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2020年08月20日
1 驚き!池が真っ赤に 連日の猛暑が原因か (新宮市の浮島の森)

 国の天然記念物に指定されている新宮市の新宮藺沢(いのそ)浮島植物群落(浮島の森)東側の池で、水面が真っ赤に染まる現象が起きている。同所管理人は「この暑さと関係があるのか分からないが赤く染まるのは初めて」と驚きを隠せない。

 現象が見られるようになったのは10日ほど前から。日によって範囲や色の濃度が異なる。また、午前8時台ですでに赤く染まっているが、夕暮れ時にはいつも通りの水面に戻るという。18日には広範囲にわたって赤く染まっており、うわさを聞いた人が熱心にカメラを構える様子も見られた。

 熊野学研究委員会の瀧野秀二さんは「単細胞の藻類ではないか」と見解を示す。光合成をし酸素を含んだ植物プランクトンが水面に浮いてきているのではと推測しながらも、同所で赤い藻は見たことがないと述べ「顕微鏡で見てみないと分からない」。

 連日の猛暑で池の水温はぬるめのお湯程度まで上昇している。気候変動や水温の上昇、池の水位の低下などとの関連性について瀧野さんは「水位が下がったことによって池の温度が上昇するなど無関係ではないと思う。もしかしたら今までは気付かれない範囲でプランクトンが発生していたのかもしれない」と述べ、有毒性や生態系に及ぼす影響については「大丈夫だと思いたいが、場合によっては心配事が増える可能性もある」と話していた。

 同所では高度成長期に周辺の市街化に伴い沼沢の乾燥化や水質悪化が顕著となり、オオミズゴケなどの貴重な植物が減少しスギの新しい種子が発芽できないなどの状況に陥った。

 市では森の保存と再生を図るために1988(昭和63)年、有識者らによる調査委員会を組織しさまざまな保存対策事業を実施。また、国や県の水質改善事業などにより、危機的だったいくつかの植物の状況が改善されて今に至る。

 浮島の森の見学は年中無休で、開場は午前9時から午後5時(12~2月は午後4時)まで。

(2020年8月20日付紙面より)

広範囲にわたり赤く染まる池=18日、新宮市の浮島の森
2020年08月20日
2 労働災害防止に向け
 建設工事関係者連絡会議  (新宮・東牟婁地方 )

 建設工事における災害の一層の減少を図ろうと、厚生労働省和歌山労働局新宮労働基準監督署(中前英人署長)は18日、新宮市緑ヶ丘の東牟婁振興局で建設工事関係者連絡会議を開催した。新宮・東牟婁地区の公共工事発注機関、建設関係団体、災害防止行政機関の25人が出席した。

 会議は、三者がより緊密な連携を図ることで災害防止対策の取り組みを推進することを目的に毎年開かれている。

 新宮・東牟婁管内では昨年87件(前年比15件減)の労働災害が発生した。中前署長は「管内では減少傾向にあるが、一方で建設業においては2件増加の14件となっている。土木工事では8件と、前年4件から倍増している」などと説明。

 ▽労働災害の防止▽熱中症対策▽建設業の働き方改革の取り組み推進―に対する協力を呼び掛け「本会議は工事関係者が多数参加する年に1度の会議。情報や意見交換を活発に行い、有意義なものに」とあいさつした。

 乾孝行監督・安衛課長が管内の建設工事における労働災害発生状況を説明したほか、災害事例を原因・対策も交えて紹介。現場における安全管理として▽通路、足場安全対策▽建設機械の安全対策▽安全施工サイクルの推進▽気象状況の変化に伴う措置など―が重要とし「日頃から気象状況を含め体調管理の徹底を」と呼び掛けた。

 また、2023年までに死亡災害を15%以上、死傷災害を10%以上減少させることを目標とした「第13次労働災害防止計画」や「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」「働き方改革関連法」「安全な建設工事のための適切な安全衛生経費の確保」などに対する取り組みを求めた。

 紀南河川国道事務所串本国道維持出張所、東牟婁振興局農林水産振興部林務課、新宮市、那智勝浦町、古座川町、串本町、北山村が公共工事の現状や労働災害防止に係る取り組みなどを紹介した。

