えた。田岡市長は「市内1800軒の商店、1000軒の飲食店に支援をするのは市の体力ではなかなか難しい」とし、国が打ち出す経済施策に期待したいと述べるにとどまった。
固定資産税などの支払い猶予や減免を望む意見に対して、当局は国では地方税法の一部改正を予定しており、全ての地方税を対象に徴収猶予や減免措置が設けられるなどと説明した。田岡市長からは水道料金の支払期間の猶予を水道事業所に指示をしているとの報告があった。
竹内弥生委員は、緊急事態宣言発令後の先週末、夜のまちに大勢の人が湧いていたと聞いたと危惧。「ストレスや自粛疲れなどで人があふれてくるのは必然。その第一波はゴールデンウイークで次はお盆時期と考える。他府県から帰省してきた人たちに対し、再度強く2週間の自宅待機を促すべき」と強く要望した。
また、夜の飲食店において「飲食店は消毒液さえあれば工夫をしながらなんとかやっていけるが接近を伴う夜の店は難しい。お金があれば休業できるという個人事業主も多い」と述べ、相談窓口でのしっかりした誘導と、飲食店に対する消毒液の配布を求めた。
福田委員長は「市民の安全を守るために相談窓口は土日いつでも対応できるようにしていただきたい」と要望し、市民に対する情報の発信を含め、できることは早急に対応をと呼び掛けた。
委員らからの意見を受け、田岡市長は飲食店など市内事業所に対して、除菌効果のある次亜塩素酸ナトリウムの希釈液を配布すると明言。16日実施の市新型コロナウイルス感染症対策本部会議で方向性を定めるとした。
(2020年4月17日付紙面より)
本年度2回目のアユ放流 (古座川漁協 )
古座川漁業協同組合(大屋敏治組合長)が16日、本年度2回目となる稚アユ放流に取り組み500㌔を管内流域各所へ分散して放った。
この放流は、アユ資源の安定増強を目的とした県内水面漁業協同組合連合会委託事業の一環。同組合は例年並みの天然遡上(そじょう)に対し基準量1・5㌧を設定し、これを2回に分けて管内流域に放っている。
2回目は古座川町内の児童に体験提供する形が恒例になっていて、事前に呼び掛けたところ新型コロナウイルス対応に伴う制約がかかる中、県道を挟んだ向かいにある清流・古座川を生かしたふるさと学習を計画する同町立明神小学校(速水和美校長、児童10人)が学習の足掛かりとするため提供を希望した。
同校前の河原で組合員らと合流した児童は、井口一副組合長のあいさつを受け持参したバケツで体長10㌢弱のアユを預かって静かに川へ注ぎ放った。
高学年はホースを使って行う放流も経験。大西泰平君(5年)は「今年のアユは前より大きかったけどあまり跳ねなくておとなしかった。元気に、健康に育ってほしい」と話し、川で群れるアユを見送った。
本年度の天然遡上はここ数年では平年並みで、放流量は1・5㌧として今後の状況を見るという。児童は今後も同組合に釣りなどを教わる予定で、井口副組合長は「大きくなってまた古座川で遊ぶ時に『こういうことあったなー』という思い出をしっかりとつくってもらえれば。アユが遡上できる自然豊かでふるさとの誇りでもある古座川。これからも古座川漁協として引き続き保全に頑張っていきたい」と子どもの今後に期待しつつ語った。
同漁協は本年度もアユ漁(友釣り漁)の解禁日を6月1日(月)と設定して準備を進めている。
(2020年4月17日付紙面より)
萩千取美惠さんが箏曲奉納 (熊野速玉大社 )
新型コロナウイルス感染症の終息を願い、和歌山市在住の萩千取美惠(はぎちどり・みえ)さんが15日、新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)で箏(そう)曲と唄を奉納した。
萩千取さんは幼い頃から箏(こと)と三味線を習い、生田流京都當道(とうどう)会萩延(はぎのぶ)会の萩侑加代子さんに師事。世界平和を祈って熊野地方を中心に各地の神社で演奏し、古曲を伝承する活動を続けている。
