2月3日(木)の節分を前に、田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)では福豆と鬼面札の調製がピークを迎えている。同大社における鬼面札の調製は今年が初。新型コロナウイルス感染症の撲滅を願い、節分祭・追儺(ついな)式参列者や厄払い祈祷(きとう)を受けた人に授与される。
鬼面札は戦前から同大社に残る鬼面印を使用。版木は昨年に調製したもので、鬼面の左右には牛王(ごおう)宝印、そして災厄を払い、疫病を除いて福を招く神として信仰される蘇民将来にあやかり「七難即滅 本宮再生 蘇民将來子孫家」の印が押されている。
調製は1週間ほど前に開始。27日には神職らが、奉書紙に八咫烏(やたがらす)神事で調製した宝印を押すなどして鬼面札を完成させていった。来月3日までに約300体を仕上げる予定となっている。
節分祭・追儺式当日は、新型コロナウイルス感染拡大状況を鑑み、神事を縮小。撒豆は豆を奉書紙に納めて行うなど
の感染防止対策を講じる。
例年なら神職や神社役員らが豆をまきながら拝殿の回廊を3周し鬼を追い払うが、今年は神職のみで斎行。最後の豆まきは神職と厄年の人のみで行う。
福豆、鬼面札は当日に限り、参拝者と厄よけ・開運招福の祈祷を受けた人に授与する。また、鬼面札は2月28日(月)までに厄払い祈祷を受けた人にも授与される。
同大社の節分祭・追儺式は午後4時から。九鬼宮司は「新型コロナウイルス、オミクロン株の1日も早い撲滅を祈る限り。多くの人が困難を乗り越えられるよう、思いを込めて神事を執り行いたい」と話している。
(2022年1月28日付紙面より)
太地中学校で思春期講座
太地町立太地中学校(山田貴也校長)でこのほど、3年生11人を対象とした思春期講座があった。かづこ助産院の本舘千子(もとだて・かづこ)院長が「『いのち』が大切より『あなたが』大切」と題して講話した。
高校進学を控えた生徒に性に関する正しい知識を身に付けてもらうことが目的。本舘院長は串本町から紀宝町までのさまざまな教育現場に立ち、命の大切さや思春期に起こる体と心の変化、性の権利、科学的根拠に基づくさまざまな知識を学ぶ「包括的性教育」の必要性などについて伝えている。
本館院長は生徒たちに「高校生になったら、好きな人ができたり、恋をしたりすることもあると思う。恋愛で自分を傷つけないため、相手を傷つけないためには学習が必要です」と語り、性的マイノリティー(LGBTQ)や妊娠が起こる仕組み、性感染症などについて改めて知識を伝えた。
「紅茶と同意」の動画で性的同意について紹介し「デートDVやセクハラ、痴漢など、同意のないものは全て性暴力。水着で隠れるプライベートゾーンだけでなく、嫌な人には髪一本だって触れられたくない」と言及。
「だまされないよう、助けてと言えるよう、嫌なことは嫌と言うことができるように、皆さんには賢くなってほしい」と語り、「今後心配なこと、困ったことができたら相談に乗ります」と呼び掛けていた。
(2022年1月28日付紙面より)
御浜町長が模擬体験
所得税の確定申告が2月16日(水)から始まるのを前に、尾鷲税務署(柳生憲吾署長)は25日、御浜町役場でスマートフォンを使った申告をPRした。大畑覚町長が模擬体験し「スマホは初めてだが、思ったより簡単で、短時間でできる」と手軽さを伝えた。
国税庁では新型コロナウイルスの感染拡大防止対策として、会場の混雑を緩和するためスマホを使った確定申告書の作成、送信を呼び掛けている。今回からはスマホのカメラで源泉徴収票を撮影すれば、金額や支払者情報などが自動で入力されるようになった。
この日は大畑町長が国税電子申告・納税システム「e―Tax」による申告書の作成を模擬体験した。国税庁ホームページからスマホ専用画面を開き「確定申告書等作成コーナー」に必要事項を入力し、還付の確定申告書を5分程度で作成した。
2021(令和3)年分確定申告は、所得税・復興特別所得税・贈与税が3月15日(火)まで、消費税・地方消費税が同31日(木)まで。感染症対策のため、会場で申告する場合は、入場整理券が必要となり、各会場で当日先着順に配布、または、通信アプリ「LINE(ライン)」の国税庁公式アカウントから事前発行する。
