住民らがこいのぼり設置 (新宮市熊野川町 )
熊野川地域フラワーツーリズム推進協議会(下阪殖保会長)は22日、新宮市熊野川町日足道路バイパス付近の水田で、毎年恒例のこいのぼり設置作業を実施。世界平和や地域活性化などへの願いを込めた。
2011年9月の紀伊半島大水害からの復興への願いを込め、また「地域の人々を元気づけたい」との思いから、地元住民らが設置を始めて10回目。なお、今年もおととし、昨年に引き続き、災害復興イベント「鯉のぼり祭り」は新型コロナウイルス感染症の影響を鑑み、中止となった。
11年まで町内イベントで使用し、熊野川行政局で保管していたこいのぼりは水害の際に全て流出。現在使用しているこいのぼりは、熊野川行政局が新聞などで呼びかけを行い、県内各地から集まったものだ。
この日は会員と行政局職員ら約10人が設置作業に当たった。熊野杉の間伐材で作った高さ約12㍍のポール6本を立てて取り付けると、30匹のこいのぼりは青天の下、風を受けて元気に泳いだ。
こいのぼり設置期間は5月13日(金)ごろまで。下阪会長は「新型コロナウイルス感染症のまん延やウクライナ情勢など暗い話題が続いている。少しでも明るい話題になれば。世界の平和と地域の活性化への思いを託して設置しました」と話していた。
(2022年4月23日付紙面より)
一部は解禁見送りも
那智勝浦町の各漁業協同組合でこのほど、組合員のヒジキ漁が解禁。しかし収穫量は少なく、新宮市三輪崎や太地町の漁協は、資源量確保のため解禁自体を中止している。広域の不漁は「黒潮大蛇行」による海水温の上昇が、原因の一つと考えられている。
和歌山東漁協浦神支所では、19日に解禁となった。解禁したばかりのため、今年の収穫量はまだ不明だが、4~5年前は5㌧から10㌧ほどあったのが、昨年は300㌔ほどに減少した経緯がある。支所の職員は「今年も200から300㌔ほどではないか」と予想している。
浦神では初日の19日、組合員が漁港で収穫したばかりのヒジキを広げて干す姿が見られた。2日ほど干して乾燥させ、ごみなどを取り除いた後、浦神支所の市場に出すという。干す作業を行う80歳代女性は「今年は量が少なく、サイズも短い」とこぼしていた。
なお、浦神に先だって宇久井漁協は1日に、和歌山県漁協勝浦支部、和歌山東漁協那智支所は14日に解禁。しかし宇久井は「近年も今年も収穫はなし」。勝浦や那智は19日午後4時現在で「目立った収穫は見られない」という。勝浦と那智は、昨年の収穫量は10㌔や20㌔と、ほぼ無いに等しい状態だったため「採りに行く人自体があまりいないのかも」と話していた。
太地町漁協と三輪崎漁協は、解禁自体を見送った。太地は「見送りは3年連続。サイズが小さく、採ったら育たなくなる」。三輪崎は「去年も今年も見送り。磯枯れ(磯焼け)してしまっている」と語った。
ヒジキ不漁は広範囲にわたっており、当地方の特産品の一つである、串本町の「姫ひじき」も、生育不良で2年連続の収穫断念となっている。同町串本にある県水産試験場は、生育不良の原因の一つを「黒潮の大蛇行」であると分析。
黒潮の「枝」が流れ込むことで海水温が年間を通じて高くなるほか、潮流にも影響を与えていると考えられている。この状況は当然、串本町に限定ではなく、那智勝浦町、太地町、新宮市三輪崎も同じと思われる。
(2022年4月23日付紙面より)
食を支える「地元産」㊦
熊野地域の特産品といえば、かんきつや海産物を思い浮かべるが、お米もふるさと納税の返礼品に並ぶなど人気を集めている。山間部を中心に田園風景が広がり、米作りに適した条件がそろう熊野地域にはいくつものブランド米がある。熊野市紀和町丸山千枚田の「丸山千枚田米」、御浜町尾呂志の「尾呂志米」、紀宝町の「飛雪米」「レンゲ米」などがそうだ。中でもレンゲ米は「地元産」として学校給食に提供されている。
