熊野川町で「ささやかな花火大会」 (新宮市 )
2011年9月の紀伊半島大水害で大きな被害を受けた新宮市熊野川町で25日、夜空を彩る大輪の花火が打ち上がった。同町の有志ら8人が企画。花火を通して町民らに「頑張ろうや」のメッセージを送った。
未曽有の大水害から今年で10年。有志らが「ささやかな花火大会」と称する花火の打ち上げは、その節目を迎えるに当たり、そしていまだ終息の見えない新型コロナウイルス感染症の影響にあえぐ町民たちに元気を出してもらおうと企画、協賛した。
有志の一人、池上順一さんは「特に熊野川町では人口減少が顕著で新型コロナの影響で店を閉めてしまう人も多い。また、水害から10年となる節目に、改めて『元気出そうや』と呼び掛けたかった。少しの時間でも元気になってほしい。そんな願いを込めて熊野川町の中心から花火を上げたいと思った」と花火に託した思いを話した。
午後8時ちょうど。同町日足に75発の花火が打ち上がり、歩道などから花火を見守っていた町民は感嘆の声を上げるとともに大きな拍手を送った。
打ち上げ場所の近くから花火を見学していた70代男性は「コロナの影響で花火大会が中止となる中、久しぶりに花火を見ることができてうれしかった。元気をもらいました」と話していた。
(2021年6月27日付紙面より)
少年補導員連絡会が総会 (新宮警察署 )
新宮警察署少年補導員連絡会(田代知美会長)の総会が25日、同署大会議室で開かれた。関係者ら約20人が出席。昨年度の活動報告や本年度の活動計画などを審議した。
少年補導員は少年非行防止活動の一層の推進を図り、地域事情に合った取り組みを進めるため民間の協力者に県警本部長から委嘱している。
田代会長は、全国防犯ボランティア団体として金賞を受けることになったと報告。和歌山県内では13年ぶりのことで3団体目であると説明し「表彰はひとえに会員と歴代の補導員の方々の地道な活動の積み重ねがあったからこそ」と感謝。
最近は非行少年も少なくなる一方で児童虐待や学校でのいじめ問題などが増えているように感じていると述べ「子どもたちを守るためにできることは少ないかもしれないが、青色パトロールや登下校時に見守りなどを通して、少しでも子どもたちの力になることができれば」とあいさつした。
山田守孝署長は日頃の協力に感謝と敬意を示し、昨年の県内における刑法犯認知件数は3899件で、19年連続の減少となり、少年非行関係では刑法犯の犯罪少年検挙人数がピーク時(2004年)の1260人から158人、飲酒・喫煙・深夜徘徊(はいかい)などの不良行為の補導件数も1万6717人から5216人と大幅に減少していると紹介。
そんな中において、最近では高齢者を狙った特殊詐欺事件に少年が荷担したり、インターネットなどを使用したいじめや児童買春・児童ポルノ事件、少年が被害者となる児童虐待事件など、少年事犯も時代を反映して多様化していると危機感を示した。
新型コロナウイルス感染症が社会や経済に影響を与えている現状において、青少年の健全育成が困難を極める中、ボランティアの力添えが不可欠であるとしさらなる協力を呼び掛けた。
総会に先立ち、少年補導員として長年にわたり活動した遅越達也さんと久保正彦さん、井水敦司さんに、県警本部長と県警少年補導員連絡協議会長連名の表彰状が贈られた。
(2021年6月27日付紙面より)
紀南高校が全国に呼び掛け実現
県立紀南高校(森典英校長)が全国七つの高校に呼び掛けて実現した官僚との意見交流会「日本の〝未来(これから)〟について語る会」が25日、オンラインで初開催された。
経済産業省の若手官僚有志が協力し、紀南高校は東紀州学を履修する山本翔與(しょうよう)君、大西輝人(きらと)君、中村竜星(りゅうせい)君、岡﨑美柚(みゆ)さんが地方創生への思いを伝えた。
官僚との意見交換を通して、地域創生に取り組む高校生がさまざまな知見に触れ、各種制度を知ることで幅広い視野を得て今後の諸活動に生かすことが狙い。
紀南高校の山本君が全体司会を務め、4グループで意見交換した。山本君は「地方創生を考える上で、賃金は非常に重要なポイントだと思います。一方で、強引に給料を上げてしまうと、会社がもたず、働く場所自体がなくなってしまう可能性があります。都市部の大企業に課税するという選択肢もありますが、外国に逃げられてしまうと税収が減って、より地方の衰退が進んでしまう」と問題提起した上で「地方創生、賃金、雇用、課税について国の方針を知りたい」と質問した。
経済産業省の官僚は「私たちが日々向き合っている問題」とし、最低賃金や税率、地方創生による補助金などを紹介。その上で「地方創生に関心がある皆さんがやりたいことを考え、自分で行動することがすてき。『地方をよくしたい』と思う気持ちを応援したい」とエールを送った。
パソコンの画面を通して紀南高校の4人は「御浜町は小さな町ですが、ミカンや紀州犬が有名です」と全国に紹介した。
(2021年6月27日付紙面より)
那智勝浦町建設組合が町内5カ所で奉仕
那智勝浦町建設組合(上地秀和理事長、21社)は25日、町内の保育所・こども園計5カ所で奉仕活動に取り組んだ。参加した組合員は各所で作業に汗を流した。
奉仕活動は2017年度から開始。町内の公共施設から町役場建設課へ届けられる要望を受け、組合が毎年協力している。
この日は宇久井保育所でブランコ周辺にあった老朽化した木製柵を撤去し、さびに強い金属製のメッシュフェンスを設置した。
また、下里保育所では敷地内にある砂場の拡張を実施。従来の木製枠を取り外し、砂場面積を広げるとともに、コンクリート製のブロックで枠を造り、けが防止のために角を丸めた。
そのほか、井関保育所、南大居保育所、勝浦認定こども園では遊具の塗装がこの日までに実施されたという。
宇久井保育所へ激励に駆け付けた堀順一郎町長は「毎年、ボランティアで子どもたちが使用する設備などの安全対策をしていただいている。町としても細かいところまで手が届かないため、ご協力には感謝しています」とねぎらい、スポーツ飲料を手渡した。
荘司千保・宇久井保育所長は「柵が腐食してけがの危険もあったので助かりました。毎年いろいろな要望にお応えいただき感謝しています」。
上安みか・下里保育所長は「要望をかなえていただき感謝しています。安全・安心面も向上するとともに子どもたちも喜びます」と話した。
上地理事長は「私たちも地元で生まれ地元で育った。地元に何か貢献や協力ができないかという気持ちで、毎年実施させていただいています」と語った。