国税庁は動画による確定申告書の作成方法(「動画で見る確定申告」で検索)をホームページ上で紹介している。
(2022年1月28日付紙面より)
物件「旧谷畑家住宅主屋」 (串本町 )
串本町西向、岩渕地内にある登録有形文化財〈第30―0316号〉「旧谷畑家住宅(こざがわ)主屋(おもや)」で26日、その登録証とプレートの伝達があった。所有する社会福祉法人和歌山県福祉事業団の佐武寛子・古座あさかぜ園園長は「改めて貴重な建物だと受け止め、これからも大事に使わせていただきます」と語り、登録証とプレートを預かった。
この物件は、1954年に材木商の谷畑家が建築した木造2階建て一部平屋建て家屋。良材を用い凝った造作に加え、2階の座敷が古座川の眺望に秀でる配置になっているなど立地を生かした設計も宿す近代和風建築の好例として国土の歴史的景観に寄与していると評価され、昨年6月24日付で国の文化財登録原簿に記載された。町内では「樫野埼灯台旧官舎」「旧神田家別邸(稲村(とうそん)亭)」に続き3件目、旧古座町域では初の登録有形文化財記載となっている。
現在は同事業団が谷畑家から譲り受け、同園が就労訓練を目的とした事業所〈飲食店〉「うどんとうなぎの古座川」などで運用中。同日現在、職員5人と入所者1人の6人チームで火曜日以外の午前11時~午後2時に営業していて、その一般利用を通して物件の内外に親しむことができる。
この日は町教育委員会教育課の鈴木一郎次長らが物件を訪ね、このほど文化庁から町教委へ届いた登録証と砲金製のプレートを佐武園長へ伝達した。併せて登録に伴う手続き事項の説明をし、今後の適切な管理と他の文化財登録制度より緩やかな制約下での鋭意活用を促した。
同事業団にとっては、御坊市にある物件「なかがわ(旧中川家住宅)主屋(しゅおく)」(現・事業所「そば&Cafeなかがわ」)に続き2件目となる登録有形文化財。佐武園長は、前例となるこの物件を参考にしつつ今後の管理に努めると話している。
(2022年1月28日付紙面より)
文化財愛護思想の高揚を目的に制定された「文化財防火デー」(1月26日)を前に、田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)で24日、同大社自衛消防団による防火訓練があった。神職や大社役員、消防関係者ら25人ほどが参加。訓練を通して防火意識の高揚を図った。
文化財防火デーの1月26日は1949(昭和24)年に法隆寺金堂壁画が焼損した日。55(昭和30)年からこの日を中心として全国的に防火運動が展開されており、今年で68回を数える。
今年の訓練は、新型コロナウイルス感染予防の観点から、昨年に引き続き規模を縮小し、同大社神職らからなる自衛消防団が中心となり実施。宝物殿奥の山林から出火し、境内を巡回中の神職が火事を発見したとの想定で行われた。参加者らは消火活動や119番通報など、それぞれ担当する活動に取り組み、最後に延焼防止のため社殿に向けて放水銃で一斉に放水した。
消防訓練に先立ち田辺消防署本宮分署による立ち入り検査や、神職らを対象にした消火器訓練も行われた。
訓練後、集合した参加者らを前に、田野直・田辺消防署本宮分署長が「昨年は初期消火に少し遅れが見られたことを指摘させていただいたが、今回はすぐに駆け付けていただきその他の活動も良好だった」と講評。
夜間や職員がそろっていない場合なども想定することが大事とし「被害を最小限にとどめられるよう、誰でも通報することができる、誰でも初期消火することができるといった、ワンランク上の体制を」と呼び掛けた。
九鬼宮司は「参拝者の方や地元の人が火災を発見する場合もある。いろんな状況でも対応できるよう、職員ともども意識を高めていきたい」と誓いを新たにした。
(2022年1月25日付紙面より)
武官や総領事らと共に視察 (駐日トルコ大使館 )
駐日トルコ共和国大使館のコルクット・ギュンゲン特命全権大使(53)ら一行が21日午後、串本町の樫野崎を訪ねた。
同館の歴代大使が着任序盤に取り組んでいる公務の一環。樫野崎は日本とトルコ共和国の友好発祥地という特別な場所で、ギュンゲン大使も昨年3月の着任以降早期訪問を目指してきたが新型コロナウイルスの情勢ですぐに時期が見いだせず、今回のタイミングでの遂行となった。