熊野地方を訪れたのは14日で、毎月15日の月次祭(つきなみさい)に合わせて飛び込みで奉納することとなった。「若菜献饌」「春の曲」「千鳥の曲」を演奏し「今日は周囲に人がおらず、自然と一体になり、神様が聴いてくださっていると感じることができた」と語った。
上野宮司は「すがすがしく、素晴らしい演奏だった」と評し「人に聞かせるために演奏するのと、神様に奉納するのは全く次元の違うこと。この場所で演奏するのはひとしおで、熊野速玉大社は神気一体となり、魂をよみがえらせる地。われわれも新型コロナが終息するよう、祈っております」と感謝した。
(2020年4月17日付紙面より)
大橋交番が開所 (新宮警察署 )
新宮市の新宮警察署大橋交番(同市大橋通4丁目2番地)が先月31日に完成。6日に同所で開所式が行われた。小畑博昭署長、田岡実千年市長、大橋交番連絡協議会の大崎俊明会長をはじめとした委員らが出席し、新築された交番での勤務開始を祝った。
同交番は老朽化により昨年10月31日から建て替え工事を実施。同交番配属の警察官は工事中、同市新宮にある広角警察官連絡所を拠点に勤務を行っていた。工事前の大橋交番は1974(昭和49)年に運用を開始。築45年が経過しており、新宮署管内で最も古い交番となっていた。
開所に当たり、小畑署長は「大橋交番管内には熊野速玉大社や神倉神社などの世界遺産があり、高速道路の延伸などにより今後観光客の増加が見込まれる。今まで以上にまちの明かりとなり、地域住民や観光客の手助けができるよう、安心で安全なよりどころとなるように署員一丸となって治安向上に取り組んでいく」とあいさつ。
来賓の田岡市長は「これまで以上に住民の安全を支え、安心を与えてくれると感じている。地域の皆さんの困り事などの相談の場として、大きな役割を果たしてくれることを期待しています」。大崎会長は「今まで以上に地域の安全のシンボルとなることを確信しています」などと祝辞を述べた。
新交番は木造2階建て。敷地面積は231・41平方㍍で延べ床面積は89・78平方㍍。建物面積71・9平方㍍。12・53平方㍍のカーポートや5・35平方㍍の二輪車置き場などを備えている。1階には地域住民が交流できるコミュニティールーム、事情聴取室、防御板が装備されたカウンター、事務室などを配置。2階は仮眠室となっている。
同交番には6人の警察官が配置。同日より原則2人態勢で勤務を開始していく。
(2020年4月7日付紙面より)
昨年度のマグロ類9億円のマイナス (勝浦地方卸売市場 )
国内有数のマグロはえ縄船の基地、那智勝浦町の勝浦地方卸売市場の2019(令和元)年度のマグロ類の取引高(カジキ含む)は、60億9179万円、前年比8億7685万円減(税抜き)となった。同市場を運営する和歌山県漁業協同組合連合会(JF県漁連)がまとめた。数量は㌧未満、金額は万円未満切り捨て。
小物類を含む全体の取引高は66億6953万円(税込み)。14年度以降、初めて70億円台を下回った。水揚げ量は過去10年間で最も低く9380㌧にとどまった。昨年度初頭から続く同市場主要魚のビンチョウマグロの大幅な漁獲減少が大きく、クロマグロは数量、金額共に前年度を上回った。
19年度末集計ではビンチョウマグロ706㌧、5億5897万円の減。キハダマグロ95㌧、2億8422万円減。メバチマグロ75㌧、7335万円減。カジキ類84㌧増、5550万円減。クロマグロは38㌧、9520万円増。同市場占有率の低さからも年度集計にマイナスの影響はなかった。
新型コロナウイルス感染防止の自粛などについてJF県漁連勝浦市場は、宿泊施設や飲食店の需要は減っているものの全国のスーパーやデパートは機能しているとして、相場への影響は今のところはないとみている。
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(一社)全国近海かつお・まぐろ漁業協会の2月2日の通達で、目的採捕停止となっていたクロマグロ大型魚の規制が今月1日に解除された。漁業関係者や仲買人の多くから「最盛期のクロマグロの取引は相場の変動も大きいがその年の不漁を挽回するチャンス。関係者全員が規制の解除を待ちに待っていた。コロナは心配だが鮮度の良いマグロと共に元気を届けたい」などの声があった。