(2021年6月27日付紙面より)
東牟婁地方中学校総体陸上競技
県高校総体空手道競技で躍動 (近大新宮 )
紹介兼ね、使い方指導 (那智勝浦町 )
那智勝浦町天満の町体育文化会館にこのほど、津波避難タワー(階段)が完成した。20日には施設の紹介を兼ねた開錠指導などがあり、勝浦サッカースポーツ少年団の団員や保護者らが参加。避難方法を学びつつ施設の竣功を祝った。
和歌山県が示す津波浸水想定において、東海・東南海・南海3連動地震で約1・7㍍、南海トラフ巨大地震で約7㍍の浸水深が想定される同地域。
避難タワーは、同会館や併設の木戸浦グラウンドの津波避難対策として整備。鉄骨造で高さ8・5㍍、階段部分除く面積は400平方㍍(同会館屋上部分)で、約800人を収容できる。会館2階部分に階段につながるドアが設置されているため、屋内からの避難も可能だ。
昨年11月10日から着工し今年3月末に完成。事業費は約5450万円で国の緊急防災減災事業債を活用している。
新型コロナウイルスの感染状況を見定めつつ施設紹介の機会を得たこの日、堀順一郎町長は日頃から木戸浦グラウンドで練習をしている同少年団員らを前に「近い将来、大きい地震や津波が発生する恐れがあります。指導者の指示の下、高い所に逃げてください。遊んでいるときでもどこに逃げたらいいのかを考え、普段から家族の人とも話し合っておいてほしい」と呼び掛けた。
その後、町職員が参加者らに避難タワーの開門方法を指導。子どもらがそれに倣い、実践をもって開錠方法を学んだ。
嶋田太洋君(勝浦小4)は「カバーが少し固かったけど簡単に開けることができた。練習中に地震が起こってもすぐに逃げられそう」。
同少年団監督の藤社祐樹さんは「グラウンドは海に近く、これまでは那智中が避難場所だった。子どもたちを避難させるために少しでも近い場所にできたので安心」と話していた。
(2021年6月22日付紙面より)
合同で避難所設営訓練 (相野谷中 )
本年度最初の土曜授業があった19日、紀宝町立相野谷中学校(佐藤光一校長、生徒25人)は学校体育館で「人権・防災学習」を実施。全校生徒が相野谷小学校の5、6年生22人、地区自主防災会、地域住民、保護者らと避難所設営訓練に取り組んだ。
相野谷中は地域とのつながりや命の大切さを実感することを目的に、本年度は「災害と人権」をテーマに防災学習を推進。この日は、地域の一員としての自覚を持ってもらおうと合同で訓練した。
佐藤校長が「この地域にとって若い皆さんの行動は大きな役割を果たす。災害が発生した際、皆さんは地域の一員として活動してほしい」と呼び掛けた後、児童生徒らは5グループに分かれて訓練を開始した。
新型コロナウイルスの影響で、避難所では密を避ける、間仕切り板を設置するなど感染対策を講じる必要があるため、町が用意した簡易パーティションと木製ベッド、テントを組み立てた。
児童生徒が協力して組み立て手順を覚え、同中生徒会長の田中楓君(3年)は「最初は難しかったけど、慣れたら簡単にできた。災害が起こったら役に立てるよう、これからも努力したい」と話していた。
10年前の紀伊半島大水害では体育館が避難所になり約180人が避難。設営から運営まで地元の自主防災組織が協力した。災害を経験した地域だからこそ、今回の訓練を通して、地域の将来を担う児童生徒の心に「自分たちの地域は自分たちで守る」といった意識が芽生えたことだろう。
(2021年6月22日付紙面より)
教員など対象に優先接種 (古座川町 )
古座川町が18日、同町川口にある明神診療所を会場にして町内の教員や保育士などを対象にした新型コロナウイルスワクチンの優先接種を始めた。
この接種は保育所職員、学校教職員、学童保育所職員、スクールバス運転手、子育て支援センター職員を対象とし、同日現在で約90人が希望。教育委員会教育課からその数の報告を受けた健康福祉課は18日組、25日(金)組、7月2日(金)組に各30人程度を割り振って順次進め、3週間後の2回目接種を7月26日(月)で完了する計画で日時を伝えているという。
18日組は午後3時30分から同町保健福祉センター2階で受け付けと予診をし、同診療所で岡地英紀医師による問診を受け承諾を得てその場で1回目の接種に臨んだ。以降15分程度の経過観察をして終了。三尾川(みとがわ)小学校の前田知香教諭(36)は「自分が子どもにうつしてしまい親や家族にまで広めてしまわないか、ずっと心配しながら今まで過ごしてきた。優先接種していただけて本当にありがたく、ほっとしています」と安堵(あんど)して語った。
この接種は、西前啓市町長が高齢者や子どもを守るためにかねて「優先」と思いを巡らせてきたそう。同課の巽寿久課長は「一般集団接種(12~64歳対象)のめどもつき、その前にと教育委員会に希望者の報告をいただき、保健所にも相談に乗ってもらいながら場を整えた」と話し、高齢者集団接種の第3組(今月23~25日に1回目接種)も残る多忙な中でも惜しまず協力を了解してくれた岡地医師に感謝した。
(2021年6月22日付紙面より)
自然探訪スクール開講 (新宮市 )
熊野学研究委員会自然部会(瀧野秀二部会長)と新宮市教育委員会主催の第38回自然探訪スクールが20日、開講した。20人が参加し、熊野川総合開発センターでの開校式の後、近くの「田んぼ水族館」でトンボの観察会を楽しんだ。
美しいふるさとの自然に触れ親しみながらその恵みに感謝し、大自然の営みを学び、それを愛護する精神を培う目的で毎年開催している。
瀧野部会長は「今年で38年目を迎える取り組み。今年もできるだけ野外で、いろんな生き物や自然、星空に触れ、観察や体験を楽しんでほしい」とあいさつした。
田んぼ水族館では、参加者たちが盛んに飛び回って縄張り争いをするトンボを捕まえ、講師の南敏行さんらが種類や雄雌を同定。ハラビロトンボやシオカラトンボが多数捕獲された他、和歌山県レッドデータリストで準絶滅危惧種になっているモートンイトトンボやオオイトトンボ、成虫の姿で越冬するホソミオツネントンボ、ホソミイトトンボなど貴重な種が発見された。
南さんは「和歌山県には約90種のトンボがおり、田んぼ水族館では1992年~2020年に45種が見つかっている。今回発見されたのは13種類でしたが、季節が変われば別のトンボも現れてくる」と語った。
次回は7月25日(日)午前9時30分~正午、「高田川のいきもの」をテーマに生物観察をする。参加費は1講座500円。申し込み、問い合わせは市教育委員会文化振興課(電話0735・23・3368)まで。締め切りは7月21日(水)。
