最後の「紀の国トレイナート」 (31日から )
本州最南端・紀伊半島を舞台に2014年から7年間続いてきた「紀の国トレイナート」が今年、ラストランを迎える―。「紀の国わかやま文化祭2021(第36回国民文化祭・わかやま2021、第21回全国障害者芸術・文化祭わかやま大会)」の地域文化発信事業に位置付けられている今年のトレイナートは31日(日)から11月21日(日)にかけて開催。現在、御坊市から新宮市までのJRきのくに線と紀州鉄道の列車内と駅舎、沿線地域では、31日の開幕式に向け参加アーティストによる制作が進んでおり、突如現れたアートが道行く人たちに驚きと興味を与えている。
新宮市のJR三輪崎駅付近の海沿いの土地では、現代美術家・中村岳さんが21日から木材を使用した作品制作に取り掛かった。22日の取材時にはピンク、青、黄色、紫色に着色した木材が約5㍍もの高さに組み上がり、通り過ぎる歩行者や運転手らの目を引いていた。
「“場所”がキャンバス。景観に合わせて自由に発想し創っている」と中村さん。「現代美術家にとって、人を驚かすことはある種の使命」と話す。
作品について「絵画では2次元に3次元的要素を持たせる。いわば虚構の世界。立体物だが絵を描くように、空間に線を描いているイメージ」と説明。
木材は築100年を超える古民家を解体した際の廃材を使用しているそう。「ノーコンセプトでノープラン。場所に5分立つとイメージが湧く」と語るように、当初ピンク一色で予定していた作品は、アザミやススキ、セイタカアワダチソウなどの野草と海の青色に触発され色を増やした。
トレイナート初年度の2014年にも三輪崎駅舎前で作品を展開した中村さん。熊野について「素朴で景色もきれい。人なつっこくてアーティスティックでしゃれた人が多い。魅せられてます」と話していた。
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那智勝浦町の湯川海水浴場では23日、建築家で東京理科大学教授・和歌山大学客員教授の広谷純弘さんが、作品「時の舟」を設置。協賛する㈲白樫木材、実行委員会メンバーら5人が協力した。
広谷さんが約20年前に設計した建築のデッキが老朽化したため、板を張り替えた際に取り外した古い板を使用して完成した「時の舟」。古材は取り外されるまでの15年間を経て、アート作品として新しい航海に出て行く舟に生まれ変わった。
2019年、同作品で参加した際には、台風で作品が波にさらわれた。地元の人たちにより引き上げられた作品はこのたび、内部の板にアルミ箔を貼るなどの改良を加えたことにより、海の青と空の青を映し、万華鏡のようにキラキラと輝くオブジェに。
1本のワイヤで引っ張ることによって成り立つ作品は、板同士がお互いを支え合い、柔らかい空間を演出。古材を利用したリサイクルアートとして、環境問題にも訴え掛ける。
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同町のブルービーチ那智に突如現れた、巨大なショッピングカート。そこに住む人々の暮らしや文化との関係を、カラフルでポップな姿で表現したという。カートの着色は町立勝浦小学校の児童らが協力。作家の深尾尚子さんは「ビーチに合う元気な作品になりました。ワークショップに参加した子どもたちをはじめ、計画や設置の段階でも多くの皆さんの協力を頂き完成するこができました」とコメントを寄せている。
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臨時アート列車「紀の国トレイナート号」走行日は11月6日(土)。御坊―新宮間を巡る。期間中は各地で関連イベントや沿線のまちへのローカルダイブも行われる。問い合わせは同実行委員会事務局(電話080・5786・2652、0739・22・5064)まで。
(2021年10月27日付紙面より)
