那智勝浦観光機構(NACKT)は25日、那智勝浦町体育文化会館で町民説明会を開催した。41人の町民が参加し、観光機構の概要や観光地域づくり法人(DMO)の詳細、活動内容などの説明を受けた。
昭和30年に設置された町観光協会が今年7月31日に解散となり、今年4月に組織された同機構が観光振興と町づくりのかじ取りを担う形となった。
これまで同機構は▽公式会員制交流サイト(SNS)で町の魅力を発信▽オンラインで町の魅力を発信し、新型コロナウイルス終息後には町に足を運んでもらうきっかけづくりを行うオンラインツアー開催▽町が行う新型コロナ関連緊急経済対策事業の一環である「町民限定プレミアム宿泊・お食事券」の販売▽バス1台につき10人以上を同町に誘客した旅行会社に助成金を交付する事業―などを実施している。
同機構理事長の堀順一郎那智勝浦町長は「町にとって観光は主力産業。今後は時代に合わせたマーケティングや観光戦略を行い、地域の活性化につなげていきたい」とあいさつ。
大阪観光大学観光学部の小野田金司教授が「日本の観光政策の方向性としてDMOについて」をテーマに講演。続いて、堀町長が串本町田原に建設中のロケット基地「スペースポート紀伊」の進捗状況を報告した。旧浦神小学校を見学場とする計画などを説明し、「町にとって追い風となる事業」と話した。
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村井弘和事務局長は同機構の組織について、交通、宿泊、観光資源・体験、物販・特産品、飲食、文化財・歴史、施設・環境整備などの7部会があることを説明し、メンバーでマーケティング担当の堀千寿子さん(専属)、プロモーション担当の西村和薫さん(専属)、観光資源の磨き上げ責任者、齊藤滋さん(業務委託)の3人を紹介した。
村井事務局長は「基本方針、戦略を立てた上で運営を行い、従来のイベントなども分析し見直しを進めていきたい」と伝え、「『観光で稼げる町』にすることによって雇用を生み出す」「町の定住人口・交流人口を増やす」「長期滞在型観光地づくりを目指す」を基本方針に掲げていると話した。
参加者からは「地元にあるものを活用してほしい。古いものを大事にしてほしい」「地元のスタッフの育成や住民を巻き込んだ形で事業を進めていくべきでは」などの質問が上がった。
説明会は25日午後7時と、翌26日午後の計3回実施される。
(2020年8月26日付紙面より)
今年も地域の協力を得て (神内小 )
紀宝町立神内小学校(道中朋孝校長)の4~6年生30人が25日、学校近くの田んぼで稲刈り作業に取り組んだ。
地域をより深く学ぶとともに、食料問題や利水の問題など農業について考えることを目的に9年前から実施。「神内生き活き協議会」(矢熊敏男会長)が協力した。田植えは例年5月に体験するが、今年は新型コロナウイルスの影響で休校だったため会員が5月5日に行った。
この日は同協議会の猿口芳志さんが稲の刈り方をアドバイスし、川原田(かわらだ)規泰区長が「農業体験を通してお米を作っている人へ感謝の気持ちを養ってほしい」と呼び掛けた。
児童たちは鎌を持って田んぼに入り、黄金色に育った稲を鎌で丁寧に刈り取り、会員の手を借りながら昨年を上回る約300㌔を収穫した。
田尾心之輔君(5年)は「暑くて刈るのが大変だった」と話し、児童たちは大粒の汗を流して作業した後、水分補給をして体験を終えた。
毎年、収穫した新米は「米作り感謝の会」で同協議会の会員、見守りサポーターにおにぎりを振る舞っているが、今年はこれから検討するという。
(2020年8月26日付紙面より)
那智山でオンラインツアー (那智勝浦町 )
南紀熊野ジオパークガイドの会(上野一夫会長)は22日、オンラインツアー「世界遺産+ジオで二度おいしい那智山」を開催。県内外から11人が参加し、ユネスコ世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部で、同パークのジオサイトにも登録されている那智勝浦町那智山の「大門坂」と「那智の滝」を訪ねた。
新型コロナウイルス感染症の影響で遠くまで旅行できない昨今、参加型の旅番組を通じて旅行気分を味わってもらおうと企画した。
ツアーはビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を使用。ジオパークガイドの橋口雅美さん、平野皓大さん、山本妙子さん、平松美樹さんの4人が、現地中継やカメラ、スタジオMC、機材調整などを担当した。
中継ではガイドが現地を歩きながら、大門坂で見られる生痕化石や、熊野酸性火成岩類の流紋岩と熊野層群の境界にある那智の滝の成り立ち、滝信仰や県指定無形民俗文化財である那智の火祭りについても解説した。参加者が映像に飽きないよう、スタジオでは「熊野那智参詣曼荼羅(まんだら)」の絵解きも行われた。