一行の内訳はギュンゲン大使、ハビブ・イゼット・ゾールオール武官、在名古屋トルコ共和国総領事館のウムット・リュトフィ・オズテュルク総領事と参事官2人らで、在大阪トルコ共和国名誉総領事館の梶山龍誠総領事らも同行。20日は和歌山市にある県立博物館でトルコ共和国の贈呈品も含まれる特別展「和歌山と皇室」を鑑賞し、来年のトルコ共和国建国100年、再来年の日本―トルコ国交樹立100年に向けた協力を仁坂吉伸知事に求めたという。
翌21日午後に樫野崎へ赴き、真っ先にトルコ軍艦遭難慰霊碑に眠る将士を訪ねて礼拝しゾールオール武官と共に献花。同碑の霊廟(れいびょう)へ入り、イスラム教に基づきこの場所で眠る将士をしのんだ。
以降はムスタファ・ケマル・アタテュルク像や樫野埼灯台、トルコ記念館などを順次視察し、同館の記名簿に来館の足跡を書き記した。ギュンゲン大使は人文社会学〈歴史専攻〉の修士で、同館そばにある日本赤十字社の平時国際活動発祥の地記念碑にも強い関心を示し、エルトゥールル号遭難事件の3年前に旧オスマン帝国を訪問した小松宮彰仁親王も設立に関わった同社にとってこの事件は初の国際救助だったと語って当時の人道援護に感謝と敬意を掲げた。
「エルトゥールル号の遭難は悲しい出来事だが、われわれにとっては誇れる事実でもある」と受け止めるギュンゲン大使は、その現地で改めて串本や日本への感謝を言葉にし「来年、再来年の節目に皆さんとも手を携えて何かができれば」と自身が築くこととなる両国友好への意欲を語った。
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樫野崎訪問と併せて田嶋勝正町長との面会も希望していたが、急拡大する同ウイルスの情勢により田嶋町長は直前で遠慮の要請をした。
ギュンゲン大使はいつもお世話になっている大切な方のコロナ禍を見据えた判断の心中を察して受け止め、田嶋町長は「町まで来ていただいたのに応対できず、本当に申し訳なく思う。感染の拡大が落ち着いたら必ずや、こちらから大使館へ赴いて大使に公式のごあいさつをさせていただきたい」とコメントした。
(2022年1月25日付紙面より)
まなびの郷を会場に (紀宝町 )
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、紀宝町は22日、町生涯学習センター「まなびの郷」で3回目の新型コロナワクチンの集団接種を開始した。
新たな変異株「オミクロン株」の発生状況を踏まえ、国の方針に沿って前倒しで実施。この日は、医療、高齢者施設、通所サービス事業所の各従事者と通所サービス事業所の利用者合わせて約180人が接種した。
集団接種は2月5日(土)以降、昨年6月末までに2回接種した65歳以上の高齢者を対象に行う。ワクチンはファイザー社製がなくなり次第、モデルナ社製に切り替える。
今月13日には、昨年7月末までに2回接種を終えた約4000人に接種券を送付。集団接種、個別接種ともに、6月末までの接種者は24日から受け付けを始めた。7月末までの人は31日(月)から開始する。
集団接種はインターネットとワクチン接種専用ダイヤル(電話0735・33・0363)で受け付ける。専用ダイヤルは午前9時からで、平日は午後7時まで、土日・祝日は午後4時まで。個別接種は各医療機関で受け付けている。
昨年末現在、町内で2回目接種が完了した人は8327人で対象者の接種率は85%。町では「ワクチン接種は自分のためだけでなく、家族や友人など自分の大切な人を守ることにつながります。ワクチン接種が可能な方は、接種していただきますようお願いします」と呼び掛けている。
(2022年1月25日付紙面より)
佐野区で防災用品配布 (新宮市 )
新宮市の佐野区(前田道春区長)は22日、同区加入の1150世帯を対象に、防災用袋やグッズを配布した。佐野会館に集まった代議員たちが世帯数の物資を仕分けし、各地区の班長へと届けた。
同区では、紀伊半島大水害から10年が経過したことを振り返り、昨今、頻発している自然災害や地震に備え防災意識を高めてもらおうと「本年度の区計画事業中止による予算」「市防災補助金」などを活用し配布を決定。新型コロナウイルス感染症第6波とされるオミクロン株などの拡大に対して区民への注意喚起の思いも込められている。昨年5月にはマスクと消毒液を配布した。
