姉妹都市・名取市が復興達成宣言
新宮市の姉妹都市である宮城県名取市の山田司郎市長は30日、東日本大震災の被害から基盤整備を伴う復旧・復興事業がおおむね完了したとして「東日本大震災に関連する次の施策に引き続き取り組んでいくことを表明し、名取市が震災からの復興を達成したことを宣言する」と復興達成宣言をした。未曽有の大震災から9年。同市は市政運営を新たなステージへと進めていく。
2011(平成23)年3月11日午後2時46分。三陸沖を震源とする巨大地震が発生。東日本を中心に日本全土を揺るがした。宮城県北部の栗原市で最大震度7、4県37市町で震度6強を観測した。
名取市においても震度6強を観測し、その後に発生した大津波が沿岸地域を中心に未曽有の被害をもたらした。名取市の死者は関連死を含めて964人(14年3月31日現在)。5000棟以上が半壊以上の被害を受け、最大で1万1000人を超える人が避難を余儀なくされた。
名取市は「心からの笑顔を求めて、新たな未来へ」を復興への思いとして掲げ、震災発生同年10月に震災復興計画を策定。互いに支え合い、強い絆で結ばれた暮らしやそれを支える生業の再生、多様な世代が安全で安心に暮らせるまちを目標に、9年間にわたり復旧と復興に取り組んできた。
復興沿岸地域においては今後も取り組むべき課題はあるものの、住まいや被災事業者の再建、インフラ整備や公共施設の災害復旧など、まちの再生に必要な機能が整いつつあるとし、同市はこのたびの宣言をもって一つの節目とする。
山田市長は「令和2年度を初年度とする新たな第六次長期総合計画のもと、『愛されるふるさと なとり』を共に創り、未来へつなぐ、次のステージに進んでいきたい」と宣言している。
名取市の復興達成宣言を受け、田岡実千年新宮市長は「未曽有の災害を受けたわれわれだからこそ未来に目を向け、市民の安心安全な生活と地域の活性化のため、これからの市政運営に誠心誠意取り組んでいかなければならない。ともに自然の驚異を目の当たりにした私たちは、未来永劫(えいごう)有事の際には助け合い、心温まる交流をもって今後さらに姉妹都市としての絆を深めていきたい」とコメントを寄せ、名取市の復興への取り組みに敬意を表した。
両市は08(平成20)年、熊野信仰を通じた縁をきっかけに姉妹都市協定を提携。東日本大震災、同年に起こった紀伊半島大水害の際には、給水車や人員派遣などの支援が相互に行われた。
(2020年3月31日付紙面より)
16人が清掃奉仕 (新宮ユネスコ協会 )
新宮市の新宮ユネスコ協会(中谷剛会長)は28日、世界遺産の熊野古道・高野坂で清掃奉仕した。会員12人とボランティア4人の16人が参加。古道に落ちたごみや空き缶などを拾い集めた。
同協会は毎年この時期に身近な世界遺産や市の史跡を清掃奉仕している。昨年は新宮ロータリークラブと協力し神倉山(千穂ヶ峰)周辺の清掃奉仕活動に取り組んだ。
今年は春の古道歩きシーズンに世界遺産の景観を守ろうと高野坂を活動場所に選んだ。JR三輪崎駅に集合した会員らはごみ袋と火ばさみを手に、王子ヶ浜海岸を目指して出発。陶器の食器やトタンの破片などの廃棄物もあり、参加者らを驚かせていた。
清掃奉仕を終えた中谷会長は「サクラやツバキなどが美しく花を付けており、季節の花々を楽しみながら清掃活動できた。雨の心配がある中、参加していただきありがたい。新型コロナウイルス感染症が及ぼす混乱の中、野外でこういった活動をすることができてよかった」と話していた。
(2020年3月31日付紙面より)
楽しむ人集まりにぎわう (古座川町 )
古座川町内各地のソメイヨシノが順次花盛りに差し掛かり、華やかさを楽しむ人々が集まりにぎわいを見せている。
町内では先駆けて開花が進んでいる一枚岩一帯は29日現在、木によってばらつきがあるが五分咲き~散り始めの状態。特に遅れていたどんどろの森連絡道沿いもようやく五分咲き程度の花が見て取れるようになり、両岸の桜に囲まれた一枚岩の眺望や歩道に迫る枝の花盛りを楽しむ人々の車両で主だった駐車場の満車が続いた。
地元佐田区のちょうちん飾りが定着している七川ダム湖畔は同日現在でおおむね七分咲き前後。花見客の車両が断続的に国道を往来し、おおじゃの森の駐車場や桜の広場横の駐車場で降りて間近に花盛りを観賞する人々の姿も目立った。