(2021年6月22日付紙面より)
新宮弓友会主催の月例射会
全国高校野球選手権和歌山大会
近畿高校レスリング選手権大会 (新宮高校 )
消防署が水難救助訓練 (新宮市 )
海水浴など水辺でのレジャーシーズンに向けて新宮消防署(垣内一男署長)は15日、新宮市三輪崎の三輪崎漁港で水難救助訓練を実施した。同署警防隊20人が溺者救出方法などを再確認した。
訓練は毎年この時季に行われている。今年は釣り人が誤って海中に転落し、「意識なし、呼吸あり」「意識あり、けがなし」の2人を想定し救助訓練を行った。
署員らははしごや滑車、クレーン、水難救助用担架などを使用し、指揮者の指示を受けて安全管理を徹底した上で救助に当たった。
堀切学副署長は「しっかりと声を出して動きが良く、連携も取れていた。しっかりと意識を深め、いい訓練でした」と評価。レジャーシーズンの到来に対して「コロナ禍で、例年よりは少ないですが、一年を通して当地方を訪れる方たちもおり度々、水難事故が発生しています。私たちとしては訓練を通して任務分担の明確化や情報収集、迅速な救助活動など、各部隊との連携をより深めて任務に努めていきたい」と述べた。
また、海だけでなく川においての事故にも注意を促し、熊野川には多くの支流があることから、ダムの放水状況の確認や気象状況にも注意することが大事とし「せっかくのレジャーシーズン。事故のないよう、楽しんでいただければ」と呼び掛けた。
昨年度中に市内で発生した水難事故は1件。昨年に続き、新型コロナウイルス感染症拡大予防の観点から三輪崎海水浴場、高田自然プールともに、開設については現在未定となっている。
(2021年6月16日付紙面より)
太田小で「命の授業」 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立太田小学校(上地巳奈子校長、児童20人)で11日、「命の授業」があった。全校児童が2グループに分かれて、同町でかづこ助産院を営む本舘千子(もとだて・かづこ)院長から、赤ちゃんが生まれるまでの過程や命の大切さを学んだ。
本舘院長は串本町から紀宝町までのさまざまな教育現場で、命の大切さや心と体のケア、科学的根拠に基づいた多角的な知識を学ぶ「包括的性教育」の必要性を伝えている。
5、6年生9人の授業では、本舘院長が子どもたちに小さな穴の開いたハートの折り紙を手渡し「これは命が始まった瞬間の大きさです。数字にすると0・12㍉あります」と説明。生まれるまでに約10カ月かかり、母親の胎内で成長して身長約50㌢、体重約3㌔になる過程を教えた。
赤ちゃんが生まれてくる方法については「自然分娩(ぶんべん)」と「帝王切開」の2種類があると述べ「母子の命が危険な場合には、無事を願いながら帝王切開でおなかを切ることもある」と伝えた。
本舘院長は、器のような女性の骨盤から赤ちゃんが自力で回りながら出ようとする動きを模型で解説。「赤ちゃんは自分の力で考えて生まれる。出産予定日なども赤ちゃんが決めます。『生まれる』は素晴らしくてすごいこと。全員が経験しています」と語った。
約3㌔の人形で赤ちゃんの重さを体験する時間もあり、児童たちは「結構重たい」「かわいい」などと声を上げながら順番に抱っこしていった。最後に本舘院長は、これから訪れる思春期について「大きくなるまでの道のりは、つり橋を渡るようなもの。滑り落ちそうになっている友達がいれば、手を差し伸べて助けてあげてくださいね」と呼び掛けた。
仲地主琉(しゅり)君(6年)は「0・12㍉から命が始まって大きくなる段階に改めて驚きました。人同士が助け合いながら成長していくことが大事だと思った」と話していた。
(2021年6月16日付紙面より)
警防班単位で水難救助訓練 (串本町消防本部 )
串本町消防本部(寺島正彦消防長)の本年度水難救助訓練が14日から始まった。この訓練は警防班単位で計画し実践することとしていて、この日は串本消防署第2警防班(森下貴司班長)が同町くじ野川にある橋杭ビーチで溺者2人を想定し取り組むなどした。
水域でのレジャーが活発化する時季を前に日頃培っている技術を確かめ、水難事故発生時における迅速かつ的確な発揮を目指す同訓練。長大な海岸線や河川流域を有し、相応に水難が起こりやすく対処力が求められる管内環境への意識を高く保つ狙いも含めて例年実施している。
この日は森下班長ら班員13人が同訓練に臨んだ。橋杭海水浴場の中ほどで2人が溺れ、うち1人が海底に沈んでいるという想定で始め、潜水隊員が急行して要救助者を確保、救助隊員が救命索発射銃で沈んでいない1人を浜へ引き寄せ、潜水隊員が引き揚げた1人を救難艇(エンジン付きゴムボート)へ乗せて最寄りの浜まで運んで救急隊員が引き継いだ。各隊員には想定のみが伝えられ、以降は現場の状況を見て必要な活動を判断する本番同様の状況で目的の達成を目指した。
想定訓練のほか、潜水隊が捜索時に用いるロープ等の資材準備やエンジンが使えない場所での救難艇の操船(オールを使用)などの訓練項目も実施。森下班長は「救難艇の操船訓練は月1回取り組んでいるが、今回のような訓練は普段はなかなかない機会。隊員にとって身になる活動になったと思う」と総括した。
同訓練の様子を見守った井本茂署長は、隊員がもろもろの訓練の成果を生かして活動する状況を今後に期待。他の警防班の訓練日時は同日現在未定で、それぞれに内容を決めて臨むという。
(2021年6月16日付紙面より)
浮島の森で大規模作業 (新宮市 )
新宮市浮島の国指定天然記念物「新宮藺沢(いのそ)浮島植物群落」(浮島の森)で14、15の両日、スゲ属の植物「カサスゲ」の除去作業が行われた。業者が参加しての大規模除去作業は今回が初めてという。
カサスゲは湿地や池の浅い所に生育し、1㍍もの高さに成長する大型スゲの代表的なもの。かつてはすげがさやみのなど、さまざまな民具に利用された。
除去作業には、2011年の紀伊半島大水害以降に同所で繁殖している外来種の水草「アマゾントチカガミ」の存在も大きく影響している。
カサスゲが増えることによって水の流れが停滞し、アマゾントチカガミの生育を助長。カサスゲ、アマゾントチカガミ共に腐食することにより水質の悪化や水温の上昇に影響を与える場合があるという。