この日は代議員15人ほどが集合。前田区長をはじめ役員らが協力して作業に取り組み、災害時避難用に使用する区の名前が記されたリュック式「非常持出袋」(1世帯1袋)と「非常用給水バッグ」(3㍑入り1世帯2袋)を班ごとに用意された段ボールへ詰めていった。
前田区長は「代議員や多くの人の協力のおかげで今回の配布を迎えることができて安心し、感謝しています。コロナの状況はもちろんだが近年、頻繁に発生している地震などの災害に備えて改めて意識を高めてもらいたい。今後も住民のみんなが『佐野区に住んでいてよかった』と思ってもらえるよう、取り組んでいければ」と話していた。
(2022年1月25日付紙面より)
紀宝町長選
任期満了に伴う紀宝町長選挙が18日告示され、現職の西田健さん(73)=無所属=以外に立候補の届け出がなく、西田さんが無投票で5回目の当選を果たした。
丹鶴幼で防災出前事業 (新宮市 )
新宮市立丹鶴幼稚園(下岡容子園長)で17日、「ぼうさい出前事業~たんかくようちえん~」があった。市防災対策課の櫻井勇太さんと日浦規行さんが来園し「見て、考え、触って、身体(からだ)を動かす体験型」の防災授業を展開。44人の園児らが防災に対する心構えを身に付けた。
6434人が亡くなった阪神・淡路大震災発生(1995年)から17日で27年。1月17日はボランティア活動への認識を深め、災害への備えの充実強化を図ることを目的として「防災とボランティアの日」に制定されている。
出前授業は子どもたちに有事の際に自らの命を守る行動を身に付けてもらうことを目的に実施。
櫻井さんは、園児らに、無彩色の人気のキャラクターを青(津波)、黄(土砂崩れ)、赤(火事)に色分けしてもらい「地震が起きたら津波や土砂崩れが起こり火事になります。色で覚えておいて」と呼び掛けた。
「危険な場所を探そう」で園児らは地震発生時の教室内の危険な箇所を探索。ピアノや空調設備の下などに「危険マーク」を貼り「電灯が落ちてきたら危ないよ」「扇風機も落ちてくるかも」などと意見を出し合った。
櫻井さんは「地震はいつ来るか分かりません。安全な所を自分で探して頭を守る『ダンゴムシのポーズ』を」。
園児らは地震発生時に取る体勢を基にした「ぼうさいじゃんけん」や、「新聞紙座布団」「新聞紙ブランケット」「防災新聞紙スリッパの折り紙」など身近にある新聞紙の使い方も学習。「スリッパを作るのが難しかったけど楽しかった」などと感想を発表し、ゲームなどを交えた体験型の授業を通して身を守る行動を学んだ。
(2022年1月19日付紙面より)
新春コンサートで西謙二さんら (新宮市 )
「オペラとピアノの会」は16日、新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」で「新春コンサート オペラ・ピアノ・歌で誘(いざな)うクラシックの世界」を開催した。西謙二さんらによるピアノ演奏や歌声が会場内に響き渡り、約400人の来場者らがクラシックの世界を満喫した。
西さん(ピアノ・テノール)、金野友美さん(ソプラノ)、石山優香さん(ピアノ)が出演。バリトンの二宮周平さん、メゾソプラノの滝口小夜子さんをゲストに迎えて開催した。
コンサートは西さんによるシューマン作曲「『子供の情景より』見知らぬ国へ」のピアノ演奏で幕開け。「楽しいコンサートにしていければ。短い時間ですがごゆっくりお楽しみください」とあいさつした。
新型コロナウイルスの影響で一部プログラムが変更となったが、主演者らはプッチーニの「トスカ」「トゥーランドット」、ロッシーニの「セビリアの理髪師」などで声楽とピアノを披露。
「世界の名曲」と題し「ふるさとの」(平井康三郎作曲、石川啄木作詞)「サマータイム」(ガーシュイン)なども会場に響かせ、迫力ある演奏や歌声に来場者らは惜しみない拍手を送った。
西さんは県立新宮高校、東京大学工学部卒。米国マサチューセッツ工科大学客員研究員や学術誌のエディター、日本政府関係の委員などを務めた経歴を持つ。ピアノを杉浦範さんらに、声楽を田邊清美さん、二宮さんに師事。テノールとして首都圏でのコンサートを中心に出演している。
(2022年1月19日付紙面より)
木材会館で第2回木育教室 (新宮市 )
