佐野区、大雨の影響で (新宮市 )
新宮市佐野区内を流れる荒木川の取水堰(ぜき)付近の護岸部分2カ所が21日の大雨の影響で崩れた。前田道春区長は「地域の人たちは次に雨が降り増水すれば水があふれ出すのではないかと不安がっている」と話している。
崩れた場所は同区の天御中主神社からやや下流の護岸の一部。同日は未明から雨が降り、梅雨前線を伴う低気圧の影響で、雨量は合計367㍉を記録していた。発見した区民は「22日の午前11時ごろ見に行ったら落ちており、驚いた。水が出たら漬かってしまうかもしれない。住民も不安に思っている」と話した。
和歌山県は22日の夕方に現地を確認。翌23日には県職員と復旧工事に携わる業者が共に現地を見て、工事の手法などを協議した。取水関付近は土のうを積むなどして仮復旧、上流部分に関しては付近の樹木などを伐採し状況を確認後、対応していく予定。県内でも雨の影響でさまざまな被害が出ている。
前田区長は「雨で崩落していると地域住民から連絡を受けた。佐野農業実行組合も田畑への影響を心配している。県と話し合い、早急に対策を講じてほしいと申し入れた」と話した。
(2017年6月25日付紙面より)
1年生がヒラメ稚魚を放流 (勝浦小 )
那智勝浦町の那智湾の砂浜で23日、ヒラメ稚魚1000匹の放流があり、町立勝浦小学校の1年生44人がペットボトルの入れ物に稚魚を小分けしてもらい海に放した。
勝浦小の体験学習を兼ねて開かれている恒例の放流会で、児童らは県職員からヒラメの特徴なども教わり、「ヒラヒラしているところは何?」「さわってもいいかな」などと質問しながら放流までの間にヒラメを観察。放流後は「元気に大きく育ってね」と手を振り見送った。
ヒラメ稚魚の放流は、栽培漁業の拡大を図るため、町が紀州勝浦漁業協同組合に委託し毎年行っている。串本町の県南部栽培センターで3月1日と同月3日にふ化した稚魚を、同漁協が体長約10㌢前後まで中間育成。宇久井漁協、勝浦漁協、和歌山東漁協那智支所・浦神支所の管轄海域で約6万匹を放流した。
東牟婁振興局農業水産振興課の白石智孝さんは、「日高町の調査海域で、放流した個体から例年300万円程度の水揚げがある。漁獲されなかった放流魚も卵を産み、資源の減少を防ぐ役割がある」と期待を込め語った。
(2017年6月25日付紙面より)
非戦、平等を願い遠松忌 (新宮市 )
新宮市大橋通の淨泉寺(山口範之住職)で24日、真宗大谷派主催の「遠松忌法要」が営まれた。大勢の市民らが参列し、非戦・平和を唱え、差別と戦った同寺12代住職、高木顕明師(1864~1914年)の遺徳をしのんだ。
「前(さき)を訪(とぶら)う 今、この時代に聞く非戦・平等の願い」をテーマに毎年営まれている法要は、1998(平成10)年に滋賀県大津市の本證寺で有志らが第1回を営み、翌年から新宮市で開かれている。今年20回目で、2000(平成12)年から同派が主催している。
市民らは、市内の南谷墓地にある顕明師顕彰碑での勤行後、淨泉寺本堂で営まれた法要に参列。池田士郎・天理大学名誉教授の講演や演劇「彼の僧の娘 高代覚書」(作・演出、嶽本あゆ美さん)の鑑賞、懇親会などもあった。
顕明師は新宮出身の医師・大石誠之助(1867~1911年)らとともに非戦、平和を唱えて活動していたが、明治天皇暗殺を企てたとして「大逆事件」(1910年)に連座し無期懲役となった。無念の中、14(大正3)年6月24日に秋田刑務所で自ら命を絶った。事件を受け、顕明師は同派から追放されたが、96(平成8)年に処分取り消しとなり、名誉が回復されている。
(2017年6月25日付紙面より)
第42回紀宝地区防犯少年野球大会 (紀宝町 )
大たいまつ作り大詰め (熊野那智大社 )
「那智の扇祭り(火祭)」の7月14日(金)斎行に向けて、那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で神事に用いる大たいまつ作りが大詰めを迎えている。
同大社宮大工の嶌﨑和真さん(35)が3月中旬から手伝いの人と共に作業を進めている。現在は仕上げの段階で、7月10日(月)までに12体完成させる。
大たいまつはそれぞれ大きさが異なり、一番大きなもので高さ約70㌢、柄の部分を含めておよそ140㌢。直径約43㌢で、重さは50㌔ほどある。