現地中継を担当した橋口さんは「無事に1回目を終えられてほっとしています。第1回は電波環境が安定した那智山を選んだが、参加者からはフェニックス褶曲(しゅうきょく)や海側からの橋杭岩が見たいなどの意見があった。オンライン特有の難しさもあるが、要望に応えつつ、今後の観光業の可能性を広げたい」と話していた。
9月5日(土)午後1時30分~2時50分にも同じ内容のツアーがあり、2日(水)午後5時まで申し込みを受け付けている。参加費は2200円で、定員はA席(音声対話あり)10人、B席(チャットのみ)40人。申し込みはウェブサイト(https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01p7z61157czc.html)で受け付ける。問い合わせは同会事務局(南紀熊野ジオパークセンター・電話0735・67・7730)まで。
(2020年8月26日付紙面より)
コンビニ店員に感謝状 (新宮警察署 )
新宮警察署(小畑博昭署長)は24日、特殊詐欺被害の未然防止に貢献したとして、ファミリーマート勝浦下里店店員の太田有美さんに感謝状を贈った。
太田さんは7月30日、同店に来店した高齢男性客が6万5千円分の電子マネーを購入しようとしていたことに不審を抱き、男性客に使用目的などを確認。だまされている可能性が高いと感じ、同店オーナーに相談した後、男性客に警察に通報するよう促した。
男性客は帰宅後間もなく同署に電話相談。応対した警察官が確認したところ、「パソコンのウイルス駆除を名目としたガイド料金の不正請求による詐欺」によりだまされ、電子マネーを購入し、その番号を被疑者に知らせようとしていたことが発覚。太田さんの機転を利かせた行動が、特殊詐欺被害の未然防止につながった。
太田さんは、店舗では普段から特殊詐欺防止に関する指導があったと説明。「こういったことは初めて。(特殊詐欺について)話は聞いていたが身近に感じることは今までなかった」と驚きの表情を浮かべながらも「これからも困っているお年寄りを見掛けたら積極的に声を掛けて被害の未然防止に努めていきたい」。
小畑署長は「お客さんに声掛けするのが難しい時代において勇気を持って声を掛けていただいた。高齢者の貴重なお金を守っていただいたことをありがたく思います」と感謝。
管内においての今年の特殊詐欺被害件数はゼロだが電話相談はあるとし「人情味のある地域だからだまされてしまう人も今後いないとも限らない。特殊詐欺被害に関してさらなる周知を図っていきたい」と話していた。
県内の本年度の特殊詐欺認知件数は20件で被害額は6606万9720円(6月末現在)。同署では身に覚えのない不審なはがきや封書、メールなどが届いた場合、家族や警察に相談するよう呼び掛けている。
(2020年8月26日付紙面より)
国の天然記念物に指定されている新宮市の新宮藺沢(いのそ)浮島植物群落(浮島の森)東側の池で、水面が真っ赤に染まる現象が起きている。同所管理人は「この暑さと関係があるのか分からないが赤く染まるのは初めて」と驚きを隠せない。
現象が見られるようになったのは10日ほど前から。日によって範囲や色の濃度が異なる。また、午前8時台ですでに赤く染まっているが、夕暮れ時にはいつも通りの水面に戻るという。18日には広範囲にわたって赤く染まっており、うわさを聞いた人が熱心にカメラを構える様子も見られた。
熊野学研究委員会の瀧野秀二さんは「単細胞の藻類ではないか」と見解を示す。光合成をし酸素を含んだ植物プランクトンが水面に浮いてきているのではと推測しながらも、同所で赤い藻は見たことがないと述べ「顕微鏡で見てみないと分からない」。
連日の猛暑で池の水温はぬるめのお湯程度まで上昇している。気候変動や水温の上昇、池の水位の低下などとの関連性について瀧野さんは「水位が下がったことによって池の温度が上昇するなど無関係ではないと思う。もしかしたら今までは気付かれない範囲でプランクトンが発生していたのかもしれない」と述べ、有毒性や生態系に及ぼす影響については「大丈夫だと思いたいが、場合によっては心配事が増える可能性もある」と話していた。
同所では高度成長期に周辺の市街化に伴い沼沢の乾燥化や水質悪化が顕著となり、オオミズゴケなどの貴重な植物が減少しスギの新しい種子が発芽できないなどの状況に陥った。
市では森の保存と再生を図るために1988(昭和63)年、有識者らによる調査委員会を組織しさまざまな保存対策事業を実施。また、国や県の水質改善事業などにより、危機的だったいくつかの植物の状況が改善されて今に至る。
浮島の森の見学は年中無休で、開場は午前9時から午後5時(12~2月は午後4時)まで。
(2020年8月20日付紙面より)
建設工事関係者連絡会議 (新宮・東牟婁地方 )
建設工事における災害の一層の減少を図ろうと、厚生労働省和歌山労働局新宮労働基準監督署(中前英人署長)は18日、新宮市緑ヶ丘の東牟婁振興局で建設工事関係者連絡会議を開催した。新宮・東牟婁地区の公共工事発注機関、建設関係団体、災害防止行政機関の25人が出席した。