新宮市あけぼのの新宮木材会館で15日、新宮木材協同組合事務局主催の第2回木育教室が開かれた。親子3組10人がスギとヒノキの見分け方を学び、地元産のスギ材を使ったオリジナルの羽子板を作った。
大人にも子どもにも、森林の役割や木の良さ、新宮市と林業の関わりなどを知ってもらおうとスタートした取り組み。森林についての座学と木工工作があり、同組合加入の製材所などが材料を提供している。
この日は事務局員の山本盛都さんが、日本の人工林の多くを占めるスギとヒノキについて解説。タネ、花、苗、葉、樹皮、年輪の写真を見比べながら、その特徴や違いを示した。「木の節ってなんだろう?」「日本のような四季がない国の木材には年輪がある?」などのクイズもあった。
木工工作では、地元産スギ材の羽子板にカーボン紙でトラや門松、ウメなどを描き、油性ペンや筆ペン、はんこなどで色を塗っていった。完成後は子どもたちが早速「カーン、コーン」と子気味の良い音を響かせて遊んでいた。
今後も毎月1回、5組限定で開催していく予定。大人の参加も歓迎しており、イベントに関する情報は毎月1日にインスタグラムのアカウント(kinanmokuzai_shinryokukai)で発信している。
(2022年1月19日付紙面より)
木下建設と利用協定を締結 (串本町 )
和歌山県有田市に本社を置く木下建設株式会社(木下英文代表取締役社長)が17日、串本町と災害時における避難場所の施設利用に関する協定を締結した。
同社はかねて、国土交通省が推奨する「地域の守り手」として災害時の復旧活動に参加。その中で地域に安心を届ける方法はないかを考え、2020年度に環境省事業の採択を受けて平時は現場の仮設事務所や休憩所、災害時は拠点基地や避難場所として利用できる太陽光発電付き移動式ハウス「ソーラーシステムハウス」を株式会社ダイワテック、デザイン事務所「BLOOM*ROOM」と共に2種類製作し、計10棟を導入した。
うち2棟は本社に配置し、残り8棟をすさみ串本道路関係工事請負のため同町内の現場などで運用中。その縁で災害時の利用を図るために同協定を町に申し出て締結するに至った。
締結式は高富にある同社串本事業所であり、木下社長と田嶋勝正町長が協定書に署名した。災害時に同ハウスを配置場所もしくは町が希望する場所へ移動配置して貸与する内容で、町か同社のいずれかが解除を求めるまで有効となっている。
署名を経て田嶋町長は「災害はいつ起こるか分からないことを頭に入れて取り組む中、この素晴らしいハウスを活用させていただけることをうれしく思う」と述べて今後の有効活用を視野に入れ、木下社長は「地元の皆さま方と共にこれからも防災対策に取り組んでまいりたいと考えている。本日の締結式はその一歩。社会に生きる者の務めとしての認識を思い、改めて身が引き締まる思い」と胸中を明かして同協定に基づく第一歩を踏み出した。
同社は有田市とも同様の協定を締結済み。災害時はその状況に応じて両市町内に同ハウスを割り当てるという。
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同町内8棟のうち、1棟は同事務所横に配置し情報発信基地「現場の駅」として同式後から運用を始めた。日曜を除く午前8時30分~午後5時に開いていて、現場の魅力や工事の進捗状況、町の情報(同社と串本警察署が合同で取り組む野生動物接触注意の啓発など)や観光案内などの情報発信と併せて同ハウスも皆さんに知ってほしいとアピールしている。
同ハウスは角形鋼管・軽量形鋼構造で、4坪サイズ、開放型とプライバシー確保型の2種類がある。太陽光パネルと大容量の蓄電池、エコ給湯器を備え、省エネ型の構造設計や設備採用により満充電・無給電状態で約3日間利用〈通常時〉できる能力を有する。
採択条件外の独自の仕組みとして、デジタル看板と災害時の情報入手や安否確認に欠かせない携帯端末の充電を想定とした「虹色コンセント」(同社命名、2口コンセント×7個)も備えることで、災害時の安心提供の度合いを強めている。
この日は同社の招待で高富区の中野實区長ら近隣住民が「現場の駅」として開放している同ハウスを内覧し、特色の説明を受けて概要を確かめた。同ハウス周囲のウッドデッキやウッドフェンスは社員の手作り。同社は同事務所がある限り「現場の駅」の配置も続けると意気込んでいて、地域の皆さんに適時利用してもらえればとしている。