作業に立ち会った市文化振興課の小林高太主任によると、これまでも職員やボランティア有志によって除去作業を行っていたが、植物の生育スピードに追い付かなかったことから、夏を前に大規模除去作業に踏み切った。
14日の作業には業者8人が同所の池で鎌などを手にカサスゲを除去し重機を使って搬出。約5時間の作業で約6㌧を除去した。カサスゲの除去後は、随時アマゾントチカガミの除去作業も実施していく予定だ。
多種多様な生き物が観測される浮島の森では、外来種のブラックバスやミシシッピアカミミガメの存在も確認されている。昨年8月には、水温の高さが原因として考えられている「アカマクミドリムシ」が大発生。池の水面を赤く染めた。
(2021年6月16日付紙面より)
県高校総体団体、個人で (弓道競技 )
県高校総体で好成績 (新宮高校レスリング部 )
県消防救助技術会 (新宮市消防本部 )
第49回和歌山県消防救助技術会が1日、和歌山市加太の県消防学校であった。新宮市消防本部からは8人が出場。芝下朋也さん(20)が「はしご登はん」で35人中1位となったほか、同種目で2人が入賞、「引揚救助」で東紘助・西一慶・湯川貴生・西地裕・林勇成さんチームが7チーム中3位入賞を果たすなどの好成績を収めた。同消防本部で「はしご登はん」1位は初の快挙となる。
同技術会は県内の消防職員が一堂に会し、日頃の訓練の成果を発揮する大会。それぞれの種目の活動内容に安全性などの観点から審査項目が設けられており、他の消防本部と競い合い、学び合うことで救助技術の向上を図り、他の模範となる消防救助隊員を育成する目的もある。
今年は県内16消防本部から200人以上が参加。個人・団体種目合わせて七つの種目で救助技術を競い合った。例年なら1位入賞者は全国消防救助技術大会への出場権を獲得するが、今年は新型コロナウイルス感染拡大状況を鑑み全国大会の規模を縮小することから、出場者は7月9日(金)に京都市で開催される東近畿地区指導会で、7府県から2人が抽選で選ばれるという。
「結果は予想していなかった」と初出場で1位となった芝下さん。技術会当日はコロナ感染予防のため結果発表を待たずして車に搭乗。1位の知らせは帰路の途中に届いたという。
趣味は筋トレで柔道は初段の腕前。「手応えはあった。訓練の成果を出せたと思う」と笑顔で語り、「もし全国大会の代表に選ばれた際には課題を克服し完成度を上げていきたい。今回得た経験を実際の現場活動で生かし、市民の皆さんの安心安全につなげていければ」。
越水薫消防長は「技術会の種目には普段の火災や救助の全ての要素が含まれている。出場したことでレベルは上がっているはず。いい結果に終わって喜んでいる。こういった経験を繰り返しながら災害時に生かしていきたい」と話していた。
(2021年6月6日付紙面より)
日本の森・滝・渚全国協議会
「日本の森・滝・渚(なぎさ)全国協議会」(会長=市川熙(ひろし)・山口県光市長)令和3年度第1回理事会が3日、オンラインで実施された。副会長を務める田岡実千年新宮市長をはじめ8人が参加。ウェブ会議システムを活用し意見交換を行った。
同協議会は、「森林浴の森全国協議会」「日本の滝全国協議会」「日本の渚全国協議会」の統合により2007年に発足。それぞれ「森林浴の森日本100選」の森林(1987年選定)、「日本の滝百選」の滝(90年選定)、「日本の渚・百選」の渚(96年選定)を有する自治体により構成されていた。
自然敬愛に基づき郷土を愛する心を育むとともに心豊かな人づくり、自然と共生する潤いのあるふるさとづくり、国づくりを推進し、日本の豊かな自然を守り後世に伝えることを目的としている。
目的の達成に向け▽地域の活性化▽地域の知名度向上のための情報発信▽情報収集および調査研究▽優れた自然環境の保全▽地域相互の連携―などの事業を展開している。新宮市では、「桑ノ木の滝」が滝百選に、「高田の里」が森林浴の森100選に登録されている。
昨年度は新型コロナウイルス感染状況を鑑み、協議会は理事会・総会ともに対面での開催は中止としていた。
開催に当たり、市川会長は「長期化するコロナ禍の影響で先行きが見通せない状況だが、終息を見つめると疲弊した地域経済の活性化のためには各地の魅力を生かした観光振興が重要な役割を担うと考える」とあいさつし協力を呼び掛けた。
田岡市長は「昨年に引き続きお会いできないのは残念だが、リモートではあるが顔を見ながら会議ができることをありがたく思っている」とコメントした。
この日の理事会では、書面決済となる総会へ提出する議案などについて審議。総会関連事業が2年連続で中止となることを憂慮し、リモート対談を実施し会報「百選賛美」に掲載することや、コロナ終息後を見通し、ホームページやパンフレットの改訂を実施していくことなどを共有した。
(2021年6月6日付紙面より)
土砂災害啓発センター (那智勝浦町 )
那智勝浦町市野々にある和歌山県土砂災害啓発センター(坂口隆紀所長)では、昨年度県内の小中学校で実施した防災学習の感想文をファイルにまとめて展示している。
同センターによると、防災学習を実施後、感謝の言葉や重要だと感じたことなどを書きつづった感想文が各校から届くという。感想文はこれまでも展示スペースなどに掲載していたが、学習を実施する学校数も増えてきたことから今回、目次や各校ごとの見出しを付けてまとめた。
ファイルは小学校と中学校でそれぞれ1冊ずつあり、感想文を書いた生徒児童の名前は消去するなど、個人の特定につながらない配慮も行っている。
坂口所長は「『初めて山が崩れることを知りました』などの内容のものもあった。皆さんの感想文はわれわれにとっても大きな気付きがある」と評価。
今後の防災学習や感想文の狙いなどについては「子どもたちに学んでもらうのはもちろんだが、自宅で家族に話したり、感想文をきっかけに大人の方々にも防災を勉強しようと思っていただけたらありがたい。これからも取り組みを継続していきたい」と語った。
(2021年6月6日付紙面より)
新宮市立図書館休館に伴い
新宮市文化複合施設「丹鶴ホール」への移転に向けた市立図書館休館に伴って5日、市立神倉小学校図書室の一般開放が始まった。開放期間は7月までの毎週土曜日午前9時~午後1時。
読み聞かせなどの読書活動や児童生徒の学習スペース、図書の閲覧に利用してもらうためで、開放中は学校司書や図書館職員がカウンターに常駐する。
絵本や小学生向けの小説、伝記、図鑑、詩集、一部中学生向けの小説などが閲覧できるが、貸し出しはできない。利用時間や来館対象者の制限はなし。利用時は新型コロナウイルス対策としてマスクを着用し、学校横の駐車場に限りがあるため、できるだけ徒歩や自転車で来室する。