(2020年8月20日付紙面より)

25人が出席した建設工事関係者連絡会議=18日、新宮市緑ヶ丘の東牟婁振興局
中前英人署長
2020年08月20日
3 高齢者福祉の向上に向け
 地域包括ケア会議委員に委嘱状  (紀宝町 )

 地域包括ケアシステムの実現を目指す「紀宝町地域包括ケア会議」の本年度第1回会合が18日、同町役場であり、西田健町長が委員16人に委嘱状を手渡した。

 委員は町の高齢者担当職員、医師、介護支援専門員、介護サービス事業者、薬剤師、社会福祉協議会、民生委員・児童委員、老人クラブ連合会女性委員会の代表者などで、任期は2年間。医師で「くまのなる在宅診療所」の濱口政也院長を委員長に選出した。

 委嘱後、西田町長は「大変重要な役割を担っていただくことになりますが、高齢者を取り巻くさまざまな現状や課題などについて真摯に協議していただき、高齢者福祉施策の向上に向け、その一翼を担っていただければ」とあいさつ。委員が自己紹介し、会議の方向性や今後の活動などについて説明を受けた。

 地域包括ケアシステムは、高齢者が支援・介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしく可能な限り生活を続けることができる体制を構築するもの。

 同会議では自助・互助の果たす役割を意識した取り組みを進めるため、本年度から在宅医療・介護連携推進事業、認知症総合支援事業を合わせた「医療と介護の連携・認知症の部会」と、生活支援体制整備事業、介護予防・日常生活支援総合事業の「生活支援体制整備・介護予防の部会」を組織し、各部会で協議するという。

(2020年8月20日付紙面より)

西田健町長(右)から委嘱状を受け取る委員=18日、紀宝町役場
2020年08月20日
4 酷暑続くも熱中症増えず
 降らぬ雨で渇水の不安も  (串本町・古座川町 )

 例年になく暑い日が続く串本町、古座川町域。16日に最高気温38・9度(気象庁観測)を記録した古座川町西川地区は、翌17日に38・1度、18日に37・4度と落ち着く傾向にあるものの酷暑が続いている。

 同町によると、今回の暑さで熱中症が増えている実感はないそう。西川の一住民は「まだ暑さに慣れていない梅雨明けのころにふらっとした時があったが、今は体も慣れてなんとかなっている」とここ最近の状況を語る。

 日中の集落に人影はほとんど見られず、屋内で過ごしている状況。他方、先月20日ごろ以降からまとまった雨が降っておらず、渇水への不安も出始めている。同町では18日現在、管轄する簡易水道系から渇水の連絡はないが状況は注視しているという。

 七川ダム湖に流れ込む各河川の水量は細く、水際では普段水面下にある部分の露出も目立つ状況。同ダム管理事務所によると、最低水位95㍍に対し貯水位は98・19㍍(19日午前10時現在)に下がり、ダム本体は放流せず発電用の毎秒4・2立方㍍(ほぼ最低量)のみ流下しているという。1時間で1㌢ずつ水位が下がる傾向が続いていて、さらに続くと2週間弱で最低水位に達する状況。「このままでは発電ができなくなる」と懸念し、雨による水位の回復を切望している。

 同町消防本部によると、今年の熱中症とみられる救急搬送件数は19日現在で16件。内訳は5月に1件、7月に4件、8月に11件と推移している。7月は梅雨の合間、8月は上旬に出動が集中していて、最近の酷暑相応に出動が増えている実感はないという。

 管内は少ない年で18件、多い年で28件という実績を重ねていて、16件は突出した数ではなく今年の実績もその間に落ち着くと見ている。同町の広報誌を通してあらかじめ熱中症対策を呼び掛けていて、引き続き予防を心掛けてほしいとしている。

(2020年8月20日付紙面より)