木材は紀伊半島大水害で倒れたヒノキなどを使用しており、来年で使い切るとみている。
嶌﨑さんは「今年は御創建1700年。歴史を感じながら、身を引き締めて作らせていただいています」と話した。
(2017年6月16日付紙面より)
虫おくり行事を1000人が堪能 (丸山千枚田 )
農耕文化の継承と丸山千枚田の豊作を願う「丸山千枚田の虫おくり」が10日、熊野市紀和町で催され、約1000人が幽玄の世界を堪能した。実行委員会(新谷進実行委員長)が主催し、地元丸山区、丸山千枚田保存会や市らが後援した。
虫おくりとは、田の害虫をたいまつの火で追い払う行事。昭和28年ごろまで実際に同地区で実行されてきた。その後途絶えたが、平成16年の熊野古道世界遺産登録をきっかけに、記念イベントとして復活した。昨年まで7月上旬に実施していたが本格的な梅雨シーズンを避け、今年は時期をやや早めた。
穏やかな天候に恵まれ、あぜ道には、棚田枚数と同じ1340本のキャンドルが立てられ、ボランティアも加わって一本一本に火を点けた。のり面には、今までの支援に感謝して保存会が設けたメッセージキャンドル「丸山千枚田」も設けられた。虫送り行列は、丸山神社を午後7時出発。地元小中学生や棚田オーナーら約200人の長い列は、のぼりを先頭に太鼓や鐘を鳴らして「虫おくり殿のお通りだい」という掛け声とともにあぜ道を約20分練り歩き、豊作を祈念。最後は北山砲2発を発射して締めくくった。
丸山千枚田保存会の喜田俊生会長は「先月21日の田植えから日が浅く準備期間が短くて大変だったが、晴れてよかった」と振り返り、「来年は寄付を募って花火ができれば、もっと盛り上がるのだが」と述べ、一層の集客を期待した。
(2017年6月16日付紙面より)
神社関係者や役員が参列し遷座祭 (神倉神社 )
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)は13日、世界遺産で同大社の摂社「神倉神社」の社殿修復工事が完了したことを受け、「遷座祭並びに御社殿竣工清祓祭」を斎行した。
現在の社殿は、昭和28年に建てられて以来、度々修理が施されてきたが、長年の風雨と虫害により浜床や柱、階段、高欄が腐るなどして傷んでいたため、3月から修復工事が行われていた。
紀宝町のきしたに建築が工事し、大部分で熊野のヒノキを使用。腐食を抑えるため床下にはR.LinkCorporationと岡本土石工業の奉仕により玉砂利が敷かれた。
神事では、同大社の第5殿の神倉宮に仮遷座していた御霊を遷(うつ)した後、上野宮司が祝詞を奏上し、参列者が玉串をささげた。
神事を終えた上野宮司は「多くの皆さまのご崇敬により、無事終わりましたことを心からお礼申し上げます」と感謝し、「本来ならばご奉賛いただきました皆さまにも、遷座祭のご案内を申し上げたかったのですが、なにぶん急な勾配の山中でのこともあり、安全を考え神社関係者と役員で行わせていただきました。美しくなった御社殿をお参りいただければ」と話した。
神倉神社は海抜200㍍の権現山の中腹にあり、古来より熊野速玉大社はもとより熊野三山の元宮と信奉され、仰ぎ見る538段の急峻(きゅうしゅん)な石段の上先に、御神体のゴトビキ岩と称される巨岩があり、自然崇拝、原始信仰の霊山として世界遺産に登録されている。毎年2月6日の夜には、国の重要無形民俗文化財に指定されている「御燈祭り」が営まれている。
(2017年6月16日付紙面より)
ユネスコキャンプ事前研修 (串本町 )
串本町潮岬にある県立潮岬青少年の家で10、11の2日間、第49回ユネスコ子どもキャンプの事前研修が開かれた。同子どもキャンプの実行委員と青年スタッフが体験プログラムを実践する取り組みで、併せて27人が第49回で予定している内容をこなして安全面での課題などの改善点を探るなどした。
同キャンプは日本ユネスコ協会連盟と国内各地の地域ユネスコ協会が協力して年次実施している。第49回は7月30日(日)から8月2日(水)までの4日間、県ユネスコ連絡協議会が協力し同家で開くことが決まっていて地元の実行委員会が中心になって会場地ならではの体験プログラムを準備している。