これら場所の間にある蔵土(くろづ)、三尾川(みとがわ)、長追(ながおい)の各見どころは、木によってばらつきがあるが同日現在でおおむね五分咲き前後。新型コロナウイルス感染拡大抑止機運が色濃い中、一枚岩、七川ダム湖畔とも宴を開くグループの姿は例年に比べごく少なく、大半が散策的に観賞を楽しんでいた。
(2020年3月31日付紙面より)
「竹の子ウオッチング」スタート (宇久井海と森の自然塾 )
休暇村南紀勝浦の温泉入浴とタケノコ料理がセットの「竹の子ウオッチング&温泉入浴」が29日、那智勝浦町宇久井半島の宇久井ビジターセンター園地で始まった。参加者20人がシーズンを先取りし、春の味覚を味わった。期間は6月14日(日)までの毎週日曜日を予定している。
半島の自然保護活動を展開する「宇久井海と森の自然塾」が主催する体験プログラムで、休暇村南紀勝浦が協力し例年人気を集めている。この日は早朝からの雨も上がり、同塾のスタッフが下見をした現地に着くと、数え切れないほどの竹が立ち並ぶ林に参加者から感嘆の声が上がった。
新宮市蜂伏から祖母と参加した上地凉さん(15)は「何度か参加しています。疲れたけど楽しかった。タケノコ料理が楽しみです」と話した。センターに戻った参加者はタケノコを分け合い休暇村に移動して、温泉や料理を楽しんだ。
4月中はモウソウダケ、5月になればハチク、同月下旬から6月にかけてはマダケが収穫できる見込み。参加申し込みは2日前まで電話で受け付ける。作業しやすい服装で、持ち帰り用の袋と入浴セットは各自持参する。
申し込み、問い合わせはビジターセンター内の自然塾運営協議会(電話0735・54・2510)まで。受付時間は午前9時~午後5時。水曜日休館。
(2020年3月31日付紙面より)
世界遺産についての作文 (新宮ユネスコ協会 )
新宮ユネスコ協会の中谷剛会長らが19日、新宮市神倉の県立新宮高校(前田成穂校長)と、同市佐野の県立新翔高校(東啓史校長)を訪れ、世界遺産についての作文の優秀賞表彰式を開いた。中谷会長が一人一人に対して講評を行い、表彰状を手渡した。世界遺産の保全などを目的に活動している同協会は、高校生を対象とした講演会などを開き、感想文を募っている。
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新宮高校では佳作17作品から、泉乃杏さん(1年)、大西ひなたさん(同)、横嶋翔さん(同)、仲美咲さん(同)の4人が優秀賞に選ばれた。同校の1年生は毎年、地域の世界遺産や歴史を感じ、連帯感を深めることを目的に、熊野古道で「ロングハイキング」を実施しており、2月に中谷会長の講話を聞き事前学習を行っている。生徒は講演で学んだ内容や、実際にロングハイキングで小雲取を歩いた感想などを作文にまとめた。
中谷会長は「今年は実際に熊野古道を歩いた経験に基づいた作文が多かった。体験を文章化する場合、行動や感情を時系列に従い記述していくので、作品の優劣の差が生じにくい。ほんの少しの出来具合が、佳作作品との違いになった」と講評。個々に対しては「初めて熊野古道を歩いた経験が、平明で素直な文章でつづられている」「小雲取で触れた自然や歴史、出会った人たちについて、明るく前向きで楽しい筆致で書かれている」などと感想を伝えた。
表彰状を受け取った泉さんは「今後の自分の自信に結びついた。多くの人に作文を読んでもらうことによって、自分の意識を伝えることができてうれしいです」と話していた。
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新翔高校では、中谷会長が1年生を対象に昨年12月に講演を行い、ユネスコの理念や平和に向けた活動、世界遺産、自身の体験に基づく危機遺産や負の遺産の紹介などを行った。佳作9作品の中から優秀賞に選ばれたのは、月ノ井花佳さん(1年)、新宅藍さん(同)、松本伊芙稀さん(同)、須川珠々さん(同)の4人。中谷会長は「講演内容をしっかり受け止め、誠実に取り組んでいただいた。講演と作文によって平和の意味や世界遺産の意義や深さがつかめたのでは」などと講評した。
個々に対しては「戦争を必要悪と捉えており、意義深い平和論となっている」「世のため、人のために働くことの大切さを述べている」などと感想を述べた。東校長は生徒に対し「名誉なことだとかみしめて、今後の学校生活に生かしてほしい」とねぎらいの言葉をかけた。