図書館職員は「どなたでも利用していただけるので、ぜひ気軽にお越しください」と利用を呼び掛けている。
なお、新聞閲覧は同所ではなく、市役所別館ロビー(平日午前9時~午後5時)へ。
問い合わせは新宮市教育委員会教育政策課(電話0735・23・3365)まで。
(2021年6月6日付紙面より)
総合スポーツ大会ソフトテニス (ゆうゆうクラブ )
谷上嘉一さんらが製作
川の参詣道として世界遺産に登録されている「熊野川」を巡る川舟下り。新宮市熊野川町の熊野川川舟センターが2005年から定期乗合便を開始し、多くの観光客が川を下りながら流域の自然を体感してきた。
熊野川の川舟は、船首が大きく反り返り、船底は平らで、どんな条件にも対応できる構造が大きな特徴だ。
川舟の老朽化に伴い、2隻の製作を依頼しており、紀宝町北桧杖の川舟大工・谷上嘉一さん(79)が製作に取り掛かっている。
川舟は全長8・7㍍、幅約1・82㍍。外国人向けに座席などを部分的に強化した。製作には大工3人で2カ月を要する。1隻はすでに完成し、2隻目は6月中を目指している。
谷上さんは〝日本一の暴れ川〟と呼ばれた熊野川を行き来する川舟とともに生活してきた。「50年ほど前は10人ほどの舟大工がいて、川舟も各家で1~2隻持っていた。生活の一部だった」と振り返る。
川舟はかつて、熊野川を行き交う重要な交通手段だった。谷上さんも船頭として舟を操っていたが、道路整備が進み、昭和30年代に役割を終えた。川舟の需要が減るにつれ舟大工も減少してきた。
地域の伝統技術を絶やさぬため、40年以上前から独学で川舟を造り続けている谷川さん。今では、熊野川流域で唯一の職人となった。
使用する木材はスギが8割ほどを占める。地元の山に入り、舟に合う淡い赤身の多い木を選ぶ。固いヒノキで強化し、ケヤキは船首部分に使う。
「1本の木から造ることで作業性が良く、機能性、操作性も良くなる。木は同じ場所に生えていても重量や反発力、赤身のクセなどが微妙に違う」と話す。
川舟造りは全ての部分を曲げるのが難しく、火であぶって木を曲げる。曲がり方は木によって違うため、長年の経験と勘が頼りだという。
これまで5隻の観光川下り用の川舟を製作しており、「熊野川の景観、歴史、生活を知ってもらうことで地域振興にもつながる。観光客には世界遺産と川舟の歴史を感じながら遊覧を楽しんでほしい」と語る。
(2021年6月5日付紙面より)
身障連定例の要望書提出 (串本町 )
串本町身体障害者連盟の中野實会長が2日、田嶋勝正町長を表敬訪問し定例の要望書を提出した。
同連盟は西暦奇数年に町長を来賓として総会に招いて要望書を提出する活動を続け、町は当事者の声として重んじ成果による応答に努めている。本年度は提出年に当たるがコロナ禍の情勢を考慮して総会を書面決議とし提出の場がつくれなかったため、会長が町長へ届ける形を取った。
今回の要望事項は①歩道環境の整備(国道42号潮岬東口交差点~同西口交差点区間)②コミュニティバス運行(車いす利用者対応のリフト・車内固定器具付バスの導入など)③JR串本駅の物理的障壁の改善(町による駅員等による解決ではない環境整備の要請)④公的機関への手話通訳者配置(手話ができる職員の育成)⑤防災関係(要支援者に行き届く避難支援の具体化)―の5項目。
中野会長は役場本庁~JR串本駅間の歩道環境改善や文化センタートイレの洋式化、コミュニティバス路線へのノンステップ車両導入など過去の要望事項の達成と要望に応える町の取り組みへの感謝を伝え、①の項目は建設課から国土交通省が対応に動き出すので事前に面会してほしいと要請を受けていることを報告した。
他方、④は町職員内で手話対応ができる人材を育てること、⑤は要支援者対象の個別計画が有事の支援に確実に生かされるよう区長や自主防災会などと事前に話し合う場を設けることを特に期待して強調した。
(2021年6月5日付紙面より)
「社協のエクササイズ教室」 (太地町 )
太地町社会福祉協議会は2日夜、同町多目的センターで「社協のエクササイズ教室」を開いた。町地域包括支援センター理学療法士の谷口徹さんが講師を務め、町内在住の参加者12人がストレッチに取り組むなどして汗を流した。
教室は多種のエクササイズを通して健康障害の予防や介護予防を図ろうと毎月実施。ストレッチ、筋トレ、プール体操など、項目を変えながら行われている。
この日のテーマは「からだのストレッチング」。冒頭で谷口さんは「筋肉は筋膜というもので覆われています。一方向に体を伸ばすより、筋膜の走行を考慮することで筋肉を解きほぐすことができる」と説明。注意事項の後、運動を開始した。
参加者は全身や胴回り二の腕・脇腹、肩甲骨、体側など計8種類のストレッチを実践。谷口さんの手本を見ながらゆっくりと体を反らし、熱心に取り組んだ。
3回目の参加という50代の女性は「元々、硬いこともあって少し痛かったですが、楽しく体を動かすことができた。難しい動作ではないので、時間を見つけて自宅でも実践してみたいと思います」。
谷口さんは「集中して取り組む姿が見られました。体を伸ばすべき場所は人によってさまざまで、無理のない動きを行うことが大切。継続して実施し、健康づくりにつなげていってもらえれば」と話していた。
(2021年6月5日付紙面より)
30日まで開放、熊野那智大社 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)は、境内にある紫陽花(あじさい)園を1日から30日(水)まで開放している。園内のアジサイは現在六分咲きを迎え、参拝者の目を楽しませている。開放時間は午前8時30分から午後3時30分まで。
大社によると、境内のアジサイは1960年頃から栽培を始め、職舎付近や参道、車道沿いに植えられている。現在は2000株ほどが自生しており、ガクアジサイ、ヤマアジサイ、タマアジサイなど十数種類がある。
例年は14日に営まれる「紫陽花祭」後に一般開放されるが、今年は花の咲きが早いことから1日からの開放となったという。
大社の神職は「今年の花の咲きは早い。花の状態も例年並みに良いと思う。ぜひ、ご参拝にお越しの際はアジサイを楽しんでいただけたら」と話している。
紫陽花園は大社の大鳥居下の階段を降りた参道横にある。
(2021年6月5日付紙面より)
【第35回】スーパーは食育の宝庫!