連日猛暑日が続いている西川の中心地=18日、古座川町
日々体温超えの最高気温を記録している気象庁の観測装置〈アメダス〉
2020年08月20日
5 元気に夏を楽しむ  新宮・東牟婁  
2020年08月20日
6 「断腸の思い、来年こそ」  活動休止について思い語る  (東牟婁地方陸上競技協会 )
2020年08月20日
7 5児童館で表彰状受け取る  夏休みチャレラン大会  (新宮市 )
2020年08月20日
8 特選に佐古金一さん  写連紀南支部7月優秀作品  
2020年08月20日
9 新宮市内高校生、2年連続の快挙  下古谷律武君が予選突破  (日本クラシック音楽コンクール )
2020年08月20日
10 数多くの花茎しな垂れる  弘法湯前でバショウの花  (串本町 )
2020年08月20日
11 木村藤吉と杉本喜代松  【新宮市】2人の名誉市民、受け継がれていく系譜  (熊野アーカイブ ~熊野に人あり、歴史あり。~ ⑥ )
2020年08月20日
12 お悔やみ情報
  
2020年08月08日
13 イルカのポストで活性化
 設置を記念しセレモニー  (道の駅たいじ )

 太地町は7日、道の駅「たいじ」(〆谷和豊駅長)敷地内にバンドウイルカをモチーフにした青色のご当地ポストを設置し、記念セレモニーを開いた。漁野洋伸副町長をはじめ、日本郵便株式会社近畿支社郵便・物流オペレーション部の松村淑也集配担当部長、紀南地区連絡会の南方慎一朗副統括局長らが出席し、序幕を行った。

 地域の特色を示したご当地ポストは全国にも多数存在し、本誌エリア内ではJR那智駅に黄色のポスト、熊野本宮大社に「八咫(やた)ポスト」がある。

 同町では昨年、開館50周年を迎えた町立くじらの博物館(林克紀館長)前にクジラのポストが設置され、観光客に人気の撮影スポットとなっている。町おこしや地域振興を目的に、太地郵便局(小河則行局長)と協議を重ね、町が寄付する形で設置に至った。

 ポストは前回と同様、地元で活動するクジラの造形愛好家らで組織される「ホエール・アート・ミュージアム」の山門基秀さん、前芝真人さん、石田一勝さんらが製作。上部のイルカはFRP(繊維強化プラスチック)製のため、劣化に強い。博物館より小型の10号サイズだが、レターパックも入るという。

 山門さんは「太地町といえば捕鯨のイメージが強いと思うが、クジラやイルカの造形物で明るい話題を提供することができれば」と語った。

 式典で漁野副町長が関係者らに感謝を述べ、「博物館のポストも町内外から高い評価を受けている。今回は町の玄関口である道の駅に設置していただいたことは、町の活性化に必ずや役立つであろうと確信してます」とあいさつした。

 〆谷駅長は「地元はもちろん、観光客にも使用していただき、名所の一つになればありがたい。記念撮影も協力させていただきます」と語った。

 なお、これまで敷地内で使用されていた旧ポストはこの日をもって撤去された。

(2020年8月8日付紙面より)

新たな町の名所誕生を祝い序幕=7日、太地町の道の駅たいじ
イルカのポストが観光客を迎える
2020年08月08日
14 フレイル予防で夏を乗り切る
 ふれあいいきいきサロン  (新宮市熊野川町 )

 新宮市熊野川町の上長井集会所で6日、上長井、西、谷口地区のふれあいいきいきサロンが開かれた。地域住民5人が暑い夏を乗り切るため、介護予防体操で汗を流した。

 サロンは地域のコミュニティーづくりや介護予防、寝たきりの防止、一人暮らしの人への見守りなどを目的に2005年ごろから始まった。現在は新型コロナウイルス感染対策で、消毒液の設置、参加者全員の検温、窓の開放などの対策を取っている。

 この日は熊野川地域包括支援センター職員で看護師の岡崎久子さんがフレイル(衰弱)予防について解説。身体活動量が減って食欲が湧かなくなり、栄養状態が悪くなることで筋力・体力が低下する悪循環に陥る危険性を話し、「外出自粛の影響か、最近転倒してけがや骨折をしたという話をよく聞く。皆さんも気を付けて」と呼び掛けた。