(2022年1月19日付紙面より)
熊野那智大社で節分準備 (那智勝浦町 )
2月3日(木)の節分を前に那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)では9日から「鬼面札」や福升の準備が行われている。ピークを迎えた14日は神職や巫女(みこ)が真剣な表情で鬼面札作りの作業を進めていた。
災難よけのお札「鬼面札」と縁起の良い「福桝(ふくます)」を作っている。鬼面札はしめ縄の輪の中に赤鬼・青鬼を封じ込めた図柄で1969年に3代前となる篠原四郎元宮司が作成した木版画で翌70年から授与。独特の絵柄が人気で昨年末から予約が入るという。
神職が縦35㌢、横45㌢の画仙紙に那智の滝の水で溶いた墨を版木に付け1枚ずつ刷り出し、巫女が「那智宮印」を押して、2000枚を仕上げる。モミの木製の福升は5合升で1升の半分であることから「繁盛(半升)升」ともいわれ350個作るという。
𠮷田遥紀権禰宜(ごんねぎ)は「コロナ禍が続くと、多くの皆さまが気疲れしてしまい、これもまた厄災のきっかけとなってしまう。鬼面札は厄災よけ、家内安全の札。いま一度、用心していただき、新型コロナウイルス終息と皆さまが穏やかな一年をお過ごしいただけるように祈り、作成しております」と話した。
鬼面札はすでに社頭で授与されており、郵便授与の受け付けは15日から開始。鬼面札は1枚800円、福升は1500円、福豆が300円。郵送授与希望時は別に送料が必要で、申し込みはFAX(0735・55・0643)かメール(nachi@kumanonachitaisha.or.jp)で受け付けている。問い合わせは同大社(電話0735・55・0321)まで。
同社によると、来月3日の節分行事はコロナ対策を万全に施し、例年通り実施する予定だという。
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西国三十三所第一番札所である那智山青岸渡寺(髙木亮英住職)では例年多くの参拝者が訪れる「節分会」を新型コロナの感染拡大防止の観点から中止する。
同寺によると、節分で使用する祝升(いわいます)の作成や豆まき行事は実施せず、本尊の如意輪観世音菩薩の開帳と祈とうのみ執り行うという。
髙木住職は「節分の準備を進めていたが、コロナの感染拡大に伴い、急きょ中止といたしました。残念だが、来年こそは通常通りできることを祈願しております」と語った。
(2022年1月16日付紙面より)
那智勝浦町実行委員会が設立
那智勝浦町でこのほど、全国棚田(千枚田)サミット那智勝浦町実行委員会(会長=堀順一郎町長)が設立された。14日、同町天満の町体育文化会館で設立総会および第1回総会があり約20人が出席。規約制定や予算を承認したほか、役員選出では那智勝浦観光機構の清水貞吾理事長を副会長に、酒井清崇東牟婁振興局長とみくまの農業協同組合の漆畑繁生代表理事組合長を監事に選出した。
全国棚田サミットは、1次産業に対する意識の向上を図るとともに、棚田の魅力を再発見し、美しいふるさとの風景を次世代につなぐ契機とするために開催。令和5年度に同町で第28回サミットの開催が計画されており、全国から200~800人程度が参加する見込み。委員会は同サミットにおいて円滑な運営を図ることを目的に設立。サミットでは基調講演や交流会などを予定している。
同町では色川が指定棚田地域に指定されており、中でも小阪の棚田は「棚田を守ろう会」が30年以上休耕していた田を復活させ保全に取り組んでいる。また、県が指定する美しい棚田・段々畑として認定している色川南平野の棚田も存在。その他の区でも山間部の厳しい環境で耕作をしていたことが分かる。
なお、高津気地区に棚田の広がる地域はあるものの、2011年の紀伊半島大水害により農業用施設が被災され耕作できない状態が続いているが、しし垣といわれる施設もあり、獣害対策とともに棚田地域を有する里山の暮らしを残している。
19年12月に旧色川村地域が指定棚田地域に指定。20年6月に色川棚田地域振興協議会が設立。同年8月に活動計画が認定されており、同地区における棚田を活用した地域振興活動が展開されている。
開会に当たり、堀町長は「新型コロナウイルス感染症の影響もあるが、収束に向かうのではという気持ちを持ちつつサミットに備えたい」と成功に向けて協力を呼び掛け。