(2020年3月24日付紙面より)
お盆の贈答用に毎年人気 (紀宝町 )
紀宝町大里で23日、早くも田植えがあった。同町神内の中西和益さん(72)所有の30㌃に早場米のアキタコマチを植えた。
同町は東海地方有数の早場米の産地で、毎年お盆前に新米が食べられるよう、他の地域に先駆けて、3月下旬に田植えを実施している。
中西さんは7年前まで4軒の農家で組織した早場米部会で生産していたが、部会員の減少により解散。中西さんら2人が個人で約1・25㌶の田んぼで栽培を続けている。例年5・4㌧ほどをJA伊勢三重南紀地区本部へ出荷している。
田植えは昨年より2日早く行い、のどかな田園風景に苗を植える機械の音だけが鳴り響いていた。中西さんは「今日のような暖かい日が続き、順調に苗が育ってくれることを願っている」と期待を込めていた。
稲刈りは7月下旬を予定しており、昨年並みの約1・5㌧の収穫を目指す。お盆前の8月上旬には新米がJA伊勢三重南紀の各店舗などで販売される予定だという。
(2020年3月24日付紙面より)
ソメイヨシノの開花に向け (古座川町 )
古座川町佐田で19日、ソメイヨシノの開花に向けたちょうちんの飾り付け作業があった。設置期間は4月5日(日)までで、今月20日から夜間点灯も始めている。
ソメイヨシノの段階的な植樹により3000本規模の桜の名所となっている七川ダム一帯。このちょうちんは訪れる花見客に楽しんでもらおうと考えた佐田区が毎年取り組んでいる趣向で、近年は高齢化に伴う担い手不足を補うため役場職員らの協力を得ながら飾り付けている。
今年は新型コロナウイルス感染予防のためイベント「桜まつり」が中止となったが、ちょうちんの飾り付けは例年通りに行うとし19日午前に区民有志と役場や七川ふるさとづくり協議会、同町観光協会の職員らが手分けして作業に励んだ。
設置場所は串本町消防本部七川分駐所前~桜の広場とおおじゃの森駐車場一帯。支柱に親ひもを張り、絡ませた電線の所々に付いている電球ソケットに約300個のちょうちんを飾り付けた。期間中は毎日午後6時~9時に夜間点灯(電球数はちょうちんの約半分程度)するそうで、今年も昼夜両面で桜とちょうちんのにぎやかな共演を楽しんでもらえればとしている。
19日現在のソメイヨシノは芽が膨らんでいる段階で、役場地域振興課は29日(日)から4月5日までの間に満開を迎えそうだと予想。平日の開花状況を同町公式ホームページのトップページ左上にあるリンク「古座川町内さくら開花状況」先で発信しているので、訪ねる前に確かめてもらえればとしている。
(2020年3月24日付紙面より)
デジタル掛け軸と音楽奉納 (那智勝浦町 )
映像作家の長谷川章さんと天女座を主宰する音楽家の矢吹紫帆さんが22日、那智勝浦町の那智山青岸渡寺(髙木亮享住職)の三重の塔で「一隅を照らす―一期一会の映像アートと音楽―」と題し、デジタル掛け軸と音楽を奉納した。投影された無数の映像が三重の塔を幻想的に照らし、歌や演奏が山中に響き渡った。
デジタル掛け軸とは、テレビ業界で活躍してきた長谷川さんが作成した100万枚に及ぶ絵にデジタル処理を施し、マルチプロジェクターで建物や自然風景に投影する映像アート。長谷川さんはこれまでアテネのパルテノン神殿や伊勢神宮、ノーベル賞晩餐(ばんさん)会でも披露している。
映像が投影される中、森水沙さん、池田小夜さんが舞を、原美音さん、矢中鷹光さんが歌を奉納。矢吹さんも「スメラノミコト」「祈り天空に満ちて」などをシンセサイザーで演奏した。和歌山市から訪れた40代女性は「催しを知って駆け付けた。とても美しかった」と話した。
長谷川さんは「世界400カ所以上でやってきたが、青岸渡寺で奉納できて感激した。今後は那智の滝でもやってみたい」とコメント。矢吹さんは「30年前に髙木亮英副住職にお会いしたご縁などがきっかけで熊野地方に移住した。髙木さんや青岸渡寺、熊野への恩返しの気持ちでご奉納させていただいた。感無量です」と笑顔で話した。
髙木副住職は「30年前のご縁がこんな形に展開するとは思わなかった。矢吹さんの音楽や長谷川さんの映像が素晴らしかった。懸念されるコロナウイルスだが、熊野那智から観音聖地の力で国内外が病を克服していただけたら幸いです」と語った。
(2020年3月24日付紙面より)
もみじ会3月月例杯
第34回勝浦バドミントン大会