会議は、三者がより緊密な連携を図ることで災害防止対策の取り組みを推進することを目的に毎年開かれている。
新宮・東牟婁管内では昨年87件(前年比15件減)の労働災害が発生した。中前署長は「管内では減少傾向にあるが、一方で建設業においては2件増加の14件となっている。土木工事では8件と、前年4件から倍増している」などと説明。
▽労働災害の防止▽熱中症対策▽建設業の働き方改革の取り組み推進―に対する協力を呼び掛け「本会議は工事関係者が多数参加する年に1度の会議。情報や意見交換を活発に行い、有意義なものに」とあいさつした。
乾孝行監督・安衛課長が管内の建設工事における労働災害発生状況を説明したほか、災害事例を原因・対策も交えて紹介。現場における安全管理として▽通路、足場安全対策▽建設機械の安全対策▽安全施工サイクルの推進▽気象状況の変化に伴う措置など―が重要とし「日頃から気象状況を含め体調管理の徹底を」と呼び掛けた。
また、2023年までに死亡災害を15%以上、死傷災害を10%以上減少させることを目標とした「第13次労働災害防止計画」や「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」「働き方改革関連法」「安全な建設工事のための適切な安全衛生経費の確保」などに対する取り組みを求めた。
紀南河川国道事務所串本国道維持出張所、東牟婁振興局農林水産振興部林務課、新宮市、那智勝浦町、古座川町、串本町、北山村が公共工事の現状や労働災害防止に係る取り組みなどを紹介した。
(2020年8月20日付紙面より)
地域包括ケア会議委員に委嘱状 (紀宝町 )
地域包括ケアシステムの実現を目指す「紀宝町地域包括ケア会議」の本年度第1回会合が18日、同町役場であり、西田健町長が委員16人に委嘱状を手渡した。
委員は町の高齢者担当職員、医師、介護支援専門員、介護サービス事業者、薬剤師、社会福祉協議会、民生委員・児童委員、老人クラブ連合会女性委員会の代表者などで、任期は2年間。医師で「くまのなる在宅診療所」の濱口政也院長を委員長に選出した。
委嘱後、西田町長は「大変重要な役割を担っていただくことになりますが、高齢者を取り巻くさまざまな現状や課題などについて真摯に協議していただき、高齢者福祉施策の向上に向け、その一翼を担っていただければ」とあいさつ。委員が自己紹介し、会議の方向性や今後の活動などについて説明を受けた。
地域包括ケアシステムは、高齢者が支援・介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしく可能な限り生活を続けることができる体制を構築するもの。
同会議では自助・互助の果たす役割を意識した取り組みを進めるため、本年度から在宅医療・介護連携推進事業、認知症総合支援事業を合わせた「医療と介護の連携・認知症の部会」と、生活支援体制整備事業、介護予防・日常生活支援総合事業の「生活支援体制整備・介護予防の部会」を組織し、各部会で協議するという。
(2020年8月20日付紙面より)
降らぬ雨で渇水の不安も (串本町・古座川町 )
例年になく暑い日が続く串本町、古座川町域。16日に最高気温38・9度(気象庁観測)を記録した古座川町西川地区は、翌17日に38・1度、18日に37・4度と落ち着く傾向にあるものの酷暑が続いている。
同町によると、今回の暑さで熱中症が増えている実感はないそう。西川の一住民は「まだ暑さに慣れていない梅雨明けのころにふらっとした時があったが、今は体も慣れてなんとかなっている」とここ最近の状況を語る。
日中の集落に人影はほとんど見られず、屋内で過ごしている状況。他方、先月20日ごろ以降からまとまった雨が降っておらず、渇水への不安も出始めている。同町では18日現在、管轄する簡易水道系から渇水の連絡はないが状況は注視しているという。
七川ダム湖に流れ込む各河川の水量は細く、水際では普段水面下にある部分の露出も目立つ状況。同ダム管理事務所によると、最低水位95㍍に対し貯水位は98・19㍍(19日午前10時現在)に下がり、ダム本体は放流せず発電用の毎秒4・2立方㍍(ほぼ最低量)のみ流下しているという。1時間で1㌢ずつ水位が下がる傾向が続いていて、さらに続くと2週間弱で最低水位に達する状況。「このままでは発電ができなくなる」と懸念し、雨による水位の回復を切望している。
同町消防本部によると、今年の熱中症とみられる救急搬送件数は19日現在で16件。内訳は5月に1件、7月に4件、8月に11件と推移している。7月は梅雨の合間、8月は上旬に出動が集中していて、最近の酷暑相応に出動が増えている実感はないという。
管内は少ない年で18件、多い年で28件という実績を重ねていて、16件は突出した数ではなく今年の実績もその間に落ち着くと見ている。同町の広報誌を通してあらかじめ熱中症対策を呼び掛けていて、引き続き予防を心掛けてほしいとしている。
(2020年8月20日付紙面より)