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コシヒカリのレンゲ米を栽培し、町レンゲ米栽培部会(中西和益代表)に所属する井賀淳也さん(38)は「12~13年前から取り組んでいる。10月には田んぼにレンゲの種をまき、花が咲く前の3月に耕運して肥料にしている。一手間多くなるが、安心な食材を届けるため今後も作り続けたい」と話す。
かつて、春の田んぼにレンゲの花が咲く光景は珍しくなかった。レンゲ米は、昔から伝わる栽培方法「レンゲ農法」で作った米。今では苗を植える前に畑を作り、レンゲをすき込むことにより自然の窒素を土壌に発生させ、それを有機肥料として利用している。
農薬や化学肥料を極力使わずに栽培できることから、2002年から同部会が取り組みを開始。「安心安全な地元食材を子どもたちに」との思いで、町内の学校給食に提供するようになった。
会員5人が約1150㌃の田んぼで栽培し、昨年度は給食用に1万4400㌔を収穫した。本年度は町内7小中学校で計900食分、1日約70㌔を用いており、地元産品が学校給食を支えている。
(2022年4月23日付紙面より)
串本町有田にある串本海中公園センター(鈴木一正代表取締役、黒田徳仁支配人)が22日、施設の一部改修を終えリニューアルオープンした。
改修内容は▽水族館玄関水槽のリニューアル▽ウミガメプールデッキの作り替え▽レストラン「アクロポーラ」と水族館の連絡道の舗装替え▽同館壁面のデザイン変更と芝生広場への木製テーブル・いす配置による滞留環境創出―など。
玄関水槽は、入って左側の水槽が築50年を経て水漏れなどが続いたため更新整備。幅4㍍、水深1㍍、奥行き1・5㍍の水槽を新たに据え、串本の海の浅海の様子を伝える展示へと変更。併せて周囲にファンタジックな海の絵柄を配して明るいイメージの演出を図っている。
この日は開館に先だって式典があり、同センターの親会社・株式会社鈴木商会(鈴木一正代表取締役社長)を代表して高橋正志専務取締役は「運営を引き継いで以降17年間続けられたのは、串本の海の豊かさと来館者の愛好、関係者の力添えあればこそ」と感謝。鈴木社長を筆頭にしリニューアルに至った経緯を報告し「これからも愛されるよう、このリニューアルを機に心を入れ替えて串本の海を守る」と決意を掲げて引き続きの愛好を関係者らに願った。
来賓を代表して平井治司副町長と南紀串本観光協会の島野利之会長が同センターの今後の弾みを期待しつつ祝辞を披露。高橋専務取締役と平井副町長、和歌山東漁業協同組合の垣下良夫副組合長で除幕をしてリニューアルを祝い、同館の森美枝館長は愛される水族館として今後も努める、同センターの黒田支配人は美しい海を守り次の世代に残す、とそれぞれ決意を掲げて関係者の立ち会いに感謝した。
以降、記念行事として串本町立串本西小学校(福島恵美校長、児童39人)を招待し、館内見学やウミガメ放流の体験機会も提供した。
(2022年4月23日付紙面より)
【第48回】風景は食卓と土をつなぐ
食育と聞くと、農業体験が大切だと思っている方が多くいらっしゃいます。確かに、子どもたちが農業に触れて、食べ物がどんな風に育ち、どう収穫されているかを知ることは、とてもいい食育になると思います。東京でも、そのために田んぼや畑を借りて、子どもに農業体験をさせる家庭もあるくらいです。ただ、どこの家庭でもできることではありませんよね。わが家も、娘が3歳になる前にたった一度だけ、稲刈り体験をさせてみましたが、11歳の今では何も覚えてないそうです(笑)。そこからも機会があればやらせたいとは思うものの、時間もかかるし、なかなかできず、今日まできてしまいました。でも、体験だけが食育ではありません。私は、そんなご家庭に風景で食育することをお勧めしたいと思います。