16年に同市場で417㌔の巨大クロマグロを揚げた第一海伸丸(宮崎県)の船頭、児玉博さんも「クロマグロ狙いで勝負をしているので値の良い時季の禁止は痛かった。コロナの影響もどうなるか見えないが5月いっぱい頑張りたい」と話していた。
(2020年4月7日付紙面より)
中湊の稲荷神社で例祭 (串本町 )
串本町中湊にある稲荷神社で5日、例祭があった。新型コロナウイルス感染予防のため、今年は式典のみ実施。神保圭志神社総代代表や中湊区の生熊和道区長ら約20人が参列して祭神への礼を尽くした。
この神社は正法寺後背の山腹に鎮座する旧中湊村社(中湊の氏神社)。近年は周辺の伐採により中湊コミュニティセンター付近から鳥居などを見て取れる状態になっている。主祭神は倉持稲命だが例祭は2月の初午(はつうま)でなく4月3日に近い日曜日を期日としていて、近年は式典と厄よけ祈とうに加え青年会「英進社」による子どもみこしや縁日、餅まきなどの奉仕奉賛をして区内随一の祭礼として活気を見せている。
今年は英進社の奉仕奉賛と区関係要職の来賓招待を見合わせ、祈とうも6人中2人を代表参列とし餅まきを行わない形として規模を縮小。参列者が例年の5分の1程度になる中、古座神社の石田保宮司を迎えて式典や厄よけ祈とうを営んだ。
例祭に合わせるように満開を迎える傾向が強い境内の桜は今年も花盛り。時折吹き抜ける風が花びらを運ぶ中、今年も生熊区長のあいさつで開式し区内各団体の代表者が玉串をささげて祈願した。県神社総代会の世耕弘成会長から届いた祝電を披露し、神酒を頂いて今年の奉仕を締めくくった。
生熊区長は「毎年快晴の下でにぎやかに営むのだが、今年は式典のみとなってしまい残念。本厄を迎えた皆さんは来年、後厄となるが改めて参列してほしい。区民の幸せと共に、中湊区からコロナの感染者が出ないことを願った」とコメント。
英進社の谷端洋会長は「一年で一番の奉仕ができなかったのは本当に残念。英進社はこの祭りのほかに夏の盆踊りでも縁日を出すが、その頃には新型コロナウイルスが終息していてほしいし、その時は今回の分も含めて地域の盛り上げに頑張りたい」と思うところを語った。
(2020年4月7日付紙面より)
木の川認定こども園が開園 (新宮市 )
社会福祉法人弘德(こうとく)会(西昭嘉理事長)は6日、新宮市木ノ川に新設した幼保連携型認定こども園「木の川認定こども園」(丸本知加子園長)の竣工(しゅんこう)を祝う落慶式を開いた。式では西理事長らが歓喜天(ガネーシャ神)を祭り読経。法人役員や各関係者ら約40人が出席し、市内で新たに誕生した施設の開園を祝った。
同園は発生が予想される巨大地震や津波に備え、海抜約35㍍の高台で安全な保育環境を整えるとともに、三佐木蜂伏地区の待機児童解消を目指し、西理事長らが開園に向け取り組んできた。
完成した施設は敷地面積が1767平方㍍、延べ床面積763・40平方㍍の鉄骨3階建て。建設工事費は約2億5000万円。設計監理は大阪市の株式会社チャイルド社が行い、同市佐野の有限会社中谷工務店が施工した。
0~5歳児が対象で、幼児教育や幼児期の英語教育の充実を図り、延長保育や一時預かり保育、特定保育や未入園児の子育てクラブなどにも取り組む。初年度は41人が入園した。
西理事長は「5年間かけて完成し、感無量の思い。各関係者の皆さまにお礼を申し上げます」と感謝。「幼児教育や英語教育に取り組み新宮市に貢献するとともに、高台の園舎を地域の方々の避難場所としてご活用いただければ」と語った。
丸本園長は「どのお子さんも明るく元気に安心して過ごしていただけるように、また、初めての集団生活でこども園が楽しいと思ってもらえるように職員一同、頑張っていきたいです」と話した。
なお、入園式は同日午後2時から開かれた。保護者の希望もあり、新型コロナウイルス感染症予防のため、2回に分けて行われた。
(2020年4月7日付紙面より)