令和3年度生涯学習講座 (太地町 )
太地町公民館は22日、町公民館で令和3年度生涯学習講座「太地城と戦国時代の熊野」を開いた。町内外から35人が参加。和歌山城郭調査研究会代表の白石博則さんが講師を務め、太地城跡の歴史や他の城との違い、当時の人々の暮らしについて講話した。
白石さんは同町には、森浦地区の頼子(よろこじ)城、太地地区の太地城、東上野地区の和田城の三つ城跡があると説明。今回は太地城をテーマに講演した。
白石さんによると、太地城は、勢力争い(戦)と海を行き来する船から料金(津料)を徴収する二つの役目があったと説明。戦については、状況証拠を基に天正9年から13年まで太地氏らは新宮の堀内氏に属していたという。
堀内氏が日高郡の湯河氏、三前郷・古座の高河原氏と抗争が進む中、太地の武士である和田蔵人と太地隠岐守らが太地城を築いて、それらと戦ったと説明した。
河口に港があって城が築かれることは多いが、太地城は湾に港があって城があることから珍しいと主張。航行する船からスムーズに津料を徴収することと、徴収者の安全を保障するために必要なシンボル的存在だったのではと解説した。
太地城について▽主郭とやや離れた駐屯部がある▽海上や湊が見えることに加え、太田川流域への山道も押さえることができる▽北西からの侵入は多重の堀切で遮断する―などの特徴を挙げた。
安宅氏や周参見氏、西向小山氏などの他の熊野の水軍領主の城館と比較し、太地城は周参見の藤原城にも共通する主郭以外に少し離れて別の曲輪を持っているとし、「湾の奥に位置し、湾内を見下ろす太地城の在り方はこの太地の地に生きた人々の存在形態やなりわいと関係する可能性があるのでは」などと説いた。
白石さんは太地城は町にとっても価値のある城跡と評価して活用を呼び掛けたほか、「太地町は古式捕鯨で有名な町。それ以前の歴史もしっかりとあるが資料は少ない。その部分の歴史にも興味を持っていただけたら幸いです」と締めくくった。
12月開催分の講座では太地城の現地見学を行う。
(2021年10月27日付紙面より)
那智勝浦町南大居の交流センター太田の郷で24日、「HALLOWEEN FESTIVAL(ハロウィーンフェスティバル)」があった。当初の予定人数を超え、子どもと保護者合わせて約50人が参加。ゲームなどさまざまな催しで盛り上がった。
ハロウィーンにちなみ、仮装する子どもの姿もあった。はじめにフェースペインティングが行われ、子どもたちは「月」「コウモリ」「虹」など、自身の好きな模様を選んで関係者にペイントを施してもらった。
続いて、景品がもらえるボウリングや輪投げ、菓子作りやビンゴゲームなどを楽しんだ。ボウリングに熱中していた子どもたちは「やった、当たった」「もう1回したい」「景品がもらえてうれしい」など、笑顔ではしゃいでた。
太田の郷によると、最近ではバイキングの再開や、ヨガや太極拳などの各教室の利用者が増加するなど、施設の利用の幅が広がってきたという。
石田一事務局長は「予想以上に人が集まってくれてありがたい。コロナの影響で各地のイベントも少ない状況もあり、子どもたちの喜ぶ姿を見ることができてうれしいです。現在は状況も落ち着いてきているので、コロナ対策は徹底し、今後のクリスマスなどのイベントも開催していきたい」と語った。
(2021年10月27日付紙面より)
第1回紀宝町総合教育会議
本年度の第1回紀宝町総合教育会議が25日、同町神内の紀宝はぐくみの森であった。委員らが各種取り組みを確認し、施設内の町立図書館、子育て支援センターを見学した。
会議は2015年4月1日施行の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正により、町長と教育委員会が協議・調整を行う場として設置。教育施策の一層の充実につなげることが狙い。同町では、西田健町長、西章教育長と大岡春雄、山中富行、大前妙子、柳澤進の各教育委員で構成。