 参加者は「元気でまっせ体操」やスクワットでしっかりと運動し、錦糸卵やシイタケの煮付けが入ったそうめんの弁当を味わった。

 野原孝子さん(79)は「体操をして体が温まった。毎日朝に畑、午後は縫い物をし、散歩もしています。そうめんが思ったよりもたくさん入っていて、満腹です」と笑顔で語った。

(2020年8月8日付紙面より)

かかと上げ体操をする参加者=6日、新宮市熊野川町の上長井集会所
2020年08月08日
15 16日間の短い夏休みに
 小中学校で1学期終業式  (紀宝町 )

 紀宝町の全小中学校で7日、1学期の終業式があった。児童、生徒たちは通知表を受け取り、16日間の短い夏休みに入った。

 例年、夏休みは7月21日から始まるが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴う休校措置の影響で1学期を約2週間延長し、8月も授業を続けてきた。

 町立相野谷小学校(岩本直樹校長、53人)では、体育館で終業式を行い全校児童が間隔を空けて座った。岩本校長は「今年は新型コロナウイルスのため休校もありましたが、頑張って今日まで学習しました。みんなの通信簿を読み、1学期に頑張ったことをたくさん書いていました。みんなが頑張れるのは努力と周りの応援のおかげ。明日から楽しい夏休みです。『短いけど良かったな』と言えるよう、安全、健康に過ごして本を読んでください」とあいさつした。

 児童会の6人は▽計画▽健康▽防犯▽交通▽安全▽あいさつ―といった夏休みの過ごし方を掲げ、「目当てを持って過ごしましょう」と呼び掛けた。

 町内小中学校では24日(月)から2学期が始まる。

(2020年8月8日付紙面より)

夏休みの過ごし方を呼び掛ける児童会役員=7日、紀宝町立相野谷小学校
2020年08月08日
16 中湊にサテライトオフィス
 古座MORIが町長ら表敬  (串本町 )

 串本町中湊に拠点を置く株式会社古座MORIの坂本直弥代表取締役(51)ら3人が6日、田嶋勝正町長らに事業内容を伝えて今後の協力関係を求めるなどした。

 坂本代表取締役は、東京都で日本とフィリピンの懸け橋となる国際会計事務所「株式会社アイキューブ」の統括取締役。その事業の一端で2008年、串本町~古座川町域に自社林を取得したことで両町域へ適時通うようになった。その折に実感しているのが現地の通信インフラの弱さで、自身の経営を誰かに任せないと通い難い状況を他の事業者とも共用できる形で改善しようと考え、事業「古座の魅力を世界に発信し、事業を呼び込むためのサテライトオフィス運営」へと動き出した。

 この事業はわかやま産業振興財団の本年度地域課題解決型起業支援事業において採択を受け、坂本さんは2週間の準備期間を経て7月14日付で現地法人「株式会社古座MORI」を設立。中湊の右東谷川そばの空き家と旧工房を取得し、旧工房をテレワークに応える環境を有するサテライトオフィスなどにし、空き家を宿所とする方向で取り組み始めている。

 その設計は京都大学大学院の小林広英教授と関係する学生のチームに依頼。新型コロナウイルスの影響で当初予定していた第1回現地ワークショップは急きょ中止となったが、事前調査に基づく構想を持って指導陣が7~9日に現地入りし建物の詳細計測などをするという。年内にサテライトオフィス化を完了し、すでに利用を考えている知人を年明けに迎え入れてモデルケースを作り、来年度から事業を呼び込む本格運営に乗り出せれば、と意気込んでいる。

 6日は滞在時に利用している縁で現地に詳しい役員として迎えた神保圭志取締役(旅館神保館館主)と実娘の3人で同町産業課と田嶋町長を表敬訪問。中湊を拠点にして事業の概要やその運営により見込まれる状況とその背景にある需要などを伝え、今後の協力に結びつきそうな情報の交換もして歩み寄りを深めた。

(2020年8月8日付紙面より)