夕飯のお買い物、子どもと行くこともあると思いますが、どんなことに気を付けていますか? 私はスーパーマーケットは食育の宝庫だと思っています。小さい頃はスーパーでいろんなお話をすることをお勧めします!
まず、一番簡単な食育は商品について話すことです。今は通年出回るものが多くなった野菜でもやはり旬のものは、目立つところにあったりたくさん置いてあったりしますよね。「春だから、緑のものがたくさんあるよ」とか、「春は山菜が採れるんだよ」とか、「夏だからスイカがあるね~」など、果物でも野菜でも、季節を教えてあげるきっかけになります。旬に食べるととびきりおいしいことや値段が安く買えること。旬に食べると栄養が豊富なことなども教えてあげてください。「これもたくさんあるけど、春の野菜なのかな?」と一緒にスマホで調べたりするのもいいですね。お母さんから聞いたことより、一緒に調べたものの方が、印象に残るかもしれません。
それ以外にも「おいしそうなものを選んで」と、子どもに選んでもらうのもいいと思います。色がきれいなもの、みずみずしいものを選んでもらってください。おいしいものを選ぶポイントを教えてあげるとさらに食育になります。
キュウリなら、トゲがしっかりしているもの。春キャベツなら軽くてふんわりしているもの。冬キャベツなら重いもの。お魚なら目がきれいなものなどおいしい食材の見分け方はたくさんあります。こういったコミュニケーションは食材を選ぶ力を養ってくれます。
さらに私の一押しは献立を相談することです。例えば、メインが唐揚げなら「唐揚げと一緒に食べるのは他にはどんなおかずがいいかな?」といった具合です。「お肉はあるから、お野菜がいいね」などヒントをあげるのもいいですね。こういったやりとりで、バランスの取れた食事を意識することを覚えてくれます。
「緑の野菜は買ったけど、赤がないね」とか「野菜とお肉はあるけど、他に何があったらいいかな?」などの問い掛けも食育になります。食意識を高めて、食卓に関わることで食べるものも増えると思います。楽しんで食べてもらうには、食材や料理に興味を持って参加することがとてもいいといわれています。自分で選んだ食材や自分がよく知っている食材、自分で考えた献立は、ただ食卓に受動的に並べられたものとはまた違うものとして映ると思います。
食卓で食べるときは「これは○○ちゃんが選んだやつだよ」「○○ちゃんが選んだものはおいしいね」などと、話してあげてください。きっと子どもたちはとてもうれしく楽しく感じるはずです。
楽しんで食事をするというのは何も特別なことは必要ありません。ただ、家族の一員として、受け入れられているという認識を与えることが重要です。ぜひ身近なスーパーマーケットから、食育を始めてみてはいかがでしょうか?
(2021年6月5日付紙面より)
学生が湯川駅の景観を改善 (那智勝浦町 )
和歌山大学の学生自主プロジェクト「きのくに線活性化プロジェクト」は5月29日、景観改善などを目的に那智勝浦町湯川のJR湯川駅の海側周辺の草刈りや清掃に取り組んだ。学生ら10人や土地を所有する協栄機械土地株式会社、JR西日本の各社員、同町職員など約20人が作業に励んだ。
和歌山県の地域をつなぐJRきのくに線を通じて、県の地域活性化を目指す同大の学生らで組織される自主プロジェクト。旅行者向けの情報発信なども行っている。
「海の見える駅」を観光資源として来訪者に景色を楽しんでもらうために、景観を損ねている生い茂った木や草を整備すべく今回の活動に至ったという。
参加した堀順一郎町長は「町は観光が主力産業。景観も観光の一つの見せ場。取り組みはありがたい。町を挙げてきれいにする必要がある」。
JR西日本和歌山営業部の上段貴司部長は「湯川駅には『WEST EXPRESS 銀河』が停車する。乗降はないが景観を楽しんでいただける。今回はJRとしてもありがたい」と話した。
一同は草刈り機などの道具を使用して2~3㍍の高さがある竹に似たダンチクや放置されている木々などを伐採し、草刈りに汗を流した。
同町出身でプロジェクトメンバーの宮井凜晴(りんせい)さん(観光学部2年)は「小さい頃からきれいな景色のきのくに線を利用してきた。乗車した方が海を楽しみ、発信してくださることで観光客や利用の増につながれば」。
同プロジェクトの代表を務める岸本瑞生(みずき)さん(観光学部2年)は「湯川駅は注目されている駅の一つで海が近く、静かで駅舎も大きい。今日は活動の第一歩。継続して取り組んでいきたい」と話した。
宮井さんの祖父で、学生たちの活動を一目見ようと湯川駅を訪れていた同町八尺鏡野(やたがの)在住の掛橋郁雄さんは「学生の皆さんは町民が気付かない視点を持っている。きれいな景色が見えるようになるのはありがたいこと」と話した。
同プロジェクトでは今後、駅のホームや周辺の空いたスペースを使用して地域住民も集えるコミュニティースペース設置計画も検討しているという。
(2021年6月3日付紙面より)
接種予約の電話回線増設 (紀宝町 )
紀宝町は11日(金)から、16~64歳の対象者5436人に新型コロナワクチンの接種券を一斉発送する。1日からは、電話による受付時間を平日は午前9時~午後7時、土日、祝日は午前9時~午後4時まで延長し、電話回線も4回線から8回線に増やした。
混乱を避けるため、17日(木)から基礎疾患を有する人、22日(火)から63、64歳と高齢者施設従事者、24日(木)から60~62歳を対象に、予約開始日をずらして受け付ける。59歳以下は追って高年齢順で段階的に予約開始日を個別通知で知らせる。
町内65歳以上の全高齢者への個別通知が完了しており、町新型コロナウイルスワクチン接種プロジェクトチームでは「対象者ごとの予約開始日の午前中は電話が混み合いますが、午後や翌日以降はつながりやすくなっています。対象者分のワクチンは確保しています。焦らずにお電話ください」と呼び掛けている。