例えば今なら田植えの時期ですよね。車で走っていると、水の張った田んぼや、田植えをしている様子を目にすることができます。そんなときに、「あ、田植えをしているよ!」と子どもに声をかけて、その様子を見せるだけでも、十分食育になるのです。手で植えているのか、機械で植えているのか、農家の方はどんな服装で、どんな体勢で仕事をしているか、稲はどんな様子か。一つの田んぼにどれくらい植えられるのか。そんなことを田んぼを見ながら話すだけでも、子どもたちの中にはその風景が確実に残ります。今の時期に植えて、田んぼの水量を調節したり、雑草を抜いたり、手を入れてやっと秋に収穫できること。そこから稲刈りをして、脱穀をしてもみ取りをして、さらに精米をして、白いお米ができること。そんな説明をしてあげると最高ですよね。そして、家でお米を食べるとき、「今日見たよね」とその風景の話をもう一度してみてください。お米がいかに手間をかけて育てられているかが、よく分かると思います。1本の稲から採れるお米はたったの約70粒です。稲1株には22本の穂がついているので、1株から採れるお米は約1540粒! お茶わん1杯は、約3250粒といわれていますから、2株と少しのお米が必要です。そんなお話もぜひしてあげてください。
田んぼでなくても同じです。畑を通りかかったら、「これはなんの畑かな」と一緒に見てみるだけで、立派な食育になります。今の季節は畑の上にできる作物もたくさんありますから、掘らなくても何の畑か分かりますよね。分からないときは、一緒にスマホで調べるのもお勧めです。農家の方に聞いてみるのもいいかもしれません。風景は、食卓と土をつないでくれる先生なのです。特に熊野地方には豊かな自然があるからその機会はとても多いと思います。
これからゴールデンウイーク。どこかに出かけられるご家庭もたくさんあると思います。いつも見慣れた景色より、風景に目をやる機会も増えますし、子どもの印象にも残りやすいので、ぜひ一緒に探してみてください。食べ物と子どもの距離がグンと近くなると思います。
(2022年4月23日付紙面より)
田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)の例大祭「本宮祭」が15日、渡御祭(とぎょさい)で締めくくられた。御神霊(おみたま)を納めた唐櫃(からひつ)と時代行列が社殿から旧社地の大斎原(おおゆのはら)まで練り歩き、斎庭(さいてい)神事が営まれた。
主祭神の家津美御子大神(けつみみこのおおかみ=スサノオノミコト)などを祭り、五穀豊穣(ほうじょう)を祈る祭り。主祭神が「我を祀(まつ)るに母神(イザナミノミコト)をも祀れ」と命じたという故事から、熊野市の花の窟(いわや)から母神を迎え、挑花(ちょうばな)と呼ぶチョウを付けた菊の造花を奉じて鼓・笛・旗をもって祭りを行うようになった。
午前にあった本殿祭には約200人が参列。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、近隣の関係者のみの参列とし、しめやかに神事が営まれた。
修祓(しゅばつ)、祝詞奏上などに続き、九鬼宮司が四方を榊(さかき)の風によってはらい清め、太陽を迎える神楽「熊野」を舞い新型コロナの終息と世界の平和などを祈願。
午後からは神木の榊を手にした神職を先頭に、神職や修験者、祭典関係者らが渡御。ほら貝や笛の音が町中に響き、地域住民らが沿道から様子を見守った。
大斎原では祭典を寿(ことほ)ぎ、青年会有志が「大和舞」「八咫烏(やたがらす)舞」を奉奏した。昨年中止とした「御田植神事」も青年会有志らにより継承。5人の稚児と父親の八撥(やさばき)神事も営まれた。神事後には熊野修験の髙木亮英正大先達(しょうだいせんだつ)=那智山青岸渡寺住職=らによる採燈大護摩が行われ、最後に参拝者らに餅と挑花が配られた。
九鬼宮司は、新型コロナの影響で地元中学生による「大和舞」「八咫烏舞」「御田植神事」の継承が困難な中において、その役目を引き継いだ有志らに対し拍手をもって称賛。
「日本の平和の中で祭りができること、地域の方々の協力に感謝。祭りは元気の源。来年こそは元の形で執り行うことができれば」とあいさつした。
(2022年4月17日付紙面より)
成人年齢引き下げで (新宮警察署 )