田嶋勝正町長らに事業概要を説明する坂本直弥代表取締役(右から2人目)=6日、串本町役場本庁
2020年08月08日
17 1位に野中さん、垣本さん  写連紀南支部7月度例会  
2020年08月08日
18 「足元で下げ止まりの動き」  県内経済情勢7月判断  
2020年08月08日
19 新型コロナに関するお願い  田岡市長がメッセージ  (新宮市 )
2020年08月08日
20 地に足着け日々の努力を  和歌山県立学校で終業式  
2020年08月08日
21 一緒にプールで水遊び  佐野保と蓬莱保の5歳児  (新宮市 )
2020年08月08日
22 浸食によってできた甌穴  【紀宝町】相野谷川の西川渓谷に存在  (熊野アーカイブ ~熊野に人あり、歴史あり。~ ⑤ )
2020年08月08日
23 無病息災や家内安全祈る 阿須賀神社で扇立祭 (新宮市)
2020年08月08日
24 利用者に絵手紙届ける  配食ボラ「サークルほほえみ」  (紀宝町 )
2020年08月08日
25 ボウズハゼ滝越え活発化  梅雨時期の増水落ち着き  (古座川町 )
2020年08月08日
26 ママも子どもも笑顔になる「疲れない食育」
 【第17回】生卵は何歳から?  

 「生卵を何歳から与えていいですか?」とよく聞かれます。この質問には実は正解はありません。生卵は新鮮なものであれば低リスクですが、卵の殻にサルモネラ菌が付着していることもあるので、気を付けた方がいいとしか言いようがないのです。

 今世間は新型コロナウイルス一色で、手指の洗浄や消毒は、いつもより気を付けているご家庭がほとんどだと思います。でも、暑くなるこの時季、食中毒も侮れません。特に子どもは、少量の菌で重症化してしまうケースもあるので、大人が気を付けてあげなければならないのです。私の知人で、サルモネラに感染した小学生は、お父さんの卵かけご飯を一口もらっただけでした。しばらくして、下痢と嘔吐(おうと)を繰り返し、病院に行って、胃腸炎と判断されました。その後薬を飲んでも一向に治らず、どんどん悪化して、3軒目のお医者さんで初めてサルモネラと分かり一命を取り留めました。サルモネラ菌は感染して死亡するケースもあり、とても危険な食中毒と言えます。今スーパーなどに出回っている卵は、新鮮なものが多く、サルモネラ菌が付着しているものは少ないといわれています。それでも、全てではないですし、日がたつと増殖する可能性があります。

 食品安全委員会が実施した研究事例では、日本全国から集めた市販の卵、約10万個のうち汚染されていたのは3検体でした。さらに2万個の卵から検出されなかったという結果も合わせて、汚染の確率は0・0029%程度と推定しています。かなり低いですよね。ただ、生卵を食べるという行為自体は、やはり100%安全とは言えないのです。では、どういったことに気を付ければいいのでしょう。

 一つ目は温度管理です。サルモネラ菌に汚染された卵は、保管期間や卵の殻を割ってから食べるまでの時間が長くなるほど菌が増加することが分かっています。ただ、正しく温度管理をして保管すれば6週間後も菌が増えなかったという実験結果もあります(食品安全委員会 食品健康影響評価のためのリスクプロファイルより)。卵を買うときは、常温保存されているものではなく、冷蔵保存されているお店のものにしましょう。購入後は冷蔵庫で保管してください。

 二つ目は食べ方です。生卵を食べるときはできるだけ新鮮なものを選んで、割るときに殻が入らないように注意してください。サルモネラ菌は、熱に弱いので加熱すれば大丈夫です。基本的に卵の賞味期限は「安心して生で食べられる期間」として定められていますが、私は購入後すぐのものだけを生で食べるようにしています。特に賞味期限が切れた卵は、十分加熱調理することを心掛けてください。

 最後は意識しておくことです。子どもに生卵を与えた場合は、「今日生卵を食べたな」と意識しておいてあげてください。サルモネラ菌の潜伏期間は6~72時間といわれているので、この時間内に症状が出た場合は、お医者さんに「卵を食べた」とすぐに報告できるようにすることが大切です。サルモネラ菌は、卵だけでなく鶏肉やペットにもいるといわれています。調理前の手洗いは徹底し、お肉は十分加熱調理して笑顔の食卓にしてください。

(2020年8月8日付紙面より)