65歳以上の対象者3913人のうち、集団接種1509人、個別接種669人、高齢者施設入所者226人の計2407人の予約があり、予約率は61・5%となっている。
5月28日現在、1回目の接種は集団接種593人、個別接種193人、高齢者施設で202人の計988人が済ませた。接種率は25・2%。
(2021年6月3日付紙面より)
オンラインで懇談会開催 (国交省近畿地方整備局 )
国土交通省近畿地方整備局は5月30日、ウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」を活用し、13回目の「熊野川懇談会」(委員長=藤田正治・京都大学防災研究所教授)を開催した。学識経験者や地元関係者ら約20人が参加し「明日の熊野川整備のあり方(追記版)」案などについて審議。懇談会の様子は動画投稿サイト「ユーチューブ」でライブ放送された。
同懇談会は、新宮川水系直轄管理区間(猿谷ダム周辺、熊野川河口周辺)の河川整備計画を策定するに当たり、学識経験者から意見を聞くため2004年10月に設置。熊野川らしさや、あるべき姿を踏まえつつ「熊野川河川整備計画」の原案について意見を述べるとともに、関係住民の意見の聴取や反映方法について提言し河川整備計画の策定に寄与する目的がある。
河川整備計画は、今後20~30年間の具体的な河川整備の内容を示したもの。長期的な河川整備の基本となるべき方針を示したものが「河川整備基本方針」となる。
2004年の第1回から09年の第9回の懇談会では「明日の熊野川整備のあり方」を取りまとめ公表。11年の紀伊半島大水害により甚大な浸水被害が発生したことから、気候変動の影響も考慮した河川整備基本方針を見直す必要が生じたため昨年、約10年ぶりに第10回懇談会を開催するに至った。
この日の懇談会では、これまでの会議での議論と河川整備基本方針検討小委員会での河川整備基本方針(変更案)の審議内容を踏まえ、「明日の熊野川整備のあり方」について意見交換。事務局から検討小委員会の概要や変更案の説明があった。
藤田委員長が、追記版「明日の熊野川整備のあり方(案)」について▽地球温暖化に伴う気候変動▽持続可能な開発目標(SDGs=エスディージーズ)▽新型コロナウイルス感染症―などの項目を設け「気候変動の影響や社会状況の変化などを踏まえ、流域に関わるあらゆる関係者が協働した『流域治水』へ転換する」「新型コロナウイルス感染症により熊野川の流域でも、主要な産業である観光が移動制限などによる観光客の激減により大きな影響を受けている。~略~地域の活性化のためにも、参詣道の一部である熊野川の活用をはじめとした取り組みが求められる」と明記したなどと説明。
委員らの意見を踏襲した上で「熊野川流域は治水、利水、環境の問題が強く関連し合いながら、人の営みが影響を与えて河川流域が形づくられてきたと言える。治水や利水、環境の問題は場合によっては互いに対立する問題であり、絶対的な正解を見つけることが困難」としながらも、今後作成が予定されている河川整備基本方針や河川整備計画へ反映すべき留意点などをまとめたとした。
次回の懇談会は6月27日(日)を予定しており、河川整備計画の方向性に関して意見交換を行っていく。
(2021年6月3日付紙面より)
串本町で本年度通常総会 (SP紀伊周辺地域協議会 )
スペースポート紀伊周辺地域協議会(会長・下宏副知事)が1日、串本町サンゴ台にあるホテル&リゾーツ和歌山串本で本年度通常総会を開いた。新会員として株式会社紀陽銀行(丸岡範夫取締役上席執行役員)の入会を承認。プレミア見学場など受け入れの企画運営業務を受諾する株式会社JTBから同業務案、スペースワン株式会社から事業進捗(しんちょく)の報告を受けるなどした。
ロケット発射場が立地する地域の経済高度化や発射時の事業環境や生活環境の円滑化等を図り活性化に寄与する団体として2019年10月21日に前身が発足。今年3月1日の臨時総会で会名を変更し現在に至る。
本年度の事業計画や予算は先にあった臨時総会で承認済み。議事序盤で新宮警察署の山田守孝署長、串本警察署の泉政勝署長、勝浦海事事務所の藤木純一朗所長、航空自衛隊串本分屯基地の中津洋紀司令が新任あいさつをし、県推薦によりスペースワン社へ出資する紀陽銀行の入会を承認した。
4月1日付で串本町役場古座分庁舎内に設置した現地事務局の職員紹介を経て、株式会社JTBが同協議会からの受託を受けて立案中の企画運営業務案「スペースポート紀伊におけるロケット打上げ応援会」の概要を説明。実施体制や輸送計画、プレミア見学場・パーク&ライド拠点の形状、映像コンテンツ作成、見学者募集の手法、新型コロナウイルス感染症対策の各考えを伝えて同協議会会員から意見を求めた。
同社の考えにおいてプレミア見学場の位置は変わりないが、串本町側のパークアンドライド拠点が当初の旧串本古座高校古座校舎・旧国保古座川病院跡地から西の岡統合小建設予定地へと変化。接続する新道はその時点で未供用だが、同町は必要に応じて一時的に通行可とする対応を取るとしている。
映像コンテンツはパブリックビューイング時の放映を目的とし、テレビ和歌山が制作を担当。見学者募集にはJTBのイベントエントリーシステム「AMARYS(アマリス)」を活用し、同協議会と申し込み状況の情報共有を図る。ツアー造成は自他連携をして販売に努めるとしている。
スペースワン株式会社は5月20日時点でのスペースポート紀伊建設状況を伝え、夏の終わりごろに建設を終了して資機材搬入にかかると説明。併せて立地の要望に応えて作成したスペースポート紀伊のエンブレムも発表し、使用承諾の筋道を示すなどした。
その他、同協議会事務局は7月24日(土)に県主催で第3回宇宙シンポジウムin串本があることを報告し、会員各位の協力を求めた。
(2021年6月3日付紙面より)
高田川などに太公望