「町には素晴らしい棚田がある。しかし全国的には耕作放棄された棚田も多い。棚田を復活し伝統文化を残すために頑張っていきたい」とあいさつした。
委員会会議では▽規約の制定および改廃▽町棚田サミットの基本事項▽予算および決算▽その他町棚田サミットにおける重要事項―に関することを審議決定する。
(2022年1月16日付紙面より)
飛鳥神社でお弓神事 (太地町 )
太地町の飛鳥神社(髙橋正樹宮司)で13日、航海安全や大漁などを祈願する「お弓祭り(お弓神事)」が営まれた。漁業関係者などの参列者が境内の的を目掛けて全力疾走し、「セミ」を取り合った。
髙橋宮司によると、以前は多くの漁師が祭りに参加していたため、漁から戻って作業を終える夕方に行われていたという。
セミクジラを模した木製のセミは毎年、手作りの縁起物で直径約1・2㍍の的に三つ取り付けられる。本来は的を松に固定する留め具として用いられていた。セミを手にした人は大漁と航海の安全に恵まれるといわれており、持ち帰って家の神棚や床の間、船などに祭られる。
髙橋宮司が矢を放つのと同時に参列者らが一斉に的まで駆け寄り、セミを奪い合った。「今年は取れた」「よし、取れた」とセミを手にした3人は笑顔で喜んだ。
その後、鬼と見立てた的は参列者らが手で破り、切り分けた。松や竹の枝と共に的を玄関に飾ると破魔矢同様に魔よけになるとされ、参列者がうれしそうに持ち帰る姿が見られた。
祭りを終え、髙橋宮司は「昔は町の大半が捕鯨に関わっていたため、海の安全や大漁を祈ったが、時代とともに働き方も変わっている。現在はそれらに加え、家内安全や商売繁盛の意味も込められている。一年の邪気を払うとともに、皆さまにとって良い一年であることを祈っています」と話した。
(2022年1月16日付紙面より)
近大新宮中で前期入試 (新宮市 )
新宮市の近畿大学附属新宮中学校(池上博基校長)は15日、中高一貫コースの前期入学試験を実施した。児童46人(男子17、女子29)が受験し、国語と算数の筆記試験や面接に臨んだ。
試験実施に当たり同校は▽試験室の机・椅子の消毒▽受け付けでの手指消毒と検温▽換気▽付き添いの保護者を1人に制限―などの新型コロナウイルス感染対策を取った。
緊張した表情で入室した児童たちは、教職員から受験に関する諸注意を受け、気を引き締めて試験の問題に向かった。合格発表は19日(水)に、本人宛てに試験結果通知書が郵送される。
後期入学試験の出願期間は2月2日(水)~7日(月)必着。試験日は12日(土)、合格発表は16日(水)を予定している。
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■高校前期入試日程
近畿大学附属新宮高校の前期AO入学試験および一般入学試験の出願期間は1月19日(水)~25日(火)必着。試験日は29日(土)、合格発表は2月2日(水)に試験結果通知書を本人と出身中学校長宛てに発送する。
問い合わせは近畿大学附属新宮高校・中学校(電話0735・22・2005)まで。
(2022年1月16日付紙面より)
7日は「七草粥」
1月7日は「七草粥(ななくさがゆ)」。市内のスーパーマーケットなどでは「七草粥セット」を買い求める人の姿が多く見られた。
一年の無病息災を願って、一般的に人日の節句の朝に食べられる日本の行事食。新年の季語でもある。正月の祝膳や祝酒で弱った胃を休める目的もあるという。平安時代には行事として行われており、室町時代の汁物の原型ともされている。
地方によって食材や作り方、味付けが異なり、那智勝浦町の七草粥(ななくさがい)はダイコンやニンジンなどの野菜を入れるほか、田辺市中辺路町では餅とシャクシナを入れるという。
春の七草は、時代や地域によって異なっていたが、現在では一般的にセリ(競り勝つ)、ナズナ(なでて汚れを払う)、ゴギョウ(仏の体)、ハコベラ(繁栄がはびこる)、ホトケノザ(仏の座る場所)、スズナ(神を呼ぶ鈴)、スズシロ(汚れのない純白)で構成されている。
年明けから約1週間が過ぎ、「寝正月」「飲み正月」「正月太り」で体調を崩している人も多いのでは。七草粥を食べて無病息災を祈りつつ、胃腸を休めてみてはいかが。
(2022年1月8日付紙面より)