冒頭、西田町長が「図書館は4月にリニューアルオープンした。地域子育て支援センターと連携した総合的な施設として事業を展開し、子どもの読書活動の推進や生涯学習の充実を図っていく」とあいさつした。
町立図書館は岸葉子館長が、子どもの発達と図書館の読書活動推進事業との関わりを紹介。現在、ブックスタート事業、子育て支援講座、絵本よみきかせボランティア養成講座、赤ちゃんのおはなし会などを展開しており、今後は赤ちゃんの読書会、幼年文学の読み聞かせ、わらべうた講座、百人一首大会などを予定しているという。
子育て支援センターの事業は淡海順子センター長が説明。主に未就園児を対象に遊び場の提供、育児についての相談、母親同士のコミュニティーの場の提供などを目的に09年度に設立した。
子育てを助けてほしい人の要望に応じて、子育ての手伝いができる人を紹介し、地域で子育てをサポートする「ファミリーサポートセンター」は、年々利用者が増加しているという。
淡海センター長は「子育ての孤立化を防いでいくため、センターを利用されていない方への支援も行っていきたい。子育て支援とは、子育て世帯を丸ごと受け入れ、一緒に子育てする仲間をつくること」と伝えた。
(2021年10月27日付紙面より)
那智勝浦ゴルフ倶楽部
令和3年度シニア選手権競技 (那智勝浦ゴルフ倶楽部 )
新熊野少年野球大会など
イオンSSカップサッカー大会
国の重要無形民俗文化財(重文)の指定を受ける熊野速玉大社(上野顯宮司)の例大祭「新宮の速玉祭(はやたまさい)」が15日午前、秋晴れの空の下「本殿大前ノ儀」で厳かに幕を開けた。
例大祭は同大社の主神、熊野速玉大神(くまのはやたまのおおかみ)の御神霊が神馬(しんめ)で阿須賀神社へ渡御し、熊野川河原の乙基(おとも)の御旅所(おたびしょ)へ渡る「神馬渡御式」と、熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)の御神霊が神輿(みこし)でまちを練り、神幸船(しんこうせん)で御船島を廻(まわ)る「神輿渡御式」からなる。
今年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、昨年に引き続き一般参列を呼び掛けず神職と神社関係者のみで斎行。参列者らは検温や手指消毒、マスク着用などの対策を講じ、祭事に挑んだ。
上野宮司の祝詞奏上の後、2人の巫女が世界遺産登録記念御神楽の「神なぎの舞」を奉奏。参列者が玉串を奉奠(ほうてん)した。午後からは神馬渡御式が営まれ、神馬と一行が阿須賀神社までの道のりを渡御した。
大前ノ儀を終えた上野宮司は、令和10年に創建1900年を迎えることに言及し「長い歴史の中には疫病のまん延など艱難(かんなん)辛苦あった。そのたびにご先祖は神や国に祈りをささげた。激動の中で祭りをつないできた人々の心を受け継ぎ、ご奉仕させていただくことは何事にも代え難い喜び」とあいさつ。
「今日という日を千載一遇とし、大事にしなければ。誠心誠意心を込めてご奉仕させていただきたい」と思いを語った。
16日の神輿渡御式は午後1時30分から。同2時30分ごろから、朱塗りの神幸用船、諸手船(もろとぶね)、斎主船がゆかしく御船島を廻る御船祭が行われる。新型コロナ感染拡大防止のため、早船競漕(きょうそう)は中止となっている。
祭りの様子は同大社ホームページにてライブ配信が行われている。
(2021年10月16日付紙面より)
第62回木霊塔建立供養式 (新宮木協 )
新宮木材協同組合(植松浩理事長)は15日、新宮市あけぼのの木材会館で第62回木霊塔建立供養式を営んだ。同組合員一同が献木した熊野川流域産100年以上のスギ(長さ4㍍、30㌢角)の木霊塔が除幕され、参列した同組合員18人が木の恵みに感謝した。