熊野地方の熊野川や古座川流域などで1日、アユ漁が解禁された。この日を待ちわびていた太公望が夜明けとともに釣り糸を垂らした。昨年に続き、新型コロナウイルスの影響で解禁日の延期や中止が心配されたが、例年通り実施された。
熊野川漁業協同組合は4月に大塔川450㌔、四村川450㌔、赤木川上流200㌔、高田川150㌔、三越川100㌔など、熊野川の各支流にアユの稚魚計1350㌔放流した。組合は「今年の天然遡上(そじょう)は平均並みのようです」と話している。
新宮市の高田川に釣り仲間3人と訪れた大石光二さん(35)=同市三輪崎=は「この日が来るのを楽しみにしていました。午前5時半ごろから2時間で17~18㌢のアユが約20匹釣れた。予想以上に釣果が良く、驚いています。しっかり新型コロナの対策を取った上で、アユ釣りを満喫したいと思います」と話していた。
(2021年6月2日付紙面より)
ボランティア有志が清掃活動 (環境ファースト連合会 )
環境ファースト連合会(椋野玲史会長)は5月30日、新宮市の王子ヶ浜海岸で清掃活動を実施した。連合会に所属する「紀伊半島の海亀を守る会」(榎本晴光会長)を中心に、会員ら約30人が海岸約2㌔の範囲にわたって、流木やプラスチックごみなどの撤去作業に汗を流した。
5月30日は「ご(5)み(3)ゼロ(0)の日」。1982年に関東地方知事会関東地方環境対策推進本部空き缶等問題推進委員会が提唱した「関東地方環境美化運動の日」に由来する。93年には、厚生省(当時)が制定した「ごみ減量化推進週間」の初日に設定され、近年でもこの日に合わせ、全国的に清掃活動が展開されている。
数あるごみ問題の中でも「海洋ごみ」は深刻化する問題であり世界的な課題だ。絶滅危惧種・アカウミガメが上陸する数少ない海岸の一つである王子ヶ浜においても、降雨後には膨大な数の流木やプラスチックなどが海岸に流れ着き、ウミガメの上陸や産卵に大きな影響を与えている。
アカウミガメと卵を保護し、海に帰すボランティア活動を展開する同守る会は、本格的なアカウミガメの出産シーズンを前に、毎年この時季に大規模清掃を実施している。
清掃には連合会(新宮市王子ヶ浜を守る会、紀伊半島環境保護推進協議会、鮒田の環境を守る会、さかさ川をきれいにする会、相野谷川水辺の環境を守る会、山地地区と六部海岸の環境を守る会)の有志らが参加。重機4台も出動し、約3時間の撤去作業を実施した。
今季、同浜では20日にアカウミガメの初上陸と98個の産卵を確認。以降も上陸はあったものの、産卵には至らなかったという。
榎本会長は「ごみゼロの日でお日柄もよく、天候にも恵まれた」を汗を拭いつつ「ごみが多いとウミガメの上陸・産卵に影響が出る。大きな流木などは人間にとっても危ない。清掃は必要で大事なこと。行政にも協力してもらえれば」と話していた。
(2021年6月2日付紙面より)
串本町や古座川町を進行 (国民平和大行進 )
串本町や古座川町で5月31日、原水爆禁止国民平和大行進2021の宣伝カーが進行した。感染症予防のため昨年に続き今年も集会や行進は休止。自治体懇談と宣伝カーによるアピールがあり、串本町では町職員や原水爆禁止串本町協議会(藤田勝彦会長)の会員らが集まり同カーを送り出した。
核兵器廃絶を訴えながら原水爆禁止世界大会が開かれる広島県や長崎県を目指して進行する同行進。11幹線コースのうち、和歌山―広島コースは同月7日に橋本市を出発し31日に東牟婁入りした状況となっている。
この日は直前に自治体懇談をして両町長から署名入りの賛同ペナントを預かり午後3時に古座川町役場前、午後5時に串本町役場本庁前を出発した。串本町では宣伝カー前面に掲げたコース横断幕とともに進行する原水爆禁止和歌山県協議会の里﨑正事務局長があいさつし、同町は第五福竜丸建造の地であり県内で先駆けて核兵器に関する意見書を町議会が提出するなど平和への関心が高い地域とたたえつつ、送り出しに感謝した。
同カーは行進を先導しないことで得た機動力を生かして例年より広範にアピールを届けるなどした。以降は太地町・那智勝浦町方面へ進行。コース横断幕を三重県へ引き継ぎ、8日から紀宝町を起点にして県内進行が始まるという。
(2021年6月2日付紙面より)
コロナ対策講じ、10日まで (太地町立くじらの博物館 )
太地町の町立くじらの博物館は、飼育するクジラの歯磨きを1日から一般公開した。「歯と口の健康週間」にちなんだイベントで10日(木)まで実施している。
催しはクジラの歯磨きによって歯と口の衛生の普及啓発を行うことと、食性の違いから種類によって数や大きさなどクジラの歯の特徴が異なることを知ってもらうことが目的。
昨年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から町立太地こども園の園児の招待を中止したが、今年は対策を万全に行い招待した。
クジラショー後にオキゴンドウとハナゴンドウ、コビレゴンドウの3頭の歯磨きを行った。職員のサポートを受ける中、代表園児がクジラの歯磨きに取り組んだ。
同園くじら組の小出勝太君は「クジラの口は大きかったし、歯が白かった。僕は一日3回歯磨きしています。これからも歯磨き頑張ります」と元気いっぱいコメントした。
稲森大樹副館長(36)は「歯と口の健康を考えていただき、毎日の歯磨きを呼び掛けるとともに、同じクジラでも食性によって歯の生え方が違うなどの特徴も知っていただけたら」。
来場者に対しては「これまでと同様に感染症対策を講じながらお客さまには安全にご利用いただけるように運営に取り組んでいきたい」と語った。
同館は先日、新型コロナウイルス感染予防対策を行う施設などに対し、和歌山県が認証マークを交付する「感染症予防対策認証施設」に認められたという。
歯磨きはクジラショー後の午前10時30分、午後0時30分、午後2時30分の1日3回、10分程度を予定。問い合わせは同館(電話0735・59・2400)まで。
(2021年6月2日付紙面より)