事前研修は、同キャンプに参加する子どもと一緒に集団行動する青年スタッフと体験プログラムを段取りする実行委員の顔合わせを兼ねた準備の一環として実施された。開村にあたり高垣晴二実行委員長、出口孝キャンプ長、山口裕市・県ユネスコ連絡協議会会長があいさつ。ユネスコの精神や子どもキャンプの趣旨、第49回のテーマやプログラムに込めた思いについて、子どもに正しく伝えられるよう研修を積んだ後、計画中の体験プログラムを一足早く順次実行した。
今回は構想中の「ジオリンピック」を除き、テントの取り扱い方、野外炊さん、キャンプファイヤー、屋外活動(第49回は古座川カヌー体験、橋杭海水浴場マリンアクティビティー体験、串本海中公園バックヤードツアー、南紀熊野ジオパーク散策)を実行し、即日振り返り協議をして本番までに取り組むべき課題を洗い出した。
野外炊さんではトルコ料理とめはりずしにも挑戦する計画で、初日の夕食は同町地域おこし協力隊隊員のトルコ人女性アイシェギュル・アルカンさんから4品のレシピを教わって調理し、味わいや分量を確かめるなどした。初日の深夜には交流会も開き、今後子どもたちを表と裏の両面から支援する仲間同士の親交もはぐくんだ。
第49回ユネスコ子どもキャンプは小学4年生~中学3年生を対象に参加者を全国募集中。テーマは「わ(WA)!!自然と深める僕らの絆」。定員50人で、事前研修時点で定員までゆとりがあり、全国の子どもと交流する好機として地元の対象者にも参加を考えてもらえればと呼び掛けている。
参加費は1人1万5000円(3泊4日分)で、今月22日(木)まで県立潮岬青少年の家で受け付ける。詳しい内容は同家などで配布している要項を参照。
また青年スタッフは5月末で締め切られたが、こちらも定数までゆとりがあり可能な限り追加募集をするという。同スタッフは子どもグループの生活指導やキャンプ運営を促す表方のリーダーで、対象は高校生以上。同キャンプより1日早く集まり4泊5日で子どもキャンプを支える形になる。参加費は1万5000円。詳しい内容は同家などで配布している要項を参照。
同キャンプや申し込みについての問い合わせはEメールで同家(アドレスshiosei1@gmail.com)まで。
(2017年6月16日付紙面より)
11月19日、第6回天空ハーフマラソン
第6回新宮・那智勝浦天空ハーフマラソン大会(同実行委員会主催)が11月19日(日)、一般国道42号那智勝浦新宮道路で開催される。同実行委員会は8日、新宮市役所で記者発表し、スタート順(時間)やコースなどの変更・改善、レース終了後にマグロ解体ショーや餅ほりを実施することなどを報告した。
大会長の田岡実千年新宮市長は「多くの関係団体の尽力、また多くのボランティアの協力のおかげで第6回目を迎えることとなりました。今大会も官民一体となり、おもてなしの心でランナーをお迎えしたいと思っております。今回も全国から多くの参加者に世界遺産熊野の街の魅力を体感いただき、地域の活性化につなげていきたい」とあいさつ。今大会のゲストランナーが、昨年に続き森脇健児さんに決まったことを発表した。
実行委員長の浦木睦雄・新宮信用金庫理事長が昨年までの参加者らの意見を参考に行われたコース改善に伴うスタート位置や折り返し地点の変更、マグロ解体ショーや餅ほりの実施に至った経緯などについて説明し、「地方の活性化のため、何とぞご協力よろしくお願いします」と呼び掛けた。
大会は紀伊半島大水害の復興イベントとして大水害翌年の2012年にスタートし、今年で6回目。自動車専用道路を使用した珍しいコースで、アップダウンは激しいが、道路から見える太平洋や熊野の山が参加者たちに感動を与えている。
スタート時間はハーフマラソンが午前9時50分、10㌔が午前10時20分、3㌔が午前10時40分。各種目総合1位から8位まで(男女別)、年代別上位3人を表彰するほか、ゴールでは平安衣裳を着た高校生が参加賞のタオルを手渡す。熊野の食材をふんだんに使用した弁当なども予定されている。
参加費はハーフ(高校生以上)4500円、10㌔(中学生以上)4000円、3㌔(小学生以上)3500円、3㌔小学生2000円。例年通り、全国のマラソン大会や県内を中心に関西地区のスポーツショップと関連施設で募集パンフレットを配布し、ウェブサイトや専門誌(ランナーズ)8月号にも掲載予定。今年からウェブサイト「スポナビDo」でも申し込みを受け付ける。
申込期間は7月1日(土)から9月30日(土)まで。昨年は29都道府県から2384人が参加している。問い合わせは、市生涯学習課(電話0735・23・3366)まで。