供養式は、同組合の初代理事長で名誉市民の杉本喜代松(1873~1955年)の発想にあると伝えられ1951年に創設。切られて倒れる樹木が発する断末魔の悲鳴を耳にする作業員の心情や、業者が受ける恩恵を思い始まった。当初は市内の本廣寺で挙行されていたが、72年から同会館前庭で営まれている。この日は新型コロナウイルス感染防止対策として昨年に続き紀南木材新緑会による木遣(や)り音頭や餅まき、児童生徒木工工作コンクールの表彰式を中止するなど、規模を縮小して行われた。
式典では組合員たちが除幕した後、植松理事長が木の恵みに対する感謝を述べ、木材業界の発展を祈る祭文を読み上げた。清水文雅・本廣寺住職の読経の中、参列者が焼香し手を合わせていった。
植松理事長は「無事に滞りなく式典を終えることができました。コロナ禍は業界にも影響を及ぼしており、収束後も木材の需要がどのようになるか分からない。その中でも組合員一同および業界全体で一致団結し、厳しい状況を乗り越えられるよう頑張っていきます」と話していた。
(2021年10月16日付紙面より)
古座小学校で梅干しのお話 (串本町 )
串本町立古座小学校(山路教代校長、児童68人)で14日、県、県教委、県漬物組合連合会主催の「梅干しで元気!!キャンペーン」があった。梅干しの贈呈式とお話説明会が行われ、児童らは生産方法などを学び県産品への理解を深めた。
同キャンペーンは県食育推進月間(10月)に実施しており今年で17回目。梅干しをより一層身近なものとして食べる習慣を養い、一人一人が自分の食への関心を持つ契機にしてもらおうと、県内の全小学校と特別支援学校へ県産の梅干しと学習資料を配布している。
贈呈式とお話説明会は県内7校が対象で、新宮・東牟婁地方は同小で開かれた。
山路校長は、6年生が約一週間前に修学旅行でみなべ町の梅干し工場を見学したことに触れた。6年生はおさらいとして、5年生以下は梅干しがどのように体にいいのか学習させてもらえればとあいさつ。贈呈式では講師の株式会社梅屋=田辺市=の坂井勇人営業部長が児童会長の杉本沙羅さんに同連合会提供の梅干しを手渡した。
坂井部長はウメにはさまざまな種類があるが、県を代表する南高梅は実が大きくおいしいとして歴史や名前の由来を紹介。市販の梅干しは塩抜きをして味付けすることで塩辛さを抑え、よりいろいろな人に食べてもらえるよう工夫していることなどを話した。
クイズ形式の紙芝居もあり、児童らは全国のウメの収穫量の約60%を県が占めていることや、梅干しをつくる際の塩の量、昔は薬として使われていたことなどを学んだ。「ウメは何日くらいで育ちますか」「種類はどのくらいありますか」など、知りたいと思ったことを積極的に質問する姿も見られた。
(2021年10月16日付紙面より)
たばこ組合紀南支部が清掃活動 (那智勝浦町 )
和歌山県たばこ商業組合紀南支部(塩崎伸一支部長)は14日、那智勝浦町役場周辺で清掃活動を実施した。会員17人が参加し、新型コロナウイルス感染予防に努めながらごみ拾いに励んだ。
同組合女性部(大谷敏子部長)を中心に、たばこのポイ捨て禁止や未成年者の喫煙防止などの呼び掛けを目的に活動。1997年度から清掃が行われており、今年で24年目を迎え、年間25回ほどのペースで取り組んでいる。7日には道の駅くしもと橋杭岩周辺で清掃を実施した。
会員たちはそろいのチョッキを身に着けて、のぼりを掲げながら紙くずや空き缶などのごみを拾い、汗を流した。
大谷部長は「会員の皆さんが、いつも率先して参加してくれることを頼もしく思い感謝しています。地域の皆さんのマナーも良く、昔に比べ未成年者の喫煙も大幅に減少した。今後も『ごみ、吸い殻ゼロ』を目指して活動していきたい」。
塩崎支部長は「全体的にごみの量が少なくなり、うれしい限り。しかし、ゼロになったわけではない。私たちが町をきれいに保つために先頭に立って活動し、意識を高めていければ」と話していた。
次回は21日(木)に新宮市立医療センター周辺で活動を予定している。
(2021年10月16日付紙面より)
後期ホップL東牟婁ブロック大会