20歳から18歳への成人年齢引き下げに伴い、あらゆるトラブルの発生が懸念されている。18、19歳は何ができ、何ができなくて、何に注意すべきなのか。新宮警察署の生活安全刑事課の小林健課長に聞いた。
引き下げにより最も大きく変わるものは、契約に関するもの。さまざまな契約が保護者の同意なしで可能となる。分かりやすい例を挙げれば、親の同意なくクレジットカードを作ったり、携帯電話を契約したり、ローンを組んだりできるようになる。
しかし、これまでは未成年ということでできた契約の取り消しが、成人となれば簡単にはできなくなる。このため、安易な考えで結んだ契約による、消費者トラブルの発生が想定されている。具体的には▽借金▽クレジットカード▽定期購入▽通信契約▽出会い系サイト・アプリ―などが挙げられる。
これについて小林課長は「契約するときは、中身をしっかり確認して。その場で判断するのではなく、一度持ち帰り、両親などと相談を。失敗したと後悔することがないように」と呼びかける。
また、飲酒や喫煙、競馬や競輪などの公営ギャンブルは、これまでと変わらず、20歳にならないとできない。これについても小林課長は「20歳になるまでは、お酒を飲んだり、たばこを吸ったりしないように」と注意喚起する。
さらに、少年法も改正されている。事件を起こした18、19歳は「特定少年」と位置付けられ、事件の内容によっては、テレビや新聞で実名報道される可能性もある。「20歳前で前科が付くことも。くれぐれも、そういうことにならないように」と力を込める。
(2022年4月17日付紙面より)
もちもち「おこわ」に舌鼓 (紀宝町 )
紀宝町福祉センターに隣接する「ほのボーノ」で16日、4カ月ぶりに「ふれあい子ども食堂」が開かれた。食堂には親子連れらが足を運び、今が旬のタケノコ入り「おこわ」と豚汁を味わった。
多世代の町民に食事を楽しむ場を提供することが目的で、町社会福祉協議会が運営。町内初の子ども食堂として昨年4月に開業した。新型コロナウイルスの影響で昨年12月から休止が続いたが、今月で1周年を迎えた。今後も毎月第2土曜日を予定している。
毎回、カレーを提供していたが、今回は地元住民からもち米とタケノコの提供があり、初めてメニューを変更した。
調理は女性6人グループ「困った時はお互いさん!」が担当。2時間半前から準備し、地元産のもち米、タケノコとニンジン、シメジなどで炊き込みご飯を作った。
オープンと同時に訪れた人たちは、もちもちのおこわを頬張り「おいしい」と舌鼓。会話も弾み、会場には久しぶりの笑顔が広がった。
東紀州学生ボランティア「るれいる」の中高生4人も協力。だがしやさん「ハッピーハウス」でも店番をし、子どもたちと交流を図った。
次回は5月14日(土)午前11時から開催する予定だという。
(2022年4月17日付紙面より)
ドライバーに街頭啓発 (新宮警察署 )
春の全国交通安全運動の最終日となる15日、新宮警察署は関係する機関や団体と共に、那智勝浦町湯川の国道42号甫子浦(ほこうら)交差点で、夜間における交通事故防止の街頭啓発を行った。13人が参加、赤信号で停車したドライバーに啓発物資を手渡し、注意喚起した。
同町、同町交通安全指導員協議会、交通安全協会新宮支部からも参加があった。啓発物資は「横断歩道は歩行者優先」などが書かれた啓発チラシなどが入った、120セットを用意した。
交通安全指導員協議会の塩﨑一男会長は「今日は最終日。交通事故がないように呼びかけたい」と話していた。また啓発前のあいさつで全参加者に対し「周辺は暗いので、(啓発の際に)事故に遭わないよう、また新型コロナの感染予防にも気を付けて実施を」と求めた。
この後、街頭啓発を実施。停車するドライバーに窓を開けてもらい「交通安全に協力をお願いします」などと呼びかけ、啓発物資を手渡した。
新宮署交通課の上田昌斗交通係は「夜間はただでさえ歩行者が見えにくい上に、天気が悪い日はなおさら。信号のない横断歩道もたくさんあるので、十分注意を」と語った。
(2022年4月17日付紙面より)