上野山こども園の年長児 (串本町 )
串本町津荷にある社会福祉法人杉の子会上野山こども園(前田紀代子理事長、上地奈奈園長)の年長児(5歳児、ひまわり組)が6日、第17回音読コンクール団体の部〈年長〉で最優秀賞を獲得したことを田嶋勝正町長に報告した。
このコンクールは、幼年国語教育会が成長の励みとして年1回主催している全国規模の審査会。個人と団体の2部門があり、団体の部は年長・年中・年少・年少未満の4区分でクラス単位の音読作品(=動画)を受け付けている。
同法人は前田理事長の「本が好きな子になってほしい」という思いを形にする活動の一端で第1回から応募していて、現在は3~5歳児が挑戦する形で定着している。本年度の年長児は▽月の兎▽方丈記より「ゆく河の流れ」―の音読に挑戦し同部〈年長〉に応募。審査の結果は第一席の最優秀賞で、同法人にとっては第4回で旧・上野山保育所の年中児(4歳児)が獲得して以来13年ぶりの好成績となった。上地園長によると、本年度の年長児はおととしに優良賞〈年少〉、昨年に第二席の読売新聞社賞〈年中〉を獲得。職員は応募のたびに成績が上がる成長ぶり、年長児は去年より大きな記念盾がもらえたことに喜んでいるという。
この日は年長児30人が同園の幼児バス(通称・ねこバス)で役場本庁を訪ね、上地園長ら職員と一緒に結果を報告。田嶋町長は「動画を見たがみんな足や背筋がピンとしていて、これなら取れるだろうと思った」とたたえ、園児一人一人にお祝いの品を贈ってこれからも頑張ってと励ました。
今回は年中児が優秀賞〈銅賞〉、年少児(3歳児)が優秀賞〈銀賞〉と、どのクラスも賞状と記念盾が贈られる成績を収めた。上地園長は「3年間の積み上げで年長児は、漢字と仮名が交ざる絵本も興味を持って読めるようになっています。本を嫌いにならないのはもちろん、みんなで声を合わせる挑戦で協調性も高めてくれたら」と活動に込める思いを語った。
(2022年1月8日付紙面より)
小学生が手話学ぶ (紀宝町 )
小学生対象の「やさしい初級手話教室」が5日、紀宝町鵜殿の町福祉センターで始まった。町内の小学1~5年生11人が参加し、手話でのあいさつや自己紹介をすることを目標に学ぶ。
同町社会福祉協議会では毎年、幅広い世代に向けた初級手話教室を開いており、小学生にも気軽に参加してもらおうと、昨年度に続いて冬休みに3日間の連続講座を計画した。
講師は同社協の名取雅博さんと時松有見子さんが務め、ボランティアとして県立木本高校2年の竹内悠真君と瀬古修平君、同3年の市川芹さんがサポートした。3人は昨年11~12月に中学生以上を対象に開かれた全6回の初級手話教室を修了している。
名取さんは「手話って知っていますか?」と問い掛けながら、耳が聞こえない人の言葉であることを説明。子どもたちは指文字の五十音表と名取さんや高校生たちの指の動きを見ながら、「あいうえお」から順に学習し、自分の名前を指文字で表現できるように練習した。
慣れてくると、名取さんの指文字を見て理解し、子どもたちで表現する学習にも取り組んだ。
(2022年1月8日付紙面より)
安全や向上願い手釿始式 (熊野那智大社 )
那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で6日、一年間の作業の安全と技術の向上を願い、宮大工の仕事始めの儀式「手釿始式(ちょんなはじめしき)」が営まれた。
男成宮司が祝詞を奏上した後、烏帽子(えぼし)と直垂(ひたたれ)の伝統衣装を身に着けた宮大工と技手の4人が、古式にのっとり大工道具を使う所作などを奉納した。
棟梁(とうりょう)の嶌﨑和真さん(40)がちょんなを約2㍍のヒノキの角材に打ち込み、続いて南太一さんが墨付け、山口雄太さんがのこぎり、南智紀さんがかんなを使った。ちょんなとは古い大工道具で、丸太の皮を剝いだり、木を削ったりするのに使われるもの。
地元出身で同大社に勤める嶌﨑さんは神事を終え、「新型コロナウイルス感染症の影響は回復の兆しが見えていない。しかし、一日も早く生活が回復し、明るい年になることを祈念しました」と話した。
嶌﨑さんにとって、7月に斎行される那智の扇祭り(火祭)のたいまつ作りや準備が最も重要な仕事になるという。この日は本番に向けて士気を高めていた。
(2022年1月8日付紙面より)