(2017年6月9日付紙面より)
後輩らがPVで加藤先輩に声援送る
サッカー日本代表が7日、東京スタジアムでイラク代表とのロシアワールドカップのアジア最終予選(13日、テヘラン)に向けた、国際親善試合のキリンチャレンジカップ2017でシリア代表と対戦し、1―1の引き分けに終わった。
その代表メンバーに新宮市出身でPFCベロエ・スタラ・ザゴラ(ブルガリア)所属の加藤恒平選手が入っていることを受け、加藤選手の出身チーム「新宮サッカースポーツ少年団」(新宮SSS)の選手や保護者ら約50人が、新宮市内のDAYZYLAWCAFEで、パブリックビューイング(PV)を行い、加藤選手の出場と日本代表の勝利を願い声援を送った。
試合は後半3分にコーナーキックからシリアに先制点を許すも、同13分に今野選手の同点ゴールで追い付き、その後も勝ち越しを目指して途中出場の乾選手らが積極的にゴールを狙うも追加点を奪うことができず、同点のまま試合を終えた。
観戦者は日本代表が攻撃を仕掛けるたびに声援を送った。先制を許した直後には「日本が勝つには恒平君が出ないと」、「早く恒平君を出してよ」、相手のファウルで日本選手が倒されたりすると「恒平君なら倒されないのに」などと加藤選手の出場を願いながら、日本代表の勝利のために声援を送り続けた。加藤選手の出場がないまま終了のホイッスルがなると、ため息が漏れた。
観戦した加藤選手の兄で新宮SSSのコーチの力也さん(30)は「選ばれるだけでも奇跡だっただけに、その場で試合に出るにはもっともっと努力が必要であったのではと思う。後半から出てきた井手口選手も20歳と若くしてすごく戦っていましたし、そうなってしまうと恒平の出る場面がより少なくなっていくのかと思いました。地元で応援してくれている人がたくさんいるので、出てもらいたいという気持ちはあった」と話し、「イラク戦はアウェーであるけども、恒平にとってはホームというか、ピッチ状態も悪いですし、球際の強さ、体を張るなどの本人らしいプレーを期待しています。地元のためにも、こんな田舎町から日の丸を背負って試合に出る姿を見せて、子どもたちにも夢を与えられたら」とエール。
新宮SSSの居軒龍成主将は「引き分けだったので悔しいし、恒平選手には出てほしかった。イラク戦では恒平選手が出場し、日本代表が勝ってほしい」と話した。
(2017年6月9日付紙面より)
「第52回南紀会書作展」の授賞式が4日、新宮市の旧丹鶴小学校体育館であった。約900点の作品の中から文化協会長賞、理事長賞などに選ばれた137人に賞状と記念品が渡された。
授賞式で主催の書道研究南紀会の鈴木江邨(こうそん)理事長は「展示されているものは非常に上手であり、賞に値する。年々少しずつ子どもが少なくなっており、多いときに比べて約半数になっている。身に付いたものは誰にも取られない。これからも身に付けたものをしっかりと持っておいてほしい」とあいさつした。
(2017年6月9日付紙面より)
宮本学さん迎えて学習会 (田原小 )
串本町立田原小学校(沖洋校長、児童12人)で2日、田原の自然や歴史などに詳しい宮本学さんを迎えて学習会が開かれた。同校や近隣に宿る自然の息吹を映像で観察する内容で、児童や教職員に加え、保護者ら地域住民も一緒に鑑賞した。
現在92歳の宮本さんは同校で天体観察会も開くなど田原きっての博識者として慕われ、地域の先生として田原で暮らす楽しみを多々伝えている。
今回の学習会は「自然観察は楽しい」と題し、自ら撮影、編集した映像3種類を上映。校庭や道沿いなど身近な所で息づいている野草の花々や初夏の山をひときわ彩るスダジイの花、海岸で見られる植物や古座川流域の野鳥や岩などの名前やエピソードを解説しながら紹介した。
映像以外に童謡「すかんぽ(=イタドリ)の咲くころ」の歌詞とメロディーも紹介し、自然と子どもは歌になるほど身近で楽しい間柄だと説明。「身近な自然を学習するといつか地球を救える人になれるかもしれない。そんな大人になってほしい」と期待を寄せて話を締めくくった。
この日は学習会後に救急救命法講習会もあり、保護者ら住民や教職員に加え、高学年の児童も参加して自動体外式除細動器の使い方を含めた心肺蘇生法(一次救命)の手順を古座消防署署員から教わった。
(2017年6月9日付紙面より)